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廣 告 汽船三陸沿岸航海開始廣告

今回三陸沿岸非常ノ災害ニ付テハ救助品及商品
旅客等送旅ノ便ヲ謀リ弊社船千年丸ヲ以テ荻濱
ヲ起点トシテ三陸沿岸之各諸港ヘ凡ソ一ヶ月間
往復航海爲致東京横濱石巻鹽釜及荻濱ヨリ該地
方行ノ荷客ハ運賃現拂トシテ普通運賃定額ノ半
額ヲ以テ(但シ船客ハ往復航共半額ナリト雖モ
荷物ニ限リ復航即チ荻濱ヘ歸港ノ節ハ普通運賃
ノ全額ヲ申受事)廻送御引受可申ニ付此段廣告
候也
 但シ東京横濱ト該地方往復ノ荷客ハ荻濱ニ於
 テ定期航ト接續ノ事又三陸沿岸ニ於テ荷物ノ
 受渡ハ本船千年丸ニ於テ可取扱事且ツ宮古ハ
 宮古問屋組合釜石ハ昆野廣三郎方ニ於テ荷客
 取扱致サセ其他ノ箇所ハ千年丸ニテ直接取扱
 候事
   日本郵船株式會社
 明治廿九年六月  石 巻 支 店
 千年丸寄港地ハ其都度廣告可致候ヘドモ初航
 トシテ來ル七月一日前四時荻濱出帆大船渡、
 釜石、大槌、山田、宮古、久慈行ノ筈

今回大海嘯ニ付大方諸君ヨリ御訪問ノ惠書ヲ辱
フシ萬謝ニ不堪候當社ニハ被害無之候間御安慮
被下度候猶當社講中及信徒諸君ヘモ此段稟告候

 明治廿九年六月卅日
 金華山小金山神社社務所

廣 告

原籍不明男兒死体年齡四五年位
人相書
一身丈三尺四寸 一眼鼻口等ノ皮肉腐敗脱落相
 貌ヲ存セス 
一着服 木綿堅線赤糸淺黄付ノ燃リ糸入襦袢一
 枚木綿淺黄形付腹巻ヲ着ス
右ハ本月廿九日牡鹿郡金華山沖合ニ死体漂流シ
アルヲ見當り拾揚タルニ付檢視濟ノ上假埋葬取
計置候條身寄ノ者又ハ心當ノ者有之候ハヽ當役
塲へ申出へシ
 明治廿九年六月三十日
   宮城郡七ヶ濱村役塲

廣 告

一溺死者 原籍不明女死体一人年齡三十前後
 一全身腐爛乳房ト頭髪ノ長キニヨリ女体タル
  ヲ知ル
 一上腹部ヨリ頭部ニ至ル皮肉ヲ有スルモ下部
  以下腐敗シテ骨片ノミナリ一四肢ノ皮膚腐
  シテ僅ニ形骨ヲ止ム
右者本月廿七日牡鹿郡鮎川村長渡濱南沖合ニ漂
流シアルヲ見當り拾揚ケタル旨届出ニ付檢視濟
ノ上本村共葬墓地ヘ假埋葬取計置候條身寄ノ者
又ハ心當リ者有之候ハヽ速カニ當役塲へ申出ラ
ルヘシ
 明治廿九年六月廿九日
   宮城郡七ヶ濱村役塲

  海嘯御見舞

謹啓今回海嘯ノ慘害ニ罹ラセラレタル各地方ノ
諸君ヘ早速參上一々御慰問可致ノ處御混雜ノ際
却テ御迷惑ト奉存候ニ付乍畧儀新聞紙上ヲ以テ
一片ノ御見舞迄申述候敬具
      刈田郡鎌先温泉
   温泉主旅 館  一 條 一 平
      旅 店  村 山 卯 平
      仝    鈴木幸右エ門
      仝    木 村 な を

幸ニ海嘯ノ難ヲ避ク御安心ヲ乞フ
在十五濱村雄勝
明治廿九年六月廿五日 佐藤 健夫
辱知各位

海嘯ニ付四方辱知諸君ノ御見舞ヲ辱フシ恭ク奉
拜謝候目下公私繁錯之塲合一々御答禮相及兼乍
略儀茲ニ新紙上ヲ以て御禮申上候
      十五濱村雄勝
 明治廿九年六月廿六日  小田 道夫
        小田 鎭平
        小田 忠平

 海嘯無難御休神ヲ乞フ
     永 沼 秀 麿
  辱知諸君

廣 告

原籍不明女兒死体年齡四五年位
人相書
一身丈三尺三寸 一眼鼻口等ノ皮肉脱落相貌ヲ
 存セス 一頭髪三分刈但裸体ニテ所持品ナシ
右ハ本月廿四日桃生郡宮戸村海岸ヨリ凡三里程
沖合ニ死体漂流シアルヲ見當り拾揚ケタルニ付
檢視濟ノ上假埋葬取計置候條身寄ノ者又ハ心當
リノ者有之候ハヽ當役塲へ申出ヘシ
 明治廿九年六月廿五日
   宮城郡七ヶ濱村役塲

日本鐵道株式會社ト貨物運送特約致候ニ付東京
發福島以北靑森間各驛行貸切貨物ニ限リ七月ヨ
リ九月迄三ヶ月間特別割引運賃實施仕候
運賃表ハ御案内次第直ニ御送可申上候
 明治廿九年六月
  東京市神田區仲町(秋葉原)
    内國通運株式會社
  電話六三〇番  神 田 支 店
  東京市日本橋區室町二丁目
    仝  神 田 支店
  電話六二九番  室町出張所