毎日仙台駅に 義捐品の山 醤油、木炭、白米、毛布など ドンドン事務所へ
宮城県庁震災義捐品取扱事務所は六日以来仙台市清水小路合同運送の北隣に回転して各地から集って来る義捐品の取扱を行っているが合同運送は事務所を提供し市内から被害地へ送る小口義捐品をトラックで集める外人夫を提供して荷送り一切を引受ける等涙ぐましい奉仕振りであり鉄道方面もこれに劣らず真剣な奉仕振りで頗る事務系等の能率を上げている、ここで取扱った義捐品は全国各地から寄せられた同情品で十四日までに罹災地に発送したものは
石巻出張所宛一千八百四十五梱気仙沼出張所宛七百六十八梱、志津川出張所宛七百八十一梱、亘理出張所宛五十梱
これ等の大部分は衣類雑品等であり係員は毎日仙台駅に義捐品の山を見て感激している震災地は糧食の欠乏と聞いて、十四日は山口県の篤志家から白米四斗入二十叺を送ってくれた外千葉県の同情者から醤油樽が到着したこの外木炭六百俵、毛布五十枚入り十■等大口義捐品が今なおドンドン届けられている。
三名の死体 荒沖合で発見 掃海船最初の引揚げ
水難救済会宮城県支部ならびに日本海員液済会宮城支部の宮城県下海嘯による行方不明者捜索船は十四日も早朝から出動したが、中桃生郡十五浜村荒海岸付近を掃海作業中の第二区捜索船は午後一時三十分頃荒部落沖合海底から三人の死体を発見した、これは掃海作業開始以来はじめての発見で、飯野川署から係官出張検視し身許調査の結果十五浜村荒七四長作四男高橋熊次郎(二五)同字一五ノ一伝左衛門孫高橋圭吾(六)と判明した。
十五浜村の配 給一部中止 人夫使役継続
桃生郡十五浜村では本月三日から十二日まで罹災者四百三十一戸を救助していたが、十三日村会を開いて協議の結果、村税一戸分(十八円)を納むる者、官公吏、一戸分以下の者でも床上、床下の深水戸数百八十一戸は救助の必要がないものとして配給を中止し、十三日からは二百五十戸に対してのみ配給することとなった、なお配給中止の者の中でもその生活に応じ人夫として使役し一日五十銭の割で白米を支給することに決定、実施している。
震災地に急航中 時化に襲われ漂流 東京須田廻漕店の大黒丸 船長以下五名姿なし
三陸地方の震災地に向け復興バラック材料及び鉄材を満載して去る七日東京を出帆した京橋区湊町二ノ七須田廻漕店所有大黒丸(六〇トン)は途中時化の為遭難し茨城県鹿島郡軽野村日川海岸に漂流していることが十四日判明した、船は大破しているが船長志田■次郎(三九)以下乗組員五名の姿が見当らず目下極力捜査中である、同船は出版以来悪天候に過いされ八日午後神奈川県浦賀港に避難、同夜出帆したが再び時化におそわれ九日正午千葉県勝浦に寄港したが積荷の性質から志田船長は翌十日悪天候を冒して出港、前記鹿島沖で十一日夜遭難したものらしく浅草区今戸町二の五の実兄松浦勇次郎氏方には妻とみさん(三二)が長男慎夫(三ツ)を抱き不慮の災に眼を泣き腫らしていたが仏壇に線香を燻らしていたのは気の毒であった
震災で働いた 伝書鳩の偉力 死戟された第二師団 軍用鳩班を復活する
今次三陸地震津浪に依って交通通信機関の破壊、途絶された災害地の状況通信に抜群の偉功を樹てたのは伝書鳩で、岩手県では第八師団鳩班飼育の軍用鳩が、宮城県下では気仙沼所及び大島村巡査駐在所飼育の伝書鳩が、非常な好成績を示して、その働きを賞讃されている。第二師団でも当時災害地視察に赴いた山田参謀など鳩の活躍を見て将来補助通信機関としての軍用鳩飼育訓練の必要を痛感して帰ったが、近く第二師団でも中野電信隊で飼育中の軍用鳩約五百羽を取寄せ、これを各隊に分配して訓練せしめることとなった。元来第二師団にも軍用鳩班があり、駐満中使用していたのであるが、内地帰還に際して全部関東軍司令部軍用鳩班に譲って来たもので、今回災害地における伝書鳩の活躍に刺戟されて、第二師団軍用鳩班の復活をはかる訳である。
死体捜索継続 発動機船活動
牡鹿郡大原村谷川の行方不明者は十四日現在で五名、鮫の浦は二十一名であるが、同村漁業組合では毎日七、八艘の発動機船、小舟等を出し組合員三四十名づつ出動附近沿岸の死体大捜査を行っている
労働奉仕の青 年団員雄勝へ
仙台市東二番丁青年団員十二名は菊地団長に引率され十四日午後一時半電■仙台駅発震災最も甚だしき桃生郡十五浜村字雄勝に向った一行は大工十名、トタン職二名で一週間の予定をもって労働奉仕をなすものである。
新聞社主催 の義捐金額
宮城県、仙台市、新聞社等主催の災害義捐金は十三日現在得四万三百八十二円四十四銭に達した。
罹災者義捐金(本社寄託)
金二十円加美郡中新田町東北酒造株式会社従業員一同代表佐藤龍蔵、金五円朝鮮群山■栄町飯盛正好、金三円名取郡岩沼実科高等小学校大野たい子、山下ちよみ、熊谷みの、金二十円東京市芝区白金今里町七七光の村岡崎俊坊、金一円二銭高田独立山砲第一■隊第三中隊宮城県人、金八十銭伊具郡角田町本町三五本町城東少年会本部上田欣弥、金■百 新聞連合社専務理事岩永祐吉、金二十円青葉■年団一同