義捐金相次で集る 昨日現在で五萬四千圓
持永知事はじめ松本伊勢新聞社
長らを發起人とする震災罹災者
救護の義捐金募集は早くも十三
日現在で五万四千円に達しいづ
れも大口ばかりで小磯首相から
の一万円をはじめ
十三日に受託を終つたものは
中部日本新聞からの一万五千
円、毎日新聞の一万円、大阪
府此花区岡貴島南之町七三の
府会議員藤井彌十郎氏からの
一万円
などである
衣類は一戸一点
伊賀路で募集準備
縣市長会、町村長会、翼賛会縣
支部ならびに本社主催の震災罹
災者寄贈衣類募集運動に呼應し
て伊賀地方事務所では十二日阿
山、名賀兩郡町村長、上野、名
張兩警察署長、靑少年團幹事、
日婦兩郡支部長らの会同を求め
同運動の具體策に關し協議した
結果、各町村單位に町村を中心
に日婦靑少年團を動員して一戸
一點づつ供出運動を協力に展開
し第一次は十八日、第二次は二
十五日までに■■を報告すると
ともに現品を纏めて地方事務所
へ送付することに決定した
津市 募集の要領は町内会
隣組、學童を通じて市民の協力
を望み婦人会員が取纏めて各組
毎に班長の手許に取纏め班長は
來る二十日御前九時から午後三
時までの間に各聯合班の國民學
校に取纏める、蒐集衣類の種別
を男女、大小、雜の五種類に分
けて取扱ふ
紀 州 に 咲 く 救護美談三篇 災害現塲に拾つた紀北地方の 救護美談
【其一】尾鷲町警防團長北川藤
作氏は災害當時食糧營團尾鷲支
所に勤務中で男手のない自家は
一物も持出し得ず流失したがわ
が家を顧みず職塲から直に團員
を配置し町民の避難指揮に當つ
て職責をつくし連日不眠不休の
激務に風邪に冒され再三團員が
休養を促しても退かず涙ぐまし
い敢闘を續けて町民から感謝さ
れてゐる
【其二】尾鷲町警防團員で第二
嘉壽丸船長澤田龜太郎さん
(三九)は海上班を分担、わが家
の流失を尻り目に勇敢にも妻
を機關士として被害町村への
必需物資の海上輸送に危險を
冒し夫婦が身をもつて挺身、
罹災者食糧給與に見事に成功
した
【其三】各地の災害が罹災地へ
る救援隊を阻止してゐるのを目
撃奮起した協和会支部尾鷲会員
をはじめ遠藤勇氏を隊長とする
土木建築牟婁支部会員は一致協
力して徹宵奉仕し一夜のうちに
復舊させて救援隊の便ならしめ
る殊勲を樹てた
倒れた家から勇躍出征 母失ふも紀北の若人は凛然
このほど北牟婁郡三野瀬驛發列
車で鄕黨の歡呼を浴び名譽の出
征をする若人があつた、〝海ゆ
かば〟の齊唱に三野瀬村三浦出
身、中野公郎君は紅顔を緊張さ
せて
皇國の重大時局に際会し日本
男子として出征するは男子の
本懷、入團の曉は必ず敵を撃
滅します
と元氣一杯に挨拶して出發した
公郎君は海軍志願兵として入團
前紀北を襲つた津波に同家も災
禍に見舞はれ母さいさんは出産
中に罹災に倒れ赤ん坊はヘソの
緒を切つて難を逃れた、家は壞
れ母を亡つても公郎君は凛然と
してこの悲しみを踏み越えて奮
起した姿に鄕黨の人々も、これ
位の罹災でへこたれてたまるか
と逆に勵まされ復興に必勝一路
の道へ邁進を誓つた
衣 類 品 急 送 紀州方面へ大量
震災災害地にたいする衣料品に
ついて縣では十二日すでに手配
を完了、十三日から發送が開始
されたがいづれも衣料切符不要
の新品ばかりで被害の中心地で
ある紀州方面の流失あるひは全
壞の家庭に重點を置いて配給さ
れる、なほこれは復興本部の被
害中心地にたいするとりあへず
の對策で罹災者の窮状は來るべ
き嚴寒とともに衣料品はかくこ
とのできないものであり、どれ
だけでも要るので縣市長会、町
村長会、翼賛会縣支部ならびに
本社らの主催で罹災者へ贈る寄
贈衣類について縣民の義心によ
る隣人愛の發揮が要望されてゐ
る
男子用シヤツ八千枚▲婦人用
襦袢三千枚▼子供用シヤツ六
千枚▼男子用ズボン下八千着
▼子供用股引二千四百着▼猿
股八千枚▼ズロース二千五百
枚▼腰巻二千八百枚▼ベビー
下着二千枚▼タオル一万枚▼
ネル一万人分▼繃帶代用生地
( 金 巾二、三号)二万人分
▼足袋八千足▼学童服男女各
二千着▼毛布五百枚▼作業衣
(男上下)五千五百着▼男子
用作業ズボン三千五百枚▼女
子用作業衣(上下モンペ型)
五千五百着▼男子用作業シヤ
ツ三千五百枚▼軍手二万双▲
靴下千二百足▼縫糸二十貫▼
■衣生地(ネルー百二十一反
縞織千五百反)
警防團員も殉職 隣人を助けて遂に絶命
北牟婁郡錦町の警防團員西村兵
次郎さん(四一)は今回の震災によ
る津浪のさい一たん待避したが
附近に西村嘉吉さん方の家屋が
倒壞して嘉吉さんが救助をもと
めてゐるのを見てわが身の危險
を忘れ敢然救助に挺身したが再
び押し寄せた津浪のため殉職し
た
震災者へ見舞金 神都の對策進む
宇治山田市の災害復舊は市と警
察署との協力により万全の對策
が講ぜられ殊に市民の旺盛な復
興の意氣と相俟つて着々進捗し
全壞および半壞など應急修理の
利かない建物はあと廻しにして
最も急を要する住家の應急對策
用資材を急速に配給、これが應
急修理を進めてゐる
なほ市では取敢へず罹災死亡
者および家屋の全、半壞者に
弔慰金および見舞金を贈るほ
か軍人遺家族の罹災者に對し
ては別に銃後奉公会から見舞
金を贈る
罹災者の免税に 大藏省から來縣
震災罹災者に對する租税免税を
行ふため大藏省原書記官、鹽崎
司税局事務官、荒井專賣局事務
官、金子財務局直税部長ら一行
は十三日來津した
鄕 土 短 信
上 市常会で罹災者救護
對策 市常会を十四日
野 開催、震災者救援具體
策を協議する
鈴 罹災者に一戸一點の
鹿 衣類を 地方事務所で
郡 は郡町村長会、大政翼
賛会支部等が主體となつて縣下
の震災地方へ衣類を寄贈すべく
十二日根本方針につき協議した
結果郡内各戸は一點づつとし十
八日までに地方事務所に取まと
める
震 災 罹 災 者 へ 寄 贈 衣 類 募 る
去る七日本縣を襲つた震災は相當な被害があ
り罹災者の窮状洵に同情に堪へないものがあ
ります、これが救助の一端に資するため縣民
の義心に愬へ寄贈衣類を募ることになりまし
た、婦人會と靑少年團が頂きにまゐりますか
ら縣民各位の切なる御同情をお願ひします
一,實施期間 十二月十一日から三十一日迄
主催 縣 市 長 會、縣 町 村 長 會
翼賛會縣支部、伊勢新聞社