文 苑 海 嘯 藤 呉仄
奥の海のつなみにあれし浦々々はよそのみるめ
も哀なりけれ
今よりは何をつなてにとりすかりすなとりやせ
んあはれ蜑の子
うちさわく浪の音きけは本よしの朝つのつなみ
おもひこそやれ
うなゐ子か母の乳房にとりすかるひまもあら浪
のさそひ行かな
足引の山松かえに蜑小舟かかるつなみの高さを
もみゆ
浪あれて雨のふる夜はたすけ舟よふこゑ聞ゆ奥
の海原
わたつみのなきたるみても蜑の子はうらさひし
とやおもほひにけん
同 萩澤 古巖
子にわかれ親にはなれて果もなき海に消にし人
そかなしき