災害危険区域条例集一出水・津波・高潮一国立防災科学技術センター第1研究部 風水害防災研究室・編
はじめに 水害による被害を減少させるために,昔から現在に至るまで,多くの人達が諸々の方法を実施してきた.それらの方法は,主として洪水を構造物により河道等へ押し込んでしまう方法とそれ以外の構造物によらない方法とに分けられる.堤防・高潮堤等の築堤,貯水池の設置等は前者に属し,水害常襲地域における土地利用規制・宅地の集団移転・水害保険・災害救助等は, 後者に属する・後者のなかで,操水発生前に行なう方法として行政レベルで現在実施されているのは,水害常襲地域における土地利用規制と宅地の集団移転事業である.そのうちの土地利用規制に関するものとしては,建築基準法第39条に基づく「災害危険区域」の指定が多く適用されている.又,宅地の集団移転事業等の基になっている「防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律(昭和47年12月8日)」においても, 宅地の集団移転事業の実施の対象地域として「災害危険区域」を含んでいる.その他に「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年7月1日)」の第19条においては,急傾斜の崩壊による危険の著しい区域を建築基準法による「災害危険区域」として指定するとしており,「都市計画法(昭和43年6月15日)」の第33条では,「災害危険区域」は都市計画の開発区域から除くとしている. すなわち, 構造物によらない水害防止方法において,「災害危険区域」の指定は重要な意味をもっている. そこで, ここでは,現在すでに「災害危険区域」を指定している各自治体の条例を集め,今後の水害防止対策の参考資料のひとつとすることを目的とした. 現在,全国において,災害危険区域を指定する条例を制定している地方公共団体は,昭和53年4月現在,40都道府県,23市町村である(表参照).これらの災害危険区域は,指定の対象として,急傾斜地等,出水,津波,高潮に分かれている. この資料では,それらのうち,指定対象が出水,津波,高潮である1県6市町村分の条例を載せた. なお,ここに載せた各条例(津波による災害を対象としている1町(北海道浜中町)を除く)については,それぞれの災害危険区域を指定した経緯について,国立防災科学技術センター研究報告第22号(1979年)「水害面からみた土地利用状況の問題点」に述べている.すでに,災害危険区域に指定されている場所が,どのような地形で過去にどんな水害を受けた場所であるかを知ることは,水害防止方法を考える上で参考になると思われるので,御一読いただきたい. ここに載せた各条例は,関係各白治体の担当者の御理解と御好意によって収集することができたものであり,ここで感謝の意を表したい. (入澤 実)
掲載条例 北海道厚岸郡浜中町による -災害危険区域内の建築制限条例-(津波)...4 札幌市による -札幌市建築基準法施行条例(抄)-(出水)...6 -札幌市災害危険区域の種別区域等の指定(抄)...8 青森県中津軽郡岩木町による -岩木町建築基準条例-(出水)...9 岩手県東磐井郡川崎村による -災害危険区域に関する条例-(出水)...11 長野県飯田市による -災害危険区域に関する条例-(出水)...13 愛知県名古屋市による -名古屋市臨海部防災区域建築条例-(出水・高潮)...15 -名古屋市臨海部防災区域建築条例施行細則(抄)...18 佐賀県による -建築基準法施行条例(抄)-(出水)...20
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・北海道厚岸部浜中町による 災害危険区域内の建築制限条例 (昭和35年9月8H 条例第20号)
(趣旨) 第1条 建築基準法(昭和25年法律第201号)第39条の規定による災害危険区域の指定及び 災害危険区域内における建築物の建築の制限は,この条例の定めるところによる. (災害危険区域の指定) 第2条 建築基準法第39条第1項の規定による災害危険区域として次の区域を指定する. 霧多布,新川,暮帰別及び榊町の区域のうち,国又は,地方公共団体の築造する防潮堤 及び防潮堤築造予定線からそれぞれ海面までの地域 (建築物の建築の制限) 第3条 災害危険区域内においては住居の用に供す建築物は建築してはならない.但し,次 の各号に掲げる建築物については,この限りでない. (1)季節的な仮設のもの (2)主要構造部(屋根及び階段を除く).を鉄筋コンクリート造又は,これに準ずる構造と するもの. (3)基礎コンクリートとして,その高さを防潮堤の高さと同等以上とするもの (4)地盤面の高さを防潮堤の高さと同等以上とした地盤に建築するもの. 附 則 この条例は,公布の日から施行する.
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・札幌市による 札幌市建築基準法施行条例(抄) (昭和53年3月31日 条例第23号)
第1章 総 則第1節 目 的 (目 的) 第1条 建築基準法(昭和25年法律第201号.以下「法」という.)第39条の規定による災害危険区域の指定及び災害防止上必要な制限,法第40条及び法第43条第2項の規定による建築物等の制限の附加,法第49条第1項の規定による建築物の制限又は禁止,法第56条の2第1項の規定による日影による中高層の建築物の高さの制限に関する対象区域及び日影時間の指定並びに法第69条の規定による建築協定の実施に関しては,この条例の定めるところによる. 第4章 災害危険区域における建築制限等 第1節 災害危険区域及び建築制限 (災害危険区域の指定) 第65条 次の区域を災害危険区域に指定する. 白石区東米里 (災害危険区域の種別) 第66条 災害危険区域を次の2種に区分する. 第1種区域 出水による危険が著しい区域 第2種区域 第1種区域以外の区域 2 前項に規定する災害危険区域の種別区域は,市長が定める. (建築物の床面の高さ) 第67条 災害危険区域内において,建築物を建築する場合の床面の高さは,その敷地の接する道路(2以上の道路がある場合においては最高路面の道路)の路面の中心を基準として,次の表に掲げる数値以上としなけれぱならない. (基 礎) 第68条 災害危険区域内において,建築物を建築する場合は,基礎を鉄筋コンクリート造としなければならない.ただし,盛土上に設ける基礎で,市長が構造耐力上支障がないと認める場合は,無筋コンクリート造とすることができる. 2 前項の基礎の上端は,床面から30センチメートル以下としてはならない. (便槽の高さ) 第69条 災害危険区域内において,建築物を建築する場合のくみ取便所は,便槽の上端を基礎の上端以上としなければならない. (制限の緩和) 第70条 災害危険区域内において,建築物を建築する場合で,特に市長が災害防止上支障がないと認めるものについては,前3条に規定する制限を緩和することができる. (適用の除外) 第71条 災害危険区域内において,次の各号の一に該当する建築物を建築する場合は,第67条から第69条までの規定は適用しない. (1)居室(法第2条第4号に規定するものをいう.)を有しない建築物 (2)仮設建築物(法第85条に規定するものをいう.) (3)敷地及び周囲の状況により,特に市長が災害防止上支障がないと認めた建築物 第2節 その他の出水区域及び建築制限等 (その他の出水区域及び建築制限等) 第72条 災害危険区域に含まれる区域を除き,融雪による出水により安全上及び衛生上著しく支障がある区域(以下「融雪による出水区域」という.)内において建築物を建築する場合は,第67条から第71条までの規定を準用する.この場合第67条中「災害危険区域」とあるのは「融雪による出水区域」と とあるのは, と読みかえるものとする. 2 前項に定める融雪による出水区域のほか,出水の危険が著しい区域内に建築物を建築する場合は,前項に定める基準に適合するようにつとめなければならない. 3 前2項に規定する区域は,市長が定める.
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札幌市災害危険区域の種別区域等の指定(抄) (昭和41年7月4日 告示第231号) 改正 昭和42年 4月告示第107号 改正 昭和50年12月16日告示第967号
札幌市建築基準法施行条例(昭和35年条例第23号.以下「条例」という.) 第66条の規定に基づく災害危険区域の種別区域及び第72条の規定に基づくその他の出水区域を次のとおり指定する. 1 災害危険区域の種別区域 第1種区域 省 略 第2種区域 〃 2 その他の出水区域 (1)融雪出水区域(条例第72条第1項に規定する融雪による出水区域) 省 略 (2)出水危険区域(条例第72条第2項に規定する出水の危険が著しい区域) 省 略
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・青森県中津軽郡岩木町による 岩木町建築基準条例 (昭和50年12月1日条例第27号)
(趣 旨) 第1条 この条例は,建築基準法(昭和25年法律第201号.以下「法」という.)第39条の規定に基づき,災害危険区域の指定及びその区域内における建築の制限に関し必要な事項を定めるものとする. (災害危険区域の指定) 第2条 法第39条第1項の規定による災害危険区域として,別図に標示したとおり岩木町大字百沢字寺沢30の1の1部,34の1部,154の1部,155の1部,158,159の1,159の2,160の1部,160の2,160の3,160の5,160の6,163の4の1部,174の1部及び313の1部並びに字高田83の2,86の1部及び87並びに字田川85,86の1,86の2,87,88の1,88の2及び88の3並びに道路,水路等の国及び県の所有地の地域を指定する. 第3条 災害危険区域においては,住居の用に供する建築物は建築してはならない.ただし,災害防止上必要な措置を講じることにより,安全上支障がないもの及び季節的な仮設のもので町長が認めた場合はこの限りでない. 2 住居の用に供する建築物以外の建築について,災害防止上必要な制限は次のとおり定める. 一 地盤高は,関係法令によるほか,直近の蔵助沢川管理道路の高さより50センチメートル以上高くしなければならない. 二 主要構造部は,鉄筋コンクリート造り又はこれに準ずる構造でなければならない. (罰 則) 第4条 前条に違反した場合における当該建築物の設計者(設計図書を用いないで工事を施行し,又は設計図書に従わないで工事を施行した場合においては,当該建築物の工事施行者)は10万円以下の罰金に処する. 附 則 この条例は,公布の日から施行する.
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・岩手県東磐井郡川崎村による 災害危険区域に関する条例 (昭和43年12月22日条例第17号)
(目 的) 第1条 この条例は,建築基準法(昭和25年法律第201号)第39条の規定により,災害危険区域を指定し,同区域内における一定水位以下の出水による災害を未然に防止するため,建築物の敷地及び構造に関する制限を行ない,もって地域住民の安全を図ることを目的とする. (災害危険区域の指定) 第2条 次の区域のうち,標高18.OOメートル以下の区域を災害危険区域に指定する. 薄衣字町裏,薄衣字法道地,薄衣字久伝,薄衣字須崎,薄衣字矢作前,薄衣字砂子田,薄衣字高館,薄衣字土堀,薄衣字六段,薄衣字大清水,薄衣字玉崎,薄衣字御手洗及び薄衣字千石 (災害危険区域の表示) 第3条 前条に規定する区域は,図面及び標識くいにより表示する. 2 図面は,平面図(縮尺2,500分の1以上)及び横断面図(縮尺縦100分の1,横2,500分の1以上)とする. 3 標識くいは村長が場所を指定して設置する. 4 村長は,第1項に規定する図面を役場に備えておいて縦覧に供する. (高さの基準) 第4条 この条例に規定する標高は,東京湾中等潮位を基準として定める. (建築物の建築の禁止及び制限) 第5条 第2条に規定する災害危険区域内においては,住宅,併用住宅,共同宿舎,寄宿舎又は下宿,その他常時居住の用に供する建築物を建築してはならない.ただし,地盤面の高さを標高18.OOメートル以上として建築する建築物又は次の各号に掲げる建築物はこの限りでない. (1)主要構造部(屋根及び階段を除く.)を鉄筋コンクリート造又はこれに準ずる耐水構造とし,標高18、50.メートル以下の部分を居住の用に供しないもの (2)基礎がコンクリート造又はこれに準ずるもので,かつ,その高さを標高18.50メートル以上として建築するもの (制限の解除) 第6条 前条の規定は,次の各号に掲げる場合には適用しない. (1)この条例施行の際現に建築されている建築物を増築し,又はその一部を改築する場合 (2)工事等のために必要とする宿舎,その他これに類するもので存置期間が6ヵ月未満のものを建築する場合 (3)その他季節的な仮設のもの等で村長が周囲の状況からやむを得ないものと認めた場合 附 則この条例は,公布の日から施行する.
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・長野県飯田市による 災害危険区域に関する条例 (昭和41年3月31日公布)
(趣 旨) 第1条 建築基準法(昭和25年法律第201号)第39条の規定による,災害危険区域の指定及びその区域内における災害防止上必要な建築物の建築の制限はこの条例の定めるところによる. (災害危険区域の指定) 第2条 次の区域を災害危険厚域に指定する. 一 一級河川天竜川右岸飯田市時又川路及び川路の区域の一部 ニ 一級河川天竜川左岸飯田市竜江の区域の一部 第3条 災害危険区域を次の二種に区分する. 第一種区域 一 前条第一号の区域のうち,天竜川と国鉄飯田線とで囲まれた区域 二 前条第二号の区域のうち,天竜川と斜面のり尻とで囲まれた区域 第二種区域 第一種以外の区域 (災害危険区域の表示) 第4条 前2条に規定する災害危険区域の区域及び種別は図面によりこれを表示する. 2 前項の図面は,平面図(縮尺2,500分の1以上)及び,横断面図(縮尺縦100分の1,横2,500分の1以上)とする. 3 市長は,第1項の図面を市役所に備えつけ一般の縦覧に供しなければならない. (建築物の建築の制限) 第5条 第一種災害危険区域内においては,住居の用に供する建築物は建築してはならない. 2 第二種災害危険区域内においては,次の各号に掲げる建築物を除き,住居の用に供する建築物は建築してはならない. 一 主要構造部(屋根及び階段を除く.)を鉄筋コンクリート造,又はこれに準ずる構造とし,前条第2項の横断面図による各断面の最高水位を結ぷ平面(以下「基準水位」という.)以下を居住の用に供しないもの. 二 基礎をコンクリート造として,その高さを基準水位以上とした地盤に建築するもの. 三地盤面の高さを基準水位以上にした堅固な地盤に建築するもの. 四 季節的な仮設のもの. 附 則この条例は,公布の日から施行する・
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・愛知県名古屋市による 名古屋市臨海部防災区域建築条例 (昭和36年3月24日名古屋市条例第2号) 改正 昭和44年8月12日名古屋市条例第38号(い)
(趣 旨) 第1条 建築基準法(昭和25年法律第201号.以下「法」という.)第39条の規定による災害危険区域としての臨海部防災区域の指定及びその区域内における災害防止上必要な建築物の敷地及び構造に関する制限は,この条例の定めるところによる.(い) (臨海部防災区域の指定) 第2条 次の区域を臨海部防災区域に指定する. 一 熱田区のうち,一級国道一号線以南で,堀川以西の区域 二 中川区のうち,一級国道一号線以南で,庄内川以東の区域及び関西本線以南で,庄内川以西の区域 三 港区の全域 四 南区のうち,東海道本線以西の区域 (臨海部防災区域の種別) 第3条 臨海部防災区域を次の5種に区分する. 第1種区域 直接高潮により危険のおそれがある臨海埋立工業地の存する区域 第2種区域 出水により危険のおそれのある低地域の開発予定地の存する区域 第3種区域 出水により著しく危険のおそれのある低地域の既成市街の存する区域 第4種区域 出水により危険のおそれのある低地域の内陸部既成市街め存する区域 第5種区域.出水により危険のおそれのある低地域の農村集落の存する区域 2 前項に規定する臨海部防災区域の種別区域は,規則で定める. (高さの算定方法) 第4条 この条例において建築物の地盤面の高さ,床の高さ等は,名古屋港基準面からの高さ(以下「N・P(+)」という.)とし,測量法(昭和24年法律第188号)第10条に規定する永久標識である一等水準点174-1 (名古屋市熱田区市場町22番地先路上所在.N・P(+)6・278メートルとする.)を基準として算定する. (用語の定義) 第5条 この条例において次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる. 一 耐水構造 次のイ又はロのいずれかに該当するものをいう. イ 主要構造部である柱及びはりを鉄筋コンクリート造,補強コンクリートブロック造,組積造,鉄骨造その他これらに類する構造としたもの. ロ 軸組を浸水に対して特に堅固にした木造で,規則で定める構造としたもの. 二 避難室 避難の用に供するため平屋建の建築物の小屋裏又は天井裏又は天井裏に設ける居室以外の室で,次のイ及びロに掲げる構造としたものをいう. イ 床面積の合計は建築物の延べ面積の十分の一以内,床の高さはN・P(+)3・5メートル以上であること. ロ 容易に屋根上に脱出できる開口部を有すること. 三 避難設備 屋根上に脱出するための屋内からの階段若しくははしご及び脱出口をいう. (居住の用に供する建築物の建築禁止) 第6条 第1種区域内においては,海岸線又は河岸線からの距難が50メートル以内で市長が指定する区域内に住宅,併用住宅,共同住宅,寄宿舎,下宿その他常時居住の用に供する建築物を建築してはならない. (建築物の地盤面の高さ) 第7条 臨海部防災区域内において建築物を建築する場合においては,建築物の地盤面の高さは,臨海部防災区域の種別に応じて,それぞれ次の表に定めるところによらなければならない. ただし,第5種区域のうち,新川以東の区域についてはN・P(+)1・5メートル以上とする(い) 2 次の各号の1に該当するものについては,前項の規定によらないことができる. 一 第2種区域内において,次のイ又はロのいずれかに該当し,かつ,地盤面の高さをN・P(+)1メートル以上としたもの イ 階数が2以下で,かつ,地階を有しない延べ面積が百平方メートル以内の木造,鉄骨造,コンクリートブロック造その他これらに類する構造の建築物で,容易に移転し,又は除却することができるもの ロ N・P(+)2メートル以下の部分を将来基礎又は地階とすることができるもの 二 第3種区域内又は第4種区域内において,基礎をN・P(+)1メートル以上としたもの 三 第5種区域内において,基礎をN・P(+)2メートル以上(前項ただし書に規定する区域については,N・P(+)1・5メートル以上)としたもの (建築物の構造) 第8条 臨海部防災区域内において建築物を建築する場合においては,耐水構造としなけれぱならない. 2 第1種区域内において建築物を建築する場合においては,建築物の構造は,前項の規定にかかわらず,木造以外の耐水構造としなければならない.ただし,居室を有しない建築物で延べ面積が100平方メートル以内のものについては,この限りでない. 3 第2種区域内,第3種区域内及び第5種区域内において居室を有する建築物を建築する場合においては,1以上の居室の床の高さをN・P(+)3・5メートル以上としなければならない.ただし,延べ面積が100平方メートル以内の建築物で,避難室又は避難設備を有するものについては,この限りでない. (公共建築物等の地盤面の高さ及び構造) 第9条 臨海部防災区域内において,学校,病院,集会場,官公署その他これらに類する公共建築物又は発電所,変電所,排水ポンプ場その他これらに類する建築物を建築する場合においては,第1種区域内を除き,延べ面積が50平方メートルをこえる建築物の地盤面の高さは,N・P(+)2メートル以上とし,その構造は,木造以外の耐水構造としなけれぱならない.ただし,N・P(+)2メートル以下の部分を将来基礎又は地階とすることができる構造とした場合においては,建築物の地盤面の高さをN・P(+)1メートル以上とすることができる. 2 共同住宅,寄宿舎又は下宿の用途に供するもので,延べ面積が400平方メートルをこえる建築物又は一団地内に建築する住宅戸数が10以上である場合のそれぞれの建築物の地盤面の高さは,N・P(+)2メートル以上としなけれぱならない.ただし,木造以外の耐水構造としたものでやむを得ない事由があると認めた場合及びN・P(+)2メートル以下の部分を将来基礎又は地階とすることができる構造とした場合においては,N・P(+)1メートル以上とすることができる. (地下の建築物に対する制限) 第9条の2 臨海部防災区域内においては,地下の工作物内に設ける事務所,店舖,興行場その他これらに類する建築物は,次の各号に該当する地下道に接しなければならない.(い) 一 地上に通ずる出入口の最上部の床面及び周壁(最上部の床面に接する部分を除く.)の高さが,第7条第1項に定める建築物の地盤面の高さの最低限度に0・3メートルを加えたもの以上であること. 二 地上に通ずる出入口に,地下道への浸水を防止するための有効な防水扉その他これらに類する施設を設けていること. (特殊の用途に供する建築物等に対する制限の緩和) 第10条 臨海部防災区域内において建築物を建築する場合において,その建築物又は建築物の部分が次の各号の1に該当するものであるときは,第1種区域内を除き,当該建築物又は当該建築物の部分については,第7条第1項,第8条第1項及び第9条第1項の規定によらないことができる.ただし,第6号に掲げるものについては,第8条第1項の規定を適用する. 一 巡査派出所,公衆便所その他これらに類する用途に供する建築物 二 船着場,木材集積場その他これらに類する用途に供する建築物 三 自動車車庫,電車車庫その他これらに類する用途に供する建築物 四 工場,事業場等における作業場で重要な設備装置がない部分 五 居室を有しない建築物又は居住室を有しない延べ面積が100平方メートル以内の附属建築物 六 店舗,事務所その他これらに類する用途に供する建築物の部分又はこれらに附属する居住室の一部 (仮設建築物等に対する制限の緩和) 第11条 法第85条第4項の規定により,市長が1年以内の期間を定めてその建築を許可したものについては,第7条から第9条までの規定を,既存の建築物を増築し,改築し,又は移転する場合で,周囲の状況によりやむを得ないと認められるものについては,第6条,第7条,第8条第2項及び第9条の規定は,適用しない. 附 則 この条例は,公布の日から起算して3月をこえない期間内において市長が定める日から施行する.(昭和36年名古屋市規則第27号で同年6月1日から施行) 附 則(昭和44年条例第38号)(い) この条例は,公布の日から施行する.
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名古屋市臨海部防災区域建築条例施行細則(抄) (昭和36年5月15日 規則第37号) 改正 昭和44年第64号
(目 的) 第1条 この規則は,名古屋市臨海部防災区域建築条例(昭和36年名古屋市条例第2号.以下「条例」という.)の施行について,必要な事項を定めることを目的とする. (種別区域の指定) 第2条 条例第3条第2項の規定に基づく臨海部防災区域の種別区域は,次の通りとする. 省 略 (木造の耐水構造) 第3条 条例第5条第1号の規則で定める構造は,次の各号に掲げるものとする. 一 建築物の外壁及び主要な間仕切壁の下をコンクリート造の布基礎としたもの 二 基礎,土台,柱,はり及び筋かいをそれぞれボルト,かすがい,くぎその他の金物で緊結したもの 三 構造耐力上主要な部分である柱の小径を延面積が50平方メートルをこえる建築物については10・5センチメートル以上,その他の建築物については10センチメートル以上としたもの 四 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第46条第3項に規定する方法によって算出した軸組の長さのうち,その2分の1以上に筋かいを入れた軸組としたもの 附 則 この規則は,昭和36年6月1日から施行する.別図(省略)
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・佐賀県による 建築基準法施行条例(抄) (昭和47年12月26日 条例第35号)
目次 第1章の2 災害危険区域(第2条の2・第2条の3) (趣 旨) 第1条 建築基準法(昭和25年法律第201号.以下「法」という.)第39条第1項の規定による災害危険区域の指定並びに同条第2項の規定による災害危険区域内における住居の用に供する建築物の建築の禁止その他建築物の建築の制限並びに法第40条(法第88条第1項において凖用する場合を含む.)の規定による建築物及びその他の工作物の敷地,構造又は建築設備に関する制限の附加並びに法第43条第2項の規定による建築物又はその敷地と道路との関係についての制限の附加並びに法第56条の2第1項の規定による日影による中高層の建築物の高さの制限に係る区域等の指定は,この条例の定めるところによる. (災害危険区域の指定) 第2条の2 法第39条第1項の規定による災害危険区域は,次の各号に掲げる区域とする, 一 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第3条第1項の規定に基づき指定された急傾斜地崩壊危険区域 二 前号の急傾斜地崩壊危険区域に隣接する区域で急傾斜地の崩壊による危険の著しい区域につき関係市町村長の意見をきき知事が告示で指定する区域 三 前各号に定める区域を除くほか,津波,高潮,出水,地すべり等による危険の著しい区域につき関係市町村長の意見をきき知事が告示で指定する区域 (災害危険区域内における建築物の建築の制限) 第2条の3 災害危険区域内においては,住居の用に供する建築物は,建築してはならない. ただし,災害防止上必要な措置を講ずることにより安全上支障がないと認められる場合は,この限りでない. 2 災害危険区域内においては,居室を有する建築物(住居の用に供するものを除く.)を建築する場合は,主要構造部を鉄筋コンクリート造又はこれに準ずる構造とし,かつ,災害危険区域内における災害に対し安全な構造としなければならない.ただし,災害危険区域の状況等により当該建築物が被害を受けるおそれがない場合は,この限りでない.
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