記者席 お義理で開催の津波本会議
○…自民党だけでの”津波対策
本会議”といえば聞こえはよい
が、十四日のそれはお義理に聞
いたという程度。解散ー総選挙
かと浮き足立っている議員たち
は、自席を立ってあちらでガヤ
ガヤ、こちらでヒソ
ヒソ、質疑の声も聞
きとれない。特別立
法自民党案作成に努
力した田口長治郎氏
(長崎)は、代表質
問の中で「政令段階で改悪され
たのではたまらない」と、繊細
な点まで注文をつけたり、不満
を述べたりの大奮闘だったが、
あきあきしたとばかり「簡単々
々」のヤジがとぶ。これに力を
得たものでもあるまいが、答弁に
立つ閣僚も木でハナをくくった
ような返事。短ければ短いほど
受けるので、佐藤蔵相など三つ
の質問に答えは一こと。散会後
東北議員から「あれでは逆効果
だ」と蔵相に食ってかかるもの
もあった。
○…民主党はこの日の国会対
策委員会で、議決休会による政
治休戦に賛成もしなければ反対
もしないという妙な方針を決め
た。会期延長を不当だとする民
社党はいまさら会期延長を認め
るような議決休会に賛成するわ
けにもいかず。そうかといって
アイク訪日までには何とか休
戦にまでこぎつけようという同
党の切なる願いの現われという
ところ。春日国対委員長は「反
対の態度を真っ黒な白だとすれ
ば、さしずめわが党はピンク色
というところだ」と中間政党の
苦心のほどを説明していた。
○…この日午前吉田元首相が
一ヶ月にわたる欧米親善旅行を
終えて羽田についた。政局打開
のカギをにぎるといわれるワン
マン氏のお帰りとあって空港に
は佐藤蔵相、池田通産相、大野
副議長、石井総務会長、川島幹
事長をはじめ自民党主流派、中
間派の大物小物の歓迎人がつ
めかけた。佐藤、池田の両相は
”吉田学校の優等生”だけあって
定例閣議までサボっての忠勤ぶ
り。さて当のワンマン氏は「別
にしゃべることもないよ」と例
によってソッけなくそのままま
っすぐ大磯へ。佐藤、池田派は
さっそく番頭格の保利茂、小坂
善太郎両氏を随行記者よろしく
同行させ、現下の政局について
”ご進講”申し上げる手回しの
よさ、大野副議長は「われわれ
はとくに”ご**”することも
ないよ」と強がっていたものの
これにはすっかり感心したよう
だった。