三 角 點 『津浪避難道路』
▽ 度々津浪に襲はれる三陸地方については幾多
の避難豫防策が 唱へられてゐるが、 私はこヽに
『津浪避難道路』の開設を提唱する。
▽ これは罹災町村の復興工事に際して、 區畫改
正を施し、 五間なり、 十間なりの幅員を有する大
道を、 町村の中心または大通りから、 山の高いと
ころへ向けて開鑿するのである。
▽ この津浪道路は、 まづ津浪の害から免疫され
た高地半腹の廣塲に導き、 その廣塲には町村の中
心ならば學校、 役塲、病院等の公共機關を建てる。
▽ また市街の兩端部から上る道路の奥には神社
佛閣を建立する。 この避難道路は小學校時代から
子供に終始歩かせる。 スポーツもこの道路を利用
してやらせる。 各住宅からもこの大道路には容易
に連絡し得るようにして置く。また年に二度位、例
へば以前の津浪の記念日六月十五日夜とか、 今度
の三月三日曉などに避難の演習をやることも有意
義であらうと思ふ。
▽ 村の位置を換へることも、 勿論よい方法で昔
の津浪の際に船越村などは實行した一つであるが
海を相手の漁師に、 海岸を去れといふ注文は、 困
難が伴ひ、 全然不可能な村もある。
▽ 津浪避難道路はこれ等に比すれば効果的であ
り可能性も充分にあることだから是非實現したい
ものである。 (東北帝大・田中館秀三)
八年度 總 豫 算 大藏省調査
三陸震災地復舊に關する八年追加
豫算は廿五日貴族院を通過して成
立する筈であるが、 大藏省調査に
よればすでに成立したる總豫算な
らびに追加豫算第一號と合算して
八年度總豫算額は廿三億九百四十
一萬四千九百七十七圓で 新規 公
債發行額は交付公債を合して十億
二千六百六十二萬六千五十五圓で
その内容左の通りである【單位千
圓】
歳 入
經常部 一、 二九一、 一〇六
臨時部 一、 〇一八、 三〇八
内 譯
普通歳入 五五、 九〇〇
公 債 金 九一九、 〇八四
借 入 金 三〇、 〇〇〇
前年度剰
余金繰入 一三、 三〇四
計 二、 三〇九、 四一四
歳 出
經常部 一、 三六四、 九七六
臨時部 九四四、 四三八
計 二、 三〇九、 四一四
公 債
一般會計 九一九、 〇八四
特別會計 九二、 七二六
計 一、 〇一一、 八一〇
交付公債 一四、 八一五
合計 一、 〇二六、 六二六
市 參 事 會 東京市參事
會は廿四日午後二時より開會左記
諸件を可决して同四時散會した
一、東京市普通經濟財政整理費
起債に關する件(編入町村収支
缺陷補のため三百萬圓起債、
利率六分以内、償還期限昭和十
二年度より同廿一年に至る)
一、東京市水道事業公債に屬す
る短期債發行に關する件(第二
期水道擴張費として二百卅五萬
四千八百圓起債)
一、市税家屋税付加税の賦課に
對する異議决定の件(日本工業
クラブほか十高層建築物代表者
より提起の異議申立は申立相成
りたヽずと决定)
一、山手方面都市計畫街路修築
用地買収の件(十二坪)
一、米國震災救護資金贈與の件
(日本赤十字社の肝煎りにより
五千圓、 横濱市より二千圓、 赤
十字社より三千圓合計一萬圓を
米國赤十字社を經て贈る)