前付け
はしがき
昭和35年5月23日チリのコンセプシオン地方に起った海底地震により翌24日未明から本邦太平洋岸一帯に大きな津波が来襲し,八戸をはじめ,各地に多大な被害を与えた。特に三陸沿岸では昭和8年の大津波以来の大被害を受け,日本における害の大半を占めるに至った。過去においても南米地震による津波はしばしばあったが,いづれも検潮記録に数拾糎位の振幅が計測される程度で,被害を伴ったことがなく,全く珍しい現象といわなければならない。
我国の津波防災の研究は昭和8年の三陸津波以来急速に発展して来たが,これらは日本近海に発生した津波に対するもので,今回の如き遠地津波の研究資料はほとどなく盲点でもあったわけである。
よく「災害は忘れた頃にやってくる」といわれているが,この度の津波も全くその通りであった。八戸は地形の関係で従来三陸の津では被害が比較的少なかった。従って沿岸住民の意識も薄くまた港湾施設の設計においても津波というものをあまり考慮していなかったようである。
被災後,津波災害に関する特別立法がいち早く公布され,八戸も被害激甚地としての指定を受けて復興事業が急速に進められている。また関係研究機関による総合科学的現地踏査が実施され,津波災害防止の研究が行われた。しかし三陸沿岸は津波常襲地として宿命的に津波の経験を繰り返えさなければならない。したがって,これを契機とし,これを教訓として常に万全の備えを持ちたいものであります。
津波一周年に当って
八戸市長岩岡徳兵衛
八戸漁連会長秋山皐二郎
津波
浪源
昭和35年5月23日4時11分(日本標準時)南米チリのコンセプシオン地方(南緯38°西経73.5°)の海底に大地震が発生し,17,000kmの太平洋を約24時間で走破して,日本の太平洋岸一帯に大津波となって襲来した。
規模
この地震の規模はM(マグニチュード)8.75という今まで世界で記録されたなかでは最大級の地震の一つで,そのエネルギーは水爆4個分に相当するといわれる。(4×10の24乗エルグ)
過去の津波
元来三陸地方はその東方沖合に外側地震帯があり,その地震帯中には日本海溝という深海があるなど地震発生の好条件を具え,更に津波災害を倍加するリアス式海岸を有し,津波の常襲地として宿命的に津波の経験を繰り返している。過去における青森県に襲来した津波を見ると西歴869年5月(貞観11年)の三陸沖津波を初めとして今回のチリ地震津波を加え実に26回も起っている。近年では明治29年6月15日及び昭和8年3月3日の三陸津波による被害が甚大であったがこれらは総て本邦の太平洋やその近傍に発生した海底地震によるものである。チリ沖の地震による津波は過去においてもしばしばあったが,その被害も全くないか,あるいはきわめて軽微なものであり今回程の規模の大きなものは一つもなかった。
その特異性
かって経験しなかった極めて遠地の地震津波であって,従来の三陸沖地震津波の場合と異なって対照的な現象を示している。すなわち震源が遠地のため前ぶれともなる地震動を感じなかった。また昭和8年の場合は湾奥で湾口よりかなり低くなっているが,今回は全く逆の現象が見られ湾外に当る江ノ島(宮城県)の2.77m(振巾)に対し,湾奥の八戸では2倍以上の5.6m,久慈でほ最も大きく5.95mとなっている。この原因は津波の周期が昭和8年10〜20分であるのに今回は60分以上であったため,湾の固有周期と一致し,共鳴して津波が発達したためと考えられている。また従来の三陸津波は南東方向から来襲していたため,鮫角岬の蔭にあって湾が北東に關いている八戸港では被害程度も概して少なく,むしろ東や南東に面した三沢附近の海岸や鮫角以南の沿岸で被害が大きかった。今回の津波は北ないし北東の成分が強かったようで,このため八戸港をはじめ今まで影響のなかった陸奥湾でも2m近くの津波が襲い,莫大な被害を出している。
被害
漁船被害
魚市場被害
臨港地帯の被害
1.水産関係の被害
24日午前5時15分頃前ぶれともなるべき地震動もなく,突如最大振幅5.8mの津波が襲い,一瞬にして尊い生命と多くの財産が失われた。
八戸市はじめ各関係機関では津波災害発生と同時に万難を排して全地区に亘り被災状況の調査を行った。被害程度は想像を遥るかに超える大きなもので,特に水産関係の被害は調査を進めるに従って莫大な数字を示し,八戸市総被害額の67%に当る31億円以上にも達した。
漁期を目前に控えて待期中の漁船は無惨にも,その70〜80%が沈没,破壊し,各所の護岸防波堤は次々と崩壊していった,加えて第二魚市場岸壁は全域にわたって倒壊し,その悲惨さは目をおおわしめるものがあった。
漁船
漁船の被害は特に甚大である。新井田川河口両岸に繋留中の漁船や,漁連船揚場に上架していた漁船は川をさかのぼって浸入した波をまともに受け,護岸上に打ち上がるもの,漁船どうしが衝突するもの等一瞬にして漁船の墓場と化した。ここだけでも流失,沈没13隻,損壊200隻に達した,鮫港内でもかなりの被害を受け,漁期を目前に控えて暗たんたる状態を示した。港外に避難し得た船は被害を免れたが,在港船の多くは出漁に具えてエンジン整備中であり,しかも潮が引いて動けなかったため被災したものが多い。
漁具
漁船の流失,破壊に併って,船具機器,漁網綱類,及び副漁具等が流失,破損した。倉庫,舟小屋内の保管漁具にも相当の被害を受けている。
共同利用施設
運河奥端の漁連船揚場は繰り返し襲う津波で盛土整地した上架場と機材倉庫が流失し,漁業協同組合の事務所,倉庫等は津波に押流されて移動したうえ,流木,浮遊物によってサクリ板,柱壁等が目茶目茶に破壊破壌された。
いか釣漁協組の製氷冷凍工場はその機能が停止し,八戸市漁協組で建築中の冷蔵庫も,盛土及び建設資材が流失した。
漁協購買品製品
貝藻類
加工関係
加熱生産中であった加工工場は製品,資材に莫大な被害を受け,また冷凍冷蔵工場は施設機械が冠水し,就業は一時不能となった。白銀,小中野,湊地区辺海に集中している個人小規模経営の加工場は建物,煮熱釜,器具資材のほとんどがおし流され,これら組合未加入零細加工業者の被害は加工総被害の56%を占めている。
製函関係
事務所,工場等の建物の被害をはじめ,製函機,モーター等泥水に洗われ使用不能となり,魚函5万8千箱が流失し,1万数千箱は浸水,資材(木取,釘等)の大半は流失した。
その他
2.漁港及び港湾施設の被害
八戸港は港湾施設被害としては最も大きな傷をうけた。従来港湾構造物は防波堤においては波浪に対し,岸壁物揚場等は土圧に対抗出来るよう設計されて来たが今回の津波被災状況は水位の昇降に伴う流速によって地盤の洗掘,異常低潮による土圧力の増加及び流動船舶の衝突等が原因となっている。このため,一万屯岸壁以外は全く無抵抗状態で小中野魚市場岸壁をはじめ防波堤,護岸,物揚場等は次々と倒壊して行った。
魚市場
工業港入口の流速特に著しく引き潮時最大13m/sec,上げ潮時最大8m/secに達し,このため小中野第二魚市場岸壁前面の水深3mが5mにも洗掘され基礎が全くえぐりとられた,加えて背面の土圧が異常低潮によって著増したため次々と破壊転倒した。排水路の部分は引き波により底からえぐられて土砂が抜け出し,水路上の鋪床は陥没した。これに伴って場内の排水溝,給水管,塩水管,が破損,浄化槽暖房設備は泥水の冠水を受けた。このとき親時計も破損したため場内全時計は被災時刻を指して止っている。(5時17分)
鮫魚市場は入札事務所,仲買人控所,現場員詰所の建物が破壊され,道路側の木柵が大半倒壊流失した。
漁港施設
小中野漁港物揚場護岸は,泊渠の中を津波が前後に往来し,護岸前面が洗掘され220mにわたって倒壊し,物揚場は50m前傾した。蕪島護岸,種差防波堤も大波をまともに受け欠壊した外,各所の泊地埋没が起り,その外臨港鉄道にも被害があった。
港湾地帯
浸水引水に伴う護岸前面の洗堀が原因となって倒壊した例が多く,最大洗堀深は7mにも達している。コンクリート矢板も引水の時の落下水によって矢板のかみ合せが弱まり,隙間から裏込土砂が吹き出し脆弱にくずれていった,また流動漁船の衝突によりコンクリート矢板が折損し破壊を大きくしていった例も多い。
3.臨港地帯諸施設の被害
種差で死者2名を出したほか傷ましい犠牲者も発生した。家屋の被害も大きく,低地帯の小中野,湊,白銀地区に多く,特に三島川辺は局部的な被害を受けている。工場地帯は床上50cmの浸水により,建物,岸壁,機械等の破損をはじめ,製品,資材の多くが流失した(被害額3億6千万円)また商店3,000のうち30%が被災,1億5千万円の被害を受けた。農地,農作物等の被害は比較的軽微である。
復興
災害発生と同時に,災害救助法が発動され,急拠設置された津波対策本部(市役所内)は全機能を挙げて復興に着手した。ついで6月1日には八戸市内水産関係者を一丸とした,八戸水産災害対策協議会が結成され,官民一体となって不眠不休の努力が払われた。被災後のあらゆる困窮を克服して立ち上った被災者並びに関係者は血の出るような苦闘を続けた。これが見事に結実して1年後の現在では,被災前の状態に回復したばかりか,それ以上の復興を成しとげ盛りあがるような復旧意欲は更にたくましい発展えと進んでいる。
応急対策
○非難所設置□鮫小学校外10ヵ所,避難者1,600名
○陸上自衛隊出動□被災地区の警戒,防疫,道路上の障害物除去作業に当る。5月24日〜6月2日,延人員1,104人。
○給水活動□三島水原冠水のため,白銀地区その他にポンプ車4台出動。
○伝染病予防法発動□被災地区の消毒,汚ごみ処理作業実施,防疫作業費1,138千円。
○保護世帯応急対策□青森県は罹災保護世帯のうち,家屋の全壊(6戸)半壊(1戸),補修を要する家屋(10世帯)等の補修を指示,更に災害救助法による救援物資,法外援護物資,寝具16組の給付を行った。家屋補修費144千円,衣料寝具費255千円。
○仮設住宅の設置住宅の応急処置□災害救助法による仮設住宅,15戸(1戸当り5坪,10万円)設置,生活困窮者に対し,6月25日完成入居させた,また自力では修理出来ない者には,12戸修理し入居させた。
○漁船保険の早期支払□漁船保険加入船の沈没船については,1週間以内その他の被害船については通常の場合と異った取扱により早期支払の措置がとられた。
○県税の減免に関する特別措置□著しく租税能力を喪失した者に対し,34年度分及び35年度分の(1)個人の行う事業税(2)不動産取得税,(3)自動車税,(4)鉱区税,(5)家畜税の県税を減免する措置を講じた。
○津波災害金融措置□生業資金については,市内金融機関に対し,市の証明書により融資の斡旋がはかられた。(復興対策の項参照)
○假護岸工事(復輿対策の項参照)
復興対策
1.水産関係の復旧
水産業団体災害復旧事業
事業主体□八戸漁業協同組合連合会
事業内容□(1)中央地方官公庁に対する協力を要請,(2)公共施設の復旧,漁船の引き降し作業及び整理,(3)水産関係団体の災害復旧に協力(水産加工業用資材,造船用木材の払下げ陳情,融資措置の交渉)(4)津波災害と復旧状況の集録作成。
事業費□2,209,060円(市補功金700,000円,八戸漁連負担金1,509,060円)
漁船整備状況□乗上漁船95隻,引降し船63隻,焼却3隻,沖合廃棄1隻,着手35年6月16日〜完了35年12月28日
共同利用施設の復旧
漁業協同組合の所有する施設の災害復旧については暫定法があるが,今次災害の状況からその特別措置法が公布され同法の特別被害地域として指定を受けた市内各漁業協同組合は総額295万円の国庫補助を受け,年内にその大半が使用に供するまでに回復した。
特定漁業施設の復旧
特別措置法に基づいた特別被害地域として鮫町浜通り,三島下,浜須賀が指定をうけ,該当事業主体となった,三組合はそれぞれの地域に適した部落復興に必要な施設工事に着手,36年4月には各施設とも建設成った。
小型漁船建造復旧
小型漁船(無動力船及び5トン以下の動力船)の被害205隻にのぽり,これの早期復旧も緊急を要した,しかし沿岸漁業者の自力復旧能力はほとんど不可能なため,特別措置法に基づく助成措置,更に市の補助金を受け小型漁船の建造に当った。
津波災害金融措置
被害漁業者の立ち直りのためには再建資金の融通の円滑化をはかることが緊要であった。これが資金として天災融資法の適用とともに農林漁業資金の融資によって早期復旧の措置が講じられたがこれらの制度金融措置に乗りがたいものについては漁業信用基金協会並ぴに信用保証協会がその信用を補完して融資を行うこととなった。
2.漁港及び港湾施設の復旧
津波によって各所の堤防,護岸,水揚場が欠壊し,漁港機能はマヒ状態におちいった,特に第二魚市場の損壊は水揚処理に大きな支障をきたし,緊要度と共に緊急復旧が要請された。県では直ちに総額2億4千万円(国庫負担161,045千円県負担80,403千円)の漁港復旧工事を計画とりあえず1億円(国庫6,670万円県費3,330万円)をもって魚市場前面の仮護岸設置,続いて復旧工事に着手した,更に市においても1千3百万円を起債し,工費13,283千円をもって第ニ魚市場の復旧に全力を傾注し同年10月には岸壁140mが完成,翌年4月には106mが完成し,漁船の使用可能となった。
漁港施設は「国庫負担法」の適用をうけ,港湾施設も「津波対策事業に関する特別措置法」の指定を受けて,再び起るかもしれない津波に対し,港湾機能を保持し,背後地の安全をはかるべく,恒久的かつ計画的な漁港,港湾復興工事が実施しつつある。津波対策の最も重要な施設として,八戸港を外海より遮蔽し,各種漁港施設港湾施設並びに海岸線を防護する西防波堤の築造が急務とされ,現在防潮堤予算の振替え,構造,機能の設計等具体的な計画が推進されている
第二魚市場復旧
漁港の復旧
第二魚市場岸壁の壁体は前面に倒れており,倒壊破片を除去しなければ原型復旧が出来ない,しかし作業船の大半が沈没,破壊している状況で,長期の工事日程を要するため,工程のあげ易いシートパイル工法を採用し,倒壊破片の前方9mにパイルを打ち込んだ,この場合,航路の巾員を狭め,漁獲物の横持ち移動量が増し,氷の積込み等に下便となるが,早期利用の必要性が優先し,既述の案が採用された。(第二魚市場被害及び復旧図参照)
土木港湾復旧
3.その他の復旧
小中野町工業地区内排水路は個人で仮土留を行った。青森県では工事費538万円をもって全工事を施行する計画である。
三角地帯の防災工事を要する市川地区には防潮堤2,800m盛土85,000?造林23ヘクタールの事業を推進する。
農地及び農業用施設については,被害軽微なため,すでに受益者が自力で復旧した,なお市では耕土培養事業を実施し復旧を完了した。
県立八戸水産高校実習船の建造及び,艇庫は,国庫負担2,078千円県費2,050千円計4,128千円で復旧に当ることになった。
チリ地震津波の水産関係災害復旧事業に対する特別措置一覧
災害復旧主要経過
35年
5月24日
○5時25分八戸市災害救助対策本部を市庁内に設置(本部長八戸市長)
○青森県対策本部設置(本部長青森県事知)
○避難所設置,鮫小学校他10ヵ所,避難者1,600名
○8時25分災害救助法発動
○陸上自衛隊出動(延1,104人),6月2日まで被災者救助作業,給水,防疫作業,警戒に当る。
○津波被害者に対する県税の減免特別措置を実施,8月31日まで。
25日
○伝染病予防法発動,被災全地区に亘り消毒を行う。
○臨時市議会を招集八戸市津波対策委員会を組織
○各漁業協同組合共同利用施設の復旧に着手
27日
○県特別委員会大島委員長外9名八戸の被災地を視察
○自民党政調会木村守江外4名及び建設省,水産庁担当官,視察調査のため来八
28日
○農林省大野政務次官,林水産庁漁港部長一行,災害状況視察のため来八
○水産庁飛田技官資料調整のため八戸被災地視察
○金融対策打合会議青森で開催(市内金融機関,商工会議所,県,市,信用保証協会)
○第二魚市場場内施設の復旧に着手
29日
○運輸省港湾局査定官,国直轄工事査定のため来八
○北海道,東北4県「チリ地震津波災害対策主管部長会議」を仙台で開催,災害復旧特別立法措置の要請並びに今後の推進について協議
31日
○参議院同志会大竹平八郎,八戸視察
6月1日
○市内水産関係者による八戸水産災害対策協議会結成(会長秋山皐二郎),被災地に対する特別立法措置,漁港施設の改良復旧,融資の促進をはかる。
○チリ地震津波被災復旧資金特別保証制度を実施する。8月31日まで。
2日
○衆参両院政調会より調査団来八,この折復
旧対策について陳情した。
○島津日赤社長一行視察のため来八
3日
○建設大臣村上勇一行,衆議院農林水産委員
吉川久衛一行来八,この折陳情を行った。
4日
○水産庁漁港部建設課海保課長補佐一行,漁港査定のため来八,第二魚市場岸壁の災害復旧について打合せる。
○衆議院商工委員一行八戸視察
5日
○北海道,東北4県,チリ地震津波災害対策知事,議長合同会議東京で開催,特別立法措置,推進方策について協議
○運輸省第二漁港建設局事務次長一行調査のため来八
○夏堀代議士帰八,中央における接渉の経過説明会
6日
○県特別委員会中央関係官庁に陳情
8日
○市内漁業関係組合で災害対策会議開催
○県漁港課長第二魚市場前面岸壁の復旧について,技術的な打合せのため上京
○青森県漁業信用基金協会役員会,災害復旧貸出限度の拡大について協議(水産課長出席)
○第二魚市場前仮護岸工事着工,同月18日完了
9日
○衆議院運輸委員一行八戸視察
○災害対策について八戸漁連会長一行中央に陳情
10日
○金融相談所,八戸漁連内に開設
11日
○復旧用木材払下げについて青森県に陳情
○経済企画庁総合開発局々長一行,八戸視察
12日
○日銀総裁一行復旧対策調査のため来八
13日
○県計画課長,八戸市建設部長,都市災害査定促進のため建設省に陳情
14日
○第二魚市場岸壁復旧工事につき,魚市場会議室において協議会開催
○運輪省技術研究所鶴田水工部長一行来八
15日
○経済企画庁長官現地視察のため来八
○漁業金融その他災害制度のため中央及び仙
台,盛岡に陳情(市水産課長漁連会長)
16日
○東北6県商工部長会議開催被害復旧対策について打合せ(仙台)
○津波被害に伴う盛漁期対策協議会開催
○水産業団体災害復旧漁船整理事業に着手(八戸漁連)
17日
○災害対策に伴う市場運営審議会開催
18日
○国鉄本社建設局計画課長一行来八
○海上保安協会役員会を開催し対策を協議する。
○チリ地震津波被害統計調査完了(水産課)
20日
○枕木払下げ方につき盛岡営林局に陳情
21日
○青森県信用基金協会臨時総会召集災害融資に関す案件(水産課長出席)
22日
○漁業協同組合関係共同利用施設災害対策協議会開催,(八戸漁連)
23日
○海上保安庁第二管区本部長一行視察のため来八
○法律第101号資金融通に関する暫定法の一部を改正する法律公布
25日
○運輸省港湾計画課復旧係長外3名港湾復旧事業査定のため八戸港調査
○県の専決処分,金融円滑化のため,県,市が信用保証協会に保証料保険料を補給する措置
26日
○八戸漁連役員会を開催し,復旧状況並びに対策につき協議
○法律第109号特定の漁業施設々置に関する
特別措置法公布
27日
○法律第107号津波対策事業に関する特別措置法公布
○法律第110号小型漁船建造に関する特別措置法公布
○法律第108号水産施設の災害復旧事業に関する特別措置法公布
30日
○法律第114号災害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律公布
7月1日
○第二魚市場岸壁復旧工事に着工
2日
○水産庁漁港課紫原技官災害査定のため来八
6日
○建設省吉宗技官,都市災害査定のため来八
8日
○港湾局管理課長,次長来八
14日
○法律第119号災害を受けた中小企業者に対する資金の融通に関する特別措置法公布
30日
○漁港復旧工事促進について水産課長青森県に陳情
8月12日
○天災融資法打合会開催(八戸漁連)
16日
○青森県告示第507号天災融資法に係る特別被害地域として,小中野町,湊町,鮫町,市川町が指定される。
21日
○参議院建設委員田中一外8名来八
21日
○農林省官房庁並びに水産庁,大蔵省担当官一行,水産業共同利用施設災復旧事業査定のため来八
23日
○参議院予算委員千田正外3名来八
24日
○農林省告示第790号特定漁業施設々置特別措置法に係る特別被害部落として,鮫町浜通り,三島下,浜須賀が指定される。
29日
○大蔵省主計局公共事業課,古橋外1名監査のため来八
30日
○八戸水産災害対策協議会開催(八戸漁連)
31日
○衆議院予算委員一行八戸視察
9月12日
○水産庁漁港部建設課下村班長外3名新井田川護岸築造の件につき来八
14日
○建設省海岸課田原補佐外1名,防潮堤築造調査のため来八
15日
○建設省海岸課吉川技官,防潮堤の件で来八
17日
○運輸省防災課,建設課,監理課一行防災事業打合せのため来八
26日
○漁港整備計画協議会並びに共同利用施設補助打合せのため水産課長上京
10月8日
○青森県告示第624号利子補給及び損失補償補助金交付規定の一部改正
12日
○第二魚市場岸壁工事140m完成
22日
○台風24号による高潮襲来,第二魚市場仮護岸被災個所等に再び被害を受ける。
36年
1月15日
○被害漁業協同組合,部落復興計画に係る共同利用施設建設工事に着工
3月31日
○小型漁船建造復旧事業完了
○部落復興に係る共同利用施設工事完了
4月20日
○第二魚市場岸壁工事106m完成旧第二魚市場岸壁29m完成
5月8日
○津波協議会,今後の津波対策及び記念行事の打合せ(市土木港湾課主催)
5月20日
○第二魚市場復旧工事完了
あとがき
チリ地震津波は一朝にして莫大な財産を海の藻屑と化してしまいました。津波の常襲地三陸沿岸に住む我々はこのような大惨事を常に念頭におかなければなりません。同じ悲劇を二度とくり返えさないようその対策に当っては最善の努力が払われておりますが海浜を職場とする漁業者にとっては特に常日頃の戒心が大切であります。
この貴重な経験をもう一度ふりかえり,今後の対策に本書が幾分とも役立てば幸いです。刊行を急いだ関係上,編集に不備をまぬがれなかったと思いますが,各位の御叱正を賜れば幸甚と存じます。最後に本書の編集に当り御協力いただいた各位に厚く御礼申し上げます。
八戸市水産課
昭和36年5月24日発行
チリ地震津波
被害と復興
編輯八戸市水産課
発行八戸漁業協同組合連合会
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