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(巻頭写真)

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浸水区域を示す鳥瞰写真(附昭和35年5月24日の記)
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写真 津波警報塔
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写真 銅板の文
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写真 津波犠牲者供養塔

襲来の状況

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写真 一体の海と化した工場用地、向う側は小野田セメント工場
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写真 破壊の限りを尽くして引いて行く黒い滝ハ(その一)
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写真 破壊の限りを尽くして引いて行く黒い滝ハ(その二)
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写真 掃き払われたさつな中赤崎地区
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写真 狼籍のあと、大船渡町中学校通
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写真 大船渡中学校通
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写真 暴力の極大船渡町野々田
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写真 破壊の限りをつくして小休止する海の暴力
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写真 国道立体交叉点まで押し上げられた一〇〇屯船
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写真 かってなき経験、赤崎佐野部落
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写真 差引を繰返して不安動揺の地之森地区
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写真 滝となって引いて行く万屯岩壁
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写真 無気味に盛り上る海面
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写真 急流となって通過したあとの大船渡町市街
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写真 急流となって通過したあとの大船渡町市街
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写真 急流となって通過したあとの大船渡町市街
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写真 急流となって通過したあとの大船渡町市街
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写真 急流となって通過したあとの大船渡町市街
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写真 電報電話局の二階には多数の交換嬢が孤島の人となった
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写真 盛高校前から駅方面まで一時は見渡す限りの海だった
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写真 赤崎町佐野に集積した家屋材及び家具の山
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写真 水の安定化と共に数を増す救援者
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写真 赤崎町田中小路の惨状
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写真 大船渡町永井沢から見たその日の海
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写真 地之森地区の惨状、ここに多数の死体があった
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写真 翌日の新聞報道
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写真 末崎町細浦の被害
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写真 赤崎地区から見た第1回引潮

被害の状況

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写真 死体捜索(大船渡赤沢)
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写真 大船渡町駅前交叉点
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写真 暴力!250屯の運送船をほうり上げる
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写真 大船渡茶屋前踏切
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写真 大船渡駅前通り
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写真 数次の水に押寄せられた家屋の破片
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写真 大船渡駅前から南方を見る
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写真 大船渡町須崎橋から北方を見る
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写真 一週間後の大船翻前
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写真 大船渡須崎町
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写真 大船渡町裏通りに集積した流失物
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写真 家財と死体を求めて
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写真 自力だけでは手のほどこしようのない大船渡
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写真 廃嘘と化し去った中赤崎地区
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写真 カトワック教会下に集積した家屋の残骸
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写真 再び海にもどす方法のない(田茂山)
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写真 橋桁だけになった川口橋
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写真 あわれ!収容所で独り留守居
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写真 中赤崎田中小路は沼になって水が引かない
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写真 大船渡町地之森地区の被害
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写真 中赤崎の被害
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写真 中赤崎地区

救援の状況

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写真 完全に非常体制にはいつた市役所(A)
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写真 完全に非常体制にはいつた市役所(B)
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写真 応急処置として発足した市復興事務局
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写真 犠性者家庭をまわって慰霊する鈴木市長
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写真 中央かちの視察楢橋.王田氏等来市(A)
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写真 中央かちの視察楢橋.王田氏等来市(B)
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写真 中央かちの視察楢橋.王田氏等来市(C)
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写真 中央かちの視察楢橋.王田氏等来市(D)
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写真 救援物資義損金品の山(A)
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写真 救援物資義損金品の山(B)
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写真 救援物資義損金品の山(C)
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写真 救援物資義損金品の山(D)
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写真 救援物資義損金品の山(E)
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写真 救援物資義損金品の山(F)
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写真 救援物資義損金品の山(G)
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写真 市婦人会の手で整理される救援物資(その2)
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写真 市婦人会の手で整理される救援物資(その2)-1
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写真 市婦人会の手で整理される救援物資(その2)-2
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写真 被災民収容所の告示板
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写真 大船渡中学校講堂に収容された被災民
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写真 収容所で労わり合う被災者た
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写真 被災者のために、取敢えす建てられた住宅
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写真 一先づ建てられた犠性者慰霊塔
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写真 同級生を、姉を、弟を、父を、子をこの一本の白木に求めて
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写真 やっと通れるだけには片付いたもの
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写真 救援作業に奉仕する市民(A)
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写真 救援作業に奉仕する市民(B)
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写真 救援作業に奉仕する市民(C)
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写真 所有者不明のものも洗濯されて
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写真 自衛隊の出動(市民はその偉力に驚き、且つ感謝した)(A)
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写真 自衛隊の出動(市民はその偉力に驚き、且つ感謝した)(B)
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写真 自衛隊の出動(市民はその偉力に驚き、且つ感謝した)(C)
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写真 自衛隊の出動(市民はその偉力に驚き、且つ感謝した)(D)
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写真 自衛隊の出動(市民はその偉力に驚き、且つ感謝した)(E)
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写真 自衛隊の出動(市民はその偉力に驚き、且つ感謝した)(F)
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写真 自衛隊の出動(市民はその偉力に驚き、且つ感謝した)(G)
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写真 自衛隊川口橋架橋作業(A)
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写真 自衛隊川口橋架橋作業(B)
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写真 復旧なった鉄道(地之森)
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写真 発着を繰返して物資運搬に当るヘリコプター
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写真 市民に安堵感を与え、しかも復旧を早からしめた自衛隊トラック隊
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写真 一斉に盛川堤防上に翼を休めるヘリコプター
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写真 ハワイ、ライオンズクラブから贈られた救援物資
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写真 フランス児童救済会から保護世帯子供への贈物
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写真 偉大な功績をた、えて感謝状を贈る鈴木市長
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写真 市民に名残を惜しみつ、盛中学宿舎を出る自衛隊
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写真 市民に名残を惜しみつ、盛中学宿舎を出る自衛隊
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写真 市民に名残を惜しみつ、盛中学宿舎を出る自衛隊
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写真 市民に名残を惜しみつ、盛中学宿舎を出る自衛隊
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写真 昭和光六年三月、一周年を間近につくづく復興状況に見入る鈴木市長

一周年の状況

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写真 近代的に立直った大船渡町目抜通
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写真 近代的に立直った大船渡町目抜通
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写真 近代的に立直った大船渡町目抜通
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写真 近代的に立直った大船渡町目抜通
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写真 近代的に立直った大船渡町目抜通
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写真 記念日までに落成を急ぐ工事者諸氏
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写真 供養塔工事者に感謝状を贈る市長
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写真 昭和六年五月四日
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写真 遺族代表供養塔前焼香
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写真 除幕直後の供養塔
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写真 津波犠性者供養塔除幕直前
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写真 除幕式式辞を捧げる鈴木市長
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写真 供養塔除濠式に参列の遺族
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写真 慰霊の言葉を読上げる鈴木市長
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写真 供養塔の前にありし目の学友をしのぶ
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写真 遺族す,りなきのうちに同級生の吊詞(その1)
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写真 遺族す,りなきのうちに同級生の吊詞(その2)
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写真 犠性者よ安らかに…慰霊祭場に安置されたおもかげ
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写真 慰霊祭場の遺族席
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写真 慰霊祭の行われる西光寺の庭
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写真 記念日に完成した津波警報塔
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写真 記念日に完成した津波警報塔
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写真 各地に設けられた避難誘導標
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写真 各地に設けられた避難誘導標
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写真 大根を干す冬がやって来た。しかし土盛工事の完成までは建築を差控える人の多い中赤崎地区
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写真 大船渡町にもこうして冬を迎える人もあった
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写真 大船渡町にもこうして冬を迎える人もあった
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写真 一周年を迎える中赤崎の姿(埋立工事進行中)
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写真 埋立地に推積された残骸、焼却に60万円を要した

一周年記念行事の状況

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写真 津波訓練炊出本部
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写真 津波避難訓練本部
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写真 津波避難1訓糸東統監部
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写真 一周年記念日早朝召集された津波対策緊急市議会
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写真 一周年記念日早朝召集された津波対策緊急市議会
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写真 一周年記念日早朝召集された津波対策緊急市議会
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写真 一周年記念日早朝召集された津波対策緊急市議会
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写真 一周年記念日早朝召集された津波対策緊急市議会
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写真 避難命令発令…思い出も新たに高台へ高台へ
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写真 避難命令発令…思い出も新たに高台へ高台へ
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写真 避難命令発令…思い出も新たに高台へ高台へ
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写真 避難命令発令…思い出も新たに高台へ高台へ
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写真 避難命令発令…思い出も新たに高台へ高台へ
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写真 避難訓練…高台に上って万感交々の市民
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写真 避難訓練…高台に上って万感交々の市民
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写真 壁難訓練終了自衛隊音楽隊を先頭に消防団の大行進
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写真 壁難訓練終了自衛隊音楽隊を先頭に消防団の大行進
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写真 壁難訓練終了自衛隊音楽隊を先頭に消防団の大行進
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写真 壁難訓練終了自衛隊音楽隊を先頭に消防団の大行進
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写真 壁難訓練終了自衛隊音楽隊を先頭に消防団の大行進
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写真 壁難訓練終了自衛隊音楽隊を先頭に消防団の大行進

大船渡市では,去る昭和35年5月のチリ地震津波来襲により,甚大な災害をうけ,その復興に力をつくされていたが,今回,関係記録をあつめ,出版の運びとなった。まことに喜びにたえぬことである。
チリ地震は,遥か大平洋の対岸に起きたものであり,その震波は,日本列島を脅かし,三陸沿岸に高周波をおくり本県にも甚大なる被害をあたえた。大船渡湾内の被害は,その最も大なるものの一つである。このような,遇然にして,全く予期しない津波は,その災害を一層大きくしたが,今にして思えば,従来の史料にも,その幾つかは同じような津波が指摘されるという。それだけ今日の学術は進展しており,チリ地震の影響が予測できる段階に来ているといえよう。三陸の沿岸線は,屈折の多いことで知られており,高襲波を抱えこんだ際,被害を大きくする条件を備えている。
大船渡津波誌は,500頁の書冊として,公刊され,ひろく一般にも読まれることになった。その盛られた内容を一見すると,前編において復旧復興の事項をとりあげ,被害の発生状況から,防災都市建設計画という,市の対策と行政措置に至る経過をあつかい,中編には,各種の論説等をとりあげ,それぞれの分野から指摘されたことをあつめ,津波に対処する心構を示している。災害対策はこのような総合研究の所産から,多くの示唆を得なければならないと思う。
後編には,三陸沿岸に発生した津波の歴史をとりあげている。三陸津浪史は,本県災害史の一部であるが,従来,本県沿岸に災害を与えた津波襲来は,決して少ないものでなかった。その中には,チリ方面地震に伴って発生した津波も一再でなかったという。
以上,3編42章・57節にわたる記述は,現状に対する施策と,論説と,津波史から構成されており,いずれも適切然も貴重なものであると信ずる。その意味において,本書の刊行は,あたら多くの犠牲者と罹災者を生じた大船渡市地区の人々の記念すべき記録であるとともに,このような罹災を排除し,または軽減するための刊行物であらねばならぬ。したがって,沿岸の人々は勿論のこと,多くの人が本書を読んで,将来の災害軽減につくされんことを願うものである。
昭和37年5月
岩手県知事阿部千一

昭和35年5月24日末明三陸沿岸各地では,人身に感ずる地震もないのに突如大津波に襲われ,昭和8年の大津波以来の大きな被害を受けた。このチリ地震津波の特色は昭和8年までのたびたびの三陸沖地震津波の際に比較的被害のなかった大船渡などの各港湾都市に最大級の被害を起したことである。昭和8年のものと比較すると,外湾の波高分布も異なり,湾の奥においても,昭和8年に高い波高を示した湾では今回は低かったり,又逆の現象も現われ,今回の津波は前者と全く対照的な分布となっていることが明らかにされている。従って湾形で被害がきまると言う三陸沖地震津波の常識が通用しなくなり,防災対策に新しい問題を提起するに至った。
東北地方に何らかの影響を与えたチリ地震津波は享保4年(1687年)以来10回記録に残されているが,そのうち多少なりとも被害を与えたものは,享保15年・宝暦元年・天保8年・明治元年・明治10年の5回と考えられる。併しこれらの津波は海浜の家屋を損傷したり,あるいは舟艇をさらう程度のものであったようである。チリ地震によって起された津波で本邦に影響するものは地震の規模(M)8以上のものである。例えば近年では明治39年2月(M=8.6),同8月(M=8.4),大正11年11月(M=8.3),昭和18年4月(M=7.9)のものが影響したが検潮器で験出される程度で被害は起っていない。今回の膿噺灘畦8X(1/4)--8X(1/2)教られ前3者と同程ものであるが、津波は比較にならない程大きなものとして現れ,吾々の意表をついた。
日本における津波予報業務や津波対策は三陸沖地震を対象として考えられて来たのであるが,かって経験したことのない極めて遠地の地震津波であったために津波警報の発令の時期を失するなど色々の欠陥を生じた。これらに対しては津波予報業務の改善や施設の整備が急がれ,夫々実施に移されている。三陸沿岸は沖合に大地震の頻発地帯をひかえ,古来たびたび大津波に襲われているが,地理的な宿命的条件によるものであって,今後もこの恐威から解放されることはあり得ない。加うるに南米方面の地震津波もこの地に大災害を起し得ることが事実によって明らかとなった。
地震津波災害は海岸の人口が多くなり,海岸施設が増える程増大する筈で,海岸地帯の開発が強力に進められている現在津波対策は益々重視さるべきものと考えられる。このときに当り大船渡市よりチリ津波災害誌が発行される運びとなったことは真に喜ばしく,将来の津波対策のための基礎資料として活用されることを念願する次第である。
昭和37年5月
盛岡地方気象台長梅田三郎

恐愕と,そして焦慮に終始したチ地震津波から早くも二周年の才月が流れ,予想外の復興ぶりは,災害の痕跡を止めないまでの進展を見たのでありますが,これは,あくまでも皮相の面でありまして,復興資金の償還のために,罹災市民が今,血みどろの苦斗を続けており,本当の意味の復興は,これ等償還が完了したときをもって言い得ると信じます。
当時は,市全てを挙げての,救援に,復旧に,そして復興と今後の防災対策に終始してきたのでありますが,これ等の業務を省りみますと,数々のいたらなかったことがらが反省せられ甚だ申訳なく存じております。
此の度,チリ地震津波災害におけるこれ等行政面の対策業務を,卒直に記録し,各界の御検討と御批判を重ねていただき,向後における災害対策の万全を期すとともに,諸般の御参考に資していただくことが大船渡市の義務であることを信じ本書を発行するものであります。よろしく関係各位の御高見をお願いするものであります。
なお,本書発行にあたり寄稿を快諾せられた各位に,心から感謝の意を表するものであります。
昭和37年5月
大船渡市長鈴木房之助

昭和35年5月24日は,大船渡市民にとって全く寝耳に水の大惨事の日であった。千数百年来津波常襲地として名を知られ,大小30回にも及ぶ津波経験地の大船渡も,今回こそははっきりと,無警告津波というものの恐しさを思い知らされたのであった。53名の犠牲者と,80億3千万円の財的損失と,ぬぐいきれぬ精神的惨害とは,青天の露麗という言葉そのままに降って湧いた様な大惨禍であり,時あだかも開発の槌音高かかった大船渡市は,一朝にして十年の後退を余儀なくされ,破壊と残骸と泥檸の巷と化し去ってしまったのであった。
しかしながら市当局はいち早く,復興事務局を新設し鈴木市長の"復興即開発"という魅力的勢力的なスローガンのもとに,莫大な事務量を処理し,驚くべき復興即開発の成果を挙げた。その記録がこの記念誌の大部分をしめている。
私はさにき,大船渡市,陸前高田市,三陸村の各教育委員会と教員組合気仙支部共同の"チリ地震津波記念誌"を編集した。それは津波襲来の様相を詳述し,尚津波の科学的研究に資するためのものであったが。
今回の大船渡市独自の記念誌は,前述の通り,行政面から見て,如何にこの大災害に対処し,如何にこれを復興即開発のスローガソの実を挙げたかが主たる内容になっている。
津波の科学的な原理から云って,こまたも必ずやって来るこことはその確率は百パーセントと云ってよい。色々の津波対策が科学陣を動員して計画され実施に移りつつあることはまことに結構であるが,津波の大きさ激しさについてはその程度の予想は全く困難いや不可能な現状にある。
この意味でも,今回のこの記念誌は将来に多くの指針を与えていると思うのである。
記述は三編に分け,第一編を復旧復興編とし,来襲直後から一周年を迎えるまでの間復興事務局が処理した行政事務の一伍一什を記し,第二編は論説編として,各調査班の踏査報告及学者研究家の論文の内当地方に関係あるものを採録し,特に岩大小川博士の御協力による東北開発研究協議会の綜合的な論説を載せてある。第三編は三陸津波史編として,三陸津波年表,本邦地震年表(海底の部),海底地震分布図を総括的に掲載し,尚気仙旧記,閉伊郡旧記による津波記についてはその写真と共に詳述に力を入れたつもりである。
これを要するに本誌は,三編十三章五十六節から成り,写真二百六葉を配置した。
チリ地震津波があって二周年目の五月,愈々書籍となって世に出ることになったが,将来永く市民各位へのよぎ贈物となるよう念願してやまない次第である。
昭和37年5月吉日
編者金野菊三郎

復旧復興編

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地図 津波災害復興計画事業位置図

第1章被害発生の状況

第1節津波襲来の状況

5月24日早朝太平洋沿岸を襲った津波は,5月21日から南米チリで相ついで発生した地震によるものといわれているが,中でも22日15時10分頃歴史上最大の規模(M8.75)を記録した,バルディアビア附近を震央とする第3回目の烈震が,18000Kも離れているわが国太平洋岸にまで被害をおよぼすに至った大津波の原因となったものと推定されている(7月2日読売新聞掲載の東大助教授佐藤久氏の現地調査報告による)。
この津波を当市で感知したのは24日午前3時10分頃である。この時は単に強い高潮程度に感じたのであるが,同13分頃不β一ながかにはじまり,最低3.80Mまで水位が下るに至り,不意な津波の来襲を知ったのである。それから第二灘来るまで約90分間,4時40分頃又静かな上げ潮がはじまった。これは予想だにしなかった意外な大津波となり,海岸より,2000M奥地の水田まで浸水して,その猛威をほしいままにした。その後再び引潮がはじまり,5時25分あげ潮となり,68分で第三波が来襲した。これも第二波と同様10分間にわたり湾内を荒れくるった。その後は約8分おいて第四波が来襲,第五波以後は周期が急速に延び工09分,234分,228分,を記録している。
明治29年及び昭和8年の津波は湾口附近に大きな被害を与えたが,今回の津波は奥地ほどその被害は大きく,湾口では単に床上浸水程度で終り,大船渡町赤沢地区,赤崎町中赤崎地区では波高も高く,被害は悲惨を極めた。したがって浸水区域も奥地ほどひろがりをまし,植えつけ前の52ヘクタールの水田に冠水,最後に海岸より2,500メートル北方の盛駅より分岐する臨港鉄道を境に泥海と化するに至った。
浸水区地図は次のとおりである。

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時刻と波高
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市内各地の最大波高と引潮の最低水位は次のとおりである

第2節チリ地震津波の性格

三陸,北海道を中心とした太平洋岸一帯に来襲した,チリ地襲津波は各地に大被害をもたらした。これは前述の如く昭和35年5月23日南米チリに発生した大地襲によるもので,/8,000キロ離れたわが国に到達するまで23時間半程かかっている。この津波の規模は総体的に見て昭和8年三陸大津波と昭和27年の十勝沖地襲の中間位と云われているが,当市の場合は,明治29年における三陸沖地襲津波程度の浸水を見ている。このチリ地襲津波の特徴は次のとおりと考えられる。
1)襲源地が非常に遠方であるにもかかわらず津波の規模が大きかったこと。
2)津波は理想的な平面波として日本の太平洋に襲来したこと。
3)津波の被害が広く日本の太平洋岸全体に及んでいること。
4)津波の波長即ち周期が非常に大きかったこと。
5)三陸沖地襲津波の場合は海上より海水が陸起して大きな波形となって襲来したのであるが,今回の津波は海水が静かに水量を増して来た程度であったが,いったん陸上に浸入すると急激に勢を増して破壊力が増大したこと。
6)被害は湾口に少く,湾奥部に入るにしたがって大きかったこと。
7)V字型の湾は被害が少くU字型のしかも深く屈曲した湾ほど被害が大きかったこと。
2.被害の概況
明治29年及び昭和8年の津波は湾口に近い箇所程,大きな被害をもたられたのであるが,今次チリ地襲津波は安全と目されていた湾奥部において被害が激甚を極め湾口附近は殆んど被害がなかったのである。
したがって,家屋等陸上施設は大船渡町浜町以北の中心街と,赤崎町中赤崎地区が潰滅的被害を受けたのである。
反面海上施設においては,かぎ養殖筏,のり網,大謀網等は完全に流失沈没の被害を受けた。

第3節被害の状況

1総括
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総括表
2人的及び家屋の被害総括
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人的及び家屋の被害総括表
3人的被害の内訳
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大船渡町
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赤崎町
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末崎町
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赤崎町
4住家被害の内訳
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大船渡町
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末崎町
5農林,水産,商工関係被害

農業関係
農家では今年も秋の豊穣を夢見て,水田の耕起作業の大半を終って旬日に迫る植付け準備に多忙をきわめていた。この矢先不意の津波は一瞬にして,この沃野を泥海と化し,海底の土砂はもとより,倒壊した家屋の残骸を押しあげ,ついに7,732アールにのぼる広大なる水田の耕作を不能に至らしめた。
水産関係
養殖関係
養殖事業の被害はかき2,434台で83,911,600円,海苔45,470間で12,459,060円,わかめ190張で1,658,500円種かき51,513連で4,697,320円,のり採苗47コで9,900円この総額は102,736,380円となっている。以上は施設の被害であるが,このほかにこれに伴う生産被害の見込額はかき72,136タルで186,817,000円,わかめ800貫で960,000円で187,777,000円施設の被害とあわせると実に290,513,380円の多額にのぼっている。
かき養殖事業は例年なれば早春生産出荷をしていたところであるが,本年は身入が悪く,その50%は秋の収護にまわしていたため被害を大ならしめた。

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農業関係
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農業関係−2
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漁船及び漁具関係
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施設及び漁協関係
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商工関係
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各町別被害面積及び戸数内訳
6公共事業の被害
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大船渡市公共事業
7児童生徒及び教職員の被害の状況
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児童生徒及び教職員の被害の状況
8市役所職員被害状況
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市役所職員被害状況
9岩手県におけるチリ地震津浪被害に伴う被害額調書
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被害総額表
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市町村別被害額総括表
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一般被害(1)人の被害
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一般被害(2)建物の被害
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土木関係の被害
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耕地関係等被害額
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4農作物関係被害
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5林業関係被害
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6畜産関係被害
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水産関係等被害-1
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8.商工鉱関係被害
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9.教育関係被害
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10公用及び公共施設被害
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11公営企業等関係施設被害

第4節被害の原因

53名の尊い人命と80億円にのぼる大損害をもたらすに至つた根本的な原因は,偉大な自然力という不可抗力によるとはいえ,人為的に幾分でも被害を末然に防止する最善の措置があつたとはいえない。これらの人災的原因を分析すると次のことがあげられる。
1)津波警報の発令が遅れたこと。
三陸津波は地震発生後15〜30分で来ると体験もし,教えこまれていた市民は,ただならぬ海面の異状を見ても
「津波」だと叫ぶに迷うほどその来襲を考えなかつたのである。結局地震もなく,何等警告がなかつたからである。
しかし無警告津波といえばいえるが,必ずしも無警告ではなかつたのである。すでに22,3時間前にチリ地震を長野県の松代地震観測所ではつかまえていたのである。またホノルルの沿岸測地局からの情報では半日前の23日10時20分に「チリ地震で被害を伴う津波があるかも知れない」と届いていたというのである。さらに検潮儀も宮古測候所では当日の2時47分確実に35cmの押波を記録したし,石巻測候所の清崎の検潮係は3時37分,340cmの上げ潮から4時5分の引潮と明瞭に記録していた。これから見ても決して無警告であつたとはいえないのである。これらの時刻に津波警報が発令されていれば,充分な警戒退避する時間があつたわけであり,したがつて被害も最少限度にくいとめることがでぎたであろう。
2)防災施設の不備
三陸沿岸は地理的に津波の災害は免れない宿命にあり,被害を最少限にくいとどめるためには沿岸全部落を高台に移転する以外に絶対的な対策はないわけである。しかし海に生活の資源を求める水産業者を高台に移転させるということは現実的に不可能といわざるを得ないし,さらにまた商店街も匠様こ,稀に見る天然の良港を背景として開発発展を希求している商店街を岸壁より遠距離の高台に新」に商店街を建設することは,これらを育てる諸条件において現状をもつてしては困難問題といわざるを得ない。
このような状態の中で,必然的な津波被害を最少限度にとどめる唯一の手段は防潮施設及び警報施設等の予防対策を,しかも可及的速かに講ずることにあるわけである。かつての津波災害においても,これらの施設の完備が計画され,道路網の新設,集団敷地の造成等一部実現を見たが,財政的閥題もともなつて充分とはいえなかつたわけである。
しかしこれらの計画が実現し,さらに必ずやつてくる津波にそなえて,常に物心両面の防災対策が完備しておれば,津波規模が前回を上まわるといえ,今日の大被害も僅少にとどめることができたであろうと考えられる。即ち
A 防潮施設に見るべきものがなかつたこと
B 津波警報器の設置がないので警報が火災と間違われたこと
C 都市計画がなされておりながら,津波を予想した避難道路に欠けるところがあつたこと
以上3つの防災施設の不備が今回の被害を大きくした原因とも考えられる。この際われわれは忘れた頃にやつてくる,天災への備えを新にして,これらの防災施設の完備を急ぐ必要がある。
3)津波に対する認識の不足
前述のように天災は忘れたころにやつて来るといわれるように,津波は2,30年の長い時日を経てやつてきている。これだけの時日の経過があると恐らく津波体験者も全人口の幾割かに過ぎなくなつているので警戒も怠りがちといえるが,海岸に住む市民は最近の連続的におこる地震に一層警戒心を高めていたのである。
しかし,不幸にも今回の津波は,当地には地震の予告をともわなかった。地震があって津波が来るという体験をうらぎつたのである。ここに,津波の来襲に認識不足があったことが指摘されるわけである。
津波年表も見ても宝暦元年(1751)5.月2日(陽暦5月26日)の大槌地方来震(午後2時)の津波は東京天文台編の理科年表に出ている(l751年5月25日,チリ国コソセブシヨソ市,サソチアゴ市大地震津波あり,このためコソセブシヨソ市移転)と符合するといわれている。この書は著しい被害はなかったようであるが,溢水の状態まで今回と似ており,地震がなくとも遠方の津波は過去の歴史において,今回と匠様に日本列島を襲っていることが考えられるのである。

第2章緊急対策

第1節災害対策本部の設置

市では24日午前4時40分,市役所内に災害対策本部を設置,職員の非常呼集をおこなったが,市内全域電話が途絶したほか,末崎,赤崎,盛間の交通網がしや断されたため,大船渡,赤崎,末崎地区の職員の出勤が望まれず,結局日頃市,猪川,立根,盛地区の職員をして,とりあえず,災害救助隊を編成し,市役所に本部をおぎ,午前4時50分大船渡地区へ4名,赤崎地区へ3名,末崎地区へ1名の先発隊を派遺して,被害の状況を調査せしめる一方対策本部の連絡所を大船渡小学校及び赤崎漁業協同組合中赤崎支所の2カ所に置き,地元住民及び地元消防団の協力を得て,救助活動に入った。
一方市議会においては,24日午前10時緊急臨時市議会協議会を大船渡小学校に招集し,各常任委員会委員は夫々市の救助隊と合流し一体となって各般の対策事業を推進することに決した。次後当分の間毎日午前8時30分より協議会を招集し,各部門毎に活動を開始した。
救助活動の重点は,人命の救助と犠牲者の収容及び防疫におき,次で食糧品,衣料品等の確保供給においで之を押し進めた。
まず大船渡連絡所には先発除とともに気仙病院医務班も到着,校内の一室に臨時診療所を開設,町内の開業医の協力を得で負傷者の救護をおこなった。また民間の自動車lO数台を借上げ,広報活動を始めるほか負傷者の輸送や炊出しの運搬をおこない,小中学校の講堂を罹災者収容所にあてて避難者の収容につとめた。
また孤立状態の中赤崎地区では同時刻高台の畑や神社等に避難している被害者に朝食の炊出しをくばるほか,人命の調査につとめたが被災地域が比較的まとまっていたため,早期に死亡者.負傷者の確認ができたので,これ等は早速中赤崎診療所に収容した。
午前4時45分,電話が途絶しているので東北電力株式会社保安電話をもって災害状況の第一報を県知事に報告,災害救助法の動発を要請した。午前6時被害状況が次第に判明して来るにともない職員を佳田町に派し第二報を佳田町役場より,電話で県に報告,救助物資及び自衛除の派遣を要請した。
午前8時30分には市内各地域の被害の概況がまとまったので,職員2名を岩手県庁に緊急派遣して,被害状況の詳細を報告せしめるとともに,救援の協力を要請したほか,日赤共同募金会に災害救助の協力を要請し,午後12時10分災害救助法の適用をうけ,これに基く救助を推進した。
災害対策本部の機構は次のとおりであった。

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災害対策組織と実施業務

第2節復與事務局の設置

悪夢のような5月24日も過ぎて,応急救援の措置も着々推進されるにともなって,市で強力に災害復興対策を推進すると共に再びこの災禍を繰返すまいと,完全防災都市建設に乗り出すことになり,災害復興計画の具体的検討を進めることになった。
そこで6月3日付次のような機構の災害復興事務局を設置職員6名を配置した。
大船渡市災害復興事務局設置規程
(目的)
第1条この規程は,昭和35年5月24日のチリ地震津波による災害復興について復興事務を適正かつ能率的に遂行するため必要な事項を定めることを目的1る。
(事務局設置)
第2条前条の目的を達成するため,災害復興事彩
(以下「事務局」という)をおく。
(係の設置)
第3条事務局に次の係をおく。
庶務係復興係
(分掌事務)
第4条各係の分掌事務は次のとおりとする。
庶務係
1.一般庶務に関すること。
1.予算差引に関すること。
1.資料の収集及び災害調査に関すること。
1.周知徹底に関すること。(広報)
1.災害記録の収録に関すること。
1.他の機関との連絡調整に関すること。
1.各課との連絡調整に関すること。
1.災害復興委員会に関すること。
1.陳情,請願,要望に関すること。
1.応援者の連絡,宿泊,配車に関すること。
1.標流物の取扱いに関すること。
1.罹災者の相談室開設に関すること。
1.収容者,罹災者援護に関すること。
1.援護物資の受払いに関すること。
1.義損金の受払いに関すること。
1.その他の雑事に関すること。
復興係
1.総合復興対策の計画立案に関すること。
1.市街整理に関すること。
1.救済事業に関すること。
1.復興資材対策に関すること。
1.住宅対策に関すること。
1.その他の復興に関すること。
(事務局)
第4条事務局に局長及び局員をおき市の職員の中から市長が任命する。
2局長は市長の命をうけ事務局の事務を統轄する
3局長に事故あるときは,上席の局員がその職務を代理する。
4局員は上司の命をうけ事務に従事する。
(市職員の協力)
第5条第1条の目的を達成するため市職員を事務局に協力させることができる。

第3節復與対策委員会の設置

復興事務局を設置するとともに,災害復興計画の具体的な策定を進めるにあたり広く各般の意見を聴して計画の万全を期するため,市長の諮問機関として,委員100名を委嘱し之を都市建設,商工,農林水産,教育民生の4分科会を組織し,復興計画の策定を推進することにした。

大船渡市チリ津波災害復興対策委員会設置規則
(目的)
第1条この規則は,チリ津波復興対策委員会の設置,組織及び運営に関する事項を定めることを目的とする。
(設置)
第2条市長の諮問に応じ,チリ津波の災害復興対策の調整,その他,その実施に関し必要な調査及び審議を行わせるため,大船渡市チリ津:波災害復興対策委員会(以下「委員会」という)を置く。
(組織)
第3条委員会は,委員100人以内をもって組織し,委員は次の各号に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
1.国,県の地方行政機関
2.市出身の県議会議員
3.市の議会議員
4.教育委員会,農業委員会の委員
5.公共的団体の役職員
6.会社,事業所の役職員
7.学識経験者
(委員長及び副委員長)
第4条委員会に委員の互還による委員長及び副委員長
1人を置く。
2委員長は,会務を総理し,会議の議長となり,委員会を代表する。
3副委員長は委員長を補佐し委員長に事故あるときはその職務を代理する。
4必要に応じ委員会に小委員会及び分科会を置くことができる。(委員の任期)
第5条委員の任期は1力年とする。ただし,欠員が生じた場合における補欠委員の任期は前任者の残任期間とする。
(会議)
第6条委員会は市長が招集する。
(委員会の事務)
第7条委員会の事務は災害復興事務局が処理する。
(補則)
第8条この規則に定めるもののほか姿員会の運営その
他に関し必要な事項は市長が定める。
附則
この規則は,昭和35年6月ll日から施行する。
対策委員名簿
職名氏名
大船渡建設所長中山前三
大船渡農林事務所長内藤忠男
大船渡港務所長小針光雄
大船渡農業改良普及所長鈴木箴
大船渡保健所長及川進
大船渡営林所長須藤作造
気仙福祉事務所長新沼栄吾
大船渡警察署長伊藤正
県議会議員鈴木八五平
県議会議員白木沢純三
市教育委員長滝田厳
市農業委員会長石橋喜代助
開発協幹事長三条訣
大船渡農業協同組合長山崎栄之進
末崎渡農業協同組合長熊上養治郎
赤崎渡農業協同組合長三浦市三郎
猪川渡農業協同組合長千葉由太郎
立根渡農業協同組合長上野繁雄i
日頃市渡農業協同組合長伊藤喜一
盛渡農業協同組合長出羽清一
大船渡漁業協同組合長佐藤平之進
赤崎渡漁業協同組合長金野辨治
岩手県建設業協会気仙支部長高橋助治郎
末崎漁業協同組合長大和田養之進
大船渡木材業協同組合長鈴木宰平
商工会議所会頭橋爪由也
気仙郡医師会長滝田巌
市消防団長佐々木佐五郎
市青連会長村上鳩彦
市婦人会長佐々木きよみ
大船渡電報電話局菊地雄三
小野田セメソト大船渡工場長河合清六
岩手開発鉄道専務及川軍治
東北電力大船渡営業所長村上俊夫
県南バス大般渡営業所長江口重太郎
日通大船渡支店長千葉正四郎
気仙病院長阿部辰夫
盛高校々長加藤栄三
東北汽船港運専務細川岩雄
市議会議長山崎栄之進
市議会副議長佐々木亀三郎
東海新報社長鈴木正雄
大船渡市農業共済組合長石僑喜代助
気仙建設業協同組合長下田源五郎
大船渡郵便局長大内忠治
国鉄盛駅長上田一郎
岩手食糧事務所気仙支部長加藤次信
岩手県南米雑穀協同組合専務理事志田武之助

第4節応急対策予算

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応急対策予算-1

第5節市議会の活動

市議会は,24日午前10時,大船渡小学校に緊急臨時市
議会協議会を招集しこれに大船渡市内各関係機関よりの
出席を求め,市当局より災害状況の概略と,応急対策業
務の活動状況等の報告を得て,各般にわたる対策の方策
乙ついて協議し,当分の聞,毎日午前8時30分より市役
所会議室において緊急協議会を開催することに決定11時
50分散会した。

(丸)緊急協議会の状況(5月25日以降)
25日,午前8時30分,開会
○会議内容
1.市当局より現在まで判明せる被害の状況について報告
2.協議
イ,被害者に対する資金,食糧,防疫,住宅の問題など当面の対策について協議
ロ,津波被害地の実地調査
各部門の所管事項を決定,市とタイアップしてこれに協力することにする。
26日,午前8時30分,開会
○会議内容
1.前日の実地調査の結果について各委員長より報告
2.金融,保健,給水,食糧の問題等について当局からその後の状況報告
3.議員活動として関係行政庁に陳情の必要がないか,又緊急対策もさることながら,そろそろ復旧対策もやるべきという意見も出た。
28日,午前9時,開会
○会議内容
1.鈴木県議より県関係の折衝過程について報告
2.協議主として融資関係,道路通信問題について当局と話し合いする。
以上が今回の津波災害による緊急協議会の概況であるが災害対策も軌道に乗って来たので,一先ず緊急協議会は打ち切り以後は必要に応じ招集することとする。なお,災害期間中,中央要路から数多くの視察団が来市したが,議会としては,その都市度全議員を招集して陳情した。
5月24日より26日までの協議会会議録は次の通り。

緊急臨時市議会協議会記録

緊急臨時市議会協議会記録
昭和35年5月24日午前10時緊急臨時市議会協議会を大
船渡小学校に招集出席議員は次のとおりである。
1番佐々木亀三郎君2番今野政治君
3番佐々木幸助君4番平平勘之助君
6番大和田平一君9番小山勝雄君
ll番菊池丑太郎君12番吉野栄三郎君
13番金野剛君15番佐野誠一君
16番水野重郎君17番山口信一君
19番武田貢君20番佐藤勇之助君
24番石橋喜代助君25番熊谷長治郎君
27番富沢恵能君29番新沼勇太郎君
欠席議員は次のとおりである。
5番平山幸一君7番藤原武雄君
8番滝田喜蔵君21番佐藤菊之助君
10番平野義方君14番伊藤喜一君
18番森政男君26番熊谷栄一君番
28番鈴木養吉君30番山崎栄之進君
22番西山六松君23番大和田吾東治君
当局よりの出席者は次の通りである。
市長鈴木房之助君助役藤原滝三郎君
総務課長臼井勝三君産業課長広沢登米夫君
税務課長千葉芳吉君教委教育課長大和田隆裕君
市内関係機関よりの出席者は次の通りである。
大船渡警察所長殿,県南バス大船渡営業所長殿,東北
電力大船渡営業所長殿,大船渡郵便局長殿,大船渡電
報電話局長殿医師三条訣殿,県会議員鈴木八五
平殿,県南米穀協同組合殿
事務局職員の出席は次の通りである。
今野信雄君
開会午前10時
副議長 只今から緊急招集を受けました大船渡市議会臨時協議会を開会致します。議長.上京中でありますので,私が代って司会致します。本日の出席は18名で御座います。定足数に達して居りますので直ちに会議を開きます。申上げる迄もなく今回の津波は明治29年に匹敵するような大災害で御座います。即刻対策を講じなければならないと思いますが,先ず当局から被害の状況について報告がありますから其の後にいろいろ御意見を御伺いします。
助役各方面に写真班を派遣致しまして調査させて居ります。県に情報を入れる必要があると思いまして,佐藤評価員を住田町に出張させました。最初私の処に電話がありました時は高潮位に考えて大した事はないと思っていましたが,消防本部に来て消防がかけつけ津波ということで驚いたわけであります。現地に来てみると大変な災害であります。住田町から連絡して県に要請したのは自衛[塚の出動であります。道路に建物其の他障害物がありますから,早くこれを除去する必要があると思いまして県に要請して居ります。それから消毒班を県から派遣して貰うことも要請して居ります。佐藤評価員が帰って来たら県との連絡が解ると思いますが,不取敢厚生部長か誰か来るかと思います。被害状況を最も速やかに報告するのがよいのですが不取敢の報告をして居りますことは,家屋の流失1,000戸,浸水2,000戸,死者行方不明100人,負傷者300人,是は後で違ってくると思いますが,一応県庁に報告しておぎました。津波の高さは10米位ということでありましたが一... ...
富沢10米より多いと思う。
平山(勘)5米位ではないか。
助役新聞社との連絡がつかなくて,県庁に第1報を入れる必要があると思って教育委員会の金君と後1人県庁にやりました。県庁でどういう手配をとるか連絡してくれということで。
その他はカキ棚2,000全滅,水道も使用不能であります。盛綾里線,高田線は不通です。救護班は気仙病院長さん以下5班を組織してやって居ります。赤崎側はセメソトの所でストップになって居りますから向うにいけないと思うが。立根,猪川,日頃市にはイカくによい人は出てくれということでいうてあります。役は落ち付かないうちは出来ないと思いますが,炊出しは立根,猪川,日頃市,盛からどんどん来て居ります。
今後必要なことは災害の情報を確実に早く知る必要があります。災害状況は写真にとって県庁のろう下にも貼らなければならないし中央に持っていって写真を貼って陳情する事が必要だと思って居ります。
熊谷災害の実体を調査しなければならないが,災害法の適用はどうか。
助役適用になります。毛布5,000枚,シャツ等5,000枚,不取敢要請して居ります。米の方は幸いに倉庫が大丈夫でありますから,いくらでも手配がつきます。罹災者の収容はここの小,中学校,職業安定所,太洋学院等に,赤崎は小学校を考えて居ります。親類縁者に身を寄せている人はそれでよいし。
大和田(平)漁業関係ですが,カキ棚はまだ全部外洋に出ていないから漁業組合単位にやって貰い,その分に対して1組合lOO万円なり,50万円なりの対策費用を出さなければならないと思いますが。
助役それは出しましよう。
副議長流れているものは大部佐野橋の引込線に全部来ているものがありますが。
大和田(平)或程度の補助を出すということでやらなければならないと思う。
市長そのようなものも考えなければなりません。
助役やるべき仕事は不取敢やらなければなりません。金は後でやることにして。
鈴木県議責任圭体をきめておく必要があります。
助役死体の収容と傷病者の看護でありますが,是を急速にしなければならないと思っています。
消防団長消防団は日頃市は下船渡・平,猪川は永井沢・笹崎,立根は笹崎より駅前まで,盛は駅前から電話局までというように分担しています。現在死体8を発 見,西光寺に運んでいますが,尚各所に発見されています。米協前に本部をおいて怪我人を運んでいます。道路の片付けには手が廻りません。世田米から100人位応援に消防団が来て居ります。
市長盗難対策も是非お願いします。
助役赤崎は漁協に本部をおいて収入役がいって居ります。
税務課長水道は被害地でない所は全部出ているそうですが,只本管からもれている所があるんではないかと思います。今からタソクにいって検討しなければなりませんが,この事を罹災者に連絡したいと思います。本管の関係で出ないんではないかと思います。
市長電力,電話局等からも集って戴いて居りますから
これはこういうふうにした方がよいという事があれば
皆さんからお願いします。
富沢不取敢電気をつける事が第一だと思いますが。
石橋電話の方は県下の関係機関と相談して貰って早く通ずるようにして貰いたいと思います。
総務課長人員の派遣について中赤崎地区の道路整備に出来得るなら50人位やりたいものですが。
消防団長死体収容と怪我人で手が届かないようです。
水野小野田セメソトから赤崎の方が通行止めです。
佐野津波記念碑から向うが通れません。
大和田(平)道路,電気,水が一番大切です。
消防団長世田米からの100人をやりますか。
市長それがよいですね。
富沢道路通信網が大事です。自衛除にやらせる事を要請したらどうですか。それから食事のことですが,腹もへって来た頃だが精神的に不安を覚えるんだが,米を用意している事を一般に知らせて安心させたらよいと思うが。
市長米協から要請があるんですが,電力がなければ米をつけないということで。
大和田(平)広報車の活動が大切。
石橋米協がストックしていないか。
富沢対策の本部は中心から片寄っているんで中心地にいく必要はないか。
平山(勘)ここの対策本部は今日位のものではないか。
富沢物資の配給は個所をきめておかなければならない。
平山(勘)80人や100人で片付くものではないと思います。早く道路だけでも通さなければならないが,大船渡は50人や100人ではどうにもならない。
鈴木県議細浦高田の連絡がつかないという事ですが。
大和田(平)勝木田,三日市が問題です。
富沢勝木田三日市はどうですか。
武田細浦にも水が上りません。
助役最も急ぐべきものは他にありませんか。
水野食糧ですね。
金野収容所も急がなければ。
佐野着物もそうでしよう。
平山(勘)生徒の教科書等も考えなければ。
市長衣類のないものの調査を早くしなければならない。
佐野衣類関係は婦人会を頼んだらどうですか。
今野(政)立根からも出動しているようですが,全然指揮者がないようですから。
鈴木県議一般の人は消防団の指揮下に入って貰ってやつたらどうですか。
市長それは消防団にお願いしたいと思います。その他こういうものが困っているとか学用品がないとかそういう事について何か御座いませんか。
佐野調査員をきめなければならないではないかと思うが各地区毎に調査して貰うことが必要だと思う。
大和田教育課長教科書は教育委員会でやります。
富沢市長さんを陣頭に立てて,婦人会はどこ,消防はどこという風に命令系統をたてておかなければならないではないか。
助役今応急対策でありますから,恒久対策について組織替をしなければならないと思っています。
佐野本部は市役所の方でやっていたが,炊出し等もやっていますが,本部をここに移します。
助役今日はここに本部を移してやりますが,明日あたりは市役所にしたいと思っています。
三条先生衣料に困っていると思うから。
助役市内丈けでも義捐金としての衣類を集めましよう。後は段々他から来ますけれ共。
今野(政)山手から炊出しが来ますが,これはどういうふうにしていますか。
助役向うの方でくばることになって居ります。
熊谷連絡員を招集して調査等もやる必要がある。
助役それもやらなければならないと思います。
鈴木県議各地区毎に調査させた方がよいと思う。
助役市内からの義掲は衣類だけでなく勝手道具等何でもよいから集めたいと思う。
水野一応云うてやる必要がある。
鈴木県議消防に対する指揮,一般人に対する伝達の為広報車でやった方がよい。
富沢広報は不安になってくるから早くやった方がよい。
武田衣食佳を早くやらなければ。
熊谷広報車は走りながらよく聞えないから止まってやった方がよい。
助役婦人会,青年団に義捐金品を御願いしたい。落付先の調査もしなければならないし。
石橋燃料も必要だから日頃市,佳田から運ぶ必要がある。
今野(政)明日からの出動計画ですが,消防団の指揮下にやるものは何々か,婦人会が何をどうするか,正確にしておく必要がある。
消防団長消防団員は明日から当分出動して貰わなければならないと思っています。
今野(政)消防団と一般の部署をきめておかなければ。
武田全部消防団の指揮下にやらなければならないと思う。
布長消防団で赤崎は赤崎,大船渡ぱ大船渡でやって貰うように。
助役他の消防団ぱどうしますか。
鈴木県議矢張り消防団に御願いしなければならない。
大和田(平)どこから来ても消防団の指揮下に入れる事にした方がよい。
三条先生医療系統の組織を作っているか。
助役今日は病院長が中心となってやって貰う事になって居ります。県の防疫班を頼みましたが,保健所長に相談して貰う方がよいと思います。
三条先生市の保健課長に計画をたてさせてやった方がよいと思う。
大船渡警察署長当然災害救助法が適用されると思いますが,災害救助除の編成が出来ていると思います。市長が部隊長になっている筈であります。我々も構成員になっている筈ですから。
市長不取敢現在の態勢でやることになります。
平山(勘)あのごみをどうしますか。
市長山にもっていきたいものですが。
大和田(平)埋立にもっていった方がよいでしよう。
佐々木(幸)どこの車も全部出してやるようでしよう。
新沼電気会社に連絡していますか。電報や通信の範囲はどういう状況ですか。
電力会社盛は送っているD早く大船渡の町に出すようにしたい。電気ば明日の午前中にぎめたいと思う。
電話局より盛岡の指示を受けていますが.遠野盛岡よりお昼頃来ることになっています。盛高校に仮設して官庁聞の連絡ばかりもつけたい。無線機ももってくる。
米協より玄米8,000,精米になっているものは3,000k入300俵在庫。
県南バスより今調査中だが,切符から車掌の服もやられ今日だけ盛大船渡間無料運行,道路が出ても地下タソクもすっかりやられたので運行出来る状態ではない。
助役死体は検死して焼くなら焼く,火葬にしてもよい。箱は手配している。
副議長それでは是を以て緊急議会協議会を閉じます。
尚明目から当分午前8時半から市役所会議室で協議会を開きますから御参集願います。是から自由に今後の事について御話合を戴ぎたいと思います。
閉会午前11時50分

大船渡市議会協議会記録

昭和35年5月25日午前8時30分より市役所会議室に大船度市議会協議会を開会。
出席議員は次の通りである。
佐々木亀三郎君  今野政治君  佐々木幸助君 
平山勘之助君 平山幸一君 大和田平一君 
藤原武雄君 小山勝雄君 菊池丑太郎君 
吉野栄三郎君 金野剛君 佐野誠一一君 
水野重郎君 森政男君 武田貢君 
佐藤勇之助君 佐藤菊之助君 山口信一君 
西山六松君 石橋喜代助君 熊谷長治郎君 
熊谷栄一君 富沢恵能君 鈴木養吉君 
大和田吾東治君 新沼勇太郎君 山崎栄之進君 
平野義方君 滝田喜蔵君 
欠席議員は次の通りである。
伊藤喜一君 
当局よりの出席は次の通りである。
市長鈴木房之助君 助役藤原滝三郎君 
収入役千葉栄太郎君  固定資産評価員佐藤清一郎君 
総務課長臼井勝三君 保健課長佐藤宇三郎君 
商工課長千葉英三君 水道課長千葉徹男君 
税務課長千葉芳吉君 建設課長新沼尭範君 
産業課長広沢登米夫君 農委局長新沼栄夫君 
教育長大和田 肇君 教委教育課長石橋高君 
選管局長菅生忠君 総務係長石橋高君 
総務係長佐々木吾郎君 消防団長佐々木五郎君 
事務局職員の出席
今野信雄君 船野艮悦君 
開会午前8時30分
議長是より昨日に引続いて協議会を再会致します。皆さん御苦労さんです。私は全国市議会に出席の為上京中でありましたが,ラジオで情報を聞いて驚いて昨夜ll時に帰って参りました。予想以上の被害に驚いたわけであります。只今から其の後の状況について当局から御報告があると思いますから,それからいろいろ御意見を承って今度の大災害を1日も早く復興の為当局と議会と市民三者一体となって真剣に進めたいと思います。どうぞ宜敷く御願いします。
助役昨日午後5時現在被害状況は御覧のように死者51名,負傷者61名,行方不明ll名,流失364名,全壊225名,半壊190,床上浸水493,床下浸水402,非住家流出204,全壊106,半壊56,床上浸水244,床下浸水246被害人員6,800人となっています。昨日の対策につきましては専ら死体の捜索収容に全力を挙げたのでありまして,未だ死者等が発見されると思います。不取敢死体は引取明瞭者は家族に引渡して居ります,が殆ど西光寺でこれをやっています。それから盛,大船渡の
火葬場で焼いて居ります。今朝迄に未だ8体残っています。これから赤痢等が発生致しますので,防疫は保健所,県の関係部課から来ているし,市の保健課,地元の保健婦が中心になて既に薬品が到着しましたのでやることになっています。次に水道でありますが,是は災害で水ののった所にはいって居りません。水は困難な問題だと思います。幸いに本管はこわれた所はありません。問題ば川口橋の流失に依って赤崎方面に給水が出来ないことです。食糧は幸いに米協の倉庫に被害がないし,周辺から手配がつぎ,食糧は問題がないようです。昨日は日頃市,立根,猪川盛地区等より出して貰っています。自衛隊は昨夜午後3時頃ば整備の為8時間を要したとのことですが,昨夜到着,盛岡から214名,仙台から80名到着,今日大船渡の周辺を4班に分れて目下作業中であります。消防団は大体市内で動員できるのは500人位,是に佳田,三陸から300名,往田200名,三陸100名,住田は高EDにもやる必要があるということでありますから,今日は何人来ているか,是に日頃市,立根,猪川等から仂ける人が出て貰って是等の被害がどういう風であるかわかりませんが,その町々の分団長の指揮下に入って仂いてもらいたいといふことにして居ります。尚罹災者の,身寄りのないものは大船渡は小学校に収容していますが,差当って是には寝具と思いまして,住田町に町内の毛布を願ったんですが,夜中になって寒かったんではないかと心配しています。小中学校の収容者は永く学校におく事が出来ないと思いますから,従って是に対しては世帯主の意見も聞いて適当な地点に仮小屋を建設しなければならないと思います。是は今日罹災者の意見を聞いてやりたいと思います。この諸材料の調達については,営林署長さんにお願いして出来得る限りの事をやって貰うことにして居ります。それから電話ですが,今日の昼頃迄に緊急用の官庁用ということになりますが,復旧することになっています。盛岡等から建設班が来てやって居ります。電気は上手にはっいている筈であります。これから一生懸命やることになって居ります。いつ迄出来るということははっきりしませんが,各方面全力を挙げてやって居ります。青年団,婦人会は義捐金品を募集して屠りますから,今日あたり流すことが出来るように入ると思います。赤十字は救護班を送って来たんですが,それよりも前に救護班を5班に分けて赤崎町あたりはセメソトから向うは交通出来ない為にマゴマゴしていると思うがやっていると思います。尚怪我人ば気仙病院に収容されたものは37,8人と思います。思い付きのままで恐縮ですが,宜敷く御願い申し上げます。
議長皆さんからの御意見を承りたいと思います。
水野死欝の実体が解らなかったが,更に行方不明者等が発見されると更に増えると思いますが,大変な犠牲を出したんですが,葬儀の方法は合同葬儀とか市葬とか,市においてお世話した遣族に対して御迷惑をかけないようにやるべきでないか。
助役少し落着きを見たときやるようではないかと考えています。時期等については後1週間位落着いたらよいではないか,或はもう少し延ばしたらよいか考えて居ります。それからもう一つ罹災者に対して市として御見舞金を出さなければならないと思うが,金額は何れにしても出さなければならないと思いますので,この点についても御意見を承りたいと思います。水野遣族の方に急速にこういう意志を市の方からお伝えして,勝手に早まったりしないよう留意して下さい。
市長一番の問題は資金の問題であろうと思います6只今市の信用組合の橋爪氏が参りまして,県の次長さんもいらっしやって,資金の融通について市の信用組合を通じて融通するという意向を伝えて来たそうであります。市としても御願いして資金面でいろいろ緩和を図っていきたいと思って居ります。今後皆さんと御相談して是にウエイトをおきたいと考えて居ります。
西山今度の災害は最も多く交通磯関もとまって円滑にいかないわけですが,昨日から昨夜迄私の方に何も食わないでいたからというて来た人が10人もあります。隣の部落迄は来たが永井沢には全然来ないということであります。なるべくそういう事のないように配給の円滑を期していただきたいと思います。
市長交通機関の事でなく,是は配給の方の何かの手違いだと思います。相当物資も炊出しも参って居りますから
西山 笹崎まではいったがそれからはいかない。
石橋 昨日はいろいろ地元の炊出し等で凌いだようですが,今朝あたりは話を聞くにもう少し警察の警備を増員してほしいという意見もきいたわけです。警察と当局と御相談してやるべきではないか。消防の方からも相当な御協力を戴いて居りますが,消防のはんてんと警察の服では市民の感じは大分違うという事であります。炊出しもよいが5日分なり1週間分なり米ミソを不取敢交付すべきではないかとも考えられますが。
市長警察の点につぎましてば県の警察庁とも話して居ります。又昨日の市会におぎましても是の点はお願いしたんですが,万全を期す警備をするという事であります。米の配給につぎましても考えて居ります。
商工課長昨日から広報車によりまして広報しましたし,今朝程も広報致しまして行政連絡員を通じて1人「当り2K差当って配給を実施して居ります。在庫がありますからもっと沢山も配給してもよいが,一応1人当り2Kで考えて居ります。基準量は1週間分でありますが,実質は3日分位であります。其の後の対策については早急に計画を立ててやりたいと思っています。
佐野今回の災害については,緊急法律に基く対策を立つべきではないか。其の点についてどの程度やっていますか。
布長災害救助法については適用になって居ります。災害救助法は国,県がやる事でありますが,ただ法律によりますと私共は下部組織を作りまして,救助法を適用されれば,其の費用は最終的には国でありますが県が主体となってやります。下部組織現在のように考えて充分目的を達すると思います。下部組織は結局県の機関という形になるようであります。従って組織を作ることは今の組織で県の機関という事で認めて戴けばよいと思います。
佐野下部組織はどういうようになっていますか。
総務課長本日最も急ぐのは罹災台帳の調製で福祉事務所を中心として評価員室農業委員会,税務課等でやります。会計は金銭の出納炊出等,商工課は広報宣伝,資料の提供,食糧配給,産業課は災害個所の調査,復旧作業の指導,建設課は災害個所の調査復旧作業の指導,水道課は給水の万全を期す,保健課は衛生防疫,議会教委は学校の児童生徒の状況調査議会選管は総務課の総合調整,救援物資の受払に協力ということになって居ります。災害救助法に基き遅くとも本日中に取まとめるよう準備しているわけであります。この会議が終れば,直ちに課長会議もやりますがこの考えで活動を開始して居ります。更にこの内容について変更するものがあれば直ちに変更したいと思います。
吉野罹災者に精神的物質的に幾分なりとも満足を与えたいと思います。時間の関係もありますが罹災者の会合を開いて大船渡2カ所位赤崎1カ所位に会合して罹災者の意見を聴取して罹災者の希望をまとめる事もよいと思いますが。
福祉事務所長今日当りから大部落付いたんではないかと思っています。罹災者の状態が全く莫然とした状態であります。仲々一堂に集めることは六ケしいんではないかと考えて居ります。救助法に基く組織のことは総務課長から説明がありましたが御質問の内容にふれて調査していきたいと思います。
水野昨日の協議会においていろいろ話合いましたが其の中最も重要なものは防疫対策があった筈であります。現地視察の結果汚物の浮游流出の度合いが明らかになって居ります。水道ばかり使用している家庭ばかりでもないから防疫対策を急いでやってもらいたいと思いますが,其の後の状況は
保健課長防疫班は新沼係長以下3人,高校生80名御願して居ります。立根,猪川から撒粉器を借りて20台,高田農協からも借りて片付いた所から薬剤を撒布して居ります。飲料水は替えなければサラシ粉を入れても無駄ではないかということで今日片付いた所をやって居ります。糞尿は塩水と交っているのでどういう風にしたらよいか結論を得ていませんが保健所と相談してやりたいと思っています。
水野何せ季節は危険なときでありますから伝染病発生も予想されますから100%の効果を上げるようお願いします。
佐藤(菊)是度の津波は是迄の状況とは違って居ります。津波の場合は大きな地震があり是に依って避難ということでありますが.この度はそうでありません。我々は報道磯関も閉されている関係か人の関係かわかりませんが目の前の状況丈にげんわくされているようであります。一応御解りですなら市の附近県下の状況又は全国的な状況について御解りでしたら承りたいと思います。当面の事では其の日其の日の事に追われてこの対策に御苦心のようでありますが,尚海上には舟その他なくしたものもあり是は漁協組合等で夫々対策を講じているようですが是についてもそれぞれの御配慮を然るべきものと思います。復興問題についてどういう風に敷地等を其他確保にあたるとか,当局としても差当り何を公約するかという事もあると思いますが,関係官庁との連絡もあると思います。
助役全国的な状況につぎましてもラジオで放送になったんですが,私共昨日はラジオを聞くいとまがなかっ たんですが,結局北は北海道から南は四国に及んで居ります。中でも三陸,その中でも大船渡,宮城県の志津川がひどいようです。全国の死亡者85人中大船渡は53人,全国の大半以上の死者を出して全国的に災害の多い所は大船渡であると思います。県内を見ても釜石,宮古,久慈いずれも死んだものがないようですが大船渡丈死者が多いようであります。考えて見るに湾があまり入り込んでいる所は湾から一上る程被害が多いんではないかと思います。今後の対策につきましては災害救助法が適用になります。今朝のラジオによりますと全国的であります。災害救助法の以外に特別立法という考えが政府にあるようであります。県は部長会議,臨時議会を開会するんではないかと思います。昨日は知事代理というので佃屋次長が来て居ります。災害の復旧につきましては現在でも災害復旧にやっていますが,特別立法が出来ればそれに依ってやります。住宅につきましては市単独でも災害救助法の範囲内でやるべきではないかと思っています。特別立法が出来れば従来にまさるものが出来ると思っていますが県なり国に訴えてやる必要があります。写真が出て居りますから県庁の廊下にもはるが中央にも国会等の廊下にもばりたいと思っています。
佐藤(菊)県でも調査していると思いますが,国としても特別の手配が講ぜられるとは思いますがこの状況に依っては議会なりの決議によって特別立法を速やかに講ぜられるよう請願をしたらと思いますが。石橋各課長さん方は夫々任務につく為にモタモタしていると思いますから各課長さんに早く任務について貰った方がよいと思います。
議長それでは課長さん達に任務について戴きます。
市長災害復旧については,知事が上京致して居りますので詳さに陳情する事になって居ります。名古屋地帯の災害では未だかってない国の支出をやっていますから,それに劣らないようにして貰わなければならないと思って居ります。
森浜の方は流れもので一杯であります。潮で沖に出られる事は困ると思います。どこのものでも全部あげる事にして後にわかると思いますが,大船渡では全然出ていないから市の方にお願いして末崎あたりからダソベをもって来て貰って上げて貰いたいと思います。今日からということも出来ないから,今当面のものはカキ棚を一応イカリでとめているにしても万全ではない。これを上げるには舟の力でなければならないから隣りのものでも応援でも受けて沖に出ないようにしなければならないと思います。
助役漁協の担当ですが主として湾内の業者は概ね罹災者ですから。
佐藤(菊)湾内の業者は概ね罹災者ですから手がつかない。住宅や身の廻りで精一杯であります。以上の仕事は日頃市,立根では出来ないから末崎,綾里三陸の方の応援をお願いしてやって貰いたい。
議長議会も調査団月と一緒になって実体を把握することにしては。
富沢一応被害地を全議員で実地調査した方がよいではないか。
平山(幸)四部門を生かしてやった方がよいと思います。
水野委員会の中に罹災者もありますから,人員が片寄らないように多少の異動をやっても委員会毎がよい。
小山救助の方で手が廻りかねているが,審議すべきものは整理して出して貰いたい。
議長部門毎の所管事項については議長に一任願いたいと思いますが(異議なしとよぶ者あり)
議長御異議なしと認めます。議長において決定致します。暫時休憩致します。
休憩午前
再開
議長再開致します。部門毎の所管を事務局から申上げます。
事務局長
総務は総務課,税務課,会計課,評価員室,選管の分嘗事務
教民は保健課,福祉事務所,農委,教委,消防本部の分嘗事務
建設は建設課,水道課
経済は商工統計課,産業課と以上の通りで御座います。
議長以上のようにお願い致します。調査については課長以下職員が当って居ります。議員は是にタッチする事は来出ませんから,各部門毎に実状を把握するということでお願いします。そうして調査の完壁を期して将来の県なり中央に申請する基礎を早く作るということでありますからよく連絡をとって貰いたいと思います。
佐野本部は。
議長正副議長が当ります。電話連絡も出来ませんから明日も午前8時半迄に御参集願います。
平山(勘)本部に台ケ丘を利用しているんですか。
富沢配給支所です。
平山(勘)今日当りも慰問が来ているんですが,新聞には大船渡小学校に本部をおくという事で向うにいくと誰もいません。尚台ケ丘は車も入らないし慰問品の取扱も六ケしいと思います。却って大船渡中学校の方がよいという話もあります。
富沢昨日は小学校に本部をおき,消防は米協に本部をおいていたが中心から遠いという事で台ケ丘に移したと思います。
石橋消防の本部は敷地があるなら板張りでよいから小
屋を拵えて電話も引くことにしては。
助役大船渡の支所は不便であれば考えます。配給は市長宛に盛駅に来ます是を分類して配給区分を立ててやる事になっていますから。
大和田(平)昨日当りは向うの方に重点をおいたら,笹崎方面が不活溌であります。防疫も急がなければならないし,笹崎以南も忘れないように充分な対策をお願いしたいと思います。
熊谷漁協の車庫が室いているからここも利用出来る。
助役いろいろ御意見も出て居ります。昨日住田町に毛布の申込をやって居りますから是等の配給は支所でやって貰うことになると思います。
今野(政)消防の本部は昨日高橋さんの所に移りました。
金野非常に昨夜当りは市内で物品が値上りしているようです。食糧等の値上りも心配されます。物価の値上りをしないようにお願いします。警察署でも物価の値上りしないようにして居りますが,当局からも要請する必要があると思います。
議長是をもちまして協議会を終了致します。明日は8時半迄御参集願います。尚実地調査に基く報告御意見を御願いします。

大船渡市議会協議会記録

昭和35年5月26日午前8時30分議会協議会を市役所会
議室に招集。
出席議員は次の通りである。
佐々木亀三郎君  今野政治君  佐々木幸助君  
平山勘之助君  平山幸一君  大和田平一君  
藤原武雄君  滝田喜蔵君  小山勝雄君  
平野義方君  菊池丑太郎君  吉野栄三郎君  
金野剛君  佐野誠一君  水野重郎君  
山口信一君 武田貢君 佐藤菊之助君 
西山六松君 大和田吾東治君 石橋喜代治君 
熊谷長治郎君 熊谷栄一君 富沢恵能君 
山崎栄之進君 
欠席議員は次の通り。
伊藤喜一君 森政男君 佐藤勇之助君 
鈴木養吉君 新沼勇太郎君 
当局の出席者
市長鈴木房之助君 収入役千葉栄太郎君 
教育長大和田肇君 固定資産評価員佐藤清一郎君 
総務課長臼井勝三君 建設課長新沼範君 
産業課長広沢登米夫君 保健課長佐藤宇三郎君 
商工課長千葉英三君 水道課長千葉徹夫君 
消防団長佐々木佐五郎君 総務係長石橋高君 
記録書記
書記佐々木直行君 同船野良悦君
会議の状況
開会午前8時30分
議長開会宣言。始めに夫々の部門毎に現地を御覧になりましたので是に対する対策とか現地の要望もありましようし,或は当局に特に要望しなければならないものもあると思います。委員長より総括的に報告をして戴いて尚委員の方に補足して戴くことに致したいと思います。部門毎の報告が済んでから当局からも報告をお願いしたいと思います。始めに総務の方から
佐野委員長に変って2,3報告致します。一番最初に配給関係であります。米のことではなくいろいろ各地から集っている援護物資の配給は浄願寺でやっていますが,受付配給の係は不足であるという感じがしました。猪川婦人会5名許り来ているが足りないようです。赤崎にいって見ましたがここでは昨日10時迄に米の配給を御願いしたそうですが今日の午後2時迄に未だ来ていないそうです。食糧が一番大切なことですから万全を期して戴ぎたい。赤崎の支所に対して,市当局から係長1名配置して貰って居りますが赤崎漁協,公民館が主体になってやって居ります。山口議員も来て居りましたがまま子扱いされているような気がしますから課長クラスを配置して戴きたいと思います。いろいろ相談に預る必要ですから,赤崎地区は被害は軽微でありますが行って見ますとそれでも予想以上の被害であります。薬品消毒関係は行っているが雀の涙程でありますから非難の声もあるようです。浸水の家もありますから軽微だからと云ってないがしろにしてはよくないと思います。薬品の配給にも万全を期して戴きたいと思います。
佐々木(幸)教民関係について報告致します。昨日は11時頃から6時頃迄全員調査に当りました。他の部門と混同したものもあると思いますが,始に赤崎にいってそれから大船渡,末崎迄いって来ました。第1に赤崎小学校に給水出来るようにし,尚防疫対策も考えて貰いたいということであります。即ち赤崎小学校附近は飲料水に困っていますから後の入方面からでもビニール管で引水給水したらどうかと思います。学校の中には泥のとれない所があります,是の為の応援も必要と思います。第2は小学校児童の教科書を教育委員会に早急に手配を願います。それから保育園の早期開設でありますが,こういう場合になると殊更必要だと思います。それから明和の保育園はあのようになりましたので教育委員会の方で明和と台ケ丘の両者を斡旋して速やかに開設して戴くようにお願いします。第3に物資の配給でありますが,是は市の職員が総力を挙げてやって居りますが,被災地区の人達にも積極的な応援を得て物資の配給に当らせることがよいと思います。第4は清水橋早急に応急工事をやって戴きたいと思います。第5は被災現場に避難先を表示するようにしたらよいと思います。遠方から見舞に来たものが探すのに困難しているようです。第6は炊出しについてでありますが広報社に依って啓蒙宣伝しているようですが民生委員とも或は連絡員の協力を得て打切は相当の日をおいてやって貰いたい。非罹災地猪川,立根,日頃市に避難しているものもありますから広報車で宣伝徹底して貰いたい。配給米の代金の支払についてでありますが,配給券で配給をやっているようでありますが,金を出して買っているものもあれば出さないで買っているものもあるようです。これでは後で集めるのに困難を来しはしないかと思われます。物資配給の台帳によってやっているようですが,罹災カードを交付して代理人でも買う事が出来るようにしてはどうかと思います。それから物資の配給は婦人会,青年団を動員してやったらどうかと思います。第7に生活保護家庭の救済でありますが,空白をおくと精神的に打撃を受ける事になるからそういうことのないように対策を講ずる必要があると思います。第8に末崎から永井沢に来ましたが,永井沢は流失こそないが殆んど同じ被害であります。
大和田(吾)午前中は末崎に行って来ましたが被害の多い所は小細浦であります。産業道路と橋が落ちましたので船舶の出入に困っています。大船渡は我々の手に負えないから関係委員にお願いして午後は赤崎に行って来ました。綾里線を通っている橋を早くやって貰いたい。漂流物の処理について藤原議員が三陸村に船舶の要請,私は末崎に行って要請致しました。末崎は本日やる事になっていますが,三陸村のことについては藤原議員からお願いします。
藤原三陸村の越喜来漁協に懇請した様子を報告致します。只今大和田議員から報告がありました通り,道路橋梁等の災害を受けた場所を調査する為に末崎から大船渡を通って赤崎を廻って見たのであります。その際海上に流れていたものが非常に多いのであります。陸上のものは陸の方から応援を得てやりますから日が延びても何とか出来ます。所が海にあるものは一晩の中でも沖に流れていってしまいますから是は一刻も猶予がならないということで是は舟がなければ出来ませんから実は議長さんと相談して綾里,越喜来にいって参りました。三陸では村長さん,助役さんがいて消防団長は消防は3日間出動することにしていたが舟の方は気がつかなかった。如何にも海の上に流れているものは舟でやらなければならないから従って海の人でなければならないということでよくわかって戴いて,大型は出来ないが小型で出来る丈応援するということでありました。何隻舟をやるか,人員をどうするか,これは昨夜人を集めて相談をしてはっきりすることになっていますからはっきりした事ば解りませんが出来る丈要望に応ずるということでありました。綾里の漁協もその事をよくわかって戴いて私達よりも海岸の人達でありますから,只昨夜相談したんだから舟の隻数等はわかりません。昨夜遅くなりましたから,こちらに報告しても向うからくる人の受入態勢が出来ないと思って赤崎漁協にお願いして責任を以て向うから来た人に一緒になってこの作業に当る事になって居ります。本部からは他の村の人達に.特に応援して戴いているんであるから責任のある方がお出でになってもらって御挨拶をして貰う事に思って居ります。昨夜市長さんにも申上げましたが,議長さんなり副議長さんに行って貰いたいと思います。
副議長只今三陸村からの流失物蒐集の為舶舶要請のことについて藤原君から話がありました。その点について藤原議員から報告を受けたので今朝敬意を表しかたがた御願いするつもりでありましたが,佐藤議員の話では地元の鈴木議員,森議員を派遣して手配しているということでありましたから只今躊躇して居ります。
佐藤(菊)昨日この席で森議員から発言がありまして,是に私も附け加えてお願いしたんですが地元では非常に困惑して居りますから三陸,末崎方面からお願いして沖に出る筏のことをお願いしたんですが,只今建設,副委員長さんの藤原さんから報告があった通りであります。三陸村の議長さんである平田さんにお目にかかりましてこの事についてお願いしたんですが,如何ようにも取計ろうということであります。いろいろ御取計戴いて恐れ入りますが,鈴木議員を副議長さんは忙しいと思いまして挨拶の為現地に居りますから御諒承願います。
武田経済委員会の部門に関する事を報告致します。田の浸水地については出来る丈今年作付出来るように応急作業をしなければならないと思います。従って是に伴なって苗の確保に万全を期して戴きたい。畑地については何等の結論も出して居りません。カキの養殖の事について只今迄報告がありましたような状況でありますが,是についても万全の措置をお願いしておきます。一番考えなければならないことは,被害は予想以上に大きいので時間と資金が必要であります。漁民水産関係の被害ば莫大でありまして,後2・3カ月にして来る盛漁期を如何にして迎えるかということは問題であります。ここに被害が出ていますが,是が復興は時間的に早めなければなりません。例えば冷凍工場の被害は予想以上に多いのであります。建物,機械の破損中にある冷凍品,商品にならないもの,是等の調査には機械,建物,商品,工場等商店につぎましても営業用の建物,機械装置こういう風に分類して調査しなければなりません。融資の場合の交渉にも支障を来たすことになりますから,分類されて調査して速やかに出して戴ぎたいと思います。この資金の融資につきましても,是等のデーターが揃わなければならないから容易でないと思います。私の考えた調査方法については,鉛筆書でありますがこのようにやって戴きたいと思います。被害調査につぎましては,資材の調査は現在行なわれていないようであります。ノリの資材,若布の被害それらも是非のせて戴きたい。漁船も動力,無動力にわかれて居りますが,直ちに復旧しなければならないので融資の斡旋もやって貰いたい。先程流失物の件でお話がありましたが,末崎で聞いて来たんですが市当局からも話して戴いて貰いたい。それからこれも2・3の人からいわれた事でありますが,今後如何なる方法かで気仙の大工さんでも刈集りめて供給して戴くような態勢をとって戴けないものかという事でありました。簡単に報告を終ります。
市長いろいろ御伺いしたんですが,尚いろいろあると思いますからこの議場丈でなく私の方にも直接でよいからこういう風にしたらよいではないかということで議会の皆さんの御気付きの点をお話して戴くことを特にお願いします。
議長委員の方から補足する事でもありますなら。
平山(幸)第一,商店のいき方でありますが,非常に混乱致しまして昨日当り開店しているものがありますが,やってよいのか会議所当りと連絡をとりまして衣料品当りが困っているようですが,販売出来るように悠ようしたらどうかと思います。第二糞尿の処理に因っているようですが当局はどういう風こ考えているか。罹災老丈では始末に因るようであります。どういう風に考えているか御伺い致します。
山ロいろいろ聞くことが沢山ありますが,課長さん方の対策の報告を簡単に伺ってから善処して戴く方がよいではないか。
(賛成とよぶ老あり)
議長後で皆さんの補足的な報告も御伺いすることにして,差し当り調査表が出来ましたから当局から御説明と同時に被害状況其の他の対策状況について御伺い致します。
総務課長災害対策について25日鈴木県議が県に参ったのであります。県の関係機関に交渉中であります。不取敢県は2千万を商工中金に予託する事を約束すること,そうして直ちに信用組合から借入する事が出来るようにする。住宅金融公庫の資金は26日関係機関に接衝致します。大船渡信用組合の専務は今日上京して資金の調達に当ることになって居ります。大体3千万を獲得したいということで上京致して居ります。是は2・3日中にわかると思います。岩手銀行は現在の所ば本人であれば預金通帳がなくても直ちに払戻が出来ることになって居ります。今日からでも出来ることになって居ります。収入役の手持は1千万程度もって居ります。直ちに支出しなければならないものばいつでも支払出来ることになって居ります。福祉事務所の方は生業資金として無利子2力年1万円,復興資金,運転資金につぎましては県の方にお願いする事になって居ります。鈴木県議はこの事についても接衝中であります。調査まとまり次第夫々関係当局に接衝することになって居りますが,今の所資金は以上のようであります。
議長只今の報告について御質問は御座いませんか。
平山(勘)今の生業資金は1万ということでありますが,私の調べでは12万という風に最高額を聞いていますが。
福祉事務所長災害救助法が既に適用されて居りそれに依っていろいろ罹災者に対する配給物資がは入って居ります。資金の問題ですが全壊流失家屋を主として金額は1万2千円を限度として無利息2力年,住宅の全壊流失に対して総体の3割を国庫の負担に依って佳宅を建設する。是はバラック建の間に合せのもので,災害救助法の適用を受けて20日以内に着工しなければならない。坪数は5坪,坪当り1万6千以内と規定されて居ります。修理は半壊が対象になります。半壊戸数の2割5分の範囲,坪当り4千円で5坪迄認めます。
次に物資の配給でありますが,段階がありまして違いがあります。住家の全壊流失は1人世帯3,170円,2人世帯3,850,3人世帯5,540,4人世帯6,270,5人世帯8,070,5人以上1人増毎に1,090が増加される。この範囲内で寝具,食器,其の他生活必需品を家庭の生活内容を勘案して配給される様であります。この基礎は罹災台帳の作成.でありまして,昨日報告したように総員約30名の職員が各戸に亘って調査し今朝午前3時に出来上りました。この台帳が配給物資の基礎をなすものであります。相当綿密な調査をしました。今朝県にも報告された筈であります。
富沢生業資金は急がなければならないが,いつから借りる事が出来るか。
福祉事務所長台帳が出来ましたから申込をとりまして,生活内容を勘案して早速その事務を取扱たいと思って居ります。
水野住宅は3割国庫補助とすれば坪数5坪では単価1万6千円として8万円だがいくら補助になるか。
福祉事務所長自己負担出来る方には御遠慮願うことになります。
水野坪当り1万6千円として5坪とすれば8万だが,全額国庫負担になうか。
福祉事務所長全額国庫負担になります。罹災戸数の3割分について。
菊池私は本日希望することの一つに議会として罹災者二慰めの言葉が必要だと思って居ります。それから,課長さん方から一しや千里の説明を戴いても頭に入れる事が出来ないから是を印刷して配布して戴きたいと思います。
消防団長現在の作業行程は赤崎は第1班,大船渡は赤沢から駅前迄,駅前から須崎僑,須崎橋から小学校前小学校前のガードから下船度間で分担してやって居ります。陸上自衛隊と緊密な連絡をとりまして国道と市道沿いの整理に当って居ります。将来は毎日毎日作業工程が進捗しているものでありますから,毎日の作業工程を自衛隊と打合せてやって居ります。昨夜も6時から打合せをして消防団と自衛隊と人を組合せて消防団の分団長と自衛塚の中隊長を頭にして連絡をとりながら整理に当って居ります。晩.こも明日の作業工程を打合せて仕事の進捗状況とにらみ合せて当分の間やって参りたいと思って居ります。自衛隊は10日間,私の方は何日ともきめて居りません。作業工程とにらみ合せてやって参りたいと思います。私等に御要望が御座いますならこの際に御伺いしたいと思います。
富沢メソストリートを片付けて横の小路にもは入って居ります。農協の避難者から頼まれたんですが,次の建設に使えるように材料が使えるように取り扱うことが出来ないかということでありますが。
消防団長そういう点については,最善の注意をして部落連絡員さんと連絡してど二に取片付けたらよいか連絡しながらやって居ります。今日から大型トラックをフルに使うという事で車輌等も統制をとって作業の進捗を図りたいと思って居ります。今日は死体捜索班を作りまして重点的にやるつもりであります。
水野昨日常任委員で視察したんですが,その結果は委員長より報告の通りでありますが,特に私共が歩いて気がついたことは交通頻繁な所に警察の方々が協力している事は感謝に堪えません。大船渡,盛全部に亘ってやっているようであります。市の職員の活躍も目覚しいものがあります。市の職員の中には親族を失ったものもあり罹災したもので出ているものもあるという事であります。そういう方に対して当然の事であるかもしれないが誠に気の毒なものであると共に健気なものであるという事を感じて参りました。凡有ものの取片付けは是は誰のものだという事をはっきりしているものがあるらしい,是には手を付ける事が出来ませんから自衛隊等で整浬する時一緒にしてしまうが是はどういう風にしますか。
消防団長その点につきましては,皆んなで再確認してから区間区間には自衛隊の区隊長と分団長がありますから,部落連絡員家主さん等と確認しながら整理して居ります。
水野魚カスを何画俵か流したものがあると思うが是のようなものはわかり易いものだが様々のものが混合しているから一.寸困るものがあるらしい。
消防団長現場で作業をやって居りますとスクラップに廻すものが段々出て来ますがそういうものは決して遣憾のないようにやって居ります。
大和田(平)昨日迄永井沢迄車が通れなかったが,今日当り車が通りますから今日当りから永井沢にもやって下さい。
消防団長赤崎の道路の復旧個所と小細浦の産業道路の復旧はどの程度ですか。
山ロ橋は流失しました。
消防団長自衛隊が行って居ります。
石橋是非お願いします。米の浦さえ復旧すれば自衛隊で出来ると思いますから。
消防団長3間位という事でしたが。
富沢そうです。
佐々木(幸)橋脚は両方ありますから自衛隊なら2時間で出来ると思う。
大和田(吾)小細浦の産業道路は,精々2米位地元の皆さんの協力でやってくれと話して来ました。
建設課長災害住宅ですが是は県の割当が本省から366戸頂戴したそうです。大船渡市としては150戸県に要請して居ります。事業主体は県でやる事になります。市は敷地を提供することになります。非常に小さいもので1戸1O万程度,5坪で柱は2寸5分,外部下見張り内部ベニヤ,屋根フェルト,大小便兼用便所ということになって居ります。大船渡は150戸要請していますが県の割当がいかにきまるか昨日職員を県庁にやって県の意向を早くわかって市の方で協力したい。建てる場所につきましては家族なり倒壊の状況なり眺めまして大船渡何戸,赤崎何戸にするかきめることになります。土地の取得については困難でありますから地元の議員さんの御協力を得たいと思います。割当の戸数は明日職員が帰って参りますと判明します。地元にも設計師が居りますから,無償で奉仕します。公営住宅ですが普通の住宅はもう他に親威等にいっていると思いますが今年も市営佳宅は20戸ですが,5戸乃至10戸割当をお願いして居ります。大船渡の小学校の上に分譲住宅を早速建設したいと思います。30人申込がありますから20人程度にしたいと思います。災害の場合の往宅は一種は出来ないので二種8坪以下,これぱ主として貰える地域の500戸以上一市1割以上倒壊した市が割当を受ける。3分の2の補助ですがこういう災害の場合は是を上廻る補助率で貰える事になって居ります。是も今日県と接渉には入って居ります。もう一つは28日の日に金融公庫の県の関係課長等明日,明後日大船渡に来る事になっています。県と打合せの結果,まとめてお伺いして住宅対策を立てたいと考えて居ります。
富沢市営佳宅20戸分譲佳宅の報告がありました。分譲住宅についてはこの機会に応急対策を講じて土地の買入れを速やかに広い地域に亘って買い入れて住宅の拡充を図っていくべきであると思います。もう少し大きな計画を立ててほしいと思います。20戸の割当は少いと思います。
金野2日間歩いて見て感じたことは食物,住む所であります。いつ頃着工出来ますか。
建設課長災害住宅ですが,昨日連絡した所によりますと殆んと組立式のもので割当が今日当り正式にきまると思います。市の方で敷地を取得してやれば始まると思います。耐用年数が3年位のことです。住宅金融公庫からの借入れとか,福祉事務所長からも話がありましたが抽籤なしで融資でありますからいつからという事は申上げかねます。
平山(勘)150戸を赤崎,大船渡に別けるが敷地は市が借りますが建物は誰のものになりますか。
建設課長国のものを県が管理し5年後に払下げる事になっているようであります。
副議長敷地をどういう風に確保するか。
建設課長今の所市が提供しなければならないから,従って民有地を上げてやる事は出来ないから市が賃貸料を支払っていくことになります。
佐野大きな構想をする事もよいがどの程度金がかかりますか。
建設課長是は1銭もかかりません。第二種住宅は市が立てて貸していくことになります。
金野市の財政上の関係で市で住宅を建てる事が出来ませんが1戸でも多く建てることが出来るようにやって貰いたいと思います。
熊谷学校にいる人は何人位か。
教育長小学校40人,中学校20人。
議長それでは防疫対策について
保健課長薬剤は最初市内の薬店から集めましたが,機械がなかったので24日の午後に高田に借りにやりました。県の方から防疫班が来ましたので今日は笹崎からこちらの以北の方をやる予定であります。人員は県,保健所,学校生徒約100人であります。広域な面積はやる事が出来ませんでしたが,幸い自衛隊が青森から大型,小型20台をもって応援に来る事になって居ります。県は10コ班に編成午後から本格的に防疫には入る事になります。糞尿処理は県の衛生課長が来ることになって居りますから,盛岡のあいている分について全部動員して来る事になって居ります。医療関係は台ケ丘服装学院に医療班が到着につぎ是を当らせる。赤崎地帯は発熱患者が出ているが気仙病院長さんが医療に当って居ります。学校に避難しているものには2時間おきに開業医の巡視をやって居ります。昨日は気仙病院からお願いして居ります。昨夜10名位具合の悪いものがありました。広報活動,ポスター等で伝染病予防をやって居ります。死体処理ぱ今朝迄持越しは2体ですが,大体今頃は火葬が終っているだろうと思います。
山ロ赤崎に医療班がいきましたか。
保健課長いきました。
西山災害の後には伝染病がつぎものです。昨日当り学校に収容されているものに患者が多くなったということです。風を引いたもの熱の出るものが沢山あったというのでありますから万全を期して貰いたいと思います。
滝田昨日,被害住宅を教民で廻ったんですが車から降りた途端にどうなったのかと云われた。今課長さんの話でありますが保護班がいっていないようですが。保健課長細浦は消防団がやるというので薬品を届けたそうであります。
滝田足りないということだろうと思います。
保健課長農協全部集めたんですが足りなければ尚後からやります。
水野県から来たから間に合うと思うが。
保健課長自衛除も来ますからよいと思います。
副議長特に最近こういう事が聞えているようであります。鬼畜に等しいものが横行しているという事であるから電気を早く回復して貰いたい。
市長大船渡は今日の昼迄に全部つくことになっています。
平山(勘)災害救助対策については総務関係で罹災者の意見も聴いたんだが無論数の中にはもっとやらなければなならないものもあると思いますがただ消毒の問題ですが薬が足りないとか何んとかはわからないが,2回も3回もやるように計画を立てているかどうか。
保健課長私は素人でありますが,県の衛生課長が来て居りますから技術者の意見を聞いて2回必要なら2回3回必要なら3回やります。
山ロ今の説明に対する質問ではなく,医療班の方は既に到着しているそうだからよいと思うが,市の責任ある人を本部につけておいて貰いたい。こちらに丈首脳部がいて赤崎は係長丈である。継子扱であります。向うで即決したいことがあっても電話はセメント丈で後は無線電話でやっている丈向うには殆んど車もない。誰か責任のある人を向うにやって貰いたい。後は米の浦の橋の復興をやって貰って,小学校迄折返し運転をやって貰う。電気もそうだが水道の復旧にも力を入れて貰いたい。それから電話を1本丈でも復旧して貰いたいし。糞尿汲取車を小学校其他相当流れているからやって貰いたい。
水道課長大船渡は現在消防栓5カ所,メンパイプ2カ所故障,メンパイプは復旧を終り消火栓2カ所工事で夕方迄は一応復旧して時間断水は己むを得ないが,給水出来ます。末崎は下船渡の電灯が直れば一緒に送水が出来ると思います。赤崎は川口橋,振興橋が流れた為復旧の見込は立たない。中赤崎には自衛隊が濾過セットをつけまして給水する事にしています。昨日午後に始めましたのでもう出来る筈であります。
山口小野田さんにお願いして本管とつなぐ事が出来ないか。
水道課長小野田から逆送しているそうです。
山ロ中赤崎に給水は出来ないと思う。
水道課長橋の所が80米許り欠潰している為,この復旧が出来れば山口方面に給水出来ると思います。大洞線の復旧で自衛隊が出て居ります。県を通じて資材を交渉中でありますが自衛除のトラックを借りて仙台から運搬して川口橋を復旧したいと思います。建設については委員長さんの御協力をお願いします。大船渡地区ですが,酒造会社のタンク車2台をお借りして朝5時から夕方迄廻して居ります。水桶がないので時間をきってやって居ります。
山口いくら貧困な市でも是丈の災害を蒙って居ります。大船渡市でも仮予算をおいて市単独で早急に復旧を要する見込のもので報告段階ではなく実施段階のものもある筈でありますからやった方がよい。
大彩田(平)時間給水は当分続くだろうと思います。
よく解らない人が多いから給水時間を各部毎に周知して欲しい。
副議長当分復旧の見込が立たないという事であるが,あれに施設したパイプが切れた為であるがパイプをつなぐ事が出来ないか。
水道課長出来ます。パイプを交渉して居ります。あの工事は自衛除がやります。
西山送水も大事でありますが,送水しても個人々々の利用する給水装羅が痛んで居りますから使われません。すぐに個人のそれを修理して貰わなければ。
水道課長今10入を動員してやって居ります。
市長災害対策は重大なんだからどうしてもやらなければならない事は議会の協賛を経なくても直ちにやらなければならないものは是非やって貰うように職員にも云うて居りますから御諒承をお願いします。
石橋市長さんも助役さんも忙しいようでありますから各常任委員長さん方に市長さんの相談役として常勤して戴いたらと思いますがどうですか。
市長大変よいと思います。
富沢昨日汚水が逆流したという事でありましたが,水が消毒した丈で飲料水に間に合う水なんですか。壊われた所は復旧が出きたものか。
水道課長発見した分は直すべきものは直して居ります。又10カ所に分れて水質検査を実施中であります。今野(政)消火栓の復旧しないものは後何個位あるか。飲料水が第一でありますが,消火栓は火防上も必要であります。あのような乱雑な状態に於ては非常に消火栓に頼る事が多いと思いますが,いつ頃完備しますか。
水道課長後8カ月位と思います。復旧はして居りますが,ただ水がないので消火栓は当てにならないと思います。
副議長水がないというのは山にないのか,或は漏水ですか。
水道課長漏水だと思います。8時間で340屯減りましたから。
議長次は食糧対策について
商工課長大船渡町は小売店も罹災しましたので,県南米協では直営で配給したわけであります。罹災者については連絡員を動員して市が切符を発行して後で精算出来るようにしました。不取敢1人当り宛2K配給しました。基準から云えば1週間分ですが実質は3日分位と思います。そこで今後の対策としては精米6千俵用意してありますから米の需要には事欠きまぜん。大部分の店舖が通常配給が出来るようになりましたから一般通常配給をしてどうしても購入資金がないものがあると思いますから今後再度購入通帳を発行してやりたいと思います。福祉事務所と協議しなければなりませんが,本日午前中にやりたいと思って居ります。闇米が出廻ったので物価が騰貴の心配もありますから,県の食糧課長さんが参りまして協議したんですが,保有米は心配する事ばありません,闇米等で物価騰貴する場合は県と協議の上遺漏のないようにやりたい。野菜の関係は生果市場は今日から,魚市場は明日からやるようになって居ります。
平山(幸)普段でさえも半分位しかありません。一般の人は輸送が出来ないで困っているから混乱する恐れがあるが
商工課長現在80%位しか消化して居りません。大体保有米は間に合う事になって居りますから割当数量以上に買う事は差支ありまぜん。
金野大人の入達の食糧は間に合うと思いますが,乳幼児の食糧はどうですか。
商工課長家校に収容されているものはミルクをやって居ります。其の他は解りませんが
金野学校に収容されているもの丈ならどうですか。尚物価の値上りの心配がありますから其の点宜敷く御願いします。
水野食糧其の他の配給物資に対して昔から乏しからざるを憂えず,斉しからざるを憂うという事があります。市役所が如何に努力しても中聞の鰻関に依って甘くいかない事があります。そういうことのないように立派な配給状態を講じて貰いたいと思います。
山口罹災した方には申訳はありませんが,全般的に罹災した人は一番ゆるくないが日がたつに従って罹災しない人がどん底に陥入る心配がある。罹災者には援護物資がどんどん来るが,中赤崎には40世帯に60世帯もは入ってくる。罹災しない家庭もなかなかゆるくない。
水野緊急対策後の保護家庭の対策についてという事で申上げている筈でありますから,是についても当局に御願い申上げます。
金野食糧の配給と併せて燃料も困ると思いますが,是はどうですか。
商工課長燃料については解りませんが。
富沢昨日米の配給について御金を貰うようにという通達があったという事でありますが是の2Kの配給については無料配給と心得ていたが金はとるのですか。市長不取敢配給する事がよいと考えて配給する事にした。金の事は後のことも考えた,金のある人から金をとらない事もないと思うから,是は後の事にしたいと思います。
滝田物価の値上りは鉄道の開通にも関係があり,電話の不通にも関係があるが全通の見透しはどうですか。市長鉄道は3カ月はかかるだろうと思いますし,電話は大体数日中には何とかなるだろうと思います。
滝田2カ月も汽車が動かないか。
市長それがその位かかると思います。
小山資金の対策ですが担当は総務課でしようが,住宅金融公庫がありましたが国民金融公庫についてはないようですが。
市長是は鈴木県議に頼んで接衝して居ります。
小山銀行につぎましてはお話がありましたが,建築資材,国有林の払下げはやって思りますか。
市長やって居ります。
小山国,県の対策がないようでありますが。
市長県は充分やって居ります。
小山昔より手薄なような気がしますから。
市長充分やって居ります。
議長次は罹災児童等について。
教委教育課長昨日校長会議を開きましたが,ここの資料はその結果であります。尚大船渡の小中学校,赤崎の中学校の収容所の関係ですが,是等の開校につきましては生活の安定,民心の安定を考えて速やかに開校したいと考えて居ります。未だそういう事情にはなって居りません。学校の職員は夫々各戸を訪問致しまして確認した生徒児重数であります。又傷病者等につきましては調査をして本日中に届ける事になって居ります。職員の罹災者につきましては夫々応援に参りまして住宅の片付方に手伝って居ります。今後の対策につきましては,日宿直職員を代理したり事務処理等の応援をして居ります。
山ロ同僚議員さん達に対する御見舞はやって居りませんか。
議長相談して居りませんから後で御相談申上げたいと思います。
水道課長給水状況は1時間毎の給水にするよう御協力を願います。
金野担当課艮さんが居りませんが,議長か収入役に御聞きになって戴いて電話局以上の田がやられたが佐野,地の森の方からやられたが当局の方でよろしくお願いします。
熊谷この報告を見ると29億とありますが,是は誰が行ったか実は余り少いようだが。
議長昨夜の何時頃迄かかつて纒めたかわかりませんが明日の午前9時迄に是非もって来いということであったようです。県下の災害をまとめて中央に持っていくということでありました。
収入役県知事が上京して居りますからこの資料をやることになって居ります。
水野3日間緊急会議を開いたんですが,県なり中央なりに班編成をして陳情する必要があると思います。誰々は盛岡にいけ誰々はどこと,是は単独にも出来ないから市長さんと御協議して戴いて早急に御願いします。それから広報活動を徹底させて貰いたいという事であります,文書活動が出来ないから人心安定火災予防等の為にも警察とも連絡を密にしてやって貰いたいと思います。私の視察した結果では充分であると思いますが,更に充分にやって貰いたいと思います。
議長いく場合にはよく相談してやりたいと思って居ります。
滝田今後復興の為に積極的に仂きかけなければならないと思うから積極的に仂きかけるようにお願いします。
菊池この会議は終ったらどういう風にしますか。
議長先程石橋さんからの御意見もありましたが。
石橋緊急対策は今迄皆さんが出てやっていますが,復旧対策については当局と同様に例えば一時資金をどういう風にするか,商店なら商店の方で金をどれ丈必要か,材料をどれ丈必要か,仙台に電話をかけてわかったという事でありますが,本来ならハイヤーをとばして復興に当るべきではないかと思います。将来報告書の調整もあります。こういう事を当局と夫々担当して戴けばよいのではないか。このままではどれ丈日数がかかるか懸念されます。住宅150戸建てるんだそうですが是について敷地の斡旋,例えばそういう事を当局に協力すべきであり,このような態勢を整えるべきではないかと思います。資材にしろ釘にしようが詳細な数字をもっていかなければ六ケしいと思いますから,側面的に協力していく態勢を整えたらどうかということであります。是に依って活動しようという意味であります。
菊池全く只今の御意見は同感であります。議会は四部門になって居りますがそういうことに関係する事はよくない事だからということで集団行動をとったんですが,昨日とった行動は正しいと思います。私も10時に帰りました。常勤という事でありますが是はどういうような事になりますか。
水野石橋さんの御説は御尤であります。昨日迄3日間緊急の協議をしたんですが,是は大切なんですが是迄3日やったんだから明日は休んで明後日又協議会を開いて1日おいて本会議になります。委員長さんを市長の顧問として常勤させることは結構ですが,必要な時には我々もいつでも招集に応ずる用意をして居ります。
佐藤(菊)昨日早速陳情書を提出したということであるが共の後の情況はどうなっていますか。尚山口議員からもお話があったんですが,本日で3日間になりますが電話が1本も催災地に連絡がつかないという現状は誠に思いやられる現状でありますから是が早急復旧をはかる必要があります。
熊谷今日で3日間緊急対策の為協議会を開いたわけですが,もう緊急対策は一応すんだのですから復興の対策を当局に中上げてもよいと思います。当局も仲々手が廻らないと思います,尚常任委員長さんと指定するから問題があると思います。議長さん,副議長さんが中心となってこの次の議会に其の原案を示して貰うようにしたらどうか。例えば津波資金が既に出ているそうでありますが,宮城県では既に出ているようであります。ここは未だです,こういう始末では駄目だからそういう案を練って議会に提案して戴きたいと思います。
平山(勘)各部門1人宛では三地区の被害でありますから,こちらが解ってもそちらが解らないということもあると思いますから全員でやるようにして貰いたいと思います。市長さんの袴に足を入るこれともどうかと思います。
佐野昨日決めたことを各常任委員会で何をやるべきかという事で夫々活動したと思いますから夫に引続いてやるべきではないかと思います。総務は総務で持分がありますからそれに依ってやって貰いたい。
熊谷議長,副議長において適切な処置をとって貰いたいということであります。
菊池既に処置がとられていると思いますが,学校に収容されているものとか,死亡者とか負傷者は病院と思いますが,議会を代表して御見舞をやるべきではないかと思います。一昨日見舞金品の話が出ていましたがどうなっていますか。合同葬儀の方は。
議長合同葬儀の方は時期を見てお話し致します。死んだ所えの顔出しはして居りません。いつか時期を見て市長さんと参りたいと思います。物資の御見舞については後で皆さんと相談して参りたいと思います。
議長それでは是を以て閉会致します。明日は休んで明後日協議会を再開致します。是を以て散会致します。
散会

全員協議会記録

昭和35年5月28日午前9時より全員協議会を市役所会議室に開会。
出席議員は次の通りである。
佐々木亀三郎君今野政治君佐々木幸助君
平山勘之助君平山幸一君藤原武雄君
滝田喜蔵君小山勝雄君菊池丑太郎君
吉野栄三郎君金野剛君佐野誠一君
水野重郎君山口信一君森政男君
武田貢君佐藤勇之助君大和田吾東治君
石橋喜代治君熊谷長治郎君熊谷栄一君
富沢恵能君鈴木養吉君新沼勇太郎君
山崎栄之進君
欠席議員は次の通りである。
大和田平一君平野義方君伊藤喜一君
当局よりの出席者
市長鈴木房之助君助役藤原滝三郎君
総務課長臼井勝三君
事務局職員の出席者
今野信雄君佐々木直行君船野良悦君
会議の状況
開会午前9時
議長これより全員協議会を開会致します。本日は農林大臣が来市の予定でありますので,到着と同時にこの場所で陳情があると思います。それから現地視察の後釜石に向うことになって居りますから予め御諒承を願います。当局からの災害対策の報告については課長さん方も現地活動の為忙しいので報告の要旨をプリントして是を配付する事にしたいという事でありますから是亦御諒承を願います。尚本日は全員協議会終了後議会運営委員会を開きますから委員の方は御残りを願います。私から御諮り致しますが,一昨日議員活動について正副議長にお任せ戴いたので副議長と協議して当局とも協議したのでありますが,中央に要請するには正確な資料と一応の計画がなければならないと思います。目下当局に於いては全力を挙げてこのの仕事を進めて居ります。是等の完成を俟って当局と共に強力に運動を展開した方がよいではないかという事でありました。従って先般きめました所管について各部門に於いて計画をおたてになりまして当面の救済は勿論のこと,復興につきましても側面から当局に協力するという事にしたらと思いますが如何で御座いますか。
(異議なしとよぶ者あり)
議長御異議ないようですから是からの議会の仕事は各部門毎に各課長とも連絡をとりまして,当局の復興計画と統一のとれた計画を樹立して県なり中央なりに呼びかけることに斯様.こしたいと存じますから,各部門毎に御願い致します。尚この報告にあります事やそれ以外の事につぎましては後で皆さんの御意:見を拝聴致したいと思います。尚鈴木県議さんに鈴木県議さんには県関係の接渉に当って居られましたのでその状況について御願い致したいと思います。
鈴木県議一昨日県に参りまして当面の措置を打合せて参りましたから其の経過を申上げます。県におきましても対策本部を作りまして当面の措置をして居ります。来たる30日には臨時議会を開きまして政府国会に対する要望を取まとめましてそれを意見書に致しまして県が代表して副知事以下各部長が上京して陳情することになって居ります。その前に当面している問題について措置をすることを打合せました。いろいろ応急対策があります。住居の関係,主食の関係,更に商工業者に対しては仮店舖を設けて商売を始めさせる,工場関係でも諸施設を復旧する事業を始めるとか家をもたないものは災害応急法に基いて5坪を建てる事になります。割当が来て居りますから直ちに着工して貰うことになると思います。其の他商工業者に対するもの,其の他の事業者に対する措置としては仮店舗を作ってやるという事であります。資金措置としては国民金融公庫を利用するものには国民金融公庫から来て貰って県当局と連絡したんですが,御手元に配布している要領でやって戴き手続きが面倒ですがこの手続も簡素にする。保証力のないものについても是にこだわらないで保証人1人付けた丈でよろしいという事でありました。それから一般の運転資金とか事業資金とかいろいろ明らかにしてあるわけでありますが,これは問題にしないで店舗を作ろうとも,事業資金にしようとも自由でよろしいという事に致しました。それで今日から商工会議所の中に復興資金融資の申込を受ける所を作る事になって居ります。当局にも申上げて本日から会議所に看板を掛ける事に致しました。申込書をもって来たなら本日から受付けて実施したいと思っています。融資額は20万から30万の範囲の額につきましては50万程度に再交渉したいと思って居ります。それは今迄は20万から30万迄は期間は1年据員4力年償還:利子は9分3厘となっています。今迄借りていたものは延納.こする。今迄借りていた者も二愈こ借りる事が出来る事になっています。金融公軍は約半月会議所に駐在することになっていますから是も御諒承戴きまして一般に徹底して戴ぎたいと思います。
次に商工中金でありますが,支店長に来て貰って商工部長と共に打合せをして来ました。これは商工協同組合を経て借入れるもので是に加入しているものでなければ借入れが出来ないのでありますが,当市は県下稀に見る組織でありますから,この組合を通じて全面的に資金を融資してくれる事になります。問題は担保力でありますが,今度の場合は担保なしで融資して貰うことにしています。其の結果県の保証協会で保証する事にすればよろしいという事で県の保証協会に3千万の預託金を出して是に依って融資する事になりました。そこで施設に対する資金,運転資金を必要とする商店は組合を通じて申込めは融資することになりますから,急速に之を進めて戴ぎたいと思います。各組合の代表者を集めて融資の取まとめをする事になっています。国民金融公庫,商工中央金庫の資金に依て概ね商工業者は不取敢緊急の態勢がとられると考えて居ります。更に不取敢5万,3万必要だというものには信用組合で商工会議所から一札出して戴けば出して貰えることになっています。商工中金から2千万融資を受け県信連から1千万信組の担保で1千万計4千万を信用組合のつなぎ融資の金に当てる事になっています。尚更に融資を受ける事になっています。それから住宅金融公康も関係があります。是は恒久的な住宅,店舗のような建築をどうするかということになりますが,是は県の建築課長とも打合せて更に住宅公庫の仙台支店長中央からも参りまして6月頃説明会を開いて今後の復興をどうするか等について其話合があると思います。住宅公庫の措置に依って適切な措置がとられると思います。何れにしても速やかに復興しなければならないが,再び災害も予想されますので,恆久的な建築を考えていかなければならないと思うから本腰を入れて検討する必要があると思います。この他問題になります事は一般の商工業者の事であります。国民金融公庫,商工:中金を利用出来ないもの,或はサラリーマン,日雇もありましよう,是が大事な点であります。
是の点につきましても県に要請致しましたが,一昨日迄結論を得ないで来ました。一般金融として市が保証致しますれば1万円以内信用組合が融資出来ると考えて屠ります。是は市議会でも御検討を賜わりまして宜敷く御願い致します。商工中金から信用組合も2千万の預託を受ける事になりますが是に対して市の保証を御願いするという事もありましたから,当局からお話があると思いますが是も善処方をお願いしたいと思います。其の他漁業資金ににつきましては不取敢20億の概算をして居りますから緊急対策として1億8千万程度の緊急資金がなければならんという事で県の漁信連に1億8千万の預託をして資金措置をしようという事になって居ります。伊藤会長は上京中でありますから本日中に結論が出ると思います。最後に何としても本災害は一般災害なみの取扱では救済が出来ないから罹災地毎に政府国会に灯して特別立法を御願いする以外には方途がないということであります。特別立法について主力をおくという事に県議会も考えて居ります。
市.議会でも是について御努力をお願いしたいと感じている次第であります。それは農林大臣にもお願いしたいと思います。
助役今国民金融公庫,商工中金の融資について県との話合のお話がありましたが,この資金問題について二番目の商工中金の関係でありますが,市が保証しろという事が御座いますので2千万程度の保証という事に致したいと思います。この正式議案は30日の議会にお願いしたいと思います。それから終から二番目の一般庶民金融の1万円是は商工会議所の会員或は信用組合の会員ば一応今迄の融資を受ける事になりますがそれから洩れる人があるわけであります。洩れる人に対しては,今日から会議所に相談所を設ける時にそういう人もいくんではないかと思いますので会員でない人にも1万円程度貸出しをするよう致したいと思いますが,是も市の保証でなければなりませんから市としは300万程度を保証する事に考えて居ります。是も30日の議会に正式に決議をお願いしたいと思います。漁協農協につきましても同じ問題が出ると思いまして,漁協農協の幹部の人の御集りを戴いて是も商工組合と同じように応急的な貸出しにつきましては保証力のないものもあると思いますから是に対しても市が保証したいと考えて居ります。助合金融につきましては,民生委員の証明に依って1人2千円の無利子の貸出しを行って居ります。所がこの資金は現在10万程度しかありませんから,オーバーした場合は別途考えて貸出ししたいと思って居ります。
議長只今,報告について或は其の事以外でもよろしいが御意見がありますなら御願いします。
熊谷災害の結果大部怪俄をしたり内臓方面に怪俄したりした人があります医者は罹災者から金をとっていないようでありますが罹災者の分は市で負担するのですか。医者の方でも迷っていると思いますが。
助役入院しているものからですか。
熊谷外来の人であります。実は私の家の孫がいっているんですが,金をとられないというんですが。
助役無料診療の事については気がつかないでいます。
熊谷何日もやるという事は医者の方でも困ると思います。国保関係から通知して然るべき方途を講じて居った方がよいと思います。
助役こちらでは入院した人には見舞金をするようではないかと考えていたが,外来については解らないでいました。
熊谷気仙病院の広田先生の処にいっているんですが,ここは普通よりも忙しいようです。
平山(勘)災害救助法に依ると矢張り生活保護家庭,無財産の人は無料で出来ることになっているが是を調べて貰いたい。それから金融問題に対して一番今後頼らなければならない事は住宅金融公庫の金だと思います。是は各被害者が優先的に特別の枠を与えられるわけですが,是が興えられれば大変助かると思いますから是を強くやって下さることを願います。今迄焼けても流れても優先的にやって貰って居ります。
助役是は恐らく要望に近い融資が出来る筈であります。5坪の住宅は大体180戸ですが120何人になるんではないかと思います。それは今日からでも立てたいと思います。計画がはっきりすれば市でたてて後で県で立てた事にしたいと思います。
平山(勘)市街地に佳む人は15坪なら15坪の割当が得られれば住宅公庫は是に打込むと思います。是非やって貰いたいと思います。
助役それは進めて居ります。
小山市の保証による貸付はやりますか。
助役それはやります。
小山300万という金額の根拠は。
助役別に基礎的な資料はありません。2千500万という事でありましたが300万位でよいではないかという事でありました。
小山市中銀行に対しても災害に対する貸付についても,又市の保証についてももっと貸付出来るようにして貰いたいと思います。
助役やります。
小山貸付の条件緩和につきましてももっと緩和して貰いたいと思います。
助役それもやります。
新沼住宅金融公庫の関係ですが,今迄の佳宅金融公庫の取引から見て条件が面倒なんです。2回説明会が開かれたようでありますが,是は部落毎に償還組合を作るとか市が保証するとかそういう事も頭において,説明会に臨まなければならないと思います。それから市の中小企業融資についてももっと枠をおいて償還期間等についても条例を改正して条件を緩和するようにしなければならないと思います。
熊谷ここで一番恩恵を受けているものは,商工組合の加入老です。施設の資金も運転の資金も商工組合に加入していなければ借りられません。我々も鉄工業の組合があればよいわけだが是は組合がないから,商工中金は水産団体が主な関係ですから。
助役水産関係ばかりでなく建築業,専門店会,酒販店会漁協等いろいろ種類がありますが熊谷さんのおっしやる通り何にもは入っていない人があると思います。
熊谷是は市が保証すれば借入が出来ますが,そうでないものはそれ以外の所から借入れがなければなりません。その為に中小企業金融公庫がありますから是も考えて貰いたいと思います。
助役はい。
山口国民金融公庫や商工中金を全然利用されないものと同時に農協漁協の金融問題を併行して考えなければおかしいと思います。どこからも借りられないという事はおかしい。今食う金がないのでありますが,毎日毎日他の手伝を受け乍らやっているんだから,是は国民金融公車や商工中金に追い付くものがなければ赤崎当りはどこにも借りにいく所がない。
佐藤(菊)先程助役の説明にあった福祉関係の取扱に依って1人2千円程度の貸出しをやっているという事であります。これは一番困っている人と思います。どの程度の資金を必要とするか,差し当り10万程度ということでありますが,2千円というのは1人2千円ですか,1世帯2千円ということですか。これは該当者が多くなった場合市の財源確保はどういうことになりますか。
助役今の関係は貸出しを開始してその状況に依って資金を用意するという事にして居ります。一応世帯当りにして居ります。今1千円か.2千円を借りたいという声を聞いて居ります。
水野是はどうしても個人に接渉出来る問題ではないから後で関係者の会合があると思いますから,是を聞いて善処して貰いたいと思います。
佐藤(菊)農協漁協の分を纒めているという事であります。私の申上げたのは本当に零細な困っている人達があると思いますが,是等についても協議されるわけですか。
助役不取敢農協漁協丈であります。農協漁協ではやって居りませんか。
山口資金に限度がありますからやりたくても資金の獲得が出来ないから。
助役貯金の支払丈で一杯ではないかと思いますが。
山ロその通帳もないから。
議長只今農林大臣が来る事になっていますから,暫時休憩致します。陳情が終ってから更に会議を再開致します。
休憩午前10時55分
再開午後1時
議長休憩前に引続きまして可開致します。
熊谷鉄道が開通する迄高田,大船渡間をバスで運転して貰ってはどうですか。
市長今日からやって居ります。
滝田人は運搬しているようでありますが,貨物も運搬して貰いたいと思います。
市長是も今日からやっているようで御座います。
熊谷農道は重大な役割を果していますがもう一本道路を作る必要があります。
市長各課長にも話をしたんですが,再出発をするという事が必要ではないかと思います。道路網その他については未だ結論は得ていないが,こういう状態が出来たんだから全部今迄の考え方を投げ捨てて新しい施設をする必要がある事を考えて居ります。
副議長岩罐から下船渡迄都市災害という事にして改良工事という事でやっていった方がよいという事であります。建設省の検査官の話であります。
武田そういう構想について,下船渡迄の間に被災している人が多いから今の間は家を引きつけるにしても簡単であります。こういう構想でいくんだという事であればよいと思います。
副議長バイパス道路とか万一の場合は間に合せるように構想を建てるらしいという事でありますから,それを運動してやっていけば3分の2位の補助率でやっていくによいという事であります。
熊谷新しい道路を作るという事でありますが。
副議長そうです。道路も都市災害で拡幅していった方がよいと思う。佐野橋はバイパス道路としてすぐやらせるという事であった。原型復旧でなく。
議長私からこの際申上げておきます。先程農林大臣から非常に力強いお話を承わりましたから是に則って尚今後復旧の為に努力しなければならないと思いますから今後共宜敷く御願いしたいと斯様に存じます。尚午前中の協議会でいろいろ皆さんからの御意見もありますから今後の長い構想復旧については各部門毎に各課長と密な連絡に依って,大臣は津波予防の都市計画をやるべきだという事でありましたから,そういう事も勘案し乍ら当局と一緒に統制のとれた結論を得て進めたいとかように存じます。それから別に協議事項ではありませんが不取敢市長さんに御相談に預りまして死者は3千円,負傷者は1千円議会からは佐々木幸助議員,収入役さんと御見舞して居ります。それから災害者に対する御見舞については未だ御相談をやって居りませんから今後の問題と考えます。それから明日の予定ですが運輸大臣ほか何人かがお出でになります。14時着30分間ここに居られるようで御座います。それから全国災害対策東北班は釜石より飛行機でlO時30分到着,小沢代議士は14時より16時迄視察という日程になって居ります。是について今日と同じように陳情したいと考えますから,この時刻迄に明日は或は災害を蒙って居られるものも御座いますから御都合のよい方は御参集願いたいと存じます。この態勢で陳情したいと思います。全国災害対策東北班は10時30分に来ますから10時迄に御参集を願います。
水野来た時は人がいた方がよいと思いますから来る事にしましよう。
議長大体私から申上げるのはこんなものであります。
水野只今市から死亡者並に負傷者に対して弔慰金並に見舞金を出すという事でありますが,議会の方は教民から誰か出した方がよいと思います。
副議長教民委員長でよいと思います。
今野(政)いろいろの報道に依って皆様卸承知の通りでありますが,自衛隊の御協力に対して議会の立場から感謝の言葉があって然るべきものと存じますが。
議長市長さんと自衛隊や警察方面にいって来ます。
佐藤(菊)現在一番困るのは電話,次は鉄道であります。日本国に全然資材がなくなったかどうかわかりませんが,本部と赤崎の支所との連絡が電話で出来ないという事は誠に遺憾であります。尚赤崎につきましては支部の事務所を契約会館に移す事にきめました。これにやるという事でありましたが,これから来月の半頃でなければ出来ないという事では遺憾であります。何とかこの点を速めて貰いたいと思います。鉄道の関係は,一般交通については自衛隊が道路を片付けて居りますから速やかにパス運行をやるように要請すべきものと思います。鉄道は我々は御客さんでありますから何等の挨拶もないという事は奇怪に考えます。
市長1日か2日に出来るという事であったが電灯と電話の間違であると思います。電話は電報電話局が云われたんで今無線であります。赤崎支所に通ずるとか本部に通ずるというのは無線であります。そこで私共は再三申上げて居りますが,電話局では相当な人を総動員してやっている事には間違いありませんが是は最善を尽している事は認めて居りますが仲々その運びに至っていないようです。原因はあそこをすっかりやられてしまった為ではないかと思います。鉄道の問題は自衛除に要請にしたらどうかという事でありますがそういう意見があれば参って交渉したいと思います。鉄道の問題につぎましては当局は何回も何回も御願い申上げて居るわけであります。高田迄の連絡はバスでやるということですから問題は相当の長時日を要するという事ではないかと思います。明日でも線を通して貰うことは同感でありますが仲々そうはいかないようであります。
佐藤(菊)鉄道の当局にお任せした丈では困難だと思いますから,自衛隊の協力をお願い出来るなら要請して貰いたいと思います。
市長そういう風にします。
佐藤(菊)現在電話はどうですか。
市長現在電話は特別の所丈通じています。
武田赤崎方面は一本も出来ないか。
市長普通のやり方ではなく無線でやって居ります。武田後2・3日で来るという事であれば別だが,相当かかるんだったら自衛隊の協力を得れば簡易に出来る方法はあると思うが。
市長その事を御願いしたが,その技術丈は御断りするという事でありました。
山ロ無線を延ばす事が出来ないかといった処が動かされないという事でありました。誠に不便なものだと思った。
武田今細浦と市外通話が出来ます。
市長特別の処小野田は出来るだろうと思います。
山口小野田は出来ません。期待していたが出来ませんでした。開発の事務所は1本復活したが,赤崎には1本もは入って居りません。警察電話は本署から赤崎の駐在署にいくものば1本あるが,これが出来れば警察電話でも余程助かると思う。
市長当局ばかりでなく議会からも陳情して貰いたいと思う。
石橋直接実現方を明日なり明後日なり鉄道管理局や尚電話の方も盛剛こ行って交渉したらどうですか。
市長昨日局長が参りまして話をしたんですが,みんな県下の人達が来てやって居ります。
山ロ岩手県が全面的に被害を蒙ったんでないから電話がつかないという事はおかしいと思います。
平山(勘)水田の被害は7G町歩とありますが100町歩もあると思う。大船渡地区は工場予定地になって居ります。今迄は冠水があっても時期がくれば作付していたが,今度は臨海工業都市建設の為あれ程の埋立をしたものが土堤が壊われてしまった。その為に道路が各々田に埋ってしまったので今耕作してもものにならないと思う。県が2・3年たっても買収しないものであれば耕作しなければ.ならないが,2・3年のうちに買収するんであれば早く買収して貰った方がよいではないかと思う。一昨日夕方見たんですが5寸位土が全部埋っています。海の土が埋って盛り上っています。是をどうせ県が買収するんであればこの序に地主も投げ捨てているから買収して貰う事をお願いしたいと思います。市長さんが共の交渉に当って戴いたらと思います。
議長早速を要する問題と徐々にやる問題とあるようですからそれらを含めて密な連絡の下に進める事にして今日は是をもちまして。
金野全国災害の例を見ると市が補助出来るものは1カ月位で其後は手をつけられないで放り出されてしまう。現在救済されている人に救済の方針について計画を立てるべぎではないか。全国の例から見て生活保護を受けている人を見ていますとお金をやる場合にその分迄ひかれてしまうという例があります。1人3千円の見舞金を出せば是は引かれてしまうことになりますか是はどうなって居りますか。
市長1カ月で放り出されてしまうという事はありません。規則1.こもなければ明日から放り出していけないという法律はないと思います。本来は最初の形に復旧される事が大切であって,いつ迄も非常状態を続ける事はどちらの為でもないし従ってそれに対してはなるべく自立せしめる方針で一日も早くやって参りたいと思います。只今の問題に対しては生活保護の問題については絶体そういう事のないように何等かの手を打つ必要があるということで福祉事務所に話して居ります。
これは別に考えなければなりません。3千円をとられる事のないようにしたいと思います。
新沼今日は緊急復旧対策について,事業資金,復興資金等についていろいろ見透しがわかりました。是を罹災民が行う事は非常に六ケしいわけであります。是を一般的に徹底される事は,広報車も歩いて居りますがよく解らなかったら課長なりを乗せて1時間留っていまして相談所のようなものをやって徹底させなければならないと思います。
市長あちらの方から来て大体の該当者を来月の2日頃だという事でありますがそれでは遅いという事でありましたが,来月2日頃商工会議所にも協力して貰って集ってやりたいと思います。駐在員も被害者になっているものがありますから仲々連絡が思うようにつきません。
石橋今迄は災害対策を根本としていますが,緊急対策と復興対策をわけて復興対策は復興弓でやるという風に事務的に切り離してやった方がよいではないかと思います。いつ迄も緊急対策ばかりでなく復興局を設けて切り放してやった方がよいではないかと思います。
市長そういう風にしようと思って居ります。
議長是をもちまして本日の協議会を終ります。直ちに議会運営委員会を開きますから委員の方は議員控室に御参集下さい。明日は午前10時からでありますから念の為申上げます。是を以て散会致します。
閉会

第6節県における緊急対策

1災害情報受信状況

1災害情報受信状況
(1)24日前4時50分,宮古消防署より電話
現在第4波津波来襲,目下消防署前まで海水浸水,
被害不明
(2)直ちに総務部長,同次長,土木部長,同次長,同総務課長,道路都市課長,河港課長,厚生部長,同次長,福祉課長,消防課長等へ電話連絡
(3)久慈消防署より
4時30分現在,海水約1皿50減,津波の恐れあり
(4)5時10分県警宿直員より
大槌町長より電話連絡あり,大槌町の4時50分現在の被害
(イ)佳家流失10,(ロ)非住家30,(ハ)床上浸水
1,000,(二)床下浸水1,300
(5)5時15分久慈水産事務所より漁政課長あて
4時30分津波警報発令,小舟流失16
(6)5時20分,盛岡気象台(斎藤より)
4区津波警報発令
この津波は,23日4時15分のチリーの地震によるもので,今日一ぱい続き高いところで3〜4mになる見込み
(7)5時40分下閉伊福祉事務所(千田)より福祉課長あて
下閉伊管内では,山田地区電話不通のため不明,以外人家に被害なし
(8)5時40分,釜石水産事務所(浦川)より
津波あり現在増水中,海岸では2階まで増水,船舶その他流失大なり,各漁業組合との連絡つかず
(9)6時5分東北電力(星合)より
大船渡市役所より電話,市内被害浸水3〜4m,昭和8年以来の被害なり,電力の保安電話以外は不通
(10)6時10分宮古水産事務所(木村)より漁政課長あて
相当被害あり,養殖施設だめ宮古港山田港全滅,船舶に相当の被宮あり現在大型5トン以上沈没15隻位
(ll)6時10分NHK(平野)及び大槌町長より知事あて電話
(罹災戸数2,360,同世帯2,360,同人員13,010)
(全壊戸数世帯10,同人員60)(流失戸数世帯50,人員300)(半壊戸数世帯100,人員550)(床上戸数世帯1,000,人員5,000)(床下戸数世帯1,300,人員7,000)(非住家200)
(12)6時25分野田村役場より
家屋全壊15〜16戸,家屋半壊15〜16戸,船舶流失動力船3隻,無動力船70隻,田畑の被害15町歩,自動車流失1台
(13)6時30分上閉伊福祉事務所より電話
大槌町電話不通,流失家屋2戸,浸水家屋500戸,所長8時の汽車で大槌町へ行く
(14)6時35分大船渡市評価委員(佐藤)より
4時半頃津波あり,昭和8年頃の津波のようです。各所との連絡不通。大船渡,赤崎,末崎の海岸には避難の時間がなく被害大の模様,船舶は高校前まで押し寄せその他の被害不明,自衛除の出動要請
(15)6時45分気象台(斎藤)より
津波状報第1号(6.39発令)
「昨日午前4時15分頃チリーに地震があって,このため太平洋洛岸に津波が起きています。この津波は今日一ぱい続ぎ,大きいところでは4〜5mに達する見込みですから厳重に警戒して下さい」

2.救援組織

自衛除災害派遣状況
5月24日被災各地の情報に基き白衛除の出動を要請することに決定,ただちに知事より陸上自衛除岩手地方連絡部長経由岩手駐とん地司令に対し各被災地に自衛隊派遣方を要請した。
以後の分を含めた出勤状況は次のとおりである。
(イ)大船渡市派遣延人員5,493人応急復旧並に
防疫作業岩手駐とん部隊(予防衛生除を含む)
(ロ)陸前高田市派遣延人員1,625人応急復旧並に
防疫作業岩手駐とん部隊(予防衛生隊を含む)
陸前高田市派遣延人員19,570人防潮堤復旧作
業青森第9混成団
(ハ)大槌町派遣延人員937人応急復旧並に
防疫作業岩手駐とん部隊(予防衛生除を含む)
(二)山田町派遣延人員2,036人応急復旧並に
防疫作業岩手駐とん部隊(予防衛生除を含む)
(ホ)宮古市派遣延人員345人応急復旧並に
防疫作業岩手駐とん部隊(予防衛生隊を含む)
(へ)釜石市派遣延人員250人応急復旧並に
防疫作業岩手駐とす部隊(予防衛生隊を含む)
計30,356人
以上のほか,被災地用支援苗輸送,児童用教科書輸送等のためにも要請した。
陸上公安部部長(県警本部長)
別添「災害警備活動の概況」参照のこと。
陸上運輸部部長(岩手県陸運事務所長)
今回は,分担業務の活動は行わなかった。

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総務厚生部
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消防部
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衛生部
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食糧部
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労務物資部
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土木建築部
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協力部
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海上公安部
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電力部
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鉄道運輸部
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通信部
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海上運輸部
3.災害救助隊の活動状況

1.災害発生時の状況ならびに措置
5月24日午前3時に大槌町に於て消防団員が潮流の激変により津波を予想したのが一番早く,その連絡により昭和8年の津波の経験からして同町に於ては午前3時40分,町長が津波警報を発令している。その他の被害地に於ては大槌町に於て警報を発令した時刻頃に潮流の異常を発見し,午前4時頃に警報を発令している。この時刻は津波第1波が来襲した同時刻で,発見者は消防団員や出漁準備又は帰港の漁船員等である。被害を受けた津波は第2波で,各地とも午前4時20〜30分頃であった模様である。各地とも地震を伴わない津波のため,半信半疑の住民が多かったらしく,又前例経験,予想を超えた津波形態であったため住民の混乱は特に甚だしかったようである。多数の人的被害を受けた大船渡市では,経験等より安全地帯として都市計画により急速に発展した市街地が被害を受けたので移住者等が多く,又津波訓練等にも安全地帯であるとの安易な考えから比較的消極的であり,従って警報も確認出来なかったための結果と見られる。
一般的に今回の津波は湾口より湾奥が被害が大きかった。波高は各地とも第1波が午前4時頃1m〜2m位で大潮程度のものであったらしく,その後直ちに(午前4時ユ0分頃)引潮が5〜6m位あって湾内の海底が露出され続いて第2波が午前4時20分頃5〜6皿位襲来し,引続き第3波が午前4時30分頃4〜5m位となり,順次波高が低くなったから高潮は日間位続いたようである。各地とも潮流の異常ならび第1波による高潮あるいはその後の引潮により,市町村長が警報を出しているが,佳民は前例のない形態の津波を予想出来ず混乱したらしい。その後直ちに各地とも災害救助態勢こ入りはしたが,通信網の途絶のため県本部との連絡に苦慮している。警察電話の利用(陸前高田市)東北電力専用電話(大船渡市)等の協力のもとに連絡に成功しているところもあるが,協力を得られなかった支除(気仙福祉)もあったようである。
これら連絡をとる一方に於ては災害状況の調査に力を注いであることは各地とも同様であるが,被害状況調査は,各部夫々区々に行ったので(釜石市)各部の集計が合わなかったり,被害者が何処へ行ったか判らなくて何辺も出向いたり(大船渡市)して苦労している。
又早くも同日中に臨時議会又は全員協議会を招集し臨時災害費の支出並復旧復興対策の協議を行った町村もあった。
県福祉事務所においては直ちに現地に赴き,現地指揮をなし,各部の活動を円滑ならしめている。
2.災害救助隊各部の活動状況
各部の活動状況はその分担業務を遂行しているところが多いが,電力,陸上,海上,鉄道,運輸,通信部等が名目上の部で,何等災害救助除活動として行動として行動していないところ(下閉伊,福祉)もあるようである。協力を要請しても意の如くならなかったのは通信部(陸前高田市)技術部,経済部(上閉伊福祉)等があったようである。
3.向後における活動上の参考事項
(1)組織機構について
ア.県福祉事務所と市福祉事務所との関係は単なる協力か又は指導的立場で全面協力か。(気仙福祉,上閉伊福祉)また,支除編成上は全然別個のものであるが災害救助法は知事の権限で行うという事を充分市の関係者に認識せしめ県福祉事務所の指示指導に従うようにして欲しい(上閉伊福祉)
イ.活用計画上は各部に分かれているが,衛生部,土木建築部以外は,福祉事務所職員が当ることとなり,電力,陸上,海上,鉄道,運輸,通信部は夫々関係機関が当っており単に名目上の部にすぎない(下閉伊福祉)
ウ.災害発生と同時に通信網が混乱し又は杜絶するので,その確保について事前に検討の上,あらかじめ計画準備をしておく必要がある。(気仙福祉上閉伊福祉,陸前高田市)特に警察無線を有効に利用できるよう措置できないか。(気仙福祉)又機動力を災害発生と同時に配置して欲しい。(上閉伊福祉)
エ.救援物資の調弁は災害実態を把握のうえ県か現地かの何れか一方に於て調弁することが物資配分計画上望ましい(下閉伊福祉)又救助費予算は直接支除に支出委任することにより事務処理に迅速を期することが出来るのではないか(気仙福祉)
オ.重要事項の指示,伝達等の連絡伝達責任者の氏名を明確にし報告すると共に,その者は出来うる限り席をはなれないような組織とすること。(陸前高田市)
カ.罹災者の調査については各部が夫々の立場で調査を行ったが,これが一本化が必要である。(釜石市)
2)その他
ア.系統機関からの警報がなく,住民の混乱を招いたが,やはり警報は系統的機関から速やかに出してもらいたい(釜石市大槌町)
イ.警報伝達方法について再検討を要すると共に,住民への周知徹底を図ることが必要である(大船渡市)
ウ.法の内容を知らしめ,或は再確認の意味で年1回は必ず災害救助事務担当者を招集して事務打合をして欲しい(陸前高田市)

4.災害応急救助実施状況
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救助の実施に要した経費算出内訳
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1.収容施設の供与(1)避難所
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1.収容施設の供与(2)応急仮設住宅
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2.炊出しその他による食品の給与及び飲料水の供給(1)炊出しその他による食品の給与
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3.被服寝具その他生活必需品の給与
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4.医療及び助産(1)医療
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5.住宅の応急修理
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6.生業資金の貸与
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7.学用品の給与(1)学用品
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7.学用品の給与(2)教科書
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8.死体の捜索(1)捜索用機械器具借上
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8.死体の捜索(2)捜索用機械器具燃料費
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9.埋葬
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10.輸送費
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11.人夫賃
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義損金品受付並びに配分状況
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義損金品受付並びに配分状況
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義損金品受付並びに配分状況
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義損金品受付並びに配分状況
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被服寝具受入配分状況
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教科書学用品等配入状況
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自衛隊災害派遺状況
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自衛隊派遣一覧表
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対策本部業務日誌抜萃(大船渡市関係)
5.災害応急対策進捗概況(その1)
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災害応急対策進捗概況の(一)-1
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災害応急対策進捗概況の(一)-2
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災害応急対策進捗概況の(一)-3
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災害応急対策進捗概況の(一)-4
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災害応急対策進捗概況の(一)-5
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災害応急対策進捗概況の(一)-6
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災害応急対策進捗概況の(一)-7
6.災害応急対策進捗概況(その二)
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6.災害応急対策進捗概況-1
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6.災害応急対策進捗概況-2
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6.災害応急対策進捗概況-3
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6.災害応急対策進捗概況-4
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6.災害応急対策進捗概況-5
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6.災害応急対策進捗概況-6
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6.災害応急対策進捗概況-7
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6.災害応急対策進捗概況-8
7.県議会議事録(第1号)

昭和35年5月30日(月曜日)
議事日程第1号
昭和35年5月31日月曜日午後1時開議
第1会議録署名議員決定の件
第2会期決定の件
第3議案第1号財政再建計画の変更に関し議決を求めることについて
第4議案第2号昭和85年度岩手県歳入歳出追加予算
第5議案第3号県立水産高等学校共同実習船兼指導
船岩手丸の売却及び建造工事の請負
契約の締結に関し承認を求めることについて
第6請願陳情
第7委員会の閉会中の継続審査等の件
第8発議案第1号津波による災害復旧対策について
本日の会議に付した事件
1日程第1会議録署名議員決定の件
2日程第2会期決定の件
3日程第3議案第1号から日程第6講願陳情まで
4日程第7委員会の閉会中の継続審査等の件
5日程第8発議案第1号
出席議員(50名)
1番菅原久七郎君8番清水善五郎君
4番福田嘉一郎君5番小野寺十治君
6番山崎権三君7番小野田太作君
8番藤村久喜君9番新里善治君
10番菊池隆一君11番畠益三君
13番米谷貫二君14番白木沢純三君
15番鈴木八五平君16番下林孫市君
17番佐藤亦助君18番八重樫圭助君
19番千葉一君20番小泉一郎君
21番遠藤保雄君22番長尾仁平君
23番梅津松夫君24番五枚橋忠一君
25番山本徳太郎君26番高橋久次郎君
27番香川嘉太郎君28番栗沢勇治君
29番佐藤菊蔵君30番大島常次郎君
31番佐川広君32番石川勘吉君
33番帷子康三君34番佐々木一郎君
35番岩持静麻君36番加藤勝夫君
37番千葉胤次君38番藤島弥助君
39番佐藤秀一君40番小保内岩吉君
41番太田五郎助君42番金子太右衛門君
43番後藤力君44番千葉良治君
45番横沢栄四郎君46番佐々木一夫君
47番岩城惣一郎君48番小原正巳君
49番斎藤光市君50番横田チヱ君
51番伊藤久雄君52番菊池伝助君
欠席議員(2名)
2番佐々木又次郎君12番高橋清孝君
説明のため出席した者
知事阿部千一君副知事小川秀五郎君
出納長高橋熊五郎君総務部長吉岡誠君
厚生長玉村孝三君商工水産労働部長柏木宏二君
農林部長石田晋君土木部長柿菊市君
総合開発局長佐々木軍四郎君総務部次長中村直君
庶務課長杉山春男君教育長赤堀正雄君
警察本部長後藤信義君
職務のため議場に出席した事務局職員
事務局長堀合吉郎
書記(議事課長)駒ケ嶺四郎
書記(議事課長補佐兼議事係長)田中重喜
書記(総務委員会担当)川村弘
書記(教育厚生委員会担当)工藤新一
書記(商工水産労働委員会担当)高橋忠
書記(農林委員会担当)豊川直
書記(記録係長)佐々木信一
書記(技師)隅田ヨシ
(主事補)三浦清巳
午後1時19分開会・開議
(丸)議長(山崎権三君)これより第7回県議会臨時会を開会いたします。本日の会議を開きます。
被災地に議会代表を派遣したことについて報告
(丸)議長(山崎権三君)今回の津波の被害はまことに甚大であり被災者に対しては心から御見舞申し上げます。
これが復旧対策については挙県一致で当たり復旧の1日も早いように努力しなければならないと存じます。去る24日災害発生と同時に各派協議の趣旨をもって議会運営委員と市内在佳の議員等に急遽御連絡申し上げ,午前10時に御参集を願って対策を協議の結果,とりあえず災害実態調査と慰問激励のため現地におもむくことを決定し,大船渡,釜石,宮古,久慈の各方面へ4班編成して当職10外人が直ちに出動してなまなましい被災地の実態調査と要望を聴取して参ったのでありますが,現地に参りました諸君からは委員会の際に報告がありますので,御了承願います。
(丸)議長(山崎権三君)この際今次災害の痛ましい犠牲者に対し黙祷をささげたいと存じますので,御起立を願います。黙祷。
〔各員起立黙祷〕
(丸)議長(山崎権三君)御着席を願います。
知事あいさつ
(丸)議長(山崎権三君)知事から発言を求められておりますので発言を許します。阿部知事。
〔知事阿部千一君登壇〕
(丸)知事(阿部千一君)去る24日早朝突如として太平洋岸に津波の来襲がありました。本県三陸沿岸におきましても一瞬にして交通,通信ともに途絶し,人畜を初め佳宅,水産施設,店舖,水田,道路,港湾,鉄道,電話等各般にわたりまして甚大な被害をこうむるに至りましたことはまことに遺憾に存ずるところでございます。これは本県津波史上忘れることのできない昭和8年3月の三陸大津波を上回るとも劣らないを大災害沿岸地方特に宮古以南地域にもたらしたものでございます。しかもこの被害につきましては,その筋の発表によりますれば,その原因が遠く南米チリ沖に発生した大地震によるものであったのでございます。従って当地方においてはもちろん地震もなく,従来の常識からすれば津波の来襲など全く夢想だもできない状況のもとに発生した災害でありますので,また昭和8年3月の大津波に際しまして被害激甚をきわめた地域におぎましては今回は被害は比較的軽微であり,その反面前回ほとんど被害を見なかった地区において目をおうような惨害をこうむるに至った次第でございまして,その理由の中には過去における被災地におきましては平素津波に対する態勢ができておること,また海岸保全施設等におきましてもある程度の整備がなされていたことなどももちろんあるのでありましようが,何より大きな原因は波の性質がその周期といい,また圧力といい従来のものとはなはだしく違っていたと言われておるのでありまして,そういう点が前例によって判断できない被害の様相を呈するに至らしめた最も大きな原因ではないかとさように考えられる節もあるのでございます。
以上のような概況でありましたが,その後判明したところによりますと,この被害総金額はついに98億3百万に達し,全壊,流失,半壊等住居の被害が甚大でありましたこと,また道路におきましてはその流失,欠壊等に加えまして倒壊家屋の破損材,丸太等の浮流物が道路上に無数に堆積しておりまして,そのためにははなはだしい交通の障害となったこと,また田植え直前の苗しろが全滅状態になったこと,植付準備中の水田には塩水が流入または冠水しまして除塩作業に今後莫大な労費を要すること,また田畑ともその作付には時期的に一刻も猶予ができないときでもありますこと,また目下カキ養殖施設の仕込み中であり,種ガキめ確保難にあわせて当面の施策に万全を期さなければならないということが累積しております。また商工関係におきましても店舖,在庫の商品,あるいは製造加工品などの被害が莫大な額に上り,その他林業,畜産:教育,電話,鉄道等の諸施設,設備の甚大なる被害を見るに至りましたことはまことに遺憾しごくに存ずるのでございます。さらに痛恨にたえないことは死者55名を数えるに至りましたことでございまして,この痛ましくも水魔の犠姓になられました方々に対しましては深く弔意を表し御冥福を祈るものでございます。
県は被害激甚な大船渡市,陸前高田市,宮古市,釜石市,大槌町,山田町の4市2二町に対しまして直ちに災害救助法の適用を決定告示いたしまして,物資の調達,輸送に全力をあげた特第でございます。また緊急庁議の決定に基づきまして,被害状況の把握と出先機関及び市町村に対する指導協力の万全を期するために県内四方面に対して直ちに総合指導班を派遣した次第でございます。さらに自衛隊の緊急出動を要請いたしました結果岩手駐屯部除,仙台の船岡建設大隊,青森の衛生中除等から総数947名に及ぶ隊員の派遣を得まして,道路の清掃作業や応急復旧工事または防疫活動等にそれぞれ目ざましい御活動を続けていただいたのでございます。なおまた日本赤十字社,CAC,自衛隊等からの協力によりまして食糧,衣料等の救援物質を時期を失せず刻々現地に輸送することができましたことは不幸中の幸いであったと,それぞれの各方面のあたたかい御協力に対しましてただただ感激いたしておる次第でございます。以上のようにただいままでのところは市町村その他の関係機関の適切なる御措置と罹災地方の方々の涙ぐましい御努力とによりまして日1日と交通の状態も回復し安定と希望を取り戻しつつありますが,何分にもこの被害は甚大でありかつまた広範でもありますので,県や財政力その他いろいろと制約の多い関係市町村だけの力ではとうてい施策の万全徹底を期しがたいことは明らかなところでございますので,政府に対して強力な救援施策を要請する必要に迫まられ,またその内容の大部分は補助融資等について特別の立法措置に待たなければならないものでありまするので,ここに挙県一致応急,恒久両面にわたる対策に遺憾なきを期するために急遽,臨時県議会の開会をお願いいたした次第でございます。従って議案の内容も災害救助法に基づく救助費を中心とし,それに農林,水産,商工各分野にわたりまして各団体の積極的活動を助長しもって生産の再開と罹災民の生活の安定等に資せしめることに努めまして,つなぎ資金として関係機関に県の歳計金1億4千万円を預託することなど,当面緊急のものを計上いたした次第でございます。何とぞ慎重御審議を賜わりましてこの臨時県議会に寄せられる被災地の方々は申すに及ばず,広く一般県民の方々の御期待に浩い得るよう特にお願い申し上げまして,ごあいさつといたしたいと存じます。
なお被害の状況につきましては副知事以下から後刻詳細に報告いたさせますので,それに基づき御審議をお願いいたしたいと存ずる次第でございます。御了承のほどお願いいたします。(拍手)
災害報告
○議長(山崎権三君)次に津波による災害状況並びにこれに対する現在までとって来た復旧対策等について県当局より発言を求められておりますので,発言を許します。小川災害対策本部長。
〔災害対策本部長小川秀五郎君登壇〕
○災害対策本部長(小川秀五郎君)今度の津波の被害状況につきまして,私から御報告を申し上げます。
まず概況でございますが,今回の津波は南米チリ沖に発生した大地震に基づくものとされておりまして,チリ沖で地震がありましてから24時間足らずで本邦東海岸に到着し,三陸港岸にものすごい被害を与えるに至りましたとはこ従来の例になかつたことでございます。従って本県におきましては,洛岸内陸部を問わず,津波の襲来を前にした,ちようど昭和8年3月の大津波のときのような地震は全然感じなかったのであり,また津波警報も第1波襲来後に発せられている状況であります。ただ襲来時刻が朝時半前後でありましてすでに夜が明けておりましたこと,その際潮位の異常に気がついて自主的に混乱なしに待避行動ができた地区が多かったようでございます。また今度の津波はその様相が従前のものと著しく違っておったことにつきましては,すでに知事が申し述べた通りでございます。
その津波の結果,総罹災世帯数におきまして6,832世帯,罹災者の総数は35,279人,死者55人,行方不明6人,負傷者307人を出すに至りました。また物的被害の総金額は98億余円に達したのでございます。この内訳は全壊,流失,半壊等の住家,非住家の建物等の被害が27億2,900余万円,河川,海岸,道路,橋梁,港湾等の土木被害が9億1千余万円,農地,農業用施設,その他農:林畜産関係が9億2千余万円,漁港,養殖施設,漁船,漁具,生産物その他の水産裁害が21億余万円,商工鉱業等の被害は28億4千余万円,そのほか教育施設関係,公用及び公共施設関係,公営企業等施設関係等合わせまして総額98億余万円と相なったわけでございまして,この内訳の洋細はお手元に御配布いたしております資料に記載されてありますので省略さしていただきます。以上の被害は今までに判明いたしましたものでございます。
ただいま申し上げましたような各般にわたりまして甚大な被害をこうむりましたので,被災者の方々にはもとより,被災地市町村及び同議会,消防団初め各種団体等の方々の御心労,御労苦に対しましては衷心から御同情申し上げる衣第でございます。
県は災害発生の通報に接し事態の容易ならざるを察知しまして,当日午前6時に災害救助法に基づく災害救助除本部を厚生部長室に設けまして,小職本部長として対策に当った次第であります。また先刻知事からもあいさつがありましたように,緊急部長会議の決定に基づきまして沿岸四方面に対し総合指導班の編成派遣を決定し,9時半前後にジープに分乗させ出発せしめた次第でございます。
さらに被害状況の把握に努めた結果被害激甚な大船渡市,陸前高田市,釜石市,宮古市及び大槌町,山田町の4市2町に対し,午前ll時30分災害救助法の適用を決定告示いたしました。災害市町村におきましては,それぞれ避難所を設置し罹災者の収容こ努め,たき出し及び各種物資の配給,防疫,衛生等に万全の努力をいたしておる次第でございます。特に伝染病対策につきましては,県は衛生課長外係員を現地に滞在させて遺憾なきを期しておる次第でございます。
一方被害地区よりの要望もあり,知事より自衛隊の災害出動を要請いたしましたところ,先刻知事から申し上げましたような迅速な御協力を得られ,被害地の通信,交通の確保,応急復旧工事等に絶大なる威力を発揮していただいておるところであります。
また救援物資等の調達,輸送,配分等につきましても,万遺憾なきを期しておる次第でございますが,目下応急仮設住宅の建設について極力取り進めておる最中であります。
また医療救護につぎましては,災害発生と同時に救護の派遣について県医療局,日赤県支部及び国立盛岡療養所に対し要請の結果,14班,人員70名の医療救護班を被災各地に派遣することができた次第でございます。
なお県は自衛隊のヘリコプター2台を借り入れ,25日午前中,小職,衛生課長,農蚕課長補佐外写真班1名の一行が宮古市,以南陵前高田市に至る一帯を視察し,総務部長,世話課長,農蚕課長補佐,写真班1名の一行が宮古市,山田町を含む以北の沿岸一帯を空から視察したのでありますが,各種手段を通じて状況の把握に努め,県下の被害状況を相当詳細に把握することができましたので,直ちにこれを印刷し26日付をもちまして知事,議長連名の陳情書を作成し,とりあえず中央関係省庁及び公庫,公団等に配布,第1回の陳情を行ない,事態の容易ならざることを強調し,善処を要請して参った次第でございますが,さらにその後判明いたして参ります被害状況を加えまして内容を補正し,陳情事項も応急,恒久対策全般にわたり,伊勢湾台風に際してとられた国庫負担等の特例に準じた特別立法を要請するもの,右以外でもこの際立法措置を要するもの,予算措置または政府の方針決定により可能なもの等に分類整備し,被害の写真と被害地略図を入れて再度印刷いたしましたものをお手元に御配布申し上げておりますが,今後の陳情等につきましては,この被害状況の陳情書等をもちまして県議会の皆様のお力をもお借りいたしまして,あるいは協力して陳情事項の早期実現がはかられますよう配慮して参りたいと存じておる次第でございます。
以上被害状況とあわせてこれに対処して参りました緊急措置の概要につきまして御報告を申し上げた次第でございますが,何分よろしくお願いを申し上げます。
諸般の報告
○議長(山崎権三君)日程に入るに先だち諸般の報告をいたします。知事から議案等の送付がありますので,職員をして朗読いたさせます。
〔職員朗読〕
35庶第231号
昭和35年5月29日
岩手県知事阿部千一
岩手県議会議長山崎権三殿.
議案の送付について
5月30日招集の岩手県議会臨時会に提案する次の議案のほか予算説明書を別冊のとおり送付する。
議案第1号財政最建計画の変更に関し議決を求めることについて
議案第2号昭和35年度岩手県歳入歳出追加予算
議案第3号県立水産高等学校共同実習船兼指導船岩手丸の売却及び建造工事の請負契約の締結に
関し承認を求めることについて
〔別冊議案は会議録末尾に登載〕
〔別冊予算説明書は登載省略〕
○議長(山崎権三君)ただいま朗読いたしました議案等はそれぞれお手元に配布してありますので,御了承を願います。
次に発議案一件提出になっておりますので,職員をして則読いたさせます。
〔職員朗読〕
発議案第1号
津波による被害復旧対策について
右の意見(請願)書案を別紙のとおり会議規則第条の規定により提出します。
昭和和35年5月30日
提出者議員米谷貫二
賛成者議員小野寺十治
外10人
岩手県議会議長山崎権三殿
〔参照〕
津波による災害復旧対策について速急に万全の措置を講ぜられたい。
理由
南米チリの大地震に起因する今次24日早朝,太平洋を襲った津波被害の激甚を極めた本県は,平素の津波避難訓練にかかわらず,死亡・行方不明61人の犠姓者を出し,建物の被災6,700戸,罹災世帯6,800世帯,罹災者数35,300人を算し,船舶,漁具,定置網,かき等の水産養殖施設,更に港湾,道路橋梁,鉄道,通信等の公共施設,耕地等の流失欠壊等による被害総額98億円を超える大惨害を蒙り,人心ば極度に動揺し,被災住民の救護と復旧事業の実施は,民生安定上刻下の急務である。もとより被災地関係市町村はいうまでもなく,県は挙げて関係機関の協力をも得て,災害救助法を発動し,応急の措置に最善の努力を傾注しているのであるが,被害が広範にして甚大なるに鑑み,県のみの力をもってしては到底,これが対策の万全は期せられないので,政府並びに国会におかれては,各種施設復旧等に対する国庫負担,地方債,被災者等に対する資金融通と利子補給等についての特例措置について,特別措置法を制定するほか,特別措置法の制定をまたず,直ちに実施されたいこととして
1災害査定の緊急施行,施行年度率の引き上げ,関連事業の拡大,通信交通施設の早期回復等公共施設の復
旧整備を図り
2住宅復旧資金を初めとする各種資金の枠の拡大と手続きの簡素化,租税の減免と徴収猶予,国有林の払下げ等被災農林水産業者及び中小企業者,組合等への救済措置を図り,更に,
3公共事業資地方負担分及び単独事業資に対する全額起債充当,特別交付税の増額,交付つなぎ融資等地方財源措置を図る。
等の応急措置と,将来再び災害を繰り返すことのないような恒久対策について,速急にこれが方途を講ぜられるよう臨時県議会の決議により強く要望する。
右地方自治法第条第項の規定により意見書を提出する。
昭和35年5月31日
盛岡市内丸1番地
岩手県議会議長山崎権三
内閣総理大臣
農林大臣
通商産業大臣
建設大臣
厚生大臣
文部大臣殿
運輸大臣
大蔵大臣
自治庁長官
衆議院議長
参議院議長
○議長(山崎権三君)ただいま朗読いたしました発議案はお手元に配布してありますので御了承願います。
次に津波による災害復旧対策に関する請願,陳情9件を受理いたしましたので,請願,陳情,文書表をお手元に配布してあります。なお今後受理する同趣旨のものにつぎましては文書表をもって御通知いたしますので御了承願います。
〔請願陳情文書表は付録の議決目録参照〕
日程第1会議録署名議員決定の件
○議長(山崎権三君)これより本日の議事日程に入ります。
日程第1,会議録署名議員決定の件を議題といたします。
おはかりいたします。会議録署名議員は,先例により当職から指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山崎権三君)御異議なしと認め,畠益三君,米谷貫二君,小原正巳君,菊池伝助君を指名いたします。以上指名の通り決定することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山崎権三君)御異議なしと認めます。よって署名議員はさよう決定いたしました。
日程第2会期決定の件
○議長(山崎権三君)次に日程第2,会期決定の件を議題といたします。
おはかりいたします。今期臨時会の会期は,本日1日間といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山崎権三君)御異議なしと認めます。よって会期は1日間と決定いたしました。
日程第3議案第1号財政再建計画の変更に関し議決を求めることについてから日程第6請願,陳情まで
○議長(山崎権三君)この際日程第3,議案第1号から日程第6請願,陳情までを一括議題といたします。
提出者の説明を求めます。吉岡総務部長。
〔総務部長吉岡誠君登壇〕
○総務部長(吉岡誠君〉提案いたしました各案件について御説明申し上げます。
議案の第1号は,過般の津波に際しての災害救助,伝染病予防及び諸般の応急対策の緊急施行に伴いまして昭和35年度分の財政再建計画額を変更するものでありまして,既計画に対しまして総額において2億4千300万円を増額しようとするものでございます。
議案の第2号は,昭和35年度一般会計の追加予算でありますが,これは議案第1号で申し上げました内容を持つ予算の追加でありまして災害救助,伝染病予防,道路橋梁等の応急工事,耕地の応急工事,農作物の種苗確保,農漁家及び商工業者のための緊急金融対策を主といたしまして,総額で2億4千2百53万2千2百円の増額であります。計上したおもなものを申し上げます。災害救助費5千5百80万円,河川等災害復旧事業費千6百万円,県単災害復旧事業費4百50万円,道路橋梁等災害応急対策費70万円,産業教育施設復旧費2百万円,伝染病予防対策費60万円,農作物種苗対策費補助2百万円,農地及び農業用施設復旧費補助千百10万円,災害応急農業金融準備積立金2千万円,災害応急中小企業金融準備積立金4千万円,災害応急漁業協同組合金融準備積立金8千万円等であります。一般財源の所要額は5千2百13万5千9百円でありまして,これには予算繰越に.伴う未収特定財源である支国庫出金及び起債の収入を充てるものであります。
議案の第3号は,先般の臨時県議会で議決をいただきました予算及び予算外義務負担の変更に基づきまして水産高等学校共同実習船兼指導船岩手丸の代船建造に緊急着手する必要があり,売却及び建造工事の請負契約を締結いたしましたので,議会の承認をお願いするものであります。
何とぞ御審議をいただきまして御賛成をいただきたいと思います。
○議長(山崎権三君)これより質疑に入るのでありますが,ただいまのところ通告はありません。質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山崎権三君)質疑なしと認め,質疑を終結いた
します。
ただいま議題となっております案件中,議案第3号は商工水産労働委員会に付託いたします。
次におはかりいたします。議案第1号及び議案第2号並びに災害復旧対策に関する請願,陳情については,51人の委員をもって構成する災害対策特別委員会を設置し,これに付託の上審査することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山崎権三君)御異議なしと認めます。よって議案第1号及び議案第2号並びに災害復旧対策に関する請願,陳情については,51人の委員をもって構成する災害対策特別委員会を設置し、これに付託の上審査することに決定いたしました。
おはかりいたします。ただいま設置されました災害対策特別委員会の委員の選任については,委員会条例第5条第1項の規定により議長を除く全議員を指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山崎権三君)御異議なしと認めます。よってただいま指名いたしました通り災害対策特別委員に選任することに決定いたしました。
災害対策特別委員会は,正副委員長互選のため本日直ちに当議場にこれを招集いたします。あらためて招集状を差し上げませんので御了承願います。
○議長(山崎権三君)本日の会議時間は議事の都合によりあらかじめこれを延長いたします。
○議長(山崎権三君)委員会審査のため暫時休憩いたします。
午後1時53分休憩
出席議員(47名)
1番菅原久七郎君3番清水善五郎君
4番福田嘉一郎君5番小野田十治君
6番山崎権三君8番藤村久喜君
9番新里善治君10番菊池隆一君
ll番畠益三君12番高橋清孝君
13番米谷貫二君14番白木沢純三君
15番鈴木八五平君16番下林孫市君
18番八重樫圭助君19番千葉一君
20番小泉一郎君21番遠藤保雄君
22番長尾仁平君23番梅津松夫君
24番五枚橋忠一君25番山本徴太郎君
26番高橋久次郎君27番香川嘉太郎君
28番栗沢勇治君番29番佐藤菊蔵君
30番大島常衣郎君31番佐川広君
32番石川勘吉君33番帷子康三君
35番岩持静麻君37番千葉胤次君
38番藤島弥助君39番佐藤秀一君
40番小保内岩吉君41番太田五郎助君
42番金子太右衛門君43番後藤力君
44番千葉良治君45番横沢栄四郎君
46番佐々木一夫君47番岩城惣一郎君
48番小原正巳君49番斎藤光市君
50番横田チヱ君51番伊藤久雄君
52番菊池伝助君
欠席議員(5名)
2番佐々木又次郎君7番小野田太作君
17番佐藤亦助君34番佐々木一郎君
36番加藤勝夫君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
事務局長堀合吉郎
書記(議事課長)駒ケ嶺四郎
書記(議事課長補佐兼議事係長)田中重喜
書記(総務委員会担当)川村弘
書記(教育厚生委員会担当)工藤新一
書記(商工水産労働委員会担当)高橋忠
書記(農林委員会担当)豊川直
書記(土木委員会担当)長田光男
書記(技師)隅田ヨシ
(主事補)三浦清巳
午後4時11分再開
○議長(山崎権三君)休憩前に引き続き会議を開きます。
諸般の報告
○議長(山崎権三君)先ほどの本会議において設置いたしました災害対策特別委員長から委員長に白木沢純三君,副委員長に岩城惣一郎君がそれぞれ選任された旨報告がありました。
ただいま各委員長からそれぞれ審査報告書並びに災害対策特別委員長から継続審査等の申出書が提出になっておりますが,後刻詳細に報告を求めますので朗読を省略いたします。
〔審査報告書は付録の議決目録参照〕
○議長(山崎権三君)この際先ほど議題となっております各案件に関し委員長の報告を求めます。山本商工水産労働委員長。
〔商工水産労働委員長山本徳太郎君登壇〕(拍手)。
○商工水産労働委員長(山本徳太郎君)本日の本会議において当商工水産労働委員会に付託になりました議案第3号県水産高等学校共同実習船兼指導船岩手丸の売却及び建造工事の請負契約の締結に関し承認を求めることについてを慎重審査いたしました結果を御報告申し上げます。
本案は去る5月工9日の臨時議会において議決されました岩手丸の代船建造に要する財源及び経費の変更に伴いまして,今回同船の売却及び建造工事の請負契約を山西造船鉄工所と契約いたしたものでありまして,異議なく原案を承認することに決定いたしました。
以上はなはだ簡単でありますが,御報告を終わります。(拍手)
○議長(山崎権三君)次に白木沢災害対策特別姿員長。
〔災害対策特別姿員長白木沢純三君登壇〕(拍手)
○災害対策特別委員長(白木沢純三君)本日の本会議において今次津波災害に関係ある議案並びに請願陳情を審査するため設置された災害対策特別委員会は,本会議休憩とともに直ちに本議場で委員会を開き,正,副委員長の互選を行なった結果,委員長には不肖白木沢が,副委員長には岩城惣一郎君が互選されましたので,私から委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げたいと存じます。
まず議会から24日罹災地の見舞と状況調査のため急遽派遣された班の代表の方々からなまなましい現地の実態と切々たる罹災地の要望等の報告を聞いたのでありますが,罹災地の方々には衷心より御同情申し上げる次第でございます。
次いで直ちに付託案件の審査を行なったのであります。議案第1号財政再建計画の変更に関し議決を求めることについて,議案第2号昭和35年度岩手県歳入歳出追加予算について県当局から詳細なる説明を求めたのであります。今次津波による災害は世帯数において昭和8年のそれを上回る規模であり,従いましてこれが災害復旧のための応急措置及び恒久対策はその多くを国の措置に待たなければならないのでありますが,このたびの予算措置は国の措置方針がいまだ明示されない現段階においても県として当面緊急措置を要するべき漁業老,商工業者等に融資のため系統金融機関に対する預託金,その他警察,土木,教育,衛生,耕地等関係の応急対策費及び災害救助法に基づく救助費等について可能なる範囲において所要の予算措置を講じたもので,一般財源については予算繰り越しに伴う未収の国庫支出金及び起債をもって充当しております。
すなわち議案第1号はこれら予算措置に伴い財政再建計画を変更しようとするものであり,議案第2号はこれが追加予算であります。この審査に当たっては委員各位から1日も早く罹災災地の復興を祈念するとともに今後の予防対策等に関する活発なる発言があったのでありますが,その内容の詳細につきましては全議員各位が本委員会の委員でありますので省略さしていただきたいと思いますが,議案第1号及び議案第2号については,いずれも全員異議なく原案を可とすることに決定いたした次第であります。
次に請願,陳情について申し上げます。受理番号1,5月24日来襲のチリ津波による被害対策方について陳情,受理番号2,昭和35年5月24日津波災害復旧方について陳情,受理番号3,5,月24日の大津波による災害被害漁業者に繋資金の融資方について請願,受理番号4,津波による被害をうけた大船渡市に対し強力なる救助復興対策方について陳情,受理番号5,チリ地震津波による災害復旧援助方について請願,受理番号6,チリ沖地震津波の救援と復旧方について陳情,受理番一号7,チリ地震津波による災害対策について陳情,受理番号8,チリ地震津波による災害対策について陳情,受理番号9,チリ地震津波災害について陳情,以上9件の請願,陳情はいずれもすみやかに災害の復旧をはかるに必要なる措置を要望しているものでありまして,いずれも県当局に善処方を要望することとして採択いたしました。
なお今次災害による被害の規模と緊急復旧措置を要する実態にもかんがみまして,今後復旧対策に関する調査等並びに請願,陳情の審査等があると思われますので,このことにつきましては閉会中もなお継続することを議長に申し出ております。
以上をもって報告を終わります。(拍手)
○議長(山崎権三君)これよりただいまの委員長報告に対する質疑に入るのでありますが,ただいまのところ通告はありません。質疑ありませんか。
○24番(五枚橋忠一君)商水労委員長の報告に関連して総務部長でもよろしいし,商水労部長でもよろしいんですが,わからないのでお伺いいたします。
議決された予算が1億余万円,今度契約額が5千5百万円,それで契約書を見ると船が完成して正式に引き渡す,そのときが1億のうちの5千万円でございますから,あとの5千万円はおそらく船体以外だろう。
船体以外のものに対しましては発注はいろいろなことでしようが,そういう場合ですね,たとえば前の岩手丸の損傷の原因は電しよくであろうということでございます。そうすると電波を発する,送電するということが相変わらず行なわれるということでございまして,そういう施設,船体に対する責任はどこが持って契約されたのか。船体は船体,電気施設は電気施設だ,あるいはエソジンはエソジンだということで,総合して損傷は船体と電気設備とが一緒になって事故を起こしたという経過がございますので,その責任は総合的にどこで負うのか,どういう形で契約されたか。
〔総務部長吉岡誠君登壇〕
○総務部長(吉岡誠君)この契約の仕方はたとえば機関の部分については新潟鉄工で作ってもらう。あとの部分については他のところで作ることを請け負ってもらっておるのでありますが,このでき艤ました機関とか機敏を据え付ける総体的な,いわゆる礒装をやりましたことについては山西造船に責任を持ってもらうことになります。それから旧岩手丸を作りました場合には,そこまで非常に配慮されておらなかったようでありますが,今度の場合には船底に電しよくを避ける装置をすることになっております。
それから御質問の総括的にどこが責任を負うのかということになりますと,作りました機械そのものについては請け負いをしたそれぞれのメーカーが責任を持つのでありますが,装置をして船として完成してくるということについては山西造船が責任を持つことになります。
○24番(五枚橋忠一君)建造に使います資材ですね。鋼板と言いますか鉄板と言いますか,前の岩手丸の場合どっか局部に猛烈に品質の異なった部分があったと推定されるような形において事故が起きているということなそうでございます,専門家から聞くと。それ以外にそういう事故が起こり得ないということだそうであります。そういたしますと,今度使います資材についても相当厳重に船板を検査と申しますか,科学的な検査と申しますか,そういう必要が猛烈にあるのだろうと思うんですが,その点についてはどういう形で話し合いされたのか。
〔商工水産労働部長柏木宏二君登壇〕
○商工水産労働部長(柏木宏二君)新岩手丸の電しよく防止1.こついてどういうふうなことを考えているのかという御質問でありますが,ただいま総務部長からお答えいたしましたように,従来の船舶では電しよく防止のために亜鉛鉄板を十分に張りめぐらすということだけでやっておったのでございます。しかし最近の船におきましては先般の議会でも申し上げましたように,電気の使用量が非常に多いというような関係で電しよくを防止するために全部水セメントを船底に充填するという要領になっておりますので,今度新たに作ります岩手丸につきましても,その面は水セメントを充愼するということにいたしております。
なお使用いたします鋼材等の材質につきましては規格があるようでございますけれども,KS型とかいう最高の鋼材を使用するというふうな話し合いをして参っておるところでございます。
○議長(山崎権三君)これをもって委員長報告に対する質疑を終結いたします。
これより討論に入るのでありますが,ただいまのところ通告がありません。討論ありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山崎権三君)討論なしと認め,討論を終結いたします。
これより採決いたします。議案第1号から議案第3号まで並びに請願,陳情は,委員長の報告の通り決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(山崎権三君)全員であります。よって各案件は委員長の報告通り決定いたしました。
日程第7委員会の閉会中の継続審査等の件
○議長(山崎権三君)次に日程第7,委員会の閉会中の継続審査等の件を議題といたします。
お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査等の件につきましては,先ほど災害対策特別委員長報告の中にありました通り申し出がありましたが,委員長報告の通り閉会中継続することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山崎権三君)御異議なしと認めます。よって本件は委員長から申し出の通り閉会中継続することに決定いたしました。
日程第8発議案第1号津波による災害復旧対策について
○議長(山崎権三君)次に日程8,第発議案第1号津波による災害復旧対策についてを議題といたします。お諮りいたします。ただいま議題となっております発議案は各派共同提案でありますので,会議規則第34条第3項の規定及び先例により議事の順序を省略し直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山崎権三君)御異議なしと認めます。よってこれより採決いたします。
発議案第1号は原案の通り決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(山崎権三君)起立全員であります。よって発議案第1号は原案の通り可決されました。
○議長(山崎権三君)鈴木八五平君から発言を求められておりますので,この際これを許します。鈴木八五平君。
〔番鈴木八五平君登壇〕(拍手)
○l5番(鈴木八五平君)はなはだ僣越ではございますが,罹災地関係議員を代表いたしまして一言謝辞を申し述べたいと思うわけでございます。
今次の災害に当たりましては,まず県当局こおきましては災害当日早朝急遽副知事以下関係部課長が到着されまして,直ちに適宜な御措置をとっていただいた次第でございます。すなわち先ほど御報告がありましたように,総合指導調査班を編成いたされまして,直ちに現地に派遣をいたし,それぞれ被害の実態の把握と調査並びに緊急な措置につぎまして万全の御努力をいただいた次第でございまして,この措置に対して罹災民は深く感謝をいたしておるのでございます。さらにまた一部通信の不可能な地域がありましたが,非常に実態の調査いわゆる災害の調査が困難であったにもかかわらず,県当局は日夜を分かたず努力をいたされまして,26日にこれらの調査がほぼ完了し,直ちに災害本部長小川副知事が上京をいたされまして,一応の措置をいたした経過がございますし,また本日急遽臨時県議会を招集いたされまして当面の措置について県議会におはかりをいただきました等々,私はこの県当局のとられましたこのたびの措置に対しまして深甚なる敬意を表してやまない次第でございます。
さらにまた県議会におきましても当日直ちに議会運営委員会を御招集いただきまして,これまた早速現地に調査慰問班を御派遣下されましてなまなましい実情を御調査賜わりましたことは,これひとえに皆様の適宜なるいわゆる御措置であると存じまして,深くお礼を申し上げる次第でございます。
なお本日の臨時県議会におきまする当面の県の措置に対する各案件に対しましては,特別委員会を構成せられまして満場一致をもって議決を賜わり,直ちにこれが執行に移されることにつきましても重ね重ね御礼を申し上げる次第でございます。
なおこの機会にこの壇上を通じまして県民の各位に厚く御礼を申し上げたいのでありますが,特に警官除等におきましては敏速なる活動をいたされ,また自衛隊等につきましても県の要請に基づきましてこれまた罹災民に深く感謝をもって迎えられておるのであります。また日赤あるいは電々公社,東北電力,各種の機関があげてこの災害の復興に御援助を賜わっておりますのみならず,非罹災民の方々は手持ち弁当で毎日御努力願っておりまして,ようやく取り片づけができたような状態にあるようでございまして,これまた厚く御礼を申し上げる次第でございます。なおまた罹災地に対しましては24日からすでに皆様のあたたかい御同情による救援物資,金品等が寄せられまして,罹災民もこれまた感謝をいたしておる衣第でございます。
罹災当日は自失荘然たる状態でございましたけれども,ここ両日の間皆様の深い御同情によりまして失望と落胆の中にも士気を鼓舞してこの廃墟の中から立ち上がろうといたしておる次第でございます。私も友人知己を失いまして,まのあたりその死体の捜索にあたりその死体を取り上げて参りましたが,私はこれらの尊い犠牲者の霊を慰めるにはすみやかにこの復興を急ぎ,さらにまた将来に向かって四たびこの惨禍を最小限度に終わらせるような措置こそがこの霊に報いるものであると思っておる衣第でございます。
何とぞ多難なる将来の復興に向かいまして県当局初め議員各位関係各位皆様の今後さらに絶大なる御協力を賜わらなければ相ならぬと存じますので,ひとえによろしくお願いを申し上げまして謝辞にかえる次第でございます。(拍手)
閉会
○議長(山崎権三君)以上をもって本日の日程を全部終了いたしました。
これをもって本日の会議を閉じ,第7回県議会臨時会を閉会いたします。(拍手)
午後4時36分閉会

8.災害警備活動

1.津波の知得状況
(1)県本部のとった措置
ア5月24日4時8分県本部超短波無線電話統制室に対し釜石警察署から「管内沿岸各地は3m前後の異常な引き潮となっているが,津波警報の発令あるいは津波情報の発表はないか」との照会があったので盛岡地方気象台に問い合わしたところ「異常はなく津波警報は出していない」との回答に接したのでその旨直ちに釜石警察署に連絡したがそのときは既に釜石警察署を初めとして沿岸各警察署のパトロールカーは相次いで出動し,引潮状況の確認避難警報発令の事実を確認した。
イ更に同4時35分前後沿岸各署から次々と津波襲来の報告を受信した。
ウそこで4時40分県本部警ら課員全員及び警備課員の一部を非常召集した。
(2)大船渡警察署のとった措置
ア5月24日3時55分頃管下高田警部派出所に対し部民から電話で「甚しく潮が引いており津波のおそれがある」との知らせをうけたが,同派出所から海岸までは約1,000m位距離があるので確認するいとまもなく本署に急報した。
イ同時刻頃前記のとおり隣接釜石警察署唐丹巡査駐在所からも同様の連絡をうけたので所轄大船渡警察署長は2つの情報からして津波のおそれが十分あるものと判断し
ウ同日4時5分パトロールカー大船渡移動を市内大船渡町港警部補派出所に急派し,避難警告広報を実施させるとともに各沿岸受持に対し状況調査の上避難警告するよう指示した。
工同日4時15分から25分までの10分間パトロールカー大船渡移動は大船度町危険地域住民に対し避難警告を行っていたが同30分頃津波襲来を本署に報告後通話が杜絶し更に同時刻頃管内の公電,警電も不通となったため所轄署長ば大災害と認め,同日4時30分頃全署員の非常召集を発令するとともに本署に災害警備本部を設置した。
2.災害発生前後における初動活動
(1)県本部の活動
前記のとおり5月24日4時40分警ら課員全員及び警備課員の一部を非常召集したが,
ア同日4時55分警ら課次席をして東北管区警察局(当直)に対し,本県沿岸に津波が襲来被害し発生しつつある旨の第1報を電話報告し,
イ同日5時県本部警ら課内に県災害警備対策本部を設置した。
一方沿岸各署からは続々と被害状況の報告を接受したので,大規模な津波災害が発生しているものと判断されるに至った。
ウ同日5時25分「弱い津波の警報」が盛岡地方気象台から発令されたが,前記のとおり各地において大被害が発生した後であったが,一応沿岸各署に対し警報伝達を行い,
工同日5時30分厚生部長に概況を報告した。
オ同時刻県幾動隊員及び県下各警察署に対し非常応援体制準備方を指示し,更に県本部員に対し7時30分までに登庁を命じた。
(2)大船渡警察署の状況
前記のとおり5月24日4時5分パトロールカー大船渡移動を市内大船渡町港警部補派出所に急派するとともに浩岸各受持に避難警告措置をとるよう指示したのであるが管内の避難誘導活動の状況は次のとおりである。
ア市内大船渡町に急行したパトロー々カー大船渡移動は同日4時15分から同25分までパトロールカーの拡声器及びサイレンを吹鳴し,危険地域に対し大船渡警察署長名をもって避難警告を実施したが同日4時30分前後津波接近を認め退避しようとしたが避難民のため意の如くならず辛じて比較的高い大船渡駅に退避したが,海水がボンネット部位(約lm位)に達したため同4時30分通信機能が障害となり通話不能となった。
イ同日4時15分頃から市内港警部補派出所佐藤巡査部長以下2名は所轄警察署長名をもって避難警告を発し,大船渡町須崎,茶屋前地区住民約450人を猪頭方面の高台に誘導したが,その際避難に遅れた茶屋前地区住民約100人位を港派出所2階及び附近家民の屋根に誘導,
ウ 同時刻頃港派出所第4区受持菅原巡は査所轄警察署長名で避難命令を発し同町砂子前住民約200人を鉄道線路及ば高台に誘導,
工同時刻頃市内末崎町受持小岩巡査は末崎消防団と連絡して避難命令を出し同団員と協力し細浦地区佳民約300人を山手方面に誘導,
オ同時刻頃市内赤崎町受持佐々木巡査は同町消防団と協力し,同町生形,山口地区住民約300人位を館の高台に誘導,
力 同時刻頃高田警部派出所長,矢崎警部以下3名は,最も危険な陸前高田市高田町松原地区雪話架設者3名に津波警戒方を連絡し,引続き備付ジープのサイレンを吹鳴して避難命令を発し,長砂地区住民約800人位を八坂神社裏の高台に誘導したが,津波によって自動車の運行ができなかったので,その高台にジープを乗り捨てその後徒歩で危険地区佳民を高田高校の裏山に誘導,
a 長砂地区は警察官の避難命令による
b 松原地区は消防団と警察官の打合せにより避難命令を出した
キ 同時刻頃,同市気仙町受持,山崎巡査は同町消防団と協力し,地区住民約350人を元役場後方高台に誘導,
ク 同時刻頃同市米崎町受持土岐巡査は同町脇の沢地区住民に避難命令を出しさ350人を米崎駅裏高台に誘導
ケ 同時刻頃同市広田町受持金野巡査は同町消防団と協力し泊地区住民約300人を田端神社の高台に導誘,
コ 同時刻頃同市小友町受持鈴木巡査は同町消防団と協力し三日市地区住民約200人を鉄道路線に誘導,サ 気仙郡三陸村綾里受持門馬巡査は地元消防団と協力し,港下地区住民約300人を綾里中学校に誘導,する等各地において津波襲来直前まで警察官独自の判断により,あるいは消防機関と協力の上家族を省みるいとまもなく身を挺して住民に対する避難警告措置を積極的に講じたのであるが,これら献身的努力にもかかわらず特に大船渡市大船渡町地区において51名という尊い犠牲者を出すの止むなきに至ったことは前述のとおり地震の伴わない無警告津波の奇襲などいろいろ原因があげられるのであるが,戦後急速に同町に移住した住民が多く従って昭和8年の三陸津波の惨状を体験した者が少かったため津波に対し楽観的な住民が多く,そのため避難警告にもかかわらず避難の時機を失したこと及び同市の都市計画に避難道路の着意なく,且つ市消防機関等の権限機関の操作するサイレンの設備もなく,従って避難信号の末端徹底を欠いたなどの諸要因が相重なった結果ではないかと認められている。
3.災害発生後における警備活動
沿岸各署は24日4時より4時30分の間に逐次警備本部を設置するとともに署員の非常召集を行い避難警告,誘導等人命救助活動を重点とした初動活動を積極的に展開したのであるが,被害発生後におげる現場活動は第一段階として人命救助,行方不明者の捜索,漂流物横領事犯の防止,被災地交通取締等の外,交通案内をはじめ,行方不明者,死者の氏名の掲示等の広報,パトμ一ルの強化等の措置をとり,全力をあげて治安を維持し,民心の安定,生命身体財産の保護活動に従事した。
その後,津波被害の調査を開始し,その結果を関係各方面に連絡するとともに,復興資材救援物資,復旧応援者の輸送の確保のため貨物自動車定員外乗車,超過積載許可方針の特例の設定,災害救助隊の優先通行の確保等の措置を講ずるとともに,火災,盗難の防止,漂流物の横領,暴利取締夜間警らの強化等によって治安維持活動を継続実施した。
26日に至り,災害警備初動活動段階が一段落をつけたので同日午後から第二段階活動として,自衛除,消防団,奉仕除の活動にかかわらず,跡片付けのおくれている老人寡婦家庭,死傷者を出している家庭無縁故者家庭等の生活資財産の保全のために警察本来の活動と併行して,警備警察官を1組2〜3名に編成し,昼間活動の重点として活動させた外,復興活動の動脈である道路啓開作業能率増進のための交通制限措置,道路に搬出する汚物類の整理による交通の円滑化等を積極的に実施した。6月2・3日頃に至り,被災地全般的には一応第二段階活動を終ぞくしてよいものと判断される状況になったので6月4日から第三段階活動として本格的な復旧作業に伴う資材の緊急輸送の円滑化等を図ることを狙いとし,交通取締の強化を重点に活動を続行中である。なお被災地において活動した最盛時の警察職員1日の動員数は,
所轄署員244名
応援警察職員280名
計524名
に達し,県警察官定員の約半数が第一線において活動したが,警察官等出動状況は次表のとおりである。

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警察官出勤状況
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警備部隊の応援派遺状況(大船渡警察管内)

第7節現況と問題点

1.災害救助法発動の現況と問題点

当市に災害救助法が発動されたのは,24日午前ll時30分であった。
このときには,既に対策本部を設け,市職員が実際的救援活動に入っていたのであるが,予想以上の大災害のため適切且つ,迅速的業務処理が軌道に乗るまでには相当の時日を必要とした。
災害対策の基本は,適確的被害状況の調査把握に在り,市職員が調査地区を分担して調査にあたったのであるが,準備された調査用紙が催かに200部に過ぎなく,緊急を要するため,調査内容を充分に理解しないまま調査にあたり,且つ,罹災者の避難先が不則のため,予期した調査の成果を得られぬまま,取敢ず県に対し第一報を入れ,急拠,簡易な調査用紙ユ,500枚を印刷して,25日に再調査の上,徹夜で調査を継続し,26日午前6時に至り,被害報告の第2報を入れることができたのである。
然し,第2報の内容においても,調査の脱漏等,不備の点が多く,遂次これを補正してゆく方針のもとに,引続き調査を実施し,正度の高度化につとめ,第3報を27日,第4報を31日に夫々県対策第本部に報告したのであるが,この間における最終的誤差は,1割程であった。これ等報告に基く予算の内示額は次のとおりであった。
避難所設置費20,196円
炊出し食品給与額961,600円
被服,寝具,日用品費2,304,162円
学用品給与費845,640円
埋葬費106,000円
輸送費30,000円
人夫賃10,000円
計4,267,598円
然し31日の報告でさらに罹災者が増加したので,再び予算が配分され,被服寝具日用品費に3,017,598円が追加されて合計において7,245,196円となったのである。したがってこの範囲内で,更に購入計画が樹てられ,配分計画が樹てられたのであるが,何分にも現行の災害救助法に定める配分基準額が僅少のため,罹災者には到底満足な救助はできるわけはなかった。
参考までにその基準を示すと次のとおりである。
全壊,流失者1人〜円3,170
半壊者
2人〜3,850円
3人〜5,540円
1人〜1,050円
2人〜1,230円
3人〜1,390円
以上のように人員の割合で増加はされているが,全く催少といわざるを得ない額であったのである。この配分計画の作成ば,予算内示とともにはじめられたが,被害調査の不備が大きな支障となって思うように進捗しなかったのである。さらに事務の繁雑もさることながら,従事職員の絶対的不足は,作業員の交替を余儀なくせしめ,計画どおり作業の捗を望み得なかったのであるが,幸い隣接市町村職員の応援を得て比較的早期に作業を軌道にのせることができたのである。
その他,これらの災害初期における救助活動の立遅れを安全に挽回してくれたものは,市民の全面的な協力はもとより,他都市及び社会団体等広範囲にわたる救援によって食糧,衣料その他生活必需品が早期に確保できたことによるもので,この際特筆すべきことである。
以上の現況から,次のような問題点が指摘されよう。
1)災害救助法発動の基本となる罹災調査に必要な調査カードは,予め大災害を想定して,何時でも使用できる体勢に準備保管することが必要である。
2)救助の迅速を期する罹災調査が速やかに且つ正確におこなわれる組織体勢と訓練が必要である。
3)平素から業界と協議して非常時における集荷対策並びに,物価安定と必需物資の確保を図ることが必要である。
4)現行災害救助法は,事務が非常に繁雑であるため,今回のような大災害にあたっては,法に基く救助を実施する迄に,は長期の時日を必要とする。したがって事務の合理化によって救助の迅速且つ適正が期されるような措置が望ましい。
5)現在災害救助法による給付対象の拡大と,さらに給付限額の引上げが特に要望される。
6)罹災証明はすべての面にわたり基礎となり,罹災証明事務の適正且つ迅速な処理にについて検討する必要がある。したがってこの場合地区民組織の協力を得られる体勢必要です。
7)災害時には自発的に炊出しをする好ましい習慣があるが,更に有機的な炊出しの体勢が望ましい。諸物資の配給について市民の全面的な協力が必要であるので協力体勢の確立が必要である。
8)災害時における隣接市町村との援助協定を締結し,一体的な救助態勢の確立が必要である。

2.避難の現況と問題点

三陸地方は地理的条件から過去幾多の津波に多大の人的物的被害を受けているが,明治29年と昭和8年の大津波によって大きな被害を受けたところは今次のチリ地震津波では被害が少く,迎に過去の津波で被害のなかった所謂安全地帯と目されていたところが大被害を蒙っている。
東向き湾口800m,南北6k,東西1kの深い入江の大船渡湾では,津波がジクザクのコースをたどり,湾口附近で最高を示す波高も,奥に進むにしたがって低くなり力も衰え,湾奥部では殆ど被害がなかったのであるが,今次の津波は湾奥部の,即ち従前から津波の安全地帯とされていた市の中心商業市街地においても最も高い水位を示している。
これを昭和8年の津波と比較すると,今回最も被害の大きかった大船渡町では,昭和8年には,わずかに2.4皿の波高であったが,今回は実に5.2mを示している。又,大船渡町同様の波高を記録し,被害も大kiかった中赤崎地区でも,昭和8年には2.8mに過ぎない。これに反し昭和8年に4m乃至51mの波高があり,大被害を受けた地域は,今回は2m程度の水高であり,被害も殆どなかったのである。
死亡者においても,昭和8年における141名の犠姓者の殆どが湾口に近い地域に発生しているのに対し,今回の53名は全部,最も安全と見られていた地域において死亡している。
このことは,今次チリ地震津波は,過去における津波とは,その来襲形態を全く異にしたものであることを示す事例であろう。
避難の問題については,災害の最も激甚であった大船渡町及び中赤崎地区についても,その避難の様相が異っているので,以下これを両地区に分けて「何が被害を大きくしたか」について簡記することにより,自ら問題点等も抽出可能と思考される.
(A)大船渡地区
(イ)前例,経験,予想を越えた津波であった。
(ロ)本地区は,昭和16年の大火後都市区画整理がなされ,以来,急速に発展した街であり,従って転入者が多く,津波の経験の無いものが多かった。
(ハ)気象関係庁からの事前警報が全くなく,住民は判断に因惑し,且つ避難時期を逸した。
(二)一応安全地帯と見られていた地区であり,毎年行われる津波避難訓練は,極めて消極的であったが,この地帯こそ最大の波高をみた。
(ホ)市役所及び市消防本部は災害地の海岸より3kの遠隔地である盛町にあり,当直員が津波来襲の危険を察知することができず,為に避難命令及びこれに関連する措置は,地元消防団の判断により個々に発令する結果となった。
(へ)本地区は,(二)の項で述べた如く,いわば新開地的な商業地域であり,したがって夜間営業が多く,平常朝の起床が遅い。
(ト)津波来襲警報として,先ず魚市場のサイレンが吹鳴され,続いて小野田セメントのサイレンと各地区の消防分団のサイレンが吹鳴されたが,火災と誤認し,又は第一吹鳴の魚市場サイレンを,魚類水揚のサイレンと誤認し避難をしなかった。
(チ)サイレンの吹鳴は,近火信号と津波避難信号とが同一の,3秒吹鳴し2秒中断の連続吹鳴であり,又,火災出動と,応援出動及び津波警報の信号が同一(5秒吹鳴,6秒中断の連続)であり,その判断がむつかしく,住民が困惑した。
又サイレンに「余いん防止装置」がなく,完全に区切って吹鳴することが困難である。
(リ)消防車その他に拡声装置がなく,津波来襲の情報を報知でぎなかった。
(ヌ〉台町以北は,街の背後が鉄道であり,高台に通ずる避難道路がなく,又赤沢地区では,避難のためには,一たん鉄道に登り,更に又低い田畑に下り,次に高台に避難するというコースをたどるため,避難がむつかしく,多くの犠牲者を出している。
(B)中赤崎地区
(イ)家屋その他の被害の割合に犠姓者が少く,人的被害を最少限度に止めている。
(ロ)本地区は,比較的原往者が多く,昭和8年及び明治29年の三陸津波の経験者が多数にあった。
(ハ)かき養殖業を主体としている関係上,午前3時半頃には海岸に出ていた人々により津波の来襲が予知され周知された。
(二)消防車(第2部)に拡声装置があったため,地区内を数回にわたり巡廻しながら波波の来襲を周知徹底せしめた。
(ホ)以上の好条件に恵まれた反面,昭和8年の経験のみに依存した結果,緩慢な引潮と来襲を甘く判断し,少くとも県道以東では,必需品等の搬出が時間的に可能であったにもかかわらず,これらがなされなかった。
以上を総体的検討すると次のとおりである。
(a)自動津波警報機が必要である。
(b)消防車には拡声装置が必要である。
(c)要所には電池による拡声機の装置を要する。
(d)避難道路,避難場所の整備と,これに関連する訓練の必要がある。
(e)火災と,津波と,その他災害の警報は,一般に判明し易く改正区分すると共に,サイレンは余いん防止装置が必要である。

3.救護の現況と問題点

災害救助法にもとつく,県知事を除長とする単位の災害救助除の下部組織として,市は市長を隊長とする支隊を組織し,災害救助除長の指揮のもとに,非常災害時における救援及び緊急措置を講ずることになっているが,遺憾ながら,大船渡市においては,その組織が確立されてないままに今次災害をこうむったのである。
(1)災害対策本部の設置について
市では災害発生と同時に,24日午前4時40分市役所に災害対策本部を設置し,職員の非常呼集を行ったが,通信が杜絶し,且つ被害が予想される大船渡,赤崎,末崎地区の職員の出動が期待できず,結局日頃市,立根,猪川,盛地区の職員をしてとりさえず救助隊を編成したが,男子職員のうち24名が消防団員となっている関係上,これ等職員が消防に出動したこと等により,当初60名程度の職員により編成したのである。
午前4時50分大船渡地区へ4名,赤崎地区へ3名,末崎地区へ1名の先発隊を派遣して,被害の状況を調査せしむるとともに,市役所の位置は,災害現地と遠く,状況の把握と,適切な対策業務の遂行には極めて不便であり,主要連絡所を大船渡小学校に設置し,市長がこれに駐留し,赤崎地区は漁業協同組合支所を連絡所とし,水道課長を派遣し,夫々救援活動に入った。
然しながら,大船渡連絡所に市長が駐留することが,全ての連絡が市役所に来る関係から,業務の統制上不利不便が多く,且つ従事職員の数を2分する不合理点が多いので,大船渡連絡所を農協に移し,市長を本部位置に招請し,救護体勢の一体化を図った。
その後,消防防部の了解を得て,市役所職員の消防団員を対策本部に吸収し,罹災職員の招集を発令して,本部体勢の強化を図り,業務の進捗との調整を図り,その都度重点的に人員配置をなし,6月3日,災害復興事務局の誕生まで救援業務の遂行に当った。一方,連絡所は前述の如く,大船渡町に1ケ所,中赤崎に1ケ所を設置したのであるが,大船渡連絡所の場合は,評価員外数名の市職員を常駐せしめて,主として罹災者の相談に応じ,諸連絡の業務を担当したのである。
又,中赤崎連絡所は,市職員を2〜3名常駐せしめ,契約会,消防団,各行政連絡員等が自主的に参集し,終始中赤崎地区における救援活動を主宰したのであり,この地区は最も理想的な救援組織をもって円滑な業務遂行を全うし得たのである。
(問題点)
(A)救助除組織が確立していなかった。
冒頭述べたとおり,災害救助法にもとずく災害救助隊の組織が確立されていなく,したがってこれに基く訓練が積まれていなかった。
(B)市職員が消防職員を兼任しているものが多く,これに出動する関係上今次の如き大災害時において人員が不足し,市の対策業務の遂行上支障が多い。
(C)救助隊の編成に当っては,罹災職員等の出動が望まれないので,この点を計数に入れて編成すべきである。
(D)大船渡町の場合は,連絡所の組織が弱体であった。
これは,中赤崎の場合とは反対に,地域の下部組織の協力が不充分であったことと,駐在職員が他町出身の職員が大多分のため,地域の実情に精通していなかったことによる。
(E)対策本部の要員不足のため,一般業務に忙殺され,正確な記録をとることができず,その後の整理に支障を来した。
(F)通信が杜絶しているため,連絡は,自転車,自動車を使用したが,車輌不足のため長時間を要した。軽車輌の備え付けと,職員の使用訓練の必要がある。
又無線機の備付が望まれる。
(G)当初大船渡連絡所に市長が駐留したため,指揮連絡に一時的ではあるが混乱を生じた。
(H)本部における首脳部が現地の実状が把握不十分のため,指揮命令が時宜を得ず,現地の救援活動に混乱を生じた場面があった。
(1)広報活動が不十分であった。広報施設の整備と組織の確立が望まれる。
(J)災害発生時における県よりの発現地派遣隊は強力な組織が必要であり,県の各出先機関を総宰し得ることが望ましい。

4.県との連絡について

午前4時45分,電話が不通のため,東北電力株式会社専用電話をもって災害状況の第1報を県知事に報告し,災害助法の発動を要請した。
午前6時被害状況が判明して来るにともない,職員を佳田町に派遣して佳田町役場より第2報を入れ,被害状況として,家屋流失!,000戸,浸水2,000戸,死者行方不明100人,負傷者300人を報告するとともに,自衛隊の出動と,防疫班の派遣を要請し,且つ,職員2名を県庁に派遣して,災害救助法の発動と,自衛除の派遣,防疫の対策等について詳細連絡せしめた。
(問題点)
1.災害発生時における県に対する通報連絡方法並びに体形について予め協議確立しておくべぎである

5食料対策について

災害発生により食糧事情の混乱は必至の状態であり,対策本部に食料係を設置し,これを県南米雑穀協同組合.に設けた「食糧対策本部」に駐在せしめてその処理にあたった。
5月24日における食糧の在庫は,下表のとおりであ.る。
以上の数字は普通消費量なれば,大船渡市及び三陸村の約2ケ月分の消費量であり充分な数量である。
これ等玄米を収納してある倉庫が,津波の浸水区域内にあったのであるが,幸いにも,倉庫の構造が完全なため,日通倉庫の玄米164俵が被害を受けたにすぎず,愁眉を開いたのである。
米穀の配給にあたっては,
1.炊出米用,2.避難民用,3.一般消費用,の優先順位を決め,市は之に対する支払保証をするとともに配給切符を作成し配給を開始した。
米協では,その所有玄米466俵を精米するためには,電力が必要であり,その復旧には,東北電力大船渡営業所が全力を揚げてこれに従事した結果,24日夕刻には復旧が成り,作業員を倍増し徹夜で,操業を続け,又,25日には陸前高田市,高田町で精米した60k入86俵を世田米経由で廻送し配給した。26日には米協の手持玄米は搗精完了し,且つ,配給をも終了したので,以後の分については政府米を払下げて充当したのである。
これ等の食糧を配給するルートは,被災地の小売店(配給所)は殆んと機能を失っており,且つ,通信,交通とも杜絶しており,又,小売店手持の商品は浸水で用をなさなく,資金面も潤沢ではなかったので次の方法により配給措置を執った。
1)炊出用,一般罹災者用は市において支払保証し,炊出用は必要量を,一般罹災者用は罹災者1人につき2kgの特配切符をもって行政連絡員を通じ交付,配給した。
2)小売店(配給所)の経理は,米協直営とした。
3)小売店の復旧促進のため米協では,助成措置をとり
且つ,借入金等の便宜を与え,小売店の主的機能の育成の手段を講じた。
以上の手段方法により,25日,26日は最も繁雑を極めたが,約1週間にして,これ等の機能が軌道に乗り,その後1カ月にして米協直営の配給を小売店に移し本来の配給ルートに復旧したのである。
炊出しについては,罹災をまぬがれた日頃市,立根,猪川,盛地区の婦人会,行政連絡員がこれにあたることとし,これに要する米,費用等については後日調整することとして直ちに実質業務に入った。がその他の地域からも自主的な炊出しが続けられ,大船渡町に対しては車輌でこれを運搬したが,赤崎地区への輸送については,交通杜絶のため,人背によりこれを運搬し,各罹災者に配分した。
これに要した米穀は,ll,141kgである。
なお,副食の需給については,野菜は盛岡青果市場に,漁類太洋産業KKの手持分を割安に供給する等の手配をし物価の高騰を防止した。
以上の応急対策において反省されることは,
1)米協首脳部以下,全従業員が連日連夜,一丸となって奮斗を続け,適切な配給態勢を確立し,食糧需給については罹災者に何等の不安を与えなかった。
2)政府所有米が豊富で,且つ,これを収納して在った倉庫が完全のため浸水をまぬがれた。
3)政府所有米の払下げにあたって,食糧事務当局は特別扱いとして敏速に払下げを実施した。
4)小売店の罹災により,切符及び台帳等が流失した結果,罹災者への切符の再交付に時日を要し,然も,避難先が不明のため,処理が繁雑を極めた。

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食糧の在庫
6.飲料水対策について

飲料水については,水道が全線にわたり断水し,地域の井戸が取水不可能となったため,差し当りこれ等の井戸水の使用を厳禁するとともに,大船渡地区の場合は農協より清水,番茶等を輸送した。また,気仙酒造株式会社より給水車2台と新沼信平商店より1台,計3台の協力を得て時聞を制定し,給水を行うとともに,水道復旧により要所に共用栓を設置して給水につとめた。
又,赤崎地区においては,罹災地最寄の井戸3コを指定して給水を行うとともに,他の井戸水の使用は全面的に禁止し,大船渡地区同様,給水車をフルに使用し.時間給水を継続したのである。
その後,25日自衛隊衛生除の到着により,浄水セット2基を生形地区に1基を大船渡地区に設置し,午後3時頃よりこれによる給水が開始され,6月2日,水道復旧成るまで時間給水したのである。
(問題点)
(A)浄水セットの常備が必要であり,県において大型1基と,各保健所単位に小型1基の常設を考慮すべきである。
小型の場合は,交通杜絶時においても搬入可能のものが望ましい。
(B)予め要所の井戸水を検査し,災害時における給水井戸の指定をしておく必要がある。
防疫対策について
防疫については,対策本部衛生係と大船渡保健所がこれを主宰して業務の遂行をなした。
特に薬剤撤布にあたっては,盛高校生の応援を得てその徹底を期すことができたのである。

7.防疫対策

赤崎小学校を除き各避難所は市の上水道水を供給,赤崎は給水車により6月2日まで供給,以後水道を利用した。便所応急仮設なし。
内訳大船渡町7名
疑似症4名
真症3名
赤崎町6名
保菌者2名
疑似症3名
真症1名
計13名
注入手方法
石灰は市の農協より入手その他の薬品類は薬店より購入,不足分については盛岡及び気仙沼の薬局より速やかに入手輸送した。
撒布器については市内の農協より24台応援,新購入6台,自衛隊三兼機2台,半自動肩掛15台をもってこれにあてたのである。
※愛市の能力と動員態制
市の機構は保健課に衛生が属し,専任の衛生係は3名で保健課員の応援15名出動,その他盛高校生,消防団員1日平均50名の応援を得た。後自衛除青森第九衛生中除野毛三等陸尉以下30名及び東京三宿鮮とん部除第301予防衛生中除安保一等陸尉以下20名応援,大船渡保健所員10名がこれに合流した。
☆昆虫駆除の地域指定と代執行
災害後直ちに法16条の2による浸水地域の昆虫駆除の指定を受け5月31日から6月3日まで実施した。
☆防疫計画
(1)検病調査班5月25日6月4日3ケ班
(2)消毒班5,月25日6月27日10ケ班
5月28日30日3ケ班
第九衛生中隊5,月26日31日4ケ班
第301予防衛生中隊6月3日3ケ班
(3)昆虫駆除
第九衛生中除3ケ班
第301予防衛生中除6,月4日3ケ班
(4)日別実施計画は次のとおり。
一方,気仙郡医師会では,5月25日,次のチラシを配
布し,また,保健所,市は国様のポスター等を掲示して防疫の徹底を期したのである。
この結果,伝染病の発生が例年同時期の平均を下廻る,真性4名,疑似症7名,保菌者2名のみに止まり,防疫業務の成果を遺憾なく発揮したのである。
(問題点)
(A)機動力が不足し,連絡が不充分であった。
(B)検病戸々調査をするための人員が少なかった。
(C)薬剤撒布にあたり,自衛隊と応援者である高校生の出動時間に差があり,時間的に不経済の面があった。
(D)防疫班と,救護班の連絡がとりにくかった。

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災害防疫状況
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集団避難所
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伝染病発生状況5月24日〜6月6日
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薬剤器材の使用状況
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市役所手持量(薬剤)
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市役所手椿器材
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日別実施計画表
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掲示していた内容
8.遺体収容・医療・集団避難所

(A)遺体処置
救助関係業務の遂行の主眼を,遺体収容と負傷者,発病者の応急治療の二点にしぼり,遺体収容には引潮後,消防団及び遺族の手に委ね,気仙病院,大船渡警察署及び市対策本部衛生係は主としてその処置にあたった。
遺体収容場所は,大船渡町西光寺とし,引取明瞭者は遺族に引渡し,盛,大船渡の両火葬場で茶眦に附した。
斯くして,行方不明1名を残して一応その捜索を打切つたが,6月下旬に至り,市消防団,大船渡分団員動を得て2日間の捜索を行ったのであるが,終に発見するに至らなかつた。
(B)医療措置
傷病者の医療については,県立気仙病院長が中心となり業務の遂行を行うこととし,医師会がこれに協力,その体勢を確立した。病院長は災害発生するや,直ちに被災地を視察の上,医療班5ケ班を編成し業務に入った。
その後,日本赤十字,自衛除,NHK,日本共産党等の医療班が到着,医療を開始し,軽い疾患はその場で治療し,重い傷病者は気仙病院に収容入院せしめたのである。
(問題点)
(A)医療救護班の統制機関について
医療救護については,一応気仙病院長が中心となってこれにあたったのであるが,その権限分野が明確でなかったため,他機関の医療班の合理的な配置等ができず,大船渡町のみに偏重した配置となった。
(B)医療救護班設置について
大船渡町台ケ丘保育園に開設した医療班は,災害地より離れ,高台のため,罹災者の利用に不便であった。
(C)カルテの引継ぎ等について
一つの医療班が引き揚げ,他の医療班と交替する場合,カルテの記入が不備のため,後任医療班がその措置に困惑した。
(D)薬剤について
破傷風の薬剤及び酸素が欠亡した。
(C)集団避難所
災害対策本部は、羅災者のうち,さしあたり住居のないものを収容するため,大船渡町に4カ所,赤崎町に1カ所の集団避難所を設置,被災世帯を収容した。
これ等収容世帯については,毛布,布団等を備え,これを貸与し,赤崎地区を除き,市の上水道より水を供給し,赤崎地区は,給水車により6月2日まで供給を続けるとともに,衛生,防疫に留意した。
また,斯かる災害時においては,とかく他に依存し勝ちな被災者の気風をいましめ,自立復興の気がまえを醸生するため,特に世帯数及び人員その避難数の多い,大船渡小学校及び赤崎小学校の2避難所は,自治運営とし,発生する諸問題の解決は,全てこれによって解決せしむるとともに,共同炊事により災害時には特に顕著になりがちな生活の格差をなくすことに努めた。
対策本部においては,大船渡小学校避難所に職員2名を常駐せしめ,これらの助言,育成と,全ての相談に当らしめた。
このようにして日時が経過するにしたがい逐次住所が確定,夫々避難所より徹去して行き,7月3日相前後して各避難所を閉鎖したのである。
(問題点)
(A)遺難所には小中学校の場合は屋内体育館をこれに充当したのであるが,災害生後約1カ月半,学校教育に支障を来した。
(B)自治組織をもって運営したのであるが,避難所の出入が繁く,リーダーが変るため運営の円滑を欠いた。
(C)盗難に類するトラブルが多かった。
(D)対策本部の指揮系統が判然としないため,諸連の絡円滑を欠いた。
(E)救援物資の配給状況が世帯相互で比較されやすく,これによるトラブルが若干あった。
(F)学校給食施設が利用できたため,共同炊事の運営が成功した。
(G)共同炊事の結果,物資の重点的配給がなされた。

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遺体処置の状況
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1.県立気仙病院収護班(開業医を含む)
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2.日赤救護班
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3.自衛隊救護班
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4.日本共産党医療班
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5.NHK医療班
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6.総活表
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集団避難所の収容状況
9.じんあい汚物処理対策について

じんあい及び汚物処理は,消防団,自衛除が主体となり,これに他市町村の応援消防団,一般作業隊が加わり,これにあたった。
消防本部では4時37分天神山サイレンをもって団員の非常招集を行い,現場に行したのであるが,盛高校前まで襲来して来た津波の様相に,盛町が危険視され,一旦状況を判断の上災害状況現場に急行し,本部を大船渡町県南米協前に設置,赤崎地区は赤崎分団第ご部が主体となり,赤崎漁協支所に設置し救援業務に入った。
消防活動の重点を人命救助に指向し,当初の目標負傷者の救出,死体収容におぎその後は宮衛除及び他市町村消防団,一般作業除とともに交通網杜絶の原因となっている路面に散積されている廃材,塵芥の運搬処理にあたった。
以下消防本部の記録に基き順を追って記述する。
以上により,第一次応急作業を一時打切ったのであるが,約一週間おいて6月7日より6月9日迄更に自衛除の来市応援により第二次作業を,又6月l0日よりll日迄,第三次作業を実施し,6月1日をもって組織的救援作業を終止したのであろ。
(結果の反省)
人名救助,死体収容はじめ,塵芥,汚物の処理は,市消防団が自衛隊,一般応援隊,他市町村よりの応援消防団等とともに終始これにあたったのであるが,総体的にみて,これ等の業務が極めて順調に取り運ばれたのである。
これは,業務遂行の主体となった自衛隊と,市消防団の連絡がと非常に密接に行われ,相協調して,その措置が万全に取り行われたことに基因している。
又,他市町村並に市内一般の応援隊が,田植の時期にもかかわらず連日応援出動し,又被災者のうちでも,床上浸水の者も,25日から出動応援した結果等によるところが直接の原因であり,このような一体的な協調態勢が確立された間接的な原因は,自衛除の誠意あふるる積極的な活動と,隊員一人一人の態度が極めて紳士的で,市民に感銘の念をいだかせたことであり,自衛隊各位に対し深甚なる謝意を表したい。

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消防本部の記録-1
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消防本部の記録-2
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消防本部の記録-3
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消防本部の記録-4
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消防本部の記録-5
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消防本部の記録-6
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消防本部の記録-7
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救援作業概況総括表
10.救援物資附義捐金対策こついて

(救援物資)
災害発生すろや,市内の罹災を免れた地域に対してとりあえず衣類の供出を勧奨し,これを避難所に運搬配分した。5月25日からは,全国各地より続々と救援物資が搬入されたのである。
これ等の搬入は,国鉄大船渡線,高田一大船渡間が不通のため,高田駅より国鉄トラックにより,又,鉄道復旧後は直接盛駅まで鉄道輸送された。
救援物資受配の態勢は,盛町浄願寺を集債地とし,対策本部の救援物資係20名と婦人会30名が連日これの処理にあたった。
各被災地における罹災者への配給は,当該地区の行政連絡員があたり,大船渡町の場合は,これに市職員1名つつを配置したが,その後配給業務が軌道に乗るにしたがい,逐次市職員を引揚げたのである。
赤崎町の場合は,一時連絡所に集積の上,各行政区毎に分類配給し,直接被災者への配給は行政連絡員があたった。
両地区ともこうして配給機構が軌道に乗るにしたがい,行政連絡員を中心とした罹災者の合議制をとり,配給の適正を期した。
一旦集積された救援物資は,市婦人団体連合協議会の方々の応援を求め,これを種類別,程度別に分類し,罹災程度による係数を基準として,大船渡町に対しては,各行政区単位に,赤崎,末崎町に対しては連絡所に一括送致したのである。
これ等全国各地から寄せられた救援物資の一つ一つには,暖かい同情と激励のまこころがこもったものであり,罹災者は終始,感謝,感激をもっておしいただいたのである。
特に,昨年の伊勢港台風の被災地からおくられた物資には,その苦しかった経験が泌み出ており,衣類の中に収めてあった児童,生徒等の激励の手紙には,従事係員もしばし感涙にむせぶことが多々あったのである。
このような物資が日を経るにしたがって,その量を増し,6月中旬を最高とし,9月上旬まで続けられた。
この間市婦連の方々が連日物資の区分のため奉仕されたこと,集積所を提供し,各般にわたり快よい便宜協力を惜しまなかった浄願寺の行為は特筆に価するものがある。
(問題点)
(A)被災者に対する直接配給は,当該地区行政連絡員があたったのであるが,行政連絡員が被災した場合が多く,災害対策本部職員がある期間これにあたらざるを得なく,本部の人員不足になやんだ。
(B)当初各個人の被災実態調査が適確でないため実情に合致せず,各物資の配給に支障を来たした。
(C)今回の経験からして,若し当市から他に救援物資等を送る場合は次の点を考慮すべきである。
(イ)梱包はなるべく小さくし,最大炭俵程度とし,重量は15kg位に止めること。(容積の大きなもの,重量の大なるもの等は取扱に不便である。)
(ロ)梱包には内容を明示した札をつけること。
(ハ)衣料品は洗濯し,糊付け,アイロン等をほどこし,破損カ所は修復すること。
(二)梱包の内容物は一旦消毒し,ナイロソ等で包み,湿気を防ぐ包装が必要である。
(義損金)
津波罹災者に対する義掲金は,救援物資同様全国各地よりおくられ,その総額は29,463,677円に達しこれ以外に小中学校生徒を対象に指定して来た見舞金或はその他弔慰金は1,162,545円がある。
これら義揖金は一旦,市会計課において出納し配分委員会の議を経て,全壊,流失,半壊,床上浸水,床下浸水の被害程度により次の基準により3回にわたって配分した。
以上の基準により第一回は3,135,800円,第二回4,151,910円,第三回9,216,200円,計16,503,910円を配分している。
義掲金の総額は前述のとおり29,463,677円で,第三回までの計を差引いた残12,959,767円は第四回の配分金として目下計算中である。(10月15日現在)第四回の配分は最終会となるため,第一回より三回に至る間の不合理な点を検討し,総体的に均衡をとる意図のもとに,慎重な作業が進められている。

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救援物資受配集計表(救助法によるものを除く)
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食料品関係
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義掲金の配分基準
11.失業対策について

チリ地震津波の災害発生により,失業者の増加の現象は殆んど見受けられなかった。これは復旧事業の繁雑の中にかくれ顕著に表面化しなかったことにも原因があると考えられる。
むしろ失業対策としては,養殖施設等の流失被災により.現金収入が杜絶した漁民の救済事業を起す必要性が切迫して来た。そこで赤崎町後の入に失業対策事業として,林道開設工事を計画した。これは延長625m,巾員3.6mで,災害復興資材を伐採搬出する目的をも加味されたものである。この事業は,6月23日に着工,一日平均30人が出役し,9月末日現在で延2,074人延長350mが完成され,目下事業継続中である。
今後共,今次災害のため,失業者が増加する要素が全くなく,これについてとり立てて対策を講ずる必要がないものと考えられる。

12.治安対策について

県機動隊第1次応援派遣警察官の服装を水害時の経験等から,すべて出動服としたが,津波と水害現場の様泪が異っており,出動服でなくとも警ら活動上は支障なく,この服装は,夜間活動においては,警察官たることが認識されがたく,被害当目である5月24日夜は,不眠不休のパトロ一ルを実施したにもかかわらず,パトロール効果は相当減殺され適切と認められなかったので,パトロール警察官全員白地に「警察」と黒書した腕章と同様票示した提灯を携行させてパトロール効果を高め民心の安定を図った。
イ 交通規制取締活動
a 5月24日より同31日までの間,大船渡市内2ケ所の2級国道(仙台〜八戸線)の障害物撤去作業を推進するため迂廻路を設定し44名の警察官を配置して交通の円滑を期した。
b 5月24日より同26日までの間陸前高田市内1ケ所の2級国道(仙台〜八戸線)の障害物撤去作業を推進するため迂廻路を設定し毎日8名の警察官を配置して交通の円滑を図った。
c 5月24日より同31日までの間,大船渡市内十字路等18ケ所に毎日1ケ所2名づつ警察官を配置し,交通規制及び指導取締を実施したが,以後道路の復旧等に従い配置箇所人員を漸減しつつある。
d 5月24日より6月1日までの間陸前高田市内9ケ所に毎日1ケ所2名づつ警察官を配置し,交通規制及び指導取締を実施したが,以後復旧作業の進捗に伴ない配置箇所人員を漸減しつつある。
e この外,白パイ3台により大船渡市大船渡町〜盛町間の取締を実施した。
f 5月24日から,6月8日までの間に被災地で発生した交通事故は僅か2件に止っている。
ウ 行方不明者の捜索活動
行方不明者の救助捜索は地もと消防団及び警備船さんりくと協力して連日活動を続けたが,5月24日は管内行方不明53人中救助されたものは1人もなく42遺体を発見収容
5月25日4遺体を発見収容
6月1日1遺体を発見収容
6月4日1遺体を発見収容
6月5日1遺体を発見収容
した結果,管内の行方不明者は4名を残すのみとなった。
エ 広報活動
被災直後の混乱に加え,被災翌日の25日夜から26日にかけて2度3度と報道されるチリ地震余波に伴う津波情報や流言蜚語のため,被災者は不安におののき警察に情報の真偽を間合せる者が多く,あるいは,行方不明の捜索状況をたずねる等,警察の情報に期待する部民の要望に応えるため,パトロールカーによる広報ビラ掲示等被災直後から積極的に広報活動を実施したが,その状況は次のとおりである。
オ 捜査,鑑識活動
津波被災特有の標流物横領事件の捜査を中心に内偵捜査を続けたが,この種犯罪の届出は1件もなく,5月24日から6月8日までの間に被災地において発生した犯罪は,自転車盗2件,倉庫荒し1件,傷害罪1件の計4件で,うち傷害罪は検挙している。
鑑識活動は,被災状況写真の撮影が活溌に行われた。
なお,死亡者はすべて地域住民であったため,身許不明者として取扱いの対象となった死体はなかった。
力 防犯活動
防犯活動は一般犯罪の防止,特に被災地における暴利取締りに重点を指向して活動が行われたが,野菜類が一時4・5割日用品が5分程度値上りしたのみで,暴騰の傾向は現在までのところ認められず,また特別法犯の発生もなかった。
キ 困りごとの相談所の設置
被災住民の民心安定と便宜を図るため臨時に「困りごと相談所」を5月31日から6月2日まで被災地5ケ所に設置し,1ケ所毎に2〜3名の警察官を配置して相談に応じ,好評を得たが,取扱った主な内容は次のとおりである。
○避難者の問い合せ40件
○漂流物の発見届8件
○遺失物届5件
○被災状況について14件
○交通関係について20件
○自動車運転免許試験について7件
ク 被災者の財産保全活動(お手伝い活動)
第二段階警備活動の重点とした老人,寡婦家庭等に対するお手伝い活動は5月27日から5月31日までの間警察官延86名を動員し,激甚地,大船渡市大船渡町,
茶屋前地区,新沼由吉外14世帯
同町台町地区,翁祖利外12世帯
を対象に実施したが,この縁の下の力持的警察活動は被災者から広く好評を得た。この結果,交通事故及び見るべき事件の発生もなく,治安対策は成功を収めたと言えよう。

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広報活動を実施した状況

第3章復旧対策の状況と問題点

第1節土木関係

公共土木関係の被害が,他の被害と比較し少なかったことは今回の災害の特異性でる。これは大船渡における公共施設が他の地方と比して少なかったことと,施設は近代技術により合理的に施行されており,且つ津波の勢が急激に襲来したものではなく,除々に水量を増して来たことに基因するものと考えられる。
然しながら,公共施設の被害総額76,684千円(市関係)は市の財政規模から見て決して少いものでなく,これが復興には今後相当の苦難が予想される。

1.道路

国道及び県道の被害が少く赤崎町地内に県道の欠潰カ所3カ所被害額,3,820千円である。市道については大船渡町及び末崎町内は被害がなく,赤崎町内に6カ所,延長1,398mが目立つ程度である。
末崎町の場合は,総体的に被審が僅少で比較の対象にならないが,大船渡町の街路は大多分舖装されていたため被害をまぬかれたものである。
赤崎町の場合は,舖装されていなく,且つ,全般的に一般地盤より2〜3m程度高くなっていた関係上波の抵抗が強かったための被害である。その反面,これ等道路により,波の勢を或る程度喰い止め,住家等の被害を減少せしめた効能は特筆の価値があり,将来の道路の改修に当っては充分考慮すべき問題の一つであろう。これ等の被害カ所は取敢ず応急復旧工作を行い交通路の確保をなしこれによる支障は極めて少いものであった。また今回の津波災害によりバイパス線の有無は応急対策及び復興対策業務の遂行の上に明暗二面の範例を残している。
即ち,大船渡町の被害激甚地である浜町以北の国道,八戸一仙台線は平常圭要幹線道路として交通の動脈的存在であったが,流失倒潰家屋,流木等が一面に山積し,これの復旧には相当の時日を要したのであるが,幸いにも,大船渡小学校前より盛町茂山にぬける都市街路,笹崎一田茂山線が開通して在ったため,これを全面的に利用することにより,全ての救護活動が円滑順調に遂行できたのである。
反面,赤崎町の場合は,大船渡町より赤崎を結ぶ盛川川口線の振興橋30mと川口橋158mが流失し,盛町より綾里を結ぶ県道,盛一綾里線が唯一の連絡線であるが,これまた赤崎町字佐野以南が不通となったため,救護隊の輸送,食糧,救援物資の運搬並に復興対策業務に著しく支障を来す結果を招来した。
これ等の事例は,前期の道路の津波等に対する防災上の使命を兼ね備えることと共にバイパス線の必要性を如実に証明している。
次に区画街路の問題であるが,大船渡町は区画整理が完了して居たため別段の支障は見受けられなかったが,鉄道が町の中心を南北に縦断しているため街路計画が理想的に樹立出来なかった関係上概して街路の巾員が狭駐のため応急作業に支障を来した。一方中赤崎地区は,住宅が密集し,これに反し,区画整理がなされず,道路が少く且つ狭隘のため避難を困難ならしめると共に,その応急対策事業の推進に著しい支障を来す原因となった。したがって,幹線道路の新設,改修に当っては,巾員を可久的広くするとともに,区画整理の施行と,区画街路の設計については防災上の考察を充分に加えて実施す
べきである。

2.橋梁

橋梁の流失は,川口橋158m(木橋),振興橋30m(コソクリート橋脚)下八坂僑20m(木橋)と大立橋の4橋で,うち,川口橋,振興橋は,大船渡一赤崎を結ぶ主要幹線道路盛川川口線に架設されている重要な橋梁である。
これ等の橋梁が流失したことにより,当然に盛川上流の佐野橋,中井橋の利用が重要性を増大して来たのであるが,佐野橋においては昭和17年に建設した木造の老朽橋にして,今回の津波により橋脚が洗われ傾倒したため車馬の交通止めの措置をとったものである。また佐野橋の上流に架設してある中井橋は盛町市役所通りより赤崎町中井を結ぶ市道上に在り,昭和33年度に新市建設事業として永久橋に架設したものであるが,前後の取付道路が不備のため,車馬の交通が制約され,その性能を満度に発揮されていない。したがって大船渡町と赤崎町及び三陸村綾里方面を結ぶ路線は,盛町権現堂橋を経て,猪川町を経由する約6k余を迂回することによって連絡を保っている。
一方,川口橋の復旧については,盛川川口線の路線変更と共に,永久橋に架設する計画のもとに,取敢ず木造の仮橋をもって交通の確保を企図したが,橋の性格上,早急に架設開通が必要とされたにもかかわらず被災後3カ月にしてようやくその完成を見たことは,各般にわたる応急対策業務が比較的頓調に遂行きれた中で反省を要する一つである。その要因は架設に必要な木材を国有林よりの払下げに依存した関係上,その手続き等の関係で予想外の時日を要したためであり斯かる緊急を要する場合の資材供給を国有林に依存することは,今後十分考慮を要すべき事項であると共に,国有林野は災害に対応する備蓄林分を保存育成し,災害時は地元営林署長に絶対的権限を与え弾力ある国有林行政を推進するよう改革の必要がある。また橋梁は,災害時においては被害を受けやすい架設物であり,交通の動脈的要素をもっている関係上,単に川口橋の流失に対する仮橋架設のみにとらわれることなく,大船渡,赤崎を分断する盛川に架設してある橋梁全般についての交通確保の対策を考慮すべきであったことが反省せられるものであり,水道工作に於て川口橋に併設して在った給水管が流失したため自営隊によって応急的に布設したのであるが,この際仮橋をもこれに附随して施行すべきであった。また,木造の橋梁は,単にその橋の流失による被害に止まらず,流失した橋梁用材が家屋に突き当り被害を増大させた事例を考慮するとき,永久橋に架替することが急務の一つである。

第2節港湾関係

1.港湾

昭和34年6月ll日,大船渡湾が重要港湾に指定を受け,これに併行し,臨海工業都市の港湾としての立地整備を実施中であり,総合的な港湾整備が未完のうちに今回の災害を受け,完成部分については,その被害は催少であり,部分的に工事未済の部位に被害を受けている。その被害カ所は25カ所,被害額33,759千円である。このことは,近代技術による港湾整篇事業が,総合的に完成した場合は,これに対する災害破害を最少限度に喰い止め得ることを証明している。
然しながら,港湾整備事業に於ける諸施設は,海底浚渫の土砂を埋立したカ所に設置する場合が多いため,海水の浸入により,これ等土砂の流失により建設物の倒壊が見受けられる。特に護岸施設については,これに接続する背後の舖装等が,埋立土砂上になされるため,土砂流失に伴い,背後の舗装が陥没し,更に護岸施設そのものが倒壊し,被害を受けた例が多い。したがって護岸背後の関連工事は充分に調査研究の上施設すべきである。このように被害を受けた一つは,現在大船渡魚市場で使用中の県営岸壁で約40mの矢板倒伏のため漁船の接岸不可能となり,盛漁期を控え,市民経済に及ぼす影響が大なるものがあり,仮桟橋の架設を計画し,大船渡営林署より資材の払下げを受け,7月下旬,その竣功を見ている。
この場合の資材の払下げについては,国有林野の経営計画の関係上,大船渡営林署長の権限内で払下げがでぎ,申講してから僅か一週間以内の短時日で引渡を得たことは橋梁用材その他の払下げの状況と比較して対照的であり,極めて順調に進捗した応急対策業務の一つである。

2.漁港

大船渡市の漁港は,第三種大船渡漁港と,第一種,蛸浦漁港,長崎漁港,泊里漁港,門の浜漁港の四漁港がある。
第三種大船渡漁港は,昭和30年度より,漁港修策事業を継続施行中のところであるが,今回のチリ地震津波においてはほとんど被害がなかった。
第一種,長崎漁港は施設そのものの被害はなかったが,流失土砂により海底が埋積されたため,1,538m^3の浚渫について農林省の査定を受け工事費1,533千円をもって復旧事業を施行することになっている。
蛸浦漁港については,護岸の欠潰21.3mの被害を受け,これも長崎漁港同様,査定を了て,総工事費978千円で復旧する計画になっている。
泊里漁港及び門の浜漁港については,昭和8年の三陸洛岸の大津波には決定的被害を受けたのであるが,今回の津波災害においては,ほとんど被害を受けなかった。
然しながら,現在の漁港修築事業は部分的な施行であり,漁港区域の一部に護岸施設をすることにより,他の面の被害を増大する場合が多分にあり総合的な漁港修築事業を実施する必要がある。
漁港護岸は,コソクリート護岸はほとんど被害が見られず,練積石垣,空積石垣,においてはその被害は大であった。特に埋立地における室積石垣護岸における被害はまことに大なるものがあり,今後この種護岸の築造は原則的にコンクリート護岸とし,被害を予想されないカ所において練積石垣を行う場合においても,裏込工は充分留意し,盛土流失による倒潰を防止する様施行すべきである。

3.海岸保全

今回の津波災害の特徴は湾の最奥部に特に甚大なる(重点的に〉被害をもたらしたもので,海岸保全施設の防災上の効果を判定する資料はないが,施設すべき場所と,用地が解決さえすれば,船舶,流木等を防止し,波勢を弱める意味から,防汐林等の施設の有効なことは言をまたないところである。然しながら,臨海工業都市としての性格は,湾口より奥に入るにしたがって,これ等の施設整備を許さない現況にある。
現在市内における海岸保全施設は,赤崎町合足,末崎町門の浜の2カ所に県営の防汐林が在り,今回の津波の被害が殆んとない地域であるが日常生活においては勿論,今同の津波の防災上にも,大いなる成果を収めている。これ等の海岸保全施設は,単に防災上の対象とすることなく,日常市民生活と,魚付その他経済効果を多角形的に考察の上,計画的な施策を樹立,推進すべきである。
また,海岸護岸施設については,概して見るべき施設がなく,背後地の被害を増大したが,襲来する津波を直接受け止め,そのエネルギーを弱少化するこれ等海岸施設は総合的な都市開発の構想のもとに築造計画を樹立しこれが実現を急ぐべきである。

第3節農地関係

1.耕地

耕地の被害は,水田52.h72,畑15.h02,合計67.h74であり,被害戸数,509戸である。水田については,田植直前であり,精神的にも大きな打撃を受けたのである。市としては,出来る限り田植の実施を期すべく,近隣各市町村に種苗の応援を求め,三陸村4,900把,江刺市6,150把,陸前高田市5,500把及び市内日頃市町5,900,立根町550,猪川町350,その他,1,020把の苗を取得,これを大船渡町400,末崎町9,090,赤崎町8,830盛町7,050把を配分,極力水田植付の実現を期した結果,約5hの植付が完了したのである。
今回災害を受けた水田中,盛川右岸,II14号線以南約7hは,昭和34年にその隣接地7.4hを買収し,浚攫土砂をもって埋立し,工場敷地の造成中のところ,今回の災害により,その土砂が流入し,域はガラス,釘,板片等多数が埋浸してあるため,これの復旧は極めて容易でなく,此の地域は工場用地として計画されてあるので,此の際県に於て買収し,工場用地の造成を図ることが双方得策であるとの観点から,県に強く要望して在るところである。
これと合せ,盛川左岸の小野田セメソトKKにおいて用地買収した残約2hも,同様県に要請してあるが,何れも県当局において検討を約している。然しながら,従来の用地買収においては,買収価格等が問題になり,円滑な進行を欠くが如き例があり,今回の場合は災害という特別事態でもあり県及び地空共々大局的見地に立って決定すべきである。
また,これ等被災作物に対する農業共済については,被災後作付し収穫皆無のものに対しての共済金は100%交付され,植付不能のものに対しては50%が交付されることになっているが,収穫皆無が予想される被災耕地であっても,植栽するよう指導した町村もあると聞いているが市としては,植付しても収穫が期待できない水田に対して,単に共済金の受給のみを対象として植栽するが如きことは,不経済極まりないことであり,これについては敢えて植栽を推奨しなかったわけである。
共済金の交付については,植栽不能のものに対し,仮払として70%(反当見込7,300円×0,5×0,7=2,555円)を給付して在り,現地評価は9月下旬実施の予定になっている。(35年7月現在)
然しながら,農林省のこれに対する助成等の関係により実際の交付は,明年2〜3月になる見込である。
斯かる災害害に対する農業共済に関する問題点として次の事項が揚げられる。
A 農業共済は,農作物に対する保険制度であり,農地は対象となっていない。これは作物と土地の関連性を無視したものであり,これを関連せしめて,災害融資と,共済制度を同一制度の中で取扱うべきである。
B 今回の災害により作付不能となった水田等に対しても,共済金を100%交付すべきである。これは,農業の基盤は,耕地である点からして,零細農民のおかれている経済状況を充分に斟酌して,共済金を対象とした収穫を期待し得ない作付を敢えて実施するような愚をさけべきである。

2.農道

農道については,今同の津波災害においては直接の被害がないが,ただ災害時におげる救援活動において,大船渡農道及び佐野農道の果した役割は非常に大きい。これ等の農道は,避難時における家財家具の運搬とバイパス線の性格を発揮し,業務遂行に余すところなく利用されたのである。今後における農道の新設改修にあたっては唯単に農地との関連性のみにとらわれることなく,将来の都市構想上の土地利用計画との関連を考察の上総合的視野のもとに計画推進すべきである。
また,暴風雨による農林道の被害の大半は暗渠,測講等の排水施設が不備のため生ずる被害である実情であり,此の点技術的にも充分検討の上施工すべきである。

3.水路

津波災害における水路の被害は,盛川両岸の水田地帯にあるものと,中赤崎地区がその大多分であり,盛川右岸は,盛町より都市水路事業として改修中のものがあり,これは海面との標高差が僅少であることに加え津波による流失土砂等により埋浸し,排水を停滞せしめた。

また,盛川左岸地区の水路については,岩手開発鉄道の小野田セメント引込線構築により耕地が両断され,要所は,暗渠等により排水の連絡を保って在ったところであるが,これ等の施設が泥土等により閉鎖され長期間の滞水を余儀なくされた。
中赤崎地区の水路についても,これと類似した現象を呈し,特に県道を横断する暗渠は口径が小さく,日常の出水に於てもその呑吐能力が不足していたところ,今次災害により,土砂,木片等により閉鎖され,耕地は勿論住宅地が水滞し,その復旧に著しい支障を来した。
一般水路については,埋浸した土砂等を除去することにより,容易に排水能力を復活せしむることが可能であるが,道路,鉄道等の曙渠の場合は復旧が難かしく,これ等は早急に口径の大なるものに改修する必要がある。

第4節水産関係

1.養殖事業

市の養殖事業の主たる,かき養殖2,450台中,2,434台が被害を蒙り,のり養殖1,970張のうち,2,273張が被災している。
かき養殖事業は,潰滅的打撃を受けたのであるが,のり養殖事業は45%程度の被害に止り,これは,盛漁期は既に終了し,施設の徹収中であったため被害を半数に止めたものである。
かき養殖事業については,津波襲来時は例年なれば80%程度の収穫が終了し,残の20%位は,罐詰用の鮮かきとして出荷中である時期であったが,本年は1万屯岸壁の築造に伴う海底浚渫のため,その汚水が湾内に流失したため,かきの生育が非常に悪く,その60%は今秋の収穫に繰り廻さざるを得ない状況に在ったため,養殖事業者としては,最も期待をかけていた重要な時期に被災し,被害を増大ならしめたのである。
これ等養殖事業施設については,この種の災害に対応する決定的防災対策はなく,問題は,その復旧の如何に在ると考えられる。今回の場合は,養殖筏,及ぴ浮樽等の資材を確保すべく直ちに大船渡営林署に対し国有林材の払下げを申請し,浮樽材520石(2,097個分)長木21,375本を確保すべく,関係漁業協同組合と共に運動を押し進めたところであるが,川口橋の仮橋材同様,青森営林局の払下げ方針の確定に時日を要したため7月下旬において,第一次払下分として長木,浮樽材、8,365本,2,855石の払下が決定した。これ等資材のうち,5,539本は市長名で払下げ契約をしたため,代金の支払については6カ月間の延納が認られている。
また,政府は,水産業施設の災害復旧の特別措置法をもって,水産動植物の養殖施設に対する助成措置を講じ,復旧事業費が3万円以上のものの事業費のうち10分の9の範囲内で助成することになっている。
然しながら,これら施設の災害査定は,災害後3カ月の8月下旬に実施され,果して実情に即した査定が可能であったが否かに疑問がもたれるとともに,実質的助成が遅延する原因ともなり,一考を要する問題である。
8月下旬における復旧状況は,赤崎漁協は65%,大船渡,末崎両漁協は45〜50%程度である。
かき種,縄,コールタール等の資材については,各漁業協同組合において夫々手配斡旋し,復旧の満全を期した。又流失筏その他の回収については地元船舶,及び,三陸村等の動力船の応援を求めると共に,赤崎漁協などでは組合員を動貝し,共同作業を10日間も続け施設の復旧に努め,そのテンポを早からしめた。このことは,共同作業の成果を如実に示したものであり,今後の災害復旧に対し良い示唆を与えたものと考えられる。
また,市の工業都市の立地整備事業の進展にともない,湾内養殖事業の転廃業の問題も台頭して来ている今日,これについて真剣に検討を加え,計面的に推進する方策を樹立すべきである。

2.漁船,漁具

当時,市内の漁船保有総数は1,324隻であり,内無動力船は1,ll5隻であった。津波により災害を受けた漁船は,無動力船で250隻,動力船43隻であり,うち,滅失,大破,中破は,無動力船で250隻,動力船は43隻である。これ等の被害は,零細漁民が,そのほとんどを占める当市の漁業に大きな打撃を与えられたのである。これは日常の漁業は勿論,年間の生計費に大きな影響のある若布の解禁を目前に控え,且つ,漁船の築造に用する船材は製材の上,徹底的な乾燥を必要とする関係上ll月から解禁される飽採取の出漁をも危ぶまれている。
これに対し,市においては,各漁業協同組合と共に,大船渡営林署に船舶用材の払下げを中請し,陸前高田市矢作町枡内国有林より121本536石の払下げを得て伐採搬出中であり,なお第二次分として,同国有林からの69本の追加払下げが決定してある。市においては,漁業振興の一還として,無動船の動力化を推奨して来ているが,漁船の復旧建造にあたっては,漁業協同組合は此の機会に動力船の建造を推進すべきである。(35年10月現在)政府は,小型漁船の建造に関する特別措置法により,無動力船及び5屯以下の動力船に対し,漁業協1司組合が建造する場含は,3分の2を下らない率によって補助があることになっており,7月に査定が終っている。
漁具被害の主なものは,定置18力統,その他19件で融額47,518千円に及んでおり,定置の場合は盗漁期を控えその打撃は大きかったが,反面その復旧を早め全てが操業している。これ等に対し天災の融資暫定措置法の一部改正法により,漁具の購入資金の場合は1,000万円,かき養殖施設は50万円,その他の漁業経営に必要な資金の場合は20万円を限度とする措置をとっている。

3.水産施設

水産施設については新農事業により一応整備が備ったところであったが今回の津波により水産用建物の被害は赤崎,大船渡両町会合せて217陳,共同利用施設は赤崎15棟,大船渡39棟で末崎町に於ける被害が皆無であったことは,チリ地震津波の特質を物語っている。これ等の水産施設は,何れも海岸に建設されて在るため被害の増大を見たのであるが,特に護岸工事が施行されず簡単な杭などにより埋立地を保護して在ったカ所とか或は貝殼等によって埋立たカ所等,識岸と地盤の弱体なカ所に建設した施設は,何れも決定的な被害を蒙った。
これ等の復旧作業は,住宅とか,或は養殖施設の復旧がその緊泡度からして,第一義的に取上げられた関係と吏に,水産業施設の災害復旧の特別措置法による,農林水産業施設災害復旧事業費国庫負補功の暫定措置に関する法律の特例の適用により,共同利用施設の復旧事業がその対象となる関係上,被災の現況により査定を受けることになっているが,未だに査定がなされず,かき処理の盛期を目前こして,その復1日に着手できない状況におかれている。(9月10日現在)
このような政府関係機関の災害現地の実情を無視した取扱については,如何に法的に規定された助成事業であっても,現地に適応した実施手段を講ぜざる限り画餅に等しいものであり,災害時に連日の如く来市した政府機関の現地調査も,何れだけ適確に実情の把握をしたのか厳に反省検討の必要がある。

第5節住宅関係

仕宅関係の被害は,大船渡町及び赤崎町に限られ,末崎町の場合は,床上浸水90,床下浸水48である。
大船渡町の場合は永井沢以南は末崎町同様床上浸水及び床下浸水程度で,それ以上の被害がなく,浜町より赤沢に至る所謂,繁華街が潰滅的被害を受け,全壊212,流失189,半壊568,浸水94である。この地域の被害が非常に大きかった理由を考察すると,凡そ次の項目に分れるものと考えられる。
A,チリ地震津波の特徴は,波長が非常に長く,湾口より奥に至るにしたがって,波高が高くなり,その勢が増大した。
B,これ等の地域は,区画整理事業により家屋の移転がなされ,基礎が完全でなく,且つ基礎と家屋の土台がアンカーボールトにより締結されていなかった。
C,区画整理により土盛された敷地が多く,津波の波長が長かったため滞水時間が長く,したがって,敷地の危弱化が増進された。
D,木造家屋が多く,然も老朽化した建物が多数を占めていた。
E,漂流船舶及び流木の衝突による被害が多い。
F,1万屯岸壁及び,その背後の公共用地周辺の護岸が図らずも導水堤的な役割を呈し,台町,赤状地区の被害を増大せしめた。
G,家屋が密集していたため1戸の倒壊流失は連鎖的に他の家屋に被害を与えてた。
以上が被害を増大せしめた要因として見受けられるが,家屋の建築形態の面から検討を加えて見ると
A,木造モルタル建築は被害が少い。
B,ブロック,鉄筋コンクリート建は浸水程度に止まり家屋の被害が殆んとなかった。
C,基礎が堅固で,アンカーボールトを使用している家屋の被害は僅少に止まっている。
D,コンクリート製の電柱等が近くにあった家屋は大きな被害を受けていない。但し木製の場合は,倒伏・折損により流失し,かえって被害を増大せしめている。
E,二階建の家屋は,二階が浸水しなかったため,災害後の居住が容易であり,復旧を早めている。
F,正四辺形の建物は被害が少く,凹凸のある複雑な家屋だけ被害が大きい。
G,直接壁が露出している部分は非常に弱体である。
H,床板が柱その他に固く締結されてある家堅は,その浮力により建物の流失,倒壊を助長せしめている。
1.敷地が盛土の場合は被害が大きい。
赤崎町の場合は,被害は中赤崎地区が最も激甚で,永浜以南は浸水程度に止まり,佐野地区に若干の浸水家屋を見ている。中赤崎地区の被害を大ならしめた原因については,大船渡地区の場合と大同小異であるが,特に相異する部面は次のとおりである。
A,小野田セメント東側突端と,赤崎農業協同組合背後の台地の中間が平担地となって東に深く湾入し,この地域に住宅が密集していたため,津波がこの地域に集中して来た。
B,昭和8年の三陸津波直後,県道,盛一綾里線は当時の津波の波高を対象として新設したのであるが,今回の津波の場合はこれを越えて背後の低い住宅地帯に浸入滞水し,被害を大きくした。
C,家屋は一般に老朽化したものが多く,然も基礎は簡単な天然石を使用したものが大多分であった。
以上は住宅関係の被害の現況であり開題点でもあるが,冒頭において述べた住家の被害の外に,非住家の被害は,大船渡町495戸,赤崎町291戸,末崎町90戸があり,これ等建物の被害は総額1,392,679千円に及んでいる。
これ等被災者に対しては,大船渡小学校,大船渡中学校,赤崎小学校,台が丘保育園等に夫々緊急避難所を設け,収容したのであるが,このことについては「避難及び救護の現況と問題点」の項に於て述べることにする。

1.応急仮設住宅について

災害救助法による応急仮設住宅115戸の割当を受け,大船渡町赤沢地区に55戸,大船渡町明神前地区30戸,赤崎町山口地区に30戸を建設し,7月上旬それぞれ罹災者を収容した。
応急仮設住宅についての問題点については特段のこともないが,設計上については,1戸当りの建坪が5坪であり,その中に各戸毎に0.25坪の便所が取り付けられ,衛生上非常に悪影響を及ぼしている。これは数戸或は10数戸毎に共同便所を別棟に設け,現在の便所は,押入等に別用するよう設計することが望ましい。

2.住宅金融公庫災害復興住宅資金について

住宅金融公庫災害復興住宅資金の貸付は,建設30万円,補修15万円になっており,これに対し,市は債務保証をすると共に受付審査事務を開始した。その結果8月末までに取扱件数は次のとおりである。
認定書交付件数355件
適外件数89件
認定件数267件
内訳 建設162件 補修105件
認定件数267件のうち,昭和35年度において施行するものは220件(214人)であり36年分は14件,その後辞退したものは33件となっている。
これ等の申講手続ぎについては臨時職員3名を増員し,処理したのであるが,内容審査に於て,税金の滞納があったり,整地に抵当潅が設定されてあったり,或は,又,償還額に対する収入面の不足があったりして,審査には相当の難色があったが,これ等の点にっいては意見書をつけて住宅公庫と折衝し,貸付承認されることができたのである。この事務手続きについては,非常に複雑で且つ,添付書類等の関係上一部市民が多分に戸惑いを来し,事務当局に対する非難の声が大きかったが,これは住宅金融公庫の融資基準等が厳しかったのと受付当初において当事者の不馴れによるものと考えられるこれについては,申請手続きの内容を簡易化する必要が認められると共に,市が債務保証することの前提に立ち,受付審査事務の簡略化,並びに融資基準を緩和する関係法規等の改正が望ましい。

3.災害公営住宅について

災害公営住宅については総計170戸の割当を受け,昭和35年度において,102戸,昭和36年度は68戸を建設の予定であり,昭和35年度建設の内訳は表のとおりである。
災害公営住宅の入居は,罹災者が原則であるが,将来罹災者以外の者が入居する場合においても,その入居料は罹災者同様,普通の公営往宅より安い料金で入居することになっており,この場合一公営住宅の入居者との均衡がとれず,これの取扱が今后の問題点の一つである。

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災害公営住宅
4.住宅の応急措置について

災害救助法に基き,災害により半壊した住家を対象とし,居住のため必要な最少限度の部分を応急的に補修し,居住の安定をを図るため,県知事が現物給付をもって実施するのであるが,今回の災害においては159件の枠をもって1件20,0000円の範囲内で実施したのである。
これの対象となるのは
A,住家であること。
B,住家が半壊したものであること。
C,災害に起因するものであること。
D,当面の日常生活が営み得ない状態にあること。
E,自らの資力をもってしては,応急的修理ができないものであること。
等であるが,第5項の限界が明確を欠く点があるので,今回の場合は,最大限の枠を確保し,できるだけ広範の罹災者に対し実施したのである。
結果においては,いろいろと異義の申立てがあったが,これは,被害状況調査の不徹底と前述の如く,資力の限界が明確を欠いている関係上,止むを得なかったものと考えられる。
唯,罹災した市職員に対しては全面的にこれの対象として除外した取扱については,市職員としての特殊な立場を考えての措置であったが,この様な考え方それ事態が変則的であり,強く反省せられる点である。

5.中高層建築について

今次のチリ地震津波の住宅に及ぼした被害は,鉄筋コンクリート建のものについては殆んと被害を見なかった関係から,火災予防をも兼ね,且つ商店街の近代化を併せ中高層建築の奨励を取り上げ,大船渡町岩手罐詰工場以北雷報電割局の間の鉄道より東側約29.2haを準防火地域に,又その中の要所延長1,860mを防火建築帯に指定を受けるよう関係各省に申講中である。
この防火建築帯のうち15件,延建坪2,354坪を中高層融資の申講中である。
この建築に当ってはの問題点としては
A,建築費が厖大であり,0.75の融資金の償還が極めて容易でなく現在の市民経済から見て大衆的でない。
B,中高層建築費に対する地方公共団体の補助額が多額にのぼり,地方財政に及ぼす影響が大である。
C,標準建築費が低く実情に合致しない。
以上住宅関係における総体的に検討を加えて見ると次のとおりである。
即ち,この表で見ると,自力で建築を要する戸数はわずかに25戸であるが,実際には更に多く,120戸位と推定される。その差は結極災害公営住宅に影響し,将来仮設住宅に入居している罹災者を,逐次これに収容して行くと共に,或る程度,罹災者以外の入居も止むを得ない事態となることが予想される。

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被害家屋
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希望数量を取りまとめた結果
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申込及供給数量(9月15日現在)
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価格表
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各種復興資材斡旋数調べ(9月15日現在)
6.住宅復興資材について

住宅復興資材については,特に木材に重点をおき,円滑に資材を供給することと,更に災害による需要の増大に伴う価格の高謄を防止する両面の目的をもって,積極的にこれ等業務にあたったのである。
以下各項によりその大綱を記述する。
A木材について
住宅復興用木材については,質,量の問題があり,国有林からの払下に依存する方針のもとに災害後直ちにその概数をもって払下げ申請したのである。
払下中請数量
住宅用材163,720石
浮樽用材3,000石
船材5,000石
長木材30,000本
その後,罹災者より希望数量を取りまとめた結果約
B,900石(素材,9月7日現在)の申込を受理したのである。然しながら,国有林当局の払下方針は,流失60石,全壊40石,半壊20石(素材石数)の基準によるため申込数量を満すことが期待できず,県有林より払下げを申請し確保に努めた。
以上の不定数量2,880石にっいては,矢作県有林を昭和35年度事業として約5,000石を伐採造材中であるので,これを充当すべく目下折衝中である払下げ確定のものについては,一応営林署払下基準石数により,供給中であるが,その方法は
(1)払下げ契約は市長名により締結するが,現物の受領及び代金の支払は製材業者組含において代行する。
(2)製材業者は払下素材を製材し,災害直前の価格
(営林署よりの払下げ価洛は災害直前の市場価格による)で被災者に供給する。
(3)市は前述の基準により,申込者に購入券を交付する。
(4)被災者この購入券により,指定された製材工場に行き現金にて購入する。
以上復興資材の需給については,関係製材業者の良心的協力により,予期工上の成果を収め,特に,供給数量の多少は何れにせよ,木材価格の高騰を或る程度防止し得たことは特華する価値があると考えられる。
B畳について
一度浸水した畳は,洗濯,乾燥しても,使用にたえない関係上,これに対する対策は木材同様重要な課題であった。県商工課より,これに対する斡旋の連絡があったが,これは同一の規恪のものに限られており,佳宅の間取に適合しない面が多分に在るを考えられて検討を加えていたところ,市内製畳業者より献身的な協力を得て,市価の15%引きの価格で需給が可能となり,購入努によりその洪給を図ったのである。
供給数量及び価格は下表のとおりである。
Cその他の資材について
一方釘,ガラス,トタン,セメントについては,県商工課よりの斡旋により,盛岡市森政吉商店一大船渡市橋爪商事KKを通じて約O.1引きにて賊入券を発行し,供給に努めた。
又,フトン類については,盛町千葉長フトン店より0.1引にて斡旋している。これ等各業者の協力については,衷心より感謝の意を表すものである。
こら等復興資材対策のうち,木材の需給確保についてぱ,殆んとが国有林より払下げに依存したのであるが,現行の国有林野における施業計画の範囲内で木材供給の操作を実施する基本方針を堅持した関係上,青森営林局の具体的払下げ手続の方針決定までに時を要し,特に地元営林署管内以外の,他の営林署よりの供給する場合は,その瞥内の製材業者の手により製材の上,按災地に供給するため,実情に則せず,且つ,配分,代金回収等が繁雑を極める結果を招来した。
幸い大船渡製材業協同組合の協力により,これの供給には一応の見通しがついているが,これは,斯かる大災害峙に於ても,なおその施業計画の範囲内で操作せんとするために生ずる不合理な面であり,いたづらに時日を要し,且つ被災地の業務を繁雑化せしめる基因をなしている。すべからく大災害時における復興木材供給は国有林に依存せざるを得ない現状でありこの場合の需給調整を敏活,適切に措置するためには,国有林野内に災害に対応する備蓄林を保有し,被災地を管内とする営林署長に,相当高度の権限を付与し,実情に即した措置を推進することを望みたい。
D 罹災都市借地借家臨時処理法の適用について
罹災地域のうち,大鉛渡町は,市開発の中心地であり,市制施行以来,人口の転入が多く,これにしたがい借地,借屋により住居及び営業を営む数が非常に多く,今次の災害により当然にこれに関連する利害問題が提起された。
市はこれの対策として,「罹災都市借地借家臨時処理法」第25条の2の災害及び同条の適用する地区としての指定を受くべく関係機関に彷ぎかけ昭和35年6月20日,政令の制定を見,宮城域県志律川町とともに法の適用地区となったのである。これの運用については,早速借地借家に関する相談所を設け大船渡簡易裁判所長,浅野弁護士,その他関係者の全面的な協力によりこれ等問題の処理にあたったのである。
然しながら,古くからの地主,家主対,借地借家人としての因襲は,法の適用を得たとはいっても,簡単にこれを打破することができず,問題解決には関係者の努力にもかかわらず難波を来したのである。

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申込及供給数量(9月15日現在)
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価格表
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各種復興資材斡旋数調べ(9月15日現在)

第6節商工金融関係

商工関係の被害は,被災事業所数514,被害額3,058.700千円に及んでいる。内訳は,大船渡町414事業所,2,703.990千円,赤崎町43事業所323,720千円,末崎町57事業所30,990千円となっており,大船渡町は,商工関係の事業所が集中的に存在していたため,その被害件数,被害金額共断然多く,赤崎町は件数は少い割合に被害額が多くなっていることは,小野田セメント工場の被害額が多いことと,被害激甚のため,施設及ど建物の被害が大きかったことに基因するものと思考される。末崎町の場合は,一般住家の被害同様,単なる浸水程度の被災に止まった関係上,その被害も比較的僅少にとまっている。
農林,水産業等に対しては,その被害の程度により,或る程度の助成等がなされているが,商工関係に対しては,この種の助成措置がなされず,国民金融公庫よりの事業資金の貸出し,或は商工中金による協同加入者を対象とする貸付,及び市中銀行よりの一般融資等の資金融資による以外に復興の方途がなかった。
然しながら,資金融資が潤沢になされ,中小企業における従前の小口借入等をこれに切替えた関係上,その資産内容は,災害前より向上した企業もあるが,反面零細者の借入れが充分でなく12〜13件が審査の結果除外されている。又,商業業における,問屋と小売店の特殊の関係は,個々の関連において大なり小なり商店の復興に寄与していることを見逃がすことができない。特に大船渡町における商店街の驚異的な復興は,資金の融資が予期以上に潤沢で,且つスムースに取り運ばれたことに基因する。
これ等の資金融資については,商工会議所が挙げてこれにあたり,借入れの接捗から,融資相談室の設置,借入事務手続等,災害発生直後から連日不眠不休で活躍を続けた結果によるものである。
以上の如く,大船渡市における資金融資額は,574,199千円であり,借入後6カ月後より発する償還は,月平均10,000千円であるが,大船渡,盛の商業関係における売上高は年間約1,500,000千円であり,収益,O.1と見て1カ月あたり12,500千円となり,償還についてはさほどの心配の必要がないと見ている。
農林漁業関係の復興金の融資状況は次のとおりである。
これ等各般にわたる復興資金の融資状況は極めて潤沢であり,復興は予期以上の早さで進められており,災害復興のための資金融資の総括は次表のとおりである。

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災害復興関係資金の融資状況
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農林漁業関係復興資金調べ(9月20日現在)
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復興資金融資状況総括表

第7節上水道関係

上水道施設の被害の大なるものは,川口橋に併設さたてあった赤崎町への給水管約150hと,振興橋併設の給水管約30mの流失であった。その他については,消火栓破損10カ所,各戸給水栓破損約300カ所であった。
大船渡町については災害当初は,流失,倒壊家屋の下敷となっているため実態の把握には非常に困難を極めたが,水道工事指定店から応援を求め,調査即修理の方針で,消火栓及び各戸給水等の漏水カ所の止水に全力を注ぐとともに,消毒塩素は平常の2〜2.5倍を注入して給水した。
然しながら漏水カ所多量のため給水のロスが多く,午前から午后にかけて1日4回,30分づつの時間給水を実施し,夜間は断水したのであるが,5月26日にいたり,修理状況の進捗とともに,時間給水を緩和して1時間おきの給水措置をとった。
また,盛岡市水道部より技術者の応援る得て,26日から向後1週間にわたる全面的な協力は,その復興を早め,29日において,各戸の給破損300カ所のうち270カ所の応急修理を完了し,30日動員態製を解いたのである。
赤崎地区の給水については,前述の如く,振興橋,川口橋に併設して在った給水管約180mが流失したため,後の入川を水源とする小野田セメント大船渡工場の専用水道を赤崎線に切替え措置をとり,28日から陸上自衛除の応援のもとに,川取橋及び振興橋の水道管布設工事を進め,31日から給水の運びになったのである。
末崎町に対する給水については,大船渡地区の応急修理の進捗と共に5月30日に至り給水可能となった。
以上は上水道関係にあける応急工作の現況であるが,これ等の工作を進める上に問題点として指摘される事項は次のとおりである。
A 水源地及び浄水場が1カ所であり,幹線給水管の被害により,全面的に給水が不可能となった。
B 上水道事業においては,直営工事がなされていなかった関係上,工員がなく全面的に他の応援を求めた。
C 応急資材入手が困難で,応急復旧は時間を要した。
D 前記B項において指摘した如く,技術職員が少く,水道破損カ所等の発見修理に手間どった。

第4章公共施設の応急工作の現況と問題点

第1節電力関係

大船渡市における電力の主宰は,東北電力KK大船渡営業所に於いて行っているが,チリ地震津波により,大船渡変電所より,大船渡町の商店街を通り末崎町碁石に至る所謂,南線のうち,大船渡町赤沢より同町笹崎間が,電柱の倒伏流失により決定的な被害を受け,又,大船渡変電所より赤沢を経て小野田セメントに至る配電線が全面的に流失し,大船渡,赤崎,末崎への送電が完全に杜絶したのである。
東北電力大船渡営業所では,災害が発生すると共に津波の第二波,第三波の襲来がなお継続されている中を,直ちに被害調査を実施すると共に,会社傘下の各営業所並に関係業者に対し,緊急応援態勢を要請し,花巻,一関,水沢,盛岡各営業所は24日夕刻現地に到着し,既に作業に従事していた関係業者と合流,直ちに作業に着手し,向得,6月9日迄,復旧作業に従事した人員は,営業所関係延241人,関係業者延182人の動員により,復旧作業の急速な進捗を見たのである。
一方,釜石営業所の配電課長がヘリコプターで飛来し,災害状況を調査の上無電をもって復興賃材の手配にあたった。
応急復旧の方針は,食糧確保上精米所への送電と罹災者の避難先として予想される,学校,公民館,寺院,及び山手の佳宅地帯への送電を重点とし,直接被災地域の復旧を第二次として取り上げている。
以上の方針に基き,先づ,大船渡変電所より碁石に至る南線を,大船渡町赤沢より,同町笹崎安定所の地点までを,都市街路,笹崎一田茂山線に側うて応急的に切替え,24日夕刻には早くも送電を開始し,災害発生当日の午後8時から大船渡町の被災地域を除いた山手の住宅地帯と,末崎町全域に対する点灯が再現したのである。一方赤崎地区に対する送電線は,大船渡赤沢より工場用地を得て盛川を横断し小野田セメソトに至る間が完全に流失した関係上,取り敢えず,変電所より小野困セメント工場に至る6万ボルトの送電線を利用送電し,小野田セメント工場において変圧の上,26日午前9時より赤崎地区への送電が再開された。一応これ等,応急施設が終了すると共に大船渡地区,南線の復旧を押し進めるとともに各被害家屋に対する引込線の復旧が成り,5月30日夕刻から罹災地域に対する点灯がなされたのである。
また,赤崎地区への送電線は,変電所より佐野を経由する経路を新設する作業を進め6月中旬にその完成を見,6万ボルト送電線の利用はこれに切替えられたのである。これ等復旧事業に要した資材の主なものは,コンクリート柱12本,木柱ll7本,配電線4.2屯,引込線15,700mに及んでおり,盛岡より輸送して充当したのである。災害時における無灯の状態は,被災者に与える精神的影響が極めて大なるものがあり,東北電力KKが,今回の災害において執った敏速且つ適切な応急復旧措置は,驚異的であり,民生の安定に寄与した点はまことに大なるものがある。
また,これ等復旧作業において,陸上自衛隊のグレンカーの協力が復旧作業の推進に果した成果が特筆の必要があろう。

第2節通信関係

大船渡電報電話局は,今回のチリ地震津波により,局舎の一部が流失した外,倉庫,車庫,自転車置場等が流失し,局舎の二階建部分は辛うじて流失をまぬかれた。これは後日復旧作業を促進する上に非前に好条件となった。

A被害の状況

(1)市内線路関係
市内路線関係の被害は,津波による直接被害と,流木等による間接被害により電柱及び架室ケーブルに多大の被害を受けた。
大船渡町地区,赤崎町地区は電柱,架室ケーブル共被害を受け,盛地区方面,下船渡地区は,架室ケーブルの被害が主である。又,大船渡町地区の地下路ケーブルが浸水罹障したことは致命的被害であり,この浸水は架室立上りケーブルの切断カ所より浸水したものである。
電柱の流失,損壊120本,傾斜80本,架空ケーブルの流失533m等がある。
(2)市外線路関係
市外線路の被害は市内路線の被害程大きくなく,局前より盛方面に向け電柱の流失15本,傾斜6本と,赤崎地区で綾里方面の電柱1本流失,2本傾斜のみであった,一方高田局区内では,松原地区で6本流失,16本傾斜となっている。然し線条の流失並に弛粁数は48粁に及んでいる。ケーブル損害は大船渡局引込のもので盛方面第8号配線柱までのものである。
(3)宅内関係
加入者回線路障害によるものと,宅内障害によるものと,両者の障害が契合するものとあった。
宅内障害とは,引込線,保安器,屋内線,および電話機電池であるが,そのうち電話機障害の被害額が一番多い。これは冠水電話機でも塩水を冠ったものは乾燥させただけでは再用できないからである。
今次津波による大船渡局区内の不通加入者数は全加入者に相当する1,179加入であり,電話機の流失,冠水の加入者数は605加入で約50パーセントであり,全加入者数の半数以上が電話機取付場所よりも高位の所まで浸水被害を受けたことを裏付けている。
(4)PBX関係
PBXの被害は大船渡局区内の大船渡水産市場,太洋産業,錦屋旅館,堺屋旅館の4カ所で交換機は何れも冠水し,構内電話機は流失8,冠水35となっている。
(5)手動関係
手動関係は500A,H苛性ソーダ室気電池15コと局内ケーブル24mの被害だけである。
(6)電信機械関係
電信関係は局舎流失に伴い一切の機器が流失,又は冠水被害を受けた。

B災害応急復旧の概況

局舎被災のため5月24日より5月30日まで7日間臨時電報電話局を盛高等学校に仮設したが,その間の各般に亘る応急装置状況は次の通りである。
(1)被災当日の一般概況
セ4.40局含の一部流失の外,階下全室も2.2mの浸水
セ4.41電信電話共一切の通信杜絶
セ6.05緊急打合線盛岡大船渡間開通(市外線51号柱)
セ7.20局舎無人と化す(職員退避)
セ8.40非常対策本部設置(大船渡町茶屋前52の1平山宅)
セ10.30盛高等学校の借用方申入れ(仮局設置のため)
セ11.15遠野電報電話局より応援隊到着
セ11.40仮局設置場所確定(承諾通知あり)
コ0.05大船渡対策本部に盛岡緊急打合線開通(市外線35号柱より延長)
コ1.30盛岡,大船渡間警察専用線開通
コ2.30一関電報電話局より応援隊到着
コ3.00水沢電報電話局より応援除到着
コ3.00盛岡移動無線除到着(電信機械到着)
コ3.30臨時電報電話局開設(盛高等学校寄宿舎)
コ4.00臨時電報電話局に緊急打合線開通(既設併用)
コ4.30大船渡,釜石警察専用線開通
コ5.14電報受付業務開始(仮局,対策本部の2カ所)
コ6.00機械応援除盛岡より到着(交換機2台到着)
コ6.14盛岡,大船渡電信回線開通(方式音単)
コ6.20線路応援除盛岡より到着(線材到着)
コ6.20被災救援物資(毛布,医薬品,食糧)盛岡より到着
コ7.00大船渡,高田警察専用線開通
かくして応復旧体制並に設営救護体制が整ったので,徹夜で作業を開始した。
(2)局舎関係
(A)被災残存局舎
復旧工事は残存局舎を便用して実施することになったので,5月29日を目途に残存局舎を使用司能の状態にするため次の通り実施した。
L流木,備品類,泥土ゑ除去(消防団)
2.一般清掃(婦人会,青年団)
3.吸出,消毒,防疫,(市役所,保健所)
4.折損した柱2本の補強健替(清水健設)
5.夜警(警察署)
6.流失物の回収(職員,消防団)
7.局内マンホールの除水(消防団)
8.臨時灯の引込工事(電力会社)
9.上水道の復旧(市役所)
0.施設清掃,庁内電話の復旧,階上の一般清掃
(職員)
上記の各作業を関係の向きと連絡実施し,施設の復旧作業と相まって30日午後11時50分,被災後1週間目に原局で業務を開始することができた。
(B)流失局舎並に附帯設備の復旧
局舎の修理工事は清水建設(KK)の請負工事とし,原形復旧の原則で次の予定線表で実施された。
(3)施設関係
(A)災害応急工事の概況
1.仮局設置に伴う工事(5月24日—5月25日)
北方面の市外線を仮局に引込むため,市外32号柱までRDワイヤ及びゴム線を架捗する。(200m)
南方面の被害線を仮局に引込むため旧局まで16PRD1条を架捗する。(1.3km〉
盛方面の重要加入者を開通させるため16PRD2条を架捗する。(32回線分)
上記に伴う回線切替を行う。(端子函配線函で二重接続とする)
特100交換機2台及び分線盤の装置工事を行う。
ジャンパーを掛けて回線を収容する。
電信音単装置を印刷電信装置に方式変更するための工事を行う。
無電話地域に無線車を配置し災害対策本部関係加入者の通話を確保する。
2.旧局復帰に伴う工事(5月26日〜6月3日)
旧局舎より北15号柱までの建柱を行う。
16号柱より32号柱までの裸線修理を行う。
旧局舎より16号柱まで16PRD1条を架捗し市外線を接続する。
旧局舎より16号柱まで200P市内ケーブル2条,100P市内ケーブル1条を架捗する。
架捗後は上記ケーブルに接続鉛工する。
架捗後は上記ケーブルを16号柱にて400Pケーブル1条,100Pケーブルに接続鉛工する。
旧局舎より赤崎方面小野田前まで仮建柱を行う。
旧局舎より赤崎方面小野田前まで(川越230mを含む)16PRD2条を架捗する。(延4.2km)
赤崎町地区,大船渡町地区重要加入者の開通工事を行う(引込線路工事宅内工事)
RD収容のための仮分線盤を装置し,ジャンパー掛けを行う。
電信機械移装のたあの一切の工事を行う。仮局の施設を一切撤去する。
旧局より仮局までのRD1条の撤去を行う。(1.3km)
盛局重要加入者開通のRDを撤去し,端子函配線函の整理を行う。
専用回線全部の開通工事を実施する。
3.委託局関係工事(5月26日〜6月3日)
高田局区内は長部地区22加入,脇沢地区37加入,松原地区7加入,又只出局区内は三日市地区5加入の不通加入者であったが,災害対策本部支所関係の加入者を優先開通せしむることとし,他は月末まで開通を目途に仮工事を実施した。
(B)第一次応復旧工事と関連工事の概況
1.改式先行災害復旧工事(内線)
管路ケーブル障害復旧のためのケーブル接続は通信部工事,布設替は請負工事として実施したが,接続工事は6月ll日着工,6月24日完了し,その間の稼仂延人員271名である。
2.第二次応急復旧工事(請負の分)
上記区間の管路ケーブルの布設替と大船渡町地区,赤崎町地区市内線路の建柱,ケーブル架捗,端子函取付等の工事は請負工事として江渡工業が実施したもので6月1日着工,6月末までに主要工程を完了した。
3.第一次応復旧工事(直営の分)
直営の第一次応復旧工事は津波発生以来6週間で加入者仮開通に必要な一切の仮工事を終了して7月4日一応打切った。4-5Aの応急工事に引続く市内外線路の復旧工程と上記Bの1.2の工事進捗に相挨つ大船渡局区内の加入者の早期仮開通を図るための宅内工事の実施が主要工程で外線100%,内線96%の進捗を図り未開通加入者大船渡39,高田9を残して終了した。
内線の残工程は未開通加入者の引込線工事であり,未復旧加入者は総て加入者側の体制が整わないためのものである。
又PBX関係の復旧は第二次応復旧工事とし7月中旬工事を施行し4加入のうち3加入を復旧した。PBXの仮開通が出来なかったのは賃材調達期間の関係であり,現在1加入の未復旧は加入者側の都合によるものである。
以上は,通信関係における被害の概要と応急復旧の状況であるが,斯かる災害時における仮局設置の司否が,復旧工作に及ぼす影響が極めて大である。
仮設局設置する場合の条件は
1.市内外線より最短距離の位置であること。
2.昼夜共業務を遂行する関係上,そのことによって他に支障を及ぼさない施設であること。
3.賃材の集積するため可能面積を確保できる場所であること。
4.多数車両の出入が容易であること。
5.空中線の建設が可能であること。
等であるが,今次災害の場合,盛高等学校の寄宿舎に仮局を設置したのであるが,以上の条件が完全に満たされる理想的な位置であったため,応急復旧作業の遂行が極めて円滑に遂行されたのである。応急復旧工作遂行上の問題点としては,局舎自体が決定的な被害を受けていることと,復旧工作における応援隊が,連日100名以上に及んでおりこれの宿舎の確保が容易でなく,日頃市町及び世田米町に分宿したため,作業員の疲労が多かったことである。
前者については,鉄筋コンクリート三階建の局舎を新築中であり,一応解決されるが,応援除の宿舎については今後充分検討の必要がある問題点である。

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建築復旧予定線表

第3節鉄道関係(附交通関係)

陸の孤島といわれるだけに,当市にとっては鉄道輸送は陸上の動脈ともいえる。
これが突如として襲ったチリ地震津波のため陸前高田,小友間,下船渡,盛間に大被害を受け25日間にわたり不通となったことは救援物資その他復旧賃材の輸送に大きな支障をきたし,復興のテンポにも少からず影響を及ぼしたのである。
しかし災害当日から鉄道関係当局の不眠不休の突貫作業により翌月17日には臨港線を除き全線開通を見たことは,その労を多としなければならない。
この被害を大きくした原因は津波規模が予想外に大きかったこともさることながら,鉄道ルートが低地をしかも,海岸線に洛って走っていることに起因するところが大きい。
当市におけるルートを見ても細浦以北は殆んと海岸線に沿って走っているといえる。しかし高低に多少の差があるので,場所によっては防潮堤となって津波を防止したところもあるが,その殆んとが海岸線に近く且つ底いため軌枢その他線工に被害をまねいたのである。
この状態から津波災害を最少限に防止する手段として衣のことがあげられるであろう。
1.津波被害の心配がない高地にルートを変更すること。
2.現状のルートでも津波被害のうけやすい低地を高架線にすること。
3.今回の津波でも押波で軌枢,道床が旅失していることから,路線の海岸側にコソタリートで防潮壁をつくること。
今回の被害の状況は次のとおりである。
(交通関係)
鉄道を除いた市内唯一の交通機関である県南パス大船渡営業所では,赤崎町長崎に宿泊していた運転手が,異状な引潮により津波来襲を察知し,これを電話でもって大船渡営業所に通報し,車庫に収納してあったバス20数台を田中地区に避難せしめその被害を最少限度に止め得た。
このことは,災害直後における交通確保に大きな効果を発揮した原因となっている。営業所事務所も浸水被災し,書類等を流失したのであるが,臨業営業所を田中に移し(約2週間)各営業所より応援を求め24日の災害当日から盛一大船渡間の無料運行を実施し,又市外線は綾里線,高田線を除き,平常運行を続けた。
以後道路の復旧が進むにしたがい逐次ダイヤの回復をはかり,6月17日に至り正規運行に復旧したのである。

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被害の状況
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応急工事費(単位千円)
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復旧工事費(単位千円)
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被害額(単位千円)
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被害の内訳

第4節郵政関係

大船渡郵便局は,局舎の階下天井まで浸水し,最高水位は路面より3.5mに及んでいる。このため建物附属建物が半壊し,備品類は冠水破損したのであるが局内普通郵便物は若干の冠水だけに止まっている。ポストの冠水は市内7,市外4で,郵便切手売さばき所は流失1,半壊5,床上浸水3となっている。
区内の無集配局の被害は赤崎郵便局の局舎浸水で路面より最高2.2mの水位を示し,局舎半壊,備品及び附属建物備品等は流失冠水により使用不能にいたった。窓口業務は5月27日より開始し,貯金の非常払1件,非常取扱による諸請求16件であり,非常勤にて使用した者102人である。
細浦局は床上浸水程度であった。
業務運行状況は概要次のとおりである。
業務運行状況
5月24日午前10時から局舎内外の片付けおよび清掃を行ない,25日午前10時郵為替貯金および保険年金の窓口事務を開始。
(1)郵便
陸前高田〜盛間の鉄道不通となったので5月26日から6月17日まで日逓の自動車により,また5月26日から5月29日までヘリコプターにより仙台〜大船渡間の運送を行う。
大船渡〜綾里間の自動車不通となったため5月25日から6月6日まで船便により運送を行う。
5月24日,5月25日集配停止
5月26日速達郵便のみ配達開始
5月27日から市内,市外1号便のみ復旧したが居住者の移動がはなはだしく配達は困難をきわめた。
市外第2区の合足部落は7月10日まで綾里局に配達を依頼した。
7月ll日から2号便復活
市外第1区第2区への橋梁流失のため盛局区内を通っていまなお迂回配達を行なっている。
(2)為替貯金
5月25日から6月30日まで非常取扱期間設定
非常払34件26万8千余円
非常取扱諸請求56件
5月24日から6月7日まで積立貯金集金事務停止
(3)保険年金
5月25日から6月15日まで非常取扱期間設定
非常払14件87万円(保険金倍額支払13件78万円)
非常貸付80件78万円
保険料払込猶予1,721件
5月24日から6月2日まで保険料集金事務停止
保険契約原簿の再調製6,330件
(4)放送委託事務
ラジオ,テレビ受信料払込免除995件(5月〜7月3カ月間免除)
(有)電気通信委託事務
通信回線故障のため5月24日から6月15日まで取扱停止
(6)共通
5月24日から6月5日まで非常勤職員延127人任用,
外地局からの事務応援ll4人
5月24日から6月3日までll日間非常炊出実施,延
508人分
局含内外の消毒およびDDT等の撒布
冠水した諸帳簿類の洗浄消毒
職員にビタミン剤等の供与
局舎内壁の塗り替および床板の張替
大破建具および木柵等の修理
自転車は全部更改,リヤカーは修理のうえ使用

第5節官公衙関係

今次災害により,官公衙の罹災したものは税関出張所,海運局,労仂基準局,食糧事務所,統計事務所,大船渡郵便局,赤崎郵便局,港派出所,水産事務所,港務所等であり,これに準ずる公的機関として,農業協同組合,信用組合,漁業協同組合等がある。これ等は,何れも床上浸水,半壊等であり流失,全壌をまぬかれたのであるが建物そのものよりも書類の流失等による機能の停滞は決定的である。
このうちの大多分は民間の家屋を借り受け利用し各所に分散していたもので自己の庁舎のものは郵便局,港務所のみである。
これ等公的機関の罹災は,災害時における他の一般に与える影響が極めて甚大である現況にかんがみ,将来合同庁舎等を建設し,災害防止と,平時の利便をもたらすよう計画する必要がある。

第5章中央政府の対策

1.経過

5月24口払暁のチリ地震津波による被宵県は北は北海道から東北の三陸海岸,関東,東海,近畿,四国,九州の太平洋海の1道,15県に及んだ。
わが更北は,青森,一岩手,宮城,福島の四県が被害をうけ,これがため災害救助法の適用をうけた市町村は東北では下記の18市町村である。
青森県 八戸市
岩手県宮古市,山田町,大槌町,釜石市,大船渡市,陸前高田市
宮城県唐桑町,気仙沼市,志津川町,歌津町,雄
勝町,女川町,石巻市,牡鹿町,鳴瀬町,
塩釜市,七ケ浜町
なお,福島県は磐城市(小名浜)が被害地であったが,災害救助法は旅行されていない。
6月14日現在,全国知事会事務局で簾めた資料によれぼ,これら1道15県の津波被害総額(鉄道,電気,通信などを除く)は約439億円で,束北4県の被害は359億4千万円で全国の被警総額の半数以Eを占めている。
その内沢は青森県4,903,453千円
岩千県9,538,357干円
宮城県11,393,621千円
福島県105,324千円
合計25,941,755千円

2.対策

津波被害の報伝わるや,政府,与党ヒともに,これが対簑を講ずることとなった。
1.5月26口,政府は総理府に「津波災害対策本部」を設置し,本部長に官房長官本部員に関係各省事務次官を配して,直ちに第l回会津を開催,これと同時に関係各省も,これが対策を溝ずるためそれぞれの被害地に担当官を派巡した。
一方,福田豊相,渡辺厚櫃,槍騰運輸相,村上建設相らの)現地視察,これと同時に、衆議院からも農林水産委員を現地に派遺した。なお被害県も,それぞれ「津波対策本部」を設置した。
2.自民党も政府の対策本部と紹呼応して,党内に「津波対策本部」を設け,本部長に副総裁,部員に政調会役員を配し,対策を協議するととに,現地に政調会役員を派遺した。
6月2日,党災害木部会議をひらき,本部長以下福田,櫓橋両相,関係省被害県議会代表ら参集して各省よりの服告,対策案をきき,最後に「各省より災害対策大網の提示を求めた上,周吏小委員艮を中心としてこれをまとめて,特別立法として衆議員に上程する」ことを決定した。
なおこれに先だち,5月30口の党7役会議においても,「伊勢湾台風に準ずる特別立法」を講ずることに決定した。
3.自民党東北開発特別委員会は5月31目対策協議会を開催,出席者は被害4県選出委員,関係各省担当官及び4県議会代表者参集し,各省より現状報告,対策方針を聴き,右に対して意見の開陳あり,結局において特別立法の必要を認めて,これが推進をすることにした。
4.6月6日災害の1道15県の緊急知事、議長合同会議開催「伊勢湾台風に準ずる特別立法」の措置を講ずるよう政府に要望す。
6月911各省事務次官会,義で特別立法8法案を内定す。
5.6月15日「チリ地震津波」に対する8法案を衆議院に上程。
6月17日,衆議院本会議においてこれが可決を見,同日参議院に送付する。
6月20日,参議院本会議において8法案は可決成立した。なお「被害市町村職員の共済見地金ぴ)特例」は未決定のままとなった。

第1節各省のチリ地震津波災害対策

1.自治庁
2.農林省
3.建設省
4.厚生省
5.中小企業庁
6.運輸省
7.文部省

チリ地震津波災害対簸について(35.6.3 自治庁)

1.現在まで採つた措置
地方交付税の繰上交付
6月2口著しい被害を受けた市町村で災害救助法の発動されたものに対し,地方交付税法に定める普通交付税の交付時期にかかわらず応急の資金措として9月以降において交付すべき地方交付税額の一部を繰り上げて交付した。

繰り上げ交付の対象団体数は31市町村で,交付総額は289,067千円である。

2.今後の措置として検討中のもの
地方債の特別措置
下記の場台においては,地方財政法の規定にかかわらず地方債の発行を認めるものとし,所要の立法措置を溝ずること。
(1)地方税,使用料,手数その他の徴収金の減免によって生ずる財政収人の不足を補う場合
(2)災害救助対策,伝染病予防対策その他これらに類する災害対策に通常要する費用の財源する場合。

チリ地震津波農林水産関係災害対策案(35.6.4 農林省)

第1特別措置を検討中の対策
1.共同利用小型漁船の建造に関する特別措置
被害激基地における漁業協同組合の共同利用小型漁船の建造費につき伊勢湾台風の場合の列に準じ次により補助を行う。
(1)小型漁船(無動力漁船及び5屯以下の動力漁船)の被害の著しい道具が,細合の共同利用小型漁船建造費について(4)の補助率を下らない比率で補助する場合,当該道県に対し,その補助に要する経費(道県が(4)の率をこえる率による補助をする場合は,そのこえる部分の経費を除く。)の全額を補助する。
(2)補助対象組合の基準
補助の対象となる組合は次の各号のいずれかに該当するものとする。
イその組合員の被害小型漁船の合計隻数が一定をこえること。
ロその組合員の小型漁船の総隻数に対する被害小型漁船の合計隻数の割が,一一定の割合をこえること。
(3)補助対象経費
前記(2)の組合が,被害組会員の用に供するため一コヒトン数の漁船(原則として無動力または3トン以下の動力船)を被害小型漁船3隻につき1隻の割合の範囲内で建造するのに必要な経費とする。
ただし,特別な場合においては被害小型漁船1隻につき1隻の割合の範囲内で建造するのに必要な経費とすることができる。
(4)補助率
前記(3)こ規定する経費の8割とする。
ただし,前記(3)のただし書の場合は3割とする。
2.農林水産業旅設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置法の特例を設ける特別措置
被害激基地における農林水産業兵同利用施設及び中小企業者の真珠等の養殖施設の復旧について伊勢湾台風の場会の例に準じ暫定法の特例を設けるための立法措置をを講じ,次により補助を行なう。
(1)共同利用施設
被害激基地域内のものについては1カ所の災害復旧事業費3万円以上のものに対し,補助率9割,その他の被害地域のものについては1カ所の災害復旧事業費10万円以上のものに対し,補助率5割
(2)かき,真珠または真珠貝の養殖施設
被害激甚地域のかき,真珠または真珠貝の養殖施設の災害復旧事業で1経営体あたり事業費が3万円以上のものにつき,県が9割を下らない率による補助をする場合その補助に要する経費(県が9割こえる率による補助をする場合には,そのこえる部分の経費を除く)その全額を補助する。
3.天災融資法の改正
天災融資法を改正し,伊勢湾台風の場合の例に準じ,漁船の取得,真珠,かき等の養殖に必要な経営資金の貸付限度を引上げ,真珠,またはかきの養殖に必要な資金として貸し付けられる場合は50万円,その他の漁業経営に必要な資金として貸し付けられる場合は20万円とする。
第2助成措置
1.農林水産施設災害復旧事業
(1)農林水産施設災害復旧事業国庫補助の暫定措置法によるもの
(イ)農地及び農業用施設の災害復旧事業
(ロ)共同利用施設の災害復旧事業
(2)公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法によるもの
(イ)漁港の災害復旧事業
(ロ)農地の海岸施設災害復旧事業
(ハ)治山施設(海岸砂防施設)の災害復旧事業
(3)除塩,農地の小規模災害復旧(農地上の雑物除去を含む)を内容とする耕地整備事業
2.その他
(1)種苗確保事業
(2)家畜伝染病予防のための防疲事業
3.災害復旧資金の融通
(イ)天災融資法を速かに発動し,被害農林漁業者の経営資金及び事業資金の融通を行なう。
(ロ)農林漁業金融公庫より災害復旧のための資金の融通を行ない,主務大臣指定復旧資金については,伊勢湾台風の場合の例に準じ,対象施設,種目追加,金利等についての特例措置を検討するとともに実情に応じ既往貸出金につき条件の緩和を行なう。
なお,水産加工施設等の関連企業融資については,中小企業金融公庫等の資金の活用を図る。
(ハ)被害の実情に応じ必要ある場合には,自作農維持創設資金の融資を行う。
4.その他の対策
(1)被害激堪地域の漁船保険加入漁船の被害額の現地査定を行ない早期に保険金を支払う。
剛被災地における種豚,種鶏の補充及び飼料供給の確保措置を講ずる。
剛応急住宅用,公共施設復旧用及びかき,真珠の筏用木材確保のため固有林材の売渡を行う。
5.検討中の事項
(1)公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の改正
漁港・海岸施設及び海岸砂防施設の災害復旧にいての国庫負担率の引上げ
(2)農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置法の改正
農地及び農業用施設の災害復旧の補助率の引上げ
(3)特定の被害激甚地域について(防潮林を含む)等の津波災害防止施設の新設,改良等の津波対策事業に関する特別措置。
(4)小災害等に係る地方公共団体の起債の特別に関する措置
(5)漁場内障碍物排除事業に対する助成措置
(6)被害激甚部落の復興対策

チリ地震津波災害対策(35.6.4 建設省)
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チリ地震津波災害対策
チリ地震津波災害対策について 厚生

1 特別立法の検討を要するもの
(1)公衆衛生の保持に関する特別措置法
(イ)防疲業務に要する費用についての国の負担率の引上げ
市町村支弁のものについては現行市町村1/3,府県穂,国1/3の負担を市町村0,都道府県1/3,国2/3とする。
府県支弁のものについては現行は府県1/2,国1/2の負担を府県1/3,国3/4とする。
このために要する費用事業費……2県24,027000円
補助額14,074,000円(予備費)
(ロ)伝染病院,隔離病舎の復旧費の国の負担率の引上げ
現行は市町村1/3,府県1/3,国1/3の負担を,市町村1/6,府県1/6,国4/6とする。
このために要する費用……被害額2カ所570,000円
補助額380,000円(予備費)
(ハ)水道の復旧費の国の補助率の引上げ
現行は簡易水道の新設につき国髪σ)補助率復旧につき発にすると共に上水道の復旧につき国1/2の補助を新らたに認める。
このために要する費用……一被害費1O市町村18,455,000円
補助額9,227,000円(予備費)
(二)汚染処理等に関する国の補助
汚染の処理及び清掃施設の整備につき新らたに国2/3〜1/2の補助を行なう。
このために要する費用……被害汚物16市町村ll,075,00G円
施設4市町村3,102,000円
補助額8,686,0OO円(予備費)
(2)災害救助費に関する特別措置法!
府県の支出した費用が普通税収入見込額の2/1OOOを浮超える部分につき国が負担するものを1/1000を超えるナ部分について負担することとする。
このために要する費用……救助費5県164,217,000円
補助額100,611,000円(既定予算)
(備考)今回の災害について特別立法措置を行なう場合は今後の災害についても同様の措置をすべきであるので恒久立法の必要を考慮すべきである。
2.行政措置等によるもの
(1)世帯更生資金の貸付についての補助率の引上げ現行は府県1/3,国2/3を,府県1/4,国3/4に補助率を引き上げる。
このために要する費用……一貸付枠34,780,00O円
補助額26,085,000円(既定予算)1
(2)母子福祉資金の貸付金の枠の増大
羅災母子世帯に対する貸付金の枠を追加交付する。
このために要する費用……貸付枠2,600,000円
補助額1,730,000円(既定予算)
(3)引揚者国債遺族国債の買上償還及び担保貸付
このために要する費用…20,000,000円(既定予算)
(4)私的医療機関の復旧のための融資
被害的医療機関に対する長期低利の融資を中心企業金融公庫に依頼して行なう。
融資所要見込額150,000,000円(既定予算)
(5)国民健康保険の保険者に対する財政補助
災害地保険者に対し保険料及び一部負担金の減免額の8/10を補助する。
このため要する費用…
減免額6市町村9,642,000円
補助額7.713,000円(既定予算)
(6)国民健康保険施設の復旧
このために要する費用……被害額4カ所19,500,000円
補助額6,500,000円(予備費)
(7)精神病院施設の復旧
このために要する費用……一被害額1カ所7,000,000円
補助額3,500,000円(予備費)
3.特別措置法行政措置等による所要経費見込
所要経費 {    
被害額等   414,968,000円
特別立法関係 既定予算     100,611,000円
       予備費      32,367,000円
行政措置関係 既定予算(補助)  55,528,0OO円
       既定予算(融資)  150,00O,O0O円
       予備費      10,000,000円
        計       348,506,000円 }
4.その他
1・2の他,大臣の現地視察係官の現地派遣指導,C
A・C物資等の援護物資の急送,国立病院,日赤等による医療班の派遣,罹災保険医療機関に対する診療費の推計支払,船舶所有者に対する延滞金の減免等の措置を採った。

チリ地震津波災害による被害中小企業者に対ずる金融措置の概要 (企庁金一35-7号 昭和35年6月3日 中小企業庁)

(一)災害融資についての特別の適用措置
(1)中小企業金融公庫,国民金融公庫および商工組合中央金庫の災害融資についての次の要件により年6分5厘の特別率の適用を行なう。
(イ)適用対象災害救助法の発動地域に事業場を有する中小企業者であって,全壊,一半壊,流失,床上浸水,その他これに準ずる甚大な被害を受けた中小企業者
(口)適用対象額上記の対象に対して事業の再建に必要な資金として昭和36年3月末までば貸し出された三機関の融資額のうち100万円までの額(組合の協同施設については300万円)
(ハ)適用期間貸付の口から3力年間に限るものとする。
(2)中小企業金融公庫および国民金融公庫の行なう特利適用措置は閣議決定により,両公庫の負担において実施するものとする。
(3)商工組合中央金庫の行なう特利適用措置については,政府において通常貸付利率との差額に相当する額を利子補給するものとし,これがため,所要の立法措置および,予算措置を行なうものとする。
(注)同金庫の行なう災害融資総額ならびにこのうち利子補給の適用融資額および利子補給に必要な経費の必要予算額はそれぞれ次のとおりである。
(イ)災害融資見込総額877百円(5月31日現在の中間集計による見込額)
(口)特利適用対象融資の合計額6億円
(ハ)利子補給に必要な経費予算の必要額
40百万円(3年間所要合計額)
(二)災害地信用保証協会に対する貸付金の増額措置
災害地信用.保証協会の災害融資に対する保証引受の増加に必要な原資としてこれらの協会に対する中小企業信用保険公庫の貸付金の特別貸付を行なう。(行政措置)

チリ地震津波対策 (運輸省 昭35.6.4

(一)立法措置
港湾関係公共土木施設災害の早期復旧ならびに再度災害の防止については次の立法措置を行なう。
(イ)昭和35年チリ地震津波により災害を受けた公共土木施設の災害復旧に関する特別措置法
(要旨)昭和34年7月,8月及び9月の災害についてとった国の負担率の引上げに関する特別措置と同様の措置をとるべく公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の特例を定めること。〔別紙要綱参照)
全体事業費383,500千円
内国庫負担分307,000千円
(口)昭和35年チリ地震津波により災害を受けた地域における津波対策事業に関する特別措置法
(要旨)チリ地震津波により著しい災害を受けた海岸,河川及びこれらに接続する海岸河川について異常な津波災害を防止するため必要な施設の新設または改良に関する事業について国は3分2(特定の地域においては10分の8)の負担をするものとすること。(別紙要綱参照)
全体事業費3,588,000千円
内国庫負担分2,412,000千円
(二)行政措置(予算措置を要するもの)
今回の遠距離津波現象の経験にかんがみ,気象業務組織の整備強化と津波研究の強化をはかる。
(1)津波予報組織の強化
津波警報の有劾かつ迅速な発令体制、を整備するため,遠地及び中距離地震による津波警報組織る強化する。このため本庁に警報センターを設置し,札幌仙台,大阪,福岡,各管区に情報連絡組織中枢をおくとともに,さらに近海地震による津波警報組織の警報中枢を整備強化する。(人員12名増)
(2)観測施設の整備
(イ)地震観測施設の整備
既設の松代,長崎に感震器を増設,鳥島,根室の遠地地震観測施設を新設する。また釧路外9カ所に中枢距離地震用観測施設の整備をはかり併せて全国27カ所に近地地震用観測施設の整備を行う。
(ロ)津波観測施設の整備
釧路,函館,八戸,室戸,石巻,八丈島.富崎,汐岬,油津,清水の10地点にロボット検潮儀の整備を行ない,最寄の気象台または測候所と無電連絡を行なうようにする。
以上(イ)及び(ロ)に要する予算
予算費46,500千円
本予算64,500千円
(3)国際連絡組織の整備強化
地震津波に関する国際的情報連絡の強化のため,米国担当機関及びハワイ津波情報センターに担当官を派遣し関係機関との間に相互通報制度の確立について折衝を行なわしめる。(予算費800千円)
(4)津波研究の推進
津波研究体制強化のため気象研究所に津波研究部門を設置し,次の研究を行なう。
(イ)津波発生の有無,強度を即刻に知る装置の研究
(の津波エネノレギーの研究
(ハ)地震と津波発生の研究
(本予算20,000千円)
(5)チリ地震津波調査
チリ地震津波を現地で調査し今後の地震津波対策に資するため担当官を派遣する。
(予算費3,000千円)
(三)金融措置
伊勢湾台風の例にならい,中小企業者に対する資金の融通等に関する特別措置法の制度を要望するほか,北海道東北開発公庫,中小企業金融公庫の融資枠の設定,特別金利の採用,償還期限の延長等の行政措置を希望する。
現在まで判明した運輸省関係業種の被害額並びに融資希望推定額は下記のとおりである。

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運輸省関係業種の被害額並びに融資希望推定額
チリ地震津波文教関係被害状況及び対策について (文部省 36.6.3)

1被害概況
1.人的被害
2.物的被害
(1)国立学校
学校  被害額
北海道大学450千円
東北大学7,392
東京商船大学1,060
計  8,902
備考
理学部厚岸臨海実験所施設
農学部女川水産研究実験所施設及び設備,理学部女川磁気観測施設及設備
清水分校施設
(2)公共教育施設
2災害対策綱

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人的被害
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公共教育施設
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災害対策綱

第2節チリ地震津波災害復旧特例法

地方公共団体起債の特例法

(起債の特例)
第1条昭和35年5月のチリ地震津波による災害を受けた地方公共団体のうち政令で定めるものは,次の各号に換げる場合においては,昭和35年度に限り,地方財政法(昭和23年法律第109号)第5条の規定にかかわらず,地方債をもってその財源とすることができる。
1地方税,使用料,手数料,その他の徴収金で命令で定めるものの当該災害のための減免であって,その程度及び範囲が被害の状況に照らし相当と認められるものによって生ずる財政収入の不足を補う場合2当該災害に係る災害救助村策,伝染病予防対策その他これらに類する命令で定める災害対策に通常要する費用で当該地方公共団体の負担に属するものの財源とする場合
(地方債の引き受け)
第2条前条の地方債は,国が資金運用部資金または簡易生命保険及び郵便年金特別会、汁の積立金をもってその全額を引き受けるものとする。
2前項の場合における利息の定率及び償還の方法は,政令で定める。
(起債許可についての協議)
第3条自治大臣は,第1条の規定により地方債について地方自治法(昭和22年法律第67号)第250条の規定による許可をしようとするときは,あらかじめ大蔵大臣と協議しなければならない。この場合において,当該地方債が簡易生命保険及び郵便年金特別会計の積立金をもって引き受けるものであるときは,あわせて郵政大臣と協議しなければならない。
付則
1この法律は,公布の日から施行する。
2自治庁設置法の一部を改正する法律が施行されるまでの間は,第三条中「自治大臣」とあるのは,「自治庁長官」と続み替えるものとする。

津波対策事業の特別措置法

(目的)
第1条この法律は,昭和35年5月のチリ地震津波(以下「チリ地震津波」という)による災害を受けた地域における津波対策事業の計画的な実施を図り,もって国土の保全と民生の安定に資することを目的とする。
(津波対策事業)
第2条この法律で「津波対策事業」とはチリ地震津波による災害を受けた政令で定める地域において,海岸またはこれと同用の効用を有する河川でチリ地震津波により著しい災害を受けたもの及びこれに接続し,かつ,これらと同様の効用を有する海岸または河川について施行する津波による災害を防止するために必要な政令で定める施設の新設または改良に関する事業(それらの施設について合わせて施行するチリ地震津波に係る災害復旧に関する事業を含む)をいう。
(津波対策事業計画)
第3条津波対策事業に関する主務大臣は,当該津波対策事業につき,関係地方公共団体の意見をきき,かつチリ地震津波対策審議会の審議を経て,その事業計画(以下「津波対策事業計画」という)の案を作成し,閣議の決定を求めなければならない。
2津波対策事業計画には,津波対策事業の実施の目標及び事業量を定めなければならない。
3主務大臣は,第一項の規定による閣議の決定があったときは,遅滞なく,津波対策事業計画を関係地方公共団体に通知しなければならない。
4第1項及び前項の規定は,津波対策事業計画の変更について準用する。
(チリ地震津波対策審議会)
第4条総理府に,チリ地震津波対策審議会(以下「審議会」という)を置く。
2審議会は,津波対策事業計画に関する事項その他津波対策事業に関する重要事項を審議する。
3この法律に定めるもののほか,審議会に関し必要な事項は,政令で定める。
(津波対策事業計画の実施)
第5条政府は,津波対策事業計画を実施するために必要な措置を構じ,かつ,国の財政の許す範囲内においてその実施を促進することに努めるものとする。
付則(施行期日)
この法律は,公布の日から施行する。
(総理府設置法の一部改正)
2総理府設置法(昭和24年法律第127号)の一部を次のように改正する。第15条第1項の表中台風常襲地帯対策審議会の項の次に次のように加える。
チリ地震津波対策審議会
昭和35年5月のチリ地震津波による災害を受けた地域における津波対策事業に関する特別措置法の規定によりその権限に属せしめられた事項を行なうこと。

公営住宅法の特例に関する法律

1昭和35年5月のチリ地震津波による災害であって政令で定める地域に発生したものに関し,事業主体が,当該災害により滅失した住宅に当該災害の当時居住していた者に賃貸するため第2種公営住宅を建設するときは,公営住宅法(昭和26年法律第193号)第8条第1項の規定にかかわらず,国は,予算の範囲内において,その費用の3/4を補助することができる。ただし1当該災害により滅失した住宅の戸数の5割に相当する戸数をこえる分については,この限りではない。
2前項の規定による公営住宅の建設に要する費用についての国の補助金の算定については,公営住宅法第7条第3項の規定を準用する。
付則
この法律は,公布の日から施行する。
昭和35年5月のチリ地震津波による災害に伴う公営住宅法の特例に関する法律施行令
(昭和35年6月27日政令第178号)
内閣は,昭和35年5月のチリ地震津波による災害に伴う公営住宅法の特例に関する法律(昭和35年法律第106号)第1項に基,この政令を制定する。
1昭和35年5月のチリ地震津波による災害に伴う公営住宅法の特例に関する法律第1項に規定する政令で定める地域は,昭和35年5月のチリ地震津波による災害により滅失した住宅の戸数が,その区域内で1200戸以上で,かつ,その区域内の住宅の戸数の1割以上である市町村の区域とする。
2前項の区域は,建設大臣が告示する。
附則
この政令は,公布の日から施行する。

水産業施設の災害復旧の特別措置法

(農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の特例)
第1条昭和35年5月のチリ地震津波による災害(以下「チリ地震津波災害」という)を受けた地域についての農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定搭置に関する法律(昭和25年法律第169号。以下「暫定措置法」という)規定の適用については,チリ地震津波災害を受けた共同利用施設(水産業協同組合の所有するものに限る)のうち,政令で定める地域内のものについては,暫定措置法第2条第6項及び第7項中「10万円」とあるのは「3万円」と,暫定措置法第3条第2項第5旨中「2/10」とあるのは「9/10」とし,その他のものについては,同号中「2/10」とあるのは「5/10」とする。
(水産動植物の養殖施設に対する助成措置)
第2条都道府県が,水産動植物の養殖施設で政令で定めるもの(暫定措置法第2条第4項に規定する共同利用施設に該当するものを除く)で,政令で定める地域に発生したチリ地震津波災害を受けたものの災害復旧事業であって,その工事の費用が3万円以上のものの事業費につき9/10範囲内で政令に定める率を下らない率による補助をする場合には,国は,予算の範囲内で当該都道府県に対し,その補助に要する経費(都道府県が当該政令で定める率をこえる率による補助をする場合には,そのこえる部分の補助に要する経費を除いた経費)の全部を補助することができる。
附期
この法律は、公布の日から施行する。

小型漁船の建造に関する特別措置法

1昭和35年5月のチリ地震津波による災轡(以下「チリ地震津波災害」という)に係る小型漁船の被害が著しい都道府県で政令で定めるものが,漁業協同組合の必要とする共同利用小型漁船建造費につき,当該漁業協同組合に対し2/3を下らない率による補助をする場合には,国は予算の範囲内において当該都道府県に対し,その補助に要する経費(都道府県の2/3をこえる率による補助をする場合にはそのこえる部分の補助に要する経費を除いた経費)の1/2を補助することができる。
2前項の共同利用小型漁船建造費とは,政令で定める要件に該当する漁業協同組合が,政令で定める小型漁船でチリ地震津波災害を受けたもの(沈没,滅失その他政令で定める著しい被害を受けたものに限る)をチリ地震津波災害の発生の際に所有し,かつ,その営む漁業の用に供していた組合員の共同利用に供するため政令で定めるところにより小型の漁船を建造するために要する経費をいうものとする。
附則
この法律は,公布の日から施行する。
昭和35年5月のチリ地震津波による災害を受けた漁業者の共同利用者に供する小型漁船の建造に関する特別措置法施行令
(昭和35年6月27日政令第17号)
内閣は昭和35年5月のチリ地震津波による災害を受けた漁業者の共同利用者に供する小型漁船の建造に関する特別措置法(昭和35年法律第llO号)の規定に基き,この政令を制定する。
(都道府県の指定)
第1条 昭和35年5月のチリ地震津波による災害を受けた漁業者の共同利用者に供する小型の漁船の建造関する特別措置法(以下「法」という。)第1項に規定する政令で定める都道府県は,次の各旨の要件のべてをみたすものとして農林大臣が指定する都道府県とする。
(1)昭和35年5月のチリ地震津波による災害(以下「チリ地震津波災害」という。)を受けた第3条に規定する小型漁船(沈没し若しくは滅失し又は第4条に規定する著しい被害を受けたものに限る。以下「被害小型漁船」という。)で,チリ地震津波災害を受けた際に,その都道府県の区域内に住をする漁業者が所有し,かつその営む漁業利用に供していたものの隻数が100隻をこえること。
(2)その都道府県の区域の一部をその地区とする漁業協同組合の総数に対するその都道府県の区域の一部をその地区とする被害漁業協同組合(その組含員が所有,かつ,その営む漁業利用に供していた第3条に規定する小型漁船の全部叉は一部につきチリ地震津波災害に係る被害があった漁業協同組合をいう。)の数の割合が,10/100をこえること。
(漁業協同組合の要件)
第2条法第2項の政令で定める要件に該当する漁業協同組合は,その組合員がチリ地震津波災害を受けた際に所有し,かつ,その営む漁業の用を供していた被害小型漁船(以下「組合員所有被害小型漁船」という)の隻数が10隻をこえる漁業協同組合又はその組合員がチリ地震津波災害の発生の際に所有し,かつ,そ営む漁業の用に供していた次条に規定する小型漁船の総隻数に対する細合員所有被害小型漁船の隻数の割合が20/100をこえる漁業協同組合とする。
(小型漁船の範囲)
第3条法第2項の政令で定める小型漁船は,無動力漁船及び総トン数5トン以下の動力漁船とする。
(被害の範囲)
第4条法第2項の政令で定める著しい被害は,修繕することができないか,又著しく困難な程度の損壊とする。
(小型の漁船の建造に要件)
第5条法第2項の小型の漁船を建造するために要する経費は,同項に規定する漁業協同組合が組合員所有被害小型漁船の隻数及び合計総トン数の範囲内におけ隻数及び合計計画総トン数の小型の漁船を建造するために要する経費に限るものとする。
附則
この政令は,公布の日から施行する。

天災の融資暫定措置法の一部改正法

天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法(昭和30年法律第136号)の一部を次のように改正する。
付則に次の一項を加える。
2昭和35年5月のチリ地震津波が第2条第1項の規定により,政令で同項の天災として指定された場合における政令で定める都道府県の区域に係る当該天災についてこの法律の規定の適用については,同条第4項第1号中「漁具の購入資金として貸し付けられる場合は1千万円」とあるのは「漁具の購入資金として貸付けられる場合は1干万円,真珠またはカキの養殖に必要な資金として貸し付けられる場合は50万円,その他の漁業経営に必要な資金として貸し付けられる場合は20万円」とする。
付則この法律は,公布の日から施行する。

昭和35年5月のチリ地震津波についての天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の適用に関する政令

(天災の指定)
第1条天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法(以下「法」という。)第2条第1項及び第2項の規定により,昭和35年5月のチリ地震津波(以下「チリ地震津波」という。)を同条第1項及び第3項の天災として指定する。
(農機具,漁貝及び漁船の範囲)
第2条チリ地震津波についての法第2条第4項の政令で定める農機具は,原動機により運転される農機具以外の農機具とする。
2チリ地震津波についての法第2条第4項の政令で定める漁具は漁網綱とする。
3チリ地震津波についての法第2条第4項の政令で定める漁船は,総トン数2トン未満の漁船とする。
(経営資金及び事業資金の貸付期闇)
第3条チリ地震津波についての法第2条第4項及び第7項の政令で定める期間は,この政令の施行の日から昭和36年1月31日までとする。
(経営資金の貸付限度額)
第4条チリ地震津波についての法第2条第4項第1号の政令で定めるところにより算出される額は,同条第1項の市町村長が認定する損失額に,同項の被害農業者又は被害林業者に貸し付けられる場合は30/10O(次の各号の1に掲げる資金の貸付けを受けている同の被害農業者又は第3号,若しくはハに掲げる天災に係る同号の資金の貸付けを受けている同項の被害林業者に貸付けられる場合は,60/100)を,同項の被害漁業者に貸し付けられる場合は50/100(漁船の建造又は取得に必要な資金として貸し付けられる場合,漁具の購入資金として貸し付けられる場合及び第3号に掲げる資金の貸付けを受けている岡項の被害漁業者に貸し付けられる場合は,80/100)をそれぞれ乗じて得た額とする。
(1)昭和29年の台風及び冷害の被害農林業者に対する資金の融通に関する特別措置法(昭和29年法律第221号)第2条第2項の経営資金
(2)天災による被害農業者等に対する資金の融通に関する暫定搭置法の一部を改正する法律(昭和32年法律第66号)附則第1項ただし書の規定によりその例によるものとされた同法による改正前の法第2条第3項の経営資金で次に掲げる天災に係るもの
イ 昭和31年6月から9月までの天災についての天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の適用に関する政令(昭和31年政令第294号)第1条に規定する6月から9月までの天災
ロ 昭和31年夏の低温等についての天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の適用に関する政令(昭和31年政令第344号)第1条に規定する低温等
(3)法第2条第4項の経営資金で次に掲げる天災に係るもの
イ 昭和32年2月から9月までの天災についての天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の適用に関する政令(昭和32年政令第287号)第1条第1項に規定する2月から9月までの天災
ロ 昭和33年5月から9月までの天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の適用に関する政令(昭和33年政令第262号)第1条第1項に規定する5月から9月までの天災
ハ 昭和34年7月から9月までの天災についての天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の適用に関する政令(昭和34年政令第300号)第1条第1項に規定する7月から9月までの天災
2次項に規定する被害漁業者以外の法第2条第4項の被害農林漁業者に係るチリ地震津波についての同項第1号の政令で定める額は,次のとおりとする。
3第10条に規定する都道府県の区域内に住所を有する法第2条第1項の被害漁業者に係るチリ地震津波についての同条第4項第1号の政令で定める額は次のとおりとする。
(経営資金の償還期限)
第5条チリ地震津波についての法第2条第4項第2号の政令で定める期限は,開拓者に貸し付けられる場合,水産動植物の養殖に必要な資金として貸し付けられる場合,漁船の建造又は取得に必要な資金として貸し付けられる場合及び漁具の購入資金として貸し付けられる場合は3年(前条第1項各号の一に掲げる資金の貸し付けを受けている者に貸し付けられるときに限り4年),その他の場合は2年(前条第1項各号の1に掲げる資金の貸付けを受けている者に貸し付けられるときに限り3年)とする。ただし,チリ地震津波に係る法第2条第5項第1号の特別被害地域内において農業を営む同条第2項の特別被害農業者又はチリ地震津波に係る同条第5項第3号の特別被害地域内に住所を有する同条第2項の特別被害漁業者に貸し付けられる場含は,5年とする。
(特別被害地域の指定をすることができる都道府県)
第5条の2チリ地震津波についての法第2条第5項第1号の政令で定める都道府県は,岩手県,宮城県,三重県及び徳島県とする。
2チリ地震津波についての法第2条第5項第3号の政令で定める都道府県は,北海道,青森県,岩手県,宮城県,静岡県,三重県,和歌山県,徳島県,愛媛県及び高知県とする。
(政令で定める組合)
第6条チリ地震津波についての法第3条第1項第5号の政令で定める組合は,農業協同組合,森林組合及び漁業協同組合であって,繰越損失金があるもの並びに農業協同組合連合会,森林組合連合会又は派業協同組合連合会(以下この条において「連合会」という。)及び農林中央金庫その他の金融機関からのその組合の借入金の総額(チリ地震津波につき法第2条第4項の経営資金の貸付けに充てるための資金を連合会又は農林中央金庫その他の金融機関から借り入れようとする場合におけるその借入金の額を含む。)が連合会及び農林中央金庫その他の金融機関へのその組合の預金の総額をこえるものとする。
(損失としない期間)
第7条チリ地震津波についての法第3条第3項の政令で定める期間は3月とする。
(遅延利子)
第8条チリ地震津波についての法第3条第3項の政令で定める遅延利子は,同項の期限内における融資残高につき,当該融資の条件として定められた利率(その利率が日歩2銭7厘5毛をこえる場合は,日歩2銭7厘5毛)により計算した額のものとする。
(経営資金及び事業資金の総額)
第9条チリ地震津波についての法第4条第1項の政令で定める額は,30億円とする。
第10条法附則第3項の政令で定める都道府県は北海道,青森県,岩手県,宮城県,静岡県,究重県,和歌山県,徳島県,愛媛県及び高知県とする。
附則
この政令は,公布の日から施行する。

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次項に規定する被害漁業者以外の法第2条第4項の被害農林漁業者に係るチリ地震津波についての同項第1号の政令で定める額
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第10条に規定する都道府県の区域内に住所を有する法第2条第1項の被害漁業者に係るチリ地震津波についての同条第4項第1号の政令で定める額
特定漁業施設の特別措置法

1都道府県が,昭和35年5月のチリ地震津波による災害に係る漁民の漁業施設,住宅等の被害の大きい部落で政令で定めるもの(以下「特別被害漁村」という)の全部またはその一部をその地内に含む漁業協同組合の必要とする特定漁業施設設置費につき,当該漁業組合に対し1/2を下らない率による補助をする場合には図は,予算の範囲内において,当該都道府県に対し,その補助に要する経費(都道府県が1/2をこえる率による補助をする場合には,そのこえる部分の補助に要する経費を除いた経費)の全部を補助することができる。
2前項の特定漁業施設設置費とは,同項の漁業協同組合が特別被害漁村の区域内に住所を有する組合員の共同利用に供するための漁業施設(網漁具を含む)で,政令で定めるものを設置するために要する経費をいうものとする。
附則この法律は公布の日から施行する。

中小企業者への融資特別措置法

(目的)
第1条この法律は,昭和35年5月のチリ地震津波による災害を受けた中小企業者について,その事業の再建に必要な資金(以下「再建資金」という)の融通を円滑するため,商工組合中央金庫の貸し付け利率の引き下げのための措置を定めることにより,その事業の再建を促進し,経営の安定を図ることを目的とする。
(定義)
第2条この法律において,「指定被害中小企業者」とは,次に掲げる者で政令で定める者をいう。
(1)政令に定める地域内に事務所を有し,かつ,前条の災害を受けた中小企業者及び中小企業等協同組合その他の主として中小規模の事業者を直接または間接の構成員とする団体(以下「中小企業者団体」という)。
(2)中小企業団体であって,その直接または間接の構成員のうちに前号に掲げる者を含むもの。
(商工組合中央金庫に対する利子補給)
第3条 政府は,商工組合中央金庫が指定被害中小企業者に対して再建資金の貸し付けを行うときは,政令で定めるところにより,当該貸し付けにつき貸し付け後3年間を限り利子補給金を支給する旨契約を商工組合中央金庫と結ぶことができる,
(利子補給の対象となる貸し付け)
第4条前条の契約による利子補給金の支給の対象となる貸し付けは,商工組合中央金庫が指定被害中小企業者に対して昭和35年10月31日(再建資金の融通に関しとくに必要がある場合において,政令で同日後の日を指定したときは,その日)までに行なう再建資金の貸し付けであって,その全部または一部の利率が年6分5厘であるものとし,その利子補給金の支給の対象となる金額は,指定被害中小企業者ごとに,その利率によって貸し付けた額(その額が次の各号に規定する貸し付けの区分に応じ当該各号に掲げる金額をこえるときは,当該金額以内の額とする。
(1)指定被害中小企業者(中小企業者団体を除く)に対する貸し付けについては50万円(その指定被害者中小企業の直接または間接に所属する中小企業者団体が当該指定被害中小企業者に対する転貸再建資金の貸し付けを受けている場合において,その転貸する額のうちに利子補給の支給の対象となる額を控除した金額。)
(2)中小企業者団体に対する貸し付け(次号の貸し付けを除く)については,150万円。
(3)中小企業者団体に対する再建資金であって,その直接または間接の構成員たる指定被害中小企業者(以下この条において「被害構成員」という)に転貸されるもの(以下次項において「転貸資金」という)の貸し付けについては,それぞれの被害構成員に転貸する金額のうち50万円(その被害構成員が再建資金の貸し付けている場合において,そのうちに利子補給金の支給の対象となる額があるとき,またはその直接もしくは問接に所属する他の中小企業者団体が当該被害構成員に対し転貸する再建資金の貸し付けを受けている場合において,その転貸する額のうちに利子補給金の支給の対象となる額があるときは,その対象となる額を控除した金額)までの額に相当する金額の合計額。
2転貸資金の貸し付けを受ける中小企業者団体がその転貸資金を被害構成員に転貸する場合において,その利率が年6分5厘をこえるときはそのこえる率により転貸した金額は,前項の利子補給金の支給の対象となる金額には含まれないものとする。
3政府が前条の契約により利子補給金の支給の対象とすることができる金額の総額は,2億5千万円を限度とする。
(利子補給金の支給額)
第5条第3条の契約により政府が支給する利子補給金の額は,商工組合中央金庫が貸し付けた再建資金の額のうち利子補給金の支給の対象となる金額につき前条第1項に規定する利率により計算した利子の額と,当該利子補給金の支給の対象となる金額につき商工組合巾央金庫がその貸し付けと同種類の貸し付けを行なう場合における通常の利率により計算した利子の額との差額に相当する金額とする。
附則
この法律は,公布の日から施行する。
昭和35年チリ地震津波災害復旧特例法・伊勢湾特例法・現行法比較一覧表

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(自治庁関係)
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(建設省,運輸省及び農林省)
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(建設省関係)
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(農林省関係)
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(文部省関係)
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(厚生省関係)
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(通商産業関係)
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(労働省関係)

第3節チリ地震津波災害復旧特例法の適用に関する政令集(附告示)

政令第146号(昭和35年6月8日)

昭和35年5月チリ地震津波についての天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の適用に関する政令

内閣は,天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法(昭和30年法律第136号)第2条第1項,第3項,第4項及び第7項,第3条第1項及び第3項並びに第4条第1項の規定に基づき,この政令を制定する。
(天災の指定)
第1条天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法(以下「法」という。)第2条第1項及び第3項の規定によリ,昭和35年5月のチリ地震津波(以下「チリ地震津波」という。)を同条第項及び第3項の天災として指定する。
(農機具.漁具及び漁船の範囲)
第2条チリ地震津波についての法第2条第4項の政令で定める農機具は,原動機により運転される農機具以外の農機具とする。
2チリ地震津波についての法第2条第4項の政令で定める漁具は,漁網綱とする。
3チリ地震津波についての法第2条第4項の政令で定める漁船は,総トン数2トン米満の漁船とする。
(経営資金及び事業資金の貸付期間)
第3条チリ地震津波についての法第2条第4項及び第、7項の政令で定める期間は,この所令の施行の口から昭和36年1月31までとする。
(経営資金の貸付限度額)
第4条チリ地震津波についての法第2条第4項第1号の政令で定めるところにより算出される額は,同条第1項の市町村長が認定する損失額に,同項の被害農業者又は被害林業者に貸し付けられる場合は30/100(次の各号に掲げる資金の貸付けを受けている同項の被害農業者又は第3号ロもしくはハに掲げる天災に係る同号の資金σ)貸付けを受けている同項の被害林業者に貸し付けられる場合は,60/100)を,「司1頁の被害漁業者に貸し付けられる場合は50/100(漁船の建造又は取得に必要な資金として貸し付けられる場合,漁具の購入資金として貸し付けられる場合及び第3号に掲げる資金の貸し付けを受けている同項の被害漁業者に貸し付けられる場合は,80/100)をそれぞれ乗じて得た額とする。
1昭和29年の台風及び冷害の被害農林業者に対する資金の融通に関する特別措置法(昭和29年法律第221号)第2条第2条第2項の経営資金
2天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律(昭和32年法律第66号)附則第1項ただし書の規定によりその例によるものとされた同法による改正前の法第2条第3項の経営資金で次に掲げる天災に係るもの
イ 昭和31年6月から9月までの天災についての天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の適用に関する法令(昭和31年所令第294号)第1条に規定する6月から9月までの天災
ロ 昭和31年夏の低温等についての天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定付置法の適用に関する政令(昭和31年所令第344号)第1条に規定する低温等
3法第2条第4項の経営資金で次に掲げる天災に係るもの
イ 昭和32年2月から9月までの天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の適用に関する所令(昭和32年所令第278号)第1条第1項に規定する2月から9月までの天災
ロ 昭和33年5月から9月までの天災に1ついてめ天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の適用に関する政令(昭和33年政令第262号)第1条第1』項に規定する5月から9月までの天災
ハ 昭和34年7月から9月までの天災についての天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通にする暫定措置法の適用に関する政令(昭和34年政令第300号)第1条第1項に規定する7月から9月までの天災
2チリ地震津波についての法第2条第4項第1号の政令で定める額は,次のとおりとする。
(経営資金の償還期限)
第5条チリ地震津波についての法第2条第4項第2号の政令で定める期限は,開拓者に貸付けられる場合,水産動植物の養殖に必要な資金として貸付けられる場合,漁船の建造又は取得に必要な資金として貸付けられる場合及び漁具の購入資金として貸付けられる場合は3年(前条第1項各号の1に掲げる資金の貸付けを受けている者に貸し付けられるときに限り4年)その他の場合は2年(前条第1号各号の1に掲げる資金の貸付けを受けている者に貸付けられるときに限り3年)とする。
(政令で定める組合)
第6条チリ地震津波についての法第3条第1項第5号の政令で定める組合は,農業協同組合,森林組合及び漁業協同組合であって,繰越損失金があるもの並びに農業協同組合連合会,森林組合連合会又は漁業協同組合連合会(以下この条において「連合会」という。)及び農林中央金庫その他の金融機関からのその組合の借入金の総額(チリ地震津波につき法第2条第4項の経営資金の貸付けに充てるため資金を連合会又は農林中央金庫その他の金融機関から借り入れようとする場合における邸の借入金の額を含む。)が連合会及び農林中央金庫その他の金融機関へのその組合の預金の総額をこえるものとする。
(損失としない期間)
第7条チリ地震津波についての法第3条第3項の政令で定める期間は,3月とする。
第8条チリ地震津波についての法第3第3項の政令で定める遅延利子は,同項の期間内における融資残高にっき,当該融資の条件として定められた利率(その利率が日歩2銭7厘5毛をこえる場合は,日歩2銭7厘5毛)により計算した金額のものとする。
(経営資金及び事業資金の総額)
第9条チリ地震津波についての法第4条第1項の政令で定める額は,23億円とする。
附則
この政令は,公布の口から施行する。
大蔵大臣佐藤栄作
農林大臣福田赳夫
内閣総理大臣岸信介

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チリ地震津波についての法第2条第4項第1号の政令で定める額
政令第168号(昭和35年6月23日)昭和35年5月のチリ地震津波についての天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の適用に関する政令の一部を改正する政令

内閣は,天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法(昭和30年法律第136号)第2条第4項及び第5項,第4条第1項並びに附則第3項の規定に基づき,この政令を制定する。
昭和35年5月のチリ地震津波についての天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の適用に関する政令(昭和35年政令第146号)の一部を次のように改正する。
第4条第2項中「チリ地震津波についての法第2条第4項第1号の政令」を次項に規定する被害漁業者以外の法第2条第4項の被害農林漁業者に係るチリ地震津波についての同項第1号の政令」に,「1千万円」を「250万円」に改め,同条に次の1項を加える。
3第10条に規定する都道府県の区域内に住所を有する法第2第1項の被害漁業者に係るチリ地震津波についての同条第4項第1号の政令で定める額は,次のとおりとする。
第5条に次のただし書を加える。
ただし,チリ地震に係る法第2条第5項第1号の特別被害地域内において農業を営む同条第3項の特別被害農業者又はチリ地震津波に係る同条第5項第3号の特別被害地域内に住所を有する同条第2項の特別被害漁業者に貸付けられる場合は,5年とする。
第5条の次に次の1条を加える。
(特別被害地域の指定することができる都道府県)
第5条の2チリ地震津波についての法第2条第5項第3号の政令で定める都道府県は,岩手県,宮城県,三重県及び徳島県とする。
2チリ地震津波についての法第2条第5項第3号の政令で定める都道府県は,北海道,青森県,岩手県,宮城県,静岡県,三重県,和歌山県,徳島県,愛媛県及`び高知県とする。
第9条中「23億円」を「30億円」に改め,同条の次に次の1条を加える。
第10条法附則第3項の政令で定める都道府県は,北海道,青森県,岩手県,宮城県,静岡県,三重県,和歌山県,徳島県,愛媛県及び高知県とする。
附則
この政令は,公布の日から施行する。
大蔵大臣佐藤栄作
農林大臣福田超夫
内閣総理大臣岸信介

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第10条に規定する都道府県の区域内に住所を有する法第2第1項の被害漁業者に係るチリ地震津波についての同条第4項第1号の政令で定める額
政令第177号(昭和35年6月27日) 昭和35年5月のチリ地震津波による災害に伴なう公住宅法の特例に関する法律施行令

内閣は,昭和35年5月のチリ地震津波による災害に伴なう公営住宅法の特例に関する法律(昭和35年法律第106号)第1項の規定に基づき,この政令を制定する。1昭和35岳5月チリ地震津波による災害に伴う公営住宅法の特例に題する法律第1項に規定する政令で定める地域は,昭和35年5月のチリ地震津波による災害により滅失した住宅の戸数が,その区域内で,200戸以上で,かつ,その区域内の住宅の戸数の!割以上である市町村の区域とする。
2前項の区域は,建設大臣が品示する。
附則
この政令は,公布の口から施行する。
大蔵大臣佐藤栄作
建設大臣村上赳夫
内閣総理大臣岸信介

政令第179号(昭和35年6月27日)昭和35年5月のチリ地震津波による災害を受けた漁業者の共同利用に供する小型の漁船の建造に関する特別措置法施行令

内閣は,昭和35年5月のチリ地震津波による災害を受けた漁業者の共同利用に供する小型の漁船の建造に関する特別措置法(昭和35年法律第IOO号)の規定に基づき,この政令を制定する。
(都道府県の指定)
第1条昭和35年5月のチリ地震津波による災害を受けた漁業者の共同利用に供する小型の漁船の建造に関する特別措置法(以下「法」という。)第1項に規定める都道府県は,次の各号の要件のすべてをみたすものとして農林大臣が指定する都道府県とする。
1昭和35年5月のチリ地震津波による災害(以下チリ地震津波災害」という。)を受けた第3条に規定する小型漁船(沈没し若しくは滅失し又は第4条に規定する著しい被害を受けたものに限る。以下「被害小型漁船」という。)でチリ地震津波災害を受けた際に,その都道府県の区域内に住所を有する漁業者が所有し,かつ,その営む漁業の用に供していたものの隻数が100隻をこえること。
2その都道府県の区域の一部をその地区とする漁業協同組合の総数に対するその都道府県の区域の一部をその地区とする被害漁業協同組合(その組合員が所有し,かつ,その営む漁業の川に供していた第3条に規定する小型船の全部又は一部につきチリ地震津波災害に係る被害があった漁業協同組合をいう)の数の割合が,1O/100をこえること。
(漁業協同組合の要件)
第2条無第2項の政令で定める要件に該当する漁業協同組合は,その組合員がチリ地震津波災漁を受けた際に所有し,かつ,その営む漁業の用に供していた被害小型漁船(以下「組合員所有被害小型漁船」という)の隻数が10隻をこえる漁業協業同組合又はその組合員がチリ地震津波災害の発生の際に所有し,かつその営む漁業の用に供していた次条に規定する小型漁船の総隻数に対する組合員所有被害小型漁船の隻数の割合が20/100をこえる漁業協同組合とする。
(小型漁船の範囲)
第3条法第2項の政令で定める小型漁船は,無動力漁船及び総トン数5トン以下の動力漁船とする。
(被害の範囲)
第4条法第2項の政令で定める著しい被害は,修繕することができないか,又は著しく困難な程度の損壊とする。
(小型の漁船の建造の要件)
第5条法第2項の小型の漁船を建造するために要する経費は,同項に規定する漁業協同組合が組合員所有被害小型漁船の隻数及び合計総トン数の範囲内における隻数及び合計計画総トン数の小型の漁船を建造するために要する経費に限るものとする。
附則
この政令は,公布の日から施行する。
大蔵大臣佐藤栄作
農林大臣福田赳夫
内閣総理大臣岸信介

政令第194号(昭和35年7月4日)昭和35年5月のチリ地震津波による災害を受けた水産業施設の災害復旧事業に関する特別措置法施行令

内閣は,昭和35年5月のチリ地震津波による災室を受けた水産業施設の災室復旧事業に関する特別措置法(昭和35年法律第108憂})第1条及び第2条の規定に基づき,この政令を制定する。
(地域指定)
第1条昭和35年5月のチリ地震津波による災害を受けた水産業施設の災害復旧事業に関する特別措置法(以下「法」という。)第1条の政令で定める地域は,その市町村の区域内に住所を有する漁業者のうち昭和35年5月のチリ地震津波(以ド「チリ地震津波」という。)に係る天災による被害農林漁業昔等に対する資金の融通に関する暫定措置法(昭和30年法律第136号)第2条第2項の特別被害漁業者の数が,その市町村の区域内に住所を有する漁業者のうちチリ地震津波に係る同条第1項の被害漁業者の数の30/l00をこえ,かつ当該特別被害漁業者の数が農林大臣の定める数をこえる市町材の区域とする。
2前項の市町村の区域については,新市町村建設促進法(昭和31年法律第164量)第2条第1項に規定する新市町村にあっては,同条第4項に規定する従前の市町村の区域によることができる。
3第1項の区域は,農林大臣が告示する。
(水産動植物の養殖施設の範囲)
第2条法第2条の政令で定める水産動植物の養殖施設は,かき,真珠又は真珠貝の養殖いかだとする。
(地域指定)
第3条第2条の政令で定める地域は,かきの養殖いかだに係るものにあっては第1号,真珠又は真珠貝の養殖いかだに係るものにあっては第2号に揚げる区域とする。
1その市町村の地先水面でかきの用に供されていた養殖いかだでチリ地震津波による災害を受けたものの数が当該災害の発生の際その市町村の地先水面でかきの養殖の用に供されていた養殖いかだの数の20/100をこえる市町村の地先水面の地区
2その市町村の地先水面で真珠又は真珠員の養殖の用に供されていた養殖いかだでチリ地震津波による災害を受けたものの数の合計が,当該災害の発生の際その市村村の地先水面で真珠又は真珠貝の養殖の用に供されていた養殖いかだの数の合計の20/100をこえる市町村の地先水面の区域
2第1条第2項の規定は,前項の場合に準用する。
3第1項の区域は,農林大臣が告示する。
(補助率)
第4条かきの養殖いかだに係る法第2条の政令で定める率は,次のとおりとする。
16台以下の台数の養殖いかだの災害復旧事業費(以下「災害復旧事業費」という。)については,
9/10
2昭和34年9月α)風水害によりその使用していた養殖いかだにつき著しい被害を受けた漁業者に係る7台から1O台までの台数の養殖いかだα)災害復旧事業費については,5/10
2真珠又は1真珠貝の養殖直いかだに係る法第2条の政令で定める率は次のとおりとする。
1チリ地震津波による災害の発生の際使用していた養殖いかだの台数が100台以下の漁業者に係る10以下の台数の養殖いかだの災害復旧事業費については
9/10
2前項に規定する漁業者で昭和34年9月の風水害によりその使用していた養殖いかだにつき著しい被害を受けたものに係る11台から30台までの台数の養殖いかだの災害復旧事業費については,5/10
附則
この政令は,公布の日から施行する。
大蔵大臣佐藤栄作
農林大臣福田赳夫
内閣総理大臣岸信介

政令第195号(昭和35年7月4日)昭和35年5月チリ地震津波による災害を受けた漁村における漁民の共同利用に供する特定の漁業施設の設置に関する特別措置法施行令

内閣は,昭和35年5月のチリ地震津波による災害を受けた漁村における漁民の共同利用に供する特定の漁業施設の設置に関する特別借置法(昭和35年法律第1O9号)の規定に基づき,この政令を制定する。
(特別被害漁村)
第1条昭和35年5月のチリ地震津波による災害を受けた漁村における漁民の共同利用に供する特定の漁業施設の設置に関する特別措置法(以下「法」という。)第1項に規定する政令で定める部落は,次の各号の要件のすべてをみたす部落(これに準ずるものと農林大臣が認める部落を含む。)とする。
1その区域内に住所を有する漁民又は組織する団体が昭和35年5月のチリ地震津波による災害(以下「チリ地震津波災害」という、)の発生の際使用し又はその発生の直前の漁期において使用していたのりひび又は次条に規定する網漁具の数が,農林大臣の定める数をこえること。
2その区域内にあった漁民の住宅でチリ地震津波災害を受けたもの(滅失し,又は倒壊したものに限る。)の数がチリ地震津波災害の発生の際その区域内にあった漁民の住宅の数の50/100をこえること。
3第l号に規定するのりひび又は網漁具でチリ地震津波災害を受けたもの(滅失し,又は修繕することができないか,若しくは著しく困難なものに限る)の数が,同号に規定するのりひび又は網漁具の数の50/100をこるこえと。
2前項の部落落は,農林大巨が告示する。
(漁業施設の範囲)
第2条法第2項に規定する政令で定める漁業施設は,水産物干場,水産物加工施設,水産物(その加工品を含む。)の倉庫,漁具倉庫及びこれらに類似する施設(農林大臣が指定するものに限る。),のりひび・わかめの養殖施設並びに網漁具(これを移動しないように施設して営む漁業(漁業法(昭和24年法律第267号)第6条第3項に規定する定置漁業を除く。)の用に供されるものに限る。)とする。
附則
この政令は,公布の口から施行する。
大蔵大臣佐藤栄作
農林大臣福田赳夫
内閣総理大臣岸信介

政令第216号(昭和35年7月27日)昭和35年5のチリ地震津波による災害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律施行令

内閣は,昭和35年5月チリ地震津波による災害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律(昭和35年法禅第114号)第1条及び第2条第2項の規定基づき,この政令を制定する。
(歳入欠陥債等を起こすことができる地方公共団体の指定)
第1条昭和35年5月のチリ地震津波による災害を受けた地方公共団体の起債の特例に関する法律(以下「法」という。)第1条に規定する政令で定める地方公共団体は,同条に規定する災害に際し災害救助法(昭和22年法律第1l8号)が適用された市町村のうち,同法第23条の規定による救助に要した費用で,都道府県が支弁したものが当該市町村の標準税収人額の1/100に相当する額をこえるものであって、法第1条第1号の徴収金の減免の額と同条第2号の災害対策に通常要する費用の額との合計額が,地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の市にあっては1千万円,同項の市以外の市で人口(官報に公示された最近の国勢調査又はこれに準ずる人口調査の結果によるものとし,当該公示の人口調査期口以後において市町村の廃置分合又は境界変更があった場合における当該市の人口は,地方自治法施行令〔昭和22年政令第16号)第177条の規により都道府県知事の告示した人口による。以下同じ。)30万人以上の市にあっては150万円,その他の市及び町村にあっては80万円をこえるものとする。
2前項の標準税収人額は,地方交付税法(昭和25年法律第211号)第10条第3項本文の規定により自治大臣が決定した昭和35年度分の善通交付税の額の算定に用いられた基準財政収入額(特別とん譲与税に相当する額)道路法(昭和27年法律第180号)第7条第3項の市については,地方税法(昭和25年第226号)第700条の49第1項の規定により交付するものとされる軽油引取税に係る交付金の70/100,地方道路譲与税及び特別とん譲与税に相当する額。)を除く。)の70/100に相当する額とする。
3第1項の市町村は,自治大臣が告示する。
(歳人欠陥債等の利息の定率及び償還方法)
第2条法第1条の規定による地方債の利息の定率は,年6分3厘とする。
2法第1条の規定による地方債の償還方法は,昭和36年度以降4年以内の半年賦(うち1年以内の据置期間を含む。)によるものとする。
附則
この政令は,公布の日から施行する。
大蔵大臣水田三喜男
自治大臣山崎厳
内閣総理大臣池田勇人

政令第238号(昭和35年815日)昭和35年5月のチリ地震津波による災害を受けた中小企業者に対する資金の融通に関する特別措置法施行令

内閣は,昭和35年5月のチリ地震津波による災害を受けた中小企業業者に対する資金の融通に関する特別措置法(昭和35年法律第ll9号)第2条及び第3条の規定に基づき,この政令を制定する。
(指定被害中小企業者)
第1条昭和35年5月のチリ地震津波による災害を受けた中小企業者に対する資金の融通に関する特別措置法(以下「法」という。)第2条の指定被害中小企業者は,同条第1号に掲げる者のうち,法第1条の災害により次条に規定する地域内の事業所又は主要な事業用の資産につき,全壊,流失,半壊,床上浸水その他これらに準ずる損害を受けた者であって,その旨の証明を市町村長その他相当な機関から受けたものとする。
2法第4条第1項第3旨の規定の適用については,前項に規定する者のほか,法第2条第2号に掲げる者のうち,同項に規定する者を直接又は問接の構成員のうちに含む者を同条の指定被害中小企業者とする。
(地域の指定)
第2条第1号の政令で定める地域は,法第1条の災害救助法(昭和22年法律第118号)が適用された地域とする。
(商工組合中央金庫に対する利子補給金の支払)
第3条法第3条の契約により政府が支給する利子補給金は,毎年度,4月l日から9月30日まで及び10月1日から翌年3月31日までの期間に分け,それぞれの期間に応ずるものを商工組合中央金庫に対して支払うものとする。
附則
この政令は,公布の日から施行する。
大蔵大臣水田三喜男
通商産業大臣臨時代理
国務大臣迫水久常
内閣総理大臣池田勇人

政令第240号(昭和35年8月玉8日)昭和35年5月のチリ地震津波による災害を受けたる地域における津波対策事業に関する特別措置法施行令

内閣は,昭和35年5月のチリ地震津波による災害を受けた地域における津波対策事業に関する特別措置法(昭和35年法律第107号)第2条及び第4条第3項の規定に基づき,この政令を制定する。
(津波対策事業に関する特別措置に係る被害地域)
第1条昭和35年5月のチリ地震津波による災害を受けた地域における津波対策事業に関する特別措置法(以下「法」という。)第2条に規定する政令で定める地域は,北海道厚岸郡浜中村,青森県八戸市,岩手県の海に面する市町村,宮城県の海に面する市町村,福島県双葉郡富岡町,和歌山県田辺市,徳島県阿南市及び高知県須崎市の区域とする。
(津波対策事業に関する特別措置に係る施設)
第2条法第2条に規定する政令で定める施設は,海岸堤防,河川堤防,防波堤,防潮堤,導流堤,離岸堤,突堤,胸壁,護岸,防潮林,水門及び問門とする。
(チリ地震津波対策審議会の組織)
第3条チリ地震津波対策審議会(以下「審議会」という。)は委員20人以内で組織する。
(委員)
第4条委員は,学識経験のある者及び関係機関の職員のうちから,内閣総理大臣が任命する。
2学識経験のある者のうちから任命される委員の任期は,2年とする。ただし,補欠の委員の任期は,前任者の残任期間とする。
3前項の委員は,再任されることができる。
4委員は,非常勤とする。
(会長)
第5条審議会に会長を置き,委員の互選によってこれを定める。
2会長は,会務を総理する。
3会長に事故があるときは,あらかじめ会長の指名する委員が,その職務を代理する。
(議事)
第6条審議会の会議は,委員の1/3以上が出席しなければ開くことができない。
2審議会の議事は,出席委員の過半数で決し,可否同数のときは,会長の決するところによる。
(幹事)
第7条審議会に幹事20人以内を置く。
2幹事は,関係行政機関の職員のうちから,内閣総理大臣が任命する。
3幹事は,審議会の所掌事務について,委員を補佐する。
4幹事は,非常勤とする。
(資料の提出等の要求)
第8条審議会は,その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは,関係行政機関の長に対し,資料の提出意見の開陳,説明その他必要な協力を求めることができる。
(庶務)
第9条審議会の庶務は,建設省河川局において,農林省農地局,林野庁指導部,水産庁漁港部及び運輸省港湾局の協力を得て処理する。
(雑則)
第10条この政令に定めるもののほか,議事の手続その他審議会の運営に関し必要な事項は,会長が審議会にはかって定める。
附則
(施行期日)
1この政令は,公布の日から施行する。
(建設省組織令の一部改正)
2建設省組織令(昭和27年政令第394号)の一部を次のように改正する。
第24条の次の3号を加える。
4昭和35年5月のチリ地震津波による災害を受けた地域における津波対策事業に関する特別措置法(昭和35年法律第107号)に規定する津波対策事業(以下この条において「津波対策事業」という。)の計画の立案に関すること。
5津波対策事業(災害復旧事業を除く。)の指導,監督及び助成に関すること。
6チリ地震津波対策審議会に関すること。
内閣総理大臣池田 勇人
大蔵大臣水田 三喜男
農林大臣南条 徳男
運輸大臣南 好雄
建設大臣橋本登美三郎
自治大臣山崎 厳

附告示

◎大蔵省告示第117号
チリ地震津波の罹災者に対する遺族国庫債券及び引揚者国庫債券の買上償還に関する要領を次のように定める。
昭和35年6月4日
大蔵大臣佐藤 栄作
チリ地震津波の罹災者に対する遺族国庫債券の買上償還に関する要領
1買上げを請求することができる遺族国庫債券は,遺族国庫債券の発行交付等に関する省令(昭和27年大蔵省令第71号)第1条に規定する遺族国庫債券及び引揚者国庫債券の発行交付等に関する省令(昭和32年大蔵省令第49号)第1条に規定する引揚者国庫債券であって,7に掲げる地域に居住する当該債券の記名者がチリ地震津波により,住家が半壊程度以上の被害を受け,かつ著しく生活が困窮しており,福祉事務所長《社会福祉事業法(昭和26年法律第45号)第14条の規定により置かれた福祉に関する事務所の長(同法附則第7項の規定により置かれた組織の長を含む。)をいう。》が当該債券の買上償還を必要とする旨を証明したものに限る。
2買上げは,遺族国債券の発行交付等に関する省令第11条第1項及び引揚者国庫債券の発行交付等に関する省令第9条第1項の規定により当該債券の元利金支払場所として届出た日木銀行の本店,支店,代理店若しくは国債代理店又は郵便局において取り扱う。
3買上価格は,額面金額(年賦金の支払期日の到来後は元金残高)とする。
4買上げを実施する期日は,昭和35年6月4日から昭和36年3月31日までとする。
5買上請求者は,買上げを請求する場合には,日本銀行所定の遺族国庫債券又は引揚者国庫債券の買上請求書に遺族国債券又は引揚者国庫債券並びに1に規定する証明書を添えて,買上げを取り扱う日本銀行の本店,支店,代理店若しくは国債代理店又は郵便局に提出しなければならない。
6支払期日の到来していない賦券が欠けている債券(以下「けん欠債券」という。)は,買上償還を行なわないものとする。ただし,けん欠債券の記名者が,日本銀行の本店,支店又は代理店にその旨を届け出で,国債に関する法律(明治39年法律第34号)に規定する手続を経て再交付を受けたときは,この限りでない。
7 1に規定する地域は,北海道,青森県,岩手県,宮城県,三重県,和歌山県及び高知県とする。
◎建設省告示第1347号
昭和35年5月のチリ地震津波による災害に伴なう公営住宅法の特例に関する法律施行令(昭和35年政令第178号)第1項の区域は次の市町村の区域であるので,同令第2項の規定により告示する。
昭和35年7月15日
建設大臣村上 勇
道県別郡別市町村名
北海道厚岸郡浜中村
岩手県大船渡市
宮城県本吉郡志津川町
◎農林省告示第764号
昭和35年5月のチリ地震津波による災害を受けた水産業施設の災害復旧事業に関する特別措置法施行令(昭和35年政令第194号)第3条第3項の規定に基づき,同令同条第1項第1号及び第2号の区域を次のように告示する。
昭和35年8月19日
農林大臣協条 徳男
1第1号の区域は,次に掲げる市町村の地先水面の区域とする。
道県別 郡支庁別 市町村名
北海道 胆振支庁
有珠 伊達町
岩手 宮古市,大船渡市,陸前高
田市,釜石市
下閉伊 山田町
上閉伊 大槌町
気仙 三陸村
宮城 石巻市,塩釜市,気仙沼市
本吉 唐桑町,歌津町,志津川町
桃生 雄勝町,鳴瀬町
牡鹿 女川町,牡鹿町,稲井町
宮城 松島町,利府村,七ケ浜町
亘理 亘理町
静岡 清水市
三重 鳥羽市
志摩 磯部町,阿児町
北牟婁 海山町
徳島 阿南市
2第2号の区域は,次に掲げる市町村の地先水面の区域とする。
県別 郡別 市町村名
静岡 清水市
三重 尾鷲市,鳥羽市
北牟婁 海山町,長島町
度会 南勢町,南島町,紀勢町
志摩 大王町,志摩町,阿児町,
磯別町,浜島町
和歌山 川辺市
東牟婁 那智勝浦町,太地町
西牟婁 白浜町
徳島 阿南市
海部 田岐町,宍喰町
愛媛 南宇和 御荘町
北宇和 吉田町
高知 宿毛市,土佐清水市,須崎市
高岡 中土佐町
熊本 本渡市
天草 新和村
◎農林省告示第790号
昭和35年5月のチリ地震津波による災害を受けた漁村における漁民の共同利用に供する特定の漁業施設の設置に関する特別措置法施行令(昭和35年政令第165号)第1条第2項の規定に基づき,同条第1項の部落を次のように告示する。
昭和35年8月24日
農林大臣南条 徳男
道県別 支庁郡別 市町村別 部落名
北海道 釧路支庁
厚岸浜中村 霧多布1区,霧多布3
区,霧多布4区,水取
場,暮帰別,新川,浜
巾,榊町
十勝支庁
十勝 浦幌町 十勝太
広尾 広尾町 入舟町
青森 八戸市 鮫町浜通,三島下,浜
須賀
岩手 大船渡市 下船渡,中赤崎,清水、
蛸の浦
陸前高田市 長部,長砂,沼田,勝
木田,両替,塩谷,三
日市
釜石市 箱崎
宮古市 赤前,本町,下町,法
の脇,南金浜,北金浜
下高浜,上高浜
上閉伊 大槌町 大須賀,上安渡,二渡
前,釜鼻前
下閉伊 山田町 上村,森,跡浜,飯岡
釜谷洞,大沢
宮城 石巻市 萩浜,月浦,狐崎浜,
鹿立,竹浜、折浜,桃
浦,佐須浜
気仙沼市 港,大浦
桃生 鳴瀬町 室浜,大浜
雄勝町 分浜
牡鹿 牡鹿町 前網,谷川浜,小淵,
給分,小網倉,大原,
十八成浜
女川町 竹浦,桐ケ崎,横浦,
野々浜,飯子浜,塚浜
本吉 志津川町 志津川,折立,水戸辺
左郷,波伝谷,津の宮
備考 部落名の欄に掲げる部落の区域を示す図面を,田該部落のある市町村の事務所に備え置いて縦覧に供する。

第4節昭和35年5月のチリ地震津波による被害農林漁業者等に対する金融措置の添付書類

天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律(昭和35年6月23日法律第101号)

天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定暫置法(昭和30年法律第136号)の一部を次のように改正する。
附則に次の1項を加える。
3昭和35年5月のチリ地震津波が第2条第1項の規定により政令で同項の天災として指定された場合における政令で定める都道府県の区域に係る当該天災についてのこの法律の規定の適用については,同条第4項第1号中「漁具の購入資金として貸し付けられる場合は1干万円」とあるのは「漁具の購入資金として貸し付けられる場合は1干万円,真珠又はかきの養殖に必要な資金として貸し付られる場合は50万円,その他の漁業経営に必要な資金として貸し付けられる場合は20万円」とする。
附則
この法律は,公布の日から施行する。

昭和35年5月のチリ地震津波についての天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の適用に関する政令(昭和35年6月8日政令第146号)(改正昭和35年6月23日政令第168号)

(天災の指定)
第1条天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法(以下「法」という。)第2条第1項及び第3項の規定により,昭和35年5月のチリ地震津波(以下「チリ地震津波」という。)を同条第1項及び第3項の天災として指定する。
(農機貝及び漁船の範囲)
第2条チリ地震津波についての法第2条第4項の政令で定める農機具は,原動機により運転される農機具以外の農機具とする。
2チリ地震津波についての法第2条節4項の政令定める漁具は,漁網綱とする。
3チリ地震沖波についての法第2条第4項の政令で定める漁船は総,トン数2トン未満の漁船とする。
(経営資金及び事業資金の貸付期聞)
第3条チリ地震津波についての法第2条第4項及び第7項り政令で定める期間は,この政令の施行の日から昭和36年1月31目までとする。
(経営資金の貸付限度額)
第4条チリ地震津波についての法第2条第4項第1号の政令で定めるところにより算出される額は,同条第1項の市町村長が認定する損失額に,同項の被害農業者又は被害林業者に貸し付けられる場合は100分の30(次の各号の1に掲げる資金の貸付けを受けている「同項の被害農業者又は第3号ロ若しくはハに掲げる天災に係る同号の資金の貸付けを受けている同項の被害林業者に貸し付けられる場合は、100分の60)を,同項の被害漁業者に貸し付けられる場合は100分の50(漁船の建造又は取得に必要な資金として貸し付けられる場合,漁具の購入資金として貸し付けられる場合及び第3号に掲げる資金の貸付けを受けている同項の被害漁業者に貸し付けられる場合は、100分の80)をそれぞれ乗じて得た額とする。
1.昭和29年の台風及び冷害の被害農林業者に対する資金の融通に関する特別措置法(昭和29年法律第221号)第2条第2項の経営資金
2.天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の1部を改正する法律(昭和32年法律第66号)附則第1項ただし書の規定によりその例によるものとされた)同法による改正前の第2条第3項の経営資金で次に掲げる天災に係るもの
イ 昭和31年6月から9月までの天災についての天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の適用に関する暫定措置法の適用に関する政令(昭和31年政令第294号)第1条
に規定する6月から9月までの天災)
ロ 昭和31年夏の低温等についての天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の適用に関する政令(昭和31年政令第344号)第1条に規定する低温等
3.法第2条第4項の経営資金で次に掲げる天災に係るもの
イ 昭和32年2月から9月までの天災についての天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通にする暫定措置法の適用に関する政令(昭和32年政令第287号)第1条第1項に規定する2月から9月までの天災
ロ 昭和33年5から9月までの天災についての天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の適川に関する政令(昭和33年政令第262号)第1条第1項に規定する5月から九月までの天災
ハ 昭和34年7月から9月までの天災についての天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の適用に関する政令(昭和34年政令第300号)第1条第1項に規定する7月から
9月までの天災
2次項に規定する被害漁業者以外の法第2条第4項の被害農林漁業者に係るチリ地震津波についての同項第1号の政令で定める額は次のとおりとする。
3第10条に規定する都道府県の区域内に住所を有する法第2条第1項の被害漁業者に係るチリ地震津波についての同条第4項第1号の政令で定める額は、次のとおりとする。
(経営資金の償還期限)
第5条チリ地震津波についての法第2条第4項第2号の政令で定める期限は,開拓者に貸し付けられる場合,水産動植物の養殖に必要な資金として貸し付けられる場合,漁船の建造又は取得に必要な資金として貸し付けられる場合及び漁具の購入資金として貸し付けられる場合は3年(前条第1項各号の1に掲げる資金の貸付けを受けている者に貸し付けられるときに限り4年)その他の場合は2年(前条第1項各号の1に掲げる資金の貸付けを受けている者に貸し付けられるときに限り3年)とする。ただし、チリ地震津波に係る法第2条第5項第1号の特別被害地域内において農業を営む同条第2項の特別被害農業者又はチリ地震津波に係る同条第5項第3号の特別被害地内に住所を有する同条第2項の特別被害漁業者に貸し付けられる場合は,5年とする。
(特別被害地域の指定をすることができる都道府県)第5条の2チリ地震津波についての法第2条第5項第1号の政令で定める都道府県は,岩手県、宮城県、三重県及び徳島県とする。
2チリ地震津波についての法第2条第5項第3号の政令で定める都道府県は,北海道、青森県、岩手県、宮城県、静岡県、三重県、和歌山県、徳島県、愛媛県及び高知県とする。
(政令で定める組合)
第6条チリ地震津波についての法第3条第1項第5号の政令で定める組合は、農業協同組合、森林組合及び漁業協同組合であって、繰越損失金があるもの並びに農業協同組合連合会、森林組合連合会又は漁業協同組合連合会(以下この条において「連合会」という。)及び農林中央金庫その他の金融機関からのその組合の借入金の総額(チリ地震津波につき法第2条第4項の経営資金の貸付けに充てるための資金を連合会又は農林中央金庫その他の金融機関から借り入れようとする場合におけるその借入金の額を含む。)が連合会及び農林中央金庫その他の金融機関へのその組合の預金の総額をこえるものとする。
(損失としない期間)
第7条チリ地震津波についての法第3条第3項の政令で定める期問は,3月とする。
(遅延利子)
第8条チリ地震津波についての法第3条第3項の政令で定める遅延利子は、同項の期間における融資の条件として定められた利率(その利率が日歩2銭7厘5毛をこえる場合は,日歩2銭7厘5毛)により計算した金額のものとする。
(経営資金及び事業資金の総願)第9条チリ地震津波についての法第1条第1項の政令で定める額は,30億円とする。
第10条法附則第3項の政令で定める都道府県は,北海道、青森県、岩手県、宮城県、静岡県、三重県、和歌山県、徳島県、愛媛県及び高知県とする。
附則
この政令は、公布の日から施行する。

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次項に規定する被害漁業者以外の法第2条第4項の被害農林漁業者に係るチリ地震津波についての同項第1号の政令で定める額
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第10条に規定する都道府県の区域内に住所を有する法第2条第1項の被害漁業者に係るチリ地震津波についての同条第4項第1号の政令で定める額
天災による被害農林漁業者等に対する経営資金等の利子補給費及び損失補償費補助金交付要綱

(目的)
第1天災による被害農林漁業者等の経営に必要な資金の融通を円滑にしてその経営の安定に資するため、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法(昭和30年法律第136号。以下「法」という。)に基づき市町村が行なう利子補給及び損失補償に要する経費に対し、予算の範囲内で、岩手県補助金交付規則(昭和32年岩手県規則第71号。以下「規則」という。)及びこの要綱により補助金を交付する。
(補助金交付の対象及び補助率)
第2 第1に規定する経費は、市町村が、その区域内の農業協同組合、漁業協同組合森林組合又はその他の金融機関(以下「組合等」という。)との契約により、当該組合等に対して行なう利子補給及び損失補償に相当する次の上欄に掲げる額とし、その補助率は次の下欄に掲げる率とする。
(書類の経由)
第3規則及びこの要綱により知事に提出する書類は、農林業関係については所轄農林事務所長を、漁業者については所轄水産業事務所長を経由しなければならない。
(提出書類及び提出期日)
第4規則により定める書類及びこれに添付する書類は別表第1のとおりとし、提出期日は、別表第2のとおりとする。

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当該組合等に対して行なう利子補給及び損失補償
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別表第1
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別表第2
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様式第1号
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様式第2号
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様式第3号
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様式第4号
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様式第5号
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様式第6号
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様式第7号
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様式第8号
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様式第9号
議案第27号昭和35年5月のチリ地震津波についての天災による被害農林漁業者等に対する経営資金及び事業資金の融通に伴う利子補給費補助並びに損失補償費補助に関する予算外の義務を負担するための議決を求めることについて

天災に被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法に基づき、昭和35年5月のチリ地震津波についての天災による被漁農林漁業者等に対して行なう資金の融通に伴なう利子補給費補助並びに損失補償及び損失補償費補助に関し、次のとおり予算外の義務を負担するため、地方自治法第96条第1項第8号の規定により、議会の議決を求める。
1.予外義務負損の目的
昭和35年5月のチリ地震津波についての天災による被害農林漁業者等に対する経営資金及び事業資金の融通を円滑にするため
2.予算外義務負損の相手方
イ 利子補給
農林中央金庫(以下「中金」という。)、岩手県信用農業協同組合速合会(以下「信速」という。)岩手県信用漁業協同組合速合会(以下「信漁連」という。)株式会社岩手銀行(以上「岩手銀行」という。)及び株式会社東北銀行(以下「東北銀行」という。)
ロ 利子補給費補助
市町村
ハ 損失補償
中金、信連、信漁連、岩手銀行、東北銀行
二 損失補償費補助
市町村
3.予算外義務負担の対象
イ 利子補給
中金、信連、信漁連、岩手銀行が貸し付けた経営資金及び事業資金につき、年6分5厘以内の割合で計算した額
ロ 利子補給費補助
市町村が、農業協同組合及び水産協同組合(以下「組合」という。)との契約により、当該組合が貸し付けた経営資金につき、年6分5厘以内の割合で計算した額を利子補給するために要する経費
ハ 損失、補償
中金、信漁連が、経営資金を貸し付けようとする組合に対し当該資金に充てるための資金を融通することによって受けた損失及び中金、信漁連、岩手銀行、東北銀行が経営資金を貸し付けたことによって受けた損失並びに中金、信漁連が、組合に対し中業資金を貸し付けたことによって受けた損失
二 損失補償費補助
市町村が組合との契約により,当該組合が経営資金を貸し付けたことによって受けた損失を,当該融資総額の50/100に相当する額以内で補償するために要する経費
4.予算外義務負担の限度
経営資金の融資総額5億3千万円を限度とし、償還期限5年以内(事業資金にあっては3年以内〉であって次に掲げる率以内とする。
イ 利子補給
中金、信連、信漁連、岩手銀行及び東北銀行が融資した場合の当該融資額につき、年6分5厘以内の割合で計算した額以内
ロ 利子補給費補助
市町村が利子補給を行なうのに要する経費の100分の82.5に相当する額以内
ハ 損失補償
当該融資総額の50/100に相当する額以内
二 損失補償費補助
市町村が損失補償を行なうのに要する経費の100分の75に相当する額以内
昭和35年6月30日提出
岩手県知事  阿部 千一
提案理由
昭和33年のチリ地震津波についての天災による被害農林漁業者等に対して、その経営を維持する必要な資金の融通を円滑にするため、利子補償及び利子補給費補助並びに損失補助費補助を行なうとするものである。

議案例(被害農林漁業者関係) 議案第  号 昭和35年5月のチリ地震津波についての天災による被害農林漁業者等に対する経営資金の融通に伴なう利子補給及び損失補償に関する予算外の義務を負担するための議案を求めることについて

「天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法」及び「昭和35年5月のチリ地震津波についての天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の適用に関する政令に基づき,被害農林漁業者に対して行なう資金の融通についての利子補給及び損失補償について次のとおり予算外義務を負担するため地方自治法第91条第1号第9号の規定により議会の議決を求める。
1.予算外義務負担の目的
昭和35年5月のチリ地震津波についての天災による被害農林漁業者の経営に必要な資金の融通を円滑にするため
2.予算外義務負担の相手方
(1)利子補給及び損失補償
○○農業協同組合
○○漁業協嗣組合
(2)県が行なう利子補給及び損失補償ののうちの一部負担
岩手県
3.予算外義務負担の対象
(1)利子補給
市(町)(村)が農林協同組合、漁業協同組合(以下「組台」という。)との契約により当該組含が貸付けた経営資金につき年6分5厘以内の割合で計算した額
(2)損失補償
市(町)(村)が組合との契約により当該組合が経営資金を貸付けた場合当該融資総額の50/100に相当する額以内
(3)県が行なう利子補給のうち一部負担
県が株式会社岩手銀行(以下「岩手銀行」という。)及び株式会社東北銀行(以下「東北銀行」という。)に対し被害農林漁業者にこ貸し付けた経営資金について年6分5厘以内の割合で計算した補給額
(4)県が行なう損失補償のうちの一部負担
農林中央金庫(以下「中金」という。)及び岩手県信用漁業協同組合連合会(以下「信漁連」という。)が経営資金を貸し付けようとする組合(政令第6条に定める組合に限る)に対し当該融資に充てるための資金(転貸資金)を融通することによって受けた損失補償する額並びに岩手銀行及び東北銀行が被害農林漁業者に経営資金を貸付けたことによって受けた損失を県が損失補償する額
4予算外義務負担の限度
(1〉利子補給及び損失補償
市(町)(村)が組合に対して利子補給及び損失補償を行なう融資総額の限度は    円とする。
(2)県が行なう利子補給及び損失、補償のうち一部負担
市(町)(村)が県との契約により県に対して行なう一部負担額は県が岩手銀行に対して行なう利子補給額の25/100又は17.5/100並びに損失補償額の25/100に相当する額と県が申金及び信漁連に対して行なう損失補償額の25/100に相当する額
昭和    年  月  日
市(町)(村)長氏    名

昭和35年5月のチリ地震津波についての天災による被害漁業者等に対する経営資金の融通に伴なう利子補給費の一部負担並びに損失補償費の一部負担及び転貸資金の貸付に関する損失補償費の一部負担に関する契約書(案)

岩手県(以下「甲」という。)と(以下「乙」という。)とは、「天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法」(昭和30年法雑第136号。以下「法」という。)及び「昭和35年5月のチリ地震津波についての天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の適用に関する政令」(昭和35年政令第146号。以下「政令」という。)に基き、甲と農林中央金庫(以下「融資機関」という。)甲と、岩手銀行及び甲と東北銀行(以下「金融機関」という。)が締結した別紙契約書により甲が金融機関に対して行なう利子補給費の一部及び損失袖償費の一部並びに融資機関に対して行なう損失補償費の一部を、乙が負担することについて、次のとおり契約する。
第1条乙は、甲が、金融機関との契約により当該金融機関が経営資金を被害漁業者に貸付した場合において行なう利子補給費の一部および損失補償費の一部並びに融資機関との契約により当該融資機関が漁業協同組合に対し経営資「金に充てるための資金を融資した場合に行なう損失補賃費の一部を負担するものとする。
2前項の利子補給費及び損失補償費の負損額は、次のとおりとする。
(1)利子補給費の負担額は金融機関が乙の区域内の被害漁業者に貸付した経営資金の貸付残高について年1分1厘3毛7糸5、又は8厘7毛5糸の割合で計算した金額とする。
(2)損失補償費の負担額は、乙の区域内に融資又は貸付されたものに係る経費について甲が金融機関又は融資機関に対して損失補償すべき額の25/100に相当する額とする。
第2条甲は乙に対して、前条第2項第1号の利子補給費の負担額については毎年1月1日から6月30日までの期間及び7月1日から12月31日までの期問ごとに、前条第2項第2号の損失補償費の負担額については損失補償を生じた都度通知するものとする。
2乙は、前項の通知を受理した日から10日以内に現金をもって甲に納入するものとする。
第3条乙は、前条の期間内に負担金を納入しない場合は、前条の期間満了の日の翌日から納入の日までの期問につき、日歩3銭2厘の割合で計算した金額をその負担金に加えて甲に支払うものとする。
第4条法、又はこれに基く政令の改廃により金融機関及び融資機関と甲との契約が変更された場合は必要に応じ、甲、乙の協議の上、この契約の内容を変更するものとする
第5条この契約に定めるもののほか、この契約の実施に関し必要な事項は、甲、乙協議して定める。
昭和35年  月  日
岩手県
右代表者 岩手県知事 阿部千一
市(町)(村)長    氏名

昭和35年5月のチリ地震津波についての天災による被害農業者に対する経営資金の融通に関する利子補給及び損失補償契約(例)

○○市町村(以下「甲」という。)と○○農業協同組合(以下「乙」という。)とは天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通法に関する暫定措置法(昭和30年法律第136号以下「法」という。)及び昭和35年5月のチリ地震津波についての天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の適用に関する政令(昭和35年政令第146号。以下「政令」という。)に基き乙が行なう融資について次のとおり契約する。
第1条乙は、法第2条第1項、第2項及び政令第1条に定める被害農業者に対し法第2条第4項及び政令第4条第2項に定める経営資金を昭和35年6月8日から昭和36年1月31日までの間において総額00円を限度として融資する。
2甲は前項の融資について乙に対し第4条に定めるところにより利子補給を行なう。
3甲は前項の融資について乙が受けた第2条第1項の損失に対し損失補償を行なう。
第2条前条第3項の損失とは、前条第1項の融資元本の最終償還期限到来後3月を経過してなお元本又は利子(政令第8条で定められた遅延利子を含む)の全部又は一部が回収されなかった場合におけるその回収されなかった金額とする。
2乙が債権保全のため甲の承認を得て繰上償還を命じたときは、その時をもって前項の最終償還期限とする。
第3条乙は、第1条第1項の融資を行なうにあたって甲の意見を徴し、融資を行なった後直ちに甲へ融資を行なった旨報告するものとする。
第4条第1条第2項の規程により甲が乙に対して行なう利子補給について、乙は毎年1月1日から6月30日までの期問及び7月1日から12月31までの期間ごとにその期間内における融資残高(延滞額を除く)に対し、法第2条第5項の特別被害地域において農業を営む同条第2項の特別被害農業者に貸し付けられる資金については年6分5厘、その他の法第2条第1項の被害農業者に貸し付けられる資金については年3分5厘の率で計算した金額を甲に請求し、甲はこれを現金失をで支払うものとする。
2乙は前項の講求にあたって利子補給の金額に関する計算書を作成し、甲に提出するものとする。
第5条第1条第3項の規定により甲が乙に対して行なう損失補償の金額の限度は、乙の行った融資総額の50/100に相当する金額とする。
第6条乙はその行った融資について第2条第1項の損失を生じたときは、甲にその損失に対する補償金を現金で支払う。
2前項の請求にあって乙は損失の金額に関する計算書を作成し、甲に提出する。
第7条乙は、第1条第1項の融資を行なうときは、5人以上の連帯債務又は保証人を2人以上たてさせるものとする。
2前項の規定により保証人をたてさせた場合において乙が通常の書面により保証債務の履行を請求する以前に旧に対し前条の損失補償の請求をしようとするときは、乙は甲の承認を受けるものとする。
第8条甲は乙から第4条の規定により利子補給の請求があった場合、当該請求書を受理した口から30日以内にこれを支払う。
2甲は乙から損失補償の請求があった場合、当該請求を受けた月からgo日以内にこれを支払う。ただし、調査のため特に口時を要するときはこの限りではない。
第9条乙はこの契約により損失補償を受けた後も善良なる管理者の注意をもって当該融資に係る債権の回収に努めるものとする。
2乙は、この契約により損失補償を受けた後に当該融資に係る債権の回収によって得た金額のうちから債権行使のため必要とした費用を控除し、残額があるときは、これを当該融資について損失補償を受けない損失の補償に充てなお残額があるときは当該融資につき甲から受けた損失補償の金額に達するまでの金額を甲に納付する。
3前項の債権行使のために必要とした費用の範囲は次のとおりとする。
(1)利子支払及び元本償還の請求に関する訴訟費用、裁判上の督促手続費用、強制執行に関する費用、その他債権保金のために必要な費用
図前号の手続のために要する書類の訂、調製費用
第10条乙は、その行なった融資につき経理を明らかにするものとする。
第11条甲がの融資に関し報告を求めた場合又は甲の職員をしてこの融資に関する帳簿書類類を調査させることを必要とした場合には、乙はこれに協力する。
第12条甲は乙が法令及びこの契約に違反したときは、利子補給若しくは損失補償の全部若しくは一部について補給若しくは補償をせず、又は既にした利子補給若しくは損失補償金の全部若しくは一部の返還を請求することがある。
第13条法、政令又はこれに基づく諸手続が改正又は廃止されたときは、これに応じて甲、一乙協議のうえ、この契約の内容を変更するものとする。
右の証として本契約書を2通作成し、甲乙各1通を所持するものとする。
昭和年月口
甲○○市郡○○町村
代表者○○市町村長氏名(丸)印
乙○○市郡○○町村○○○○○組合
代表者○○農業協同組合理事氏名(丸)印

昭和35年5月のチリ地震津波についての天災による被害漁業者等に対する経営資金の融通に関する利子補給並びに損失補償契約 (例)

(市)(町)(村)(以下「甲」という。)と、漁業協同組合(以下「乙」という。)とは「天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法」(昭和30年法律第136号。以下「法」という。)及び「昭和35年5月のチリ地震津波についての天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の適用に関する政令」(昭和33年政令第146号。以下r政令」という。)に基き,乙が行なう融資について次のとおり契約する。
第1条乙は法第2条第1項及び第2項に定める被害漁業者に対し、法第2条第4項に定める経営資金を昭和35年6月8日から昭和36年1月31日までの問において総額円を限度として融資する。
2前項の融資総額の内、法第2条第2項に定める被害漁業者に対し貸付けられる、年3分5厘以内の経営資金は円を限度とする。
3甲は、前2項の融資について乙に対し第4条に定めるところにより利子補給を行なう。
4甲は、第1項の融資について乙が受けた第2条第1項の損失に対し損失補償を行なう。
第2条前項第4項の損失とは前条第1項の融資元本の最終償還期限到来後3月を経過してなお元本又は利子(政令第8条で定められた遅延利子を含む。)の全部又は一部が回収されなかった場合におけるその回収されなかった金額とする。
2乙が債権保全のため甲の承認を得て繰上償還を命じたときは乙が命じた繰上償還の期限をもって前項の最終償還期限とする。
第3条乙は第1条第!項の融資を行なうにあたって甲の意見を聞き融資を行なった後直ちに甲へ融資を行なった旨を報告する。
第4条第1条第3項の規定により、甲が乙に対して行なう利子補給について、乙は毎年1月1日から6月30日までの期間及び7月1口から12月31日までのその期問内における融資残高(延滞額を除く。)に対し法第2条第5項の特別被害地域において漁業を営む同条第2項の特別被害漁業者に貸し付けられる資金については年6分5厘、その他の法第2条第1項の被害漁業者に貸し付けられる資金については年3分5厘の率で計算した金額を甲に請求し、甲はこれを現金で支払うものとする。
2乙は前項の請求にあたって利子補給の金額に関する計算書を作成し甲に提出するものとする。
第5条第1条第4項の規定により甲が乙に対して行なう損失補償の金額の限度は乙の行なった融資総額の50/100に相当する金額とする。
第6条乙はその行なった融資について第2条第1項の損失を生じたときは甲にその損失の補償を請求し、旧はその損失に対する補償金を現金で支払う。
2前項の請求にあたって損失の金額に関する、計算書を作成し甲に提出する。
第7条乙は第1条第1項の融資を行なうときは、保証入を2人以上たてさせるものとする。
2前項の規定により保証人をたてさせた場合において乙が通常の書面により、保証債務の履行を請求する以前に甲に対し前条の損失補償の請求をしようとするときは、乙は甲の承認を受けるものとする。
第8条甲は乙から第4条の規定により利子補給の請求があった場合当該請求書を受理した日から30日以内にこれを支払う。
2甲は乙から第6条の規定により、損失補償の請求があった場合には当該請求書を受理した日から60日以内にこれを支払う。
3甲が第1項及び第2項の期間内に利子補給金及び損失補償金の支払をしないときは、第1項及 び第2項の期間満了の日の翌日から支払日まで、第4条第1項及び第6条第1項の請求金額に対し日歩3銭2厘の割合で計算した金額を加えて乙に支払うものとする。
第9条乙は、この契約により、損失補償を受けた後も善良な管理者の注意をもって当該融資に係る債権の回収に努めるものとする。
2乙は、この契約により、損失補償を受けた当該融資に係る債権の回収によって得た金額のうちから債権行使のために必要とした費用を控除し残額があるときはこれを当該融資について損失補償を受けない損失のてん補に充当し、なお、残額があるときは甲から受けた損失補償の金額に達するまでの金額を甲に納付する。
3前項の債権行使のために必要とした費用の範囲は次のとおりとする。
(1)利子支払及び元本償還の請求に関する訴訟費用、裁判上の督促手続費用、強制執行に関する費用その他債権保全のために必要な費用
(2)前号の手続のために要する書類の調整費用
第10条前条第1項に規定する乙の善管注意義務は、乙が損失補償金を受けた日から2年を経過したときは、甲、乙協議してこれを解除することができる。
第11条乙は、その行なった融資について経理を明らかにするものとする。
第12条甲が、この融資に関し報告を求めた場合又はその職員をしてこの融資に関する帳簿書類を調査させることを必要とした場合には、乙はこれに協力する。
第13条甲は、乙が法、政令又はこの契約に違反したときは、利子補給及び損失補償の全部若しくは一部について補給若しくは補償をせず又は既にした利子補給金又は損失補償金の全部若しくは一部の返還を請求することがある。
第14条将来政令等により法の定める範囲内で償還期隈又は損失補償金の延長等融資条件の変更が認められ乙がこの範囲内で融資条件の変更を行なったときもすべてこの契約を適用するものとする。
2前項の対象となる融資条件の変更は、甲の意見を聞き乙が条件変更を行ないその旨乙が甲に報告したものに限るものとする。
第15条法、政令又はこれに基く諸手続が改正又は廃止されたときは、これに応じて甲乙協議の上この契約の内容を変更するものとする。
第16条本契約に定めるもののほか必要な事項については甲、乙協議の上これを定める。
右の証として本書2通を作成し、甲、乙各1通を所持するものとする。
昭和35年月日
甲(市)(郡)(町)(村)
代表者(市)(町)(村)長氏名(丸)印
乙(市)(郡)(町)(村)
○○○漁業協同組合
代表者組合長理事氏名(丸)印

損失補償費補助金交付基準

次の各号の1に該当する場合は原則として、損失補償費補助金交付の対象としない。
1農業協同組合、森林組合、漁業協同組合又は金融機関(以下「組合等」という。)に対する損失補償について
(1)組合等が経営資金等の融通に関し故意又は過失により法令に違反している場合。
(2)組合等が経営資金等の融通に係る損失補償契約に違反している場合
(3)組合等が経営資金等の融通に関し善良な管理者の注意を怠っている場合
2農業協同組合連合会、森林組合連合会、漁業協同組合連合、農林中央金庫又は金融機関(以下「連合会等」と総称する。)に対する損失補償について
(1)連合会等が経営資金に充てるための資金の融通に関し故意又は過失により法令に遠反している場合
(2)連合会等が経営資金等に充てるための資金の融通に係る損失補償契約に違反している場合。
(3)連合会等が経営資金に充てるための資金の融通に関し善良な管理者の注意を怠っている場合
注事業資金の融通をした連合会等及び漁業を白営する漁業協同組合に経営資金の融通をした漁業協同組合連合会等については、1に準用する。
第1損失補償費補助金交付基準について
損失補償費補助金交付基準の適用については次の解釈によるものとする。
1基準1(1)について
(1)「故意又は過失により」とは、組合等がその貸付を行えば、法令に違反する事故が生ずるであろうということを認識しているか、又は善良な管理者の注意をもってすれば認識し得たであろうにもかかわらず認識していなかった状況をいう。即ち、法令違反の状態が作り出されることについて、組合等が知っているか又は当然知っていなければならないにもかかわらず知らない状況をいうものである。例えば、組合等が組合員が被害農林漁業者でないことを知っているか又は当然知り得たにもかかわらず経営資金を貸し付けた場合、組合員が法令に定める使途以外に使用することを知っているか又は当然知り得たにもかかわらず貸し付けた場合、法定の利率以上の資金を貸し付けた場合等がこれに当る。
(2)「法令に違反している」とは、損失補償費補助の根拠となっている各特別措置法、同施行令、天災融資法、同適用法令の規定に違反していることでありこれらの法令の適用範囲を定めている通達によって指示された法令の解釈を含むものである。
法令違反の態様はおおむね次のとおりである。
ア 被害農林漁業者以外の者に貸し付けた場合
イ 法令に定める使途等農林漁業経営に必要な資金以外の資金を貸し付けた場合
ウ 政令で定める貸付期間を経過した後に貸し付けた場合
工法令で定められた貸付限度額をこえる額を貸し付けた場合。
オ 償還期隈が政令で定められる期限より長期の資金を貸し付けた場合
力法定の貸付利率をこえる利率の資金を貸し付けた場合
以上の法令違反の場合であっても、手続等に瑕疵があり、その後補正されたもの等については利子補給費補助金の取扱に準じて措置するものとする。
2基準1(2)について
個々の損失補償契約の内容は、各特別措置法及び天災融資制定当時通達した契約例に規定された内容にほぼ等しい革)のと考えられるが、昭和28年12月7日付28農経第996号豊林事務次官通達「昭和28年6月及び7月の水害並びに9月の風水害による被害農林漁業者等に対する金融措置について」別紙様式(3)昭和28年6月及び7月の水害並びに「司年8月及び9月の風水害による被害農期漁業者等に対する融資に関する損失補償及び利子補給契約定款を例とすれば、損失補償契約違反は次の場合が考えられる。
(1)同約款第2条第1号に定める損失補償限度額をこえる補償請求を行なった場合
(8)同約款第3条に違反する場合
ア 保証人を2人以上立てさせていない場合
イ 保証入を立てさせた場合において保証債務の履行を請求する以前に損失補償の請求をすることについて都道府県知事(又は市町村長)の承認を受けていない場合
以上の設例以外に物的担保の設定等特別の定があるものについては、これに違反している場合をも含むものである。
3基準1(3)について
「善良な管理者の注意を怠っている」とは、融資機関である場合等がその経済的地位に応じ通常そなえている注意能力を怠っていることであるが、その具体的基準はその融資機関の一般貸付債権と同等の管理を行なったか否かによって判断される。即ち、融資機関である農協、開拓農協、森林組合、漁協その他の融資機関は、その経済的機能の充実の度合に応じてそれぞれ自己の一般貸付債権の管理について管理手続をとっているものであるが、少なくともそれと同等の管理手続をとることが必要である。管理手続の1例をあげれば次のとおりである。
(1)貸付にあっては、被害認定書、使途等を確認し、法令に定める融資を行なうこと。
(2)債権の回収順位は通常の例にならって合理的に行なうこと。
(3)各分割払込期日には、その期FI以前に通知(口頭丈書等)を行なうことo
(4〉延滞を生じた場合には、その事情を検討し、催告(口頭,文書等)を行なうとともに、必要がある場合には審査を行なうこと。
樹貸付後不適正使用等の事実が判明した場合には遅滞
(注)繰上償還について、都道府県は市町村の承認を要するものについては、都道府昼,実又は市町村が承認しない場合を除く。
(6)最終償還期限到来後なお延滞のある場合には、催告を行なうとともに、保証人に対し交書による保証債務の履行請求を行なうこと。
4基準2(1)について
(1)「経営資金等に充てるための資金の融通に関し」とは、連合会等が融通する資金は転貸機関である組合等が被害農林漁業者に対し経営資金等を融通するための原資であり、従って連合会等が直接管理することのできるのは、転貸期間たる組合等であることを意味している。
(2)「故意又は過失により」は工(1)と同様である。
(3)「法令に違反している」とは1(2)と同様の趣旨であるが、その態様は、おおむね次のとおりである。
ア 経営資金を貸し付けようとする組合等以外の経合等に貸し付けた場合
イ 経営資金に充てられる資金以外の資金を貸し付けた場合
ウ 政令で定める貸付期間を経過した後に貸し付けた場合
工償還期限が政令で定める期限より長期の資し付けた場合
5基準2(2)について
2と同様とする。
6基準2(3)こついて
3と同様の趣旨であるが、一般に連合会等は、組合等に比較してより高度の債権管理を行なっているものであるから、3に例示する管理手続は厳格に実行されていることが必要である。
(註)貸付の一部に上記に例示するような違反事実がある場合には、その違反する部分を損失補償の対象から除外する。

災害融資状況検査指摘事項の処理方針

(イ)組合等被害農林漁業者等に貸付けないで資金を留保し又は他に運用している場合
(ロ)組合等が被害農林漁業者以外の者に貸付けた場合
(ハ)借受けた被害農林漁業者等が次の各号に掲げる目的に使用した場合
(A)長期に亘り組合等に定期貯金(これに類するものを含む)し又は他に運用している場合
(B)農業生産に直接関係のない設備、家屋の新増改築若しくは購入又は土地の購入に充当した場合
(C)農業生産に直接関係のない共同施設費又は部落経費等に充当した場合
(2〉一定期間以後の利子補給補助金を返納させる場合
(イ)被害農林漁業者等が別段貯金等に振替えたまま1年以上使用しない場合=1年を経過した日以降の補助金を返納させる
(ロ)組合等が農林漁業者等の繰上償還金(期限前償還金を含む)を2月以上留保している場合耳特別の事由のない限り償還のあった口から2月を超える日数に応ずる補助金を返納させる。
(3〉今後の利子補給補助金の交付を停止する場合
何)組合等が次の各号に掲げる目的に使用し又は貸付けた場合
偽)被害農林漁業者等に対し1年以上の固定した債務の支払に充当させた場合
(B)被害農林漁業者等に対し、組合の出資金、賦課金に充当させた場合
(C)組合等の自己資金又は借入金により被害農林漁業者等に対し、災害資金と同様の劾果を与える措置を講じ、災害資金は目的外に使用した場合
(D)法令で定める限度を超えて貸付けた場合のその超える部分
(E)貸付期限を1月以上経過して貸付けた場合
(ロ)被害農林漁業者等が次の各号に掲げる目的に使用した場合
(A)土地改良費又は災害復旧費に充当した場合
(B)政令で定める以外の農機具若しくは漁具の購入に充当した場合
(C)災害復旧のための小修理以外の目的に使用される農業用資材の購入に充当した場合
(D)生活資金に充当した場合(ただし、(4)の(2)の場合を除く。)
(4)手続の不備を整備させ、今後適正な使用又は運用がなされるよう指導する場合
(イ)市町村長の被害認定の不適当な場合
(ロ)貸付期限を1月未満経過して貸付けた場合
(ハ)使途の確認できない場合
同緊急止むを得ない事由により生活資金に充当した場合(別段貯金に振り込んでいた場合の大災害発生の時の生活費充当)
剛法定利率を超え一般利率以内で貸付けた場合=超過して徴収した利息は借受者に返還させる。
(5)その他上記各項に掲げる場合の外、法令に違反し又は法令の趣旨からみて不適当と認められる場合には、それぞれの事情に応じ上記に準じて措置を行なう。

第5節チリ地震津波災害対策費及び復旧事業費

災害対策費及び復旧事業費に係る所要財源総括表
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I国庫補助金
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II地方債
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III系統金融資金
事業費目別総括表
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事業費目別総括表-1
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1.住宅等復旧費
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2.公共土木施設復旧事業-1
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3.単独土木施設復旧事業
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農地農業用施設復旧事業
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海岸係全施設復旧事業
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5.農業用共同利用施設農作物及び畜産関係対策費
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6.林業関係復旧費
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7.水産関係復旧費
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8.商工鉱関係復旧費
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9.文教関係復旧費
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10.公用及び公共施設復旧費
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11.災害救助費所要額
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12.社会福祉関係対策費及び復旧費
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13.公衆衛生の保持等に要する所要額
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14.地方税及び使用料手教料等の減収見込額

第6節復興状況

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1小型漁船復旧状況
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2かき養殖施設復旧状況
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3のり養殖施設復旧状況
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4共同利用施設復旧状況
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5天災融資借入状況
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6耐火建策進捗状況(捕助ワク決定分)
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7災害による自創資金借入状況
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8家屋復旧状況(固定資産評価資料による法人は除く)
チリ地震津波による財政措置状況
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1災害復旧費総額
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2昭和35年度災害復旧費
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3災害応急費
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4災害に伴う昭和35年度分減収見込額
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5災害に伴う増加負担額及び補てん要望額
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6財政状況(一般会計)

第6章防災対策

第1節人船渡市における災害対策組織

名称大船渡市災害対策本部
本部の位置災害発生と同時に大船渡市役所内に置く。但し事態の変化に応じ,その設置場所を変更することがある。

(1)本部の構機と任務
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本部の構機と任務
(2)構成

イ構成系統
部の構成は原則として下記のとおりとする。但し本部長は災害の規膜に応じて配置表に基づき部員の配置を変更する。
ロ構成員
部の構成員を次のように定める。但し職務の異動,その他任免等あつた場合においては,その都度部員の構成ならびに動員計画表を変更するものとする。
ハ,災害対策委員会
常時災害の発生を予想し,その対策に万全を期するため,下記規則を設定し,大船渡市災害対策委員会を置くものとする。
大船渡市災害対策委員会設置規則
(目的)
第1条この規則は,災害対策委員会の設置,組織及び運営に関する事項を定めることを目的とする。
(設置)
第2条市長の諮問に応じ災害対策の調整,その他その実施に関し必要な調査及び審議をおこなわせるため,大船渡市災害対策委員会(以下「委員会」という。)を置く。
(組織)
第3条委員会は,委員50人以内をもつて組織し,委員は次の各号に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
1国県の行政機関
2市出身の県議会議員
3市の議会議員
4教育委員
5公共的団体の代表者
6会社,事務所の代表者
7学識経験者
8民間組織の代表者
(委員長及び副委員長)
第4条委員会に委員の亘選による委員長及び副委員長1人を置く。
2委員長は,会務総理し,会議の議長となり,委員会を代表する。
3副委員長は,委員長を補佐し,委員長に事故があるときは,その職務を代理する。
4必要に応じ委員会に小委員会及び分科会を置くことができる。
(委員の任期)
第5条委員の任期は2力年とする。ただし欠員が生じた場合における補欠委員の任期は前任者の残任期間とする。
(会議)
第6条委員会は市長が招集する。
(委員会の事務)
第7条委員会の事務を処理するため事務局を置く。
(補則)
第8条この規則に定めるもののほか委員会の運営その他に関し必要な事項は市長が定める。
附則
この規則は,昭和36年4月10日から施行する。

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構成系統
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構成員
(3)動員計画

洪水及び津波等の災害が予想され,又は発生した場合,本部員を速かに動員して被害を最少限度に止め且つ,救助活動を迅速におこなうため,動員計画をたてる。
イ,動員の種別
この計画を最も有効適切に運用するため,動員を下記の種別に分ける。
a.警戒動員
b.第一期動員
c,第二期動員
ただし,津波災害においては時間的余裕のないことを考慮して,警戒動員と同時に第一期動員をおこなうものとする。
口,警戒動員
この動員は災害が予想される場合,本部長が各地区通報員からの観測状況の連絡により,本部近在の職員,及び自動車運転手を市役所宿直員に命じ電話で動員する。
そして危険地域の堤防の欠壊,その他溢水状況を警戒するとともに,大災害を予想して車輌及び本部員の動員体制をととのえるものとする。
ハ,第一期動員
a.災害程度この動員は津波においては,津波警報の発令のあと海水の異状を認めた場合に,洪水においては警戒水位を突破し,なお増水の兆ある場合に,又火災及びその他の非常災害においては多数のものが,同一の災害にかかり,現に応急的な救助を必要とする場合におこなうものである。
b.動員の範囲各地域の状況を総合判断して,現に発生しつつある,又は発生が予想される災害に対して,安全な地域に居住する市職員を動員する。
c.方法市役所宿直員又は警戒動員出動者に命じ,各地区連絡責任者に電話又は直接・動員命令を伝達する。
各地区連絡責任者は動員命令を受けた場合は直ちに地区内市職員に,これを周知せしめ,最良の方法で出勤せしめるものとする。
二,第二期動員
a.災害程度市民の生命,財産に及ぼす被害が広範囲に発生し,緊急に罹災者の救助が必要と認められた場合。
b.動員の範囲罹災程度の軽易な職員も含む,市内居住の全職員を動員する。
c.方法出動命令は広報車又は地区連絡責任者をもつて,周知せしめ,適宜最良の方法で出動するものとする。
ホ,地区連絡責任者
この計画の実施に必要な各地区連絡責任者は次のとおりとする。
目頃市町佐々木五郎電話(呼)998の乙
立根町今野光雄電話791
猪川町村上敬二電話(呼)1003
盛町刈谷貞夫電話(呼)6
盛町船野良悦電話(呼)342
赤崎町千葉誠一電話(呼)437
赤崎町金野良平電話1136の甲
大船渡町北条基一電話(呼)577の乙
大船渡町佐藤勝電話(呼)937の乙
末崎町武田貞一電話(呼)細浦10の乙
末崎町紀室輝雄電話(呼)細浦51
へ,動員計画表
動員可能な最少限の人数で各部の救助活動を適切且つ迅速におこなうため,次のような動員計画表をつくり部員配置に適正を期するものとする。
ただし動員数がこの計画表に定められた数を超えた場合は,予備員として総務部総括班に所属させる。この計画表は時宜に応じ変普せられるものであるが,とりあえず別表のとおり定めておく。

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a.動員計画表-1
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b.計画表に基づいて動員を予定するもの-1
(4)救助実施計画

イ,本部班
渉外
(1)職務内容
災害発生時において本部長及び副本部長に直属して,各部長と密接な連絡を保ちながら,見舞客ならびに被害状況視察その他調査等の来市者に対する応接案内,連絡調整等渉外に関する一切の事を行う。
(2)他職務との関係における計画
イ本部長及び副本部長の日程計画
本部長ならびに副本部長の動静を明かにする目程表をつくり各部の救助活動に支障ないよう万全を期する。
ロ来市者名簿の作製
災害関係来市者の名簿をつくり,後目に備えるものとする。
ハ宿泊要否の確認
宿泊所の斡旋に万全を期するため,その要否を確認して速かに経理部宿泊班に連絡をとる。
伝令
職務の内容
本部長ならびに副本部長に直属して,諸情勢を考慮の上災害救助に協力を求める各種命令,ならびに各部に対して行う災害救助活動に関する各命令を速かに伝達する。
この命令伝達は文書によつて行うものとする。
情報
(1)職務の内容
本部長及び副本部長に直属して上部機関より発せられる災害情報ならびに警報等の収受を行うほか,地域内於ける災害情報を速かに把握してこれが処理にあたる。
(2)処理計画
(丸)イ災害に関する警報を受理した場合は直ちにこれを伝令に回付する。この場合受領者ならびに受領時間を別に定める受領簿に明記する。
(丸)ロ災害ならびに救助活動に関する情報を受けた場合はこれを確認し関係部長に協議し速かに処理方途を講ずる。
(丸)ハ害救助に関する各部閥の連絡調整を行い円滑な救助活動の実施を図る。
口,総務部
総括班
(1)人員置調整計画
災害発生が予想される場合又は現に災害が発生しつつある場合の本部員の動員は別に定める動員計画により行うものであるが,これが災害の状況ならびに経過により動員された人員の配置に適正を欠く場合においては速かに各部の入員配置について調整を行うものとする。
イ各部における動員人員の確認
各部に動員配置された人員が予め定められた動員計画表に基づいて動員されておるかどうか速かに確認する。
ロ予備員の把握
動員計画表に定められた以外の動員者を速かに把握して各部への応援態勢をととのえる。
ハ各部における必要入員の確認
災害の状況ならびに救助の経過に応じた各部従事者必要人員を確保する。
(2)応援者の要請計画
大災害においては市災害対策本部のみの能力ではその救助活動に適切を欠く場合が予想されるので,その際は次により応援者の要請を速かに行うものとする。
イ自衛隊の派遣要請
自衛隊の災害派遣要請は自衛隊法第83条第一項の規定により文書で派遣要請を知事に依頼するものであるが,事態が急迫している等文書による暇がないときは,とりあえず口頭,電話又は電信により次のことがらを明らかにして派遣を要請する。
a災害の状況及び派遣を要する事由
b派遣を必要とする期間
c派遣を希望する人員,船舶,航空機等の概数
d派遣を希望する区域及び活動内容
eその他参考となるべき事項
ロ隣接市町村への要請
隣接市町村への要請は前項と同じ方法により下記のことがらを明らかにして応援を要請する。
a被害の状況
b応援を要する救助の種類
c応援を要する職種別人員
d応援を要する期間
e応援場所
f応援を要する機械器具及び資材の品名ならびに
数量等
gその他応援に関して必要な事項
ハ市内における一般市民の応援要請
一般市民の場合の応援要請は事態の変化に応じ被災地域以外に応援を要請するものとする。この場合は行政連絡員を通じおこなう。
二人夫の手配
第一線救助活動において各部の従事者が不足す一る場合は臨時人夫を雇する。この場合速かな手配をおこなうため,各種市民団体ならびに学徒に呼びかけ協力動員を求める。
(3)応援要請にあたつて池職務との関係
イ応援要請に必要な被害状況は速かに把握すること。
ロ自衛隊ならびに隣接市町村の応援を求める場合は予め次のことがらに万全を期する。
a経理部宿泊班に連絡し宿泊所を選定する。
b連絡先ならびに連絡責任者を予め決めておくこと。
ハー般市民の動員には行政連絡員と連携の上実施する。
(4)陳情,請願書の作成計画
大小の被害に応じこれが速かな復旧を図るため,関係筋へ陳情及び請願書を提出する。このためには災害資料が速かにまとまるよう調査部と密接な連携をとり進めるものとする。
文案,タイプ,印刷,一切を行う。
このほか,陳情請,願書には広報班において準備する災害状況写真を添付するものとする。
(5)各部との連絡調整
災害に対し総合的な対策をたてるため各部における救助活動の内容を次の報告書によりとりまとめ,常時本部における活動状況を把握するものとする。
昭和年月日
災害救助活動日報
〇〇部
(6)対策予算の編成
災害対策予算は各調査資料が総合的にまとまつた後編成するが,災害が小範囲にとどまるときは,現計予算内で措置するが,現計予算以上の支出を必要とする場合は追加予算でこれを支出する。
災害当初の支出については,便宣上現計予算内で操作してこれにあてる。
連絡班
災害発生時において交通,通信途絶による連絡の困難性に鑑み,各部における連絡事項を総括し,本部班伝令と緊密な連携のもとに,各部機関,ならびに諸団体に連絡,その方法にそごを来たさぬよう万全を期する。
(1)各部における連絡事項の総括
各部における連絡事項を速かに且つ効率的に処理するため連絡班にこれを総括し処理するものとする。この場合における連絡事項は第一線における本部機関及びこれが活動に必要な事項。その他行政連絡員,各種団体等に対しおこなう連絡とする。
各部は必要に応じ下記の連絡書を連絡班に提出し連絡方を要請するものとする。
(2)通信途絶による場合の連絡方法
イ連絡すべき緊急事項はその緊急度を考慮して,連絡車により敏速にこれを処理する。
ロ広報班と密接な連絡のもとに広報車をフルに利用し連絡にあたらしめる。
ハ市災害対策本部と県災害対策本部ならびに第一線各部機関との連絡を確保するため,無線又は電話線を早急に設置するよう電話局に緊急修理,及び架設を要望する。
二無電話地域を確認し,無線車を配置するよう電話局に要請する。
ホこのほか,自衛隊に電話架設,又は無線機の設置を要請する。
(3)携帯用無線電話器の備付
大災害においては,交通,通信の途絶が予想されるので,携帯用無線電話器を逐次購入備付けるものとする。
広報班
災害時において正確なる情報を速かに周知徹底せしめることは,人心の安定ならびに災害救助への協力推進等に資することが大なるに鑑み常に本部班青報と連絡を密にし,これが広報につとめると共に各部における救助活動実施に必要な事項の広報宣伝に万全を期する。このほか災害発生,被害の状況,ならびに救助活動全期につい写真撮影をおこない,災害資料として記録するものとする
(1)災害情報の対外的周知対策
イ蒐集した正確な情報は速かに整理記録して,常時災害情況が把握し得るよう調整しておく。
ロ災害救助の協力を求めるため,各報導機関ならびに必要と認められる官公社に対し積極的に資料を提供する。
ハ災害の状況は速かに映画撮影し,資料として常に提供できる体勢におくものとする。
(2)情報ならびに救助実施計画の周知方法
イ緊急を要する事項の広報は原則として,広報車ならびにその他の放送施設によるものとする。
ロ 警報発令ならびに部員の動員には上記のほかNHK大船渡放送局を通じラジオ放送によりおこなう。
ハ 速報を要しない事項の広報には臨時広報板を設置し周知の方途を講ずる。
(3)広報資料の蒐集
総括班と緊密な連携の上に常時各部を巡回し,その救助活動を把握して資料の蒐集に万全を期するものとする。
このほか各部は必要に応じ積極的に広報資料を広報班に提供するものとする。
(4)広報車の運行計画
  緊急広報を必要とするもの以外は毎日定期的広に報車を運行するよう特に考慮するもとする。この軍行時間を決定した場合はその旨各部に連絡するものとする。
(5)写真撮影計画
写真及び映画は被災状況と救助実施状況の両面を経過を追つて詳細に撮影するものとする。
(6)広報に関する機材調達
イ 写真機及び映画撮影機の不足分については民間より借あげする。
ロ 放送施設備付広報車は民間より応援協力を求める。
ハ 16ミリ撮影機は別に購入を計画する。
交書班
(1)死亡者に対する事務処理
イ 検案書の作成
死体の検案は遺体処理班におこなわしめるものであるが,検案書は予め文書班において準備しておくものとする。
ロ 行方不明の本籍,住所調
本籍,住所の不明な死亡者者については,遺体処理班に連絡して遺品その他遺体の特徴等より身元を推定し,行政連絡員,その他関係市町村に照会するものとする。
ハ 埋火葬許可書の発行
死亡届,事務の混乱を未然に防止するため,死亡者の本籍,住所を速かに確認した上,この許可書を発行するものとする。
(2)罹災証明事務の処理計画
災害発生後の各種救護の基礎となる罹災証明書の発行が,迅速且つ厳正におこなわれることは以後の救助活動の能率的処理に欠くべからざる要件であるのに鑑み,その対策については特に次の措置によるものとする。
イ 罹災証明書は,整書班において調査認定した上発行する。この場台調査,認定に関し必要に応じ,地区本部なのに行政連絡員の協力を得るものとする。
ロ 罹災者の必要により,罹災証明の内容は一一様でないことが予想されるので,こび)場合は証明願により処理するものとする。
ハ 罹災証明書は一応下記のように様式を定めておく。
資材班
災害発生時において各種復旧資材ならびに資金の円滑な供給をおこない,もつて諸物価の安定を期するとともに,これが復旧の迅速を図るため,特に必要とされる木材及び鉄鋼類を速かにあつせん供給するものとする。
あつせんする品目は極ね次のとおりとする。
a木材
b鉄鋼,釘,トタン
cガラス
d畳
eセメント
f布団,布団わた
(1)所要数量の把握
上記の品目について各地区本部を通じ,希望数量の申込をとる。この場合,流失,全壊,半壊,床上浸水,床下浸水等被害別に希望数量をまとめるものとする。
(2)木材の供給あつせん及び方法
所要数量がまとまつた場合,木材については国有林,県有林を払下げるよう青森営林局長ならびに岩手県知事に申請するものとする。
イ ー般罹災者資材
払下げした木材の直接販売は製材業者協同組合にこれを代行せしめ,市においては,被害の程度に応じ一定の枠を定め購入券を発行整理するものとする。
この場合払下げ及びその販売方針に基づいて,市長と業者との間に条件を付した契約書を交換する。
ハ 公共施設用資材の払下げ
事務所,学校,病院,診療所,道路,橋,堤防等の応急復旧用に供する資材も,直接市が国・県に払下げ申請をおこう。
(3)鉄鋼類資材のあつせん供給
鉄鋼類,ガラス等の資材は,県商工課と速かに連絡をとり,低廉な資材のあつせん供給をおこなうよう配慮する。
この場合も木材と同様購入券により販売する。
(4)畳の供給あつせん
一応畳については地元畳工業協同組合と提携し,罹災者に対し低廉にこれをあつせん供給する。
(5)セメントの供給あつせん
地元業者を指定し,これがあつせん供給する。
(6)布団及び布団わたの供給あつせん
地元業者を指定し,他の品目と同様低廃に供給あつせんをおこなう。
ハ,調査部
知事が災害救助法を発動すぺきか否かを判断し,災害の事態に対応した救助計画をすみやかに樹立して救助態勢を整備することのできるのは一にかかつで市町村長から正確な被害情報に基づくのである。したがつて市において災害発生した場合は何をおいても,迅速かつ正確に管内の被害状況を収集把握することこそ極めて重要なことである。
よつて下記要領により被害状況の調査を行い,災害対策に万全を期するものとする。
(1)調査すべき場合及び調査の内容
災害救助法が発動され時は勿論のこと,災害が災害救助法の適用基準に達する見込のある程度のものについてすべて調査を行うものとする。このほか台風による災害等の場合には適用基準に達する見込のない程度のものであつても,比較的被害の大きいものについて調査する。
調査の内容は次のとおりとする。
イ 人的被害(死者,行方不明,負傷)
ロ 住家の被害(流失,全壊,半壊,浸水の区別)
ハ 非住家の被害
調査書は別に定める様式1号による
(2)調査の分担区域を次のように定める。
イ 大船渡町第1班地の森,赤沢
第2班台町
第3班茶屋前,明土
第4班南町
第5班須崎
第6班浜町,川原
第7班上笹崎
第8班永沢
第9班平
第10班宮ノ前,下船渡
ロ 盛町全域
ハ 赤崎町第1班佐野,跡浜
第2班宿,生形の一部
第3班生形
第4班山口,永浜,大立
第5班清水,上蛸ノ浦
第6班下蛸ノ浦,長崎,外口,合足
エ 末崎町第1班船河原,峰岸
第2班内田,細浦の一部
第3班細浦の一部,神坂,小細浦
第4班門ノ浜,西館
第5班泊里,碁石
ホ 猪川町全域
へ 立根町〃
ト 目頃市町〃
(3)調査の方法
イ 予め指名されてある調査員は,それぞれの分担地区に災害発生と同時に出向き,速かに被害状況を調査し,総括班に報告するものとする。
ロ ただし災害初期(第一期動員)において短時間に正確な被害状況を把握することが困難な場合も予想されるので,この場合においては被災地区行政連絡員を通じ当該地域内の概況を聴取し,判明次第総括班に報告するものとする。
ハ 時間の経過とともに被害状況の確定をまつて別に定める様式1号の調査票により調査開始する。
二 この調査の完了は災害の目より予め3目以内を目標として進める。
ホ この調査書は毎年午後5時までに本部へ送付する。
(4)調査の集計
調査書の集計は別に定める様式2号の罹災状況集計表により行うものとする。
集計の順序は同様式により次のように行う。
1部落別
2町別
3市の総括
この集計事務は厚生部,庶務班と緊密な連携のもとに調査部総括班が行うものとする。
(5)被害程度の判定基準
被害程度の認定は災害救助法適用の判断の基礎資料となるのみならず救助の実施にあたり,その種類・程度及び期間の決定にも重大な影響を及ぽすものであるから適正に行わなければならない。
イ 住家とは,現実にその建物を居住のために使用しているものをいい必ずしも一棟の建物に限らない。例えば炊事場,浴場又は便所が別棟であったり,離座敷が別棟であるような場合にはこれら生活に必要な部分の棟数は合して一戸とする。
なお社会通念上住家と称せられる程度のものであることを要しない。例えば一般に非住家として取扱われる土蔵,小屋等であつても現実に住家として人が居住しているときは住家に入れるべきである。
ロ 世帯とは生活を一つにしている実際の生活単位をいう。従つて同一家家屋内の親子夫婦であつても,生活の実態が別々であれば当然ニ世帯となるわけである。
又主として学生等を宿泊させている寄宿舎,下宿その他これらに類する施設に宿泊するもので共同生活を営んでいるものについては,原則としてその寄宿舎等を一世帯とし取扱う。
ハ 全壊(焼),流失とは,住家の損壊(焼失)若しくは流失した部分の床面積がその住家の延面積の七割以上に達した場合又は損壊(焼失)もしくは流失の程度が七割には達しないがその住家の残存部分に補修を加えても少再び住家として使用することができない程度のものをいう。
二 半壊(焼)とは,住家の損壊又は焼失した部分の床面積がその住家の延面積の二割以上七割に達しない場合であつて,その残存部分に補修を加えることによつて再び住家として使用することができる程度のものをいう。
なお,破壊消防による全,半壊は,それぞれ前記の全壊,半壊とみなして取扱うものである。
ホ 床上浸水とは,その住家の床上以上に浸水したものをいう。ただし同一の家屋で被害の程度が半壊以上に達している場合は半壊又は全壊として取扱う。
へ 床下浸水とは,建物の床上以上に達しない浸水程度のものをいう。ただし同一の家屋で被害の程度が床上浸水以上に達している場合は床上浸水,半壊又は全壊として取扱う。
ト 死者とは死体を確認したもの,又は死体を確認することができないが死亡したことが確実であると推定されるものをいう。
チ 行方不明とは,所在が不明であり,かつ生死が不明の状態にある者(死亡したことが確実であると見なされる者を除く)をいう。
リ 車傷とは,入院又は担送を要するものをいう。
ス 軽傷とは,症状が重傷程度に達しないものをいう。
(6)様式1号(13−14頁参照)
(7)津波災害においては,盛,猪川,立根,日頃市の各地区調査班員は,それぞれの地区本部にあつて,地区本部長の指示によるほか食糧部及び総務部と連携し,炊出し,及び副食品の供給,その他応援隊の動員等について連絡調整にあたるものとする。
二,厚生部
庶務班
(1)災害救助法に基づく各用紙の確保
イ 災害救助法に基づく災害調査票外111種類の諸台帳用紙を常に確保しておくこと。(同上様式は災害救助法実務参照)
(2)災害概況報告
イ 調査部よりの災害状況,概況報告に基づき災害発生後ただちに.県対策本部に電話,もしくは警察より無電をもつて報告すること。なお概況報告後は調査部よりの調査資料集計結果により逐次第二第三の災害状況報告をすみやかに行う。
(3)各班期別実施計画
災害状況に応じ厚生部各班に対し具体的な救助対策を協議指示する。
(4)災害救助法に基づく諸台帳の整備
庶務係は災害救助法に規定する次σ)諸台帳を整備する。
イ 罹災状況調
ロ 世帯構成員別被害状況調
ハ 同上地区別集計表
エ その他物資購入計画表外108種日の諸台帳の整備作成(災害救助法実務参照)
(5)災害救助法適用にともない県対策本部に対する諸折衝及び諸資料の提供,災害救助法予算の折衝
イ 被服,寝具,口用品の購入並に配分計画表の作成
ロ 炊き出し,その他食品給与枠の確保
ハ 生業資金貸付資金の確保
エ 学用品購入資金の確保
ホ 災害罹災住宅建設枠の確保
(6)災害救助法に基づく救助実施業務の統轄
厚生部以外に属する各部の業務で災害救助法に基づく業務については担当部と協議の上救助業務を実施する。(所定の様式を指示し資料の提出を求む)
(7)災害救助法,救助実施精算事務
災害救助に要した経費の精算事務を行う。実務頁参照)
救助班
(1)災害救助法に基づく物資4)調達計画
イ 現物給付分
災害救助法による県よりの現物給付分にく)いて災害の実状に即応した口用寝具の種目の選定必要数量等を検討し県に折衝し緊急に現物確保に努める。
ロ 現地調達分
災害規模により庶務班より内示された予算に基づき緊急必要度の高い日用品の現地調達を行う。調達にあたつては緊急を要するので市内業者もしは隣接市町村の業者に対し市商工会議所関係機関を介し発生入手する。
(2)法による救援物資の配分輸送計画
イ 法救援物資の検収
庶務班と連絡を密にし確実に検収する。
ロ 法救援物資の配分
法救援物資の配分は庶務班作成の行政区分表ならびに配給伝票に基づき救援物資班に対し物資の配分を依頼する。
ハ 法救援物資受払簿並に受領簿の作成
法救援物資の配分に際しては物資受払簿(実務161頁様式第2号)を作成し受払の明確を期すと共に物資受領簿(実務162頁様式第3号)用紙を作成し救援物資班に対し罹災者よりの受領印を徴するよう1衣頼すること。
エ 法救援物資の輸送配分
物資の輸送配分については物資の性質上一般救援物資と明確に区分するよう留意すること。
(3)住宅応急修理の実施
災害調査表の実施災害調査表に基づき住宅の応急修理を要するものを把握し(実態調査の上身緊急に該当名簿を県対策本部に提出する(実務212頁参照)
補修実施にあたっては市建設事務所と連絡を密にすること。
(4)応急仮設住宅の建設
イ 応急仮設住宅の建設については建設部と協議の上住宅建設位置,敷地を決定し緊急に建設するよう手配する。
同上建設資材の調達についても建設部並びに関係機関(営林署等)と協議折衝する。
丸ロ仮設住宅入居者の決定
応急仮設住宅竣工前に入居希望者の中から地区民生委員等の意見を聞き入居者を決定し知事宛入居申請をする(実務108頁参照)
丸5生業資金の貸与
丸イ災害調査表に基づき生業資金の貸付を必要とするものを把握し実態調査の上貸付申請事業計画等を作成し速かに県知事宛進達する。
丸ロ台帳整備
生業資金借入受付台帳,同貸付台帳等の整備を行う。
丸6学用品の配分
丸イ罹災学童に対する学用品の給与については罹災地区学校長,市教育委員会と協議の上,学用品購入計画表ならびに学用品交付簿を作成し市教育委員会を通じて配分する。(実務239頁)
収容班
丸1避難所の開設
丸イ災害のため被害を受け,またうけるおそれのあるもので避難しなければならないものを一時的に学校に収容する。
丸ロ開設場所
丸1大船渡地区
大船渡小学校,大船渡中学校,太洋学園
丸2赤崎町地区
赤崎小学校,赤崎中学校,蛸ノ浦小学校
丸3盛地区
猪川小学校,猪川保育園,平和記念館
上記避難所には市職員各1名を配置り事務にあたらせる。
丸ハ必要物資の確保
避難所開設に要する物資(ローンク,マッチ,薪炭,ムシロ,毛布,食器,炊具等)を確保する確保数量は収容入員に応じて適宜手配する。食器,炊具については学校給食用具を借用する。
丸二その他避難開設と運営については実務86頁参照
丸2避難所の自治組織計画について
自治的運営を期するため入所者が班を編成,班長を選出し,食糧物資の配分,炊具,食器等の利用,広報伝達の合理化をはかる。
丸3共同炊事栄養管理計画
避難所の既設の炊事施設を活用し,地元婦人会に協力を受け保健所等関係期間の栄養指導のもとに共同炊事を行う。
丸4避難所職員の事務
丸イ避難所に配置された市職員は物資受払簿,入所者名簿,入所者台帳を作成記入し(台帳様式は庶務班より受領)入所者の世帯人員を常に把握し収容班長と連絡を密にして円滑なる運営を計る。
丸ロ入所者に対する救援物資,食糧の配分を行う。
丸ハ職員は毎日1回収容班長に対し収容状況を報告すること。
救援物資班
丸1救援物資収受及び配分基地の設置
丸イ救援物資受付場所
盛町浄願寺
ただし災害の実状にょって適宜変更
丸ロ配分基地の決定並びに物資の配給
罹災地区政区の適宜の場所に当該地区の救援物資配分基地を設け市職員各1名を派遣し行政連絡員,婦人会,青年団,その他の協力を得,物資の収受配分にあたる。
丸ハ物資配給墓準の策定
丸1法による救援物資については,庶務班作成の配給伝票により配分し,受領簿(救助班より受領)に受領印を徴する。
丸2一般救援物資については災害調査票の災害区分(全かい,流失,半かい,床上,床下)にしたがい配分基準を策定する。
丸2応援隊の要請計画
婦人会,青年会等(罹災地を除く)に対し協力を要請する。
なお災害規模によつて必要と認めた場合は隣接市町村の応援を要請する。(三陸村,住田町,一ノ関市,陸前高田市)
丸3所要諸台帳の整備
丸イ救援物資受払簿(庶務班より受領)物賀受払簿はは法によるものと一般救援物資と区分して作成する。
ホ,衛生部
庶務班
丸1医療班の応援要請
丸イ応援を求める医療機関を次のとおり定める。
気仙郡医師会盛町出羽方電話番
医療班3班編成を予定する
県立気仙病院 医療班3班584・585番
丸ロ連絡をとるべき直営診療所
日頃市診療所1090番
中赤崎診療所409番
蛸浦診療所419の乙番
立根診療所(盛町佐々木医院)3番
泊里診療所細浦15番
大船渡保健所64番
県保健課盛岡3の0224番
国保連合会盛岡3765番
日赤病院盛岡3155番
市内の開業医については一切気仙郡医師会を通ずるものとする。日赤病院,自衛隊,NHK等に要請する場合は総務部総括班を経由する。
(2)医療班に必要な医薬品の入手確保
医薬品は病院及び最寄り直営診療所在庫品を使用するものとする。但し不足分については時宜に応じ購入を計画する。
(3)消毒薬品の確保
常時最少限下記のものを確保するものとする。
(4)撒粉機の備付調(46,11現在)
医療班
災害の範囲程度に即応して医師看護婦を分班して被災地に派遺する。
(1)重患者は病院へ収容するものとする。軽患者については臨時診療所を開設応急手当をおこなう。
(2)臨時診療所の開設場所を次のように予定する。
大船渡町台ケ丘,服装学院,下船渡駅
赤崎町中赤崎診療所,蛸ノ浦診療所
末崎町滝田医院,泊里診療所
(3)臨時診療所より遠隔の地にある患者のため,移動医療班を編成してこれにあてる。
(4)医療を実施した場合には次の記録を整備保存するものとする。
イ診療記録
診療記録医療班
医師氏名
ロ薬品衛生材料使用記録.
薬品衛生材料使用簿
医師氏名
ハ救護班の編成及び活動記録
給水班
災害のため井戸水が使用できない地区又は上水道の断水された地区には汚水による伝染病の発生が予想されるので,速かに飲料水を供給するものとする。
(1)応援を求める給水車
気仙酒造株式会所
_のタンク車
新沼信平商店
(2)取水場所
大船渡町加茂の湯の附近
気仙酒造株式会社工場後の入地区
(3)保健所に要請して被災地井戸水の検査
(4)自衛隊に要請して各被災地に貯水槽の設置
遺体処理班
(1)遺体収容所を下記のとおり定める。
大船渡地区西光寺
赤崎地区中赤崎診療所,蛸浦診療所
末崎地区細浦長源寺,,泊里麟祥寺
盛地区浄願寺
(2)警察,消防,青年団等と緊密な連携をはかり,遺体の検死,遺族,親族等による確認をおこなう、。
(3)埋火葬届出手続の指導,火葬場使用計画をたてる。
(4)埋火葬に必要な仏具一切の購入斡旋をおこなう。棺の発生は下記におこなうものとする。
盛町 丸庄家左盛木工所
(5)死体を処理した場合における記録
防疫班
被災地の担当地区を定め,消毒実計画をたてるととに,その実施に万全を期する,又防疫に対する指導ならびに食品衛生検査の指導にあたる。
(1)防疫分担区域は概ね次のとおりとする。
大船渡町第一班赤沢,台町,茶屋前,南町
第二班須崎,浜町,川原,笹崎
第三班永沢以南全域
赤崎町第一一班中赤崎地区全域
第二班大立以南全域
末崎町第一班船河原,内田,峰岸,神坂,中野,小細浦
第二班門の浜を含む泊里地域
(2)人夫、機械器具,消毒薬品の必要数を確認し庶務班に報告調達を要請する。
清掃班
被災地域を清掃して,災害復1日の迅速を期するため,予め塵あい,ふんにょう,汚物等の処理集積場を決定しておき,災害時には速かにこれを搬出処理する
(1)ふんによう処理場
大船渡地区盛川河畔の塵あい処理場(砂土場)
赤崎地区猪川町内貯溜槽及び長崎海岸突端
末崎地区船河原海岸
(2)塵処理場
大船渡地区盛川河畔塵あい処理場
赤崎地区漁協埋立地に一時集積して焼却する
末崎地区船河原海岸
(3)各地区担当者(大船度地区,赤崎地区,和崎地区)は被災地の公共的な重要度を考慮して,塵あい,汚物の処理作業の優先順位を決定するものとする,(現場作業計画は消防団があたるものとする)
イ国道
ロ県道
ハ市道ならびに災害復旧に著しく支障をきたすと思われる道路
(4)応援協力を求める近隣都市衛生車を次のとおりとする。
関市1台
水沢市2台
遠野市2台
盛岡市3台
花巻市2台
へ食糧部
庶務班
被災者に対1.可及的速かに具つ平等に炊出し,ならびに各種食糧の配給がおこなわれるよう,関係機関と緊密な連携を図り,部内各班の活動を推進する。
(1)応援協力を求める関係機関
県農政,課岩手食糧事務所(TEL6125)
食糧事務所気仙支所(TEL779)
県南米協(TEL488)
経済連大船渡支所(TEL875)
各米穀類小売販売業者
市婦連
青果市場
大船渡魚市場
市内各農協
市内各漁協
(2)食糧の確保計画で主食について
罹災状況を勘案して県南米誰穀協同組合及び県経済連に対し,概ね精米3001長の確保を要請する,そのほか,応急米として県農政課に対し,慨ね20トンの特配を要請するものとする。
ロ炊出したについて
行政連絡員ならびに市婦婦連の組織を動員し,被災地に比較的近い安全地域に,1カ所50人分の炊出量を目途に協力を要請する。又この炊出しには,なるべく保存性のある副食物を添える。
ハ副食物について
魚類,野菜,調味料についてそれぞれの関係機関を通じ,確保を要請するものとする。
(3)配給に関する広報宣伝事項
イ炊出しの要請,ならびに配分について
ロ主食臨時配給所の設置場所について
ハ配給券の交付について
二副食物の配給について
ホその他食糧配給に必要な事項
(4)部内各班における内部事務の総括
イ 必要に応じ,炊出券ならびに主食配給券の作成
ロ 配給台帳の整備
ハ食糧運搬車輌の調指
二現場配置へ員の調整
ホ罹災地外の配給所員の応援要請
へ 計量器ならび配給器具のあつせん
トその他各班における内部事務
炊出班
(1)炊出の手配計画
災害発生と同時に直に被災者へ給食がおこなわれるよう次のように炊出しの手配計画をたてる。
で被災地に比較的近い安全地域にある市婦連組織及び行政連絡員を通じて協力を要談する。
ロできるだけ多数の給食可能設備を有する公,私立の施設,会社,工場,飲食業11千等の施没を利用するよう考慮する。
ハ炊出に必要な米穀の供給は様式1号による炊出用米穀配袷券を交付し,指定配給所より受領せしめる。
二炊出しに要した恥穀の代金については,後で配給所より券を回収し台帳と照合して決済するものとする。
ホ炊出用米穀配給券交付台帳は様式2号による。
へ炊出しについは平素より組織を通じ協力を要請しておく。
(2)炊出しの配給詩画
配給にあたつてはいささかも不公平な受配がなされないよう次の措置をとる。
イ消防団ならびに地区行政連絡員と緊密な連絡のもとに炊出配給所及び時刻を指定し,この周知に万全を期する。
ロ炊出し直接の配分については,地元消防団ならびに行政連絡員の協力を求めるものとする。
ハ本部手配の炊出しが交通途絶のため輸送できない地域に対しては予め地区本部において手配計画をたてさせ,事務所要母の米穀を配給するものとする。
二このほか副食斑と協議して移動炊飯設備も考慮する。
ホ炊出しの容器返還は厳重に取扱うものとする。
主食班
主食の配給計画
小売店が罹災したため主食の配給ができない場合においては,小売店が平常に復する迄,一時県南米協及び県経営連直営の臨時配給所を設置して,罹災者に市が保障のもとに発行する緊急米穀配給券を交付して指定の鼠を無料で受配せしめるものとする。(この計画は県南米協と協議決定のこと)
イ緊急米穀配給券の交付
配給券の交付にあたつては交付所を適当な地区に設置する,但し被災地の小範囲な地区には行政連絡員又は配鉛所に依頼この職務を代行させるものとする。
配給券は様式1号による
米穀配給券交付台帳は様式2弓による。
ロ臨時配給所の設置1汁画
配給所が直ちに営業できない状態にある場合においては,臨時配給所を設置して,主食の供給に支障を来さないようにする。
又必要に応じ罹災地外の配給所員の応援協力を求めるものとする。
ハ代金の回収については経理部とも協議し,平常に復し次第適切な措置をおこなうものとする。
二地区別の小売販売業者は次のとおりである。
副食班
集団収容所又は仮設住宅等を重点的に副食物の供給あつせんをおこなうものとする。
(1)応援協力を求める関係機関
市内各農協,漁協
大船渡魚市場
大船渡青果市場
(2)主食班の移動炊飯設備とも連けいし,手配に万全を期する。
(3)配給計画については主食班に準じおこなうものとする。
(4)乳幼児に対する措置として罐入粉乳,補乳ビン等を確保供給する。
ト,経理部
経理班
(1)予算及びその経理計画
各部よりめ支払予定計画に基づき,総務部と協議の上資金計画をたて,各金融機関に対し,資金融資の交渉をおこなう。
支払は資金計画に基づき,緊急物品購入伝票の提示により,その都度債権者に支払うものとする。同伝票は用度班において各部の請求により交付する。
(2)義捐金の配分計画
義捐金の配分方法については。配分委員会の協議により,その都度算定し,速かに罹災者に配分する。
イ配分委員会の委員は次のとおりとする。
副本部長助役,本部付収入役,総務部長,厚生
部長,同庶務班長,経理部長,同経理班長
ロ配分方法は罹災者を各地区毎に集合せしめ,部員が直接手渡すものとする。
(3)庫輌及び船舶の使用料の協定
車輌部ならびに産業部と合議の上,所有者及び関係者と協議し,車輌ならびに船舶の使用料を協定する。
用度班
(1)各部必要物品の確保
毎年12月に予め災害発生を予測して,各部より災害用物品の必要量調査をおこない,有時に際して直ちにその調査に基づき,物品の確保をなし得るよう体勢にするものとする。
災害用物品必要量調査
イ調査書
災害用物品必要量調
ロこの調査書には災害において必要な消粍品及び備品を記載する。(復旧資材については,それぞれ担当部)
ハこの調査は毎年12月20日迄におこなう。
二市役所災害対策所管課はこの調査に基づき次年度の災害対策予算を要求するものとする。
(2)物品の請求及び支給計画
災害時において物品を請求する場合は(災)緊急消粍品請求伝票によりおこなう。在庫品外については緊急物品購入伝票を請求者に交付し直接商店より購入せしめる
イ(災)緊急消粍品請求伝票
宿泊班
本部班,ならびに総務部と緊密な連携を保ちながら来訪者,及び応援者の宿泊に万全を期する。
宿泊所の割合には組織別に分宿させるよう配慮するものする。
大災害の場合においては旅館の外寺院,学校,その他公共建物にも分宿させるよう計画する。
イ市内における旅館及び収容可能状況
ロ市内寺院収容人員
チ,車輌部
動員班
各部において必要な最少限の車輌数を確保して,スムースに救助活動が進められるよう動員に万全を期する。
動員方法は別項動員計画に基づき,次の2種に分けておこなう。
(1)災害救急動員
この動員は災害初期における助助活動の迅速を期するための動員で災害発生と同時に災害安全地域の車輌を対象に,予め地区毎に指定してある速絡先に電話又は直接応援協力を求めるものである。
上記の指定を受けた連絡責任者は,管内の車輌現有状況を常時把握して動員に支障なきよう配慮しておくこと。
ハ動員予定の車輌数
(2)災害復旧動員
災害現場における塵あい処理,流失物のとりかたづけ,救援物資の配給などに機動力をもつて速かに災害復旧を図るための動員である。
したがつて,初期において応援協力を求めた車輌で引続き動員可能の車輌のほかは,作業状況を勘案して新に営業用車輌を対象として動員を求める。
配車班
各部における救助活動を容易ならしめるめ,配車班は動員班と緊密な連携を保ちながら常に動員車輌の把握につとめ,配車に万全を期する。
(1)各部所要車輌数
(2)標識の設定
一搬車輌と災害従事用車輌との識別を明らかにするため,「本部災害用」と赤で表示した布製の小旗を車頭部に付し活動を容易ならしめる。
(3)配車計画
各部及び車輌動員連絡指定者と緊密な連絡のもとに配車の適正を期するため下記様式の配車内訳簿を作成して活動状況を明確にする。
(4)燃料給油計画
災害場所により地理的条件等を考慮して適切な給油所を選定するも概ね下記給油所を指定して円滑な給油を実施する。
(イ)盛町堀江,水野,:丸金給油所
(ロ)大船渡町八木又,川原(大協),新沼給油所
(ハ)末崎町漁協給油所
(5)給油券の発行
各車輌から要求により配車班において下記様式による給油券を交付する。
(6)使用料の調定
使用料については,経理部経理斑と合議の上指定及び所有者と協議し決定する。
(7)車輌借上簿り,建設班
総括班
(1)被害調査の総括
調査工作班より報告される被害状況は次の総括表により処理する。
この表はイ,路線ロ,河川ハ,橋梁二,建築物のによ別り整理する。
(2)被害状況報告
被害状況は総務部を通じ県道路都市課,河港課,建築課にそれぞれ報告されるものであること。(別紙様式による)
主なる被害地域及び河川の名称
被害原因
日雨量ミリメートル
連続雨量ミリメートル
風速メートル
潮位メートル
波高メートル
台風の中心示度ミリバール
(3)資材の確保
被害現場における応急工作の必要の程度を早急に確認して応急工作資材の確保を図るものとする。
イ資材の調達は要請により消防団がおこなうものであるが但し作業用機械等においては総括班が直接消防団又は建設業者に応援を要請する。
ロ各種復旧作業に要する必要最少限の資材は次のとおりとする。
上記資材は必要な時期において直ちに供給できるよう予め消防団において手配してあるもの。
ハ作業用機材
(4)応急工作資材の集荷対策ならびに資材価格及び機材借上料の協定非常災害に際し応急工作の円滑化,ならびに諸物価の安定を期する機関として,市及び関係業界代表をもつて,必要資材対策会議を組織し関係方面との連携を図るものとする。
調査工作班
(1)被害調査分担区域
A地区盛町全域,赤崎町中井〜佐野
B地区大船渡町地の森〜笹崎
C地区大船渡町永井沢以南,末崎町船河原
D地区末崎町船原除き全員
E地区日頃市町全域
F地区立根,猪川町全域
G地区赤崎町跡浜〜合足
(2)調査分担域の調整
災害の発生時期及び規模,種類等によつて,分担地区の編成及び人員配置について適切な調整をおこない,、調整の迅速を期する。
(3)調査方法
イ調査対象は道路,橋梁,河川,その他公共施設についておこなうものとする。
ロ調査内容は,総括班備付の総括表と同様のものとする。
ハ調査事項の速報は指定された時間毎に電話又は職員をして総括班に報告する。
二被害内容の調査と同時に現場の写真撮影をおこなう。
写真機は建設課備付の2台のほか不足分については逐次購入を計画するものとする。
(4)応急工作における人員の増強
イ応急工作において多数の人員の必要とする場に合おいては災害発生地区の周辺は勿論,広範囲な消防団ならびに一般市民の動員計画をたてるものとする。なお必要に応じ建設業者等をして工事をおこなわしめる。
ロ自衛隊に応援を求める場合においては,総務部総括班を通じおこなう。
(5)応急工作の直営
応急工作は原則として市の直営でおこなうよう考慮する。
(6)応急仮設住宅の施設
技術的な面については建設部においておこなうも,敷地の選定その他については厚生部と密接な連携のもとにおこなう。
(7)応急工作資材及び機材
必要に応じ総括班に連絡してその手配を要請する。
ヌ,産業部
総括班
総活班の中に調査集計係及び調査係を置く。
調査集詩係は,調査係より逐次報告される被害状況を取まとめ,総務部を通じ関係機関に速報する。
調査係は農事及び水産の別にそれぞれ地区分担,農協及び漁協と相提携して被害の調査三をおこなうものとする。
(1)被害状況の報告を要する関係機関
県庁農政課農林事務所
農産課建設事務所
耕地課水産事務所
林業課海上保安庁
林務.課漁政課
漁港課
(2)被害状況調査は次の様式により町別ににまとめる。
イ農業関係
ロ水産関係
(3)調査地区の分担
水産被害第一班赤崎地区
第二班大船渡,末崎地区
農業被害各町別に班を編成調査責任者を定めるものとする。
(4)調査員の報告
調査員は次に定める時間にそれぞれ調査集計係に被害状況を報告するものとする。
報告時間6時,8時,10時,12時,2時,4時
需給班
被害状況の把握に基さ,種苗ならびに肥料,薬剤その他復旧資材の速かな調達確保を図るため,需給班の中に農林資材及び水産資材係を置き,災害復旧に万全を期する。
(1)農林資材係
イ種苗の調達計画
大船渡農業改良普及所,ならびに農業共済組合,市内各農協その他市当局をもつて組織する農業普及協議会を速かに招集して,災害状況に応じた種苗の需給について協議する。それに基き,種苗調達計画をたて,農林事務所を通じて県農産課に要請する。
ロ薬剤調達計画
被害状況に応じて,大船渡農業改良普及所ならびに病虫害防除所と協議して速かに対策をたてる。その結果に基き,市内各農協及び共済組合における薬剤の在庫を確認,不足分については経済連大船渡支所を通じ購入するものとする。
撒布については農協ならびに共済組合に実施を委任する。
ハ肥料調達計画
薬剤調達計画に準じおこなうものとする。
(2)水産資材係
イ調達を要する資材及び方法
大量に資材を必要とするものについては市において調達をおこなうも,それ以外については直接漁協が調達にあたるよう協力を求める。
調達資材
船舶用資材
かき養殖資材(かき棚材,縄,種かき,浮樽
コールタ一ル)
ノリ養殖資材(ノリ竹,網)
定置網資材(漁網,浮竹)
ロ漂流物及び沈没品引揚等の配給
この配給については,水難救済会に要請して,配給一切について協力を求めるものとする。
この場合に要した油代,その他借上料については水難救済会と協議して決める。
施設工作班
施設工作班の中に漁港施設係と農業施設係を置き,漁港ならびに農道林道,水路等の公共施設被害について調査及び応急工作をおこなう。
(1)被害調査ならびに応急工作の分担
漁港施設係大船渡,赤崎,末崎町の各漁港及びその施設についておこなう。
農業施設係市内全域における農道,林道,水路等の施設についておこなう。
(2)調達の方法
イ被害発生と同時に現地に出向き,別に定める調査書により被害状況を把握すると共に必要資材を調査する。
ロ調査事項は予め指定されてある時間毎(6時,8時,10目寺,12時,2日寺,4時)に総括班に電話又は職員をして報告する。
ハ調査と同時に被害現場の写真撮影をおこなう。
写真機は産業課備付のもものほか,不足分については逐次購入を計画するものとする。
(3)応急工作における応援要請
イ応急工作において多数の労力を必要とする場合においては,災害発生地区の関係者は勿論,広範囲な消防団ならびに一般市民の動員計画をたてるものとする。なお必要に応じ建設業者に工事をおこなわしめる。
ロ自衛隊の応援を必要とする場合においては総務音1乙,総括班を通じておこなう。
ハ応急工作に要すろ資材については調査結果に基き消防団に手配を要請する。
(4)調査書
ル,水道部
非常災害の発生は水道,井戸等の給水施設を破壊し,あるいは飲料水を汚染させることが多い。したがつてこれによつておこる飲料水のこ渇を最少限度にとどめるためには破損せる水道の早期復1日を図り,速かに給水の方途を講じなければならない。
総括班
(1)被害状況の把握
災害発生と同時に現地に調査員を派遣し,災害カ所の発見に努めると共に応急修理に要する資材を確認せしめる。
この結果により応援協力者の要請計画ならびに応急資材の確保計画を次のようにたてる。
(2)応援協力要請
被災地区が広範囲にわたり,その復旧に長期間を要すると認められる場合においては,他都市に直ち応援協力を求めるものとする。このほか市指定の工事店については災害発生と同時に協力を要請し速カゴに工作班に所属せしめ応旧復旧工作にあたらしめる。
イ応援を要する他都市
県衛生課水道係
盛岡市水道課
一関市水道課
ロ市指定工事店
小山商店水道部佐藤水道工業所
盛水道工業所峰岸冷蔵株式会社
昭和水道工務店
(3)復旧資材の確保計画
復旧用資材の備蓄がない場合においてはとりあえず,指定工事店の備蓄品を借用して,これにあてるものとする。但し被害が大きく,これだけでは充分でない場合においては他都市の関係部局を通じそれぞれの指定主事店の応援協力を求める手配をとる。
予めこの事態を予想して近隣都市相互間においては,常に資材供給ができるよう備蓄品の目録等交換しておくものとする。
復旧作業に要する必要最少限の資材は次のとおりとする。
G P. 150m/m200m(ソケット含む)
ACP150m/m100m(ギボルト含む)
ACP100m/m100m(ギボルト含む)
ACP75m/m100m(ギボルト含む)
ACP50m/m100m(ギボルト含む)
ACP125m/m100m(ギボルト含む)
調査工作班
上水道の破損カ所は災害初期においては流失,倒壊等の家屋の下敷となつているため発見修理には非常な困難が予想されるが,できるだけ広範囲の被害状況を把握することに努め,合理的な期別復旧計画をたて,速かに給水可能ならしめるものとする。
(1)破損力所の調査
イ災害初期においては部分的な破損カ所の発見は困難であるので,とりあえず被災地全体の被害状況を把握して合理的な復旧計画をたてるものとする。
ロ調査員は工作員に先だつて復旧計画に基き調査地区を分担し,災害カ所の発見につとめる。調査は別に定める様式1号によりおこない,逐次工作員ならびに総括班に報告するものとする。
(2)復旧計画
復旧計画は浄水池より近い順に期別にたて,応援協力者ならびに復旧資材の調達状況とにらみ合わせ,早期給水がおこなわれるよう万全を期する。計画の内容は概ね次のとおりとする。
イ作業方針
ロ被害地を区分し,作業順位を定める。
ハ応旧工作員の配置(応援協力者も含む)
二復旧資材の調達状況
ホ給水予定
(3)給水計画
被害カ所の復旧次第給水することは勿論であるが,漏水多量なることが予想されるので,時間給水も考慮するものとする。
その場合においては給水計画をたて,それに基いて,総務部広報班を通じ広報宣伝の徹底を期する。
(4)水質検査
給水可能となつた場合においては,汚水による伝染病の発生も予想されるので水質検査には万全を期するものとする。
この場合においては地区を定め,定期的に残留塩素の測定を実施する。
(5)様式1号
上水道被害カ所調
オ,学校対策部
就学上欠くことのできない学用品を,喪失又は毀損し,しかも物品販売機構等の一時混乱により資力の有無にかかわらず,これらの学用品を直ちに入手することができない状態にある。小学校児童,及中学校生徒に対し可及的速かに必要最少限の学用品を給与し,それらの者の就学の便を図らなければならない。
これと併せて,学校,その他教育施設の被害を速かに復旧せしめ,災害による教育の渋滞防止に万全を期さなければならない。
総括班
(1)罹災児童及び生徒の把握
調査部において行う調査とは別に学校長を通じ罹災児童及び生徒の実態調査を速かにおこなうものとする。この調査は番区調査班がおこなう調査に更に正確を期するためにおこなうものであって,調査の内容は別定める様式第1号による。
(2)学用品の調適及び給与の方法
イ学用品は上記の調査結果に基き,実際に必要なものに限り支給する。
ロ学用品の確保については,学校長と緊密な連絡のもとに学年別学科目別,発行所別に調査し,別に定める様式2号による購入計画表をつくり調達する。
この手配先は次のとおりとする。
A県教委
B岩手県教科図書販売株式会社
C株式会社福屋
ハ.教科書及び教材の支給に要する費用は実費とする。
文房具及び通学用品について被害別,小,中学生別にその限度額が設けられているので,給与にあたつて配分計画表(購入計画表兼ねる)によりおこなうこと。
二学用品の給与にあたつて,実際に支給する事務は学校長に委任するものとする。
ホその他学用品の調達及び給与にあたつては厚生部と緊密な連携を図り万全を期するものとする。
(3)給与の対象とする学用品の品目
イ教科書教科書の発行に関する臨時措置法第二条に規定する教科書で,文部省検定済教科書及び文部省著作教科書である。
ロ教材
当該小,中学校において,有効適切なものとして使用されている教科書以外の教材で例えば,教科書のない教科について使用されているテキスト等である。そのほかワークブック等に使用されているもの。
ハ文房具
ノート,鉛筆,消ゴム,クレヨン,絵具,画筆
画用紙,下敷,定規等の類
二通学用品
運動靴,番傘,カバン,風呂敷,ゴム靴等の類
(4)様式1号 生徒,児童被害調
調査工作班
(1)被害調査の実施
イ児童,生徒の被害状況については学校長に要請して速かに調査を完了せしめ,総括班に報告するものとする。
ロ教育施設については現地に直1妾調査員を派遣,被害カ所の写真撮影をおこなうとともに下記の被害状況を調査する。
校舎,校地,公民館,その池の教育施設
(2)応急工作
被害調査の結果に基き総務部資材班と協議して速かに所要資材の確保を図り応急工作に着手する。
工事は大工組合に応援を求め直営でおこなうよう考慮する。
(3)学用品の輸送及び配分
総括班の計画に基き調達された学用品は,学校単位に輸送配分し,生徒,児童への直接の配分については,学校長に委任するものとする。
ワ,地区本部
(1)設置計画
市民防災協力組織設置要項に基き,災害発生時において,地域の救助活動が適切且つ迅速に処理できるよう地域の協力能勢を確立する。
この設置事務は次の要領により各地区本部付がおこなうものとする。
イ地区本部長及び本部委員の委嘱
予め設置要項に示されてある次の者を委員に委嘱する。
地区内行政連絡員,公民館長,民生委員,防犯委員,青年団長,婦人会長,契約会長,消防団分団長,部長
この中から本部長1名を委嘱する。
ロ設置場所
災害の状況によつて定められるものであるが,津波災害を想定して概ね次のとおり定めておく。
大船渡町大船渡小学校
赤崎町赤崎漁協中赤崎支所
末崎町末崎農協中央支所
必要に応じ支部を置くことを考慮する。
ハ会議
災害救助の協力態勢確立のため,可急的速かに委員会を招集して次の事項を協議する。
A地区本部の職務分担について
B救助活動の実施について
(2)活動計画
地区本部長は市災害対策本部と密接な連絡を図り,災害程度及び救助活動の推移を考慮し,委員会の協議を経て各種救助活動を推進する。
なお救助活動要領は概ね次のとおりとし,本部委員の協議により夫々分担し,責任者を互選して任務の遂行にあたる。

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救助活動の内容報告書
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様式
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罹災証明書
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(6)様式1号 罹災者調査カード
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様式2号 罹災状況集計表
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常時最少限下記のものを確保するもの
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撒粉機の備付調(46,11現在)
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診療記録
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薬品衛生材料使用簿
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救護班の編成及び活動記録
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死体処理台帳
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様式1号炊出用米穀配給券
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様式2号炊出用米穀配給券交付台帳
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様式1号米穀配給券
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様式2号米穀配給券交付台帳
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地区別の小売販売業者
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別表1 昭和35年5月24日チリ地震津波災害における応急対策関係予算
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別表2 見舞金配分基準表
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災害用部品必要量調
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緊急消耗請求伝票
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ロ緊急物品購入伝票
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イ市内における旅館及び収容可能状況
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ロ市内寺院収容人員
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イ市内における車輌の分布状況
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ロ指定の車輌動員連絡先
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動員予定の車輌数
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営業用車輌
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配車内訳簿
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給油券
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車輌借上簿
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総括表
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別紙様式
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公共土木施設以外の主な被害
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各種復旧作業に要する必要最少限の資材
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作業用機材
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田地作付のもの
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畑地作付のもの
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水産関係被害額
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調査書
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上水道被害カ所調
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様式1号 生徒,児童被害調
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様式2号 学用品購入(配分)計画表
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様式3号
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災害対策救助地区本部活動要領

第2節災害通報組織

洪水及び津波等の災害発生を予知して,被害を未然に防止するため,地域に観測通報員を置く。
観測通報員は津波通報員と洪水通報員の2種に分け,下記の者を市長が委嘱する。
(1)津波通報員
イ末崎町船河原
細浦高橋富喜電話(呼)9番
小細浦
門の浜
泊里
梅神
ロ大船渡町上平浜田平太郎電話171番
下船渡川原喜一郎電話852番
赤沢笠井文男電話539番
浜町
永井沢清水晴雄電話(呼)
310の乙番
視崎松野憲ニ
ハ赤崎町宿
山口
永浜志田敬二電話(呼)404番
清水
上蛸浦
長崎平子幸之進電話(呼)
411の甲番
合足
(2)洪水通報員
猪川町下権現堂稲沢勝
立根町田谷千葉祐助
口頃市町関谷新沼慶蔵
降雨観測所をもつ学校
末崎中学校
赤崎中学校
盛高等学校
(3)通報員の任務
イ津波通報員
地震後においてあるいは又地震がともなわなくとも最寄りの海岸において,海水の異状を認められた場合,直ちに当該地域内の消防団員にこれを知らしめ,地域民に周知を図ると共に,消防署(101番)に通報する。但し末崎町における通報員は消防署に通報するほか大船渡警察署末崎駐在所(電話44番)に通報するものとする。
この場合の通報は電話においては緊急通話による。
ロ洪水通報員
台風その他蒙雨等により,洪水及び河川の氾濫が予想される場合猪川町においては,下権現堂地内盛川量水標により又,立根町においては田谷地 内立根川において,目頃市町においては関谷地内盛川の夫々の増水状況を,通報水位を超えた場合に消防署に電話で通報するものとする。
又雨量観測施設をもつ学校においては雨量100ミリを超えた場合消防署に通報する。
(4)観測施設計画
量水標の設置について
日頃市町関谷地内盛川及び立根町田谷地内立根川に量水標を設置する。
このほか盛川権現堂橋々脚に一般市民が直接観測できるよう警戒水位の標示をおこなう。

第3節避難計画

(1)避難警報

災害が発生した場合又は発生が予想される場合に,住民に対しその危険を周知させ,避難に便ならしめるため避難警報を発令する。
イ警報の種類避難警報には事前避難警報と緊急避難警報の2種類とする。
A事前避難警報
測候所等が発する警報に基いて災害の発生のおそれのあるとき,事前に避難の必要と認められる地域に発する警告をいう。
B緊急避難警報災
害の発生が必至と見られるとき又は現に災害が発生しつつあるとき,緊急に避難が必要と認あられる地域に対して発する警告をいう。
口避難警報の発令及び伝達要領
A.警報の発令
市長が気象台長及び測候所長からの通報を受けた場合又は災害の防止上危険であると認めるとき,直ちに消防長をして避難警報を発令せしめる。但し消防長ならびに観測通報員が海岸線及び河川の状況により,緊急避難の必要を認め,市長に警報の発令を要請するいとまのないときは,地域内消防団をして緊急避難警報を発令せしめることができる。その場合は速かにその旨を市長に報告するものとする。
B警報伝達
警報が発令された場合,これを速かに地域民に徹底するため,概ね次の方法により伝達をおこなう。
◎動員する警報網
消防用半鐘,手,電サイレン
消防署広報車(指揮車)
消防団自動ポンプの放送施設
大船渡市役所電動サイレン
大船渡水産市場電動サイレン
小野田セメント電動サイレン
大船渡警察署広報車
状況周知のため町内ラジオ店等の店頭スピーカーの協力を求める。
小中学校の放送施設
ハ信号方法
避難警報に半鐘と手動,電動のサイレンを混用するものとする。
沿岸地区(大船渡,末崎,赤崎町)に設置されてある半鐘は津波,洪水においてのみ使用し,火災には使用しない。
信号方法は次の表による。
二警報施設の整備計画
警報の徹底については現有施設では充分でないので,次のように施設を整備し警報伝達に万全を期する。
A警報器及び設置場所
警報器は停電時においても吹鳴できるよう発電施設又は蓄電施設を整備した余いん防止付サイレンとする。設置場所は風向及び現有位置を考慮して概ね次のように予定する。
大船渡町台町高台
末崎町細浦高台
赤崎町蛸浦小学校附近
Bその他の警報施設
現有施設の配置を考慮して,半鐘,鉄板,鉄骨片を危険地域に設置する。
C放送施設の整備
直接口頭をもつて住民に周知するため下記の地域に放送塔を設置する。
大船渡町台町,平地内
赤崎町生形,蛸浦地内
末崎町細浦,泊里地内

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伝達の経路
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信号方法
(2)避難所及び避難方法

災害が発生した場合又は,そのおそれのあるときに,危険地域の住民を災害に対し安全な地域に速かに且つ整然と避難せしめるため,次のように計画する。
イ避難場所
とりあえず津波を予想して,住家の密集地帯の避難場所を次のように定める。
大船渡町地の森教会高台
赤沢高台(平山長七,鳥井譲右工門
宅附近)
台ケ丘
大船渡中学校
加茂神社高台
大船渡小学校
鉄道路線上高台(永井沢,上平,下平,
砂子前,宮の前)
赤碕町小野田セメント跡浜住宅(旧赤崎小学校)
八坂神社境内
中赤崎公園(山口謙吾宅附近)
末崎町熊野神社(神坂,小細浦)
長源寺
麟祥寺
ロ避難方法
有時に際し避難者による交通混雑を末然に防止するため車による避難と徒歩による避難との2つに分け,次のように経路を定める。
A車による避難の経路
大船渡地区
赤崎地区
末崎地区
B徒歩による避難経
路大船渡地区
赤崎地区
末崎地区
C避難の準備
避難の準備にあたつては事前に特に次の諸点について留意する。
1)火気の取扱には平素注意し,避難に際し,始末を完全にする。
2)服装はできるだけ軽装とし,素足を避け,防雨防寒衣を携行する。
3)貴重品以外の荷物は持ち出さない。
4)照明具,救急薬品等は非常用を標示した袋に入れ,容易に持ち出せるような体製におくこと。
5)学校及び病院等においては平素綿密な避難計画を樹立しこれに基く避難訓練等を実施する。
6)避難者の誘導には消防団があたる。
D避難後における措置
1)逃げおくれた者がないかどうか,避難の確認は速かに消防団がおこなう。
2)避難者は長期にわたり他の地域に避難する場合は,必ず避難先を立退地に標示するものとする。
3)避難がおなわれた後の治安,警備については特に厳重におこなわれるよう警察,ならびに消防と密接な連携をはかる。
E避難に関する施設計画
1)避難所には,その位置を明確にナるため電灯(緑灯)及び標識を設置する。
2)避難場所に至る経路を地域民に認識せしめるため,その経路を示す標識を設置する。
3)避難及び放急用に舟艇を消防署に備付けるものとする、
4)避難の誘導その池の救助活動に使用するため,雨天においても使用可能な提燈を消防署ならびに消防団に設置する。

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A車による避難の経路
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赤崎地区
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末崎地区
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B徒歩による避難経,路大船渡地区
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B徒歩による避難経,赤崎地区
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B徒歩による避難経,末崎地区

第4節市民防災協力組織

(1)設置要項
イ災害発生時における地域の救助活動を適切且つ迅速に処理するため,一般市民による防災協力体制を確立する。
ロこの組織は民主的にしかも,自主的に運営できるよう留意し強制あるいは不公平のない組織とする。
ハこの組織は市の災害対策本部と密接な連携をもつて,一体的活動がおこなられる運営に努める。.
二この組織は警報の発令又は災害の発生と同時に市長がこの要項に基き設置する。
ホ設置単位は町別単位とし,地域の実情及び必要に応じ補助組織をおくことができる。
へ被災地外の町に,下記の組織おく場合においては,概ね次の組織編成によるが,本部長が最も効果的に被災地の救援活動がおこなわれるよう,組織の編成を考慮するものとする。
(2)組織は次のとおりとする
イ名称
「災害救助○○地区本部」とする。
ロ設置場所
地区の中心におくよう地区本部長が決める。
ハ構成
行政連絡員,民生委員,防犯委員,公民館長,青年団長,婦人会長,契約会長,消防団分団長,部長をもつて地区本部委員を構成する。
本部派遣の地区本部付及び地区調査班はこれに協力参加する。
二地区本部長
地区本部長は地区本部委員の中から市が委嘱する。
地区本部長は市災対策本部と緊密な連絡のもとに,地区における災害救助補助又は救助受入等,地区本部を統括する。
ホ地区本部委員
地区本部委員は市長が委嘱する。
へ地区本部事務局長
地区本部における事務を総括し,地区調査班を指揮する。
但し被災地外の地域においては,地区調査班員がこの掌にあたる。
地区本部の事務
地区本部の事務は概ね次のとおりとする。
A災害時における広報広聴活,動に協力する。
B被害の調査に協力する。
D市の救援活動に協力する。(応援の要請,炊出し,副食物の確保等)
D救援物資の受領配分に協力する。

第5節都市間の救援組織の確立

わが国は災害国であるだけに,いつどこで災害が発生しないとも限らない。これが小都市において発生を見ると被害都市単独の能力をもつてしては,救助ならびに応急工作の面で充分な活動ができないのが現状である。
この能力以上に要求される救助活動に万全を期するためには,救助能力のある隣接都市間においては友愛の精神に基く,相互援助の組織体勢にあることが望ましく,且つこの体勢確立が喫緊の問題といわなければならない。
ついては下記のとおり,災害援助を約する覚書を交換することについて,参加の勧奨をおこなうものとする。
勤奨をおこなう都市
陸前高田市,釜石市,遠野市,水沢市,一関市,花巻市,北上市,盛岡市,江刺市,住田町,三陸村覚書の内容は概ね次のとおりとする。
イ必要な情報を相互に交換できる連絡担当課を予め定めておくこと。
ロ役務の提供,救援物資の調達等,応援要請の範囲及び手続き。
ハ応援経費の負担
二その他応援に必要な事項

第7章防災都市建設計画

第1節基本計画

1.基本構想

大船渡市をあらゆる災害から防備し,都市防災の目的を達成するためには既に策定を了してある新市建設計画を再検討し,その地域の問題点を把握するとともに,将来開発発展する様相を適確に想定し,大船渡市及びその経済圏におけるその地域の立地環境を検討し,これに対応する諸施設の整備と防災施設とを関連的に調整して、チリ地震津波災害の復興と防災都市建設が,即,総合開発であるとの根本理念をもって計画を樹立し,その実現を期せんとするものである。

(計画策定の方針)
1.大船渡市建設の至上目標である臨海工業都市建設の基本方針を堅持し,これに即応する防災施設を中心とし諸条件の整備を推進する。
2.計画事業は災害復旧並びに津波対策事業を主体としこれに関連した産業立地の諸条件の整備を企図せんとするものである。
3.臨海地域を中心とし,各地区(12ブロック)の特異性を勘案し,将来の開発発展の様相を想定し,これに対応する立地条件の整備を推進する。
(計画策定の重点)
1.人命の被害を絶無ならしむる。
2.財産の被害を最少限度に止める。
3.経済効果を高度化する。
4.総合開発を推進する。
5.災害時の救助活動を円滑ならしむる。

2.基本計画

大船渡市の臨海地域(大船渡町,赤崎町,末崎町)を12地区に区分し,各地区の現況と将来の開発発展の様相を勘案し,計画策定の方針と重点事項の推進を図る。
(地区区分)
1,合足地区
(現況と問題点。
(1)本地区は,大船渡市の東南端に位置し,三陸村綾里との境界に位置する世帯数18,人口151(35.12.1現在)の小部落である。
(2)交通網としては,県道盛一綾里線が唯一の連絡道路となっているが,都心より18、4kmも離れ,交通が極めて不便である。
(3)産業形態は農林業が主体で,漁業を従としているが,山林の畜積が多く経済的には比較的恵まれた地区である。
(4)海洋に面しているが漁港の整備がなされず漁業が低調である。
圏昭和8年の三陸沖地震津波においては人口104人のうち死亡13名,行方不明7名,重軽傷4名であり15世帯のうち流失8,床上浸水2世帯の被害を受けており,罹災者数50名を数えている。
剛昭和8年の三陸沖地震津波以後,住宅を高台に移築し,その前部に県道盛一綾里線が施工された結果あたかも防潮堤を兼ねた結果となっており,また海岸に延長約150m巾30mの防潮林の造成がなされたので,昭和8年の三陸沖地震津波程度では人家の被害は完全に防災できる。
(7)チリ地震津波においては殆んど被害がなかった。
(8)昭和8年の集中豪雨により,合足川の氾濫によりその両域に相当の被害を受けたのであるが,その復 旧工事がなされたと難も,降雨量100ミリ以上の場合は危険であるので対策の必要がある。
(将来構想)
市の開発発展に伴い,この地区におけ現在の業態が急速に変ることが考えられない。
したがって本地区においては現在の産業形態の改善育成を主軸とし,次の事業の推進を重点とする。
(1)バイパス線の開設(清水合足間)
(2)山林資源の開発育成
(3)都市近郊農業経営法の転換
(4)漁港整備
(5)河川改修
(事業計画)
いる。然しながら,臨海工業都市としての大船渡市の開発が或る程度進展を見た場合においてはじめてそのように移向するものと考察せられ,その場合約51,700坪,2,400人の住宅団地となるが,さし当り,次の事項を重点に推進すべきである。
(1)温暖の気候と南面緩斜面を利用した換金作物栽培への転換
(2)漁港整備と磯漁業資源の増殖制観光資源の開発
(事業計画)
2.長崎地区
(現況と問題点)
(1)本地区は赤崎町の大船渡湾口に位置し,世帯数94,人口635人である。
(2)地形は南面傾斜であり,県道盛一綾里線の両側に住宅が建設され,その上部の斜面は耕地となり,主として麦,大豆の栽培が農作物の主体となっているが,最近たまねぎ,そ菜等換金作物の栽培が台頭しつつある。
(3)産業構造は,完全な半農半漁の業態であるが,漁業は磯漁業が屯体で,漁閑期においては他地区の漁船に乗組み稼働している。
(4)耕地は南面緩斜の比軟的大きな団地をなしているが農道等の整備に見るべきものがない。
(5)河川がなく飲料水対策が必要である。
(6)徒来から住家が高台に建築されている関係から昭和8年の三陸沖地震津波の場合の被害は流失1,床下浸水1、重傷1,軽傷5、罹災人口llに止ており.チリ地震津波の被害は皆無である。
(7)集中豪雨の場合の被害も殆ど見られない。
(将来構想)
本地区は温暖であり,且つ大船渡湾口の外洋に面しているため風光明媚であり,将来人口の増加等により会社工場従業員の静養地及び観光地としての条件を貝備して
3.蛸浦地区
(現況と問題点、)
(1)本地区は上蛸浦,下蛸浦の二部よりなっており,半農半漁の産業形態を成し,世帯数ll9,人口870人である。
(2)農業は畑地農業であり,主として麦及び大豆を耕作している。
(3)漁業は湾内養殖業と磯漁業及び小型動力船による沿岸漁業が主体であり小規模の水産加工をも行っている。
(4)地形は丘陵が多く概して西斜面であり,海岸線に側うて県道盛一綾里線が北から南に走り,その東側に住家が建築されている。
駒豪雨により氾濫するおそれのある河川は下蛸浦に在る蛸浦川程度であるが,極めて小規模の河川である。
(5)昭和8年における三陸沖地震津波の被害は,流失,全壊19,半壊12,床上浸水,床下浸水5の世帯被害を出しており,死者32名,負傷者67であり,罹災人員264名であった。
(6)チリ地震津波においては半壊7,床上浸水20,床下浸水9となっており,人命の被害はなかった。
(将来構想)
本地区における現在の耕地は,将来市の開発進展に伴い,住宅大団地として約王00,450坪,4,740人の人口居住を集約することができる。
また第一種蛸浦漁港を整備し約4,500坪の準工業用地を造成し,水産加工共同利用施設等の用地に充当して行く。
(1)現在め耕地の大部分を住宅用地に転換,区画整理を実施し約10,450坪凡そ4,740人の住宅地を造成し,住宅大団地とする。
(2)現住民は市の開発に附随し,第二次第三次産業に転換して行くが,赤崎町における漁業基地として,漁港整備と,これに附随する施設の敷地造成を推進する。
(事業計画)
4.大立,清水地区
(現況と問題点)
(1)本地区は大立,永浜,小浦,清水の4部落より成り,世帯数133,人口887人の半農半漁の産業形態である。
(2)農業は西面丘陵の畑地農業が主体であるが,最:近果樹換金作物等の栽培に転換する意慾が梢々高まりつつある。
(3)漁業は湾内における「かき」「のり」の養殖が盛んで,現金収入の主体をなしており,近海磯漁業等の零細漁業がこれに次いでいる。
(4)地形は平担地が僅少であり,北から南に走る今出山山系の山麓の西面の緩丘陵が海岸線に達している。
(5)海岸線は屈曲が多く,概して水深が深い。
(6)河川の見るべきものが無いが,清水川,大立川の両小河川が主たるもので,清水川からは1,500m3の取水が可能である。
(7)前記両川は100mm以上の降雨の場合は氾濫のおそれあるが,大なる被害を及ぼすことは考えられない。
(8)今次チリ地震津波の場合は,本地区においては人家の被害は極めて僅少であるが明治29年,昭和9年の三陸沖地震津波の場合は大きな被害を受けている。
(9)昭和8年の三陸沖地震津波における被害は108戸のうち,全壊流出20戸,半壊18戸,床上浸水24戸,死亡者16人,行方不明10人,重傷者6名であった。
(10)過去における津波対策事業として殆ど見るべきものがなく,昭和10年,県道盛一綾里線の開設により海岸線に側うて道路のかさ上げがなされ,これに伴い若干の住家が高台に移築されたに過ぎない。
(将来構想)
本地区は海岸線の屈曲が多く,水深が深い関係上,若干の人工を加えると3〜4万屯クラスの大型船舶が容易に接岸できる埠頭の築造が可能である。また西面緩斜の丘陵は工業生産における流れ作業に最適の傾斜であり,標高50m迄を工業用地として計画し,海面は屈曲する海岸線を合理的に利用しながら,水深10mまでを埋立て,これ等を合わせ約526,000坪の工業用地を確保する。
本地区内の住宅については,蛸浦地区,或は中赤崎地区に移住せしめ,一部水産業者を除き,誘置工場の従業員として吸収して行く。
(1)御前島の東端と下り松の南端を結ぶ海面を埋立て専用岸壁と工業用地を造成する。
(2)琵琶島と小浦の間の海面を埋立て琵琶島を埠頭として利用する。
(3)永浜湾は弁天岬の南端より水深9m以内を埋立し,護岸を施し,工業用地と3,000屯クラス船舶の接岸岩壁を造成する。
(4)大立地区は弁天岬北端より水深10m内の海面を埋立て,工場用地を造成し,現在の赤崎中学校は工場設に利用し当該中学校は中赤崎地区に新築する。
(5)本地区の土地利用計画は,立地する企業が具体化するを待ち,その業種に即応する計画を樹立する。
(事業計画)
5.中赤崎地区
(現況と問題点)
(1)本地区は,跡浜,宿後の入,大洞,生形,山口の6地区からなり,世帯数453,人口2,510人である。
(2)従来,半農半漁の業態であったが,最近は湾内における「かき」の養殖がその主体となっており,更にこれ等第一次産業経営家庭より,会社事業所等に勤務するものが多い。
(3)最近においては,工場用地として水田の殆どが買収され,且つ港湾修築等により養殖漁場が縮少されつつあり,関係住民は転業について真剣に取り組み,傾斜地利用によるぶどう等の栽培に活路を見出そうとしている。
(4)昭和35年において,赤崎漁業協同組合が施行した,地先公有水面の埋立が完成し,約10,000坪(外に約4,000坪未完成)の臨海敷地の造成が成されたのであるが,赤崎漁業協同組合においては,これの具体的利用計画が確立されてなく,その利用如何が本地区の住民経済に及ぼす影響が極めて大きい。
(5)照和8年の三陸地震津波被害は流出,全壊55,半壊9となっておるが,これの対策事業としては集団住宅敷地12戸分を造成したに過ぎず,うち9戸は今次チリ地震津波により流失している。
(6)昭和8年における人的被害は,死亡3名,軽傷6名で他に比し非常に少い。
(7)昭和9年県道盛一綾.甲線の開設を見たがこれの高さは昭和8年の津波の波高より高く施行されたのであるが,チリ.地震津波の場合はこれより約1.6m高い波高を示している。
(将来構想)
本地区は,商港大船渡町の対岸にあり,工業予定地,大立清水地区と,小野田セメント大船渡工場及び,盛川南岸の工業用地との中闇にあり相当広範の住宅用地の造成が可能であるので,後の入川の両域並に上流地区に住宅大団地を造成する。
また,これ等住宅地を防護するため前面に防潮堤を築造するとともに,防潮堤と海岸の問は,現在の赤崎漁業協同組合において造成した埋立地を主体とし,更にその外部水面を埋立して工業用地または,倉庫用地とする。なお,本地区における産業の主体である「かき」の養殖事業は,将来、工場誘置による汚水の流入,船舶の出入港,或は港湾修築整備に伴い,その営業が不可能となる実情に在るため,山林傾斜地等利用による果樹園芸に転換せしむる。
(1)後の入川河口を中心とし,おおむね住宅用地と埋立地の境界線に側うて延良約500mの防潮堤を築造し,津波災害から1主宅地の防ぎょを図る。
(2)防潮堤前面の赤崎漁業.協同組合において造成した約14,000坪の埋立地の前面公有水面を更に埋立て,大立の埋立地と接続せしめ,本地区において約33,000坪の臨海用地を造成し,小野田セメント大船渡工場まで開設してある岩手開発鉄道を延長して,工業専用地又は倉庫用地等に充当する。
(3)防潮堤背後の住宅地約84,450坪の区画整理を進め,宅地の嵩上げを実施すると共に,人口の増加にともない逐次住宅地の整備を図り約10,600人の住宅団地とする。
(事業計画)
6.盛川左岸地区
(現況と問題点)
(1)本地区は,小野田セメント大船渡工場より赤崎町字中井に至る間であり,殆どは水田.畑である。住家は県道盛一綾里線の東側に側うて散在しており,その世帯数は248,人口1374人である。
(2)業態は一般勤労者が多く,畑地農業がその従である。
(3)本地区の水田は工業用地として約125,000坪を計画してあるが,うち約68,900坪は焼成燐肥工場敷地として買収済であり,既に敷地造成工場に着手している。
(4)昭和34年度より盛川河川改修の一環として左岸の堤防築造工事がなされ計画工場用地のうち約7,400坪が河川敷地として買収されている。
(5)本地区は,明治29年及び昭和8年の三陸沖地震津波においては人家の被害がなく,単に水田の埋ぼつ程度であった。
(6)チリ地震津波においては人的被害は見られなかったが,住家の半壊4,床上浸水15の被害を生じている。
(将来構想)
本地区の小野田セメント大船渡工場以北の県道,盛一綾里泉と盛川の間の水田は工場用地とし,前記県道以東の西面する畑地は住宅大団地として造成する。
(1)焼成りん肥工場用地として買収した水田と,岩手開発鉄道との問の水田約12,000坪を工場用地として買収を図る。
(2)県道以東の西面畑地約317,600坪を区画整理し,市営住宅の計画的な建設を進め約8,600人の住宅地を造成する。
(3)盛川の河川改修を進めるとともに河川堤防を嵩上げし河川の洪水と津波による逆流水の氾濫を防止する。
(4)都市街路,盛川川口線に側うて防潮堤を築造し津波被害を防止するとともに,.川口橋を永久橋に架替えする。
(5)盛川川口線を整備する。
(事業計画)
7.盛川右岸地区
(1)本地区は,国鉄大船渡線と盛川の間にあたる水田地帯であるが,その前面の大船渡湾に面した地帯は,昭和23年以降港湾修築事業を継続実施し1万屯岸壁180m(-9m)と3千屯岸壁217m(一6m,107m-7、3ml1Om)が完成している。
なお1万屯岸壁の東側に接続し,第二次計画として長さ100mと200mの1万屯バース2基を計画している。
(2)工業用地の造成については,本地区の予定地237,600坪のうち公共用地45,000坪,工場用地91,370坪は概ね造成済であり,残余のうち27,000坪は土地買収も終わり,昭和34年度より浚渫土砂をもって埋立中のところチリ地震津波により埋設土砂が流出して未買収の水田約7α000坪に被害を及ぼしたため,目下これの買収について接捗中である。
(3)本地区を横断して大船渡,赤崎間を結ぶII15号線(盛川川口線)及びII14号線(佐野橋線)があり,これ等の都市街路において盛川を横断する川口橋が津波により流失し,仮橋により徒歩連絡を保ち,佐野橋は老朽の上川口橋同様津波により一部傾倒したため目下架替工事を進めている。
(将来構想)
(1)本地区は臨海工業都市建設における主要工業用地として既定計画を推進するため立地条件の整備を図り,工業用地192,600坪と公共用地45,000坪を造成し,港湾施設の整備を図る。
(事業計画)
8.大船渡地区
(1)本地区は大船渡町地の森より笹崎間の,いわゆる大船渡市に於ける臨海商業の中心地であり,水産に関連した事業場が本地区に.集中されている。
(2)昭和26年第一期事業として,約139,700坪の区画整理に着手昭和35年に完了した。
(3)引続いて昭和34年度より第二期事業として本地区の台町以北,盛町を含め,337,000坪に区画整理事業を実施中である。
(4)国鉄大船渡線が本地区の中央部を南北に縦断し,ために海岸部と背後の住宅地との開発連携を著しく阻害している。
(5)鉄道以西の区画整理地区は住宅建設が着実に進み,大船渡市の名実共に中心市街地としての条件を具備している。
(2)港湾整備事業の一環として,茶屋前に荷揚場386m(一3mが)完成している。
(6)昭和35年12月1日現在における世帯数は1,938,人口8,763であるが,逐年増加の傾向にある。
(7)昭和8年における三陸沖地震津波においては人的被害が無く,全壊6,半壊14の被害であった。したがって従来津波対策事業は皆無であった。
(8)今次チリ地震津波においては,本地区の被害が最も激甚を極め,50名の犠牲者と住家の全壊流出394,半壊415の被害を出している。
(将来構想)
本地区は市の中心市街地として鉄道以東を商業地帯とし,商業港として必要な施設の整備を推進する。
また,鉄道以西は住宅地帯とし.両者を合わせ約24,000人の市街地とする。
(1)台町以北の区画整理約206,000坪を施行する。
(2)台町より笹崎に至る海岸線に側うて延長約1,592m高さ6.3mの防潮壁を築造し,その波畳を利用し巾6mの海岸道路を施行,津波災害の防御と併せ道路網の整備を図る。
(3)鉄道以東の商業地区の主要地域に防火建築帯を設置し,耐火建築を促進する。
(4)大船渡駅西口の低湿部を埋立し,敷地の造成を図るとともに,駅の乗降口を西口に併設する。
(5)台町地区の高台に通ずる避難道路を開設する。
(6)国鉄大船渡線を大船渡小学校前より盛駅間を高架鉄道とし,大船渡駅を客車専用駅とし,盛駅を貨物駅とする。
(7)山馬越川上水道水源地を整備し1,500m3の取水の増加を図る。
(8)須崎川河口に約100mの1万屯岸壁を築造するとともに,現市場前より造船鉄工場前までを直線に埋立護岸し,魚市場を現在修築中の三種漁港に,また,造船鉄工所を赤崎地区に移転し,純商業港としての機能を発揮するよう施設の充実を図る。
(事業計画)
9.下船渡地区
(現況と問題点)
(1)本地区は,永沢以南丸森に至る問の地区であり,昭和35年12月11」現在の世帯数457,人口2,628入である。
(2)業態は半農半漁であるが,水産加工業が比較的盛んである。
(3)国鉄大船渡線が海岸に側うて南北に走りこれの東側に平行して国道八戸仙台線が通じている。
(4)したがって,鉄道と海岸との間が極めて狭隘にして,この間に住家並びに冷蔵庫等が密集している。
(5)鉄道より上部即ち,西側は東面緩斜の比較的広範な.畑地となっており,その上部は急しゆんな山林となっている。
回従断する鉄道のためその上下の連絡に著しく支障を来たし,本地区の開発発展に極めて重大な支障を来たしている。
剛海岸線は対岸大立清水地区に比し起伏のなく単調であり,延長2,000mに達しているが,このうち,永井訳地区に第三種漁港修築事業の第一期工事として,岩壁延長460mを事業費総額3億2千万円で昭和30年に着手し,昭和37年に完了する。
(8)その他の海岸護岸は殆どが簡単な空積石垣である。
(9)本地区地先海面は水深が非常に深く,海面の埋立,護岸等海岸施設の施行には多額の経費を必要とする。
(10)昭和8年の津波においては死者2,全壊住家12,半壊15であったが,今次チリ地震津波においては,全壊
7,半壊153の被害を出している。
(将来構想)
本地区は,鉄道以西の東西緩斜の畑地約232,000坪を災害復興区画整理事業で宅地造成をなし,鉄道下部を非住家地帯とし,漁港関連施設をここに集約すると共に,現在の住家を全て区画整理地域に移転し,人口約7〜8,000人の住宅団地とする。
したがって本地区の業態は水産加工等の製造業を重点に転業して行く。
(1)現在施行中の大船渡漁修築事業第一期工事を昭和37年度に完成せしめ大船渡魚市場を此の地域に移転する。
(2)鉄道以西の東面緩斜の畑地約232,000坪を区画整理し,鉄道下部の住家をこの地域に移転する。
(3)国道八戸一仙台線を鉄道上部の,即ち,区画整理地域の概ね中央部を,南北に縦断する位置に付替する。.
(4)現在の八戸一仙台線は産業道路として土地の高度利用と路面整備を図ることを主眼にして改修する。
(5)鉄道より海岸までの間は非住家地帯とし,漁港関連施設,即ち冷蔵庫,水産加工場をこの地域に集約する。
(6)海岸護岸を築造するとともに,前項施設との関連し.た船たまり場を加味した防潮堤を造築する。
(事業計画)
10.細浦地区
(現況と問題点)
(1)本地区は,船河原,細浦,平林,平等の一円を総称し,世帯数590,人口3,163(35.12,1現在)である。
(2)箱根山の東麓の本地区は,東面の緩斜が多いが耕地として利用が少く,業態は商業,7k産加工業等が主体である細浦内田地区を除いて漁業を主体とした農業を兼業としている。
(3)漁業は「いか」の一本釣が多く零細にあり,漁閑則は農業及び日雇等である。
(4)細浦港は第三種大船渡漁港に包含されてあり,年間水揚金額約150,000千円の魚市場がある。
(5)農業については従来,麦,大豆等の栽培が主体であったが,.近年,果樹栽培と養豚等中小家畜を結合させた農業経営に転換する傾向が顕著になっている。
(6)昭和8年,三陸沖地震津波における本地区の被害は,流出77戸,金壊30戸,半壊15戸であり,死者20,行方不明8,重傷4名を記録している。
(7)うち,中野,細浦地区は人家の被害が最も多く流失,全壊63戸を数えているが人的被害は,9名であり,反面,船河原地区は,流失,全壊7戸であるが,死亡,行方不明18と重傷2名を出している。
(8)本地区における津波対策事業としては,他地区同様見るべきものがないが,細浦地区において,公有水面を埋立て,護岸工事を施行し,北側に簡易な防潮壁50mが設置された。
(9)船河原地区においては三陸津波後国鉄大船渡線の開設により,部落前面に築堤がなされたと同様の効果があり,一応津波の被害より解放されている。
ω今次チリ地震津波においては床上浸水90のみにて人的被害はなかった。
(将来構想)
本地区は,三種大船渡漁港の細浦漁港を中核とし,水産施設を敷備し漁港基地とする。また,船河原地区130,000坪,細浦,中野,神坂,山岸地区360,000坪は,将来住宅用地として造成し,郊外住宅地帯としての性格をもった住宅団地とする。
農業については,住宅地背後の緩斜山林原野等利用による果樹栽培と養豚を主体とした中家畜の導入を図り,逐次都市近郊農業へ転換する。
(1)将来,都心部の人口収容が限界に到達することが予想される関係上,その推移により船河原地区を郊外住宅団地として約3,500人の集約を図る。
(2)漁港に面した細浦地区は漁業基地とし,これに関連する商業地帯として人口約1,400人の集約地帯とし,防火建築帯を設置する。
(3)中野,神坂,山岸を一円とする地帯は,船河原地帯同様,将来郊外住宅地帯として約11,000人の住宅団地とする。
(4)小細浦地区は,細く湾入した公有水面を埋立て,細浦漁業基地と関連した漁船等の整備施設を設置するとともに,背後地の水田地帯を利用し,水産加工施設等を誘置する。
(5)豊業については由林の緩斜地を利用した果樹栽培と養豚を主体とした中小家畜家きんを導入した都市哲郊農業経営の形態に移向する。
(事業計画)
11.門の浜地区
(現況と問題点)
(1)本地区は小田,梅神,鶴巻,小河原,門の浜地帯を総称し,世帯数161,人口1,148人(35,12.!現在)である。
(2)産業の形態は,漁,農であるが漁業はのり養殖業といか等の一本釣が主体で零細であり,農業においても,細浦地区同様,漁閑期に農業に従事し,且つ大工等の出稼が盛んである。
(3)昭和33年東北製塩工場が本地区に設置されたのであるが,オートメーション化され,これの従業員は20名程度であり地元労働力の吸収は殆ど期待不可能である。
(4)第一種門の浜漁港をもっているが,漁港設備が殆どなく,漁船の接岸さえ不可能である。
(5)気候は海洋に面した南斜のため極めて温暖である。
(6)昭和8隼の一三陸津波には人的被害は皆無で,流失
9,全壊1の住家被害であった。
剛津波対策事業は,門の浜湾の護岸工事と防潮林の植栽を見,一応日常の暴風雨等に対する防備を成されているが,津波の対策事業としては万全とは云い得ない。
(8)今次チリ地震津波においては,その性格が然らしむる関係で床上浸水1戸を数える被害に止まっている。
(9)昭和34年8月の集中豪雨により門の浜地帯を北から南に流れる沢内川が氾濫し広範の被害をもたらしたが,災害復旧工事により一応河川改修を終了し200mm程度の降雨鼠までは氾濫のおそれがない。
(将来構想)
本地区は,細浦地区同様,気候的にも且つ地形的にも,郊外住宅団地としての適確牲を保持している。したがって,将来都心部の開発に伴い,郊外住宅地として約7,800入の住宅団地とする。
又,門の浜の現在製塩工場の南側水田地帯は,製塩工場の附帯工業用地とし,門の浜漁港はこれを整備し,一種漁港としての機能を充実する。
(1)門の浜漁港に防潮堤を築造し,桟橋,船揚場等を整備し,第一種漁港としての機能を充実する。
(2)市道を改修するとともに,バイパス線の開設を為し,交通網の整備を図る。
(3)交通網の整備新設に当っては,その地帯の開発の様相を想定し,これに対応し得る様推進を図る。
(事業計画)
12.泊里地区
(現況と問題点)
(1)本地区は,中井,西館,泊里,山根,より碁石岬を含む一体を総称し,世帯数225,人口1,667(35.12.1現在)で、漁業兼農業であや。
(2)一種泊厘漁港があるが,漁港施設がなくその機能が発揮不可能である。
漁業は一本釣,磯漁業が主体で零細であり,農業は,比較的農地が多いが,麦,大豆等の栽培による従来の経営方式である。
(3)然しながら,近年,中小家畜の導入が進められ,そ菜,果樹類等いわゆる,換金作物の栽培に移行しつつある。
(4)当地区は,碁石岬の車南端に位置し,耕地は緩斜の丘陵状をなし,風光に恵まれ温暖である。
(5)名勝天然記念物の指定ある料石岬があり観光地としーて知られているが,施設が整備されていない。
(6)現在末崎町内で所有する中型漁船は15隻程度であるが,当地区をはじめ末崎町の青壮年には漁船乗組員が多く,将来漁船を所有し,自営する要素を保持している。
(7)道路が狭隘であり,バス等の運行に不便が多く,細浦駅との距離が遠い等の関係から概して交通には恵まれていない。
(8)昭和8年の三陸沖地震津波においては,住家の流出
15,全壊4,半壊9死者行方不明9の被害を出しているが,津波対策事業は泊里漁港における護岸程度であり,これも昭和34年の集中豪雨の際は欠壊箇所を生じた。
(9)当地区内で最も住宅の集約されている泊里部落は一般に宅地が低く,然も海岸に接して建設されてある。
(10)今同のチリ地震津波においては殆どその被害がなかった。
(将来構想)
当地区は,名勝天然記念物,碁石海岸を有し,これを主体として周辺の観光資源の開発を図る。また泊里部落を中心とした約202,000坪を郊外住宅用地とし,計画人工6,30G人の住宅団地とする。
農業については,養豚を主体とした中小家畜を導入し,これに対する飼料作物の計画的栽培と,果樹,そ菜栽培に移向する。
(1)観光資源開発のため,碁石海岸とその周辺を整備し,必要な施設の充実を図る。
(2)泊里漁港に防潮堤を築造し,防波堤の改修と船揚場の整備湾内の浚喋第一連の漁港整備を推進し,機能の充実を図る。
(3)果樹の計画的植栽と団地栽培を推進する。
(事業計画)
13.その他
以上12地区についてそれぞれの計画の大綱を記述したところであるが、特定の地区に含まれない計画は次のとおりである。
(事業計画)

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地区区分表
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事業計画表
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事業計画表
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事業計画表
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事業計画表
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事業計画表
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事業計画表
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事業計画表
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事業計画表
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事業計画表
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事業計画表
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総括表

第2節実施計画

1.案施目標

(1)昭和45年を目途とし,計画事業の実施を三期に分際し,計画の実現を期する。
(2)市所管事項以外の事業は関係機関に必要な措置を要望する。

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計画事業の実施を三期に分際
2.実施計画
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(1)実施期別事業計画表
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(2)第一次事業実施計画表
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(3)津波対策事業(関連事業)並に災害復旧実施計画
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標準断面図-1
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標準断面図-2
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標準断面図-4
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防波壁,防浪堤

第8章津波対策のその後

前述せる津波対策事業は1昭和36年3月の時点における計画であり,この計画を市民の前に提示し,広く関係者の意見等を聴取して検討を重ねたのであるが,海岸に添うて大視模の防潮堤を築造することは,陸上諸施設と港湾を遮断し,港湾機能を阻害し,市の開発発展を著しく制約せしむるものであり,防潮堤の位置,構造等を再検討する必要があるとの結論を得,また,中央におけるチリ地震津波対策審議会においても,既定計画の再検討を重ね,科学的な研究実験の結果,湾口に防波堤を築造することが,防災上の効果を充分に発揮し,且つ,港湾の機能を「も増長せしむるとの結論が為されたのである。
その第一案(さんご島防波堤)
下船渡よりさんご島の問を防波堤により遮断し,さんご島東側より赤崎町蛸浦明神岬間を,航路200mを残して防波堤を築造する。
第二案(大船渡湾口防波堤)
赤崎町尾崎岬南側より,末崎町長磯間に,中央に航路200mを残して防波堤を築造する。
昭和36年8月16日岩手県土木部長より,上記二案のうち,何れを採用するかについて市長に諮問が為されたのである。
市としては,
1.防災上の機能
2.港湾機能に及ぼす影響
3.漁業に及ぼす影響
等の3点を主軸として検討を加え,特に漁業に及ぼす影響については,関係三漁協の意見を徴してその結論を急いだのである。

1.防災の機能について

チリ地震津波審議会における実験の結果の防災機能は次のとおりである。
さんご島防波堤ピークカット量
波の周期30〜40分(チリ地震津波)1.16m
同10〜15分(三陸津波)2.23m
湾口防波堤,ピークカット量
波の周期30〜40分(チリ地震津波)1.93m
同10〜15分(三陸津波)2.58m

2.港湾機能に及ぼす影響

さんご島防波堤における航路の前後が狭隘のため,航舶の出入港に支障が多く,且つ港内泊地面積が減少する。これに反し湾口防波堤は,航路前後が広く,船舶の出入港のための支障が少く,港内の利用面積が極めて増大すると共に,船河原,細浦,小細浦地区の利用価値が増大する。

3.漁業に及ぼす影響

湾内に廻遊する魚類を対象とする湾内建網漁業については,さんご島防波堤並びに,湾口防波堤とも相当の影響を受け,その操業価値が極度に減少する反面,養殖事業,(のり,かき)については,関係者の類似先進地の視察の結果,大きな影響のないことが確認され且つ湾口防波堤の場合は,防波堤そのものに,海藻,魚介類が繁殖附着することが期待でき,更に防波堤内部の航行に支障のない海面が,かき,若布,のり等の養殖面積が増大する等の利点がある。

4.その他

特に湾口防波堤は,大船渡湾,尾崎岬,長崎海岸,碁石螺等一連の観光価値を増大せしめる。
以上の観点から,湾口防波堤の築造に結論を得,回答したのであるが,昭和36年11月24日,第三回チリ地震津波対策審議会において,正式に湾口防波堤を築造することの決定を見たのである。
このことにより,当初港内海岸線に築造を計画された防潮堤が全面的に計画変更がなされたのである。これ等津波対策事業は次のとおりである。
以上の事業のうち,大立,永浜の防潮堤は昭和35年度より施行中であり,細浦の防潮堤は既に竣工を見,同地区の防波堤も,昭和35年度より着工中である。
湾口防波堤は,運輸省の値轄工事として,昭和36年度に調査設計を了し,37年度より本格的工事を推進する計画のもとに,目下準備中である。
以上の外,津波を予知し,避難の万全を期するため末崎町碁石岬の赤土倉並に長崎海岸に検潮儀を設置すると共に,大船渡町上山地区に測候所の新設が昭和37年度に決定され,各津波対策事業の施設と相まって,災害観測施設の整備により,昭和40年度までには市の津波災害対策が万全を期し得る見とおしに在る。
(昭和37年3月記)

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津波対策事業計画総括表

論説編

第1章調査報告

第1節チリ地震津波踏査速報

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地図 地図ー1
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地図 地図ー2
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地図 地図ー3
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地図 地図ー4
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地図 地図ー5
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地図 地図ー6
吉浜

吉浜は北に自木川,南に吉浜川で囲まれ3二中にあつて,この中問ほ防湖堤が砂浜に築かれていろ。防潮堤の内側けすぐ.たんぼになっているが,この付近は前2回の津波のため,高所移転のあとである。津波は最大波高時には防潮堤2mぐらいの高きのところまで到達しているので,吉浜ではたんぼ冠水の被害をこの防潤堤によってまぬかれた。ただし南端の1`〒浜川を逆上流した津波が,吉浜橋を越えて若干たんぼに浸入しているが,ごく局部的にとどまった。民家が海岸から遠く離れているため,津波襲来の状況を詳しく調査したり聴取したりすることは困難だった。

越喜来

越来禧の浦浜から南の泊に至る間は防潮護岸となっているが,柑1浜では中央を流れる浦浜川付近が若下決壊し,両側の防潮林の中にサッパ船,小機帆船が散在していた。浦浜川にかかっている河口付近の橋は流失し,この付近の水勢のものすごさを物語っているが,この付近で目撃している人はない。最大波高出現時は4時30分〜50分で第6波となっている。波高は岸壁北端で岸壁上約2m,押し波に比べて引き波は泊まで北端から海底の露出したところを徒歩で行けるほどだで,たとのことである。
泊は山が海岸すぐ近くに迫り,岸壁につづくがげ下に家が10数戸並んでいる。大部分が海の仕事に従事しているため津波の観察はかなり詳しい。最大波高時は4時30分,第3波で道路上約1m,最大退潮時には沖合約100mの海底平常潮位下7mのところが露出したとのことである。事実とすれば最大振幅はほぼ10mに達する(4時15分ころ)

砂子浜

バス時間の都合で寄ることができなかったので,バスに同乗していた砂子浜の先生に依頼し波高を測定した。
被害はない。
白浜
最大波高は4時ごろに出現している。堤を防越えたのはこの時(第5波)だけである。最大退潮は第5波の直前で海岸から70mぐらい沖合の平常潮位下約5mの海底が露出した。砂浜の中央部まで浸水しずこ程度で被害はほとんどない.ここは高所移転が完全に行なわれているため,津波に対しては漁只の流失防止につとめる程度で,今回の津波に際して特に避難や特別の措置はしなかったようである。

綾里

最大波高時は4時10分ころ,浸水域ば川の両測の山ぎわまで,大きな波は3回,最大退潮時は中の島付近の1濠底が露出した。以上は綾里の漁業協同で得たものである。中央を流れている綾里川河「1付近で津波は橋を越えて町の中に浸水した。また北側の田浜付近では路面上1.4m中の島付近では最大波高時に1よ堤防上2mを越えている。水勢がおそかったため建物の被害,流失物による被害はほとんどない。また退潮の状況も非常に緩慢で異常に退潮し,中の島付近まで徒歩で波に置き残された魚を取りに行ける程度だったとのことである。
綾里港南端の了1浜は船着場に}受入した程度で,波「全然ない。

大船渡市合足

合足も高所に民家があり,津波に対しては全く冷静で詳しく知る人はなかった。
中学生らしい入に状況を尋ねたところ県道のすぐ下まで津波が来たというので,早速レベルを取り出して、定にかかったが,途中の畠の作物の状況に全然変化が認められないし,また遣流物も全然見当らない。しかし紅に証人もないので実測したところ海面より10m以上もある。一応野張に記人したが不審なのでバスを待ちなか農夫に尋ねたところ,砂浜の中ほどまでしか津皮は来ていないというので大急ぎ測定しなおした。調査に当って聴取対象者を選ぶむずかしさをしみじみ感じた。貴重な時間を徒労に終らせたのは精神薄弱児とのことであった。
(1)津波の到達した時刻
i)大船渡電報電話局
置時計,掛時計がそれぞれ4時1O分,4時45分に止まっていた。置時計の高さは机上にあったが地上135cm,掛時計の高さは地上155cmである、.したがって4時lO分には135cmより高く155cmよう低い波が襲来し,4時45分には155cm高い波が襲来したことを示している。
ii)魚市場付近(細川氏店舗)
聞きこみによれば4時前後魚市場付近から津波だという声を聞き,子供たちを起こし,コーリ2個を荷造って避難した直後,地上を越えた第1波が来た。笛1波と第2波の時間間隔は30分ぐらいで水位は第2波力が1m程度低かったとのことである。前の電報電話局の時刻と大差はないが,水位は第1波と第2波で逆になっている。
iii)永沢の統計調査員大平氏よ})の聞きこみ,沖から3時すぎに帰ってきたところ,亀井きん橋の上部すれすれまで水位が高まったのを見て津波を直感,半鐘をならして急を告げ若干の家財と女子供を避難させ,男たちは船を沖に出した。4時ころ引きに変わり,亀井きん橋を目標にして水平距離30m,高さ7.5尋(ひろ)(11.3m)も引いて,今までみたことのない岩が露出した、4時30分に最大波襲来5時ころ再び大きく引いた。その後はゆるく変動を続けたとのことである。

陸前高田市

三日市における聞きこみによると4時ごろ海上約2mの波(第1波)4時20分〜30分ころ地上250〜260cm,海上5mの波(第2波)がやってもたといっている。高田市助役の話によると勝木田部落の漁師力が4時少し前にコウナゴの網をあげに浜に出て潮の異常に引いているのに気づき,すぐ半鐘を鳴らして周知を知させるとともに市役所に連絡した。連絡を受けた助役は直ちに警報発令を指示した。4時25〜30分初めの波がやって来たが小さく,4時30〜35分に引き波最大となり,その後押し最大波が襲来した。
また今泉の気仙橋付近の金谷氏(部落担当員)の談によると4時10分ごろ網をあげに行った漁師からlm内外の異常な潮の動き、1を聞き4時20分ごろ電話交換手に連絡した。4時30分すぎに大きく潮引いたので,電話交換手に「大津波が来る」と連絡した。
(2)その他
i)広田湾では湾内に入ってがらの津波の動きは,時計回りに移動したことが推定できる。大船渡湾においても市役所職員からの聞ききこみによると,..一万トン岸壁付近まで同じような動きをしたという。
ii)大船渡駅から岸壁に通ずる道路を境として被害は北部に大きく,倒壊率は70%を越すものと思われる。特に第5.5図の埋立岸壁Aの延長線上では一万トン岸壁Bの西側の幅3m程度の小河口Cを逆流した津波によって,この河口から北一北西に広がる赤沢および新田地区はほとんど全滅,大通りの東側でも電報電話局を残すのみとなった。西側でも電報電話局こ対し津波の浸入方向のかけにある4練の家は残った。この南北の被害形態の相違は(a)南部はモルタル建築のものが多いのに反し北部は木造が多くしかも古い家屋が多かったこと。(b)埋立岸壁Aと一万トン岸壁Bにはさまれた部分おろび前述の小河川Cの方向が津波の方向と一致したため,南部よりも流速が大であったこと。(c)背後が平地である1こめ,津波の波高はむしろ南部よりち低かったが,速度は、おとろえることなく進入したことなどがあげられる。
iii)背後に崖を背おっている大船渡永沢部落では浸水はむしろひどかったが,古い木造の家屋でも倒壊がきわめて少ない。この例は,陸前高田市にも見られ,平地にある三日市ではほどんと全壊,鉄道線路は1mにわたって30〜mも流されたが,その隣接の両替では浸水のみで倒壊家屋はほどんとなかった。
iv)高田松原で6m以下の松が倒され,また松原の切れ日から入った津波に洗われて鉄道線路の路盤は両側の水田と同じ高さになるまで完全にけずり取られた。線路は180゜〜270゜も回転して30Cmぐらい移動,枕木を津波の進入方向と反対劇にして地上に直立しているなど,浮力を考えてもかなりの流速であったことが推定きれる。

大野

幅広い長い砂浜地帯で2.5cmの高さの堤防は一部にあった。この堤防をのり越えてかなり浸水したため,田畑がほとんど黄色になっているのが目立った。しかし家屋のほとんどが高台にあるため,その被害はわずかである。

2.8mの高さの堤防すれすれに津皮が達したため,それより低地にあった漁業関係の建物は浸水したが,それ以外はほとんど浸水あるいは被害はない。おしよせた前後の津波の水が非常にきれいなものであったためか形跡は全くなく,漁夫の話では昭和8年に比べるとはるかに小さく,またゆっくりしたものであった。

三日市

この地域もかなり被害を受け,浸水地域1、海岸よりlkmも奥まで進んだ。国鉄大船渡線小友駅までの最大の浸水高は地図上の推定では8mと推定される。この地域では死者がおり,家の中で荷物の整理をしているうちに逃げ遅れて死亡したとのことである。しかし昭和8年にもかなりの被害を受けていたが,今回も2〜3mの防波堤は完全に破壊されてしまうといった同じような状態を繰り返しいることに考えさせられた。

脇の沢

海岸に沿って堤防は3.5mのかなり高いへのであったが,津波の最大波高は6m近くに達したため,土台や柱の弱いものは倒壊し、また丈夫なものでも外観を残したにすぎなかった。このあたりから三日市まで国鉄大船渡線は全く破壊され,路線は10m以上も流されるといった状態で,津波の猛威を遺憾なく発揮していた。新しい土蔵が流木で壁がくずれおちている形跡も見られ,流木などの流出物による一次的な被害も大きかつたものと推定される。

高田本宿

この地域の崖上浸水は海岸より数kmに達し被害も相当なものであった。一週間を経ても整理がはかどらず,田畑に舟の破片が散っており、被害の大きかったことを如実に物語っていた。この地域は昭和8年にはあまり被害はなかったもので,今回と全く対照的であった。高田市役所の対策本部で聞いたところによると,4時10分頃防団員(米崎地区)より津波らしいという情報を受けて警戒体制に入った。しかし警報その他の正式情報は受けなかったとのことである。

長部

漁港としての防波堤より2m近く津波は高くなり,低地の家屋はほとんど倒壊した。死者,行え不明者も出し,踏査時には死体収容作業に出合った。昭和8年より最大波高がかなり高いが,同じようにかなりの被害を受けていること,護岸堤防がせいぜい2〜3mといった程度のものであることなど将来の対策に考えさせられるものがあつた。

第2節各地域踏査記事及び測点点の記

吉浜湾

1.根白
此処も相当急な傾斜地に部落が発達している為,人家には被害は全くなかった。砂浜へ降る所に石畳の急な斜面があつて,この石畳の一番上まで浪が上って来たとのことである。他に処るべき痕跡もないので,これを最高の波高と考えて測定し,3.1mを得た。
2.吉浜本郷
此の部落は明冶29の津浪により甚大大な被害を蒙った所である。その地震津波の記念碑がたてられていて,この津浪の犠牲となった300名近くの入の名前が一面に書き連ねられている。その津波おあと人家は高台へ移すこととなり,相当徹底した津波対策がとられていていたので昭和8年三の津波に際して最高水位16,3mを観測したけれども,その割に被害は少く(住家非住家併せて,流失23,全壊14,半壊1,床上浸水4,床下浸水1で)死者も僅かに3名にすぎない。しかし,この大津波の為に高さ5m,長き100間に及び堤防は跡形もなく流1失し,田圃には海水が浸入して,この為の被害は甚大なものであった。この昭和8年津波の後,将来の津波に備えるため,大防波堤の建設が計画された。再建された防波堤は,頑丈な石積みで3段になっていて,1段目の高さは砂浜より1.8mで,2段目,3段1目1は各々2mで,高さ計5,8m,長さは約350mに及んでいる。
今回の津波はこの防波堤の第2段日より少し上まで来たという。堤防の南の端に吉浜川があり,又防波堤の中央部に排水溝があるので,海水はここから堤防の内側に浸水し,低地の田圃が約1町5段冠水したというのが唯一の被害であったとのことであった。ここでも波の上った痕跡はなく吉浜川にかかっている橋の1尺上まで水が上ったということに基いて波高を測定した所4.7mなる値を得た。この数字は我々の調査した所では最高の値であった。
ここでも,ワカメ採りに行った人が最初津波であることを知った。そして4時27分頃の津波が一番大きいとのことである。

越喜来一門之浜間

東大地震研究所桃井高雄
同黒木義弘
1.大船渡市門之浜西岸
海草,木片など打ち上げられた痕跡を測定
2.大船渡市門之浜水揚所
水揚場にいた若い男の証言にもとついて砂浜に残る痕跡測定
3.大船渡市泊里
砂浜痕跡測定,聞き込み,第1,2回あったらしいが,その時刻不明,第3回頃最大Tsunami時刻は4侍少しすぎた頃.音も光もなくなってきた。
4.大船渡市細浦
聞き込みにより,濡れた壁の痕跡を測定,家屋の床すれすれに浸水した。
5.大船渡市石浜聞き込み
A,M,4時20分頃最大Tsunamiこの頃をPeakとして,前後に小さいい,くつかのTsunami来襲,海面は,普通の波状態で静かに上って来た。
6.大船渡市下船渡
家屋の壁に痕跡,床下浸水,地表より高さ30Cm。
7.大船渡市永沢
家屋床下浸水,地表より、高さ40cm〜lmで人の証言余り信用度なし。
8.大船渡市船付場
聞き込み。第1回のTsunamiはAM.3時50分1m位の高さ,第2回日、4時30分で3m60cm,第3回目2m50cm(いずれも地表よりの高さ1全く音もなく,ふわふわと水が盛りあがってきた.汝の進行速度は馳け足程度、第2回目の大きなTsunami来る前に湾の水が非常に引いて底が見えた(深さ4m30cm位,300tの船が出入可能な所)
他の聞き込み
津波は30〜40分の周期で来る。
9.大船渡市駅附近
10.大船渡市内軒下浸入,地上より2m50cm。
ll.大船渡市内軒下浸水,地上より2m50cm。
12.大船渡市内壁痕跡,地上より1m。
13.大船渡市内壁痕跡,地上より1m50cm。
14.大船渡市赤崎
小野田セメント,[工場内,壁痕跡,測定.流木ができていた。
午前は時間がずれてきたが,2m位の上下があった。2日目,3日目は不規則な引き潮があった。
15.大船渡市赤崎
壁痕跡測定,聞き込み,津波はぐんぐん押し上げて来るようで一度,押し上げたものが,引ける時,盛用,後の入川,須崎川の湾中央合流点で大きな渦を巻いていたという。
16.大船渡市永浜
浸水痕跡,聞き込みにより測定。
17.大船渡市上清水
(広田一未崎)踏査の茅野氏御厚意による資料,、上清水の大船渡水産実験場主任、菊地要三郎氏談
a.m,3.50起きた時、2m近い水が来ていた[
a.m.4.05落潮始まり。
a,m,4.35増水開始
実測(標水標によるもの)によると4m
a.m.4.50落潮潮開始,15分〜20分周期で2m上下が続く。
a.m.7.00落潮開始
a.m.7.22水位.3m80cm
a.m.7.25落潮開始
その間の潮の動き不規則で湾内に急な
18.大船渡蛸之浦
聞き込みに依る草地の枯れた痕跡測定した。併し信頼度余りなし。
19.大船渡市長崎
漁夫達の証言
第1回,4時20分,それが最大で波は防波堤を僅かに越える程度.この防波堤の高さ測定した。
20.三陸村綾里港東岸
聞き込み
第3回目,最大,第5回目も大きな津波来る。1回5時15分前,2回目が5時20分,上り方は,ただずっと上って来た。押し寄せて来たのではない。
他の聞き込み,村長談
4時20分に引け,1同目は2m引けてから来た。2回目,4時30〜40分,3回目4時50分頃いずれも10〜20分置きに津波押し寄せて来た。4回目はうんと引けたが余り津波は上らなかった。
21.三陸村綾里港西岸
前図〔NO.20の所の)参照
小屋の板についている痕跡で測定。
22.三陸村野々前
痕跡殆んとなく,聞き込みにより,波高測定したが、信頼度落ちる.
23.三陸村白浜
聞き込み。旧道すれすれまで津波が来きたという、これを測定,4時30分頃が第2回目位、4時40分最大津波来襲。
24.三陸村小石浜
聞き込みにより,漂着物を堪準にして測る。信頼余りなし。
25.三陸村下甫令
製材所裏に,のこくずが置てあり,それが流れた跡があった。
26.三陸村小泊
痕跡と聞き込み合わせてlより異る。平均して測定
27.三陸村浦浜
製材所、管理者風の証言家により痕跡,確かめ,波高測定隣の漁業組合の当直の人に当口の模様聞く。
防波堤,Overの跡あり,防波堤の高さ2m50cm
第1回目の津波 4時30分
第2回目,第3回目,共にに時間不明。
第4回目,6時40分
この時,積木,木材流出。
津波,川に沿って上る。昭和8年の愚程度の規模津波
28.三陸村崎浜
崎浜消防団員の総合意見
平均海面より2〜3m上る。普通の波と同じように単に海面がもちあがって来た。
第1回4時頃始まり,4時15分に引き終る。
第2回4時30分に満潮となった。
4時35分に引き始め。
第3回目の満潮は4時50分。
第4回目一番ひどいもの,6時3分引き始め6時10分に最高となる。
29.大船渡市
復興事務局提供の資料で,測定値完全な痕跡に従って測定したものであるという。信頼度はAと考えてよい。

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地図 水揚場にいた若い男の証言にもとついて砂浜に残る痕跡測定
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地図 濡れた壁の痕跡を測定
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地図 大船渡市下船渡
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地図 大船渡市船付場
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地図 大船渡市駅附近
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地図 小野田セメント,工場内,壁痕跡測定
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地図 大船渡市赤崎壁痕跡測定
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地図 防波堤の高さ測定
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地図 三陸村綾里港東岸
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地図 三陸村白浜
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地図 三陸村下甫令
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地図 三陸村浦浜
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地図 三陸村崎浜
大野ー気仙沼間

内容
§1. 調査の概要
§2.各地域における被害状況(概要)及び聞き込き事項
2.1気仙沼市
気仙沼湾.西岸地区
大島地区
気仙沼湾東岸地区
2,2)唐桑町
唐桑半島沿岸地区
2.3)陸前高田市
広田湾西岸地区
広田湾、奥部地区
広田地区
小友地区
§1.調査の概要
チリ地震津波による被害状況を記録し,津波来襲状況に関する各種資料を蒐集する目的で踏査を行なった。われわれ2名の分担は,気仙沼湾口岩井附近から北上して大野湾口蛇崎に至る範囲であり,その中には気仙沼市大島も含まれている。5月26日夜東京を出発し,翌27口気仙沼市に到着した。以降6月2日帰京の途につく.までの調査口程は次の通りであった。
5月27口気仙沼市役所において状況聴取後,気仙沼湾.奥部の調査。
5月28口気仙沼湾西岸地区を調査。
5月29日気仙沼市大島地区を調査。
5月30気仙沼湾東岸を調査した後,唐桑町に渡り,[司地区の一部を調査。
5月31日唐桑町地区の残部を調査した後,広田湾西岸地区を調査。
6月1日睦前高田市の広田,小友両地区を調査。
6月2口陸前高田市の調査の補足,大船渡の被害状況を視察。
帰途につく。
この間,42地点において津波の最高水位の痕跡を捕えて波高実測を行なうとともに,そのうちの約20地点において津波来襲当時の状況を住民から聴取した,これら地点は附図に示す通り,気仙沼地区においては平均2km問隔その他の地区では3〜4Kmに1点の割合で分布している。地点の選定に当っては,なるべく三陸津波当時へ調査地点と合致するよう心がけた。調査行中、随所において被害状況を写真に記録したことはいうまでもない。
検潮儀の記録は,岩井崎にある官城県水産試験場所管のものを複写することができた。
大船渡湾,清水には岩手県水産試験場の器械が設置されているが,故障のため.津波当時以前から動いていなかった由である。
§2.各地区における被害状況(概要)及び聞き込み事項
2.1)気仙沼市
気仙沼市においては,市内,内ノ脇から,浜町に至る地区において多数の家屋が床上,床下浸水に見舞われ,更に魚1「1場附近から前浜に至る広大な地域の水田が冠水したほか,尾崎・片浜・台沢・川原・階上・浪板・浦島・大浦・小々汐等の各地区が浸水被害を受けた。しかし水勢がさほど強くなかった故か,倒壊流失した家屋は殆んとなか一,たようである。港湾関係では大川河口にある砂防堤防が破壊したほか,各所岩壁にも被害があった。
水産関係の被害は極めて大きく,漁船の流失・破損ばかりではではなく,かき養殖筏やのり栽培設備が徹底的な打撃を受けたといわれる。事実,湾内には筏の残骸が散乱し,沿岸には無数の空樽(筏の浮子に使用していた)が漂着しているのが見られた。これらの状況については紅計資料及び写真を参照されたい。
気仙沼湾西岸地区
地点NO.1(気仙沼市,柏崎)同地において鉄工場を経営する後藤氏によれば,当時の状況は次の通りである。
サイレン(午前4時20分)におくれること10〜15分で海水がどっと岩壁を昇り同鉄工場に侵入した。この時の水位が最高であり(調査員の実測によれば海水面上2.7m),その次に来襲した波はこれより0.5m低かった。
これら海水侵入に先立ち海水位が低下し海底の一部が針出したが,対岸に渡れるかと思われるほどであった。
地点NO.2(気仙沼,内ノ脇,三区)
阿部藤四郎氏(県庁漁港課勤務)の夫人によれば,当日.早朝,附近の漁師が海水位の大幅な低下を発見し,全 住民が避難を始めた。やがて波浪のように盛り上った海水が押し寄せたが,サイレンがなかったたのはその後(時間不詳,但し4時30分よりは前)のことであったという。
第2波以後の体験について避難中のことで,何も情報は得られなかった。
地点NO.3(気仙沼市,階上,岩井附近)
村上理髪店において聞いたところでは,最初海水が退くのを認め(養殖筏が露出),やがてサイレンが鳴り,その後(時間間隔不詳,1時間位ともいう)水が昇って来た。この回の水位は余り高くなかったが,その次の同に床上浸水(約15cm)した。各回とも水勢は余り強くなく,水面を平らに保ったまま上昇するように見えた。
その後,床上に昇る程高い波は来なかった。
地点NO.4(気仙沼市,階上,岩井崎)
水産試験所階上実験場において当月宿直していた辺見照男氏の体験は概略次の通りである。
4時10分頃,本所小野寺技師(地点NO.6の項参照)から電話による警報を受けた。その数分後窓越しに外洋を見たら,波(気がついた最初のもの)がやってきた。さざ波を伴なってはいたが,白く崩れてはいず,実験場の岩壁の上縁すれすれの所に達した。やがて(この間30分位)水が退き切った時,沖の戸倉磯,黒大丸の岩礁が一体につながって見えた。(ふだんは干潮のときでもそうは見えない)第2波(時刻不詳)は音響(ドンという)を伴なっていた。護岸を越え建物内部にも侵入した。構内にあるビニールハウス(鉄骨入り,約15坪)はこの時押しやられると同時に倒壊した。前回と同じ程度に潮が退き,やがて第3波がやって来たが,護岸をわずかに越える程度であった。
地点NO.5(気仙沼市階上字川原,森合部落)
小野寺則夫氏家人の話によれば,この部落ではサイレンの警報によって避難したが,その時津波は来ていなかった(註1)その後しばらくして深水が堤防を越えて流れ込み1帯が浸水した(註2)。
(註1)同家は眼前に堤防があるので,居ながらにして海を見ることができない。堤防の切れ目附近の住民はサイレンの前に海水位低下を目撃していたという。
(註2)同家にある浸水の痕跡は堤防.上面すれすれと考える方が妥当であろう。
地点NO.6(気仙沼市尾崎)小野寺弘氏(水産試験場技師)の話出漁中の漁師の急報により,裏手の面に避難した。
4時前後海水が退き,星島辺りまで海底が露出(一部深所を除き)していた。これは三陸津波の時よりも著るしい退き方であった。
来襲した波の高さは不詳であるけれども,三陸津波より高かったように思う。水が来襲する状況も,三陸津波覧とは異なり,海岸からの水流は護岸を少し越す程度であり,浸水を越した海水の大部分は,川を迂回するものであった。気仙沼湾内の水流を望見したところでは大島瀬戸を経由する流れが強かったようである。〔図参照)
試験場の採集船2隻は漁市場附近の岩壁に繋留中であったがロープ切断,沈没した。
これと略,同一地点(気仙沼市,松崎,片浜部落)松岩漁業組合職員,藤田勝市氏(当日宿直)及び斎藤繁男氏の話。
3時40分頃,別用で起きたら,既に潮が引いていた。その朝汐は最干時より2m以上も低かった。4時20分頃第1波が来襲した。グウーツと上って来て徐々に最高水位に達したが約20分後に来襲した第2波は,これよりも夏に高く床上浸水した。その後も波は来襲し同口中に約10回潮の上げ下げが観察された。
引き潮の時,のりしだの間を歩くと,ふだんは干潮時でも見えないコブの根が頭より高いとこまで着いていた。従って低下時の水面より2m以下であったことは確かである。気仙沼湾の海底も多く露出し,対岸の大島へ歩いて渡れそうに見えた。
大島地区
地点ノ協.7(気仙沼市大島浦ノ浜)
津波の時,この地点に繋留してあった「第2やしま丸」の船長村上正雄氏及び同船乗組員の談話を総合すると,当時の状況は,およそ次の通りである。
最初潮が引いた時(同日早朝,但し時刻不詳)は棧橋脚の基部まで露出した。その量は2m以上である。潮の上りもさることながら,引き方の著しいのに驚いた。船の底がつかえ(吃水0.6m程度)繋留に使っていたローブD4本のうち3本まで引き潮の際切断した。
海水は幾回も上げ下げしたがそ,の模様を同船甲板から写真に撮影した。
また村上船長の友人の1人は,津波当時,定置網曳き船(大谷漁業組合所有)を運転して蜂ケ崎附近を通過しようと試みたが,どうしても水流に逆うことができなかった。同船の能力から推定すると,この時の水流は12ノット以上あった。この水流により同地点の砂防堤は崩壊したが,その際組石が波にのって飛ぶのを望見した。崩壊後この隙路の水流は勢いが弱まったという。
(註)汽船発着所小屋の壁面にある水位痕跡を測量したが,後で同所従業員に聞くと,この小屋は津波当時,浮上,傾斜したおそれもある由,従ってこの地点における水位測定値は余り正確でない。
地点NO.9(気仙沼市大島要害)村上八郎他3氏の体験によれば,4時30分頃水が退いているのを認めた。この時の水位は最干潮時より2m以上も低い。最初の上げ潮は5時頃でジワジワとやってきた(但し1氏は、ドウーツとやってさたという)2回目は3時30分頃で,これが最大であり浜に置かれてあった漁船は崖際に押し上げられた。上げ潮と引き繋との境には段があり潮目のように見えた。来襲は延3〜4回認められた。今回の水量は三陸津波より多かったが,水勢は後者の方がはるかに急激であった。
地点NO.9(気仙潮市大島横沼)同地に住む村上明氏は,3時30分頃出漁したが,その時異常は認めなかった。龍舞附近(B地点)で操業していたら,最初うねりのようなものが来,これに続いて水が退き始めたので(後で浜の人に聞いたら,3時50分頃から潮が引いた由)、帰ろうとしたが水流が速く自力ではどうにもならなかった。附近のモーター船に曳いてもらい,要害鼻と岩井崎の間にかかるころ水がさし始めた。そのため横沼には帰れず,要害の入江に入った。これが5時頃であるが,陸上の入々は既に騒いでいた。モーター船の能力から推定すると,この水域における海水は8ノット程度の速度をもって気仙沼湾奥部に流れ込んだようである。潮の上げ下げの平均間隔は20〜30分程度であったが,三陸津波のように大きなうねりを伴なわず潮汐の満干現象にていた。
龍舞崎にあった漁網は,対岸の大谷付近に漂着した。
地点NO.10(気仙沼市大島,新王平)。同地在住の山崎氏の談。
3時10分頃,階上のサイレンが4回鳴り,ついて大島のサイレンがなった。第3〜4回目と思われる波の来たのが5時頃であった。
3回目(?)の上げ潮の頃には既にかき筏が漂着し,4回目の上げ潮は浜にあった漁船を押しあげた。津波に伴ないザァーツという音がきこえたが,これはシケの時にも屡々経験することである。津波というものの,一見シケの時の様子と大差はなかった。三陸津波より潮の引き方は著るしかった。引き潮から引き潮までの間隔は1時間位。同時に漂着したものの中には,田尻附近の筏や大船渡市の交通標識(立て看板)があった。
地点NO.ll(気仙沼”大島,小田浜,中山
村山繁文氏が起きたのは3時40分頃であったが,浜に異状はなかった。その後30分位のうちに潮はすっかり引いてしまった。およそ5時頃潮がさし始め,ジワジワと高くなってきた。それに続く引き潮は前回より小さかった。最高波は3同目のものであるが,大シケの時の水位(海岸にある石垣を越える)より約0,7m低かった。この附近の筏は全然流失しなかった。
気仙沼湾東岸地区
地点NO.14(気仙沼市鶴浦)聞き込事項なし。
地点NO.15(気仙沼市梶浦)同上。
地点NO.16(気仙沼市小々汐(1))同上。
地点NO.17(気仙沼市小々汐(2))同上
地点NO.18(気仙沼市 大浦公会堂前)同上。
地点NO.19(気仙沼市 浜 埋立地)同上。
2.2)本吉郡唐桑町
唐桑半島沿岸地区
極く小範囲の浸水(床下)を見た程度で,特筆に価する被害はなかった。唐桑半島の先端部では,三陸津波の時10m前後の波高を記録しているにもかかわらず,今回の水位はシケの時と同程度以下であった。
地点NO.20(本吉郡唐桑町舞根)畠山豊八の話によれば,来襲津波のうち3〜4回目のものが最高であったが(第1波それより0.8m位低い)それでも三陸津波より約45cm低かかった(当時の痕跡記憶)。引き潮は1,2,3回と後になるほど顕著であった。
地点NO.21(本吉郡唐桑町縮浦)。漁業組合主事梶原克志氏の話によれば,潮が引いたのは3時半,警報を出したのは4時10分,その後やって来た第1波は岩壁すれすれ(約1.8m)であった。最高のものは5時30分にやって来た第3であった。
地点NO.22(本吉郡唐桑町御崎)明瞭な痕跡もないので同住民(氏名不詳)の記憶する汀線(最高波当時の)を基にして波高概略値を求め同氏の話によれば,津波が河の流れの様に気仙沼湾に侵入するのが望見されたという。
地点NO.23(本吉郡唐桑町鮪立)聞き込み事項なし
地点NO.24(本吉郡唐桑町小鯖)同上。
地点NO.25(本吉郡唐桑町瀞浜)同上。
(津波痕跡不明確)
地点NO.26(本吉郡唐桑町砂子浜)6同地の消防団
班長(氏名失念)の話によれば,今回の津波は砂浜の途中までしか上らなかった。(ふだんでも波の大きい時は石垣を越えるという)。早朝潮が引いたので,驚いて舟を引き上げたが,津波来襲まで1時間半も間があった。
最高波が来たのは4時半の由(津波痕跡不明確)
地点NO.27(本吉郡唐桑町只越)。聞き込み事項なし
(津波痕跡不明確)
地点NO.28(本吉郡唐桑町大沢)この部落の南北両側は高さ約3mの堤防によって保護されているが,そのうち北側堤防の中央部を乗り越えて海水が侵入したという。事実その部分の堤防基部には落水によると思われる痕跡(土地が局部的にえぐられている)が観察された。これと共に海水は川に沿っても侵入したが,水量としてはこの方が多かったと思わる。
住民によると最高水位は堤防上約lmあったというがあまり確実でない。堤防越しの浸水がその中央部に限られている点から見ても最高水位は堤防上面すれすれと推定するのが妥当であろう。
浸水地域の家に残された痕跡は堤防上面よりかなり低い。(附表参照)
第二の特徴は湾口附近の潮位が格別に高くはなかったことである。特に広田町の外洋に面した地域では,三陸津波の時10m以上の波に見舞われたにもかかわらず,今回それに対応するような現象は認められなかった。
広田湾西岸地区
地点NO.29(陸前高田市気仙町長部)。我々の調査旅行において,最初の大規模な破壊的被害のあった地区であった。
2.3)陸前高田市
広田湾に面する陸前高田市においては,二つの事実が注目された。
第一に,湾の中心部から.奥にかけて潮位が次第に高くなっている傾向が著るしい。そのため湾の最奥部に位置する長野,脇ノ沢,小友等の地区において潮位は4〜5mに達し,陸上の被害は著るしいものがあった。
(被害統計参照)
人命の損失,家屋の崩壊,流失や鉄道,道路の破壊等気仙沼地区には見られななかった惨状がこれら地区一帯に分布していた。
街道をはさんで海側一一側及び山側の家のある部分は一段高くなっていて,この部分で家屋には相当な被害のあるものもあるが倒壊するには至っていない。
海岸の低い部分にあった家屋は2,3の例外を除いて完全に倒壊したと見られる。その例外とは,製氷工場(一部破損)倉庫らしきもの及び住宅だがごく親らしいものである。海岸近くでも南端,北端では家は倒壊していない。部落背後の水田にはずっと奥まで海水が入っているが,これは川から入ったものと思われる。川沿には流木が非常に多く水田の中にも各所に散在している。製氷工場内のオガクズが浮いてついた痕跡を測定したところ約5.5mとなった。
高田町附近は,高田松原背後の水田にかなり奥迄水が入っているが,例えば長砂附近では浸水という程度に止まる。しかし更に東に行くと,海岸附近の沼田では水は破壊的威力を発揮している。国鉄の線路の被害も著るしく,所によっては枕木のついたまま裏返しになっているものがある。
地点No.30(脇の沢駅附近)
かなりの被害はあるが,壊滅的ではない。もっとも,どうやらひっくりかえらないですんだというような家もも少くないが,それらは元々かなり老朽化していたと見える。
地点NO.31(陸前高田市小友長洞,只出)
護岸の所々に船を引き上げるためか少し低い部分があってそこには海側がゆるいスロープになっている。この部分から僅かに水が浸水した。
地点NO.32(陸前高田市前花貝)
ここは,赤味を帯びたさされ石状の広い砂浜になっている。砂浜との境に7.5cm高さの石垣があって,ここすれすれ迄水が上った。多くともこれを越えない。
地点NO.33(陸前高田市六力浦)
六力浦の西側平畑あたりは護岸が一部破壊している。これを越えまた一部にある松林(防潮林というほどのものではない)を越えて田畑に水が浸水した。
海岸道路の傍の測定を行なった家はlm程,浸水している。この家は元々大分老朽しており,津波以前から居住されていなかった様にも見えるが確証はない。とも角この家がまだ建っている所をみると水勢は激しくなかった。
地点ノ協.34(陸前高田市広田町岩倉)
高い堅固な石垣が築いてある。が水はその根元までも上らなかったらしい。
明瞭な痕跡がないので,海藻が打ち上げられている上縁で測ると約1.3m,カキイカダのタルの打ちあげられているものの一番低いものの下縁で測ると約1.6m,ただし後者は一応片づけた様子が見えるので,元の位置よりも高くとも低くはない。被害なし。家はかなり離れたところにあるので目撃者がない。堤防の背後は水田で全て高い所にある。
地点NO.35(陸前高田市広田町集)
三陸沖地震.(昭和8年)による津波で大きな被害を受けた結果であろう。堅固な石垣が築かれているが,その上更に,石垣のすぐ上にある建物は全て納家(元は住家)であって現在の住家は背後の高所にある。津波の時は下りていって見たというが,必ずしも近い所まで行ったわけではないらしいので,見聞談も確実なものとはいえないが,それを記すと,石垣すれすれ迄水が上り,石垣上にあったオガクズが少し残っていて一あとからおいたものではなさそう一せいぜい水がかかった程度ではないかと思われる。石垣の下の浜(ジャリ)に海藻が打ちあげられているのが上縁がほぼ水平に階段状になっているがここまでとすると余りにも違いすぎる。石垣の上縁3,3m海藻の上縁1,4m。附近観測点の値よりみると後者の方が真の値に近いと思う。5〜10回するする退いて,するすると上って来たという。
地点NO.36(陸前高田市広田町泊港)
岩手県水産試験場気仙分場
宿直中島輔氏らの話によると,4時15分に起きたときは水が退いていていた。退き切ったのは4時35分で,10分後4時45分には一番高くなった。これは2回目の波と思う。最高は3回目で堤防すれすれ迄上った。(約2.8m)上げ下げの同期は同じだが,最初のは艮かった。
防潮堤の南側の小さな開口より水が流れこみ北側の大きな開口より流出し(上げた時)港内には反流も生じていた。退くときは丁度その反対であった。泡を立てて渦をまいていた。
偶々,同水試大船渡実験場主任菊地要三郎氏が来あわせていて,同地の状況を聞いたが詳細は同地を担当する桃井氏に報告しておいたからそちらに譲る。
地点NO.37(陸前高田市大陽)
地点NO.38(鵜沢)
海岸の石垣(高さ2.8m)の上に,漁網を染める仕事場が建っていたが流されてしまった。脇の方に材木の破片が積んであったが,土台を見ると余り新しい破壊あとではないようである。隣接の倉庫には被害はなかった様である。仕事場は相当老朽化していたものと思われる。
住家は全て高い所にあって被害はなかった。
地点NO.39(陸前高田市矢の浦)
海岸の石垣の(高さ2.2m)すぐ上の家はいくらか浮上して土台がずれたそうで,1階内部はひどく荒れているが,骨組はそのまま使えるらしい。浸水は2階床上に達し,かなり年の経っている家と思われるから,水勢はさして強くなかったのであろう。
佐藤己之助氏の話によると,ひいていた時間も押して来た時間も長かった。3番波が最高であった。明治のは盛り上って来たが今度のは平に来た。昭和8年の話がないのは何故か聞いてみなかった。
地点NO.40(陸前高田市小友町塩谷)
小屋敷で,海岸沿いの道路脇に,土台石だけをのこしてすっかり流されている家のあとがあった。
部落は海岸沿いに細長く伸びているが,ほどんと完全に倒壊している。国鉄はやや奥の土手上を走っているが,この附近では流失はしていない。
小友の浦では水位は非常に高く,両側の塩谷,三日市(地点NO.41)で共に5.5mであり,最奥部ではこれより高くあっても低くはないと思われる。海岸の堤防,道路は寸断され弧塁を残すのみ。背後の水田には約1.5km奥まで浸水し,この中央を横切る国鉄大船渡線は数IO〜100以上も流されている。
地点NO.4(陸前高田市小友町三日市)
今回の津波の調査に当って感じたことは,明瞭な痕跡の得られたのは全て家屋のあるところで一一その大部分は泥壁の濡れたところ一一断崖,砂浜,堤防などのところでは痕跡とい.うべきものはほとんど全く存在せず,聞き込みによっても,確実で精度の高い値を得られない。前回の三陸津波で被害の大きかったところは大てい住居を後背地の高い所に移し,海岸には堅固な堤防を築き,その直後の低地は大部分水田となっている。従って家屋の浸水波のないばかりでなく,聞近かでの目撃者のないところも少くない。三陸津波が今回の測定値の精度を減らしたものといえよう。今後は各所に測定のため標識として上記の泥壁に代るものを何か設置しておくことが望ましいものと思う。
更に,防災対策が進んで被害というものが減ることはもちろん歓迎すべきことだが,それにひきかえ,正確精密なデータが得られなくなってしまったのでは,地球物理学上は困ったことになる。

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気仙沼湾内の水流
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浸水地域の家に残された痕跡
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被害統計参照
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陸前高田市気仙町長部
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陸前高田市

第3節チリ地震津波踏査報告

§1、津波の速さ

チリ地震の震央をψ37。S,λ73。Wとする。地心緯度36.8を求めて盛岡との震央距離を計算すれば,17085kmが得られる。
又Teffreys−Bullen(1948年)の走時表によりP1の走時を求めると20m5sとなり盛岡の発震時23th04h30”影
38.3sからOrigin timeを求めると23th4m10mとなる。なお霞源の深さを0とした。(以上朝倉技官計算)。
宮古への第一波到達時刻は24th2h47であるから,その所要時間は22h37mとなる。これから波津が直線的に進んだとしてその平均速度は210m/s
更にv=SQR(gh)から平均の海の深さhは4.5kmが求められる。

§2.津波の高さ

a.大船渡市(大船渡湾)
1.大船渡町
駅附近図1
盛鉄局保線課による構内線路の東京湾中等潮位
面上の高さ448cm,県河港課による岸壁の東京湾
中等潮位面上の高さ175cm,駅ホーム上28cmの痕跡
レールを挾んで駅と反対側の民家地上170cmの痕跡から
(1)駅構内地上の高さ28cm
海面の高さ551cm
東京湾中等潮位面上の高さ526cm
(2)レールを挾んで駅と反対側道路の民家
地上の高さ170cm
海面上の高さ446cm
東京湾中等潮位面上の高さ471cm
大船渡電報電話局(大船渡町新田)
この附近一帯は被害激甚地で電報電話局庁舎を除きほとんど流失
図2
痕跡及び県河港課による岸壁の東京湾中等潮位面上の高さから
地上の高さ213cm
海面上の高さ433cm
東京湾中等潮位面上の高さ448cm
大船渡小学校から海岸に通ずる道路のガード附近
(第三笹崎)
線路すれすれとの聞こみ,及び盛鉄局保線課による第三笹崎線路の東京湾中等潮位面.上の高さ513cmより、地上の高さ250cm
東京湾中等潮位面上の高さ513cm
魚市場附近細川氏店舗図3
県河港課による魚市場岸壁の東京湾中等潮位面上の高さ175cm及びオガクズの痕跡より
地上の高さ230cm
海面上の高さ420cm
東京湾中等潮位面上の高さ435cm
なおオガクズの痕跡は,はっきりしたものが地上l30cmと70cmにもある。
2.永沢部落痕跡により
亀井商店地上の高さ172cm
大平氏.(紐計調査員)高さ245cm
3.下船渡駅附近海側のみ浸水。高所で200cm,駅の近くでは国道筋に浸水なく海岸に面した部分のみ30cm程度の浸水。
4,細浦岸壁附近
地上の高さ30cm
海面上の高さ180cm
図4は以上をまとめたものである。赤線内は冠水地域
(図9の次の頁に示す)
b.高田市(広田湾)
1.三日市被害激甚地,民家ほとんど流失,残った民家の痕跡より
地上の高さ250〜260cm
聞こみにより
海面上の高さ500cm
2.両替写真(7)(8)図5
崖に残った痕跡及び岸壁の海面上の高さより
地上の高さ300cm
海面上の高さ505cm
3.砂浜は地上高100cm程度
4.脇の沢
郵便局附近痕跡及び岸壁の海面上の高さより
(図6)
地上の高さ190cm
海面上の高さ500cm
駅(図7)盛鉄局保線課による構内線路の東京湾中等潮位面上の高さ594cm及び柱の痕跡により地上の高さ200cm
東京湾中等潮位面上の高さ636cm
5.今泉
気仙橋橋のらんかんをぬらしたという聞こみにより実測
気仙用の平水位より460cm
気仙橋附近嗣旅館の痕跡により
地上の高さ68cm
6.高田松原図8
砂浜の傾斜は4回測定平均2o25’,汀線より平坦地までの距離54m47cm
sin2o25’=0.042166,これから海面より平坦地までの高さ230cm
痕跡による地上の高さ225cm
海面上の高さ455cm
なお元口5〜6cmの松は横倒しになっている。
7.本宿線路附近(図9)
この附近は線路が18o