”道も対策本部設置” 町村知事 津波被害を視察
町村知事はチリ地震津波による浜
中村霧多布に被害状況視察のため
二十七日早朝、北部自衛隊機で現
地に向かったが、同日夕刻帰庁、
道政記者クラブで現地の状況とこ
んごの対策をつぎのように語っ
た。このなかで知事は道でも対策
本部を設置する意向をはじめて明
らかにした。
一、予想以上に深刻だ。着のみ
着のままで家財を失った人が多いの
で、応急対策としては、まず住宅
の建築を急ぎ、できるだけ早くコ
ンブ採取などの生業につけるよう
にするため、漁船、海産干し場の
復旧に全力をあげたい。イソ船の
再建には、道の生業資金を融資す
る考えだが、動力船の場合は、国
の高率補助を要望するつもりだ。
また、干し場の再建はいちどには
困難なので、なんとか応急策を講
じたい。霧多布と道本土との間が
切れて、五十メートル幅ほどの海峡にな
ったが、海流などの状況からみて
これを埋めたてて復元するより
は、海峡のままにしておいた方が
よいと思う。もともと明治四十三
年までは海峡だったようだし、大
蔵省の査定官とも相談して、将来
は永久橋で結び、丈夫な防潮堤を
築いて再び災害がおこらぬように
したい。
一、住宅建築を禁止する災害危険
区域の指定は、民生部住宅課長と
地元町村と検討しているが、実際
問題としては、移転補償などむず
かしい問題もあり、慎重に研究し
たい。
一、本道の被害地が浜中村一ヵ村
に集中したため道としては対策本
部の設置をちゅうちょしていたが
現地をみて被害の深刻さがわかっ
たので近く道本部を設置したいと
思う。臨時道議会を招集するかど
うかはもう少し検討したうえで決
める。
一、恒久対策は関係各省との折衝
の関係もあって早急にはまとまら
ぬが、来月二十日ごろまでにはま
とめ、第二回定例議会には間に合
わせたい。
六月十五日ごろ招集
定例道議会で津波対策
道議会常任委員長会議は二十七日
午後三時から第一委員室で開かれ
チリ地震津波災害に対する道の対
策について中島副知事から説明が
行われた。席上、佐々木総合開発
調査特別委員長、二瓶農務委員長
が臨時道議会の招集、道に災害対
策本部を設置しなかった理由など
について道側の意向をただしたの
に対し中島副知事から”災害は局
地的であったので特に対策本部を
設置しなかった。また臨時道議会
の招集は、災害資料のとりまとめ
が六月十日すぎになり、十五日ご
ろに第二回定例道議会を招集する
予定なので、とくに考えてない”
と答弁した。しかし各委員長から
対策本部の設置について強い意見
が出されたので、徳中議長から副
知事に対し、この点を考慮してほ
しいむねを要望、臨時道議会の招
集については議長があらてめて知
事と相談のうえ委員長会議にはか
ることになった。
知事諮問など検討
畜産振興審議会飼料委
道畜産振興審議会の飼料特別委員
会は二十七日、札幌市労農会館で
開かれ、委員長に田垣住雄氏を選
び、道畜産家から「飼料畑は四十
二年度までに二十八万ヘクタール(現在十
五万ヘクタール)に伸ばす。この場合、乳
牛は四十二、三万頭(現在約十五万
頭)飼える。マメ科牧草の増産に
より大家畜の増殖が見込まれる」
などの点について説明が行なわれ
た。この結果、知事から諮問され
た畜産振興対策について、七月ま
でに自給飼料作物の改善策など
を、また年末までに家畜増殖にと
もなう飼料の需給推定をそれぞれ
中間答申することに決めた。
29日、道・東北
主管部長会議
チリ地震
津波災害
で大きな被害をうけた道・東北四
県(青森、岩手、福島、宮城)で
は、災害復旧対策の推進をはかる
ため二十九日、仙台市宮城県庁で
主管部長会議を開き政府に対する
要望事項を協議することになっ
た。
道からは佐々木総合開発企画
本部長が出席するが、道として
はこんどの災害が道路などの公
共土木施設よりは個人住宅、漁
船、漁具などおもに水産関係に
集中していることから、この復
旧対策に重点をおいており、各
県に対しても共同利用小型漁船
建造の八割国庫補助の実現など
を提案、五道県共同の要望とし
て政府と折衝したい意向であ
る。