漁村計画の実 質的強制
今回災害にあった関係三県の産業がその海洋進出においてもっとも多くの余地をのこされていることは異論のないところであろう、そのためには漁業株式の改善をはかると共にその告訴の根拠を安全に擁護することが絶対に必要となる近来前者即ち漁業株式の改善については、農林省、県、営業者等いづれもきわめて熱心にここに留意し、非常な進歩を見せつつある。しかるに地震■の存在と共に、何年に一度かは必ず地震従って海嘯の襲来等のあるべきことが大体予想されるにかかわらず、前記進歩せる漁船漁具と科学的技術とによってかち得たる労働の成果を蓄積し、かつ人生慰■の根拠ともいうべき、ないしはその暗然と円満との中にこそ人生目的の重要部分が含まれているとも見られる家庭生活と住家とを、その危害から防御する何等かの手段もほどこされなかったということはきわめて片手落のことといわなければならない。
この片手落ちの原因は直接当事者がこの点についての十分の見通しを欠いたこととも一つはこうしたことは一部少数者の計画だけでは出来るものでないにかかわらず多数統制の地位にある地方行政当局者が、制度上転々として転任せしめられるところから、その地方の永久的対策に興味と、利害関係とを持たずにただ目前の効をいそぐこととなるにかかわらず、この永久的対策をたてるというとは財政的に目前多くの犠牲を必要とし、かつ行政上いろいろな面倒を引き起こすことともなって、前記の地位にある地方官の興味と利害とに一致しないこととに基くものと見ることができよう。
とすれば、今度のかさなる災害によって、直接当事者の見通しの点は相当に改められたと思われるし、行政当局のその立場よりする無関心は、すでに地方自治制も相当の成熟期に達してしかるべき時期である異常、県会の識見と、誠意とによって補充されてしかるべきである。
漁村計画樹立の要は地震の予知が出来ると出来ないとに論なく絶対的である。なぜなら、たとえ今後科学が進歩してこれを予知し得るようになったとしても、その家屋を持って逃げることができない以上、多くの犠牲をはらって、家具衣類等は他に運搬し、一身の安全ははかり得ても、その住家だけは災害を免れ得ないからである。
漁村計画樹立の要はかくして絶対的である。しかしてこれをなし得る人為的及び自然的条件は現在十分にそなわっている。要は県会関係者がどこまでこの点に留意するかにかかっている。この漁村計画執行のために強制的法規があるならば、それにこしたことはない関係者はこれを機会にそうした方面にも十分努力を致すべきだが、これは目下の必要には応じ得ないそれならば、たとえその必要は絶対的でも、可能性の点で絶望かというにわ■は決してそうは思わない。
漁村がその復興をはからんがためには国家、公共団体、金融機関等の少なからぬ援助を必要とする故にこれ等関係代表者を以って、一つの復興機関を組織し、此援助をするしか、しないか、ないしはいかにどの程度までするかを法律に代る実質的な強制力として、一定の漁村計画に基く、当事者の団体的行動を統制すれば、相当程度の計画実現は出来ないことはないのであろう。
宮城県では今度の災害対策に関し、臨時県会を開くべきか否かに関しては、未だ県当局の態度が決定されていないが、県会議員中にはこれを開くべしとなしつつあるものが少くない。もしこの県会が開かれることとなれば、その審議の重点を単に当局の提案にのみ置くことなく、さきに本欄に述べた災害復興に関連して、さいしはこれを機会に考えねばならぬ財政問題及びここに述ぶるところの漁村計画の樹立に関し、県会の重大なる意思を討議決定することを一つの重大目標となされんことを切望する。
将来この三県の産業経済及びその他一般文化がいかに発達するかしないかが、この機会においていかに根本的な計算が樹立実行されるかに基く程度は直接間接甚だ大なるものがある。斯く考えればこの点に関する当局、県会其の他関係者のこの際の責任はきわめて大なるものがあるのであって、その決意を懇望する次第である。
震災防止 田中館君政府の 注意促す
田中館愛橘君(無所属) 今回の東北地方の大震災の惨禍を見るにつけ吾人は科学者としてその努力の足らざるを恥とするものである。
と自身の余地観測と災害防止の点より東北地方震災地の地形変化の調査被害町村の復興に対する注意測候所分布状態の設備力につき政府の注意を促しその方針を質して降壇、
山本内相 被害町村に対しては都市計画法市街地建築物法等の趣旨により今後の災害防止に努めたい
鳩山文相 三陸地方の地震に対しては検潮所の設置その他の方法により政府もそれぞれ措置を講じている。
大角海相 地球の重力測定のための潜水艦の利用については出来得るかぎりご希望に副い度い
荒木陸相 地表面の変化測定については陸地測量部も協力を惜しまない
とそれぞれ答弁あり代って