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 今後の災害豫防 國富技師の進言 氣仙沼地方視察の大金侍從 引見して意見を聽く

【氣仙沼にて安養寺本社特派員】
畏き邊りより御差遣の大金侍從は
六日午前七時宮城縣石巻町を出發
自動車で三邊宮城縣知事の案内で
出張中の堀田内務省社會局事務官
などと共に
 桃生郡十五濱村雄勝、大川村釜
 谷、本吉郡志津川町、歌津村を
 視察午後三時縣下で最も被害の
 激  甚  であつた本吉郡唐
 桑村只越に到着した
侍從に對し村長代理の収入役三浦
由次郎氏より被害状况を説明した
何分六十五戸のうち五十戸が全滅
し廿四人の生命を奪はれた土地な
ので大金侍從も驚きの目をみはつ
た、漁夫達はいづれも着のみ着の
まヽで出迎へ皇恩の有難さに中に
は地に伏して泣くものもあつた、
大金侍從は付近一帶に散亂してゐ
る家庭や船の破片を踏み越えこヽ
かしこのバラツクにある罹災民を
慰問し、折柄先着の中央氣象台國
富技師を引見、同技師は今回の津
浪の状况
 今  後 の豫防についての私
見を報告書として提出した、その
内容は大體左の通りである
◇この地方は外側地震帶の大なる
 もので地殻變動による地震であ
 るが北上山脈の尾根の突出せる
 灣には入口が廣く中が狭く且遠
 淺となつてゐるからそれによつ
 て波の傳播速度をずるとヽも
 に高さを增し陸上に押し寄せ、
 被害が大きかつた、殊に明治廿
 九年の三陸大津浪の時の震央よ
 り約百五十キロ南方に偏してゐ
 るので震央方向に開口してゐる
 灣が殊に著しい
◇三陸沿岸の遠淺の灣、殊に人口
 稠密の灣口には突堤を設けて波
 浪防止の策を要す、將來もまた
 繰返す恐れがあるから最も必要
◇今回の津浪は地震後卅分を經て
 大音響より三分乃至五分後に津
 浪が襲來した、秒速約百米内外
 の傳播となつて來た實例から見
 れば地震直後または大音響後と
 いへど敏速なれば十分避難が出
 來た、この點から波を見る望樓
 の建設は火災望樓とヽもに必要
 でその報知としては警鐘亂打、
 狼火打揚げなどが適當である
 侍  從 は凍りついた嶮岨な
山を越え氣仙沼町に歸つて一泊、
七日は盛岡地方に向ふ豫定である
 本 社 義 捐 金 を
 兩 町 村 に 手 交

(続き)

【大槌發】三陸沿岸津浪の中心地
岩手縣氣仙郡唐丹村字本鄕では六
日夕刻にいたるも三百余の死體を
収容しきれず唐丹村長水澤佐助氏
は愁然と
 もうわれ々々には再起の見込が
 ない、滿洲へでも行かうと思ふ
と語つてゐた程であるがこの日本
社特派の伊藤内國通信部長は西川
盛岡通信部主任と共に食糧品を滿
載したトロール監視船早池峰丸で
同村を訪れ水澤村長に本社の義捐
金を傳達、更に同夜上閉伊郡大槌
町を訪れ後藤町長、金崎助役等に
慰問金を手交したところ水澤唐丹
村長、後藤大槌町長等はいたく感
激し
 現金を頂くのはこれが最初です
 この際現金が何より有難い
と述べた

三 陸 震 災 義 捐 金                 本月十五日締切り

本社委託六日午後二時迄の分
◇三百圓 麻布富士見町 岩垂邦彦氏
◇二百五圓 新宿カフエー街丁字會
◇二百圓 故上野季三郎氏追慕者有志
◇百五十圓 目黑三田 大倉邦彦氏
◇百五十圓 日本橋通り一丁目 大倉洋紙店社員一同
◇百五十圓 日本橋通り一丁目 小田原製紙株式會社
◇百五十圓 麹町山一町有志(但し内譯は六日朝刊掲載濟)
◇百四十二圓五十錢 下谷龍泉寺町東部町會六百四十人分
◇百四圓五十五錢 牛込喜久井町喜久井町會在鄕軍人會靑年團
◇百圓 神田小川町三丁目 高窪喜八郎氏
◇百圓 神田美土代町 藤波金郎氏
◇百圓 品川上大崎長者丸 山本武雄氏
◇百圓 日本橋富澤町 稻村源助商店
◇百圓 蒲田本町通 蒲田中央商盛會一同
◇百圓 讃佛歌大和流東京中央聯合支部長 木村愛藏氏
◇百圓 目白三丁目 池坊華道研究會代表 兒島文茂氏
◇百圓 淺草馬道一丁目町會
◇五十一圓四十二錢 瀧野川下田端町南部町和會々員一同
◇五十圓 日本橋兜町東京株式取引所
短期實物取引員 松島卯三郎氏
◇五十圓 世田谷玉川瀬田町 齋藤元之助氏
◇五十圓 京橋月島親交會員一同
◇五十圓 下谷元黑門町 吉田時計店々員一同
◇五十圓 本鄕大和村住 一老人
◇五十圓 日本橋通一丁目 大文洋行
◇五十圓 日出高等女學校
◇五十圓 赤坂新三町會
◇五十圓 小石川白山御殿町々會 代表田中義能氏
◇卅圓 品川五反田二丁目 大崎館
◇卅圓 麻布本村町 荒牧國衡氏
◇卅圓 日本橋兜町東京株式取引所
短期實物取引店松島商店内松之喜會
◇卅圓 商工業共濟會會員一同
◇廿五圓 荒川三河島町 福田仙右衛門氏
◇廿四圓十四錢 千葉善司氏外有志
◇廿圓 大森 無名氏
◇廿圓 芝田村町横田ネームプレート製作所主及從業員一同
◇廿圓 日本橋兜町東京株式取引所
短期實物取引店松島商店内温交會
◇廿圓 大森新井宿 小泉源方氏
◇廿圓 日本橋富澤町渡邊郁二商店東京支店々員一同
◇廿圓 神田美土代町 豐島屋本店店員一同
◇廿圓 本所德右衛門町 長島登氏
◇廿圓 西巣鴨 城北妙德講
◇十三圓五十二錢 國士館中學校第二學年自治井水會一同
◇十二圓五十錢 東京理器製作所從業員一同
◇十二圓 芝濱松町 大島看護婦會
◇十一圓 京橋築地 臼田きよ氏
◇十圓宛 京橋築地なだ萬從業員

(続き1)

一同、 荒川南千住町東京白心詠
談會一同、 日本橋通二丁目富士
屋裁縫所内一同、 荏原小山町井
上德兵衛氏、 澁谷區神宮通三枝
榮吉氏、東京日日新聞社内食堂
 豐島高田南町外村商店男女從業
 員一同、芝區三田三丁目森田秀
 氏、荏原戸越町星今朝松氏、世
 田谷玉川尾山町藤沼信勝氏、横
 濱市鶴見區鵜川くに氏外子供一
 同、麻布本村町小山りん氏、本
 鄕眞砂町海津善次郎祖母氏、巣
 鴨一丁目綿貫よう子氏新橋五丁
 目石田幸太氏、田園調布驛前京
 屋書店主店員女中一同、靜岡縣
 島田町初見泰助氏、日本橋小舟
 町齋藤鐵之助氏、鎌倉材木座加
 藤氏、大森山王町松坂恒氏、下
 谷下根岸栗田伊代氏、上目黑愛
 酒會、東京手形交換所職員一同
 芝新橋五丁目吉野金次郎氏、神
 田西今川町出羽屑物商店内一同
◇八圓五十錢 白山上大丸市塲店
 員一同▲七圓八十五錢 東京瓦
 斯本社給仕一同▲七圓八十錢
 市ヶ谷秀英舎輪轉係從業員一同
 ▲六圓十五錢 下谷黑門小學校
 荒井日出子氏(お休利用醵金)▲
六圓六錢 四谷第三小學校五年
 平田花枝氏▲五圓五十錢宛 玉
 川町信行會有志、東京日日新聞
 蒲田出張所店員一同、本鄕一日
 會▲五圓卅錢 丸の内日本郵船
 食堂從業員一同▲五圓廿錢 淺
 草本願寺▲五圓宛 龜戸町新開
 湯開榮氏、小石川區波多野房吉
 氏、蒲田區酒井ふみ氏、東兩國
 カフエートヨタ從業員一同、

(続き2)

杉並區小池久子氏、淀橋區小島重
 彌太氏家族一同、近歩四の十一
 幹部候補生一同、王子區小森谷
 榮次郎氏、尾本氏▲四圓五十錢
 一靑年職工氏▲四圓廿五錢 神
 奈川縣高津町副業美術研究部▲
 三圓五十錢宛 芝區東作釣具店
 々員一同、新橋とんかつ喜太八
 店員一同▲三圓宛 杉並區海老
 原斐氏、横濱市西戸部町久子氏、
埼玉縣入間川町中村利雄、俵木
 孝吉兩氏、品川區水谷喜一氏、深
川區吉橋乙三氏、 淺草區酒部省
一氏、 京橋區■屋紙店 々 員一
同、 王子區加藤六郎氏▲二圓六
十錢 神田區開根日進堂製本所
 徒弟一同▲二圓宛 高圓寺淸原
 てる子氏、寺島町白井喜久子氏
 吉祥寺金川美穂子氏、一學生、
 牛込區大神町住人氏、神田區小
 泉春雄氏、日暮里町大盛湯店員
 一同、麻布區黑澤淸治氏、荒川
 區田中長五郎氏、荏原區小泉音
 吉氏、神田區小林正明氏、四谷
 區山口萬助氏、俳誌水明印刷所
 一同▲一圓九十錢 下谷黑門小
 學校鈴木ふみ子同正義兩氏(お
 休利用醵金)▲一圓五十錢宛
 芝愛宕高等小學校板垣廣子氏、
 瀧野川區酒向博氏、小石川區酒
 向又三郎氏▲一圓卅六錢 第四
 岩淵小學校 栗山正身氏 ▲一圓
 宛 王子區押田正雄氏、京橋區
 阿部豐吉氏、無名氏、大井金子
 町飯田廣子氏、飯田町江戸幸氏
 土屋春夫氏、海軍水雷學校一人
 氏、吉祥寺玉井東造氏、銀座無
 名氏、東日理髪部淺井氏▲五十
 錢宛 川崎南河原住人氏、丸の
 内工業倶樂部若山佐太郎氏、杉
 並第八小學校江幡俊一氏、長崎
 町無名氏、靑山高等小學校左近
 允愛子氏