復興補給金並低資 三千八百万円要求 県から主務省へ
八年度震災関係国庫補助給金並低利資金要求額は三千八百二十三万二千四十四円に決定内転貸資金は千五百五十九万六千五円国庫補給金二千二百六十三万六千三十九円である。
復旧費低利資 金要求額 種 別 要求額
一、復旧費転貸資金
漁船漁具復旧資金五二五〇、〇〇〇円 水産製造設備復旧資金五五〇、〇〇〇 漁業組合共同設備復旧資金五〇〇、〇〇〇 養殖設備復旧資金二〇〇、〇〇〇水産業者就業資業金六五〇、〇〇〇 村落復旧資金二、〇〇〇、〇〇〇 産業組合復旧資金七二〇、〇〇〇 商工業者復旧資金二、一〇〇、〇〇〇 運送業者復旧資金一八〇、〇〇〇 量産復旧費五九一、八五〇 共同作業場復旧資金九二、〇〇〇■■業復旧資金一七七、五〇〇畜産業復旧費六〇六、六七〇 小学校舎建築資金五、五〇〇 教育住宅建築資金四〇、〇〇〇教員死亡賜金三、五〇〇 製品木材倉庫建設資金五七、七八五製材所共同施設資金六五、〇〇〇〇 住宅資金一、七五八、〇〇〇 公設浴場資金二五、〇〇〇養老育児院資金二三、二〇〇
計一五、五九六、〇〇五
復旧費国庫補 給金要求額
一、復旧費補給金
農産復旧資金一三五、〇四六 共同作業場復旧資金二九四、四〇〇 ■■業復旧資金一四、三七五 畜産業ふく旧資金一七一〇八二 児童給食費五六、五一一 児童就学奨励費一七三、一二一 小学校設備費二〇、〇〇〇 義務教育国庫負担金増額八六、二一八 炭窯構築費八〇四〇〇 木炭共同倉庫費四六五五〇〇 貯木場共同施設費二七六、四五四 リンドウ開設費四九七一四八 森林造成費一九〇、二七七 公益質屋費二四、四二 水産試験場ふく旧費二〇〇、〇〇〇 防潮林造成費一、四六四三九三 土木ふく旧費四、六九一、六〇六 道路改修費二、〇一四、〇〇〇 港湾修築費三、二一〇、〇〇〇 防波建築費二六八一、八二五 区画整理費六八三、五〇〇 町村道改修費二〇六〇、三〇〇 県歳入欠陥補増額一三六、九二七 町村歳入欠陥補増額四二七、六四九 警備費九二、二六五 耕地ふく旧費二、四八九、〇〇〇 計二二、六三六、〇三九円
土木関係復興工事 要求額千六百万円 道路港湾修築等々
震災復興土木費は十一日知事状況前別項案の細部を改め工事費に事務費を加え千六百二十六万千七百四円となった種別工事費及び事務費左の如し。
種 別 工 事 費 事 務 費 計
土 木復興費 四、六九一、六〇六 二八一、四九六 四、九七三、一〇二
道 路改修費 二、〇一四、〇〇〇 一二〇、八四〇 二、一三四、八四〇
港 湾修築費 三、二一〇、〇〇〇 一九二、六〇〇 三、四〇二、六〇〇
防 波建築費 二、六八一、八二五 一六〇、九〇九 二、八四二、七三四
区 画整理費 六八三、五〇〇 四一、〇一〇 七二四、五一〇
町村道改修費 二、〇六〇、三〇〇 一二三、六一八 二、一八三、九一八
計 一五、三四一、二三一 九二〇、四七三 一六、二六一、七〇四
本年度の着工
尚本年度内本月中に着手する震災復旧費は県一般土木工事百廿九万一千五百三十九円、町村一般土木工事二百二十四万八百六十七円の合計三百五十三万二千四百円で内訳左の如し
◇県一般土木工事 道路二百二十ヶ所三十七万二千七百九十二円橋梁二百二十ヶ所八十四万一千九百三十六円 河川二十五ヶ所七万六千八百十一円
◇町村一般土木工事 道路百二十三ヶ所四十四万九千七百二十六円 橋梁七十四ヶ所二十三万四百四円 河川百五十五ヶ所七十四万四百四十七円 港湾三十九ヶ所八十万二百九十円
官林の払下げ が早急 三浦県議談
三浦県議は知事等と共に盛岡出発に際し往訪の記者に語る。
吾々は海岸地方代表として上京し政府並びに両政党へ救済陳情をなすが何しろ警察当局に於て調べた被害高は正確なものではないこれがため石黒長官其他と会見し損害高の材料を取揃えたわけである十二日この材料を救済協義会に持出し善後処置を講ずる積りである。又罹災地の希望がいろいろとあるがこの点も■的し陳情する予定である、先ず今回の復興について重大なことは漁船の新造修繕なので速かに船材を得るため官林の払下げを受けねばならぬがこの払下げ許可があれば直ぐに漁業家が船をつくり生活の資を得ることになるので早急に許可して貰わねばならぬと思っている。
知事在京日程
三陸罹災地救済の為石黒知事は三浦沢田東各県議が帯同十一日午後六時廿五分盛岡駅発上り急行で上京したが一行は罹災各地の損害高を詳しく調査し十二日在京代議士先発県議等と合流の上東拓ビルに於て救済善後協議会を開会。十三日後藤農相その他要路を訪い災害事情を縷々陳述し官林の払下げを乞い船舶の新造修繕を急がせることになった。
復興計画内容
復興計画案による道路改修費港湾
修築費防波建築費区画整理の内訳
は左の通りである。
(一)復興道路改修
路 線 名 改修延長 幅員 工事費
盛 釜石線 二七粁 五米五 二六七、〇〇〇
小本宮古線 三八 五、五 四七七、〇〇〇
小本久慈線 四九 四、五 三九九、〇〇〇
盛 一関線 二〇 五、五 五〇、〇〇〇
盛岡 盛線 五四 四、五 二四〇、〇〇〇
小川盛岡線 六四 五、五 六四〇、〇〇〇
釜石宮古線 五 五、五 五〇、〇〇〇
葛巻久慈線 一四 四、五 一四〇、〇〇〇
大槌遠野線 二〇 五、五 一五〇、〇〇〇
計 二、四一三、〇〇〇
(二)港湾修築
港 湾 名 郡 町 村名 工事費 種 類
長 部 気仙郡気仙 一五〇、〇〇〇 商 港
匡救工事施行の外
脇 ノ 沢 米 崎 一七〇、〇〇〇 同
泊 広 田 一〇〇、〇〇〇 漁 港
細 浦 末 崎 五〇、〇〇〇 商 港
長 崎 港 赤 崎 五五、〇〇〇 漁 港
綾 里 綾 里 二〇、〇〇〇 同
匡救工事施行の外
野 々 前 同 四〇、〇〇〇 同
泊 越 喜 来 一〇〇、〇〇〇 同
崎 浜 同 三〇、〇〇〇 同
根 白 吉 浜 五〇、〇〇〇 同
小白浜 唐 丹 五〇、〇〇〇 同
本 郷 同 五、〇〇〇 同
大 槌 上閉伊郡大槌 三〇〇、〇〇〇 商 港
匡救工事施行の外
吉里々々 同 三〇、〇〇〇 漁 港
大 浦 下閉伊船越 五〇、〇〇〇 同
船越運河 同 船 越 四九〇、〇〇〇 運 河
織 笠 同 織 笠 三五、〇〇〇 漁 港
山 田 下閉伊山田 三〇〇、〇〇〇 商漁港
匡救工事施行の外
大 沢 大 沢 三五、〇〇〇 漁 港
重 茂 重 茂 一五〇、〇〇〇 同
石 浜 同 四〇、〇〇〇 同
磯 鶏 磯 鶏 五〇、〇〇〇 同
大 沢 浜 崎 山 六〇、〇〇〇 同
宿 崎 山 一〇、〇〇〇 同
田 老 田 老 二六〇、〇〇〇 同
平 井 賀 田 の 畑 一〇〇、〇〇〇 同
畠 越 同 三〇、〇〇〇 同
羅 賀 同 二〇、〇〇〇 同
太田名部 普 代 一五〇、〇〇〇 同
堀 内 同 四〇、〇〇〇 同
小 袖 九戸郡宇部 七〇、〇〇〇 同
桑 畑 侍 浜 六〇、〇〇〇 同
小 子 内 中 野 五〇、〇〇〇 同
鹿 糠 浜 種 市 五〇、〇〇〇 同
計 三、二一〇、〇〇〇
三、防波土堤(壁)並に防波建築
町村名 名 称 防 波 土 堤 防 波 建 築 計 金 額
延長 金 額 延 長 金 額
久 慈 防波土堤 二、二五〇米 六〇、七五〇円 六〇、七五〇
野 田 同 一、六〇〇 四三、二〇〇 四三、一〇〇
普代(太田名部)同 四〇〇 二〇、〇〇〇 二〇、〇〇〇
小 本 同 一、〇〇〇 二七、〇〇〇 二七、〇〇〇
田 老 同 九五〇 二八、五〇〇 二八、五〇〇
同 防波壁 五八〇 二二、四〇〇 二二、四〇〇
山 田 同 四五〇 一七、一五〇 九一〇 八〇、〇〇〇 九七、一五〇
大 槌 防波土堤 一、二〇〇 四八、〇〇〇 — — 四八、〇〇〇
同 防波壁 一、四九〇 五七、四〇〇 — — 五七、四〇〇
釜 石 同 三五〇 一三、六五〇 六六〇 五八四、〇〇〇 五九七、六五〇
吉 浜 防波土堤 二、二〇〇 六六、〇〇〇 — — 六六、〇〇〇
大船渡 — — — 一、五〇〇 一、三一三、八〇〇 一、三一三、八〇〇
綾 里 防波土堤 二六〇 一五、六〇〇 — — 一五、六〇〇
合計 四一九、六五〇 一、九七七、八〇〇 二、三九七、四五〇
四、区画整理
町村別 延 長 金 額
間
山 田 一、〇〇〇 三〇、〇〇〇
大 槌 二〇〇 一〇、〇〇〇
釜 石 五、〇〇〇 三五〇、〇〇〇
大船渡 一、〇〇〇 五〇、〇〇〇
田 老 三〇〇 三〇、〇〇〇
末 崎 三〇〇 一五、〇〇〇
唐 丹 二〇〇 一〇、〇〇〇
鵜住居 二五〇 一二、五〇〇
広 田 五〇〇 二〇、〇〇〇
船 越 五〇〇 二〇、〇〇〇
大 沢 五〇〇 三〇、〇〇〇
綾 里 四〇〇 一六、〇〇〇
赤 崎 二〇〇 八、〇〇〇
末 崎 四〇〇 一六、〇〇〇
小 本 二〇〇 八、〇〇〇
気 仙 五〇〇 二〇、〇〇〇
越喜来 五〇〇 二〇、〇〇〇
種 市 二〇〇 一〇、〇〇〇
普 代 二〇〇 一〇、〇〇〇
田野畑 二〇〇 八、〇〇〇
計 六八三、五〇〇
住宅建設計画
震災地復興策に県では村落計画による二千戸の住宅建設と共に百七十八万五千円の住宅資金を以て組合住宅一戸当り千五百円を五百戸公営住宅一戸当り二千五百二十円を四百戸建築の試案をたて組合住宅は主に給料生活者に公営住宅は商店街の復興に資する意向であってこれに附帯し公設浴場託児所実費診療所等設備費をも加え百八十三万四百四十二円の資金を要求することになっている。
海嘯被害町村名 資金
組合住宅
三〇戸 三〇戸
気仙郡赤崎村 四五、〇〇〇円 四五、〇〇〇円
二五 二五
越喜来村 三七、五〇〇 三七、五〇〇
五五 五五
綾里村 八二、五〇〇 八二、五〇〇
三〇 三〇
広田村 四五、〇〇〇 四五、〇〇〇
一〇 一〇
小友村 一五、〇〇〇 一五、〇〇〇
三〇 三〇
末崎村 四五、〇〇〇 四五、〇〇〇
五〇 五〇
唐丹村 七五、〇〇〇 七五、〇〇〇
二五 一三戸 一五五
上閉伊郡釜石町 三七、五〇〇 三二七、六〇〇 三六五、一〇〇
七五 七五
大槌町 一八九、〇〇〇 一八九、〇〇〇
三〇
鵜住居村 四五、〇〇〇 四五、〇〇〇
一〇 六〇 七〇
下閉伊郡山田町 一五、〇〇〇 一五一、二〇〇 一六六、二〇〇
二〇 一三五 一五五
田老村 三〇、〇〇〇 三四〇、二〇〇 三七〇、二〇〇
一〇 一〇
重茂村 一五、〇〇〇 一五、〇〇〇
五〇 五〇
船越村 七五、〇〇〇 七五、〇〇〇
一〇 一〇
磯鶏村 一五、〇〇〇 一五、〇〇〇
一五 一五
大沢村 二二、五〇〇 二二、五〇〇
一〇 一〇
小本村 一五、〇〇〇 一五、〇〇〇
三〇 三〇
田野畑 四五、〇〇〇 四五、〇〇〇
二五 二〇
普代村 三七、五〇〇 三〇、〇〇〇
一五 一五
九戸郡野田村 二二、五〇〇 二二、五〇〇
一〇 一〇
種市村 一五、〇〇〇 一五、〇〇〇
一〇 一〇
侍浜村 一五、〇〇〇 一五、〇〇〇
五〇〇 九〇〇
計 七五〇、〇〇〇 一、〇〇八、〇〇〇 一、七五八、〇〇〇
小舟用材購入 交渉
本月中に竣成の見込みで建造を急いでいる小舟千艘の使用材は名古屋市から一石十円当り五千石を購入することになり十日荷主に交渉を重ねている。
岩手町村長会
岩手郡町村長会通常総会は十一日午後一時半より郡農会楼上に於て開会田村会長以下二十三ヶ町村長全員出発先ず各町村より三陸沿岸罹災慰問状況報告後満州派遣軍慰問方法に関し協議の結果田村会長に一任して適宜なる手段を講ずることとなり次いで提出議案六年度決算七年度更正予算、八年度予算の審議に入ったが満場一致原案承認に決定同四時半散会。
震災の復興に 合同の力で猛進 政府に援助説明の為め上京前 石黒知事は語る
震災復旧復興計画を政府に説明し資金融通等について援助を求めるため石黒知事は十一日午後六時二十五分発で上京した、復興計画案に関し石黒知事は語る。
震災の復興には合同の力を以て邁進することである復旧復興予算のとり方もこの原則を体して行うつもりだ産業組合住宅組合水産組合等の各種組合が復興案実施の機関となり組合から洩れるものには共同連帯責任制をとる一個々々の力では仕事の出来る筈はない合同の力で協力一致して震災地をたち上らせるのだ資金関係についても長期据置とし当初から金を返すことは許して貰うことだこの度の震害は国に於ても同胞共済の精神で行くべきであると思考する土木工事のごとき関節生産事案にあっては殊にも国家補助を本則とすべきである尚県債によるか或は中金経由等の低利資金を求めることになるかは上京して見なければ判らない。
◇復興計画中まず先決実施したいと思うのは村落計画で第一にその住宅地の選定である、このためには県令を公布するに至るかも知れない法規の研究中であるこれに簡易水道を設ける第二には耕地の選定で当村落は全部耕地とし開拓して自給自足の方法を講ずる勿論この耕地は粗放農業で馬鈴薯でも何でも栽培するのだ被害地附近の国有林は無償で譲って貰い耕地にする第三は防波設備で場所と事情を考慮して建設したいこの外共同作業場備荒倉庫の設置等も此際実現するつもりだ村落計画以外に釜石町大槌山田等の施設計画も亦考えている災害復興計画実施に当り一貫する所の精神は前に述べた合同連帯責任、協力一致の力と云うことである。
罹災者の租税 免除、猶予法律案 議会へ提出の全文
(東電)政府は去る三月三日の三陸地方震災及びこれに伴う火災津波による被害者に対し租税を免除しその徴収を猶予する必要ある所から
一、震災被害者に対する租税免除猶予等に関する法律案
を十一日衆議院に提出した同法案は全文左の如し
△震災被害者に対する租税の
免除猶予等に関する法律案
第一條 政府は震災(昭和八年三月三日の震災及びこれに伴う火災又は津浪等以下同じ)による被害者の震災地に於ける納附すべき昭和七年度第三種所得税第四期分について命令の定むる所によりこれを免除することを得
第二條 政府は震災により著しく利用を妨げられたる土地について命令の定むる所によりその地租を免除することを得
第三條 政府は震災地に於て納附すべき昭和八年度分の第三種所得税個人の営業収益税及び乙種資本利子税に限り課税に関する申告及び申請並に課税標準の決定に関し命令を以て特例を設くることを得
第四條 政府は震災地に於て昭和八年三月三日以後に納附すべき租税について命令の定むる所によりその徴収を猶予することを得
第五條 第一條、第三條及び前條の震災地は命令を以てこれを定む
第六條 第一條又は第二條の規定により免除される租税は法令上の納税資格要件に関して免除されざるものと見なす
前項の規定は北海道地方税及び県税にして震災地により減免せられたものにつきこれを準用す
附則 本令は公布の日よりこれを施行す