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チリ津波  内閣に対策本部 次官会議で設置きまる

政府は二十五日、首相官邸でチリ
津波災害対策の緊急関係次官会議
を開き内閣に椎名官房長官を本部
長に、各省次官で構成する災害対
策本部の設置を決め、直ちに発足
させた。会議は警察庁および厚生
省の調査した被害状況の報告を聞
き、つなぎ融資の指令など当面の
応急救助対策を決めた。本格的な
復旧対策について補正予算を組む
かどうかは特別立法の要否とと
もに結論を今後に持ち越した。二
十五日の関係各次官会議に報告さ
れた津波の被害状況は次のとおり。
 警察庁調べでは死者百、行くえ
 不明八十五、負傷者八百五十
 五、家屋全焼流失二千九百四十
 三、床上浸水二万三千三百二十
 二、被災者三万一千百二十世帯
 十四万七千八百九十八人。なお
 厚生省の報告によると死者百三
 十九、行くえ不明七十六、負傷
 者九百六十五で、いずれも警察
 庁報告を上回っている。施設の
 被害は農林水産関係がもっとも
 大きく、二十四日午後五時現在
 農林省調査で約四十八億円、漁
 船、養殖施設など水産関係が中
 心となっている。建設省関係公
 共土木施設の被害は海岸堤防の
 決壊など調査ずみで九億八千六
 百万円、総額は二十億円にのぼ
 ると推定される。

「チリ地震津波」と呼ぶ

気象庁は二十五日午後、二十四日
未明から本土太平洋岸を襲った津
波を「チリ地震津波」と呼ぶと発
表した。

県下の被害 七億六千万円

県の土木、農務、商工水産林務部
が二十五日夕刻までにまとめた県
下の津波の被害額は七億六千万円
近くになった。
【土木】阿南市橘港をはじめ、海
部郡の港の被害がもっとも多く約
五千万円。このほか道路、河川な
ど合計三十一か所、八千二百万円
の損害。
【農務】田畑二百十ヘクタールが塩水をか
ぶり、水稲、麦、野菜、タバコな
どの被害額は千七百万円を上回っ
た。耕地関係でも水門、農業用水
道の破損などがあり、合計二千百
十一万七千円
【商工水産林務】木材流失などで
約四千立方メートルの木材に四億三千余
万円の被害があったなど合計六億
五千六百七十五万六千円。

野党、開会に応ぜず 自民”津波国会”を要求

清瀬衆院議長は二十五日午前七時
三十分、自民党の川島幹事長、社
会党の江田書記長、民社党の水谷
議員団長にそれぞれ電話で「チリ
津波による被害は国民生活に与え
る影響が大きいので各党とも安保
強行採決をめぐっての争いをこえ
て、本会議、委員会を開き対策を
協議してほしい」と申し入れた。
これに対し各党はいずれも党機関
にはかった結果、これに応じない
態度を確認した。

衆院の荒船議運会長は二十五日
正午前、院内で社会党の柳田秀
一、下平正一両議運理事、民社党
の池田●治理事と別個に会い、清
瀬議長の勧告について早急に議
運理事会あるいは同懇談会を開く
よう申し入れた。これに対し社会
党は災害対策に便乗した国会審議
の再開には応じられないとして拒
否し、民社党もすぐには応じられ
ないとの態度を示した。このため
同日は理事会も同懇談会も開会で
きなかった。 
 しかし荒船委員長はじめ自民党
 側は津波による惨状は、すみやか
 に対策をたてる必要があると
 し、両社に呼びかけ、二十六日
 公報に本会議、委員会の開会
 をのせる考えである。

徳島地区の津波による御災害を
受けられた方々に謹んでお見舞
いを申し上げます
五月二十六日
久保田鉄工株式会社