義 金 醵 集 廣 告
本月十五日本縣下本吉桃生牡鹿三郡沿海ノ町村
ニ於ケル海嘯被害ノ慘?ハ實ニ吾人ノ痛悼ニ堪
ヘサル所ナリ而シテコノ間ニ於ケル小學校ノ被
害ニ付テハ未タ確實ナル調査ヲ遂ケタルニ非サ
ルモ本吉郡志津川町淸水分校ノ如キハ生徒四十
有餘名ノ内生存スル者僅カニ四名又同郡唐桑小
學校ノ如キハ生徒五百余名ノ内死亡百二十余名
歌津村名足小學校ノ如キハ生徒二百余名ノ内六
十七名ヲ失ヒ其他大谷、小泉、十三濱相川小學校
ノ如キ孰レモ其慘?ヲ極メ職員中ニモ或ハ死亡
或ハ負傷或ハ父母妻子ニ離ル、等凄絶實ニ名?
スヘカラス随テ校舎ノ流失破壞ハ勿論教用備品
生徒日用ノ書器殆ト皆無ニ屬ス此際救護ノ策ヲ
講セスンハ何ノ日カ小學教育ヲ復舊スルヲ得ン
ヤ故ニ願クハ縣ト教育者並ニ志士仁人ノ賛同ヲ
得テ義金ヲ募リ該被害地ノ學校校舎必用ノ器具
書籍等ノ設備並生徒ノ用具等ノ費ニ充ツル目的
ヲ以テ其處分法ヲ本縣知事ニ請フテ之レヲ救護
セントス同志諸君ハ左記ノ事項ヲ承知セラレ速
ニ送金アランコトヲ希望ス
一義金ハ其額ヲ限ラズ各自ノ適宜トス
一義金申込人ハ宿所姓名ヲ記載セラルヘシ
一義金ハ八月三十日ヲ限リ其郡市教育會ヘ差
出サルベシ
一義金ノ領収證ハ別ニ差出サス本會雜誌ニ掲
載シテ之ニ代フ
明治廿九年六月
宮 城 縣 教 育 會 中 央 部
汽船三陸沿岸航海開始廣告
今回三陸沿岸非常ノ災害ニ付テハ救助品及商品
旅客等送旅ノ便ヲ謀リ弊社船千年丸ヲ以テ荻濱
ヲ起点トシテ三陸沿岸之各諸港ヘ凡ソ一ヶ月間
往復航海爲致東京横濱石巻鹽釜及荻濱ヨリ該地
方行ノ荷客ハ運賃現拂トシテ普通運賃定額ノ半
額ヲ以テ（但シ船客ハ往復航共半額ナリト雖モ
荷物ニ限リ復航即チ荻濱ヘ歸港ノ節ハ普通運賃
ノ全額ヲ申受事）廻送御引受可申ニ付此段廣告
候也
但シ東京横濱ト該地方往復ノ荷客ハ荻濱ニ於
テ定期航ト接續ノ事又三陸沿岸ニ於テ荷物ノ
受渡ハ本船千年丸ニ於テ可取扱事且ツ宮古ハ
宮古問屋組合釜石ハ昆野廣三郎方ニ於テ荷客
取扱致サセ其他ノ箇所ハ千年丸ニテ直接取扱
候事
日本郵船株式會社
明治廿九年六月 石 巻 支 店
千年丸寄港地ハ其都度廣告可致候ヘドモ初航
トシテ來ル七月一日前四時荻濱出帆大船渡、
釜石、大槌、山田、宮古、久慈行ノ筈
七 月 課 題
大海嘯紀事 （体随意）
右吟稿送附期限七月十日
仙臺市二日町（奥羽新聞社内）
廿九年六月 仙 臺 吟 社
廣告
今般三陸被害地ヘ荷客ノ運送ヲ便ニセン爲來ル
七月一日ヨリ向フ一ヶ月間千年丸ヲシテ荻濱ト
該被害地トノ間ニ航行セシメ荷客共定額運賃五
割引ヲ以テ取扱候間此段廣告候也
明治廿九年六月廿九日
日本郵船株式會社
石 巻 支 店
右ニ付弊社ニ於テモ該地方行荷物艀賃ハ石巻荻
濱間及鹽釜荻濱間共惣テ五割引ヲ以テ取扱候事
石巻艀合資會社
海嘯御見舞
謹啓今回海嘯ノ慘害ニ罹ラセラレタル各地方ノ
諸君ヘ早速參上一々御慰問可致ノ處御混雜ノ際
却テ御迷惑ト奉存候ニ付乍畧儀新聞紙上ヲ以テ
一片ノ御見舞迄申述候敬具
刈田郡鎌先温泉
温泉主旅 館 一 條 一 平
旅 店 村 山 卯 平
仝 鈴木幸右エ門
仝 木 村 な を
海嘯御遭災御見舞
拜啓本月十五日夜御縣下ニ於テ大海嘯ノ爲メ被
害頗ル慘?ヲ究メ候由實ニ感泣之至リテ不堪依
テ御得意様方御銘■御見舞可申上之處御名■伺
洩モ御座候ニ付乍畧儀以新聞紙御見舞申上候敬
具
東京市日本橋區本銀町二丁目五番地
火藥類免許商 獵銃製造所 川口龜吉
七月一日午后三時於仙臺座開會
海嘯救恤 慈 善 音 樂 會
上等券 金 一圓
入塲券 中等券 金五十錢
並等券 金 拾錢
仙臺基督教徒有志者
海嘯無難御休神ヲ乞フ
永 沼 秀 麿
辱知諸君
海嘯ニ付四方辱知諸君ノ御見舞ヲ辱フシ恭ク奉
拜謝候目下公私繁錯之塲合一々御答禮相及兼乍
略儀茲ニ新紙上ヲ以て御禮申上候
十五濱村雄勝
明治廿九年六月廿六日 小田 道夫
小田 鎭平
小田 忠平
幸ニ海嘯ノ難ヲ避ク御安心ヲ乞フ
在十五濱村雄勝
明治廿九年六月廿五日 佐藤 健夫
辱知各位
廣 告
Array原籍不明女兒死体年齡四五年位
人相書
一身丈三尺三寸 一眼鼻口等ノ皮肉脱落相貌ヲ
存セス 一頭髪三分刈但裸体ニテ所持品ナシ
右ハ本月廿四日桃生郡宮戸村海岸ヨリ凡三里程
沖合ニ死体漂流シアルヲ見當り拾揚ケタルニ付
檢視濟ノ上假埋葬取計置候條身寄ノ者又ハ心當
リノ者有之候ハヽ當役塲へ申出へし
明治廿九年六月廿五日
宮城郡七ヶ濱村役塲
原籍不詳 男 死体一人 年齢六十五年位
一丈五尺一寸位 一顔丸キ方 一口大キ方
一鼻低キ方 一耳大キ方 一眉薄キ方
一全頭半ハ兀ケ白髪ノ斷髪 一眼並方
一歯上下共ニナシ
但裸体ニシテ死後經過一週間位
右ハ本年六月二十四日牡鹿郡荻濱村字田代濱沖
合ニ漂流シアルヲ發見ス依テ制規之通鮎川村ノ
字長渡濱共葬墓地ニ假埋葬取計置候間心當リノ
者ハ當役塲ヘ申出ラルヘシ
明治廿九年六月廿五日
宮城縣牡鹿郡鮎川村役塲
日本鐵道株式會社ト貨物運送特約致候ニ付東京
發福島以北靑森間各驛行貸切貨物ニ限リ七月ヨ
リ九月迄三ヶ月間特別割引運賃實施仕候
運賃表ハ御案内次第直ニ御送可申上候
明治廿九年六月
東京市神田區仲町（秋葉原）
内國通運株式會社
電話六三〇番 神 田 支 店
東京市日本橋區室町二丁目
仝 神 田 支店
電話六二九番 室町出張所
（欄外にも有り）