ワカメ、ノリ養殖を普及 宮城県牡鹿町 津波の被災を転機に 採苗場も来月末には完成
【石巻】宮城県牡鹿町は去年から零細漁業者の更生策を検討してきたが、こんどの津波で沿岸漁業が壊滅的打撃をうけたのを転機とし
て漁協組と協力、ワカメとノリの養殖を全国民に強力に推進普及する計画でいる。すでにことしの二月から最新式のノリとワカメの人
工採苗施設の建設にとりかかっているが、事業が軌道に乗れば全国でも屈指の人工ワカメの名産地に生まれかわることになる。
町と漁協組の計画によると同町は
千二百戸が沿岸零細漁業者だが、
これを来年から年産五百トンの人工
ワカメと百万枚のノリの産地に転
換する。このためさる二月に二百
万円の経費で東北一のノリとワカ
メの人工採苗を建設した。すで
に第一期分七十八平方メートルが完成し
ひきつづきいま第二期と第三期各
四十四平方メートルの建設にとりかかっ
ており、七月一ぱいで完成の見込
みである。
生産物は漁協組が県漁連の共販
のルートに乗せ、こげつきのな
いようにする一方、業者の買い
たたきを防止する。これに対し
地元民は去年地元の試験栽培が
一応成功しているので早くも希
望者が続出している。これまで
は小漁で不安定な経営にすがっ
てきたが、こんどはどうにか安定
化の一歩を踏み出すとあって
ひさびさに生色をとりもどした
感じだ。しかしこんご資金対策
が大きな問題になるので漁協組
はこの面でも手ぬかりのないよ
ういまから対策をねっている。
月末から採苗 気仙沼のワカメ養殖
【気仙沼】宮城県水試気仙沼分場
は、津波で全滅的被害をうけたカ
キ養殖に代わる漁民の収入源とし
てワカメの養殖を普及することに
なり、県営ノリ人工採苗センター
のわきにワカメの採苗舎を建築し
ていたが、このほど完成、今月末
から大々的な採苗を始める。採苗
は七月初旬からフル操業にはいり
九月の建て込み期までいかだ換算
で約一千台分、一台の収入五、六
万円とみて五、六千万円の収入を
漁民に確保させるわけ。気仙沼湾
沿岸漁民から早くも七百台分以上
の申し込みが殺到しているが、県
津波対策の一環としてワカメの
種付け料は一切無償となってい
る。の