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    宮 城 縣 報

   文   苑

   畏くも海嘯にかかる慘?斎察として東園
   侍從遣されしと承りて 眞山 雲外
さらはれし磯邊に殘る蜑の子の こゑや雲井に
きこえあけけん
   公にひまなきあまり  小笠原尚弼
めくり逢てきかまほしさの言葉を 隔てしもの
は掛る大浪
   老の傷は       鴫原 行雄
言葉にかきりあれはかけふにあひて うさ悲し
さもいはれさりけり
   小笠原君の掛る大浪とありけるかたしけ
   なさに        岩村 一簑
大浪のかかる浮瀬にさまよふを とはるるけふ
そかしこかりける
   海嘯をなけきて
仇浪の海傳して里人の 藻屑となりしあとそ悲
しき
きのふみし笘屋はいつこしら浪の あとを殘し
し音そ淋しき
子をいたき親をせおひて遁れんの あらまし見
ゆる人の骸
みなし子の母を尋るこゑ聞は 浪のよる々々寐
られさりけり
浪越し磯邊の松にさまよひて ねくら尋るむら
からすかな
   病院引揚けの折によむ
夫に子に別し人のけふは又 たのむ命の親に別
れん