跡しまつに大わらわ 授業を再開した志津川の小、中学校 励ましの手紙、日に十通も
チリ津波で休校していた志津川町の十一の小、中学校は九日、十七日ぶりに授業を再開したが、授
業とは名ばかり。いま学校あげて津波の跡始末に大わらわである。これを励ますように全国各校か
ら見舞い品、見舞い金が続々持ち込まれ関係者を感激させている。
全校児童千二百四十四人中、三人
のいたましい犠牲者をだしたうえ
ザッと八百人の児童が被災した志
津川小学校(鈴木亮*校長)では
第一回の見舞い品として被災児童
一人当たりノート十冊、鉛筆十な
いし十六本、筆入れ一個、定規、
ケシゴム各一個、ズック一足、ク
レオン二個が贈られ、教室にはま
だ衣類、雑誌が山をなしている。
見舞い品、見舞い金、励ましの手
紙を寄せた学校は県内では登米、
本吉郡内の学校がほとんどだが、
石川、兵庫、東京など全国約百校
にのぼり、点数は数えきれないほ
どたと学校側ではうれしい悲鳴。
この中にはまとまったものを買
おうと長い間ためていた千円を
そっくり贈ってきた今治市上宝
来小学校六年の石内京子さん、
四人でフキをとりその代金五百
円を送ってきた米谷小五年生な
ど数々のエピソードを盛り込ん
でおり、とくに昨年伊勢湾台風
で町の八割が水につかった兵庫
権豊岡小学校児童会(会
長上田卓*君)では二万三千円
の見舞い金に次のような手紙を
そえてきた。
伊勢湾台風のさい全国各地から
慰問品をいただいたことがいま
だに忘れられません。津波の話
を聞いて当時を思い出し早速児
童会で相談し、お金を集めまし
た。私たちもがんばります。皆
さんも津波に負けず勉強して下
さい。
見舞い品の整理に当たる先生たち
も三十一人のうち二十四人が家屋
流失、全半壊、浸水の被害を受け、
面やつれしているが、「こうした
見舞い品を見ると元気づけられま
す」と感激しており、現在、同校
だけで、一日平均励ましの手紙十
通、見舞い品二、三個が持ち込ま
れでいる。
一方先生たちの話では登校を始め
た子供たちは思いのほか明るく
「勉強の始まるのが待ちきれない」
といった表情だが、まだ落ち着か
ない様子。そのうえ子供たちの三
分の一は見舞いの衣類を身につけ
ているなど着がえもない実情。ま
たランドセル、カバンのないもの
七十人、教科書では三、四年の算数
がないなど学用品、衣類不足にな
やんでおり、学校でもここ数日、弁
当、雨具その他の様子をみたうえ
自宅訪問して実情を調査すること
になっている。
【写真】放課後見舞い金の整理に
当たる先生たち
昼夜とも満員の盛況 仙台 災害救援の合同舞踊公演
チリ津波被災害地救援の日舞・
洋舞仙台六団体舞踊公演が十一日
午後と夜の二回、仙台市労働会館
で開かれた。これに参加した団体
は玉生舞踊学園、仙台ノイエタン
ツ研究所、菊扇会、真珠会、秀*会
で、災害地の復興を祈る仙台ひま
わりの新作「野を駆ける」をはじ
め、だし物四十番、出演者総数は
百人を越える豪華なものだった。
入場者は昼、夜合わせて千五百人
以上にもなり、立ち見の人も相当
でる盛況。これらの入場料は全部
津波義援金として災害地へ送られ
る。
【写真】災害地救援合同舞踊公演
街頭募金を寄託 県出身の明大学生たち
郷土の被災地の人たちを救おう
と本県出身の明治大学生たちが
街頭募金、集まったお金を十一
日本社に寄託してきた。
明大宮城県人会(約百五十人)の
早坂通夫君(政経学部四年)、鈴木
勲君(法学部三年)らは、さる二
日から四日間、東京都内のお茶の
水駅、有楽町などで街頭募金をし
た。これには県出身学生たち約五
十人が応援、東京都民に「被災者
へ愛の手を」と呼びかけた。募金
は四万三千三百三十六円に達し、
早坂、鈴木両君が十一日朝わざわ
ざ来仙本社受け付けに寄託した
小昼を節約して 被災地へ寄金 村田町沼辺鹿野自治郷
村田*沼周辺の鹿野自治郷(太田
左右助郷長)は、共同田植えで
経費を節約し、そのあまったお
金三千三百五十円をチリ津波の
被災地に贈って下さいと本社大
河原通信部に委託した。
鹿野自治郷は戸数二十二戸で、田
植えの経費を節約するため。毎年
共同田植えを実施しているが、チ
リ津波の*状を聞き、みんなで相
談して小昼を半分に節約し、義援
金を贈ることに決めた。毎年催し
ていた部落のさなぶり大会も、こ
としは乾杯程度にすまし、こうし
て経費三千三百五十円を浮かし
た。部落ではさらにもう一度相談
して、見舞い金品を贈りたいとい
っている。