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想像よりひどい  「救恤は最も速やかに」と   政、民両派代表視察

政党を代表した災害地状況調査のため来県した民政党代表、大島寅吉佐藤興一、両代議士は井上農務課属の案内、政友■代表上野基三金井正夫、両代議士は商工課加藤属の案内で四日正午石巻警察署を訪問、被害地を調査の上、一行は合同して牡鹿郡大原村に至り谷川鮫の浦の被害実情を調査、同夜石巻に引返し民政派は千葉甚旅館、政友派は福島屋旅館に一泊、五日早朝桃生郡十五浜村方面より本吉郡へと向ったが、一行は
 被害状況がこんなに甚しいとは思わなかった、勿論まだ一部分の調査に過ぎないが、他の地方にこれ以上甚しい被害があるとはその程度が思いやられる帰京早々党へ報告し全国的救恤の実をあげる考えで努力する
と力強く視察状況を洩らして救恤と復興に尽力する旨を述べた。

民政党支部  昨日幹部会を   開いて協議

民政党宮城支部では五日午後二時から同志会館に幹部会を開き、内ヶ崎支部長出席の上、災害対策につき協議の結果、
一、在仙県会議員の対策協議会を六日午後三時より開かれるよう伊丹議長に交渉すること
一、内ヶ崎支部長が支部を代表して各災害地の見舞をなすこと
一、義捐金品は支部においても極力募集につとめること
等を決定市会議員の選挙については出来るだけ支部の統制下に候補者を詮衛すること、志田郡の補選については原則として候補者を擁立することとし、地元と交渉すること等を申合わせ五時散会した。

救済には  遺憾なきを期す   内ヶ崎代議士談

内ヶ崎民政党宮城支部長は五日朝来仙、午後一時から、同志会館に開かれた支部幹部会に出席の上、亘理郡坂元に災害調査見舞いのため出張本六日は女川町に赴き、気仙沼その他各被害地を経て八日朝帰京の予定、なお同氏は今回組織された東北災害対策実行委員会の委員長となったので、右視察に基き、帰京後それぞれ善後処置に甚力することとなるだろう。右に関し同氏は語る。
 今回の災害に対しては勿論各方面から対策を講ぜねばならないが、その中でも、漁船、漁具、住宅等に対する低利資金の融通は最も緊切重要な問題で、これ等の点において、遺憾なきを期すべく、極力努力するつもりである。また過般衆議院を通過した東北地方の減税案は政府において同意を表していないが、将来増税その他の場合には相当東北地方に有利な材料として参考とされることと思われる。

白米四百八十叺  県、政府より払下げ   七日、石巻、気仙沼に配分

宮城県では取敢えず白米四百八十叺を政府より払下げを受けることとし、四日夜申込んだが、右は来る七日に石巻、気仙沼両町に到着直ちに配分の予定。

罹災地に対する  建築用材配給   糖分塩釜だけで耐え得る見込    バラック用材を急送

三陸方面の災害復興に当り建築用材の配給が先ず第一に考慮される問題であるが塩釜港の三陸木材会社丸半製材所並に上郡製材所方面には折柄樺太産のイゾ松材が大量に入荷されてたったので四日三陸木材から取りあえずバラック用材として三千坪分を罹災地方に急送した、樺太、北海道方面産の木材は冬期の伐採不能の為年中に契約を了し入荷したものは意外に多く今春五月頃まで需要に応じられる準備があるので応急処置として当分用材の配給は塩釜だけで持ちこたえ得る見込である、仙台木材商組合では現下の相場不安定に脅え仕入れを手控えていた関係上ストック品は案外に少なく三陸地方への用材配給は不可能の状態にある、右につき仙台木材商組合の佐藤盆治氏は語る
 当分塩釜だけで間に合う見込みであるが復興第二期に入れば組合としても考慮しなければならぬと考えている、だがこの際相場を吊りあげて暴利を取るようなことは断じて許されないことであるから需要者も安心して貰いたい。

災害復旧低資  二百万円転貸   本日中に参事会を開いて決定か    宮城県当局の意向

県では県下災害の復旧資金として大体二百万円の低利資金を転貸する計画で多分今日中には参事会を開いてこれを付議することとなるであろう、転貸を受ける主体は町村、組合個人等で、事の性質上貸付規定は出来るだけ寛大にせざるを得ないので、県においては相当危険■■に任ずることとなるであろう。

罹災救助費  既定分も合して三万一千円

宮城県では罹災者に対しさしあたっての救助金として罹災救助金の中より二万四百円を支出することとなったが、これに既定費七千円を合すれば三万一千円となる。

罹災小学校  救護費   宮城県から学用品代三千円

今回の震水災による宮城県下の罹災小学校は三十一校一千百名であるが、この内救護を要するものは一千二百二十名でこれ等に対し県から学用品購入費として取り敢えず三千円を支出することとなった三十一校中でその犠牲となったのは本吉郡小泉村一名、唐桑村一名大島村一名でこれ等罹災児童救済のため県下各小中女学校から義捐金を募集する。

臨時県庁  出張所を三ヶ所に新設

宮城県では罹災救助のため石巻、志津川、気仙沼三ヶ所に臨時県庁出張所を新設(各警察署内)することになったが、所長は石巻町富田(■)属、志津川町加藤属、気仙沼町佐藤健康保険課長これにあたるはず。

宮城県災害善後委員会  昨日開く

宮城県災害善後委員会は五日午後二時から内務部長室に開会左記決定の上五時散会した。
一、救護出張所(三ヶ所)を新設すること(別記)
一、社会課応援のため左記係長を設けること
 イ、義捐金品受付発送係、小川会計課長
 ロ、義捐金品徴収係、鈴木統計課長
 ハ、義捐金品配給係、渡辺教育課長
一、御下賜金の配分については出来るだけ敏速を期し、会計課長、社会課長において原案を作成し、六日午前十一時からの委員会に付議すること
一、委員会は以後毎日午前十一時から内務部長室にこれを開くこと
一、委員会に救護部、配給部、復興部を置くこと。

陸相慰問代理  谷少尉出発

三陸地方災害地状況視察並に慰問の目的を以て荒木陸相は陸軍々事調査委員会長谷寿夫少尉を代理として派遣した、同少尉は井出少佐、大久保大尉の両名を伴い四日午後十時三十分上野駅発宮城、岩手、青森県地方に急行した。

木村兵事課長  救恤品受取交渉のため釜石へ

木村宮城県社事兵事課長は軍艦厳島より救恤品受取交渉のため五日釜石町に出張、これと同時に県は出動中の宮城丸に対しこれが受取のため直ちに釜石に急行するよう電命した。

火災、生命  保険金はどうなるか   会社側の意向を聴く

三陸地方の大津浪加にへ災害の苦難に直面した気の毒な人々に対し保険金は何うなるか、切角災厄危難に備える為に契約して置いた火災、生命の保険金に対する会社側の意向を聞いて見る
火災保険 約款を楯にして本社側の大体方針は支払はない模様であるが、関係地方を統括する各種会社の支社ならびに支店は仙台市内に四十余あるが、この中大日本総合火災保険協会仙台地方会の協定会社は三十二社である、これ等の各会社支店をもって構成されている火保地方会では
 何れ中央からの指令を待った上で決定しようと思って居るが今回の如き災厄に対しては約款通りに決定することが出来ないデリケートな問題が介在して来るし、火災は局部的であったので此辺も考慮に入れる必要がある
と語っていた、火保地方会長横浜火災の神谷仙台支社長は女川方面の実情調査に出張中であった六日帰仙するので同氏の帰仙を待って地方会としての態度も決定される模様である
生命保険 仙台市内には三十余の生命保険会社が支店及び支社を設置しているが各会社の支店では目下三陸方面の被保険者に対し如何なる処置に出るか本社側に照会中であり、何れ本社側では生命保険協会本部として態度を決定し地方に意向を伝える模様である二、三会社では早くも保険金即時払いならびに保険証券■保の貸付を発表した■もあるので各社とも約款上から見て多少の疑問はあってもこの際保険金の支払いを断行するものと観測される。

宮城県災害  損失、復旧費内訳

宮城県内の災害損失額並びに復旧額は昨報の如く前者二百八十九万三千三百五十円、後者二百三十九万二千百六十三円だが、その内訳を示せば左の如くである。
損失額
県有       町村有      其他公共    個人有
                  団体有
道路堤防其ノ他土木関係 
       円        円       円          円
三○○、○○○  三○○、○○○  −       −
船溜、船揚場、漁船漁具其ノ他
水産関係
  六、四七○    四、二五○   九、九一○  一、五九○、六五○
土砂埋没其他耕地関係
−        −        −         二三○、五○○
肥料種子其ノ他■業関係
−        −           五一五    二三八、九一○
電柱電■其ノ他電気関係
 一二、一四五  −        −       −

三一八、六一五  五○四、二五○  一○、四二五  二、○六○、○六○
復旧費
県有       町村有      其他公共    個人有
                  団体有
       円        円       円          円
一五○、○○○  三○○、○○○
  六、四七○    四、二五○   九、九一○  一、三九○、六三○
−        −        −         二三○、五○○
−        −           三一五     八七、九二三
 一二、一四五  −        −       −
一六八、六一五  三○四、二五○  一○、二二五  一、九○九、■■三