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工事費国庫補助は  八割五分と決定   他の一割五部は低資借入    罹災地住宅費も融通

震災復旧土木事業打合せのため上京中の伊藤宮城県土木課長は内務省議の査定並、大蔵省議の決定による議会同附案を見て二十二日帰県したが工事費に対する国庫補助は八割五分、他の一割五分は低資の五ヶ年据置、十五ヶ年賦償還、利子は金額国庫補給でこの外上京中知事が創立した罹災地の住宅造成費に二万円の低資を融通される事になったこと等につき伊藤土木課長は左記の如く語る
 災害土木事業の復旧は県工事八十八ヶ所四十八万二千五十円、町村工事二十八ヶ所六万四千三百四十三円、合計百十六ヶ所五十四万六千三百九十三円で、県町村の何れの工事に対しても国庫補助は八割五分で負担の一割五分は五ヶ年据置、十五ヶ年賦利子全額国庫補給の低資が融通されるが、これで県下の土木復旧工事は十分出来る
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 知事は上京中、罹災地の住宅復旧と敷地の関係から従来低地の住宅を高地に設けさせる計画を樹て、それが宅地造成費の低資を要望した結果約二十万円配当される事となった、被害者一千二百八十戸に対し一戸平均百六十円見当に貸付けることが出来る(五ヶ年据置十五ヶ年賦、利子全額国庫補給)県は罹災町村に土地区画整理組合を設ける方針であるが目下内務省都市計画課で研究して貰っている
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 時局匡救事業の町村工事に対し既に割当の分に更に八万円増額割当てを受けた、これは漁船漁具を失ったもので生業に因るものを従業せしめる方針である

土木関係分  震災復旧事業

別項議会に提出された震災臨時事業中、土木関係は左記の内容である。
  県 工 事
 種別  ヶ所数   工事費
 道路  二六  一五三、五〇〇
 橋梁   五   一一、五〇〇
 河川   二    五、五〇〇
 海岸堤防五五  三一一、五〇〇
 合計  八八  四八二、〇五〇
  町村工事
 道路  一二   三二、五〇〇
 橋梁   二    一、八〇〇
 河川   一    二、〇〇〇
 海岸  一三   二八、〇〇〇
 合計  二八   六四、三四三
 計  一一六  五四六、三九三

宮城県の要求の  一割減で喰止めた   低資要求額を加え三百廿七万円    運動の経過を語る松山県議

震災善後措置につき県会議員を代表し政府筋へ運動のため上京した委員中最後まで滞京運動を継続した伊丹県会議長、松山平兵衛両氏は二十一日三政党総裁及び菅原、内ヶ崎両支部長を訪ねて尽力の謝礼を述べ、伊丹議長は風邪に冒された関係もあり二十三日の議会提案を見て帰県する予定で、独り居残り松山県議は二十二日朝帰県したが、同氏は運動と決定の経過を左記の如く語る。
 十八日の大蔵省主計局査定は農林、内務両省査定に対し、三四割方の削減であったが十九日猛烈な復旧運動を試みた結果、県要求の約一割減で喰止め、廿日閣議決定したが本県の災害復旧費総額は低資要求額を加え三百二十七万円でこの中国庫補助は百五万円、全額利子補給の低資は四十一万九千円、三分二厘の利子を要する普通の低資は百七十五万六千円、一般県費の支出を要するもの四万七千円である利子補給に関係なき低資融通は大蔵省預金部より借入れるものであるが、災害復旧と重大な関係あるので知事は目下これが借入れに努力している、岩手県の要求も健全な宮城県の調査を基礎に査定された、只岩手県は凶作、銀行問題、津浪等で同情を受け、補助率、補給額等本県と均衡を失する様な傾向あったので三辺知事はその理不尽と、本県財政の内容を説き、県税及町村税の利子補給に約十万円を認められた事はその努力を大いに多とすべきである、更に適地移転の宅地造成費に十九万五千円の低利資金が認められた、最後に自分個人の意見であるが、これが災害復旧関係の臨時県会を招集される事を希望すると共に、その臨時県会に「将来の防難設備を国家の力で実施される事を希望する」意見書を提出して恒久的対策を講じたいと考える、尚利子補給以外の低資は全部五ヶ年据置十五ヶ年賦で三分二厘である。

震災救済、復旧費  六百三十万円 公債支弁   きのう院内閣議で決定    二十四日本会議上程

政府は二十二日院内にて閣議を開き三陸地方震災救済並に復旧に要する経費六百三十万円を公債発行によって支弁することに決定しこれに関する追加予算案並に公債発行に関する法律を正式に決定し直ちに議会提出の手続きをとり二十四日衆議院本会議に上程することとなった。