●常光寺の大法會
當地寺町常光寺に於て去る
一日より三日間三陸海嘯死亡者の爲めに追吊大
法會を營まれしが信男信女の來集するもの數千
名遉の大伽籃も立錐の餘地なき程の盛會なりし
と尤も今回の法會に付弘前及近鄕より來靑の僧
侶総て數十名にして毎日午前九時より始まり僧
侶一同着席の■先つ同寺住職神天外氏は大導師
となりて燒香及讀經あり夫れより追吊の祭文を
朗讀し終はりて來會の重なる人々及遺族者發起
人一同の燒香あり大導師は三皈戒を授けられ花
田惠胤宇野默音石澤隆竟の諸氏海嘯變死當時の
實况に付説教あり最後には參詣者一同に對し菓
子及配膳其他の施物ありしと云ふ
●嘯害に罹りても義捐す
上北郡三澤村柳本嘉
七氏の居宅は仝沿岸に於て一二を爭ふ程の建物
にして其構造の如き中々に堅牢なるものなりし
も此度の海嘯にて過半流失し建具家財小屋其他
悉皆流失して穀物を納め置ける板倉の如きも元
位置より數十間濱邊に押流されたる程なりしか
ば其損害は實に夥しきものなるにも拘はらず氏
ハ他の被害者の爲めに同情 相 憐むに堪へずと
て金百圓を義捐したき旨其の筋へ申出てたりと
云ふ由來氏は同地方に於ける慈善者にして何時
も事あれば率先出金し居るよし氏の如きは今の
世に稀れなる奇特者にこそ
●微震
昨日午前■時二十七分四十秒賴森地方
●昨日の天候
東方の軟風晴午前十時觀測温度
六十九度四最低五十五度九
本 社 取 扱 大 海 嘯 罹 災 救 助 義 金
一金貳拾錢 賴森米町 西澤 伊■
一金六圓六拾錢 歩兵第五聯隊
聯隊本部・第一大隊本部・第二大隊本部・
第三大隊本部・下士一同
内 貳圓貳拾錢 本縣
貳圓貳拾錢 宮城
貳圓貳拾錢 岩手
一金貳拾錢 賴森安方町 佐々木■吉
一金五拾錢 東津輕郡油川村 高谷市兵衛
一金壹圓五拾錢 弘前市 小野 愛吉・大川
■二・岡崎峰太郎・蔦谷 金策・■崎 一郎
内 五拾錢 本縣・五拾錢 宮城・五拾錢 岩手
一金五圓七拾錢 弘前區■■■■檢事局有志者
一金壹圓 北津輕郡■柳村 木村 定吉
計金拾五圓七拾錢
通計金參百參拾■圓拾四錢五厘
内譯 金貳百八■六■■■■ 本 縣
金貳拾五圓八拾錢 宮城縣
金貳拾七圓■拾錢 岩手縣
御■申上候昨三日掲載ノ内武田甚左エ門肩書ニ
(合名會社)トアル誤植