思わぬところに被害 チリ地震津波の落とし物
ざっと六千万余万円
荷主はガックリ 川筋に流木ゴロゴロ 釧路
二十四日のチリ地震津波は本道の太平洋岸各地に大きな影響を与えたが、流木捜しに大騒ぎ
したり、スルメやコンブが水びたしになったり、釧路港の水深が変わったのではないかと心
配されるなど、思わぬところにとんだ被害も少なくなかったーー。
[釧路]チリ地震津波のために五
千八百立方メートルの原木がどっと流
失、釧路港はいまこの拾材やら、
被害補償やらで開港以来の大騒
ぎとなっている。流失した原木は
■出のためにイカダ組みしていた
道産材と移入ラワン材で、その損
害は三輪運輸の天寧、城山の各土
場で道材千二百六十五立方メートル、ラ
ワン八百三十四立方メートル、日本通運
で道材八百九十二立方メートル、中野運
輸道材百三十八立方メートル、ラワン千
六百十三立方メートル、釧路木材倉庫で
八百三十四立方メートルと四社合わせて
約五千五百七十五立方メートル、六千五
百万円(流材対策委調べ)となっ
た。
これは十勝沖地震当時にくらべ
はるかに大きく、津波当日は港
内、釧路川筋は原木がゴロゴロ
と浮かんでいた。四社では荷主
と図ってさっそく流木対策委
員会を釧路地方木材組合内に設
け「拾材」と「整理」「保険」
の三部門で活動をはじめた。
拾材には三輪、日通などが共同で
発動機船と人夫を出し釧路港の臨
水地帯を回っているが、津波当日
あれほど浮いていた原木がどこへ
流れて行ったかさっぱりわからな
いので、どのくらい回収できるか
見通しがつかないという。また釧
路川の上流に押しあげられてアシ
のジャングルの中にもぐりこんで
しまったものは、かえって拾材費
の方がかかるので放置するといっ
た始末。
問題は六千五百万円の被害者は
だれかということになるが、や
はり荷主の打撃が一番多いよう
だ。荷主はイカダ保険をかける
のが常識であるが、保険をかけ
ないのも相当ある見込み。保険
をかけているイカダはその金額
の七割五分が荷主に返ってくる
ようだが、保険をかけていない
場合は荷主の損害だけにするの
はしのびないとする扱い商社も
あるようだ。二十数社にのぼる
荷主はやきもきしている。
釧路港の水深に変化?
[釧路]チリ地震津波で釧路港の
水深状態が変わったのではないか
と二十五日から釧路市、釧路開発
■■部が調査に乗り出した。この
津波はいままでの大シケでもびく
ともしなかった釧路港のライト・
ブイを港外二キロ沖まで引きずり出
すという猛威をふるったが、この
大きな力が港内をかきまわしたう
え、釧路川の土砂を相当運び出し
て港内を埋めたものとみられてい
る。
第一日の作業では釧路川河口付
近は三メートル前後と海■と比べて変
化は認められず、河口付近は
漁船航行が危険でないことがわ
かったが、その他の■■の水深
調査は二十六日はガス襲来で中
止したため、二十七日以降に行
なわれることになっており、港
央部の大型船停泊指定地(水深
九メートル以上)の水深はいまのとこ
ろどうなっているかわかってい
ない。
なお二十八日正午(予定)には釧
路港をラスト・ボートとする日本
商船のニューヨーク定航の■田丸
(一〇、五六〇重量トン)が合板三百
トン積み荷のため入港することにな
っており、同船は喫水予定が八メートル
で指定泊地との差はわずか一メートル
「大丈夫とは思うが、大事をとり
たい」と調査を急いでいる。
倉庫のスルメが水びたし 函館
[函館]二十四日の津波で函館
の臨港地帯は大きな被害を受けた
が、すっかり水びたしになった
倉庫では跡始末に忙しい。ぎっ
しり積まれた荷物の底の方をやら
れたため、まず上の荷物を取り除
いてからぬれたのを運び出す。こ
の手間が大変だ。塩などのように
とけてしまったものは仕方がない
にしても、干して使えるものはな
んとかしなければ……というわけ
でスルメやコンブなどはせっかく
の包装をといて干し直し。
スルメの場合、相場への影響もあ
って業者たちは被害を伏せている
が、在庫四万俵のうち五、六千俵
がぬれたり、しめったりして被害
は一千万円を下らないだろうとい
われている。しかも最近相場がパ
ッとしないとあってはふんだりけ
ったりで「干し直すと一級品も
二、三等下がってしまうから痛手
は大きい」と業者の表情は暗い。
津波災害義援金品 二十七日受け付け
◇本社扱い
四百五十円 札幌一条中学一年六
組生徒
九千六百七十八円 札幌ボーイス
カウト
六百円 札幌 矢部英行
一万三千百五十円 札幌清華園従
業員一同
五百円 札幌 真下信行
五百二十円 札幌通信病院五階患
者一同
七百円 札幌 松本健
五百十五円 同 今真弓
二万円 同 匿名
五百円 同 米田利雄
三百円 同 巻田祥子
二万三千十円 同 啓明中学職員
生徒会一同
五百円 小樽 高橋文子
日計 七万四百二十三円
◇函館支社扱い 十万四千円
◇旭川支社扱い 千円
◇釧路支社扱い 六万三千六百十
六円
合計 二十三万九千三十九円
累計 六十三万四千九
百四十二円
◇本社扱い 十二件
衣類三包 札幌 一条中学一年六
組
同 一包 同 菊地
ソーセージ二百箱、カン詰め四百
ケース 大洋漁業株式会社社長中部■
吉
衣類 一包 札幌 匿名
同 一包 同 小川哲子
同 一包 同 三浦勘之進
同 一包 同 巻田祥子
同 一包 同 橋本トシコ
同 一包 同 匿名
同 一包 小樽 小林淳子
同四十点 同 昭和高校生徒会
同二十二点 同 高橋文子
◇函館支社扱い 一件
◇釧路支社扱い 十件
累計 二十八件
慎んで津波による災害の
お見舞を申し上げます
富士製鉄株式会社