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雑報 巌手縣知事の海嘯報告

本月十五日は天候朝來朦朧として温度は八十度乃至九十度を昇降し平年に比すれば其暖き
こと十度以上にして人々大いに困めり然れども季節の不順なるは梅雨の常として殊に時恰
も舊暦端午の節なるを以て各町村落に於ては或は親戚を訪問し相祝するあり或は友人相會
し宴飲せるありて各★を盡しつヽありしが暮夜に至り數回の地震あり又午後八時頃東閉伊
郡沖合に於て轟然一發巨砲を放ちたる如き饗音ありたれども沖合の鳴動は普通のこと或は
軍艦の演習ならんと信じ更に意に介するものあらざりき然るに其の饗音の歇むや未だ數分
間ならざるに海嘯俄に至り狂瀾天を衝き怒濤地を捲き浩浩として驀地押し寄せ來たり市街
となく村落となく總て狂らん氾濫の没する所となり沿海一帶七十餘里僅かに一瞬間にして
人畜家屋船舶其他擧て殆ど一掃し去れり輙昨日まで家屋櫛比の市街も今や變じて平沙荒涼
となり死屍は累々堆をなし家屋は流壞し滿目一として慘状悽愴ならざるなし其慘状實に戰
慄鳴咽の至りに堪へざらしむ而して其狂瀾の高さは八十尺以上に騰れりと云ふ潮勢の緩急
は固より一定せずと雖も西南に面する處最も暴掠侵害甚し
然るに當日沿海を隔て約二里の遠い沖に漁★せし漁夫等は稍や波浪の高きを覺えたるのみ
にして斯る兇災のありしを知らず陸地に到着して始めて海嘯の被害を知りたりと云ふは奇
と云ふべし
因て避難者救助の爲め警部長をして各被害地を巡視せしめ且つ書記官を東閉伊郡地方に參
事官をして氣仙南閉伊郡地方に収税長を九戸郡地方に派出し指揮を司らしめ而縣屬警部は
氣仙地方に九名南閉伊郡に六名東閉伊郡に十二名南北九戸郡に三名西閉伊郡に一名北閉伊
郡に二名を派遣し巡査百十三名を被害地各署に配置し之に人夫四百五十人を隨はしめ夫々
生存者救助死体取片付等に從事せしむ其他各町村の消防夫及有志者の寄付にかヽる人夫等
を合せて四千有餘人を派遣せり
如此なるが故に醫師の死亡も少なからず適■死を免れたる者あるも藥品器械等皆流失一も
遺す所なし因て不取敢多量の石炭酸★帶綿撤絲等急救用なる救療を爲すこと能はざるを以
て醫師十五名看護人十五名を臨時に雇上げ負傷者救治に從事せしむるも負傷者の多數なる
尚不足を感ずると雖も如何せん當地方醫師の少數なるを以て大困難を來し居る處恰も好し
第二師團より軍医十二名赤十字社より醫師七名藥劑師二名看護人二十八名を派遣せられた
るを以て各被害地に分遣し救治に從事せしめたるを以て大に便を得たり然れども之を以て
未だ充分なりと云ふを得ざりしに又々第二師團より工兵一小隊之に軍醫一名を附せられ又
,A{s≒(不十字社支部より醫師五名看護人一名差遣ありたるを以て工兵は宮古地方に向け醫師
は各被害地に向はしめたり其他被害地近隣の町村より醫師數十名をして治療に従事せしめ
且各被害地より時々請求ある毎に藥品器具等今尚送付しつヽあり然りと雖も田園は荒廢し
家屋は流失し居るに家なく食ふに米なく適■死を免かれたりと雖も今や饑餓の困難に陥り
數日を出でずして死地に就かんとするを以て白米一千石餘を被害各地に送付し是等窮民の
救助に充たり猶各部の状況を概記すること左の如し
氣仙郡は被害各郡中廣★最も廣く被害の部分も少なからず廣田村六ヶ村と稱する所の如き
は水面より鄕木こと五丈餘の所にある民家を碎き激波の爲め數丈の鄕き山頂に船を打揚げ
巡査駐在所は流失し駐在巡査は重傷を負ひ家族六名皆死亡せり大船渡村の如きは沿海十八
丁餘間の電柱悉く折れ小友村は浸害田畑百八十丁歩に渉れり
綾里村の如きは死者は頭腦を碎き或は手を抜き或は足を折り實に名状をべからず村役塲は
村長一名を殘すのみ尋常小學校駐在所皆流失して片影を留めず駐在巡査は家族と共に死亡
せり
越喜來村は巡査駐在所流失し駐在巡査家屬と共に死亡せり而して尋常小學校も流失したれ
ども訓導佐藤陳は妻子の死を顧みず辛うじして御眞影を安全の地に奉置せり
唐丹村は郡内第一の被害地にして巡査駐在所流失し駐在巡査は家族と共に死亡し2800
餘の人口にして死亡2500をだしたるは實に悲慘の至りなり而其概數は左の如し
 人口 戸數
 人口 死亡 負傷 滞在者 戸數 家屋流失 家屋半潰 家屋存在
氣仙 三六五一 二三 一〇 三六一八 五六九 三五 一六 五一八
高田 三四九八 三 未詳 三四八六 六一六 未詳 未詳 六一六
米崎 三四六〇 一二 二 三四四六 三五〇 一一 五〇 二八九
小友 二五一九 二六〇 一四 二二四五 三八一 七〇 五 三〇六
廣田 三一〇二 五〇〇 一一 二五九一 四六九 一六三 未詳 三〇六
末崎 二九六五 六〇六 三〇 二三二九 四〇〇 一九一 同 二〇九
大船渡 二三〇四 七八〇 三五 一四八九 三〇六 一〇五 三〇 一七一
赤崎 二九八五 四四八 六八 二四六九 三八九 一七二 未詳 二一七
綾里 二八〇三 一四五八 五九 一二八六 四五一 二八五 一〇〇 六六
越喜來 二四四九 四一一 六〇 一九七八 三二二 一一三 一二四 八五
吉濱 一〇七五 二一五 九 八五一 一三三 三二 三三 六八

唐丹 二八〇七 二一〇〇 二〇 六八七 四七四 三四一 三 一三〇
合計 三三六〇九 六八一六 三一八 二六四七五 四八六〇 一五一八 三六一 二九
八一

南閉伊郡

被害地面積は氣仙郡に及ばずと雖も其慘害は本郡に於て激甚を極めたり乃ち氣仙郡は一町
十一ヶ村にして六千八百餘の死亡者を生ぜしと雖も本郡は僅かに二町一ヶ村にして六千六
百餘の死亡者あり以て其慘状の如何に甚しきかを知る
釜石町は千二百餘戸の市街にして人口六千餘あり然るに海嘯の爲め存する所の家屋僅かに
百餘戸鄕處より之を臨めば市街全く頽潰し片々たる家屋の用材積で堆をなし屍は累々其間
に露はる沿海の耕地は總て泥濘を以ててん充し警察署郵便電信局及び尋常小学校六ヶ所流
亡し巡査一名死亡し署長以下皆重傷を負ふ郵便電信局員某僅かに身を以て遁れ數時にして
豫備器械を据付け爲に通信の便を得たり
大槌町鵜住居村の如きも慘状最も甚だし其被害の概數は左の如し
 人口 戸數
 人口 死亡 負傷 健在者 戸數 家屋流失 家屋半潰 家屋存在
釜石 六五五七 四七〇〇 一三五七 一三五七 一二二二 一〇八〇 未詳 一四二
鵜住居 三一四七 一〇六九 一八八八 一八八八 五一一 三五〇 同 一六一
大槌 六五五五 九〇〇 四九三一 四九三一 一一九二 三六九 同 七二三
合計 一六二五九 六六六九 八一七六 八一七六 二九二六 一七九九 同 一一二七

東閉伊郡

本訓中被害の最も多き所は田老村にして激浪の高きこと十餘丈に達し潮流の勢最も強大に
して沿岸にありたる二抱以上ある松樹凡そ百本餘の山腹に打揚げられたるあり以て其慘況
の一般を知る如此なれば村役塲尋常小學校員等皆死亡し巡査駐在所流失し駐在巡査二名家
族と共に死亡せり
重茂村重茂巡査駐在所々在地の如きは恰も平原と化し只村長の屋根のみ山端に押付けられ
あるのみ船舶の一隻も不殘流亡或は破壞し巡査駐在所流失駐在巡査一名家族と共に死亡せ
り船越村も亦被害少なからず村役塲尋常小學校巡査駐在所皆流失し駐在巡査重傷を負ひ妻
子殘らず死亡せり
山田町警察分署は大破に及び海嘯の爲め千餘人を失ひ災後失火の爲め又々四十餘人一片の
燻と化したるは實に酸鼻に耐へざるなり而して其概數は左の如し
 人口 戸數
 人口 死亡 負傷 健在者 戸數 家屋流失 家屋半潰 家屋存在
船越 二二九五 一三二七 七〇一 二六七 四七四 三七一 一 一〇二
★笠 一八〇〇 六七 五〇 一六八三 三〇三 一〇五 二五 一七三
山田 三七四六 一〇四〇 一五〇 二五五六 七八二 三五九 二五〇 一七三
大澤 一〇五六 五五〇 五九 四二七 一九九 一九 未詳 三
重茂 一四九三 七〇〇 三三 七六〇 二三六 一五九 同 七七
津輕石 二六一八 三 一 二六一四 四三四 八 同 四二六
磯鵜 一九九六 九〇 五四 一八五二 三六五 一〇九 同 二五六
鍬ヶ崎 三四五九 一〇〇 三三 二三二六 七〇一 三〇★ 五〇 三五一
宮古 五一五七 一二 未詳 五一四五 九九三 二★ 未詳 九七三
崎山 九八一 一六〇 一二 八〇九 一五五 四五 五 一〇一
田老 三七四七 二六五五 二七五 八一五 六六★ 一三〇 未詳 五三六
合計 二八三二八 六七〇四 一三七〇 二〇五五四 八三〇八 一八〇二 三三五 一
一七一

北閉伊郡

普代村は村役塲書記一名死亡し又巡査駐在所流失し巡査家族皆死亡し小本村も巡査駐在所
流失し駐在巡査は僅かに身を以て遁れ其家族は皆死亡せり其概數は左の如し
 人口 戸數
 人口 死亡 負傷 健在者 戸數 家屋流失 家屋半潰 家屋存在
小本 二〇九〇 三六七 一五七 一四六六 三八六 一五六 一四七 八三
田野畑 三〇二五 三〇三 一五 二七〇七 四六五 四七 四二 三七六
普代 二〇三八 一〇一〇 一五二 八七五 三三〇 九五 四九 一八六
合計 七一五三 一六八〇 四二五 五〇四八 一一八一 二九八 二九八 六四五

南九戸郡

野田村巡査駐在所流失し妻子死亡せしも駐在巡査は死を免るヽをえたり
久慈村は被害最も多く村役塲尋常小學校巡査駐在所皆破壞し駐在巡査の妻子三名死亡せり
而して其の被害の概數は左の如し

 人口 死亡 負傷 健在者 戸數 家屋流失 家屋半潰 家屋存在
久慈 四〇九二 四〇〇 三四四 三二四八 六五七 一〇〇 未詳 五五七
宇部 二二四四 一八五 一四〇 一九一九 三二八 四八 同 二八〇
野田 二五九〇 三一九 六九 二二〇二 四一一 一二〇 同 二九一
畏内 二七一九 一二七 一〇一 二四九一 四七二 五二 同 四二〇
夏井 一八〇三 四三 四〇 一七二〇 二六五 未詳 同 二六五
合計 一三四四八 一〇七四 六九四 一一六八〇 二一三二 三二〇 同 一八一三

北九戸郡

種市村中野村の如きも亦被害少なからず然れども氣仙郡等に比すれば被害のっ
少きは地勢の然らしむる處ならんと雖も亦潮勢の激甚ならざるに依るなるべし而して其被
害の概數は左の如し
 人口 死亡 負傷 健在者 戸數 家屋流失 家屋半潰 家屋存在
侍濱 一三六七 八五 五三 一二五九 一八五 五〇 未詳 一三五
中野 一六九五 一〇六 六二 一五二七 二二八 五三 同 一七五
種市 四六八五 一七五 六〇 四四五〇 六五五 八〇 同 五七五
合計 七七七七 三六六 一七五 七二三六 一〇六八 一八三 同 八八五

以上今日までの報告に依り取調たる被害の概況にして役塲學校田畑荒廢の判別船舶流失數
等は目下取調中に付右概況候也

種市村の慘状

巌手縣北九戸郡種市村の郵信に曰く今回の海嘯は安政年間の時よりは遠距離に達せざりし
も潮水の差引激迅なりしは一層にしてこの海岸を洗いたるときは水雷の爆發するが如く數
千貫數百貫の巌石破碎して八方に飛び揚り數尺數丈の地盤土砂洗い去り三四尺廻りの樹木
亦引抜かれて數里以外に持去られたり去れば八里以外なる久慈港の漁民が使用せし生洲、
竹にて編みたる大さ二丈廻りのもの一夜の中に漂着し其外南方數里の各村より家屋船舶の
破壞したるもの夜具雜具の類海岸處々に漂着せり、村内八木組にては溺死及び行方不明百
二十三名負傷十七名流亡家屋二八九牛馬二十頭餘、宿戸組にては溺死卅六名負傷六名家屋
流亡一一戸、鹿糠組にては溺死四名家屋流亡一戸馬一頭、川尻組にては溺死十七名負傷五
六家屋流亡二戸半潰一戸、平内組にては溺死四名負傷一名流亡家屋二戸あり船舶は各組と
も悉皆破碎し村會議員の死したる者二名あり外に製鹽塲二十七八ヶ所、水車建物一、舟木
屋建物十餘流失し田畑樹木の被害未だ詳らかならず而して廿二日迄に發見せし死屍は僅に
二三十名のみ又海嘯の當夜海上三四里乃至二三里の距離と覺しき邊各所に或は火の玉大さ
提灯位のもの六七個見え或は火の棒めくもの電光の如く見え或は火災の下火になれる如き
火焔を見しといひ四五里の沖合に出漁せしものも巽より陸地乾の方角に向て數回何やらん
鳴響きて飛ぶが如くに通過し耳を船底に付けて聞けば釣鐘の如き音し次第に北方に向て消
滅せるを見たり而かも船は僅かに小うねりありしのみ外に異常なかりしと

巌手縣の死亡者

巌手縣海嘯死亡者21日午後六時の調査には二萬三千四百十六人なりしが翌22日午後六
時の調査にては二萬三千三百九人となれり其差107人の減少をみると行方不明の者を死
者の數に算入しありたるところ軍艦龍田巡航して島★に漂着し居たる生存者を發見したる
爲め南北九戸兩郡にて死亡者の數を減じたるに由るいふ

産業快復の義金募集

在京★南部藩人が嘯害地の水産業快復の爲め義捐金を募る由は前號に記せしが其趣意書左
の如し

巌手賴森兩縣中南部藩内海嘯難民の爲め江湖仁人君子に泣訴す

 本月十五日は是れ何の日ぞ島天弗弔我三陸に災し太平洋頭百有餘里の★海は海嘯の襲ふ
所と爲り幾万の人命と幾万の財産とは一没★★流亡し★地悉く化して★砂★泥と爲り人 
寂として★影を留めず人世の慘禍★に之に尚ふるものあらんや予輩は一たび★鴻に★めら
れて将た信じ将た疑い終に其の眞なるか夢なるかを知らざりし飛★★り到るに及び始めて
其の事實なるを★驚愕★愴來□至る繭來一報は一報より災害の大なるを★へ慘状益■豫想
の外に出て五★爲に裂け九★爲に斷たんと欲す況や豫輩の郷里たる★南部藩内は災害最も
大にして慘なるに於てをや豫輩同郷の義に於て★に一言以て此の不幸なる同胞の爲に江湖
仁人君子に泣訴し慈仁の一願をを請はざるを得んや
今回の海嘯たる我★海★史中未有の大災にして近く之を濃尾の震災に比するも三四倍に達
せんとす罹災線は宮城縣牡鹿郡女川灣より巌手縣東海岸を貫き賴森縣上北郡に迄る百有餘
里の長きに亘れり我が巌手縣は實に其の中心に係り被害六郡六町三十村に連り流家五千四
百三十四戸溺死二萬三千四百十六戸に及べり其の中★南部藩領に係るもの左の如し

郡名 被害町村 流失戸数 溺死人員
南閉伊郡 二町一村 千七百九十九 六千六百六十九
東閉伊郡 二町九村 千五百二十八 六千五百七十
北閉伊郡 三村 五百四十 千六百八十
南九戸 一町三村 三百二十 一〇〇六
北九戸 三村 百八十三 四五一
合計 五町十九村 四千三百七十 一萬六千三百七十

之を人口、戸數の★額に比すれば溺死は總人口の六分の一強にして流家は總戸數三分一弱
に當れり又南閉伊郡釜石町は罹災中心の在る所にして★境治と流失し全人口六千の中五千
の溺死あり其の外各郡町村も五分乃至78分若くは全★流亡せり賴森縣も皆★南部藩領に
屬す而して或は田園稼苗資家財擧げて流失し目下錢★に迫まり永久生業を失ふもの或は一
家父兄師弟悉く溺死して★★★るなきの老弱孤寡は巌手縣のみにて其の數6萬人なりと云
ふ以上變災草卒の調査に係り未だ以て正確と爲すして變災の慘なる損害の大なる亦以て知
る可きなり
天災地變何の世にか之なからん何の時にか之なからん特に今回の海嘯は其の最も猛にして
慘なるものなり所在幾千幾萬の戸々兒女は膝下に在て嬉戯し既に晩涼を納れて★く★につ
かんとするに際し俄然百★怒轟して海空を★き★天の狂潮一時に暴★★流して★上に氾濫
し男女老幼錯愕狼狽四散五走父子相扶け兄弟相携へ夫妻相救ふの★あらずして終に怒濤の
捲き去る所と為るに家なく食ふに粟なく沙泥に呻吟涸死せんとす況や夫の恨々として子弟
を尋ぬるの老者や★々として★★を求むるの幼者や所天に背かれて★るなきの寡妻や子立
孤單自ら存する能はざるもの其の數果して幾百千なるを知らず眼前★樂和樂を★にするも
の★として幽明途を隔つるに至ては眞に慘絶の極なり殊に罹災地方は有名の水産區にして
居民多くは漁業者に依り魚網★船等必要の機具は今や一切蕩亡して全く其の生業を失へり
又農業者の如きは田園悉く潮水の洗ふ所と爲り禾★稍苗擧げて流失し深耕★★して之を回
復せんとするも家に一鍬一★なきを奈何せん此の如くなれば其の災害は永久に渉す一時粒
食に★めるが如きの慘状に止らざるなり
夫れ死者の慘は之を追ふも及ぶ可からず夫の遺族移民に至ては宣しく今の時に及びて救助
せざるべからず其の漁業者たると農業ものたるとを問はず★も之を救助せざるに於ては永
久生業を失ひ自立自活の道を斷たんとす特に水産地方に在て漁業者にして生業を失は★水
産業は忽ち荒廢し一地方の寄贈を請ひ各自亦多少の資を豫し巌手賴森兩縣中★南部藩内罹
災者を救助し農業に漁業に其の回復の道を圖らんとす金員若しくは糧食物件を悪輿して一
時の★★を爲すが如きは備荒儲蓄及其の他救助の方法と普通の義捐金とを以てすれば十分
なるに庶淺からん而して一時金員を★與するが如きは美擧は即ち美擧なりと雖も姑息小悪
に流れ難民をして自立自活の精神が失はしむるが如き事無きを保せず故に豫輩は此等の弊
害なく★實萬全にして救助の★効を永久に擧げんことを願ひ一時の★★は姑■他の爲す所
に譲り仁任君子の寄贈し玉ふ所の義財は各自★する所の資を加へ以て巌手賴森兩縣中★南
部藩内罹災者各町村に漁具★★及び★★★★の資金として供給し各罹災者のは漸次其の生
業を回復し自立自活の道に就くを得て地方★濟に及ぼす所の實役は亦莫大なるに至らん★
救助の方法此より確實萬金にして永久に實行収むるものなかるべし而して仁人君子の義財
は我が★藩内罹災地方に無窮の澤を★さんとす
茲に豫輩は巌手賴森兩縣★南部藩内罹災者の爲め★以て熱血を潟ぎ★以て熱涙を★ぎ江湖
仁人君子の同情に訴ふ仰ぎ願くは大仁大慈を垂れ四千萬中此の不幸なる同胞難民を救ひ之
をして回復の道に就かしめ玉はんことを

巌手縣知事のゆ告

被害地の人民衛生に關し一篇の諭告文を發して數個の項目を列擧し  の掃除井戸 等に
至るまで巨細に諭達する所ありたりと

本派本願寺の救恤

三陸地方大海嘯に就き即日事務局副長武田篤初氏を慰問使として出張せしめ巌手縣へ一千
圓宮城縣へ五百圓賴森縣へ二百圓都合千七百圓の義捐せしめたるが猶同本山は被害地各組
合長に達して寺院門徒の情況を調査せしめ別に救恤の方法を講究中なりと
水害後の衛生注意
大日本私立衛生會巌手支會にては海嘯被害地人民に衛生上の注意を促すが爲め「水災後衛
生上の注意」と題する印刷物數萬枚を被害地人民へ配付せり

嘯害地地實見記 廿三日 於氣仙盛特派員横川勇次

嘯害御已に一週日餘を過ぎたれば各地とも稍善後の整備を得本日盛町より末崎村と稱する
被害地に を曳き實況を見しが沿道大船渡の如きも倒潰の家屋は夫れ■取 きて材木など
は積み重ね道路の如きも多數の人夫等修繕を加へ居りぬ被害地一般如此整備したるに非る
べきも日を追ふて慘状の光景を薄からしむ
死亡者中各地方とも死骸を發見せしは極めて僅々の者にて總數の三分の一にも當らざるべ
し而してて其他は如何せしかと云へば皆海中に荒ひ去られたる者にて其後死骸の並の爲に
沿岸に寄せられてるもあれど僅少の者にて他は多くは海底の藻屑と爲れり此地方一般漁業
者等の言に依れば死骸は大抵一週間位にして海岸に打上げらるヽ者にて若し一週間を過ぎ
て上らざる者は終に之を見出す期なしと云へり之を醫師の言に證するに元來人体は海水よ
り重量ありて一端は必ず海底に沈むも其後腐敗するに從ひ腹中に一種の瓦 を生じ浮び出
づる者にて此時波の爲に海岸に吹寄せらるヽ者なれば此瓦斯を生ずる一週間を過ても浮び
出ざる者は終に浮び出づるときなかりべしと云へり故に一週間を過ぎたる今日は一段落を
告たる者にて今後は唯全く罹災後の善後策を講ぞる時と爲れり
被害者各個人に就て問へば罹災の當時偶然にも生命を全うしたる種々の異聞ありて其談柄
は一々記すれば日も亦足らざれども本日末崎村字細浦に巡視し巡査山口政成氏に就て實際
同氏が遭難當時の模様を聞きたれば左に記すべし是同氏が責任ある談話として余の之を聞
きたれば左に記すべし是同氏が責任ある談話として余の之を聞きたれば徒らに普通被害者
の荒唐無稽の言よりも大いに價値あるべしと信ずればなり而して山口氏は全く今回の海嘯
に就て自己の實父及び妻女他四人の令息令嬢を失いたる一人にして同氏自身も以上死亡せ
し家族と共に一旦激浪の爲に攫はれたるも不思議にも生命を拾いたる一人なれば其言皆實
際に出て且つ憐むべき被害の一人なり左は即ち山口氏の實話なり
去る十五日は恰も盛り警察所に巡査の集合在りたれば之に會し巡査駐在所に歸りたるは午
後七時頃なしが歸宅後夕飯を終り家族と共に四方山の談話を爲し居りしに突然地震の如き
震動を感じたれども左まで意に解せず尋常一様視して居りしに凡八時過ぎ海面にて何とも
知れぬ音響あれども其様驟雨の俄に至りたるかと思い居りぬ然るに間もなく再び障子にド
ンと響きて異常の音あり愈只事ならずと縁側の障子を排して外面を見しに元來巡査駐在所
は海面に臨んで建てたる家屋なれば夜目ながら海面を透してみしに此時海水は非常に猛烈
なる勢いを以て退潮し居る故思ず知らず海嘯なり海嘯なりと二聲三聲叫んで家族を警め己
の小供を小脇に抱へ逃げんとする一刹那激浪は忽ち襲ひ來りてアハヤと思ふ間も駐在所は
倒散し此時遂に抱き居りし小供をも手離し其後は恰も夢中なれども何にせよ激浪と材木に
打叩かれ轉々漂蕩し夢中にて手に觸るヽ材木に取縋りて浮び出る工夫を爲せども忽ちにし
て大激浪の爲に離隔され離隔されては又材木に取縋り懸命にも此くの如く爲す事兩三回な
りしに海水又忽ち退きて陸上に殘されたり手を以て其邊を探ぐりしに麥畑の中なるが如く
此時再度の激浪押寄せ來るならんと思へば直に山手を指し逃げんとするも身体の疲労甚だ
しく漸くにして這いて少し許り鄕崖ありし故此上に登らんとするや傍らに流れ寄りし家屋
の屋根ありて其下に悲鳴を爲す者ある故其處に入り込みしに三十才許の夫人は二人の小兒
と共に叫び居る故之を助けんと欲しかと叫びたれば余は巡査なりと答へてまた波が來る故
速やかに逃げよと叫び小兒を小脇に抱へ這ひ出で夫人にも早く逃げろと叫び此時は余も漸
く精神の激動 に復して人心地付しが海面の方には彼方彼方に救いを呼ぶ聲頻りにて助け
て呉れ■■と叫ぶ者あれども余も僅かに身を以て免れ足るのみにて多少の海水を飲みたる
外身体非常の疲勞なれば も此れを助けんとするも策なく特に四方暗|Kにして|K白も分た
ざれば精{~焦つ許りにて漸く二人の小兒を曳ずりて傍の鄕崖に上りたるに二回目の激浪は
忽ち來り此度は第一回に比すれば少なく小なれども第二回目より救を呼ぶ聲もヒタと止り
たり思ふに第一回の時は未だ生命を保ち居る者多かりしも第二回に悉皆落命したる者の如
く悲鳴もなく叫聲もなく天地寂爆寞として憐れ無常の極なりしが此時漸く浜邊に燈火等現
はれ人聲も聞こえたれば余は救助せし夫人及び小兒の手を取りて灯火を指して行きしに余
及び夫人小兒も頭より足まで泥濘を以て はれ鼻口耳よりも泥水出でそが余は此時實父及
び妻子の安否を知らんと思ひ先づ元駐在所のありし位置を辿りて進みしに其位置は土地を
も激浪の爲に流され一体の沙原と變じて何者もなく無論皆死亡したる者と決心せしが此の
如き間に余のみ獨り生存せしは實に不可思議に耐へずと語られたり
右の山口巡査の談話の外洋を示したう者にて右の如き幸運にて助命せし人も多く中には實
に不思議にて全く天助に依りしに非るかと思はるヽ者ありとぞ

宮城縣の治療所

宮城縣嘯害地の治療所は志津川町、歌津村、伊里前、大谷村大谷、十三濱相川、小泉村、
歌津村名足、氣仙沼、戸倉村、唐桑村宿、小原木の十ヶ所にして名足の病院は仙臺師團軍
醫部の受持に屬し續々負傷者を送る來るを以て未だ充分整備せざるも其他は頗る整備しあ
り伊里前に十78名、宿に亦十78名あり其他來往出入して治療を受ける者は無數なりと

金十五圓   木港町一ノ廿三     星井忠左衛門
金十圓    西久保城山町十     吉江つて
金七圓    本石町三ノ十九     岡田八十次
金三圓    同           大橋仁造
金五圓    本所相生町五      中井文次郎
金一圓    同           同 其吉
金五圓    相州三浦郡松輪     出口彦三郎
金三圓    淺草三好町五      篠原惣藏
金二圓    錦町二ノ六       山中喜三郎
同      埼玉縣北葛飾郡早稲田  中村★之助
同      ★町二ノ六       小熊商店
同      ★地一ノ五       中野與兵衛
金三圓    蠣殻町三ノ十二     ★田たき
 同内 
       南葛飾郡一ノ江村    田島倉藏
金一圓五十錢 {~田同朋町十      宇田川
金一圓    本錢町一ノ六      中澤屋丈助
同      蠣殻町二丁目      山本清太郎
同      小★町四丁目      森田うた
同      品川本店廿七      ★保文太郎
同      宮城郡 内儀正源寺伊勢越 家來四名 
同      本所瑠璃町72     ★村清次郎
同      本所南二葉町廿二    岡村重秋
同      同           妻 やお
金五十錢   同           男 定吉
同      同           上田元之助
同      岡村愛弟子       小倉長次郎
同                  松井★吉
同                  山本竹次郎
金四十錢               齋藤庄太郎
同                  淺田仙吉
金十錢                小林晴海
一圓五十錢  蠣殻町三ノ七 磯殻★師亜弟子中
金一圓    麹町平河町三      藤木
同      掛川町仁藤       金原嘉平
同      {~田雄子町31     浜松三郎
同      同店     西村留吉 宮沢辰五郎
同             概木元吉 山田健次郎
同                  山田健次郎
金二十錢   同店      大澤★ 西村萬造
金七十錢   相洲三崎六合      渡邊佐兵衛
金一圓    淺草阿部川町88    湯川半次郎
金三十錢   同           同 きみ
金三十錢   同           同 八郎
金五十錢   日本橋區駿河町五    井上源次郎
同      同           植野權四郎
同      同           川村鈴彦
同      同           丹羽★三郎
同      同           戸叶克巳
同      同           峰岸重治
同      同           菅沼爲之助
同      同           丹藤信勝
同      同           入澤京太郎
同      同           佐藤審議
同      同           長井信太郎
同      同           川澄彦藏
同      同           岡田★
同      同           安井宗★
同      同           鄕木富次郎
同      同           立田信太郎
同      同           目丸★三
同      同           鄕嶋俊男
同      同           山村★太郎
同      同           川村金藏
同      同           松田盛吉
同      同           蒲池友鷹
同      同           土屋定次郎
同      同           柿澤圓次
同      同           久永★次郎
同      同           塚原定吉
同      同           飯田 郁
同      同           早水愛眞
同      同           平醸勇之助
同      同           本田和三郎
同      同           内山健治
同      同           小林三之助
同      同           林 文太郎
同      同           鄕村幸★
同      同           澤井源次郎
同      同           藤野文弥
同      同           鄕畑 旭
同      同           小木貫國三郎
同      同           小林信太郎
同      同           柴田 博
金二十錢   同           關口孝恭
同      同           宇田川寅次郎
同      同           伊藤喜三郎
同      同           多久間恒吉
同      同           石井録ノ助
同      同           西野繁藏
同      同           中山重夫
同      同           河上定寧
同      同           佐々木卯之助
同      同           柴田★治
同      同           皿井 潔
同      同           山崎繁二
同      同           遠間伊惣
同      同           宮村 淳

金四圓八十錢 鐡道局藤枝停車塲有志
内譯  
金一圓     澁谷愛太郎
金75錢    田中友吉
金四十錢    濱田亀吉
同       安藤直次
金37錢    山田六雄
同       松井常吉
金三十三錢   池谷隆次郎
金三十錢    勝俣留吉
同       成岡彌太郎
同       露木總三郎
金28錢    鈴木龜次郎

金四圓     芝區柴口二丁目 今朝本店有志
内譯  
金五十錢    山本れん
同       安井とく
同       四ノ宮まさ
金三十錢    長井 秋
金二十錢    佐野 安
同       岩崎さよ
金十錢     嶋田 雪
金二十錢    三木田すみ
同       川名倉吉
同       鈴木虎吉
同       磯貝{q(評郎
同       栗原新吉
金十錢     鈴木才次郎
同       町田政吉
金四十錢    英 市太郎
        相川長衛

金四圓四十錢  芝區芝口二丁目  今朝第三支店
同 内譯 
金五十錢    新見松司
金二十錢    吉田百之助
金四十錢    虎谷大助
金五十錢    伊藤喜代
同       小林ふじ
金三十錢    成島 竹
金二十錢    金森八重
同       安井すぎ
金十錢     田代うた
同       浦宮わか
金一圓     藤★勝三郎
卅       同 こう
金十錢       朝雄 五才

金四圓     芝區田村町三番地 今朝支店
同  
金五十錢    大畑佐之吉
同       山本まん
金三十錢    山本宗三郎
金五十錢    清水菊三郎
金二十錢    賴木冥助
同       原 常吉
金五十錢    淺井かつ
同       小鄕なを
金三十錢    鄕野はる
同       桑山なを
金十錢     田中すヾ
同       池田いぎ
金五十錢    日本橋若宮町百卅一   鄕瀬彌七
同       {~田榮町13      武廣芳兵衛
同       下谷南稲荷町      橋野定吉
同       江洲★根本店      佐野淺吉
同                   西川龜次郎
同       本所相生町四ノ17   篠崎乙藏
同       同           吉野三造
同       池上妙雲寺       近江正端
同       麻布三河臺町三十    小野崎辰子
同       大傅馬町二       齋田芳三郎
同       本八丁堀三丁目     松合茂平
金十錢     同           吉川陸三
金六十錢    南芽塲町        玉井龜太郎
同                   同 龜三郎
金三十錢    駒込西片町十      濱口勘吉
同       淺草西★★三      近藤寅吉
同       下谷竹町二十七     |K川義時
金卅五錢   京橋區左衛門町 白井商店 佐々木萬三郎
                    山田正太郎
金三十錢   陸前栗原郡細倉鑛山    藤森つる
同      麻布一本松三十二     河野 仁
同      本所★澤町五十三     矢口安五郎
同      本所芽塲町一ノ五     板倉藤太郎
金二十錢   蠣殻町三ノ七       鄕島千代
同      横山町二ノ13      小田切邦太郎
同      飯田町三ノ十       平野正親
金十五錢   勞洲三重郡内部村     多田彌三郎
金一錢    茨城縣下館町開盛堂    古池兵三郎
金五十錢   同            増田繁藏
金二十錢   同            古池兵三郎
同      同            鄕野澤彌作
同      同            谷口丈三郎
同      同            奈良部熊吉
同      同五町村         白井千代治
同      同|K子村         ★内峰吉
同      同河聞村         柴 菊之助
同      同嘉里崎村        鴨見清平
同      同★★村         水越寅吉
金三錢    蠣殻町三ノ十二      田村貞馬
                    同 いよ
同      埼玉縣北足立郡御影    西淵萬次郎
金二錢    南多摩郡七生村中組    ★橋金造
金二錢    日本橋區槍者町三龜鶴★名 くに
金一錢           同 きん たま うめ きみ
金二錢    茨城縣眞壁郡村田村    尾見定次郎
                    同 半二
同      千葉縣舟橋町       築地りさ
                    同 揚
同      茨城縣結城町       保坂勇吉
同      埼玉縣浦和町       鈴木小兵衛
金五十錢                妻 ひさ
金二十錢           同家   杉田淺次郎
同 同                 吉田★六
金十錢    同            稲垣 花
金一圓    同町           成川平發
金二圓    岩代國郡山町       小川半七
同 同                 同 金之助
金一圓    同            同 朝治
金二圓    同            鈴木★八
金一圓    同            同 ★治
同      同            同 安吉
同      日本橋區小傳馬上町
        浄土宗西山派兩本山版院 圓光見溟★太師堂所化
金八圓五十九錢     倉知★光 松山★應 野田賢遺 
            若山亮★ 大島忠明 朝比奈z(漂亮
金一圓    信州長野町        荒井伊佐吉
同      南埼玉郡八幡村      藤波俊太郎
金二五錢   同            同 玉太郎
金一     群馬縣北甘樂郡★村    荒井皆彌
金五十錢   同            同 くに
金二十錢   同            妻 くま
同      同            妹 まき
金十錢    同            同 ます
金五十錢   淺草西仲町 武藏屋店  小僧三人 
同      群馬縣★川町       立川貫次郎
同      茨城縣北條町       山口★
同      埼玉縣彌生町       深江淺作
同      茨城縣麻生町 {sc病院  小川原亮
同                   木丙蘇平
金三十錢   茨城縣行方郡立花村    村田★ノ助
同      信州上田原町清水方    友或克巳
金五十錢   信州須坂町        松枝爲助
金三十錢                同 妻かつ
金二十錢                巴作
金十錢             召使  島田平一郎
同               召使  佐藤ノぶ
金二十錢   小船町二ノ九       早川來太郎
同      埼玉縣北埼玉郡木川候   齋藤z(漂次郎
同                   梅澤鎌太郎
金二十錢  {~奈川縣小田原町幸町一丁目 鄕橋平吉
同      同 幸町二丁目      湯川新助
同      同            佐倉又次郎
同      同            富竹榮之助
同      同            田畑秀太郎
同      同            村田梅太郎
同      同            山口勘太郎
同      同            内田寅之助
同      同            須藤正三
同      同            石井來吉
同      同            飯田敬藏
同      同            竹田倉吉
同      同            山口爾三郎
同      同 幸町三丁目      市川林八
同      同            安藤忠吉

計   金 百八十五圓四十四錢五厘
合 計 金額千六十一圓廿九錢五厘