東北 週間の動き 8月5日〜8月11日 津波災害対策立法大詰めへ
空白国会がたたり災害対策の特別立法の遅れ
が危ぶまれていたが、先週初めからようやく
各省の立法措置と行政措置による対策案が出
そろい。これをもとに自民党も政*会内の災
害対策本部が中心となって党案をまとめあげ
た。党案は今回の被害の特殊性から、零細漁業
者に対する救済策を主なねらいとした農林
水産業施設の復旧特別措置法案、小型漁船建
造特別措置法案、天災融資暫定措置法一部改正
案など、8法案にしぼった。伊勢湾台風災害
復旧の特別法が27件もあったのに比べ不十分
なものだが、それさえも大蔵省などから強い
異論があり、公共土木建設の災害復旧特別措
置法案は断念、結局10日閣議決定したのは2
法案だけ。その後の持ち回り閣議で3法案が
きまり、画期的という津波対策事業特別措置
法案と、農林水産業施設の復旧特別措置法案
から切り離し、ノリ、定置網被害に5割の補
助をしようという被害激じん部落復興特別措
置法案は11日やっと調整が
ついた。政府は13日残りの
法案を閣議決定、14日単独
審議でも衆院強行採決の決
意を固めているが、中小企
業者への融資特別措置法
案は、大蔵省がいまだに
4千万円の利子補給に反
対しているので、最悪の
場合これだけ除外、7法
案となることも予想され
る。
津波対策と道北議長会
北海道東北六県の議長会は9日、山形県庁に
およそ30人が集まって開かれた。各県提出議
案の中で、特にさる5月24日太平洋を襲っ
た津波で大きな被害を受けた宮城、岩手両県
から提出された「チリ地震津波対策」が緊急
を要するものとして取り上げられ、大蔵、建
設、自治庁などの関係各省に早急に対策を立て
るよう申し入れることになった。この中で特
に県、団体の力では復旧は不可能であるとし
議長会の決議をもって災害復旧についての特
別措置を立法化するか、立法化をまたずにす
ぐできるような応急措置および恒久対策を求
めている。
大船渡で活躍する自衛隊
「チリ地震津波の災害復旧は自衛隊の力を借
りなかったらこれほど早く進まなかったろ
う」と大船渡、陸前高田地方の被災者は感謝
している。事実陸上自衛隊の働きは目ざまし
かった。北は青森、南は東京から2,000人の
隊員がくり込み、横動力をフルに動かし働い
た。こわれた家屋の整理、道路、堤の補修、
防疫、浴場開設など限りない。放心の被災者
はこれに力づけられた。さる11日大船渡市で
行なわれた引き揚げ式に学童たちも心からの
感謝の言葉をのべた。まだ田植えもできず、
”ことしの飯米はどうなるか〟と不安げに見
守る農民を背に陸前高田ではいまも1,500人
の隊員が25日までの予定で防潮堤の仮工事に
当たっている。