文字サイズサイズ小サイズ中サイズ大

県民の援護にささえられ 災害の復興急速調

切実な飲み水の不足 続く真心の物資に生色

大船渡 人的、物的にじん大
な被害を受けた大船渡市内の復旧
は市内はもちろん県内各地からの
相次ぐ救援の手に包めれ着々と進
められている。被害のもっともひ
どい大船渡町には二十五日自衛隊
員三百二十九人、市内をはじめ三
陸、住田、遠くは江■市地方から
出動した消防団員約千二百人らが
跡片付けに奉仕した。倒壊家屋や
流木でおおい尽くされた同町の目
抜き通りの地ノ森から須崎まで延
長二キロは自動車が通れるまでに手
入れされた。これによってこんご
の跡片付けは一層早まる。
県南バス大船渡■■営のバス運行
は盛—高田線、高田—広田線を除
く全線が二十五日朝から開通され
たが、不通線の運行開始までには
約一ヶ月以上かかるとみられてい
る。また大船渡郵便局は大船渡—
仙台間に二十七日までヘリコプタ
ーを一、二回飛ばし郵便配達業務
を続けている。
 津波襲来直後の二十四日午前八
 時市役所に設けられた災害対策
 本部は、職員百五十人が分担
 を決めて救援活動にはいったが
 てんてこ舞いの忙しさ。被災
 者にとってもっとも切実なのは
 食料、飲料水と日用品だ。食料
 は二十五日被災民一人当たり五
 キロの米が特配されたが、災害を
 免れた市内各地域からの炊き出
 しなどがあり、それほど緊迫し
 ていない。問題は飲み水で、災
 害を受けた二十四日から大船渡
 町山手一帯にわたり時間給水し
 ているが、被災地域住民は頭を
 洗う水はもちろん、飲み水さえ
 ない。このため水道の水やポン
 プ水を山手の家からもらって、
 ノドをうるおしている実情だ。
また防疫は県防疫班五人と盛高校
生百人で跡かたづけの終わった地
域に殺菌剤ミケゾールを散布、二
十五日中に大船渡線上手地域の消
毒を終えた。二十五日からは被害
の大きかった沿岸寄りの消毒を青
森自衛隊消毒班三十人の応援で続
ける。日用品の救援物資は続々と
本部に集まり、二十五日夕刻まで
に市内はもちろん、県下各地から
毛布、シャツ、タオル、ローソク
マッチなど約二万点に達し、さっ
そく行政連絡員の手を通じて被害
の程度に応じ被災者に配布されて
いる。
鈴木大船渡市長の話 家財を失
 ったり家をこわされた市民をど
 う慰さめたらいいものかわから
 ない。復旧作業は各方面のご支
 援で軌道に乗ったが、一日も早
 く災害以前のあの静かで平和な
 姿に返さなければならないと
 思っている。その手段としてま
 ず、五坪程度のバラック約百戸
 を建設して被災者に与える。

死者さらに一人 末崎まで開通 住田町民の応援も得

高 田  陸前高田市は二十
五日から全市をあげて復旧に立ち
上がった。被害のひどかった気仙
町長部部落や長砂町から沼田、脇
ノ沢、小友にわたる沿岸は家財、
流木などが散乱、水魔のむごさを
はっきり物語っている。高田高校
など六ヶ所の仮り収容所で眠れぬ
夜を送った被災者四百人は、早朝
からわが家の整理復旧に努力し、
収容所のガランとした部屋には年
寄りたちが二、三人しょんぼりす
わって、ドロにまみれたヒナ人形
人のケースが哀われさを誘う。被
害は、調査の進むにつれてますま
すふえ、同日午後、矢作字打越村
上八重吉さん(七九)が米崎三日市地
内で死体となって発見されたので
死者は合計八人、行くえ不明一人
となった。
 上京中の伊東市長は二十四日、
 仙台まで飛行機を利用して帰り
 二十五日午前十時から市役所で
 災害対策を協議、被災者に①百
 五十万円の見舞い金②五十万円
 の日用品購入③三日分の食糧支
 給を決め、関係官庁に対しては
 全滅状態となった漁業の復興を
 はかるため、低利資金の導入を
 要請することになった。
復旧作業は地元消防団や応援の住
田町消防団千五百人と被害を免
れたしみ三千五百人、陸上自衛隊
船岡建設部隊一個中隊五十三人を
中心に懸命に進められている。消
防、自衛隊は二級国道の障害物除
去に働き、二十五日夕刻までに長
砂から末崎に至る七キロの開通に成
功、市民の方死体は被災者の家屋
清掃、家財、衣料などの整理を分
担している。

陸の孤島とける 宮古—釜石間も開通

山田 津波の襲来とともに
周囲との連絡を絶たれ陸の孤島と
化した下閉伊郡山田町は、二十五
日午前六時五十六分釜石からの列
車が到着、続いて住持三十三分豊
間根まで開通被災者たちはようや
く生色をとりもどした。
 手がつかなかった家財道具の整
 理も朝からの好天にはかどり川
 で洗う者、道路や屋根裏に雑多
 なものを並べて干すものなど、
 町内一ぱいににぎやかな風景。
国道は自衛隊懸命の活躍で高浜小
前の決壊箇所は二十五日午後四時
二十五分に仮りの橋が完成して宮
古から山田までの自動車連絡がつ
いた。折笠地区の家屋倒壊による
不通箇所も、自衛隊員六十二人が
二十五日諸語に家屋の取り除き作
業を開始しており、二十六日から
通られる見込みで、宮古—釜石間
の国道は三日ぶりで開通する。

港湾作業を再開

釜石 釜石地方の被害地は
二十五日好天に恵まれて復旧作業
はようやく軌道に乗り、釜石港の
釜鉄荷役作業や魚市場は二十五日
朝から業務を始めた。釜石市災害
対策本部は、二十五日須崎—日浜
線の復旧工事のため自衛隊五十人
の派遣を要請、また県を通じて■
住居町片岸の冠水水田三十ヘクタールの防
波堤六百五十メートルの補修のため、自
衛隊機械科部隊の出動を要請した
さらに同市片岸地区の苗代が全滅
したので遠野、宮守に苗の補充を
依頼した。市内の被害調査も着々
進み、鈴木市長らは被害写真と陳
情書を持って一両日中に上京し、
関係機関に復旧促進を陳情する。

廃船は爆破処分

大槌 上閉伊郡大槌町には
二十四日先着した岩手駐とん第九
特科連隊八十八人のほか、二十五
日には胴体三大隊の主力百二十人
が加わり、機動力をフルに利用し
て木材、家屋などの整理、陸上に
打ち上げられた漁船の運搬や爆破
作業で地元民から感謝されている
胴体は大槌中講堂に宿泊、一週間
にわたって同町■渡、大須賀、雁
舞道の三地区の木材、家屋などや
水田約十ヘクタールの復旧整理に当たるが
二十五日は雁舞道地区二級国道に
乗り上げた二十七トンの廃船をダイ
ナマイトで処分した。

募金運動にも熱意 中学生も整理の手足に

宮古 宮古沿岸で最もひど
い被害を受けた高浜地区の被災者
は、予告なしの津波のため着のみ
着のままで避難し家財道具など流
失した。しかも同地区は五年続き
のノリ不作でどん底生活にあえい
でいた矢先であり、市民は深く同
情、市主婦連の義援金品募集にも
積極的に協力している。市の災害
対策本部はとりあえず食糧と衣類
の■給に重点を置き、シャツ、ズ
ボンを市内の衣料品組合を通じて
確保、さらに住宅は千六百五十二
平方メートルの敷地を物色して早急に仮
り住宅を建設する。
 二十五日の被災地は早朝から市
 消防団、地元青年会、自衛隊員
 宮古水産高校、宮古高、河南中
 学の生徒、婦人会員ら約二千人
 が崩壊家屋の取り片付け、半壊
 家屋の修理、漂流家財道具の収
 集、決壊道路の補修なと復旧作
 業に活躍した。

チリでまた強い地震

【サンチアゴ二十四日発UPI=
共同】チリ内務省は二十四日夜「
チロエ群島のケンチョウ島を震源
地とする震度七の強い地震が二十
四日午後六時二十分(日本時間二
十五日午前八時二十分)チリを襲
った」と発表した。

死者は五十三人 県警本部確認行くえ不明なお九人

県警本部が二十五日午後二時現在
確認した各地の死亡者と行くえ不
明者次のとおり。
【死亡】=五十三人=
◇陸前高田市 ▽小友町三日市教
 員佐藤マサ(四四)▽同農業吉田み
 ゆき(四七)▽同農業千葉勇四郎(七
 三)▽気仙町松原市役所職員蒲生
 忠義(三一)▽同日■阿部マツノ(三
 六)▽高田町中宿農業金野彦七(七
 七)▽気仙町高田松原無■岡本留
 之助(六九)▽同市矢作打越無職村
 上八重吉(八二)
◇大船渡市 ▽大船渡町字新田港
 務長長蜂谷仁(四〇)▽同新田店員
 松田きく(二六)▽同無職熊谷りつ
 子(二二)▽同無職佐藤とみ(一九)▽
 同事務員江口みよ子(二三)▽同会
 社員水野岩男(三五)▽同無職照井
 生(三四)▽同店員鈴木一男(二一)▽
 同八木正規(一〇)▽同山口ミエ子
 (四才)▽同町字台町土工及川清(三
 〇)▽同及川勝男(五才)▽同泉田た
 き子(六才)▽同店員小山浩平(一九)
 ▽同日建建設社員林伸(三六)▽同
 町字赤沢花川勝徳(一二)▽同町茶
 屋前無職栃内こと(六三)▽同熊谷
 昌二(一一)▽熊谷あやの(一四)▽
 同無職熊谷はつえ(三六)▽同美容
 師佐藤淑子(二一)▽同事務員泉田
 京子(三二)▽同飲食業八木ヤスエ
 (三九)▽同女給小松ヨネ(一九)▽同
 旅館業吉田イマ(三一)▽同字木山
 日■田中一郎(三〇)▽同町字野々
 田履物商石川良平(三八)健二(八才)
 弘子(六才)▽同無職新沼あさの(七
 九)▽同町上山平田幸男(一五)同市
 赤崎町生形無職山口あやめ(四八)
 同▽無職佐藤イサ(六七)▽同市盛
 町内の目花川シゲ子(三八)▽同市
 末崎町旅館業熊谷秀一」(六〇)ムツ
 子(九才)▽同女中高橋カツ子(二七)
 ▽大船渡町新田無職佐藤チヨ(五
 四)▽同市南町無職佐川キョウ(六
 〇)▽同市大船渡町新田会社員鈴
 木誠一(一九)▽大船渡町茶屋前志
 田和子(年齢不詳)▽盛町内ノ目
 花川正光(九才)▽大船渡町大束町
 字大原女中佐藤トミ子(年齢不
 詳)▽同町大原無職金野トキ子
 (一六)▽青森県生まれ住所不詳事
 務員船越勇三(二二)
【行くえ不明】=九人=
 ◇宮古市▽高浜金森和助(四九)◇
 大船渡市▽大船渡町字南町バー
 テン白崎正(三一)▽同字新田水野
 田一(一才)▽同水野幸子(四才)▽同
 松田洋二(二才)▽同町字茶屋前千
 葉勇(六才)▽山口サワ(年齢、住
 所不詳)▽日頃市町船野村上栄
 吉(一九)▽大船渡町新田鈴木むつ
 子(二才)

ゆらぐ香煙に涙を新たに 45遺体の通夜

思いがけない災害に一瞬にして尊
い命を失った大船渡町地の盛の西
光寺に収容され、二十四日夜から
西光寺裏の加増場と盛町沢川の火
葬場で火葬にされた。二十五日夜
は西光寺本堂に遺骨や遺体を運ん
でしめやかに各家族の通夜が行な
われたが、白木の寝棺にはめられ
変わりはてた肉親やわが子に「早
く逃げればよかったのに命さえあ
れば……」と合掌し、香煙にむせ
ぶ姿がみられた。とくに大船渡町
野々田みどりカバン店の石川さん
宅は主人の良平さん(三八)子どもの
健二ちゃん(八才)弘子ちゃん(七才)の
三人を一緒に失い、また同町茶
屋前大船渡モーターでは主人の熊
谷源治さん(四八)を残しただけで、
奥さんの初枝さん(三六)子どもの綾
子さん(一四)昌二君(一一)睦子さん(一
二)を失って、ぼう然自失の姿は関
係者の涙をさそった。

チリ津波義援金品 25日

▽五千円、盛岡市大沢川原第一、
第二子ども会▽五万円 衆議院議
員鈴木善幸▽三万円 仙台急行運
送社長西条繁雄▽五千円 京都市
池の坊大学▽一千円 日詰ヒノヤ
タクシー従業員一同▽一千円 農
林省岩手統計事務所慈善会▽一千
円 盛岡市紙町東野光一郎▽一千
円 花巻温泉瀬川政雄▽一千百円
■温泉秀山荘従業員一同▽一千円
盛岡市成瀬商店従業員一同▽二万
円 盛岡市大北証券株式会社▽三
千円 盛岡市新庄田中川村栄一▽
二千円 盛岡市大北証券社員一同
▽一千五百円 盛岡市上田中市陸
造▽千五十円 盛岡市県郷土開発
青年隊▽百円 盛岡市内丸佐藤英
雄▽ミカンかん詰五十箱 盛岡市
上田村上喜兵衛▽衣数四十点 盛
岡市大清水小路及川キク▽毛布五
十枚 盛岡市川徳社長川村徳助。

三陸地区の津波による御被害を
受けられた方々に、謹んで御見
舞を申し上げます
 五月二十六日
  久保田鉄工株式会社

津波によるご被害を
謹んで お見舞申し上げます
時計はセイコー
精工舎

津波災害御見舞

 岩手県の皆様、この度は「チリ津波」により多大の被害をこう
むられた由、心から御見舞申し上げます。思いもよらぬ津波によ
り被害を受けられた方々には何かと御難儀のことでしょう。
お察し申し上げます。一刻も早くたちなおり、平常に復されるよ
う心から念じております。
なおお手持ちの弊社電気品(モートル、家庭電気品等)が津波に
より御不自由をおかけ致しております節は、最寄の弊社営業所、
販売所、出張所、またはお買上げの電気店、日立モートル・スト
ール チェーン・ストールへお気軽に御相談ください。
 株式会社日立製作所
 日立家庭電器販売株式会社 
 日立家庭電器月賦販売株式会社

この度の津波により被害を受け
られましたヤクルト愛飲者のみ
なさまに対し心からお見舞を申
上げます。
 昭和三十五年五月二十五日
 株式会社 ヤクルト本社
 東北ヤクルト協会
 ヤクルト宮古営業所
 ヤクルト釜石営業所
 ヤクルト大船渡営業所

水害地方面トラック便

 仙台急行運送株式会社盛岡営業所
 盛岡市仁王資格町■■①四七九三②八二〇四
一、大船渡方面気仙沼〜高田〜大船渡
一、仙台より■■塩釜〜志津川〜石巻〜女川
一、大船渡より中継〜三陸村〜釜石
 ▼なお流失等に依り配達不能の場合は■■■■■■申上げま
す。救援物資輸送に御■用下さい。

津波に依る御被害を謹んで お見舞申し上げます

弊社各特約店及び営業所では日頃の御愛顧にお■いするため被
害ミシン・編機。電気洗濯機の調整を無料奉仕いたしておりま
す。御遠慮なくお申越し下さいませ。
昭和三十五年五月二十五日
ブラザーミシン 販売株式会社
岩手県大船渡市駅前 TEL■■■7
佐藤ミシン商会
岩手県宮古市■■■ TEL2■■■
中島ミシン店
岩手県釜石市■■二丁目 TEL1537
ブラザーミシン釜石営業所
宮城県気仙沼市八日町 TEL1657
ブラザーミシン気仙沼営業所