明治二十九年七月十一日 ●緊急支出の御裁可
岩手、宮城、賴森、三縣海嘯救災費ハ大藏大臣の請求に依り黒田臨時總理より書面を以て各大臣の同意を求めて決定し昨日午前奏請せられし所左の金額を第二豫備金より支出の御裁可ありたる由一金四十五万二千六百圓餘三縣救災費
●三縣臨時費追加支出の御裁可
岩手、宮城、賴森三縣にてハ今回海嘯事件の爲め臨時の費額を要し第二豫備金より緊急支出の事に決し是亦別項救災費と同様昨日午後御裁可相成たるよし
一金二万五千圓餘
但三縣旅費、通信、運搬、傭人給
●御沙汰
今回三陸地方沿岸海嘯のため慘害を極めたるに附き西班牙國攝政皇太后陛下深く傷悼あらせられ我天皇陛下に對せらるヽ慰問の詞を奏上すへき旨本邦駐*同國公使に訓令せられたるを以て一昨日同公使ハ信任状捧皇謁見の後直に奏聞を遂けられしに依り叡感斜ならず思召さるヽ旨御沙汰あらせられたり
※西班牙→スペイン
その他 ●軍艦發着
和泉は八日氣仙沼に投錨、九日女川に向ひ抜錨、筑紫は八日門司に投錨、九日呉に向ひ抜錨、松嶋及濟遠は呉に向ひ境を扶桑は鹿兒嶋に向ひ佐世保を八日金剛は太沽に向ひ威海*を九日孰も抜錨、吉野は品海に鳥海ハ釜山に同日孰も投錨