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チリ津波の被 害県に見舞金

天皇、皇
后両陛下
は二十七
日午後四時、チリ地震津波で大き
な被害を受けた宮城、岩手両県と
北海道にそれぞれ見舞金として金
一封を贈られた。

災害対策抜きで観劇
全国市議長総会に批判の声
●面所報=全国市議会議長会は二十六、七の両日、五百三十六市の正副議長さんたち千三百六十六人(事務局調べ)が出席して第三
十六定期総会を開いたが、二日間の実質的な審議時間はわずか三時間、あとは観劇やら物見遊山にふけっていたというので批判の
声が高まっている。しかも遊び賃もふくめて千五百万円もの血税を使いながら、太平洋岸の諸地域が”チリ地震津波”で大きな被害
を受けているのに、その対策も協議しなかったという点で、なんのための総会かと議長さんたちの良識が疑われている。
この総会は昭和七年から原則とし
て年一回開かれており、こんど東
京九段会館で開かれた総会の第一
日には永年勤続議員五百八十四人
に金ばり記念バッジ(一個千五百
円)を贈って表彰、都市近代化の
根本策や本年度予算など八件を質
疑もなく可決、ブロック提出議案
二十七件などを審議したが、ノン
・ストップの特急なみの議事の運
び方だった。第二日も午前九時か
ら一時間足らずで議案を採決、新
役員を承認して全日程を終わると
いうぐあいで、二日間を通じ実質
的な審議は三時間足らずだった。
 しかもこの総会にはこんどのチ
 リ地震津波で被害を受け、災害
 救助法を適用されている市の議
 長さんたちも参加していたが、
 災害復興対策は全然話題にのぼ
 らなかった。とかく議員さんた
 ちの会議や出張は”血税の浪費”
 として批判のマトとなる例が多
 いが、みんなが災害復興に汗を
 流している最中だけに、これで
 は議長さんたちの良識も疑われ
 るというわけ。
救助法を適用された釜石市(岩手)
の加茂議長に意見を求めたところ
「議会で対策を論ずるより、議長
会の中にある国会対策委の委員に
呼びかけた方がよいと考え、裏で
工作している」といって逃げてい
た。
 アッサリ二日間の総会を終わっ
 た一行は、都バスをつらね新橋
 演劇場へ。酒つきの折詰め弁
 当を手に四時間余り新派の舞台
 を楽しんだ。観劇中の尾鷲市
(三重)副議長の中森さんは
 「議員たちが会場に出てきて、
 芝居見物では批判する向きもあ
 ろうが私たちはそう考えない。
 年一回の会合は懇親の意味でも
 非常に有益だ」ともらしていた。
また全国の市議さんたちは六月四
日から一週間、伊東市で議員野球
大会を開く。この大会に対しても
公衆の補助を受け大名旅行するこ
とが許されるのかーーと世論の風
当たりはきびしい。
 市議会議長会は各市の分担金を
 中心に運営しており本年度予算
 にはこの分担金収入が千七百六
 万円組まれている。分担金が住
 民の税金であることはいうまで
 もない。
 二重の議論避ける
 津村市議会議長会長の話 全国
 の議長たちは、こんどの総会で
 議題になった問題については、
 事を知っているので議論の余地
 がないのだ。災害復旧対策が議
 会の議題にならなかったのは、
 総会前日の二十五日に理事会で
 被災者対策の要望を決めている
 ので、二重になることを避けた
 ためだ。
 慰安以外考えられぬ
 春野鶴子全国主婦連副会長の話
 審議は簡単、あとは芝居見物と
 いう議会では、私たちには慰安
 旅行としか受け取れません。津
 波被害が全国に及んでいるとき
 一番活躍してもらわねばならな
 い議員さんたちが、その問題に
 一ことも言及しないようでは住
 民の代表といえるでしょうか。

 日脳、赤痢が発生  チリ津波被災の尾鷲に

【尾鷲発】チリ地震津波被害地の
尾鷲市に日脳、赤痢患者が出た。
向市今町、さし物業日野次清さん
(一九)は二十一日発病、二十六日尾
鷲市民病院で真性日本脳炎と診定
されたが、三重県下初の患者で昨
年に比べ一ヶ月半早い。また同市
須賀利町、漁業中村徳平さん七男
尾鷲高校一年正充君(一六)と賀田町
長谷部要三さん(三六)は二十四日発
病、尾鷲市民病院で診断の結果、
二十六日午後中村君は真性赤痢、
長谷部さんは疑似とわかった。