大金侍従 今朝仙台駅着 知事から状況の報告を受け 罹災民に大御心伝達
畏きあたりでは宮城岩手両県下今回の災害について痛く御軫念遊ばされ大金侍従を御差遣遊ばされる旨四月午後内務省藍田事務官より宮城県宛通知があった。大金侍従の日程は四日午後十時半上野発五日午前七時仙台着針久別館で少憩の後、午前九時十分から県四階貴賓室で三辺知事より詳細な被害状況の報告を受け、それより自動車又は宮電で三辺知事の案内により牡鹿郡大原町、本吉郡十五浜村、十三浜村、歌津村、唐桑村の五ヶ村を視察する。なお同侍従はさらに気仙沼より自動車で(交通杜絶の際は気仙沼町より軍艦に便乗)岩手県に向かう予定。
三県知事 資金伝達 きょう宮城県庁で
大金侍従は別記の如く五日朝来仙午前九時頃宮城県庁に宮城、岩手、青森三県知事を集め御下賜の金一封をそれぞれ伝達することとなった。
御救恤金下賜 きのう仰出さる 大金侍従震災地へ
【宮内省発表】天皇皇后両陛下にはかねて三陸地方の大震災に対し御救恤金一封下■の御内沙汰あり四日仰出された、賜金は四日午後十時半上野■■震害地に御差遣の大金侍従より五日午前盛岡において青森、宮城、岩手、北海道の道県に伝達される筈である。
宮城県に御沙汰
今回の震災に対し畏き辺より宮城県に対し金一封御下賜の旨四日御沙汰があった。
代議士の申合せ
東北地方災害善後策に関し民政党の東北出身代議士は四日午後院内に会合し協議の結果左の如く決定しこれが実行について政府に考慮を求めることとなった。
民政党東北震害救済委員
内ヶ崎、村松、柏田、工藤、比佐、林、鈴木、手代木、大島、清水
救済策
一、災害救済方法は関東大震災の例による
二、政府米の給興廉償払下
三、住宅、材料、農具、漁具等の給興または廉償匡救その他
四、災害地における減税の件(地租所得税、■■収■税の免除■■相続税の延納)
語、復興費の補助および低資融通の件
政友会慰問使現地に向う
政友会の金井正夫、上野基三、民政党の佐藤興一、大島寅吉各代議士は四日朝宮城県庁を訪ね、被害状況聴取の上それぞれ実地視察のため現地に向かった。
駆逐艦沼風 四日午前女川入港
海上警戒のたが四め駆逐艦風沼日午前十時頃女川港に入港した
協力、救援、慰問 復興の実を挙げよ 三辺宮城県知事告諭を発す
三辺宮城県知事は今回の災害に関し、先告諭を発した。
本月三日午前二時三十一分過ぎ突如金華山東南東沖合海底に発したる地震は最大振動二十三粍練震動時間凡そ二時間に渉り近年稀に見るの強震なり、而して一度地震起るや次で条ち海波荒しために三陸一帯の沿岸に時ならぬ海嘯を生じ同日午後十時までに達したる情報を綜合するも死傷者数百六十余名を出したる外行衛不明者二百二十余名家屋の倒潰約三百に上りその流失せるもの四百七十余船■の覆流流失せるもの亦千百四十の多さに達し浸水家屋亦極めて多し而して就中本吉郡唐桑村、歌津村、十三濱村、牡鹿郡大原村及桃生郡十五濱村の如きはその被害も甚大にして罹災者の近状真に察するに余りある所なり即ち県及び東北帝国大学医学部衛生班の巡回診療班は陸軍衛生班並日本赤十字社宮城支部臨時救護班と共に直ちに救療の任につき罹災者の救護に当ると共に県は各地に吏員、職員を急遽特派して具にその実状を調査視察せしめ救護の徹底と復興の計画に資する所あらしめんことを期したり又第二師団より陸軍用毛布を日本赤十字社宮城支部より貸付用毛布を借入れ直ちに災害地に向けて発送し或は本県水産試験場の試験船二艘を沿岸罹災町村地充に派して救護に遺憾なからむことを期したり、又同日災害善後に関する事務を最も■滑機敏に促進せしめむが為県庁内に新に■■災害■■■■■を組織し更に又余は■■しく災害地を巡りて■■の■■に併せて不幸なる遺族を弔慰せんとす
当地方の災害の報一度天下の知る所となるや各方面より翕然として深甚なる見舞を寄せられ殊に横須賀鎮守府司令長官は特に駆逐隊を急派して救護に努めらる洵に感謝措く能はざる所なり災害地付近における県民は必ずや古来の伝統的精神の発■たる隣保相助の道を尽して罹災者の救護慰問に万全を期しつつあるを信ず、されば斯かる災禍を伝聞するに過ぎずして地異の身辺に及ばざる者ありては不幸な同胞のため絶大なる救援を吝しむべきにあらす、即ち内に誠意を披瀝し外に熱烈なる愛県の至情に愬へ相協力して救護慰問並興復の実をあげんことを期せざるべからず、苦しそれを更にその詳細に至りては日を逐ふて実を效さん、切に自重奮■あらんことを。
四班にわかれて 第二師団活動 第八師団とも連絡を密にして 救護に万全を期す
第二師団では三陸海岸地方罹災者救護のため、救護班の派遣被服の貸与等軍部として能うる限りの援助をなすことになり既報の如く活動を開始したが四日夜は司令部の参謀部副幹部等では深更まで居残り各地方に派遣した状況視察班救護班との連絡につとめるとともに今後の救護方法を協議するなど非常な緊張振りを示している。師団より派遣されている救護班の編成は左の如くである、
第一救護班 (山田参謀と連絡目下谷川及び船越の二箇所で活動中)
軍医正、軍医、主計計手各一名、看護長四名、看護兵九名、下士官一名、上等兵二名、一等兵十三名合計三十二名
第二救護班 (谷津少佐と連絡気仙沼唐桑方面に活動中)
軍医、計手、看護長、看護兵、上等兵、各一名、一等兵二名合計七名
第三救護班 (滝本少佐と連絡、志津川、歌津方面において活動中)
軍医、看護長各一名、看護兵四名合計六名
第四救護班 (小山軍医指揮坂元方面で活動中)
軍医、看護長各一名、看護兵三名合計五名
なお第一救護班が活動している谷川地方の罹災者中寒気のため内科患者続出し、携行した薬剤に不足を来したため山田参謀は五日石巻にもどり内科薬品の現地徴募を行っている旨司令部に報告があった又第二師団では第八師団とも連絡をとり救護の万全を期しているが岩手県高田町には未だ第八師団の救護班が到着していないので気仙沼方面に出動中の谷津少佐及び第二救護班に対し、必要に応じて高田町に向かい救護に従事する様内命している。
海軍から 救恤品 四日更に軍艦 厳島で急送
海軍省では三日三陸地方震災地救済のため横須賀より駆逐艦を派遣し毛布三千枚ビスケット六千瓩白米二万六千瓩その他缶詰等を輸送したが四日午後軍艦厳島にて毛布一千枚ビスケット六千瓩缶詰その他を急送せしめた
毛布七千枚 陸軍省被服本庁一関に向け発送
陸軍省は内務省社会局の希望により三陸震災地方救護のため毛布七千枚を四日被服本庁より岩手県一関に向け発送した。
救護の警官 旅費その他に 内務省宮城県 に二千円交附
内務省では四日宮城県に対し震災救護の警察官旅費その他に充つるため通信費補助の各目で金二千円交附の指令を発した。
関東大震災の 惨事を想起 東京市から復旧 材料と慰問員
東京市役所では今吹の三陸沿岸地方大震災に対し先年の関東大震災の惨事を想起し当時における各方面よりの同情の万分の一にも報い且当時の経験より徴して三陸方面復旧の御手伝いしたき旨を四日午前十時鉄道省に出頭多数の復旧材料並に救護の慰問品を持込んで輸送方その他の手配を申込んで来た
国富技師 志津川、気仙 沼方面視察へ
中央気象台国富技師は三日夜石巻に来り千葉甚旅館に一泊四日午前十時十分初列車にて気仙沼、志津川方面に向った。
宮城県臨時 災害善後委員会 今暁、県庁に会議を開き 規定、委員を決定
宮城県庁では四日午前一時半まで三辺知事部課長等知事室に救済会議を開き、協議の結果臨時災害善後委員会を設置することとなった委員会規程及び委員左の如し。
第一条 昭和八年三月の宮城県下災害善後に関する事務の促進を期するため宮城県庁内に臨時災害善後委員会を置く
第二条 委員会は委員長一人副委員長二人及員若干人を以てこれを組織す
第三条 委員長は内務部長を以てこれに充つ
副委員長は警察部長及学務部長を以てこれに充つ
委員は知事これを任命す
第四条 委員長は会務を総理す
副委員長は委員長を補佐し委員長事故あるときは知事の指定する副委員長その職務を代理す
第五条 委員会に幹事若干人を置き知事これを命す
幹事は委員長の指揮を承け庶務を掌理す
第六条 委員会に部会を設くることを得部会の組織及名称等は別に之を定む
臨時災害善後委員会委員
地方事務官小川弥太郎、同郡祐一、同横山一俊、地方技師伊藤巌、地方事務官松本孝四郎、同猪俣博、地方技師原田嘉種、地方事務官渡■信男、同木村強、地方警視財津吉文、宮城県警察部野村道夫、地方技師北條光丸
復興所要額 莫大に上らん
宮城県内の被害状況、損害額、復興所要額等は四日中に県庁において取纏め各関係主務省に報告することとなるが、漁船、漁具、船溜舟揚場、肥料、種子、電柱、電線等を合せ莫大な額に達するものと見られている。
安田善次郎氏 一万円寄付
安田善次郎氏は今回三陸地方大震災に対し本日内務省に出頭し被害地救済のため金一万円の寄附を申し出その手続きを執つた。
三井、三菱救恤 金三万円寄附
三井、三菱両会社は三陸地方大震災救済のため各三万円づつを寄附すべく四日内務省に申出で直ちに手続きを執った。
救護指導と視察
第二師団■井軍医監、沼田獣医部長は救護指導及び家畜被害視察のため二日午後二時自動車で石巻方面に向ったが、牡鹿、桃生、本吉三郡の被害地を巡回し六日帰仙する筈
全国の官吏も 義損金拠出 三陸地方震災対策緊急次官会議 四日
宮城県知事、同県会議超、同町村長会長、仙台市長、各新聞社長等の義捐金募集協議会は四日午後一時より県庁会議室に開会、左記方法を決定した。
一、主催 宮城県知事宮城県会議長宮城県町村長会長仙台市長市内新聞社長及在仙新聞社支局長
二、募集方法
1、県内町村長及官衛学校(震災地を除く)に対しては県より義捐金品の募集方を依頼すること
2、主催新聞社においてはその紙上に無料にて義捐金品の募集広告を為す等最善の方法を講ぜられなお金品の受領を各その紙上に掲載さるること
3、応募金額は可成一口五十銭以上たること但し団体は一団体を以て一口とすること
4、物品は可成大口に取締め予め県社会課に御相談ありたきこと
三、受領方法
1、義捐金品は宮城県社会課及び市役所、各町村役場において取締むること
2、義捐金品の受領については新聞紙に掲載し領収証に代うると
四、応募締切期限 三月中とすること
五、義捐金の処置方法 主催者に一任
本社救護 第二班 今日救恤品を積ん で災害地へ
本社では災害地三陸方面に対し三日第一次救護班を急派したが更に第二次救護班を組織し今五日一行は日用品、缶詰その他多数の食料品を携えて宮城、岩手、青森方面の罹災者救助に向うこととなった
第二師団 義捐金 宮城岩手両県 知事宛贈る
第二師団では三陸海岸地方罹災民救護のため別項の如く活動を続けているが、取敢へず罹災民に対して救恤義捐金を贈ることとなり、師団司令部高等官一同より宮城、岩手両県知事宛に見舞金として各百円、在仙各部隊将校以下より宮城県罹災者に対して金五百円、将校婦人会仙台支部より同様宮城県罹災者に対して金五十円を送ることとし、隔地部隊に対しても応分の義捐金又は物品を拠出する様五日それぞれ通牒を発した。
義捐金募集 宮城県市その 他団体協議
宮城県、市、社会事業団体、新聞社等は四日午後一時半から、県庁会議室に、義捐金募集に関し協議会を開催する。
義捐金品 続々寄贈さる
宮城県庁では三陸沿岸地方の震災義捐金募集に先だち四日高等官は俸給の百分の三を判任官は百分の二雇員は百分の一を拠出するに決し取りあへず一千二百円を震災地報に送ることになった。同日午前中キリンビール会社の時国工場長は県庁を訪問し義捐金三千円を提出し宮城県その他災害関係地へ送達の手続き方を願い出た、
東京渋谷区上通四丁目養命酒本店でも四日本社を通じ白米十俵を震災地へ寄贈する旨申出であった。
罹災民救助金 宮城県で前渡し断行
宮城県では目下被害地に出張中の係員の調査報告を大体四日中にとりまとめ、五日には被害町村長に対して、罹災救助基金中から、救助金の概算前渡しをなる予定で、救助費の種類は避難所費、食費、治療費、被服費、小屋掛費、就学費、学用品費その他である。
日赤救護班 先発隊花巻よ り釜石町へ
大震災の厄に遭い殆ど全滅に瀕した釜石町に向け日本赤十字社東京支部坂部麻布診療所長の率ゆる七名、東京府飯島主事以下七名の両救護班は四日午前八時三十五分花巻着直ちに同地に向け急行したが更に同十一時花巻着の第二班十五名も同地に向け急行した。
谷口書記官一行 花巻着釜石へ
大蔵省谷口書記官河沼属一行は四日午前十時半花巻着急行で来県直ちに釜石方面に急行した。
丹羽社会局 長視察
丹羽社会局長は岩手及び宮城両県下の震災状況視察のため小林事務官を隨へ四日午後十時三十分上野駅発列車にて現場に赴き、四、五日に亘り各地始発の筈。
各種県税減免 宮城県当局調査に着手 調査完了と共に参事会を開く
被害地の国税減免に関しては税務監督局等の手でそれぞれ基礎調査を進めるはずだが、宮城県でもこの国の減免とは別に各種県税即ち国税附加課税、家屋税、営業税、雑種税当の減免をなすはずで、目下調査中である。以上の中附加税については、国の減免程度を見た上それと関連的に減免の程度をきめることとなるであろうが、其他は全然県独立の基準を定めてこれをなすこととなる。いずれにしても調査完了の上は至急参事会を開いて、その承認を求めるはず。なお町村税戸数割については、当該町村においてそれぞれ減免を決定することとなるが、大体の方針は県地方課においてこれを定め、指示することとなるであろう。
租税の減免猶予 今議会に諮り実施
三陸方面の被害に対し租税減免猶予に関しては大蔵省の谷口書記官の■来報告によって決定される模様であるがその状況によっては直ちに開会中の議会にはかり地租所得税資本利子税にも減免猶予の恩典を興へる見込みである
無賃輸送の 期間を延長 寄贈品は二ヶ月に 復旧材料割引は四ヶ月に
鉄道省では今次三陸震災に対し罹災者に対する救護用寄贈品の無賃輸送並に復旧材料運賃四割引の手配をするのは昨報の如くだが、寄贈品無賃輸送に対しては一ヶ月の規程を二ヶ月に延長して五月三日まで復旧材料割引輸送期間は二ヶ月の所を四ヶ月に延長して七月三日と改正発表した、なお復旧材料として五割引輸送を受くべき品目は木材、竹、瓦類、ブリキ及びトタン板、針金類、建具、セメント製品敷物類、畳、釘類、板ガラスと制定された。到着駅のうち昨報の外に左の六ヶ所が追加された。
八戸駅、湊駅、盛岡駅、仙台駅、水沢駅、沼宮内駅
岩手軽鉄無料輸送開始
岩手県軽■鉄■では応急措置として取敢えず三陸震災地方罹災者救恤品及び復旧建築材料の輸送を左記により取扱うこととなった
一、品名甲罹災者救恤用寄贈品(無料)
同乙復旧建築材料(五割減)但し罹災地町村長並に塔の町救護業務所宛のものに限る。
家畜保険 急速に金額の支払をなす
地震津浪火災に関する災害についても家畜保険においては保険金全額の支払をなし殊に斯かる場合には特別訊速に支払うべきにより被保険牛馬にして死亡せるものあれば■■保険金並に再保険金の請求ありたしと逓信省は公表した。
満州国外交総長より 災害見舞の電報 昨日、本社宛寄せ
満州国外交総長謝介石氏は満州国を代表し昨四日日本社宛て左の如く三陸地方震災見舞の電報を寄せられた今回貴地方の惨害に対し並に取敢えず満州国を代表し深く御見舞申し上ぐ我建国事業に絶大の勲績を残されし将士の出身地の災厄は特に痛惜い堪えざるところなり
満州国外交総長 謝介石
開議劈頭、秋田議長 三陸震災に同情の辞 外国為替管理法案可決 衆議院本会議四日
四日の衆議院本会議は午後一時四十三分開会、劈頭三日の三陸地方における大震災被害に対して
秋田議長 昨三日東北三陸地方に大地震津波起り不足の惨禍を被ったことは同情に堪えない、而も死者も非常に多数に上ると聞く、並に深く哀悼の意を表する次第である、尚被害者の中は満州派遣軍将兵の家庭も数百に上る由、国民は宜敷くこれを慰■将兵をして後■の憂い無からしむ様労力すべきである■■拍手■に見舞の言葉を述べ次いで
山内内相(登壇)内務省警保局の調査に基き震災地の被害状況、これが応急救護、対策、警備状況等を各地方別に詳細に報告し
善後措置に万遺憾なきを期したい
と述べ次いで
貴族院 予算総会 各分科の経過 震災状況報告
貴族院の予算総会は四日午前十時十六分開会第一分科主査より順次各分科会の■道報告あり第三分科主査報告後山本内相より三陸地方の震災状況の報告あって午前十一時四十六分休憩。