優渥なる 聖旨と共に 御下賜金の伝達式
畏き辺りより今回の三陸地方震災地への御下賜金伝達のため十九日午後八時気仙沼に来町した二見宮内庁内務■長は二十日午前八時県指導船大東丸に便乗、唐桑村小鯖に至り同部落の復興状態を視察の上、宿部落に引返し、同十時より唐桑村役場において男虎助役に御下賜金を伝達して再び大東丸で、只越部落に赴き、事情視察を了えて午後二時気仙沼に帰町、同二時半より気仙沼警察署■上、会議室において大島、鹿折、階上、大谷の各村長に
優渥なる聖旨を奉体し速に復興に至る様努力すると共に、宏大なる皇恩を被害者に普く浴せしめる様速かに取計られ度し
と望んでそれぞれ御下賜金を伝達これに対し、岩村大谷村長謹んで答辞を述べ、三時滞りなく伝達式を了った、なお二見内務部長は気仙沼署に少憩の後、自動車で歌津村、志津川方面に出発した(写真は気仙沼署に於ける伝達式)
復旧工事進む 女川海岸
牡鹿郡女川町の災害復旧工事は着々進んで居り床上浸水二百五十戸の衛生その他善後策も予期以上に行われ、目下工事中途の海岸埋立地と小乗浜への海岸道路工事も一時は意外の損害を蒙ったが、昨今では全く復旧し工事をすすめている。(写真復旧工事進む女川海岸工事)
物凄い 海嘯の力 打ち揚げられた巨岩に 部落民新たな戦慄
今回の三陸地方を襲った海嘯の暴虐なる「力」は、犠牲となった死傷者数、流失家屋等の凄惨を極めた有様によっても判ることだが、如何に物すごい「力」を以て人畜を一呑みにしたかを物語る面白い一証左がある。
× ×
本吉郡唐桑村字■浜部落海岸には同海嘯のため高サ四尺余、経六尺余もあり重さは量りようもないが一千貫以上もあると思われる巨岩が打ち上げられているが、表面は藻、海藻類で白色を呈し、貝殻及び微生物の附着跡が確然としている点からみて同部落沖合の海底で微動もせず横たわっていたものらしい。
× ×
寄せては返す磯浪に足元を洗われながら文字通り渚に像立している巨岩を目のあたりにして、部落民は今更底知れぬ海嘯の「力」に新らしい戦慄を感じている(写真は同巨岩)
郷軍慰問金
桃生郡在郷軍人分会連合会では三陸海嘯慰問金募集中のところこの程大体募集済みとなったので、来る二十六日分会長高橋騎兵中尉が最も惨害の甚だしい十五浜村訪問親しく慰問する事になった。
水稲種子籾 を罹災地へ
栗原郡農会では本県社会課の依頼に依り震災地の農家に水稲種子籾を送ることになり陸羽十二号二十石取纏め中である。