漁村復興は船から 二ヶ月中に一千艘建造 石巻町の当業者と松本課長懇談 宮城県外から船大工招聘か
罹災地漁村復興の緊急事業とされている小船建造につき宮城県水産課では関係町村に築造能力を照会したが、材料も船大工も地元で間に合う旨回答して来た、但し県では最大限度二ヶ月中に一千艘を建造する能力が地元にあるかどうか頗る疑問とされるので松本水産課長は十六日午後石巻町に至り全県下造船能力の四割を占める石巻地方の造船業者九名を集め造船能力と奉仕的作業につき懇談したが場合によっては県外より材料と船大工を呼んで一千艘小船建造の実を挙げる事になった。
小学校児童 罹災者数 二千三百五十名 教員は廿三名
今回の震災により小学校児童の罹災者数は二千三百五十六名で、内死亡二十三名、負傷十八名、行方不明十七名、家屋倒潰四百戸、家屋流失四百九十三戸、浸水家屋一千四百八戸で罹災教員の数は二十三名である。なお罹災児童の学年別数は左記の通りである。(括弧内の数字は罹災程度の甚しきもの)
◇尋常科 一学年三八八名(■三一名)二学年三二四名(二七七名)三学年三■九名(二九九名)四学年二九八名(二五六名)五学年三一三名(二七六名)六学年二六八名(二一四名)
◇高等科 一学年二五六名(二二三名)二学年一七〇名(一五二名)合計二、三五六名(二、五〇名)
沿岸施設の 充備を期す 宮城県の新方針
伊藤宮城県土木課長は震災による土木復旧工事百万円案計画を携え十五日夜上京したが、県では今回の震災に鑑み、海嘯の被害箇所を従来の設備以上に堅固に且設計は耐震関係を充分に考慮して拡充しこの外、従来叫ばれている■沿岸道路の貫通をはかり不慮の災害時に備える方針である。
薬剤師会の 救護活動 薬品を満載し て罹災地へ
宮城県薬剤師会では今般役員会の決議に基き罹災者慰問救護に大活動を開始する事になり十四日来各委員徹夜の上感冒薬下痢止薬、健胃薬及び外用消毒薬等各参千袋を調整しこれを自動車に満載し罹災地に急行、病気に悩める人々に洩れなく配給することになり
大内、本田の両理事付添い十六日払暁折からの雪風を冒して救護薬剤師団の旗を翻えし牡鹿、本吉、亘理等の各郡歴訪の途に上った。
無料点燈申請 唐桑村で協議
本吉郡唐桑村では今回の海嘯の罹災者部落以外の村全部に対し電燈の無料点火を受くるよう知事に申請すべく協議中であるが、これは不景気に加え今回の災害により漁船漁具を失い村民一般に収入激減したという理由からである。
救護を感謝 宮城、岩手両県会 議員赤社訪問
三陸地方震災救護を感謝せる同地方代表および宮城、岩手県会議長議員一行は十六日日本赤十字社を訪問救護派遣に対する感謝の辞を述べるところあった。
寒い海岸に円陣を作り 悲しき老婆団の念仏 十一日から死体一個も発見されず 谷川、鮫の浦の津浪哀話
去る海嘯で家屋と共に押流された牡鹿郡大原村谷川、鮫の浦両部落の行方不明のものはなお二十六名あり、漁業組合員総出で附近海底を捜索中だが十一日から一個の死体も発見されないので附近村民の老婆は念仏講を組織し海岸に出て念仏を唱えている様は一人哀れである、なお沿岸警戒中の石巻署貞山丸は十六日一まず帰署した。
一名行方不 明他は死亡
本吉郡大島村横沢二〇三漁業村上彦吉(四三)同村長崎一六一漁実村上鶴吉(四三)の両名は本月三日の海嘯の際岩手県釜石町にいたが、彦吉は行方不明となり鶴吉は死亡したことが十六日に至って判明。
紙を売って 罹災地へ涙の義捐金 全国学童の同情続々
三陸罹災地に対する全国各地の同情、慰問金品はその後続々と集って来るが少年少女らの同情も真に涙ぐましものがある。左にあげたのは各地小学校から本社に寄託された美しい同情の結晶の二三である。
私は只今横浜市神奈川区平沼尋常高等小学校の五年生で御座いますが先生より常に二宮先生の教えの推読ということについてお話を伺って居ります、日本中の小学生の方は皆私達のお友達で御座います、私は前からためて置いたお金で鉛筆十ダース、ゴムケシ十個を買いお友達に私の心がとどくようにお送り致します。この品で勉強してりっぱな日本国民になって下さい(泉美佐子)
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僕達が何も知らないで、ぐっすり眠っている間に東北地方では地震につなみにたくさんの方々がなくなったり、家が流されたりしたこをラジオで知ってびっくりしました、このお金で何かほんの少しでもなぐさめて上げることは出来ないでしょうか、すみませんが小父様におたのみします(義捐金一円十九銭、南国の兄弟より)
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この本は古くてきたなくなりましたがやくに立ちましたら小学校の皆様へあげて下さい(教科書十九冊、福岡県直方町中西信栄同幸子)
以上はラジオで聞いたとて仙台放送局を経て本社に、
私は荒町小学校の生徒でございます。お正月みなさんからいただいたのをちょきんしておったのです、御災難にあった生徒さんへえんぴつでもかって上げていただきとうございます(金二円匿名)
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刈田郡■田村平沢小学校六年生中慈善少年団二十名が心ばかりのお見舞金を出しましたから小学校で学用品がなくて困っている生徒に学用品を買ってあげて下さい(金一円二銭)
社長さんお願い致します、これは私たち三人が七日間紙を売って三円十銭もうけたお金です。震災津浪のために困っているお気の毒な私のお友達に少しばかりですが学用品を買って上げて下さい(北五第一清水あさ子、小川盆子、東二第四清水みさ子)
罹災者義捐金(本社寄託)
金五円朝鮮咸北区■駅鈴木辰蔵、金五円弘前市代官町山田耳鼻咽喉科医院沼倉武雄、金一円伊具郡角田町小田小学校三年生大内八千代金一円二十銭角田■東少年団遠藤好、遠藤栄一、松浦養三郎、芳賀■三郎、大宮■■、遠藤弘外五名金十円遠刈田温泉蔵王野球倶楽部金二円栃木県塩原町微笑会一同、鉛筆十ダース、ゴムケシ十個横浜市神奈川区平沼町平沼小学校五年生泉美佐子金五円桃生郡■来村鹿■青年向上会、金十円鳴子料理屋組合内芸妓酌婦一同、金三十五円十銭古川裁縫学校職員生徒一同、金三円志田郡高■村農家組合青年部、金十円遠田郡小牛田町真證寺内真證寺観音講一同代表一田村■孝、金二百五十円日本コロンビア蓄音機株式会社、金二十五円日本コロンビア蓄音機株式会社社長エル・エッチ・ホワイト、金三円十銭北五番丁高等小学校第一学年清水あさ子、小川盆子、東二番丁小学校第四学年清水みさ子金参拾円弐拾四銭原町青年向志会東岡学園代表櫻井■蔵