雜 報
本社募集 ●大 海 嘯 被 害 者 救 恤 義 捐 金
歩兵十七聯隊第二大隊有志(前號接續)
金七錢宛 第八中隊附
一等卒 北楯勝次郎 一等卒 浦山 平作
金五錢宛
二等卒 金内 辰吉 二等卒 難波 傳吉
仝 松田 齊助 仝 菅原 亥平
仝 庄司久八郎 仝 高橋 慶助
仝 和合金治郎 仝 吉泉 助藏
仝 門脇 庄吉 仝 畠山勘太郎
仝 三浦 善治 仝 鈴木 元吉
仝 伊藤 連八 仝 高橋 忠吉
仝 朝倉 玄龍 仝 遠藤 重作
仝 村川源治郎 仝 金田 義平
仝 千葉 善吉 仝 吉田 吉治
仝 高橋 淺吉 仝 石川 直吉
仝 荒井 作松 仝 藤井喜三郎
仝 田村 久吉 仝 大越仙之助
仝 小田島助治郎 仝 山川 昇
仝 小笠原岩藏 仝 細谷金治郎
仝 森谷直治郎 仝 鈴木德次郎
仝 千葉辰次郎 仝 佐藤 又七
仝 進藤彦次郎 仝 佐藤 丑藏
仝 工藤芳三郎 仝 佐藤甚右エ門
仝 服部 長藏 仝 佐藤專太郎
金拾五錢宛
士官候補生吉田 喜郎 士官候補生奥村 惠
仝 宮田 正次 仝 蓮實 重雄
仝 那須太三郎 仝 德田與之丞
仝 中村 正悌 仝 松本五左エ門
仝 笹間 政吉 仝 熊谷惣次郎
仝 漆戸 茂治 仝 氏家 廣見
仝 藤田 勉 仝 淸水 新藏
寄 書 僻論ヲ駁ス 砂澤 丙喜治
城北隱士なる者咄々怪事と題し國民新聞に書を
寄せて三陸海嘯の際聖影を保護ししものあるを
各新聞記者が奇特なり感ずべしと附記したるを
解する能はすと論ぜり其論旨は君の寫眞は尊ふ
べし然れとも君の臣たる一國民の性命は更に大
に尊ぶべし臣にして徒らに君の寫眞の爲めに其
性命を擲たば何を以て忠を生きたる君に致すべ
きか(中略)寫眞は再製し五製し十製すべし云々
と嗚呼これ公論といふを得べき乎何ぞ其道理を
辨ぜざるの甚しきや盖し隱士は一葉の寫眞と一
國民の性命との輕重を以て聖影保護の件を論斷
せんとす是れ妄而已凡そ孝といひ忠といひ其他
有ゆる道義の因て社會に生ずる根源は健全なる
感情と健全なる理性とに存せり仁といひ義とい
ひ愛といひ慈といふ皆然らざるは莫し凡そ人の
眞情より發露する行爲の前には貴重の生命を抛
つこと往々あり是れ天性なり至誠なり健全の至
情激するに至らんか貴重の生命何のものかは若
し其れ隱士の論の如く生命の貴重を先にして萬
事を論ぜんか惡病を患ふる老父の傍には其子看
病せざるべし聯隊旗を奪はれざらんとして兵士
は奮戰せざるべし又凡そ世の老耄者は自ら世に
薄遇さるる樣にならざる可からず而して世の靑
年者は大に世に好遇されざるべからず是れ豈に
道理ならんや、されば隱士の眼よりは親の形見
を愛重する孝子も古物を保存せんとする國粹者
も皆馬鹿物と見ゆべし又隱士の論を推擴せんか
世には美もなく善もなく落寞寂寥の境とならん
盖し聖影を一片の寫眞と見るは非なりこれを保
護ししものを論ずるに單に生命の貴重よりする
は最も非なり隱士請ふ再思せよ
廣 告
原籍不明
一溺死者 男死体一人年齢不詳
一全身腐敗シテ相貌ヲ存セス但着服ナシ
右ハ本月五日牡鹿郡鮎川村字長渡濱南沖合ニ於
テ漂流シアルヲ發見拾揚ヶ歸船ノ旨届出ニ依リ
檢視濟ノ上本村共葬墓地ヘ假埋葬取計置候條心
當リ者有之候ハヽ速ニ當役塲ヘ申出ラルヘシ
明治廿九年七月九日
宮城縣宮城郡七ヶ濱村役塲
廣 告
原籍不明
一溺死者 男死体一人年齢不詳
一全身腐敗シテ相貌ヲ存セス但着服ナシ
右ハ本月六日本村花淵濱沖合字大根近傍ニ於テ
漂流シアルヲ發見拾揚ヶ歸船ノ旨届出ニヨリ檢
視濟ノ上本村共葬墓地ヘ假埋葬取計置候條心當
リ者有之候ハヽ速ニ當役塲ヘ申出ラルヘシ
明治廿九年七月九日
宮城縣宮城郡七ヶ濱村役塲
廣 告
原籍不明
一溺死者 男死体一人年齢不詳
一全身腐爛シテ相貌ヲ存セス但着服ナシ
右ハ本月七日本村松ヶ濱字籠ノ濱ト稱スル海岸
ヘ漂着セシヲ發見届出ニ付檢視濟ノ末本村内共
葬墓地ヘ假埋葬取計置候條心當リノ者有之候ハ
ヽ速ニ當役塲ヘ申出ラルヘシ
明治廿九年七月九日
宮城縣宮城郡七ヶ濱村役塲