宮城県金庫内の あり金を吐き出す 一千艘を限度に小漁船建造 十一日、貸付を断行
沿岸地方災害復興への第一歩として宮城県当局はまず小漁船の建造に対し全力を挙げる方針の事は昨報の通りであるが、その具体的方法として、県は一大英断をもって来る十一日被害地方の町村長、及漁業組合長に■印携帯の上、出県せしめ小漁船の建造資金の即時貸付を行う事となり九日通知を発した
貸付金は一艘百円以内一千艘を限度とし資金は無理しで五ヶ年乃至七ヶ年度に均等償還せしめる即ち五ヶ年賦としても百円の漁船一隻建造者は年二十円を償還すれば足りる
県は十一日中に金庫内にあるだけの金をもって貸付け不足を生じた場合は一時借入れをなして補填する方針でこれによって被害漁民は近日中に復興の意気に燃えながら就業し得る訳である。
先ず費用を出して 補助問題は後廻し 三辺知事、信念を語る
十一日の宮城県参事会に提案される復興応救費は昨報小漁船建造費を外左の如く決定した
△小船建造費(一艘百円、千艘分) 一○○、○○○円
△救済費、警備費 四五、○○○円
△稚■共同飼育所 一六、○○○円
△■具 一五、○○○円
△耕地復旧 四七、○○○円
△罹災救助基金、救助費追加 一○○、○○○円
計 三二三、八○○円
以上参事会提案事項に対し三辺知事は語る。
一刻も早く着手しなければならない諸費用のみを参事会に提案することにした。漁船構造その他に関し、国の補助を何割か要求することにするか等のことはこうした際であるから一切あとにゆずって、とりあえず所要額を支出することにした。今度の災害は岩手県が一番大きな打撃を受けているので、宮城県だけ勝手なことをきめて、岩手県の計画なり、要求なりを阻害するという結果になっても困るのでその意味でも補助その他のことは後にゆずっておいていいと思っている。岩手のように大学上京して大衆運動を起■ということもいいが、しからばその基礎はと反問された場合、答弁に窮するというようでは何にもならないので、県当局としては一歩一歩健実に計画を実行していくつもりで此正常確実な要求を政府が容れないということになれば、その時こそ大衆運動にまたねばならないと思う。
小漁船建造費 貸付額 一艘当り
小漁船建設費は十一日三議会終了後直ちに町村長に交附されるとになっているが、其流失ないし全損隻数、建設隻数い、一隻当り建造費貸附額計左の如し。
流失及び全損 建設隻数 一隻当 計
坂元 一五 一五 一五○ 三、ニ五○
大原 二六 二六 一五○ 三、九○○
鮎川 一二 一二 一五○ 一、八○○
女川 八 八 一五○ 一、ニ○○
十五浜 五七 五七 一五○ 八、五五○
十三浜 九ニ 九ニ 三○ ニ、九六○
戸倉 三○ 三○ 一○○ 三、○○○
志津川 三○ 三○ 一○○ 三、○○○
歌津 一○○ ニ○○ 一○○ ニ○、○○○
小泉 三○ 三○ 一○○ 三、○○○
御岳 一九 一九 一○○ 一、九○○
大谷 八五 八五 一○○ 八、五○○
階上 三○ 三○ 一○○ 三、○○○
松岩 一 一 一○○ 九、一○○
鹿折 一五 一五 五○ 七五○
大島 五○ 五○ 一○○ 五、○○○
唐桑 二○○ 二○○ 一○○ ニ○、○○○
計 九ニ○ 九ニ○ − 九九、九一○
宮城県損失額 三百四十二万円 復旧費総額 三百四十七万円 八日夜、県より政府に詳細報告
宮城県では今回の震災による損失額及びこれが復旧に要する所要経費を八日夜政府に報告したがその損失額は総額三百四十一万九千三百三十五円、復旧費総額三百四十七万二千八百八十一円でその内容は左記の如く個人関係の被害とこれが復旧費が最多数を占めている
損失額
種別 県有 町村有 公共団体有 個人有 計
道路其他 六八○、○○○ 一二○、○○○ − − 八○○、○○○
土木関係
船溜其他 六、四七○ 二、一○○ 一二、○六○ 一、七一二、五一○ 一、七三三、一四○
水産関係
耕地関係 − − − 四七、三四七 四七、三四七
肥料其他 − − 五一五 二三八、九一○ 二三九、四二五
農事関係
木材山林 − − − 二、九九○ 二、九九○
関係
電気関係 一二、一四五 − − − 一二、一四五
家屋流失 − − − 五八四、二八八 五八四、二八八
倒潰等
計 六九八、六一五 一二二、一○○ 一二、五七五 二、三八六、○四五 三、四一九、三■五
普及費
種別 県有 町村有 公共団体有 個人有 計
道路其他 四七三、二九二 八二、九五四 − − 五五六、二四六
土木関係
船溜其他 六、四七○ 二、一○○ 一二、○六○ 一、七一二、五一○ 一、七三三、一四○
水産関係
耕地関係 − − − 四七、三四七 四七、三四七
肥料其他 − − 三一五 八七、九二三 八八、二三八
農事関係
電気関係 一二、一四五 − − − 一二、一四五
家屋流失 − − − 一、○三五、七六五 一、○三五、七六五
倒潰等
計 四九一、九○七 八五、○五四 一二、三七五 二、八八三、五四五 三、四七二、八八一
救恤応急策 来る十一日の参事会に提案 宮城県の対策内容
宮城県では理沙一ノ救恤応急対策として罹災救護資金より食費、被服費、埋葬費、小屋掛費、就業費等を支出する事になり十一日■業の県参事会に提案するが、支給標準は大体左の通りである、
△食費 罹災者全部に対し二十九日分
△被服費 倒壊、流失の八割、床上浸水の五割に対し一戸八円づつ
△埋葬費 一人十円づつ
△小屋掛費 一棟六十円
△就業費 罹災者全部に対し一人四円づつ
△治療費は負傷者の八割に対し十日分、一日三円づつ
官公署学校 被害額 宮城県下で総 額二千八百円
宮城県下罹災町村の官公署学校の被害は県保安課で調査したところ九日まで判明した損害総額は二千八百六十六円十銭でその内訳は左のとおり。
桃生郡十五浜村役場一千百円
同村雄勝小学校千六百十五円
同村雄勝巡査駐在所百十六円
牡鹿郡女川町尾浦巡査駐在所三十四円
田畑被害 宮城県農務課 調査判明の分
災害地における田畑の被害は目下県農務課において吏員を■派して調査を急いでいるが大体判明して分は本吉郡階上村の田、浸水五十五町五反歩で塩分の除去作業が非常に困難で本年の作付は見込みなく畑地六十一町一反歩は砂利や石の埋積多くこれ等は何れも六年間の作付は不能と見られ牡鹿郡大原村も田の浸水十四町歩、埋没三町五反歩、同郡鮎川村は埋没田三反歩あり、何れも本年の作付は不可能と見られ調査の結果はこの外にも相当の被害ある模様である。
宮城県事務所 三ヶ所の外に 駐在員派遣
既報、宮城県では災害地方の救護事務の進捗と円滑をはかるため仙台駅前並びに石巻、気仙沼、志津川の三ヶ所に出張所を設け、なお被害甚だしき地方に駐在員を置いたが、一般の人々は災害地方に関する事項につき同所を経由すれば便宜を得る訳である。
△仙台駅前、県出張所(郡庶務課長外八名)
△石巻救護出張所(女川、大原、荻浜、鮎川、十三浜、十五浜)富田文書課長外四名
△志津川出張所(志津川、小泉、歌津、戸倉)加藤商工課長外四名
△気仙沼出張所(唐桑、鹿折、大島、大谷、階上、松岩、御獄)佐藤健康保険課長外四名
以上の外駐在は、唐桑(加藤統計属)小泉(加藤兵事属)歌津村(渡辺土木技手)十三浜(窪田地方課属)大原村(場地保安課属)十五浜村(岩井水産課属)等である。
選挙対策協議 政友会宮城 支部幹部会
政友会宮城支部では九日午後七時から菅原支部長出席の上、緊急幹部会を開き、災害救済、県市議選挙対策等に関し協議する。
東北の災害地救済会 いよいよ近く組織 両院議長その他主唱となって 菅原代議士、知事らと打合せ
関係代議士が実質的中心動力となり徳川貴族院議長、秋田衆議院議長郷日木商工会議所会頭、清浦新聞協会長等が設立発起人代表となり災害地救済会が組織され、此機会に単に目前の■塗的救済のみでなく、過般来問題となっていた東北雪害問題、産業不振、従来の国政の東北地方閑却等の諸問題を一括解決し、そのためには実質上の東北ブロックを結成してこれにあたらんとの意気込みを以って、災害地救済会を組織することとなったが、右に関し三辺知事、地元党幹部等と打合せのため九日朝帰仙した菅原代議士は語る。
東北人は由来災害やら窮迫やらになれっこになっているので、自らはあまり強く感じないようだが、これは実に容易ならぬ事態で、この際に東北関係者は結束して、中方政府に、全国民によびかける必要がある、北海道はあれほどの広い範囲が一つの団体にまとまっているので、中央に対する運動にも非常に偉力があり、かつ効果的である、東北が従来その中に置かれて来た窮迫、それに加えて今日の災害に基く打撃を根本的に救済するには、やはら東北ブロックの圧力を以てこれにあたる必要がある、幸い過日来各方面の有力者を説き少なからぬ同情を以てその賛同を得たので、いよいよ救済会を組織することとなった。多分組織の上は適当な場所に事務所を設け、ここの県庁からも常置員を派遣してもらうことになるであろう、救済会のさしあたっての仕事は義捐金募集だが単にその程度に止めず、議会開会中に、出来るだけ将来の根本計画を樹て、これを以て議会に働きかけたいと思っている。





