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    賴 森 縣 公 文

賴森縣令第十三號
臨時急施ヲ要シ縣參事會ノ議决ヲ經内務大藏兩
大臣ノ許可ヲ得テ本縣海嘯罹災者救助規則別冊
之通リ相定ム
  明治二十九年七月七日
       賴森縣知事 佐 和  正
賴森縣海嘯罹災者救助規則
第一條 本規則ハ明治廿九年六月十五日ニ於ケ
 ル海嘯罹災者ニ限リ之ヲ施行ス
第二條 本規則ニ依リ要スル費用ハ備荒儲蓄金
 ヨリ之ヲ支出ス
第三條 食糧ハ罹災ノ爲メ自ラ生存スルコト能
 ハサル者ニ限リ日數三十日以内之ヲ給與ス其
 割合ハ男一人一日玄米五合七十歳以上十五歳
 未滿ハ女ノ割合ヲ以テ給ス女一人一日玄米四
 合トス但代料ハ所轄郡役所々在地前月中下米
 平均相塲ニ依ル
第四條 焚出飯ヲ給與スルハ本縣備荒儲蓄及罹
 災救助規則第十二條ノ定ムル處ニ依ル
第五條 小屋掛料ハ罹災ノ爲メ家屋亡失又ハ倒
 潰シ貧困ニシテ小屋掛ヲ爲スコト能ハサル者
 ニ限リ一家金拾圓以内ヲ給與ス
  但從前同居ノ者ハ此限リニ非ス
第六條 農具料ハ罹災ノ爲メ農具ヲ亡失シ貧困
 ニシテ之ヲ購フコト能ハサル者ニ限リ一家金
 拾五圓以内ヲ給與ス
第七條 罹災ノ爲メ土地家屋ヲ賣却スルニ非ラ
 サレバ地租ヲ納ムルコト能ハサル者ニ限リ地
 租ヲ貸■若クハ補助ス
   附 則
本縣備荒儲蓄及罹災救助規則ニ依リ既ニ給與シ
タルモノニシテハ規則ニ定メタル額ヨリ少ナク
猶ホ給與ヲ要スル■■■其不足分ヲ追給スルコ
トヲ得
參照
 明治廿五年三月縣令第■六号靑森縣備荒儲蓄
 及罹災救助規則
第十二條 ■市町村若クハ■市町村又ハ數十戸
 一時ニ暴災ニ■■■■食■得ルニ由ナキ場合
 ニ限リ其景况ニ依リ十日以内焚■飯ヲ給與シ
 仮リニ雨露ヲ凌クヘキ■■小屋掛或ハ借家■
 ■爲スヲ云フ ヲ設ケ一時ノ■■■■■■■
 ■■シ

●嘯害地善後策

 今回の罹災者は多くは漁民に
して其田とも思ひ畑とも■す■漁業塲なるが海
■の起點は海中の地滑ならんとの事なれば是■
漁民の田畑■る漁業塲に如何なる■■を來■■
るや知る可らず縦しや甚だしき變動なしと■る
も木石瓦礫堆積して到底漁業を爲し得ざる塲所
もあらん且一村殆んと流亡したる村落多ければ
從來の如く一村落獨立して漁業を爲し得ざる所
もあるべし故に善後策を講ぜんとせば從來の漁
業塲の異同木石堆積の有無をも精密に調査する
のみならず流亡の爲め一村落にて獨立漁業を爲
し得ざるときは最寄數村落を合併して一團と爲
し適當の塲■■て漁業せしむるの策を執らざる
可らず又■■罹災人民救濟の如きも其數一萬戸
なりと假定し一戸百圓内外を要するとせば一百
萬圓にて救濟し得るものなり是等は當局者■る
者■可的迅速に調査を結了して善後策を確定實
施せざる可らず是當局者の責任なりとす尤も一
戸百圓と云ふは一時の假定なれば地方の状况に
徴し百圓を要せざる所もあるならん故に其額は
當局者に於て過不及なき適度に依り處分するを
必要とす其他田畑宅地の免租の如きは勿論の事
にて是等は善後策といふ程の事にもあらず要す
るに罹災人民善後策を一日も瞬速ならざる可ら
ず一日を■うせば■■丈罹災人民をして益々窮
迫に陷らしむるものなり其外目下焦眉の■とす
べきは被害地交通の便■■るにあり■跡の■き
は容易に改修すべくも非ざれは多數の船舶を被
害各地に廻送し海路運搬交通の便を計らざる可
■す今日にては定■て海路交通の便開けたるな
らんも數日前迄は未だ開けず郡長知事及び地方
有志者にも速かに其便を開かん事を注意したる
位なりとは國民協會の嘯害地視察員藥袋代議士
の談話なりと