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感じはゴツいが温厚 登場

◇…一見大宅壮一
と西尾東広をつき
まぜたようなゴツ
い感じだが、話を
すると、なかなか温厚な紳
士。日ごろの重
い口も、専門の
地震と津波のこ
とになると軽く
なる。
◇…「日本の津
波の研究は明治
二十九年の三陸
沖の大地震以来
だから、相当古い歴史を持っ
ている。さらに昭和八年
の三陸沖の大津波の被害、そ
れの研究などで、ツナミは世
界語になってしまった。つま
り日本の津波学は世界で指導
的立場にあるわけだ。ところ
が今度のチリ地震津波は過去
の知識、経験を根本からくつ
がえした。規模も有史以来の
ものなら、ハワイ−日本に大
被害を与えた経路など、すべ
てが初めてのことである。現
地にいって地変の状況、それ
にともなう災害を、この目で
確かめ、地震学の先輩として
技術的救援ができれば幸いで
ある。日本の今後の防災施設
設計にもお役に立つのではな
いだろうか−***のこもっ
た言葉がつぎつぎとび出す。
◇…さて外国の災害地へ政府
が高橋さん以下三人の学術調
査団を派遣するのは初めての
こと、一行は八日羽田を出
発、現地に約一ヵ月滞在、チ
リ大学と共同で
調査にあたり、
その結果を来月
東京で開かれる
第二回世界地震
工学会で報告
するが、期待が
寄せられてい
る。学生時代に
関東大震災を体験したのと
卒業の時、地震研ができたの
が、この学問にとび込んだ動
機になったそうだ。東京都出
身。昭和二年東大物理学科卒。
東大地震研究所長。五十五歳。
−写真は研究所での高橋氏。
チリ地震の調査に向かった
高橋竜太郎
たかはしりゅうたろう
(中央部に写真)