指定があれば二億円を融資 北島農林公庫副総裁語る
北島武
雄農林
漁業金
融公庫
副総裁
は、一
日行なう同公庫東北支店の移転
披露のため三十日来仙したが、
同日午後宮城緊張で「チリ津波
災害復旧のため、農林大臣から
天災融資法による指定をうけ次
第、本年度二億四千万円の指定
災害復旧資金を貸し出す」と次
のように語った。
ことしの公庫貸し付け資金五百十
七億円のうち、災害関係資金は全
部で四十六億円、このうち主務大
臣指定の災害復旧資金が二億四千
万円ある。この資金はノリ、カキ
ホタテ貝などの水産増殖施設の復
旧と漁船修理などにあてるもので
年利六分、すえおき二年という長
期低利のものだ。この資金は、ま
だ全然使っていないので、農林大
臣から指定をうけ次第、東北支店
長の専決で敏速に貸し出すから、
大いに利用してほしい。また公庫
資金の既利用者で被災した方には
個々の実情に応じて返済条件を緩
和する。もし資金が足りなくなれ
ば、融資計画を変更しても地元の
要望に応ずる。また一般の漁船建
造資金は三十八億円あるので、こ
のさい被災者が協同組合を通じて
共同利用の漁船建造なり取得融資
を申し込むことも望ましい。
なお同副総裁は、宮城、岩手両
県の被災地や開拓地などを視察
三日帰京の予定。
製氷設備では三億円 チリ津波 東北の通運・倉庫被害額
仙台陸運局は三十日、チリ津波に
よる東北地方のバス、トラック、
ハイヤー、私鉄、通運、倉庫など
の被害状況をまとめた。同日まで
にわかった被害額は、約五億円だ
が、このうち、もっとも被害が大
きかったのは、海岸に集中してい
る冷蔵倉庫で、製氷設備などに三
億二千万円の被害を受けた。こん
ごの調査では、保管中の製品流失
による損害がさらにふえる見込み
なので、同局では、被災した各冷
蔵倉庫に対して、復旧のための融
資あっせんに乗り出すことを通知
した。
被害額は通運関係八千百五十万
円、私鉄四百五十万円、ハイヤー
三百五十万円、トラック二百五十
万円で地区別被害額は次のとお
り。(単位百万円)
◇冷蔵倉庫 ▽塩釜=七業者、
一四▽石巻=七業者、七▽女川=
四業者、二〇▽志津川=一業者、一
〇▽気仙沼=二十業者、七〇▽大
船渡=七業者、七〇▽釜石=六業
者、七▽八戸=十二業者、一二
◇通運 ▽塩釜=事務所床下浸
水、トラック十九台冠水、貨物冠水
六百四十トン、二五▽石巻=店舗床
上浸水、倉庫浸水、流失その他、一
・五▽女川=事務所、倉庫浸水、
トラック二両冠水、資材流失、三
▽気仙沼=事務所、倉庫浸水、トラ
ック、保管貨物冠水、一・五▽大船
渡=事務所、車庫、保管庫浸水、
臨港事務所流失、トラック十二両
冠水、保管貨物流失、資材流失その
他、四四▽釜石=事務所一むね浸
水、その他、〇・四▽宮古=倉庫浸
水、ラワン材流失、四▽八戸=事
務所床上浸水その他、一・六
◇バス ▽石巻=営業所床上浸
水▽女川=車庫冠水▽志津川=バ
ス十六両冠水、営業所、車庫冠水
四・五▽気仙沼=営業所床上浸水
▽大船渡=バス四両冠水、営業所
車庫、整備工場冠水、六・五
◇トラック ▽志津川=事務所
一むね倒壊、トラック二両破損、
一・三▽大船渡=トラック一両冠
水、〇・二▽八戸=事務所四ヵ所
浸水、トラック六両冠水、一・〇
◇ハイヤー ▽塩釜=車庫一む
ね浸水▽石巻=二業者床下浸水▽
女川=車庫三むね床上浸水、ハイ
ヤー二両冠水、〇・三▽志津川=
車庫二むね破損、ハイヤー八両冠
水、一・二▽気仙沼=車庫三むね
浸水▽大船渡=車庫一むね流失、
一むね床上浸水、ハイヤー三両流
失、二両冠水、二・〇
◇私鉄 ▽岩手開発鉄道=線路
流失八百四十メートル、道床流失五百八
十立方メートル、線路浸水四百立方メートル、
築堤崩壊二百メートル、建物流失二十八
平方メートル、床上浸水十六平方メートルなど
四・五
旅客船は十五隻 海運関係の第一次調査
【宮城】塩釜にある東北海運局は
三十日、管内の海運関係のうけた
チリ地震津波の被害状況を発表し
た。それによると、旅客船十六隻
五百五十九トンのほか貨物船二十九
隻九千三百一トン、造船所四十三ヵ
所、荷役機械十三など計六億円に
達している。しかしこの調査は二
十六日行なった第一次のもので、
漁船関係ははいっておらず被害全
体のごく一部でしかない。このた
め同海運局は「調査の進むにつれ
どんどん増大している」と語って
おり、全体で損害五十億円を越す
ものとみられる。
同海運局は船舶、港湾関係で被
害をうけ復旧に融資のあっせん
などをやる関係から調査を急い
でいるものだが、全ぼうの把握
は人手不足から相当期間がかか
るものとみられる。
第一次調査にみる被害はやはり大
船渡が一番ひどく、目下のところ
調べがつかない有様。次いで八戸
塩釜地区の損害が多く、女川はじ
め釜石、石巻の順となっていて小
名浜は一番すくない。第一次調査
による被害状況は次のとおり。(カ
ッコ内は被害金額、単位万円)
▽旅客船一六隻五五九トン(一、七
一〇)▽貨物船二七隻九、三〇一
トン(一、九九八)▽はしけ二九隻
一、九四〇トン(二、九〇〇)▽そ
の他船舶一一隻七〇七トン(四、二
三七)▽荷役機械一三(三、〇〇
〇)▽上屋一むね二、〇〇〇平方
メートル(不明)▽倉庫二一むね七、三
〇〇平方メートル(四二八)▽貨物(六、
二一一)▽付帯施設二一(一三、
七七〇)▽造船所四三(一七、七
八二)=造船工一人死亡=▽造機
所二二(七、一四〇)▽医療厚生
施設四(一二七)=うち全損一ヵ
所は被害額不明=▽そのほか船員
死亡一
漁港被害、五億越す 宮城県 護岸と防波堤に集中
宮城県下の漁港施設の被害額は五
億一千万円を越えた。同県漁港課
は三十日、チリ地震津波による県
下の漁港施設の被害額をまとめた
が、午後六時現在で被害港は県下
全漁港の三割の五十四港、被害総
額五億一千四百八十万円に達した
このうち県営分は九港三億二千
三百三十三万円、志町村営分四十
五港一億九千百四十七万円だが、
被害内容はほとんど護岸決壊と防
波堤決壊で、気仙沼、志津川、歌
津などがとくに目立っている。
各地の被害額、被害港数、被害
内容次のとおり(カッコ内は被害
額、単位万円)
◇唐桑町(二、〇八五)=五港、
護岸決壊五ヵ所六百メートル。
◇気仙沼(一六、一三四)=
九港、護岸決壊六ヵ所千三百二十
メートル、堤防決壊三ヶ所千百メートル。
◇本吉町(七七五)=二港、防
波堤決壊二ヵ所十五メートル、船揚げ場
損壊一ヵ所七十メートル。
◇歌津町(二、〇四三)=五港、
護岸決壊五ヵ所六百六十メートル、防波
堤決壊二ヵ所二十七・五メートル。
◇志津川町(一五、五八八)=
七港、護岸決壊六ヵ所九百九十メートル、
防波堤決壊二ヵ所五〇メートル、船揚げ
場損壊三ヶ所六十メートル。
◇河北町(一〇〇)=一港、防
波堤決壊一ヵ所三十メートル。
◇雄勝町(一、五七五)=一港、
護岸決壊二ヵ所五百七十メートル。
◇女川町(三、〇一五)=五港、
護岸決壊五ヵ所四百二十メートル、埋立
土砂流失五千立方メートル、漁業用通路
損壊三十メートル。
◇牡鹿町(一、二八〇)=四港、
護岸決壊二ヵ所百二十メートル、防波堤
決壊三ヶ所百四十五メートル。
◇石巻市(二、一七〇)=三港
停泊地埋没五千立方メートル、桟橋流失
三十二メートル。
◇矢本町(一、二〇〇)=一港
停泊地埋没四万立方メートル。
◇鳴瀬町(九六〇)=五港、護
岸決壊三ヶ所六百五十七メートル、防波
堤決壊二ヵ所百十メートル。
◇松島町(一五〇)=一港、防
波堤決壊一ヵ所百七十メートル。
◇塩釜市(二、〇〇〇)=二港
護岸決壊一ヵ所七百八十メートル、防波
堤決壊二ヵ所百九十メートル、桟橋流失
五・四メートル。
◇七ヶ浜町(三三〇)=一港、
護岸決壊一ヵ所四十メートル。
◇名取市(一、〇九〇)=一港
護岸決壊一ヵ所三十メートル、防波堤決
壊二ヵ所九十五メートル、停泊地埋没一
万立法メートル。
◇亘理町(八八五)=一港、護
岸決壊一ヵ所二百六十メートル、堤防決
壊一ヵ所十メートル、停泊地埋没三千立
方メートル、航路埋没六千立方メートル