後藤農相昨日来県 気仙沼より監視船に乗船して 昨夜綾里沖に一泊
後藤農相一行は三十一日農林省監視船俊こつ丸に乗船三陸沿岸罹災地を視察予定より早く本県広田村の視察を終わり同夜は綾里村の沖合に船で一泊釜石港に投鎖一日早朝釜石に一日午前七時ころ上陸視察の上陸路山田に向かう筈である。
本年度分は削除されても 将来の復興に引掛り 罹災者は自力更生奮起を望む きのう帰庁石黒知事語る
震災地復旧予算要求のため上京中の石黒知事は三十一日帰庁したが語る。
今回の三陸沿岸震災にっは就政府も貴衆両院も非常に同情した結果前に三月五日の震災復旧費を追加予算とせず予備金から支出した■があるにも拘らず政府でも徹夜で予算を編成してくれたため追加予算として間に合い議会は通過した。政府並に貴衆両院の同情に対しては洵に感謝に堪えない。復旧費の予算は助成金、■給金と低利資金を合し一千百余万円で最初県で要求した三千九百万円とは大分開きがあるようだがこれは本県としては津波は周期的にくると誰かはいうが地震の原因が海底の陥没にあるものとせば何時海底が陥没して地震が起り津浪の襲来を受けぬとも限らないから将来の災厄から幾分でも免かれる施設をなして置く必要があるソウでないと折角一千万円なり二千万円なりかけて復旧しても復流されて仕舞う虞があるそれで防波設備、海岸道路の完成は復旧と密接不離の問題と考えこれが助成と本県としては一万円の低利資金を借りても水産業にモット力を容れねば之を返済する事は出来ないから昨年来計■して漸く設立した水産産業組合の資金等恒久性を有するものの経費を要求したのであったが政府では取あえず復旧に要する経費だけを八年度に於て内務農林両省で二万円宛の調査費を置き調査の結果に基き後年度の予算で計■する事となった自分としては八年度の予算は削られたが将来の復興に引っ掛りがういて居るから大成功だと思う。復旧工事も事務官一名、属六名技手九名を■員する事になって居るから予算が県会を通り次第実行に着手する罹災者は政府其他各方面で斯く同情し力瘤を入れて■れるのだから徒らに他の力を頼らず自力更生の根本精神を以て奮起し復興の実を挙げるに努められん事を希望してやまぬ。
県最終参事会
年度末の県参事会は三十一日開票七年度事業繰越震災地の救護費警備費災害土木応急工事費の七年度分罹災救助基金の■額等の関係予算を原案可決散会した
小野寺代議士釜石へ
小野寺代議士は三十一日午前十一時十七分盛岡■着下り急行で奈良井秘書を同道し来盛直ちに農相と落合うため釜石に向かった
釜石町会は三十一日午後二時から招集二十二町議出席し左記議案を協議した
△昭和七年度歳入出第十二次更正予算△昭和八年度歳入出第一次追加予算△罹災者徴税特別税戸数割減額又は免除に関する件△七万円起債に関する件