はじめに
三陸沿岸地域の道路防災は、津波被災を受ける可能性が高いという特殊性を有しており津波災害の事前対策、事後対策を確立し、危険評価、危険情報、二次災害の防止、支援体制、復旧対策等、総合的な対策を確立しておく必要がある。
本「津波災害対策マニュアル(案)」は、これらの背景をもとに津波災害を理解し、適切な事前・事後対策を実行するための体制および行動を解説したものである。
1.総則
1-1目的
【項目】1.総則
1-1目的
【津波災害対策マニュアル(案)】
ア.道路管理者の津波防災対策の専門知識、行動を解説する。
イ.道路利用者(一般ドライバー)への啓蒙・宣伝・情報提供を解説する。
ウ.国道45号および幹線道路の津波災害危険区域を明確化し、交通規制方法、迂回方法を解説する。
エ.緊急時、応急時における役割分担、組織体制、関係機関との連絡・協力体制を、既存の災害対策要領との整合を図り解説する。
本マニュアル(案)は、道路管理者が津波災害対策の基礎的知識を持ち、事前・緊急時・復旧時対策を計画および実施する対応について、標準的行動を解説するものである。
具体的には、津波災害の被災規模を極力最小限にとどめるための事前対策、注意報・警報時対策および緊急時対策を明確化し、津波災害の特殊性に配慮した対応ができるとともに、災害対策の効率的な執行を目的とする。
【適用】
1-2 基本方針
【項目】1-2 基本方針
【津波災害対策マニュアル(案)】
「道路災害対策要領」によって対応できる行動についてはこれに準拠するものとし、特に配慮すべき津波災害の特殊性について独自にとりまとめるものとする。
道路災害対策要領のうち、津波災害の特殊性について配慮すべき対策を補完する部分をマニュアル化し、その他の要領等で対応できる部分については重複しないことを基本とする。
【適用】
1-3 構 成
【項目】1-3 構 成
【津波災害対策マニュアル(案)】
本マニュアル(案)の構成は、次の構成によるものとする。
1.総則
1-1 目的
1-2 基本方針
1-3 構成
2.事前対策
日常行動の中で、津波災害の対応に関して必要となる事項についてまとめたものである。
2-1 防災教育
2-2 防災訓練
2-3 津波危険区域および路上障害物・危険物の把握
2-4 道路利用者に対する宣伝・広報
2-5 人材、資材、モニター制度
2-6 情報活動の考え方
2-7 迂回路、緊急輪送路について
2-8 復旧の考え方
2-9 交通規制および誘導について
3.注意報・警報時対策
津波来襲までの短い時間にとるべき行動が非常に重要であり、注意報や警報が発令された場合の対応に関して必要となる事項についてまとめたものである。
3-1 津波情報の入手
3-2 津波危険度の判定
3-3 体制発動の確立について
3-4 初動対策について
3-5 要員確保の考え方
4.緊急時対策
被災後の対策を円滑に行うため、体制や津波災害の特殊性を考慮した調査、措置等の対応に関して必要となる事項についてまとめたものである。
4-1 緊急体制確立時
4-1-1 内部の連絡系統について
4-1-2 外部関係機関との情報連絡について
4-1-3 情報手段の確保の考え方
4-1-4 資機材の整備について
4-1-5 協力体制
4-2 津波災害による緊急調査・措置の特殊性
4-2-1 調査の特殊性について
4-2-2 措置の特殊性について
【適用】
2.事前対策
【項目】2.事前対策
【津波災害対策マニュアル(案)】
津波注意報・警報発令時および津波発生時に、的確な防災対策が講じられるようにするため、事前に行う対策等について定める。
【適用】
2-1 防災教育
【項目】2-1 防災教育
(1)職員に対する教育
(2)道路利用者の啓蒙
【津波災害対策マニュアル(案)】
津波による被害を最小限にとどめるため、職員、道路利用者を対象に津波に関する知識を普及啓蒙するとともに常に防災意識の高揚に努めるものとする。
(1)職員に対する教育
津波と津波による災害の特殊性について、必要な知識や心構えなどについて教育する。
講習内容は次のとおりとする。
①地震および津波に関する基礎知識
②津波災害対策マニュアルの肉容
③津波注意報・警報発令時および稼波発生時に具体的にとるべき行動に関する知識
④職員が果たすべき役割(動員雑制と任務分担)
⑤今後津波対策として取組む必要のある課題等
(2)道路利用者の啓蒙
津波注意報・警報発令時および津波発生時写遵路利用者が的確な判断に基づいて行動できるよう、津波についての正しい知識、防災対応等について啓発する。
講習内容は次のとおりとする。
①過去の被災事例
②地震および津彼に関する基礎知識
③津波注意報・警報発令時の情報入手方怯および取るべき行動
④津波危険区域に関する知識
⑤避難地、避難路、その他避難対策に関する知識等
【適用】
2-2 防災訓練
【項目】2-2 防災訓練
(1) 防災訓練の内容
【津波災害対策マニュアル(案)】
津波注意報・警報発令時および津波発生時に的確な防災対策を実施するための訓練について定める。
(1)防災訓練の内容
国、県、市町村および防災関係機関と共同し、または単独で次の訓練を行う。
訓練にあたっては、津波注意報・警報が発令される各種の時間帯を想定して実施する他、逐次訓練内容を高度化し、実効性の高い訓練を行うものとする。
ア,総合防災訓練
津波予警報発令から応急復旧に至る防災対策について、国、県、市町村の実施する総合防災訓練に参加して行うことを原則とする。
イ.個別防災訓練
道路管理者が行うべき防災対策を円滑に実行できるよう、個別防災訓練を行う。
主な訓練内容は次のとおりとする。
① 情報の収集伝達訓練…… 市町村、防災関係機関および報道機関等と協力して実施するとともに、段階的に情報量、参加機関を増加させ訓練の高度化を図る。
② 職員の動員訓練…………… 有線電話が輻輳あるいは途絶した場合や勤務時間外に注意報・警報が発令された場合等を想定した訓練を行う。
③ 防災業務の訓練…………訓練の主な項目は次のとおりとする。
・津波発生に備えた資機材や人員の手配
・交通対策
・緊急点検等
【適用】
■ 津波注意報・警報発令情報の正確・迅速な収集およびその情報を的確に道路利用者へ伝えることが津波防災対策の基本となる。
2-3 津波危険区域および路上障害物・危険物の把握
【項目】2-3 津波危険区域および路上障害物・危険物の把握
【津波災害対策マニュアル(案)】
過去の被災事例における津波危険区域および津波災害の特殊性である津彼により運ばれる路上障害物・危険物について事前に把握しておく必要がある。(ここでいう津波危険区域とは、過去の津波到達域であり、防潮堤等による効果は考慮していない。)
別図-1に津波危険区域マップを示す。さらに予想される路上障害物・危険物を別表-1に示す。
この津波危険区域は、津波災害の特色として広範囲に災害が発生し、路上障害物・危険物が散乱する可能性が大きいことから、現在(平成3年)の状況を記入したものである。
津波危険区域マップ作成の目的は、
① 被災が想定される地域の把握
② 道路利用者への事前広報
③ 迂回路設定時の参考
④ 復旧作業時のルート選定の参考
である。
2-9で示す交通規制を実施するためには、道路法第46条に則り、津波による規制区間を予め指定する必要がある。そのため、別図-1に示すマップをもとに防潮堤の効果や地形条件等を考慮し、他機関と調整して早急に規制区間を定めなければならない。
【適用】
2-4 道路利用者に対する宣伝・広報
【項目】2-4 道路利用者に対する宣伝・広報
【津波災害対策マニュアル(案)】
津波注意報・警報発令時および津波発生時に道路利用者が的確な判断に基づき行動できるよう、津波についての正しい知識、防災対応等について啓発する。
① 観光名所における啓発…………外来者を対象として、観光名所にパンフレット、リーフレットおよびポスター等を配置し、津波防災知識の普及を図る。
② 自動車運転者に対する啓発……地元の自動車運転者を対象として、県公安委員会と協力して運転免許取得・更新時および自動車教習所における教習等の機会を通じ、津波注意報・警報発令時および津波発生時において自動車運転者が措置すべき事項について徹底を図る。また、津波警報発令時における自動車の運転の自粛について啓発に努める。
③ 啓発内容…………………………・地震および津波に関する基礎知識・津波危険区域に関する知識・津波注意報・警報発令時のドライバーに対する情報提供方法・内容に関する知識・避難路、迂回路、その他避難対策に関する知識
④ 広報手段…………………………パンフレット、リーフレット、ポスター、映画フィルム、ビデオテープおよび報道機関の媒体等の活用による。
【適用】
■ 「静岡県地域防災計画東海地震対策編」に記載されている。
2-5.人材,資材,モニター制度
【項目】2-5.人材,資材,モニター制度
(1)人材
(2)資機材
(3)モニター制度
【津波災害対策マニュアル(案)】
被災後の復旧作業を効率的,効果的に行うため、人材,資機材を事前に把握し、また、モニター制度の活用により道路状況の把握を行うため、制度およびリストを確立しておく。
(1)人材
① 当該事務所は、局および岩手,青森工事事務所に対し、被災後の協力体制を確立するため、事前協議・決定を行う。
② 地元民間業者をブロック毎に登録制とし、事前に災害復旧に関する協力を要請する。(別表-2 ,ブロック別登録業者)
③ 緊急,応急復旧調査における担当区域および交通規制誘導員を①,②で決定する。
(2)資機材
① 事務所および出張所においては、備蓄場所毎の資機材保有リストを作成し、常時管理する。(別表-3 ,備蓄資機材管理表)
② ブロック毎の登録民間業者の保有する資機材を毎年確認する。
③ 備蓄場所は地震,津波に安全な所とし、その位置を必ず把握する。
(3)モニター制度
① 津波来襲後における道路情報モニター制度の活用と、確認する。
(別表-4 ,道路情報モニター委嘱者)
② 非常時において、他の通信手段が確保できない場合、アマチュア無線による情報収集を行うものとし、事前協議を実施する。
【適用】
人材,資材の確保
2-6 情報活動の考え方
【項目】2-6 情報活動の考え方
(1)津波注意報・警報の受理
(2)道路利用者に対する津波注意報・警報の伝達
【津波災害対策マニュアル(案)】
津波注意報・警報発令時における情報の収集、伝達を迅速かつ的確に実施するため、県、市町村および防災関係機関相互の連携の強化、情報の一元化を図ることを目的として、情報の収集および伝達体制ならびに通信手段の整備を図る。
(1)津波注意報・警報の受理
ア.宮古測候所からの受理…………① 平日(8時30分~17時)および第1・3・5土曜日(8時30分~ 12時30分)
・管理課(62)1711内線275
② 上記時間以外
・道路情報連絡員(62)1711内線435
イ.放送の視聴………………………地震が発生した場合にはその大小にかかわらず、直ちにNHK等の報道を視聴し、津波注意報・警報の把握に努める。
ウ.市町村が独自に収集する津波に関する情報については、あらかじめ当該市町村と協定を締結し、迅速な入手に努める。
(2)道路利用者に対する津波注意報・警報の伝達
ア.近地津波の情報伝達手段および方法……直ちに道路情報板を通じて伝達する。
イ.遠地津波の情報伝達手段および方怯……直ちに道路情報板を通じて伝達するとともに、広範囲な広報を実施する。
ウ.情報板操作…………① 平日(8時30分~17時)および第1・3・5土曜日 (8時30分~12時30分)
・管理課
② 上記時間以外
・道路情報連絡員が行い、操作終了後すみやかに担当者に連絡する。
【適用】
■ 「津波警報の通報について」の依頼(建東陸管第365号、昭和51年5月31日)と回答(宮測第187号昭和51年6月3日)により実施。
(問題点)
・警報発令時のみであること
・有線途絶時には連絡できないこと
■ 独自に収集している市町村……宮古市・田老町・気仙沼市
■ 近地津波に関する注意報・警報に限定した道路情報連絡員に対する情報板操作権限の委譲が必要
2-7 迂回路,緊急輸送路について
【項目】2-7.迂回路,緊急輸送路について
【津波災害対策マニュアル(案)】
津波被害は過去の事例から、沿岸広範囲にわたって被災することが想定される。そのため、調査、復旧作業および道路利用者等の迂回路を事前に確立し、緊急時と被災時に備える。
道路状況により、通行可能車両に注意が必要である。
別図-2は迂回路である。
図中の道路ランク1~3は、以下の道路幅員を表している。
また、図中 ← での表示は、津彼危険地域を表している。
【適用】
(1)
(2) 45号被災時に、道路利用者による迷走、危険地城への進入等の混乱、事故を防ぐため、道路管理者による誘導および標識設置等、適格な迂回路案内が必要である。
(3)迂回路の望ましいあり方
① ネットワークの充実
長期的には、仙台~宮古間の高規格道路(三陸縦貫自動車道)の整備
が期待でき、国道 45 号に対し、ランクの高い代替路線となりうる。
しかし、それまでの中長期においては、
釜石以北ランク3の(国道340号)の路線の改良
を実施し、迂回路ネットワークの段階的整備が望まれる。
② 信頼性の確保
津波は、震度の大小にかかわらず来襲することが知られている。したがって、地震発生時における道路(迂回路)災害等に対し、安全確保に道路機能を果たせるよう、迂回路の信頼性,安全性を確保する必要がある。
迂回路として指定された路線に対し、構造物や法面等の
現状道路診断の実施
を行い、迂回路の現況を把握するとともに、地震時における
信頼性確保のための道路整備
を実施していくことが必要である。
2-8.復旧の考え方
【項目】2-8.復旧の考え方
【津波災害対策マニュアル(案)】
復旧作業に当たっては、広範囲な被災を考慮し、地域をブロック分割して対策を考えるものとする。
ブロックの考え方は、以下の項目を考慮し設定したものである。
ア.地域の連結、生活圏の考慮
イ.国道事務所の出張所および県土木事務所の所在
ウ.内陸部との連結道路
エ.迂回路
しかし、被災状況によっては、各ブロック相互の柔軟な協力体制が必要となる。
① 久慈,宮古,釜石ブロックの場合、各中心都市を第1に復旧し、順次南北隣接町村を復旧していく。
② 大船渡,気仙沼プロックは、各々の市町村を第1に復旧する。
③ ネットワーク上孤立化する町村が発生するため、隣接市町村の早期復旧が課題となる。
(別図-3,復旧の考え方)
【適用】
2-9.交通規制および誘導について
【項目】2-9 交通規制および誘導について
【津波災害対策マニュアル(案)】
津波災害を最小限に抑えるとともに、スムーズな復旧活動を実施するため、津波警報発令時における道路交通規制および的確な交通誘導を実施する。
道路法第46条に則り、規制区間を定めるため、早急に津波危険区域(過去の浸水,防潮堤の効果,地形条件等を考慮)を、他機関との調整のうえ、決定する。
さらに、近地津波と遠地津波による、警報発令から津波来襲までの時間的余裕の違いを考慮し、具体策を確立する。
【適用】
津波の種類として、近地津彼と遠地津彼とがあり、警報発令後の時間的余裕が大幅に異なるため、各々の場合に応じ体制判断を行う必要がある。
(近地津彼……20~30 分,遠地津波……半日~1日)
さらに、国道45号通行車両のうち、津彼危険区城外車両と危険区城内車両とに分類し、各々の場合に応じて規制および誘導を実施する必要がある。
実施に際しては、津波特有の沿岸全体的な被災が予想されるため、これに対応した
広範囲な道路利用者への広報
が必要である。
3. 注意報・警報時対策
【項目】3. 注意報・警報時対策
【津波災害対策マニュアル(案)】
津波注意報・警報が発令され、津波来襲までの短時間にとるべき津波防災体制および初動対策等について定める。
【適用】
3-1.津波情報の入手
【項目】3-1.津波情報の入手
【津波災害対策マニュアル(案)】
津波情報は気象庁発表を基本とし、地震体感後は、テレビ・ラジオの視聴による情報入手体制を整える。
遠地津波のように地震が体感されない場合もあるため、テレビ・ラジオの緊急放送受信対応装置を設置する。
【適用】
3-2.津波危険度の判定
【項目】3-2 津波危険度の判定
【津波災害対策マニュアル(案)】
津波注意報が発令された場合は、「道路災害対策要領」で定める注意体制に入る。
津波警報が発令された場合は、同じく警報体制に入る。
【適用】
3-3.体制発動の確立について
【項目】3-3.体制発動の確立について
【津波災害対策マニュアル(案)】
注意体制,警戒体制の決定過程,連絡方濠および権限代行者は、震災対策要領(案)の注意,警戒体制発令連絡系続図による。
・別表-5,注意体制,震災対策体制発令逢賂系統図,三陸国道支部
・別表-6,警戒体制,震災対策体制発令連絡系統図,三陸国道支部
・別表-7,注意体制,震災対策体制発令連絡系統図,仙台支部全体
・別表-8,警戒体制,震災対策体制発令連絡系統図,仙台支部全体
津波注意報・警報時における体制および報告を以下に示す。
【適用】
3-4.初動対策について
【項目】3-4.初動対策について
【津波災害対策マニュアル(案)】
津波災害を最小限に抑えるため、注意報・警報から津波来襲までの時間的短さから、注意または警戒体制発動と同時に、初動対策を実施する。
初動対策は、近地津波で20~30分,遠地津波で半日~1日の間に行動できるものとし、道路利用者の安全を確保する。
①注意体制時は、道路情報板の操作および地域防災無線の活用により、「津波注意報発令中」,「注意して走行」を広報する。
②警戒体制時は、「津波警報発令中」,「津波危険区域の通行規制」を広報する。
・近地津波の場合は、道路情報板の操作および地域防災無線の活用。
・遠地津波の場合は、道路情報板の操作,地域防災無線の活用の他、道路交通規制・誘導員の派遣,実施を行う。
③初動対策時における自治体等他機関との発令内容,時期を統一するため、事前協議を実施し、緊急時には防災相互通信用無線(466MHz帯)の活用を図る。
【適用】
したがって、広範囲な津波危険区域に対し、「道路災害対策要領」で定める警戒体制要員の他、
遠地津波の警報発令時(警戒体制)における交通誘導員を、他事務所,警察,自治体等を含め、事前に協議,決定しておく
ことが重要である。
なお、現状の道路情報板設置状況では、津波危険区域に対応した規制,広報は困難である。長期的には、
津波危険区域を考慮した道路情報板の設置
を行い、近地津波時の交通規制,広報に対処ずるものとする。(「5-6.情報活動の考え方」参照)
イ.他機関との調整
現在、各市町村は津波防災対策として各々独自の調査,勧告,命令を実施している。これに対し、道路管理者の行う初動対策の時朔および内容が一致しない場合、情報錯綜による混乱が懸念される。
したがって、事前に自治体等他機関との協識,調整を実施し、緊急時での防災相互通信用無線(466NHz)の活用等により、
初動対策における他機関との発令内容,時期の続一化
を実施することが必要である。
3-5.要員確保の考え方
【項目】3-5.要員確保の考え方
【津波災害対策マニュアル(案)】
津波災害対策各体制必要職員は、「道路災害対策要領」および「震災対策要領」で定める各体制要員に準ずる。
また、津波警報発令時(遠地津波)における交通規制,誘導員は、広範囲な津波災害に対し、的確な迂回路案内を実施するため、他事務所,白治体,警察等外部人材の歯力を事前に要請,確立する。
・別表-9,道路災害対策支部編成表,三陸国道工事事務所
・別表-10,道路災害対策支部編成表,仙台工事事務所
【適用】
4.緊急時対策
【項目】4.緊急時対策
【津波災害対策マニュアル(案)】
津波発生に伴って予想される広範囲な災害に対して、迅速、的確な防災対策が講じられるようにするため、緊急時対策について定める。
【適用】
4-1 緊急体制確立時
【項目】4-1 緊急体制確立時
【津波災害対策マニュアル(案)】
緊急時の体制の構築を迅速かつ円滑に実施するため、情報連絡系統、情報手段の確保、資機材の整備および協力体制について定める。
【適用】
4-1-1 内部の連絡系統について
【項目】4-1-1 内部の連絡系統について
【津波災害対策マニュアル(案)】
発動される体制に応じて、震災対策体制発令連絡系統図に準ずる。
【適用】
■ 東北地方建設局震災対策要領(案)
■ 自宅の連絡先を完全に記入することが必要。
4-1-2 外部関係機関との情報連絡について
【項目】4-1-2 外部関係機関との情報連絡について
【津波災害対策マニュアル(案)】
県、市町村および他の防災関係機関との情報連絡は連絡方法、担当者をあらかじめ定め、相互に届ける。
他機関との情報連絡は別表-11による。
【適用】
■ 異常気象時における道路交通連絡活動要項(昭和52年5月10日付建設省道交発第30号)
■ 静岡県地域防災計画東海地震対策編では連絡先一覧表を作成している。
4-1-3 情報手段の確保の考え方
【項目】4-1-3 情報手段の確保の考え方
(1)所内電話の制限
(2)加入電話における
非常通信の活用
(3)非常電話の使用方法
【津波災害対策マニュアル(案)】
緊急時における情報の収集・伝達のための通信について定める。
(1)所内電話の制限
地震等を体感して、自主的に登庁する場合は、原則として確認のための電話をかけることを禁止する。
(2)加入電話における非常通信の活用
加入電話の使用にあたっては、別表-12に編げる市外電話は「非常」をもって呼出し、通信の確保を図る。
非常電話はやむを得ない特別の事由がある場合を除き、あらかじめ電話取扱局の承諾を受けた番号の加入電話によることとされており、加入電話局または加入電報電話局の長にあらかじめ非常電話の使用目的、通話相互機関の名称、所属交換局名、発信着信者番号を明らかにして申請し、その承諾を受けるものとする。
(3)非常通話の使用方法
「非常電話」は、電話局に登録してあるで電話番号により100番で次の事項を告げて申込むものとする。
ア.非常通話、緊急通話の別
イ.発信者、機関名、暇名、氏名、局名、電話番号
ウ.着信加入者の局名、電話番号、機関名
【適用】
■ 非常電話の適用表
4-1-4 資機材の整備について
【項目】4-1-4 資機材の整備について
【津波災害対策マニュアル(案)】
津波来襲直後の緊急調査,措置、およびその後の応急復旧活動に必要な資機材に関し、迅速な手配,運用ができるよう、緊急時において資機材整備を行う。
①緊急調査・惜置に必要な資機材を確保する。不足の場合は、地元民間登録業者から調達する。
②応急復旧作業に備え、事前対策にて整備した資機材全リストを収集し、最新の保有状況(種類,量,場所について)を把握する。
【適用】
(1)
① 事前対策:
○支部レベル
・備蓄場所毎に、備蓄資機材管理表(リスト)を作成し、常時管理。
○支部レベル
・地元業者登録制により、保有資機材を毎年確認。
② 緊急時対策:
③ 緊急調査,措置および応急復旧活動の実施
4-1-5 協力体制
【項目】4-1-5 協力体制
【津波災害対策マニュアル(案)】
応急復旧活動を迅速に実施するため、外部との協力体制を整備し、緊急時において対策を実施する。
①緊急調査要員に対し、調査出動の要請を行う。
②事前対策にて確立された外部協力要員(他事務所および地元業者)に対し、応急復旧活動への応援を連絡し、待機を要請する。
【適用】
(2)
① 事前対策:
○職員レペル
・岩手,青森両工事事務所および局との協力体制壱事前協議,決定。
○民間レベル
・地元業者登録制により、事前に協力を要請。
② 緊急時対策:
③ 緊急調査,措置および応急復旧活動の実施
4-2.津波災害による緊急調査・措置の特殊性
【項目】4-2.津波災害による緊急調査・措置の特殊性
【津波災害対策マニュアル(案)】
【適用】
①道路が通れるかどうか
被災状況の中でも表3.2.1の中被害と大被害の2つを中心とした被害の発見に全力を傾けることが重要である。また、津波災害の場合は、路上障害物規模および危険物の損壊等により被害の程度および交通機能が分類される。特にガスタンクなど危険物の流出.引火にっいては、充分注意する必要がある。
②橋梁等重要構造物の被害状況の概要把握
橋梁被害,大規模斜面崩壊は、復旧で長時間を要するため、できるだけ緊急調査時に被害状況を把握しておくのがよい。
津波災害の場合は、大規模漁船およびガスタンク等危険物爆発による道路構造物彼害が予想される。
③大きな二次災害の危険の把握
二次災害の危険性に関する調査の観点は以下のとおり。
・当該施投被害の大規模な進展の可能性が明らかにあるか否か。
・一次災害または上記に伴う当該施設の被害が周辺の住民または資産に大きな影響を与えているか、もしくはその可能性が明らかにあるか。
・所管外施設の被害が、道路に大きな影響を与えているか、もしくは、その可能性が明らかにあるか。(漁船等路上障害物や、危険物流出・引火の可能性等。)
4-2-1 調査の特殊性について
【項目】4-2-1 調査の特殊性について
(1)調査隊の編成と調査範囲
(2)調査項目
(3)調査の方法
(4)被害実態の報告
【津波災害対策マニュアル(案)】
津波災害は、沿岸広範囲にわたり、津波により路上障害物が発生する等の特殊性を有するため、これに基づいた緊急調査を実施する。(津波来襲から約24時間程度までに実施)
(1)調査隊の編成と調査範囲
①調査範囲は、津波危険区域を対象とする。(通行規制区間と定められた地域)
②調査が広範囲となるため、地元協力業者も含め、事前に担当地域を定めた班編成を確立する。
(2)調査項目
①「道路が通れるか」,「橋梁等重要構造物の被害状況の概要把握」,「大きな二次災害の危険の把握」に主眼を置き、調査を進める。
②特に路上障害物の有無とその規模,および沿道危険物の損壊の有無と流出,引火の可能性等について調査する。
(3)調査の方法
①調査が広範囲であること、および津波によって運ばれた路上障害物が発生すること等により、ヘリコプターによる上空からの調査が有効である。調査隊の編成確立時に、ヘリコプターによる調査を考慮する。
(4)被害実態の報告
①報告は、調査項目に対応した内容とし、特に路上障害物と沿道危険物の被災について正確に報告する。
【適用】
4-2-2 措置の特殊性について
【項目】
4-2-2 措置の特殊性について
(1)緊急通行確保のための路上障害物除去について
(2)迂回路,緊急物資輸送路の広報
【津波災害対策マニュアル(案)】
緊急調査により、道路交通安全上間題を有すると判断される場合、通行規制等の緊急措置を実施する。
緊急措置は、広範囲な被災や路上障害物の散乱等津波被害の特殊性に基づき、広範囲な迂回路の広報や緊急通行確保のための除去措置等を講じる。
(1)緊急通行確保のための路上障害物除去について
①緊急調査班が、現地にて、対応可能な路面上の支障物件については、その場で除去措置を講じ、通行を確保する。
②電線等技術的取扱いを要する占用物件については、占用者に通報し、措置させる。
③死体等の取扱いについては、「地域防災計画」に則るものとし、各市町村の担当部課へ連絡し、措置を依頼する。
(2)迂回路,緊急物資輸送路の広報
①通行規制の実施と同時に、迂回路の広報を行う。
②迂回路の広報は、広範囲な道路利用者に対し行うものとし、道路情報板,案内標識,交通誘導員による現地での案内と、道路情報センターやマスコミを通じた広報を行う。
③内陸からの緊急物資輸送路は、被災箇所に応じた有効利用を図るため、他事務所,警察,自治体,消防等に対し、緊急物資輸送路の連絡を行う。
【適用】