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小雪の中の葬列に  侍 從 暫 し 默 禮    宮城縣下の罹災民感激

【仙台發】 (牡鹿郡大原村にて石
原、 萩生田兩特派員) 畏き邊りか
ら御差遣の大金侍從は三邊宮城縣
知事等とヽもに五日午後三時宮城
縣牡鹿郡 大原村大字 大原に入つ
た、 同村は死者四十三名負傷者十
二名
流 失 家屋五十八といふ悲
慘な數字が物語る縣内最大の犠牲
の村で自動車が進まず一行は下車
雪を浴びながら一里十町の山路を
泥の中に靴をめりこませながら谷
川部落へ進む、道々慘状を見て侍
從も知事も無言だ、谷川區長西森
竹治氏が出迎へると侍從は『御慰
問に參りました』と短い言葉であ
る、負傷者にも病人にも一人一枚
の布團すら行き渡らないみじめさ
の中に侍從を迎へて感泣した、次
で侍從の一行は小舟で對岸鮫浦に
向つた、小雨交りの飛雪がつめた
く頬を打つ、丁度濱では犠牲者伊
藤さんの葬式が出たところで
生  き 殘つた十數名が去り
行く野邊の送りをしてゐるのを見
ると侍從は立どまつてしばし默禮
した、更に負傷者の假収容所伊藤
豐吉氏方を訪うて侍從が鄭重な見
舞の言葉に家人は土下座せんばか
りに感激した、侍從一行は石巻水
上署の貞山丸に乘つて女川に向ひ
同夜は石巻に一泊した

 吹雪を衝いて 本 社 の 慰 問     伊藤本社内通部長     釜石に見舞金手交

【釜石にて伊藤内國通信部長發】
三陸津浪大慘害について本社では
既記の如く罹災者へ金二千圓を寄
付しまた一般より義捐金を募集し
つヽあるが災害地方は
引   續 いての不幸の折柄零
下七度の酷寒に暖をとり食を求め
ることも容易ならぬ多數の人々に
一日も早く暖かき食、温かき衣を
も給與するの必要を痛感、予(伊
藤内通部長)は西川盛岡通信部主
任をつれて六日花巻から卅里の行
程を吹雪を衝いて午後八時釜石着
直ちに町役塲に小野寺町長を訪問
折柄釜石の救護班長として滯在中
の湯本學務部長及び齋藤釜石署長
荒木田中村町議、長谷川釜石分會
長その他の人々
立   會 の上本社の義捐金及
び一般からの寄付金募集の趣旨を
述べ、この際最も急速に罹災者に
對して現金交付方を希望し第一回
分として三百圓を小野寺町長に手
交した小野寺氏は感激して曰く
 釜石町は津浪の襲來により致命
 的の大損害を蒙つたことは遺憾
 で町民の多くは自力更生が望み
 薄くなつた際貴社の逸早い御報
 道により天下の同情を集め町民
 達は感謝してゐる際義捐の寄付
 を受けることは感謝に堪へない
 町長としては貴社の意に添ひ一
 日も早く復興計畫を進め大釜石
 建設に邁進する考へで町民の感
 謝の意を何卒お傳へ下されんこ
 とを願ふ

 今 夕 公 開   六時半より
 三陸地方大震災
   釜石町方面の慘状 高田町・廣田村の被害
  ◇熱河討伐映畫 皇軍朝陽入城
  ◇滿 洲 建 國  その他數巻
    塲 所  本社樓上・靑山會館
     入塲料  會塲整理のため金十錢申受け義捐金とす
          東京日日新聞社

東 兩 國 靑 年 團 の 街 頭 奉 仕

本所區東 兩 國三丁目靑年分團は
三陸地方震災地慰問のため奮起し
五日午前九時から小西分團長以下
團員卅名が第一日曜の休日を利用
してそれ々々町内の街頭に立ち慰
問金募集を行つたが買物に出たお
かみさん達や小學生、職工さん達
などから五錢十錢の零細な美くし
い同情金が集まり午後八時募集を
一先づ締切り計算したところ七十
四圓九十六錢に達した、小西分團
長以下團員は直ちに本社に持參し
被害地に急送するよう委託された
 梅 澤 一 座 の 吉本興行
三 陸 同情デー 直營淺草
公園昭和座に出演の梅澤昇一座で
は三陸震災罹災者のために六日の
興行を同情觀劇デーとして入塲料
全部を擧げて本社へ寄託、罹災者
義捐金に寄付することになつたs

三陸 震 災 義 捐 金                 本月十五日締切り

本社委託五日午後二時迄の分
◇二百圓 北品川五丁目品川製作所 及從業員一同
◇百圓 芝新橋山口屋精米所 店員一同
◇百圓 神田同朋町 吉川卯吉氏
◇百圓 神田北乘物町 東京實業商報社
◇百圓 芝伊皿子町 岸淸一氏
◇百圓 日暮里町 株式會社高瀬商店
◇百圓 淺草阿部川町 木村重松氏
◇八十二圓六十錢 陸軍造兵廠小銃製造所精密工塲從業員一同
◇五十圓 京橋一丁目 泉睦會一同
◇五十圓 神田猿樂町 三輪信次郎氏
◇四十圓九十錢 麻布竹谷町 松尾工塲從業員一同
◇卅圓 神田千代田 西今川町會
◇廿五圓五十錢 京橋小田原町 石黑爲次郎氏外家族一同
◇廿五圓 大森入新井町 松岡ミルクプラント
◇廿五圓 淺草向柳原町きくや會代表 磯村豐太郎氏
◇廿一圓九十錢 大森入新井町松岡ミルクプラント互助會
◇廿圓 小石川江戸川町 大曲睦會
◇廿圓 大森 籠宮一同
◇廿圓 蒲田出雲町三省堂蒲田工塲内親和會
◇廿圓 中野沼袋町 本橋米店
◇廿圓 淀橋柏木町 松屋牛肉店
◇廿圓 深川西町 村尾幸次郎商店員一同
◇廿圓 芝琴平町 片倉正吾氏
◇廿圓 警察練習所 教習生一同
◇十七圓五十錢 寺島町東部町會後榮會一同
◇十七圓 麹町 山一町會
◇十五圓 杉並 馬橋商工睦會一同
◇十五圓 千葉縣船橋九日市 鈴木秀子氏
◇十五圓 日本橋通三丁目 廣田松榮氏
◇十五圓 荒川三河島町 丸山工塲一同
◇十五圓 本鄕根津八重垣町 早苗平兵衛氏
◇十圓卅錢 京橋月島通碌々付屬工塲從業員一同
◇十圓宛 淺草田中町芳賀商會石
炭部店員一同、 下谷五條町米久店
員一同、 四谷番衆町上羽貞幸氏、
銀座二丁目曾和商店内鳩友會、 花
畑變電所員一同、 淺草七軒町七軒
町靑年團員一同、 淀橋角筈一丁目
小平菊子氏、 麹町有樂町ひさご一
同、 小石川餌差町小峰壽三郎氏宅
餌差町會、 神田山形縣人會有志、
京橋越前堀山口喜藏氏、 品川大井
出石町並木鶴子氏、 荏原中延町双
龍製藥株式會社就業員一同、 麹町
山一町會河野光雄氏、 麹町山一町
會天野啓次郎氏、 八王子八日町川
崎貯蓄銀行支店一同▲麹町山一町
會肥田野行氏

(続き)

▲九圓五十錢京橋區石黑爲次郎氏
方店員女中一同▲八圓澁谷區二中
學生▲六圓五十錢澁谷女中一同▲
五圓宛 麹町區仁科富太郎氏、 同
北條養三郎氏、 同村上一政氏、 同
永田秀吉氏、 同岩川豐吉氏、 同岩
田省三氏、 同梅澤猪八氏、 同梶谷
嘉一氏、 同福士淸成氏、 同西脇六
郎右衛門氏、 同尾形担氏、 同村上
慶三郎氏、 同寺田次郎作氏、 同眞
下五郎氏、 品川區岩谷誠心會員靑
木矩■氏、 神田區宮岡敏浩同邦行
氏、 東京日日新聞 築地出張所 店
員一同、 世田谷區 西岡氏、 日本
橋區吉田弘道氏、 麻布區坂田信之
助氏、 巣鴨區櫻木舎牛乳店從業員
一同、 軍艦長門無線電信室一同、
淺草區菊地馬太郎氏、 日本橋區近
興商店村田芳次郎氏、 本所區福田
祐康氏、 日本橋區小堺商店内互親
倶樂部、 麹町區前田嘉子、 同榮一
氏、 東京モスリン金町工塲鐵工部
神田區高野縫之助氏、 淺草區松枝
緑氏、 神田區無名氏、 向島區靑年
團吾嬬第五分團及團員一同、 芝區
平野吉次郎氏▲三圓五十七錢 日
本勞働總同盟出版印刷勞働組合神
田第一支部▲三圓五十錢金町一紙
芝居▲三圓廿五錢神田アイデイア
ルホーム從業員一同▲三圓廿錢曉
星小學校三年椚茂信氏、 佛英和小
學校一年椚八重子氏▲三圓宛 麹
町區澤村福藏氏、 同西本聿三氏、
同若葉淸氏、 同淸水勝氏、 同八代
甚三郎氏、 一學生、 神田區三秀舎
第三工塲有志、 淀橋區海老原美知
子氏▲二圓七十錢 麻布區靑年三
人報國會一同▲二圓宛 代々幡無
名氏、 深川區小川和氏、 相州辻堂
長谷川實太郎氏、 本鄕無名氏、 麹
町區山田秀之助氏、 同笹川久助氏
同高橋一郎氏、 同高木精一郎氏、
同宮崎乾吉氏、 同高橋吉野氏▲一
圓五十錢宛 田端町古市正樹同謹
子氏、 神奈川區柳下貞藏氏、 同明
治食料株式會社石井昇氏▲一圓卅
錢一工務員▲一圓宛 麹町區正木
三雄氏、 同菅沼平次郎氏、 同佐藤
善松氏、 同古谷もん氏、 同小更正
典氏、 本所區伊藤榮一氏、 京橋區
田口氏、 淀橋區菅原一郎氏、 一市
民、 杉並區神東敦之氏、 千葉石田
保久氏、 澁谷甲斐絹子氏、 淺草區
堀内道子、 同元子氏、 芝區永井英
吉氏、 同岩谷方田森與三郎氏、 靑
山學院立石氏、 澁谷區白井時子氏
▲五十錢宛 麹町區龜田他吉郎氏
同井上良之助氏、 麻布無名氏、 下
谷區佐藤壽美子氏、 横濱松岡圀子
明雄兩氏