進まぬ復興対策 浜中村霧多布
[厚岸]一日も早く家を建て、生業につきたいという浜中村霧多布の被災者を力づける復興資材も、漁船建造の補助の見通しもまだつ
かず、連日のようにやってくる国会議員団はじめ視察団は”なんとかする”と受けあっていくが。復興対策はちっとも進んでいない。
資材入荷のびのび
村民の不安つのる一方
こんどの災害で家を失った被災者
はざっと四百八十せたいで、その七
割はイソ舟をあやつりニシンやコ
ンブをとり生活している零細な漁
民で、着のみ着のまま臨時収容所
で復興対策の手を待ちわびてい
る。だが、被災者の願いとはうら
はらに、建築資材の入荷はいまな
おのびのびになっており、二日に
は応急資材二百五十立方メートルのうち
やっと二十七立方メートルが届いたが、
クギ、トタンなどの資材はまだ一
コオリも到着してない。
村役場の調べによると。います
ぐ建てなければならぬ応急住
宅(建坪十六,五平方メートル、建
設費十万円)は百五十七戸だが
建設省の認可は百十戸にとどま
り、四十七世帯のせっぱつまっ
た被災者が寺や学校の収容所で
当分の間生活しなけらばならぬ
という。
こうした状況から被災者の一人田
口留次郎さん(六二)=浜中村字暮帰
別=は「防波堤をつくり災害をな
くしようという国の前向きの姿勢
も必要だが、まずわれわれの家
を、そして生業につける道を講じ
てほしい」と訴え、大山勇さん
(三〇)=浜中村字霧多布=も「われ
われは海でなければ生きてゆけな
い。家もそうだが、船と漁網を一
日も早く補助して、生業につかせ
てほしい」と切実に訴えている。
もっと悲惨なのは島ミサさん
(三五)=浜中村暮帰別=一家だ。
ツエとも柱とも頼む夫の竜二さ
ん(四三)を失い子供六人をかかえ
て”網ひろい”に毎日浜を歩い
ている。悲しみより、生きてゆ
く方法を考えなくては……と語
っていた。
浜中村、浜中漁協組ではこのため
応急住宅のほか公営住宅百戸の建
設計画を進める一方、建築資材の
発送を各地に督励、また生産再開
までの漁船、漁具の購入資金とし
て六千万円を特別立法により補助
してほしいと陳情しているが、い
ずれもはかばかしく進んでいな
い。すでに最盛期を迎えたサケ・
マス漁に、村民の不安と焦そうは
つのる一方だ。
[写真]傾いた家の修理に働く被災者たち
霧多布の友だちへ愛の贈り物 激励の作文や学用品 江差日明小、中校 生徒に父兄も協力
[江差]チリ地震津波で家を失い父
や母を、そして兄弟をなくした不
幸な友だちに暖かい愛の手と激励
の作文を送ろうと日明小、中の生
徒会が提唱、父兄も感激して協力
二百点からの心のこもった贈り
物がまとまり二日現地に向けて
発送した。江差町日明小、中学校
(名達孫一校長)の生徒会には七
つの委員会があり、その一つであ
る新聞委員会(委員長加藤文明君
=三年)で二十五日の北海道新聞
紙上に津波で三陸方面と北海道は
浜中村と霧多布村が大被害を受け
たことは報道されてあるのを見て
早速このニュースを切り抜いて各
委員会に回覧させた。これと同時
に”大津波にあった私たちの仲間
を助けよう”との号外を発行して
全校生徒に呼びかけた。
生徒会(会長丸井信行君=三
年)でも緊急総合委員会を開い
て協議の結果、二十九年の十五
号台風に引きつづき昨年の十四
号台風のとき自分たちにもたく
さんの暖かい贈り物が各地から
届けられた。このご恩返しのた
めたとえ鉛筆一本、消しゴム一
個、ノート一冊でも自分たちの
手で送り、できる限りの力にな
ろうではないかと話し合いがま
とまった。
そこでこの話を家庭に持ち帰り
父兄に相談したところ子供達の
真心に打たれ、学用品や衣類など
を各自に出し合い一日までに二百
点以上の愛の贈り物ができた。こ
れに同校の小、中学生が「気を落
とさずに力強くがん張ってくださ
い」と激励の作文百数十通を添え
て二日霧多布の気の毒な友だちあ
てに発送したもの。
津波災害義援金品 三日受け付け(敬称略)
◇本社扱い
一万円 札幌 大学婦人協会札幌
支部
一千六百八十円 同 北大看護生
一同
三百円 同 匿名
一万四千百二十八円 同 幌北七
区母と子の会
六百円 同 匿名
百円 小樽 稲田武美
百円 夕張 道新一読者
一万三百八十円 札幌 西区第一
分区朗生会
六千二百四十五円 同 光星学園
生徒会
三千五百五十円 同 北野家従業
員一同
八百十円 同 二条小学校三年二
組、三組
三千円 同 円山飲食店組合
一万一千六百四十九円 豊平 月
寒中学校学友会
六百十円 室蘭 文化服装学院研
究科一年一組
一千円 静内 静内町春立青年会
三百十一円 喜茂別 栄中学校生
徒会
二千円 余市 小嶋病院
三千円 小樽 小樽洋服商組合一
同
四千円 同 長橋中学校生徒会
一千円 同 田中善作
日計 七万四千四百六十三円
◇函館支社扱い 二万三千四百六
十六円
◇旭川支社扱い 二万二百七十円
◇釧路支社扱い 四万四千二百九
十九円
合計 十六万二千四百九十八円
累計 百九十六万二千
四百九十四円
◇本社扱い 二十九件
衣類一包 札幌 背尾
同 同 小林達也
衣類一包、くつ 二箱同 重住文
男
衣類一包 同 東園小学校五年六
組
衣類十点 同 藤井秀松
衣類一包 同 坂倉智恵子
同 同 山本春子
同 同 河野美津子
同 同 菊地律
同 同 川又文子
同 同 三塚英子
同 同 匿名
同 同 中沢きくえ
同 豊平町 吉村久子
同 二包 札幌 畑美恵
同 一包 匿名
同 三包 匿名
同 二包 同 札幌被服工業株式
会社
同 一包 同 加藤真千子
同 四包 同 二条小学校三年二
組、三組
同 一包 同 堂敏恵
同 四包 豊平町 月寒中学校学
友会
衣類二包 室蘭 平林正一
同 四包 美唄 東高校主婦会
同 一包 倶知安 倶知安林務署
婦人会一同
くつ七足 小樽 匿名
衣類百七十点、くつ七足その他
同 長橋中学校生徒会
衣類二包 同 小野静枝
◇函館支社扱い 六件
◇旭川支社扱い 九件
◇釧路支社扱い 二十八件
累計 四百三十件