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被害復旧水産業者大会開く 早く特別法つくれ  政府に救済措置を要望

チリ津波災害復旧水産業者大会が三十日午後一時から仙台市商工会議所で開かれ、「特別法を早急につくり、水産業施設を復旧せ
よ」と決議、政府と国会に陳情することを申し合わせた。
大会には志津川、女川、気仙沼
などから漁民たち約三百人が参加
各地代表から水産被害について
の報告があった後、政府に救済措
置を要望する大会宣言と政府への
要求九項目を満場一致で決議した
決議文は県漁連、県信漁連の役員
で構成する災害復旧対策委員会が
ただちに上京して政府に手渡す。
 なお大会後、菊田隆一県漁連会
 長ら代表者は県当局に「天災
 融資法が適用になるまでのつな
 ぎ資金として県費五千万円と融
 通してほしい」と陳情した。
 ▽政府、国会への要望事項①水
産業施設などの復旧のため特別法
をつくれ。
 ②住宅復旧に特別法をつくれ。
 ③天災融資法による特別措置を
せよ。
 ④政府資金の償還に特別措置を
せよ。
 ⑤国有林の無償払下げをせよ。
 ⑥浅海養殖事業の実施と推進を
期せ。
 ⑦被災者の税金を免除せよ。
 ⑧県信漁連に県費五千万円をつ
なぎ資金として預託せよ。
 ⑨漁業共済制度を実体に即した
ものに改善せよ。

資材の値上がり防止を申し合わせる  県建設業協会

県建設業協会は三十日午前臨時役
員会を開き、津波被害復旧対策を
協議したが、建築材料に獲得、建
築資材の値上がり防止の徹底をは
かるとともに、一戸当たり十六・
五平方メートル(五坪)、十万円で建てる
応急仮設住宅の建設に協力するこ
とを申し合わせた。

陳情運動始める  副知事、県議らが大挙上京

 県はチリ津波の全容がわかり五
 十三項目におよぶ「チリ地震津
 波による被災対策に関する要望
 書」も県議会の同意を得たので
 三十日、重村副知事、大泉県総
 合開発室長、高橋県議会議長、
 木村喜代助、菊池清太郎、荒井
 律二の各県議らが大挙上京、政
 府、国会に対し活発な陳述運動
 を開始した。
三十日は内閣官房、建設、運輸、
農林、文部、自治など関係各庁と
県出身議員を歴訪して要望書を提
出、とくに伊勢湾台風被害に対す
る特別立法と同率、もしくはそれ
を上回る高率補助を規定する立法
措置の実現を強く要望、そのほか
ノリ、カキ被害に対する特別措置
失対事業の全額国庫負担と増ワク
の立法措置と予算措置、また今回
の被害の特殊性から天災法の特別
設定などを求めた。
これに対し楢崎運輸相、福田農相
ら東北の被害地を視察した関係大
臣は、チリ津波被害の零細漁民に
対する集中性などの特殊性を認
め、三十一日の閣議で特別立法措
置を協議することを確約した。な
お一行は引き続き経済企画庁、労
働省などへ陳情運動をする。

災害地へ救援  角田市臨時議会が決議

角田市臨時議会は三十日召集され
さきの全員協議会に決定した同市
大坊地内の市庁舎敷地を可決、ま
た三陸沿岸のチリ津波災害地への
救援を決議した。

被災者に特別融資  県、金融相談所を開設

 チリ津波被災地の生活相談所、
 住宅相談所に次いで、県は七千
 万円を各金融機関に預託、これ
 を基金にして六月一日から気仙
 沼、志津川、女川、石巻の四ヵ
 所に「金融相談所」を開設する
金融相談所は七十七銀行、徳陽、
振興両相互銀行、それに国民金融
中小企業金融の両国庫で、商工中
金の被災者に立ち上がり融資を行
なう各金融機関が一本になって窓
口相談に当たり、融資申し込みを
受け付けるもの。
津波災害に対し、各金融機関は長
期低利の特別融資措置をとってい
るが、被災者は零細漁業者が多い
ので、さしあたり無担保、無保証
にしてもらわないと特別融資の恩
恵を受けられない。このため県は
こうした被災者の保証人の立場に
なる県信用保証協会に二千万円を
特別出援、五千万円を県信用保証
協会を通じで各金融機関に預託し
た。出援金に対しては実質的に十
倍、貸し付け金に対しては三倍ま
で融資保証ができるので、これで
少なくとも三億五千万円の被災者
向けの特別融資ワクができた。こ
の三億五千万円に各金融機関がさ
らに自己資金を出し合い、金融相
談所が運営される。

被災業者に金融相談  塩釜で国民金融公庫

国民金融公庫仙台支所は塩釜市津
波対策本部の要請で係員を三十一
日と六月一日塩釜に派遣、商工会
議所で被災商工業者に対する金融
相談(午前九時から午後四時の間)
をうける。

来月県議会開き対策  知事語る 機構改革は延期

 三浦知事は三十日の記者会見で
 「機構改革は延期したい」など
 時期県議会問題について次の
 ように語った。
一、津波対策の県予算がまとまり
次第、県議会を召集する。六月中
旬までには開きたい。しかし臨時
県議会になるか、六月末に予定し
ている定例県議会のくり上げ召集
になるかはまだ決めていない。県
議会側は津波応急対策が先決で、
このため臨時県議会の召集を要求
して、応急対策の足かせになって
はいけないと、県議会召集の時期
を県当局に一任してくれている。
一、機構改革案は六月定例県議会
で承認を求めるつもりだったが九
月定例県議会まで提案見合わせる
一、県営青葉山ゴルフ場の提案を
どうするかは、大蔵省の払い下げ
交渉とにらみ合わせて決めたい。

津波で解雇が続出  塩釜の水産加工業従業員

塩釜を襲った津波は同市北浜地区
の水産加工場地帯に相当の被害を
もたらしたが、このため各事業場
で従業員の解雇が相つぎ問題とな
っている。塩釜職安の調べだと三
十日現在十五軒の事業場で百十五
人が解雇され、失業保険の給付窓
口にきている。同職安はとりあえ
ず被災者と同じように優先就職を
考慮しているが、こんごさらにふ
える傾向であり社会問題になりか
ねないので同職安は県当局に対し
取り扱いの指示を求めている。

仙北鉄道のバス路線はほぼ復旧

仙北鉄道のバス路線は津波で各所
が分断されたが、一部をのぞい
てほぼ復旧した。被害路線のう
ち三十日までに運行を始めたの
は、渡波−鮎川線、石巻−雄勝
線、石巻−女川線、飯野川−月浜
(十三浜村)などで、同線は平常
ダイヤに戻った。また、徒歩連絡
していた志津川町内の幹線道路も
開通、仙台−気仙沼線は、きょう
三十一日から前線開通する。三十
日現在の不通個所は次のとおりで
当分復旧の見込みは立たない。
 ▽石巻−鮎川線は万石橋で徒歩
 連絡▽雄勝町−水浜線(十キロ
 メートル)当分運休▽野■−宮戸間
 (千メートル)徒歩連絡▽志津川−月
 浜線(二十キロメートル)当分運休

一週間ぶりに授業  石巻地方の小、中学校

 津波で休校していた石巻地方の
 小、中学校は、三十日一週間ぶ
 りに授業を開始した。
女川町は小、中十校が、この朝定
刻から開校したが、子どもたちは
まだ気が落ち着かないのか授業に
ならない学校が多かった。女川一
中は千二十一人のうち約九百人が
出席、津波の感想文を書いた程度
で午前中で授業を打ち切った。ま
た女川一中なども本格的な授業に
にはいらず、他の学校とともに午
前中で授業をやめた。
各学校とも津波で学用品を押し流
されたものが多く、女川一小の場
合は教科書のないもの百八十一人
学用品のないもの百九十三人、衣
料を失ったもの百九十八人、はき
物のないもの二百十八人に上って
いる。石巻の各小、中学校は被害
は少なかったがそれでも教科書を
水にぬらして使えないものや、学
用品を流されたものもかなりある
しかし延期されていた運動会など
も三十日の山下小の大運動会を皮
切りに続々計画され、子どもたち
も次第に晴れやかな表情をとりも
どしている。雄勝、牡鹿の両町も
家を押し流されたもの意外は元気
で登校をはじめ、渡波に通ってい
た牡鹿町の小、中学生も二十九日
から万石橋が開通したのでこの日
から一週間ぶりに本校に通学しは
じめた。

ゼノ神父、志津川へ  被災者収容所に贈り物

 二十九日午後、志津川町、志津
 川小学校の津波被災者収容所に
 東京「アリの町」のゼノ神父(六
 九)がひょっこり現われ、収容所
 にはドッと子どもたちの歓声が
 上がった。
二十七日に衣類、菓子、見舞い金
を持って東京を出発したが、神父
は信者たちから志津川町の被害が
予想外に大きいことを聞き、同町
へとかけつけたもので、被災者収
容所の子どもたちに一人々々菓子
を手渡し、頭をなでて励ました。

定例議会に持越し  仙台市議会 議長問題話合いつかず

 仙台市の五月臨時議会は三十日
 召集され、私立病院の三十四年
 度赤字四百九十万円を三十五年
 度予算から充用する議案など三
 議案を可決した。
この日は午後一時から開会の予定
のところ、議長改選を要求する与
党各派と「議長改選の必要なし」
と主張する野党各派が真っ向から
対立したため折り合いがつかず、
ようやく同六時すぎ「六月定例議
会の前に常任委の改選を議題とし
て臨時議会を開き、そのとき改め
て正副議長問題を協議する」こと
で話し合いがついた。本会議は午
後四時五十分開会。会期を一日と
決めたのち、休憩にはいり、全員
協議会に切り替え、高橋喜三郎、
福島栄吉、畑惣一郎ら三議員に対
する全国市議会議長からの表彰
を伝達、次いで島野仙台市長が、
ガス料金値上げの申請について了
承を求め、チリ津波の見舞い金と
して塩釜市に百万円、石巻と気仙
沼両市に七十万円ずつ、七ヶ浜町
に三十万円、その他の町村に総額
百万円を出すことを決めたと報告
した。同六時十分に本会議を再開、
仙台市立病院会計の繰り上げ充用
など三議案を討論なしで可決、同
十八分閉会。

救済措置を要望  塩釜市議会

 塩釜市は三十日、臨時市議会を
 召集、津波対策などを審議、災害
 については特別立法をつくり、
 強力な救済措置をとるよう県と
 国に対し要望することを決めた
また一小、一中の校舎、屋体建設
について翌年度繰り越し分の予算
を承認、財政再建計画の一部変更
などを決めた。

座礁船も干し場  塩釜・目を見はる観光客

塩釜の津波被災地は三十日、朝か
らの好天に二日間の陰うつな雨か
ら解放され、被災家庭の復旧は急
ピッチ。槌音も高らかに男たちは
家なおしに懸命で、もう新しいタ
タミのはいった家もある。女達は
どこもかしこも洗たくに大わら
わ。屋根という屋根は時ならぬ
“満艦色”となり、干し場のない
ところでは湾内に座礁している漁
船、つないである漁船まで利用す
る有様。時折り電車や汽車からは
きだされる観光団体客の目をみは
らせていた。

志津川へ続々救援隊  道路交通は六割を確保

 津波以来早くも一週間目をむか
 えた志津川町では電灯、水道、
 電話は一応復旧、道路交通も六
 割確保、復旧率三〇パーセントまでこぎ
 つけ、町はようやく本格的な復
 旧工事の盛り上がりをみせてい
 る。
陸上自衛隊千三百二十人のうち建
設隊七百五十人が引き揚げた同町
には、三十日から隣接各町村の消
防団員百八十六人、婦人会員百七
十二人、東和町の青年団、地元志
津川高校の生徒、それに東和町の
大工奉仕隊四十七人など五百人
の救援隊がくりこみ、復旧に協力
した。同日は自衛隊の新井田地区
の仙台−八戸二級国道にかかる東
橋の補強工事を完成したほか、流
失した本浜橋(長さ四メートル)の解体
作業が行なわれ、三十一日から架
橋作業をはじめ、一日まで突貫工
事で完成する予定。また応急住宅
四十五戸を建設するため、松原海
岸の敷地造成も急ピッチで進めら
れている。消防団員、婦人会、青
年団、県警機動隊員らはこれまで
放置されていた裏通りの整理にと
りかかり、特に復旧のガンとなっ
ている便所のくみ取りも、くみ取
り車を七台に増強、一日まで一応
終わる見通しがついた。
こうした復旧ぶりに町当局でも本
格的な町の再建築に乗り出し、三
十日午後県の出先き機関と会合、
第一回の再建志津川町の青写真に
ついて検討会を開いた。なお県津
波対策本部は、復旧の手足まとい
となる子どもたちのため、漁協の
共同集荷所を応急修理し、ここに
幼児百人を収容する計画をすすめ
ている。

志津川に赤痢患者

志津川町で三十日、新しい赤痢患
者一人を発見。公立登米病院に隔
離した。同町防疫対策本部で二十
八日検診した百八十四人のうち、
志津川高校に避難しているうち
からみつかったもので、これで同
町の赤痢は真症二人、擬似十二人
となり、このほか下痢患者七十人
にのぼっている。

石巻に赤痢保菌者

石巻市湊本町、船員杉山昭造さん
の長男昭洋ちゃん(二才)は三十日午
後、赤痢保菌者とわかり石巻日赤
病院に隔離された。母親の貴美子
さんと二十二日雄勝町の親類にい
き、かかったもの。

財政再建一年延長か  津波で県費負担ふえる

 県のチリ津波災害復旧対策費は
 三十日の財政課長査定で四億五
 千万円に達した。うち県費は二
 億二千万円、これで去年せっか
 く一年短縮した財政再建計画年
 度を再び一年延長せざるをえな
 い情勢になってきた。
各課の予算要求の総額は約十一億
円、これを財政課長の査定で、災
害救助法発動にともなう必要経費
と、さしあたり必要な道路、橋な
どの公共施設の復旧費にしぼって
四億五千万円にした。こんご第二
次、第三次の各課予算要求が行な
われ、県費負担はさらにふえる見
込み。県は三十一年に十三億三千
万円の赤字で財政再建団体の指定
をうけ、それから毎年一億八千万
円の赤字償還を行ない、三十四年
度末には赤字が八億円に減ったば
かりで、財政調整積立金一億三千
万円、税収の見込み外伸び七千万
円の余裕がでた。このため再建年
度を一年短縮して三十八年度末ま
でとしたが、この津波災害ですで
に県費二億二千万円の持ち出しが
確定したので、こんご特別交付税
や財源債が認められたとしても、
再建年度の一年延長は避けられな
いもようだ。

石巻署で二人の表彰を上申

 石巻署は石巻市横浜山、漁業豊
 島利夫さん(三八)と、同家前、漁
 業阿部利治さん(四二)の二人を人
 命救助で表彰する。
津波のあった二十四日、二人は小
舟で種ガキの見張りにいったが、
豊島さんは津波に流されてくる石
巻市役所荻浜支所員赤間安治さん
(五四)と妻のちえさん(四八)を救助、
また阿部さんは荻浜の漁業内海庄
太郎さん(五八)と妻のかねよさん(五
九)がおぼれかかっているのを身の
危険もいとわず救助したもの。

土井さんの表彰上申  津波察知、非難させる

 塩釜署では浦戸寒■沢字港、土
 井芳次郎さん(三三)を三十日、県
 警本部へ表彰方を■申した。
土井さんは二十四日朝三時半ごろ
ふと目をさまし海岸のようすがい
つもと違うことを知り同じ部落に
住む同市浦戸支所長土見東一さん
を起こし、同地区四島五部落消防
団、青年会などを通じ全島民の避
難警報をだした。このため浦戸地
区の千九百島民に一人の死傷者も
出さなかった。

津波被災地の皆様に心からお見舞い申し上げます

中央通新伝馬町 電話②8648 本格丁 電話②4939 ③8478 仙台駅構内売店 第一ビル売店