家庭 災害後はこんな注意を 起こりやすい病気とその予防法
二十四日の大津波で全国的に大きな被害が出ました。本道
でも浜中村字霧多布をはじめ、釧路、広尾、浦河などもひどい
被害をこうむりましたが、こうした災害のあとでは恐ろしい
伝染病が発生しやすいといわれます。これからは洪水なども
起こりやすい季節にはいります。「環境衛生に十分注意して
ほしい」と札幌市中央保
健所長渡辺進氏は「災害
後の衛生」について、つ
ぎのようにいっていま
す。
生水は絶対さける
ー赤痢、腸・パラチフス、破傷風が多いー
畳はクレゾール液でふくこと
大きな天災のあとにはいろいろ
な伝染病の発生する恐れがありま
すし、またどうしても水のついた
家を整理して、これからの生活を
はじめる準備をしなくてはなりま
せん。
こんどのような津波や洪水の場
合にまず予想される病気とその予
防の方法をあげておきましょう。
井戸は必ず消毒
1腸管系伝染病 赤痢、腸チフ
ス、パラチフスなどが最も心配さ
れる病気です。水がひいて数日す
ぎるとポツポツ出てきます。下痢、
発熱など、からだのぐあいが少し
でも悪かったらすぐ医師に連絡し
て薬をのんでください。とくに注
意したいことは
(イ)生水や生のたべものは絶対
口にしないこと。
(ロ)井戸は必ず消毒してから使
うこと。
(ハ)水のついたものは食べない
こと。野菜なども水に浸った場合
はたくさん細菌がついているの
で、サラシ粉の上ずみ液を五十ー
七十倍にしたもの、または次亜塩
素酸ソーダなどでよく洗ってくだ
さい。
(ニ)汚れたものをつかみますか
ら手洗いを励行してください。三
パーセントクレゾール石けん液または二
百ー三百倍逆性石けん液を用い
ます。使ったあとは家の中のふ
き掃除に用い、また便そうに捨て
て少しでも消毒に役立てます。
(ホ)腸チフス、パラチフスの予
防注射をうけてください。
(ヘ)ハエの発生をできるだけ防
ぎましょう。
傷の手当怠らずに
2破傷風 土の中にある破傷風菌
がこんどのような場合、よく手や
足の傷口からうつります。高い熱
が出て、けいれんが起こり、水が
のめなくなって死亡する非常に恐
ろしい病気です。伊勢湾台風の際
にも多数発生しました。小さい傷
でもオキシフルやヨードチンキ、
赤チンキなどで手当をするか救護
班に連絡してください。
3その他 からだのつかれと寝冷
えが病気の原因となります。ビタ
ミン剤や食べもので力をつけると
同時に、夜は冷えますから寝冷え
をしないよう十分気をつけてくだ
さい。
消毒はサラシ粉で
つぎに水のついた家と家のまわ
りの処置です。適切は方法は家族
を病気から守ってくれます。担当
保健所や市町村でもそれぞれ指導
していますが、大体つぎの要領で
行ってください。
1井戸の消毒 どの井戸にも細菌
がたくさん流れこんでいます。水
をかぶった井戸は、井戸の壁など
にも細菌がたくさんついています
から、水量の五百分の一に当たる
量に五パーセントクロール石灰(サラシ
粉)水を投入し、十二時間以上放置
してから井戸がえをします。塩水
のはいったときは、できれば二度
行ないます。その後新しくわいて
きた水には、前記の五パーセントクロール
石灰水をわずかで結構ですから
投入し、かきまぜて三十分以上た
ってから使用します。この方法を
毎日一ー二回一週間くらいつづけ
ます。五パーセントクロール石灰水は、一
升びんで作ると水一・八リットル(一
升)にサラシ粉0・0九リットル(五勺)
の割合で入れ、その上ずみ液を使
います。サラシ粉の代わりに次亜
塩素酸ソーダ液を用いるときは、
水0・一八キロ・リットル(一石)に対し
液三グラム、井戸がえの場合はその十
倍量を使用します。
DDTをまくこと
2家の中 乾かして土砂を運び出
し、畳などをかわかします。でき
れば水のついた部分を真水で洗い
ます。つぎにクレゾール石けん液
を普通手の消毒には三パーセントで用いま
すが、これの三ー五倍くらいの濃
さ(水一・八リットル=一升で、クレ
ゾールさかずき二ー三杯)にして
何度もとりかえながら水のついた
髪、床、畳などのぞうきんがけを
します。これは必ず実行してくだ
さい。逆性石けん液を使うとき
も手洗いの三倍くらいの濃さで
す。つぎに、できればリンデン、
DDTなどの油剤を一平方メートル当た
り五十CCの見当で、水のついた
壁にふきつけ、消毒とハエの発生
にそなえます。畳の下にはDD
T、BHCなどの粉剤を一平方メートル
当たり五十ー七十五グラムまきます。
3家財道具 よく洗ってから日光
でよく干してください。ものに
よってはクレゾールなどでふきま
す。
床下には石灰を
4床下 石灰の粉を全部覆ってま
ばらにならに程度にまきます。
5便所 水の一杯はいった場合
は、いったんくみ出してください。
やむをえないときは井戸に影響
をあてないような相当はなれた
ところに穴を掘ってここにくみ出
し、ふたをしてください。
つぎにオルソ剤(うじ殺し乳
剤)を普通の大きさの便そうで原
液三十ー五十グラムを水で五十倍程度
にうすめて投入します。また便所
の壁にはとくにていねいにDDT
油剤などをふきつけます。
6家の外まわり 床下と同じよう
に、石灰の粉をまくか、または便
所と同様にオルソ剤の乳剤をまき
ます。とくにたい肥場やごみ捨て
場をわすれずに十分液をかけてくだ
さい。