●大海嘯彙報
●岩手県の海嘯
十六日夜釜石町津波のため全町過半流失、人畜
の死傷夥し。電信局も流失、電信不通。
同日朝、盛町津波のため人畜の死傷無数。
十六日午前、大槌町津波のため流失家屋百数十戸
溺死者数十人、委細取り調べ中。
釜石の災難については過半人死し、生存者飢餓に苦し
み救助中にして、遠野警察所及び同郡衙吏員釜石
に出張、救助尽力中なりと。
●宮城県の大津波
十六日暮れ方より十七日朝にかけ、宮城県本吉牡鹿
郡沿海にも又大津波あり、人畜の死傷も甚だしく
概況は左の如しと。
本吉郡志津川町 人畜死傷七十余、流失家屋七
十余。
同郡大谷村 溺死者百名余、流失家屋七十余。
同郡階上村 溺死者百名余、流失家屋九十余。
同郡唐桑村字宿 流失家屋十六戸。
同郡歌津村 字志津■■二■にて死傷者百三十
余、(後報には五百名余とあり)流失家屋百三十余
あり、その他同村伊里前■被害多し。
桃生郡雄勝浜 流失家屋十余戸、行方不明十二
三名。
牡鹿鷲の神浜 被害多し、行くえ不明一名
右の外桃生郡十五、浜本吉郡十三、浜、唐桑、小
原木等にて被害多からんも、未だ詳報に接せず。
右につき勝間田知事、川路警部長、小泉技師、大内、安田
両警部の諸氏は実況視察、及び罹災民救助のため
十七日下り第一列車にて被害地へ向け出張。また先
発として河村参事官、藤田県属の両氏は十七日夜
行汽車にて出張。同時に管内各警察署より応援と
して巡査数十名を派遣せられたりと。