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雜報・海嘯歴史

 亨保以下の分ハ已に昨紙に掲げた
るが猶其以上の分を擧げて三考に供す但し今回の
如き區域の廣く且損害の大なるハ古來未だ曾て有
らざる所なりといふ
一人皇四十八代穩徳天皇天平神護二年六月五日
 大隅^U造新島震動息まず海水溢れ皆流亡す
一清和天皇貞観十一年五月廿六日陸奥國地大に
 震動し流光昼の如く隱映す少頃くして人民叫
 呼伏して起る能はず或ハ屋仆れ壓死し或ハ地
 裂け馬牛駭き走り或ハ相昇踏し城廊倉庫門塔
 垣頽落顛覆する者其數を知らず海上哮吼の聲
 雷霆に似たり驚濤涌潮沂★漲溢し忽ち城下に
 至り海を距る數百人里浩々其涯★を知らず原
 野道路随て隱溟したり船に乘ずるに遑あらず
 山に登るに及び難く溺死するもの數千人資産
 苗稼殆ど遺なし
一光孝天皇仁和三年五月廿九日七月二日同七日
 共に地震す此日五畿七道諸國の官舎多く損し
 海潮陸に漲り溺死するもの擧て數ふ可からず
 攝津最も甚し夜東西聲あり雷の如し
一朱雀天皇天慶元年六月廿日に地震す鴨川水大に
 溢れ京城に入り多く人家を漂流す
一後村上天皇興國十六年六月十八日及廿日地震
 す阿波雪港海溢れ居民★舎千七百家を流失す
 同七月廿四日大に地震し難破★海溢れ死する
 者數百人阿波鳴戸潮涸れ陸となり巨鼓あり石
 上に見はる
一後土御門天皇延徳七年八月廿二日伊勢地大に
 震ふ海水激し流死するもの一万餘人國崎島没
 す此日鎌倉震する事一盡曠夜凡そ三十度江島地
 峡又海となる又此日伊勢紀伊河海溢れ安房國
 海嘯あり内浦誕生寺爲に破損す
一後陽成天皇天正十八年二月十六日地震し安房
 上總下總常陸最も甚し山崩れ海埋り家屋顛倒
 せざる者稀れなり
 又慶長六年十二月十六日上總安房地大に震ひ
 山崩れ海埋り岳を海上に爲し潮涸る事三十餘
 町明旦海大に鳴り潮水溢れて人畜死する者算
 なし同十八年十月廿五日地大に震ふ海溢れ死
 する者多し
一東山天皇元禄十六年十一月廿一日關東諸國地
 震海嘯あり安房亦甚しく家屋一時に★仆す相
 模武藏上野等甚しく江戸城廊壞れ茅屋一も全
 き者なし箱根山崩れ海水暴溢し溺死數ふ可か
 らず同時に安房國亦津波あり千餘家を流亡せ
 り同四年十月四日伊勢國度會郡海水激す民屋
 流亡し男女死する者八十餘人遠江國潮溢れ荒
 井白須賀二陸陥り人畜多く死す
一光格天皇宝永九年四月得撫島地震し海嘯あり
 露船を★蕩して山上に至り後海に下す可から
 ず露人船を棄てヽ去る
一孝明天皇弘化四年十一月四日地震あり富士山
 及箱根山崩れ下田海溢れ十八箇所曠野となる
 溺死者多し紀伊國湯淺の民家千餘戸を破り大
 島を沈没し島民皆死す伊勢國ハ山田の町家數
 百を破り人多く溺死す和泉攝津播磨諸國洪波
 興り大阪の市民七百餘人道頓堀に溺死す

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金三圓 大阪市東區備後町三丁 平野^T兵衛
同母とも子
金一圓五十錢 京橋區本八丁掘二ノ六 西野佐平
金一圓 同 美馬直助
金一圓 芝區愛宕下町渡邊方 鈴木幸助
金一圓 元數寄屋町 森田嘉十郎
金五十錢 新橋板新道 蔦江戸や佐喜松
金廿錢 芝區櫻田備前町十八 岡田てい
金二圓 日本橋區小網町二ノ十三 布屋兩替店
金一圓 下谷區仲徒町四ノ廿九 和田幾太郎

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●金三十圓 日本橋兜町 澁澤榮一●金五圓芝區虎ノ門 金比羅宮●金
二圓 銀座三丁目 寫眞術研究會●金一圓 子爵 日野西光善●金一圓 
京橋區南傳馬町二の十三 穴山信良●金十圓 東京市眞宗高田派有志中
(内譯)赤坂區溜池☆☆坂町★宣観(匹同區同町七★見忍龍下谷區
★★荷町百一長孝(匹同區同町九十八★★★★護(匹淺草區永住町十九
加藤玄★(匹同區同町二十二田中覺宣(匹本郷區本郷六町目十一栗山★
立(匹淺草區永住町二十山本泰明(匹下谷區★★荷町★二櫻木谷上村、
同區同町百櫻木谷範隆(匹★★★★★★★★★★★★舜落、芝區金杉
三町目三十四▲▲▲▲、淺草區永住町二十五永周▲(匹同區同町二十
四永孝順(匹赤坂區溜池▲南坂町八森俊龍(匹淺草區永住町二十三鈴木
教光