国と地方に協議会 自治省の防災基本法案
自治省は災害対策の総合的整備を
はかるため「防災基本法」の立案
を急いでいたが、このほどその草
案がまとまった。これはさきに内
閣審議会が立法化し、今国会に提
出するばかりになっていた「災害
対策の整備および**に関する法
律案」(災害基本法案)が骨抜き
だったため、四月末自民党政調会
から「これでは立法の意味がな
い」とつき返され、改めて党*か
ら自治省に立案を要請していたも
の。同省がまとめた防災基本法案
は五章四十条から成り、国と地方
団体の防災活動を一本に統一する
とともに災害予防に重点を置き、
必要な体制を整えることを目的と
している。
そのため①中央。地方に防災協
議会を設ける②国、府県、市町
村ごとに防災計画をつくること
を想定し、公転の団体などにそ
れぞれ必要な勧告をする③都道
府県知事に災害の発生で応急措
置の必要があるときはその府県
内の医療、土木建築工事、電力
**関係など民間に対する指摘
命令権を与えることなどをおり
こんでおり、先の災害基本法
案に比べはるかに充実した内容
となっている。
自治省は毎年災害のたびに行なわ
れる財政面での特別立法措置も同
法案の中に含めたい構想で、今月
中旬ごろまでにこれらの条文をま
とめ、次期通常国会に提出したい
意向である。しかし財政の特例措
置には、まだ自治省内の一部に異
論があり、同法案が最終的にまと
まっても各省庁の権限に食い込む
点などから異論の出ることも予想
される。同草案の骨子つぎのとお
り・
▽国、都道府県、市町村の責務=
各**ごとに災害に対処する計
画をつくり、その実施の推進と
その他法律や法令の*定による
災害関係業務を完全に遂行する
責務がある。
▽防災協議会の設置=総理府に中
央防災協議会を置き総理大臣を
会長にあてる都道府県にもそれ
ぞれ防災協議会を置き、知事を
会長にあてる。同協議会の所管
事務局は災害の予報、予防やその
拡大の防止に関し国土、施設や
建造物の状況などの基礎資料の
調査検討、防災基本計画をつく
り、その実*の**、災害が起
こったとき、その災害の情報収
集と救助、復旧などの措置につ
いて各団体の**調整などであ
る。市町村は条例で防災協議会
を設置することができる。また
それぞれの協議会は事務を進め
るうえで必要なときは各関係機
関や関係者に資料の提出、意見
の開陳、その他必要な協力を求
めることができる。
▽防災計画=各防災協議会は毎年
防災基本計画をつくり、または
すでにつくった防災基本計画に
検討を加え、必要があるときには
修正しなければならない。中央
の防災基本計画は①災害の予測
や予防のための措置に関し、防
災実施計画や防災地域計画に重
点を置く事項②災害が起こった
場合、その拡大防止の措置事項
③洪水、高潮、津波、地震また
は大火の区分とその規模に応じ
てとるべき応急措置の基準④そ
の他防災実施計画などの基準と
なる事項で、政令で定めるもの
などの事項について決めるもの
とする。また都道府県、市町村
の防災計画はさらに災害の予報
警報の発令や伝達、非難、救助
その他緊急措置などの計画と災
害が起こった場合の緊急措置に
要する労務、施設、設備、物資
や資金の調達、配分、輸送など
の計画を定めるものとする。
▽防災計画推進のための勧告=各
防災協議会は防災計画を推進す
る必要を認めたときは、各行政
機関や公共機関などに勧告する
ことができる。
▽災害に関する警報などと避難
市町村長は気象庁や都道府県知
事らから災害に関する予報や警
報の通知を受けたときには、それ
を区域内の公私の団体や住民一
般に伝達する。また災害の拡大
防止のため必要と認める区域の
居住者に避難のため立ちのきを
指示、命令することができる。
▽災害に関する応急措置 市町村
長は災害が発生したときは、そ
の拡大を防止するため、水防団
やその区域の市町村職員を指揮
して、区域内の堤防その他の施
設の応急復旧をしなければなら
ない。また市町村長はこれらの
応急措置を実施するため、他の
市町村に対して応援をもとめる
ことができる。応援を求められ
た市町村長はできるだけその求
めに応じなければならない。
▽都道府県知事の応急処置を従事
命令 各府県知事はその区域内
に災害が発生した場合は、その
管理する堤防その他の施設の*
*や、応急復旧の措置を*ずるほ
か、市町村長が応急措置の実施
につき必要を認めて要求したと
きは当該府県の区域内の医療、
土木建設工事、電力、輸送関係
者を応急措置の業務に従事させ
ることができる。