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津波のツメ跡”を共同調査

教授ら百五十人国立七大学で一せいに
チリ津波の被害を調査して、
今後の津波対策を科学的に検
討しようと、国立七大学の地
球物理、土木、建築の研究者
約百五十人が北海道から四国
まで津波のツメ跡を一斉に調
査することになった。すでに
一部の学者は現地で調査を始
めているが、調査は約二週間
にわたって行われる予定で、
文部省も科学研究費の保留金から
百五十万円の支出を用意している。
こんどのチリ津波の被害は北海道
から九州まで及び、観測史上最大
といわれる。しかも被害を大きく
したのは気象庁の警報が遅かった
ことも、もちろんだが、ふだんか
らの津波対策がお粗末だったこと
も大きく禍いしているといわれ、
津波に治する科学的な研究が望ま
れている。
 こんどの共同調査は去る二十四
 日、津波が襲った直後、東大地
 震研の高橋竜太郎教授らが音頭
 をとって北海道大、、東北大、東
 大、東京水産大、名古屋大、京
 都大、九州大の研究者に呼びか
 けたのがきっかけ。
この結果、七大学の地震、津波の
研究者をはじめ海岸工学や建築学
研究者も加わり、約二週間にわた
って北海道、三陸、東海、四国の
沿岸各地で津波来襲直後の状況を
写真その他の方法を使って綿密に
調査する。
調査は津波がどのようにして襲っ
てきたかということから堤防の問
題、津波を防ぐために村落の配置
がどうだったか、避難路は作られ
ていたか、どのていど役に立った
かなど、地球物理から土木建築の
分野にまでまたがる。
 参加者も東北大理学部の加藤
 愛雄(地震)東大工学部武藤清
 (建築)京大工学部棚橋諒(土
 木)教授を中心に助教授、助
 手、大学院学生まで百五十人を
 こすとみられる。
現地調査は十日から二週間で終
え、資料をもち帰って検討する
が、災害の直後に大学が共同して
調査することはあまり例のないこ
とで、結果が期待されている。