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明治二十九年七月一日 ●海嘯慘况幻燈會

海若意はざるに激怒して瞬間に幾万無辜の生霊を*ひたる三陸大海嘯に就きてハ新聞各社の通信若くハ畫報に依りて大に天下慈仁者の感情を動かしたりしが今又本社より特派せられたる社友が回送し來りし幾多の寫眞を見るに災後荒涼の慘景宛乎として目に在るを覺ゆ仍て之を幻燈に仕組普く公衆に紹介せんと欲せしも恰好の塲所なきに困せしか幸に築地本願寺にて厚意を以て其の廣間の貸與使用を諾せられたれバ同所に於て本日より三日間引續き午後七時三十分より幻燈會を催し無料を以て公衆の觀覧に供する*となしぬ請ふ陸*來觀して三陸の同胞が悲慘光景の一班を察知せられよ
七月一日毎日新聞社員有志者記す