聖旨を奉戴して 御下賜金を有効に 災害復興に努むべし 震害地十七町村長に告諭を発す
宮城県では二十日震災地町村十四ヶ所において罹災地十七町村長に対し御救恤御下賜金の伝達式を挙行したが三辺知事は当日御下賜金伝達を受ける十七町村長に対し左記告諭を発した
告諭第二号
亘理郡坂元村長、名取郡閑上町長、桃生郡十五浜村長、牡鹿郡女川町長、荻浜村長、大原村長鮎川村長、本吉郡志津川町長、戸倉村長、十三浜村長、歌津村長、小泉村長、大谷村長、階上村長、鹿折村長、唐桑村長、大島村長
本月三日県下震災ノ為損害不尠趣被聞食、至仁至慈ナル
天皇、皇后両陛下ヨリ御救恤ノ思召ヲ以テ金八千円御下賜アラセラレタルハ恐懼感激ニ禁エザル所ナリ、乃チ茲ニ其ノ伝達ヲ行ウベキニ付各位ハ此ノ鴻恩ニ感銘シ各罹災者ニ対シ迅速交付ヲ了スルト共ニ各拝受者ヲシテ斉シク克ク優渥ナル
聖旨ヲ奉体して御救恤金ヲ最モ有効適切ナル方途ニ利用セシメ以テ自奮自動家運ノ挽回ニ努メ進ンデ地方災害ノ復興ニ力ヲ致サンコトヲ記セラルベシ
昭和八年三月二十日
宮城県知事 三辺 長治
災害地向け 物品取扱 漸く少くなった 宮城丸引続活動
宮城県災害救護石巻出張所では昨今ようやく災害地向けの物品取扱が少なくなったが、十八日現在同所から各災害地に配給したものは実に十三万二千余点に上っている、この配給に全力を尽している渡波水産試験場指導船宮城丸は二十五日まで活動する訳であるが桃生郡十五浜村方面及び本吉郡十三浜村方面の配給品は二三日隔きに一回づつ配給することになっている、殊に本吉郡十三浜村の配給については種々協議を■しているので三日に一回位づつ配給しその他の各町村には毎日引続き配給すると。
お友達の難儀に 幼き児らの同情金 涙をさそう添手紙のかずかず
三陸沿岸の震火災、津浪の惨状を子供の新聞で聞いた全国各地の子供等はわれ等のお友達の御難儀とばかり美しい同情金を仙台放送局に送って来た、それを本社に寄贈方を託されたが左は子供等の同情にみちた添手紙である。
本当に少々でおはずかしいのですがクラスの仲好だけお使のはしを集めたのです、私等にはどうして上げたらよいか判りません、放送局の伯父様にお願いたします(金四円十六銭、東京大森第三小学校五年生井上民子外九名)
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マコトニスコシデスガ、コレハワタクシノチヨキンソウチカラオワケイタシマス、ワタクシモ四月カラ一ネンヘアガリマス、トウクノオトモダチヘ(金二円静岡県清水市北矢部荻原和代)
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私は正月からいただきましたおこづかいが七十銭たまりました 子供の新聞でつなみ、地震のお話、御本もかばんもながされてこまっていらっしゃいましょう、ほんのすこしですがお上げして下さい(東京芝区南櫻小学校四年山田晴子)
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此のお金はあまり少しで御座いますが私達がお母さんからいただいたお小使をためておいたのです御局から三陸のお友達へ送ってあげていただきとう御座います(金二円、東京小石川区小日向台町金田栄子外三兄弟)
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コレハワズカデスガ、ツナミニオソワレタ、キノドクナオトモダチニアゲテ下サイ(金一円、東京淀橋第一小学校二年生水戸キク子)
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お正月のお年玉をためて、まんしゅうの兵たいさんにいもんぶくろをつくって上げたのこりのお金ですが弟の分も一しょにして一円二十銭だけお送りいたします、弟は六つでやすゆきと申します(東京牛込区江戸川小学校二年生前田玲子)
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私達姉妹は子供の新聞をお聞きして美しい姉妹の行いに感心してしまいました、これは僅かでございますが震災地の気の毒な人々に上げるたし前にして下さい、それから私達の名前は決して発表なさらないようにお願い致します(金五円、群馬県藤岡高女一年細野登美枝、小学六年同一枝)