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前付け

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写真 暮帰別における家屋の被害 この家は流出をまぬがれたが土台がやや移動した。海水は・印附近まで到達した。(最大波襲来時家族は二階に避難していた)
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写真 検潮儀設置個所内港附近の防波堤に乗上■■大型サンパン(開発所属)潮は此の防波堤をはるかに超している。午前5時30分撮
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写真 浜中の家屋の流出 手前の土台の家屋が西方約300mに流された。(写真中央部電柱そばの家屋 左手に流された磯舟がみえる)
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写真 榊町の家屋の流出倒壊 土台を残して流出した家屋は柱を折られ屋根の部分のみが漂着したもの。
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写真 湯沸海岸に流れついた流出家屋の一部及び家財道具等
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写真 露多布大橋東の市街地の被害状況 工場の材木多数流れつき、鉄工場前の道路は完全におおわれた。電柱も倒れている。
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写真 24th09h35m撮影 室蘭気象台露場先より追直浜の潮の引いた状態
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写真 24th15h46m撮影 潮の満ちた状態
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写真 24th07h09m撮影 函館駅の最高水位時における函館駅ホーム浸水

目次

まえがき


I チリー地震について—2
1 概要—2
2 札幌における地震観測資料—5


II 津波の状況—6
1 概要—6
2 南米に起った津波の伝播について—11


III 津波踏査報告—12
1 太平洋沿岸(襟裳岬以東)—12
2 太平洋沿岸(襟裳岬以西)—37
3 オホーツク海沿岸—65
4 日本海側—66


IV 被害状況—67


V チリーの地震活動—72


VI 過去の津波災害—74


VII 津波警報および津波情報—77


VIII 各地の検潮記録—81

まえがき

昭和35年5月24日の未明本土の太平洋沿岸に来襲した津波は、その規模において有史来稀に見るもので、沿岸地域に多大の被害をもたらした。この津波は前日の23日04時11分南米チリー中部の沖合に震源を持つ世界最大級の地震によって起されたものであった。浪源から発した津波は約23時間の後、本道沿岸に到着し、早朝4時から5時にかけ道東一帯に津波の被害が起こされたが、潮時を若干過ぎておりこのためにも多少はその被害を軽減したものと考えられる。なお津波は25日、26日と継続し、その間反射坂等の干渉により一時潮位の増加も考えられた。津波の規模の大きさはそのまま継続時間の極めて長い結果となり、このような事は日本近海に起る地震津波とは極めて様子を異にしている。
被害は津波の大きさに較べ、死者行方不明15名におさまったことは幸いであるが、船舶は勿論特に海面下の養殖業にとって多大の被害をもたらした。
また検潮儀の記録から見るとオホーツク海及び日本海の一部でも津波現象が観測されているがいずれも太平洋沿岸に比較して小さいものであった。
気象官署で行った津波警報は道東の一部では若干時間的ずれがあったが、道南地方においては充分その効果をあげ得たものと考えられる。
終りに、この概報は津波后ただちに現地気象官署が踏査を行って報告された概報をとりまとめたものである。このため内容において今后若干の訂正もあるかとおもわれるので御了承願いたい。

I チリー地震について

1 概要

今回のチリー地震の本震は気象庁地震課の発表によれば、南米チリー中部の沖合.
南緯37° 西経73°
であって「サンデイアゴ」市南々西400粁附近の海底である.札幌からの距離は約17094粁であって、札幌管区気象台のウイーヘルト地震計による観測資料から計算すれば
震源における発震時は 23日04時11分頃(日本時間)
(震源から出された地震波の到達所要時分は約20分を要す)
この地震の規模は有史来最大のものと考えられる。気象庁松代地震観測所において観測資料から計算された、マグニチュード※(M)は8.75であって世界最大級のものである。比較のために今迄日本および世界で起ったものを第一表に示す。今までの最大の地震は北米コロンビアの地震と考えられていたが、表のように今回の地震はこれを上廻るものとも考えられる。
津波を伴った事実から、かなりの海底変動があったものと考えられる。一般に津波のエネルギーはその地震の100文の1程度といわれている。
外電によれば23日04時の地震以前にも可成りの規模の地震が連続してあり、(これは札幌の地震計にも三回ばかり記録されている。)サンデイアゴ市南方約500粁のコンセプシオン市はこのため壊滅したと報ぜられている。又アソンド港では8mの大津波に襲われた。コンセプシオン市南約400粁のオソルノ火山(標高2660m)に大地上りが起り、アンデス山脈中のプエフエ山が噴火があるなど 火山活動を助長するような状態を起している。
(註)広島の原子爆弾はM=6.1 エネルギー8×10 20


第1表 地震のマグニチュード(M)
地震名 発現年月日 M E(エネルギー)
日本附近 関東大地震 1923年9月1日 7.9 1×10 23 エルグ
三陸沖地震 1933年3月3日 8.5 3×10 24 〃
十勝沖地震 1952年3月4日 8.3 2×10 24 〃

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第1表 地震のマグニチュード(M)
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Fig1 ×チリー地震震央 ---津波等波線

2 札幌における地震観測状況

札幌管区気象台に設置のウイーヘルト式地震計倍率約80〜90倍によって観測されたチリー地震は次のものであった。(5月26日現在)
本震
発震時 23日04時30分52.7秒
振■及び周期 東西成分 46ミクロン(19.5秒)
南北成分 38 〃 (20秒)
上下成分 40 〃 (18.3秒)
総震動周期 約3時間(特に表面波が卓越している)
前震と考えられるもの(札幌における発震時)
21日 19時22分45.5秒 記録微小
22日 19時50分49.2秒 〃
23日 04時15分46.2秒 〃
余震と考えられるもの(札幌における発震時)
24日 23時59分43.3秒 記録微小
25日 17時54分29.3秒 〃
26日 14時22分26.6秒 〃

II 津波の状況

1 津波の概要

本道沿岸に来襲した津波の第1波到着時刻を検潮儀によれば第2図の如くなり。花咲で2時36分に観測されている。この図から見ればほぼ津波は本道の南東方向から来襲しており津波の始まりは総て上げ潮(押し)から始っている。一部は千島列島を通過しオホーツク海に進入しているが列島の障害と海底の摩擦により到達時刻はほぼ1時間程度遅くなっている。道東方面に比較し道南地方は遅く、函館は津軽海峡の影響もあってかなり遅れている。日本海では僅かに寿都の検潮儀に記録されているが、津軽海峡、宗谷海峡と通過したものの一部が進入したものであろう。
各地の津波の高さ(最大波高※)
を第3図に示した。道東霧多布。厚岸附近では本道の最高のものが現れており、又襟裳岬の両端である広尾附近および幌泉、浦河附近でも3米前後のものが観測され、これは津波が岬の部分を収斂を起したことを裏づけしている。噴火湾内の有珠あるいは津軽海峡内にある函館等では、□字型湾又は袋型湾に見られる津波の増大現象によるらしく波高はかなり大きくなっている。オホーツク海沿岸では千島列島の遮蔽によって津波の高さは太平洋岸のそれにくらべて5分の1〜6分の1程度となっている。各地における最大波高は第2波および第3波目に最高波高が現われ、このため津波被害を起したのは道東では4時30分頃から5時30分の間で、十勝、日高沿岸で5〜6時、道南地方では7時〜8時となっている。
津波の周期は第1波においてはほぼ20〜30分のものであるが最大波高の現われた附近では50〜70分のものが卓越している。特に噴火湾では副振動の影響により室蘭、■などでは3〜4時間の周期が卓越している。
本道の沿岸に設置されてある検潮儀の記録を読取って津波の高※当日の潮位面から測った波の高さ。さ(最大波高)を算出したので第2表に示す。
当日の潮位は総て推算潮位によった。又潮位表にない港のものは前日の潮位変化傾向を時間をずらして使用。このため最大波高その他において数cm程度の誤差はあると考えられたい。

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地図 Fig2 津波第1波到達時刻(時間 分分)検潮記録による
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地図 Fig4 最大波高の現われた時刻(時時 分分)
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地図 Fig3 各地の津波の高さ(最大波高)単位m ( )は検潮記録から求めたもの、その他は目視又は推定によったもの。(札幌管区気象台で再調査したものも含む)
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第2表 北海道沿岸各地の検潮記録の写しから調べた資料 検潮儀の型 F:Fuess、K:Kelvin 、P簡易 註 最大振巾:相隣れる谷と山の水位差の最大のもの 最大水位:検潮儀基準面から測ったもの

2.南米に起った津波の伝播について

環太平洋地域内で大地震が起ると、地震の規模によって大小の津波が発生する。従来南米の地震津波が日本で観測され、日本近海に起った津波が遠く北米或は南米の各沿岸で観測されていることは珍らしくない。明治29年6月15日の三陸大津波はハワイ島に10mの津波を起し大被害をもたらしている。中野猿人氏によれば過去4回の地震については第3表のごとくなっている。
今回の地震について震源における発震時を23日04時11分(日本時間)とし花咲の津波第1波到着を24日02時36分とすれば、第3表下段の如くなる。これで見ると伝播波速度が従来のものより若干大きくなっているが、或はこれは地震の規模が異状に大きく、これに比例して浪源がかなりの大きさになり、震央を浪源とした仮定による誤差とも考えられる。
一般に浪源から放射状に射出される津波はエネルギーが分散され遠くに行くにしたがって滅表するものであるが太平洋の如き平均水深5000mもある地域においては、むしろエネルギー減痕の作用が極めて少ない。これは波長が極めて長いことと、液体摩擦が極めて少ない等の理由からで特に北太平洋方面にエネルギーの収■が行われるものと考えれば、今回のような大津波をひき起すことも決して不思議はない。

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第3表 津波の伝播

III 津波踏査報告

1 太平洋沿岸(襟裳岬以東)

現地踏査の区域および踏査担当官署
花咲半島…根室測候所
浜中・びわせ両湾…釧路地方気象台
厚岸湾…〃
釧路沿岸…〃
昆布森…〃
百糠、昔別、庶路…〃
十勝沿岸、大津附近…帯広測候所
襟裳岬東岸…浦河、帯広、広尾各測候所

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地図 Fig5 踏査概図

(1) 花咲半島(根室測候所)

花咲:04時45分頃、津波は2m(最高波)となり、約55戸床上浸水(最高1.4m)し被害を与えた。陸上に侵入したのは、06時00分、07時10分、11時25分らしいが被害はなかった。港口で津波の速さは約2.5m/s
洛石:津波の高さは約2.2mで魚箱多数流失した。附近沿岸でも図の如く津波の高さは1.5m〜2.2mあった。
友知:詳細不明であるが被害なし。04時45分の津波は平常満潮時の海岸線より約100m侵入した。
歯舞:被害なし

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地図 Fig6
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地図 Fig7 浜中湾—びわせ湾

(2) 浜中湾、びわ瀬湾、沿岸 釧路地方気象台

A. 概況

(1) 津波の大きいのは浜中湾西岸及び内陸部と岬部をつなぐ頚部に当る霧多布、新川附近である。津波が南から侵入した沿岸では波高は余り高くなっていない。霧多布の頚部に当る地域は浜中湾、びわ瀬湾の両湾から夫々侵入した津波を交互にうけたため水位著しく上昇、被害も大きい。


(2) 津波の周期は60分ぐらいのところが多かったようであるが、頚部に当る地域では両湾からの交互の津波侵入によって複雑でよくわからない。


(3) 津波の襲来、退潮時音響をきいた人はいないようで、津波は海面がふくれ上るようになって侵入し、波頭は観測されていない。


(4) 十勝沖地表に比べて今回の津波は浜中湾側、びわ瀬湾水取場から新川に至る沿岸で大きいが他は小さい

B. 浜中湾、びわ瀬湾沿岸の津波

(1) 各地域共3時30分頃、異状引き潮を発見している。退水距離150〜200m(これが2度目で、最初2時30分〜3時に引き潮を認めたという人もいる)


(2)潮位の異状発見以前に第1波として平常満潮程度の津波が来襲した軌跡がある。第2波として4時頃、水取場、新川で確認しているが頚部はこえていない。


(3)第4表 最大退水距離(第3退水に当る)


(4)最高波(最高水位)
第3波4時40分〜50分浜中湾及びびわ瀬湾新川 水取場で頚部をこえて襲来している。又第4時汲5時30分、びわ瀬湾から来襲、頚部をこえて浜中湾に侵入し、中の浜、びわ瀬で最高水位となった。
浜中湾:幌戸—榊町 35m
榊町—浜中 4m
暮帰別 4〜4.5m
霧多布大橋附近 4.5m
霧多布修築事務所 3.7m
湯沸 2.5m
びわ瀬湾:新川附近 4m
水取場 3.5〜4m
中の浜 3m
びわ瀬 3m
びわ瀬郵便局 2m


(5)霧多布では水位2〜3m程度の津波が浜中湾からびわ瀬湾へぬけるもの、又その逆にぬけるもの交互に数回来襲14時30分頃徐々に振巾小さくなる。


(6)津波の周期60分位、この間短周期の潮位変化があり、又浜中湾及びびわ瀬湾から来襲する津波が頚部で合一し、水位を高め、霧多布大橋附近では昼頃まで浸水継続した。


(7)浸水は図示したとおり、第3、第4波によって、陸上に浸入した。
浜中附近:波打際より約1.300m
霧多布:市街全部浸水
幌戸:400m
びわ瀬附近:100m
湯沸 50m


(8)流出物(榊町、浜中)は西におし流されて新川に達した。暮帰別の流出物はびわ瀬湾に押流されて新川々口に達した。霧多布の流出物はびわ瀬湾に流させて再びおし返されて、幌戸沿岸まで漂流、またそのままびわ瀬湾におし返されて湯沸に達した。従って霧多布は孤島化し、大橋、汐見の両橋の両たもとが流され、然る後倒壊する惨事となった。

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第4表 最大退水距離(第3退水に当る)
C 渡散布(わたりちっぷ)—藻散布(もちっぷ)の間の津波

(1) 3時30分頃、異常引潮発見 退水距離100m


(2) 最高波(第3波らしい)
渡散布—養老散布2m(5時30分〜6時)方向:南
火散布—藻散布35m 5時すぎ 方向は南


(3) 最大退水距離
渡散布:300m 5時以前 最高波前
火散布:200—300m 9〜10時 干潮時項


(4) 浸水域は波打際50〜100m浸入で大時化時の潮位ぐらいで、小津波は26日までつづいた。

(3) 厚岸湾

A 概況

(1) 第1波は南東方向から来襲し、大黒島と尻羽岬間の湾口から厚岸湾に浸入


(2) 3時30分頃、仙鳳路附近に向った(図8の(1))


(3) その后の方向はいくらか南々東により、苫多、門静方面に衝突した(図8の(2)(3))


(4) 厚岸町には、苫多、門静方面から来る湾内反射波(4)がくり返し襲っており、その最大のものは4時55分頃来襲し、厚岸本町では床上、床下浸水の多くの被害が発生した。又厚岸湖ではかきが流失し全滅した(図8の(5))


(5) 一方湾内を時計廻りに廻る潮流が生じていた。このため床潭方面は割合波が高くならず被害が少なかった。(図8の(6))

B

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第5表 津波の到達時刻(最大波高) 津波の高さ:側路の平均潮位からの値
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地図 Fig8 厚岸湾の津波状況

C 仙鳳跡(せんぼうし)

(1) 24日3時20分:出漁中、異常を認めず
3時30分:押波第1波(余り大きくない)
3時35分〜40分:引波のため船進まず
4時すぎ:第3波最高で押しよせ、最大退水距離200〜250m(遠浅)


(2) 方向:湾口より向ってきた、畠のうねのように沖合までうねりの山がみえた。大体南東—南々東に湾内を時計廻りに変っていくのが認められた。


(3) 押波:大きなうねり多く続き、大きな音と共に来襲 周期4〜5分、午后から10分前后となる。
余波は25日つづき、26日も多少あった。

D 門静

(1) 24日3時30分:引波のため磯舟帰港できず、又4時30分頃最初の引波を発見した人もいる(退水距離75〜100m)


(2) 最高波は4時30分の引波后すぐ押しよせてきた波で周期15〜20分 最高波3m(両潮位面より)


(3) 方向:大黒島より一直線に押しよせてきたようだ。


(4) 10時30分頃波あるも第1波より小さく、午前中つづく。


(5) 押し波の速度早く:引波は比較的おそい。引いてから押し始めると1分ぐらいで満ちた。


(6) 波の方向は湾の入口からきたが、漂流物は潮の流れを意味するとすれば、岸と平行に左右にかなり早く動いているのが一日中みられた。これは反射波と思われる。

E 真竜(厚岸駅西方900m)

(1) 3時すぎ、300mの引波発見。うねりは見えず一様に増水。押引は早く、次第に弱まり一日中つづく。


(2) 最大退水距離500m(時刻不明)


(3) 方向は湾の入口からと思われる。余波15時までつづく。

F 真竜(厚岸フェーリーボート桟橋)

(1) 3時30〜40分最初の引波発見。その2〜3回干潮あり。最高波4時55分(第3波)頃であるが、同地事務所の検潮記録では225m(05時20分)


(2) この附近は厚岸湾と厚岸湖を結ぶ狭い所で、流速早く波の一部は厚岸湖へ入ったので、厚岸本町では割合被害は少なかったという。

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厚岸フェーリー管理事務所前護岸潮位(釧路開発建設部)

G 厚岸本町

(1) 4時頃異常波発見、最高波5時直前来襲、厚岸湾一帯の護岸(高さ1m15cm)をこえたのが1回きりで、津波の高さは護岸より30cm上昇した。以后高い波でも護岸ぐらいでくり返した。15時の満潮時85cm


(2) 図の点では、護岸満水状態のとき、門静方面からの反射波(うねりの山をなす)が重なり合って上陸して被害を与えた。最大退水距離200〜300m周期20〜30分であった。


(3) 湾伝いに浸入して低地では床上浸入した。対岸の苫多、門静方面の海岸は一日中白波が望見された。

8. 床潭(とこたん)

(1) 4時頃、引波発見、最大退水距離150〜200m押波弱く暴風時程度、押波の時間短かく引波は長かった。周期5分ぐらい。押波は水面全体が増水した感じである。


(2) 海岸と平行に左右の潮の流れを認めており、流速は早く船は進めなかった。流れが主となっていた。
今回は被害なく、かつて十勝沖地震では最も被害をうけたところであった。

H 幌万別

(1) 4時頃、床潭からすぐ湾外から押しよせ、大黒島との海峡で衝突したもよう。周期短く、海峡の流れは急であった。


(2) この附近は湾外から小島—万別間を通り、湾内に入る潮流が平常流れているが、この時に限り停滞した。
昆布が漂着しているところから津波のため、海底深くえぐられた昆布がこの附近で停止したものらしい。

i アイカップ岬 北大幅界実験所

(1) 5時10分引波発見。最高波はこれ以前にあった。護岸をぬらしているので2m以上と推定される。10時30分にも大きな波が来た。午前中の波の周期は短かいが、午后から30分以上の長い波の周期となった。


(2) 5時40分〜50分頃バラサン岬方向より反射波らしいうねりの頭を認めている。この頃渦巻らしい波を認めたという。

(4)昆布■

(1) 3時35分頃、異常引き潮発見。300m退水した。(最大)


(2) 4時30分頃、最大水位となり、160m平常より上昇(防波堤の高さより推定)した。このとき音響を■から聞いた人がいる。津波の周期は40〜45分。陸上浸水12.5m


(3) チヨロベツ川河口より250米上流の橋附近でも、水位が平常より1mぐらい上昇した。

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地図 Fig9 昆布■の略図

(5) 釧路沿岸

A 概況

津波の高さは大体検潮記録と変らないものと推定される。局地的には多少の変動がある。津波の高さわ230cm(4時45分)で水位3.5mで平均満潮位2mを上廻った。4mの岸壁をこえていない点からも立証できる。釧路川流域では浸水があった。

B 港外の潮高

新富士駅:後面の波返し岸壁4.2mを越えていないもので約3〜4mと推定される。
新釧路川河口附近:満潮面より約1.5m岸壁の上に更に0.8mの防壁を越えて浸入し、床上浸水の被害を与えた。最高潮位3.0m以上と推定される。
釧路川:鉄橋がかなり接近しており、部分部分で水位の変動が大きい。幣舞橋上流100mの地域で床上浸水となった点から、満潮面より2m上昇したものと推定される。

C 釧路港(検潮儀より)

(1) 第1波押し、224m(検潮所DL上。波高78m)


(2) 最低水位:4時20分頃—1m以下で検潮儀スケールアウトで詳細不明


(3) 最高水位:4時45分、346m(井戸内の潮跡から実測した)


(4) 津波の状況

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津波の状況

D その後の主な高極

2m(塑望平均満潮位)を越えたもの
24日 22時13分 246m
25日 1 33 212
2 43 227
3 24 207
13 39 202
16 08 205
16 59 201
26日 2 43 209
3 20 212
それ以降数回記録されているがそれほど顕著でない。

E 水位の上昇速度と下降速度

最高上昇速度 4時20分—100cm→4時45分—346
1分間に18cm以上の上昇率である。
最高下降速度 4時45分—346m→5時00分—72■
1分間に18cmの下降率である。
水位はすべて検潮所のD.L上。DLは平均水面下134.3■

(6) 白糠、音別、庶路方面

A 概況

この沿岸は急に水深を増している地区が多く、河川の河口では津波の浸入した跡がみられる。
第6表 各地の平均潮位よりの津波の高さは次のとおり。
各、河川の河口は1m以上増水して低地に浸水、被害を与えた。

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第6表 各地の平均潮位よりの津波の高さ

B 庶路 西庶路

市街は海岸線より1km以上もあるので浸水なかった。
しかし庶路川は増水し、河口3000m入ったところから南に真直流れ始め、防波堤(2-3m)をのりこえ草原地帯に浸入したが被害なし。
4時頃引き潮200mあり。その后20〜30分次第に大きな波が押しよせた以外わかっていない。

C 白糠

24日4時5分頃引き潮があり、平常より300m後退。その后30分ぐらいから潮が押し始め、3回目(4時50分)最大となり、5時には防波堤(平均水位3m)を越え、その上に積んだ砂礫山(1.5m)をわづかに残した。波の速度は5〜6哩/時という。
市街は300m離れているので浸入せず。茶路河口2mの築堤をこえて草原帯に浸入している。又右炭崎が海岸より500m突出しているが、この岸壁(5m)を越している。4時30分には4.5mに達した。更に陸上に100m程浸入し、被害を与えた。

D 馬主来沼

附近低地帯で2mぐらいの高潮で満水となる。平常は馬主来川河口を閉じて、満水の場合放水させて調節するようになっており、今回も高潮程度で終った。

E 音別

市街は海岸より800m離れている。沿岸の防波堤4m。津波の来襲により3.5m上昇しただけで波は越えなかった。ただ潮流の関係で漂流物が多く見られた。沿岸の東端は馬主来沼で台地には異常ないが、川の河口となっている箇所には冠水3mぐらい認められた。

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地図 Fig10 白糠—庶路
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地図 Fig11 音別—馬主東沼

(7) 十勝沿岸

A 概況

この沿岸では検潮観測をしていない。(広尾修築事務所の検潮儀故障中)ので目測或は沿岸壁で物指観測によったものがある程度である。この沿岸は大体緩やかな弓弧的地形が多く、入江や湾が少いので津波は釧路沿岸と比べて比較的小さかった。
津波は4時〜6時30分頃までが大きく3m以下のところが多く(周期はこの頃大体20分前后)そのため低地帯に浸水、港湾の漁船、附近の資材に被害を与えた。

B 最大波高(津波)分布図

図の数字が津波の大きさを示している。
これによると目測とはいえ、広尾の3.5mが最も大きい。

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地図 Fig12 最大波高(津波)分布図

C 第7表 津波来襲概況

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第7表 津波来襲概況

D 厚内(あつない)

津波弱く1m程度(05時30分)で詳細不明。最大退水距離50〜70m、陸上浸入約600m。厚内川下流増水して低地浸水した。

E 十勝太(とかちぶと)

第1波3時15分、0.5m(周期40分)発見、第5波6時30分で被害発生、波高1.5m、陸地約200m浸入した。又十勝川の増水で約250m低地浸水して被害を与えた。

F 大津(おおつ)

第1波4時20分波高2mで床下浸水程度。第2波の最大波高3m(周期45分)06時20分によって被害発生し、更に大津川増水して低地一帯200m浸水。漁船の大部分被害あるも人的被害なし。

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第8表 大津川水位観測

G 浜大樹(はまだいき)

第1波3時30分頃発見、6時頃、最大波高2mとなるも床上浸水なく被害なし。

H 広尾(ひろお)

24日03時57分引き潮異常観測、第1波と思われるのが4時44分襲来して坑内増水、漁船岸壁に打ち上げられて原木、磯舟など流出、一部低地床下浸水(流入先端83m)、第2波5時頃最高波4m(最高水位3.5m)で更に被害続出その后20分周期で襲来せるも岸壁を越えなかった。
第6波6時30分大きく岸壁を越す。
第7波07時8分襲来、同7時19分減水して、最大退水距離400〜450m、同07時30分頃平常となり、以后緩慢な昇降、翌日までつづく。これらを概略図で示すと次のとおり。

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Fig13 広尾

I 音調津(おしらべつ)

築港北川防波堤の水深尺によるよみ取りは次のとおり。

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第9表
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Fig14 音調津

J 目黒(めぐろ)

第1波4時30分、強い押し波で来襲せるも、家屋は海岸より離れているので被害なし、その后2回強い波が来襲したが影響なし。押し引きの差小さくかなり継続した。

K 庶野(しよや)

(1) 第1波3時10分頃引潮発見(干潮より50cm低い)


(2) 最高波4時50分、3.5m(周期30分)のとき、船入澗防波堤に侵入、50m倒壊し、漁船に被害を与えた。


(3) 5時30分、06時10分にも押波あり、周期は20分であったのが、次第に40〜50分と長くなった。


(4) 陸上浸水50m、最大退水距離300m、干満の差4m(第1〜第2波)、来襲5回が顕著であった。

L (襟裳岬)小越

(1) 3時10分第1波引波発見、音響をきいた人もいる。


(2) 津波は大体20〜30分周期で4時〜5時にかけて、最大波高2m、このとき港内漁船に被害あり


(3) 浸水50m、最大退水距離200m

2 太平洋沿岸(襟裳岬以西)

現地踏査の区域および踏査担当官署
日商支庁管内(襟裳岬—浦河—富浜)浦河測候所
■振〃(■川—苫小牧—綿岡)苫小牧〃
(社台—室蘭—大岸) 室蘭地方気象台
渡島〃(長万部—森—鹿部)森測候所
寿都〃
(■法華—函館—木古内)函館海洋気象台

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地図 Fig16

(1) 日高支庁管内

A 概要

管内各地で03時30分頃より04時少々前頃にかけて潮位の異常(引潮)が認められ、幌泉方面では音響を来襲前に聞いている。
最も海面の高くなったのは東部が早く、04時30分頃で以下06時頃にかけて出現しており、浦河では津波の高さ(最大波高)299cmで幌泉から浦河にかけ漁船、漁具等若干の被害があった。

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地図 Fig17 日高管内略図
B 幌泉町

03時30分頃引波として認められ、来襲直前に海鳴の如く「ゴーゴー」と音響を漁民が聞いていた。
最高水位時04時30分(3〜4波)頃、可也りの早さで押寄せ川の如く港内に浸入し、港内に溢れ、岸壁を乗越え平均水位より280cmに達した。
尚、乗り越えた海水は上陸浸水し其の距離約35m位で海浜では50mであった。
押しよせ方は「緩慢」であったが、引波が早く、この為め港内船舶に被害を生じた。この時港内の海水がいくらか残る程度で在港の船は船底がみえ傾いた。
尚、減水高230cm以上で動力船に若干の被害があった。

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Fig18
C浦河町

海上保安署検潮儀によると、第1波は03時03分からはじまり、最高水位は06時06分に325cm(スケールアウトのため最高水位出現後直ちに検潮室で水跡より読取った)で平均水位より226cm当時の潮位より299cm(津波の高さ)高まった。
尚、最大退水距離及び上陸浸水距離は夫々30mに100mであった。又海上保安署では1m位床上に浸水し、堺丘地区では浸水家屋があった。
又、保安署前における目視観測の結果は次のとおり。
波の最大は05時10分頃で港内は完全に空になった。一部の人の談によると三陸沖大津波より大きかったもよう。尚、其の后15時頃にも上陸進水した。又市街東部を流れる水は、最高水位時に逆流し、河面では1.4m上昇した。
概してこの管内には三陸沖及び十勝沖地震津波の体験者多く、被害を最小限にとどめ得たと思われる。

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第10表
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Fig19
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地図 Fig20
D 冬島村

03時30分頃に引波の異常に気付いたもようで、その后05時45分に最高水位となり、平均水位より265m高まった。
尚、上陸はしなかった。
引波の最大事の05時30分より06時00頃では港内には、海水は完全になくなり、更に港外の岩も露出し、250〜300cmで若干の被害があった。

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Fig21
E 様似町

04時少々前頃に引波で津波らしいとわかったもようで、06時30分には平均水位より220cm位海面は高まり、港口より押し寄せ工事中の東側岸壁を乗り越え約50m上陸進水した。
最大の引波は最高水位の前後で大きいのは3回位
以下三石から富浜までの海岸では次の表の通りになる。


又浦河の検潮記録より推定して津波の高さ(最大波高)を出すと

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第11表 各地の津波来襲状況(目測による)
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第12表

(2) 胆振支庁管内(其の1)

A 苫小牧沿岸
(1) 概況

この沿岸は湾が少いので津波は大きくなかった。平常の満潮時よりいくらか大きい程度で、最大波高2〜3mとみられる。
引き潮が大きく数百米あったところもある。
被害は殆んどなかった。

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地図 Fig22 苫小牧沿岸 数字は津波の高さ
B ■川町附近

(1) 海鳴なく4時頃異常引き潮発見(4時30分、300m引く)周期40分


(2) 押し波は大したことなく平常満汐よりいくらか大きい程度、100mぐらいの引き潮が30〜40分おきにくり返し、昼頃平常になる。


(3) 鹿別川尻で釣をしていた人が行方不明となった。

C 浜厚真附近

(1) 3時半波の異常を感じた。4時半引き潮500mとなり、普段みえない海底をみた。(通常20〜30mより引かない。)


(2) 5時半頃満潮急となり津波だと知る。(波高3m)


(3) 7時30分第2回の引き潮で最大退水距離500m以上。その深さは約2〜4ヒロ(1ヒロ=6尺)


(4) その后100〜200mの引き潮が30〜40分おきにくり返し、昼頃で平常にもどる。

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Fig23
D 勇払附近

(1) 4時頃の引き潮(100mぐらい)后30分で満潮となり5時すぎ引き潮(最大退水距離300〜400m)があった。


(2) その后30〜40分おきでくり返され、100mぐらいの巾であった。

E 苫小牧港

(1) 3時過異常引き潮発見、4時頃海水増水したが高潮程度(第1波)


(2) 第2波:4時半頃再び潮引く(約300m)、まもなく押しよせ、約2m(平均海面より)の津波と思われる。波打際より約50m浸入した。(5時20分頃)


(3) その後、8時頃第2波と同程度の引潮あったが、それ以外は大したことはなかった。


(4) 潮の最大の満干を概略図示すると次のとおり。


(5) 量水祢硯川結果
−1.92m(最低) 4時50分
+2.54m(最高) 5時50分
平均海水面よりの値である。
検汐儀不調であった。

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Fig24 潮の最大の満干
F 糸井附近

(1) 6時前后の引潮が最大(100〜200m退水)


(2) 7時30分〜8時にも大きな異常があった。


(3) ひる頃平常に戻った。

G 錦田附近

(1) 4時すぎ引き潮(50〜60間)があった。


(2) 5時30分頃大きい高汐があったが大したことはなかった。
その后30〜40分周期で午前中つづいた。

(3) 胆振支庁管内(其の2)

A 概況

全般に24日04時半頃から異常潮位(引潮)が管内各地でみとめられた。


押波は平常海面より一般に1乃至2m位であったが、地形の複雑な有珠湾方面では2.5m〜3.0m位あり、浸水家屋、畑の冠水、魚貝の流失等被害があった。

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地図 Fig25 胆振管内海岸線略図
B 有珠豊浦方面

有珠湾附近、有珠漁業■の人の話によると、04時20分頃海面の異常(引き潮)が見られ、退水距離は100m位で翌25日朝迄に稍々大きい引波は3回来襲した模様である。


尚第2波の来襲の模様は押、引を2〜4回繰返したのち、10〜15分の間に急に増水(15時30分)1〜2分停止後急に減水した。
浸水状況は図示した通りであるが数字はいずれも退水後の家屋の潮跡より測った。
尚B点附近では第2波が国道を越えた所がある。
又G点附近は被害が最も大きかった所である。

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第13表
C 豊浦町

05時40分頃異常減水に気がついた模様で06時からの海水面の変動状況は、豊浦港修築事務所記録によるとFig27のようになる。
尚、この読み取り値は■巻のため海面の昇降が激しいので読み取り困難のため06時から09時07分迄と15時20分は観測員が記録ペンの位置よりよみとった。
これによると、海面の最も高くなったのは15時20分で前日の午後の満潮に比較して140cm高い。この時の内陸への進入距離は平常より約15mでこのため貫気別川は、逆流し、河川欠壊し、田畑の冠水、浸水家屋等若干の被害があった。海面の最も低い09時07分では前日の干潮より230cm低く、退水距離は約50mで港内は完全に露出(5分間)されたとの事である。
海面の昇降の周期は大きのは約4時間短周期は30〜40分であった。
虻田町、05時近くの浅海漁場にいたものが、潮流の異常に速く、変化が大きくなったのに気がつき引揚げて来たとの事で住民の話によると、海面の最も低くなったのは、06時頃で、平常より約150cmで退水距離は約40m、海面の最も高くなったのは15時半頃で平常より約100cm高く上陸進入距離は約10mの模様大岸、06時30分頃海面は平常より約1m低く最も低くなった。
最も高くなったのは15時30分頃で平常より1m位高くなった。
このため大岸川が逆流はんらんし若干の水田(約1町歩)の冠水を見た。

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地図 Fig26 有珠湾略図
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Fig27
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地図 Fig28 豊浦港略図
D 追直浜より白老まで

追直浜、図■線は05時半頃海水が最も低下したときの■線の尖端で、室蘭港、追直浜修築事業所職員の観測による。防波堤の長さから推定すると退水距離は80mになる。
又この時の海面は防波堤のL.W.Lより80cm低く平常より134cm低くかった。
又15時前后海面は最も高まり2mの防波堤を上廻ること20
〜30cm(目測で平常より136cm高くなり、防波堤を越えて退くまで約5分であったもよう。鷲別、一般住民の推定に基づくと異常減水に気のついたのは04時30分頃、最大減水は5時頃で退水距離は40m、最も高まったのは05時50分頃で平常より約2m上陸進入し、高まりは約50cmであるという。
15時頃の退水距離は約5mであったもよう。
幌別町 05時頃平常に較べ約20m退水し、高まったのは05時30分頃で平常より約3m上陸進水した。15時頃の退水距離は約5m位で水深にして約50cmの減少のもよう。
富浦漁港 4時から5時の最高減水時には舟入澗は殆んど露出し図中の太線に沿って下駄で防波堤の尖端まで歩いて行く事が出来たもようで、退水距離は約80mで、この汀線の最も深い所は6mである由、
05時40分頃海面は最も高まり平常より約1m高、15時頃の海面の低下は平常に較べ約1m減、15時40分頃の海面の高まりは平常に較べ約50cm高のもよう。
虎杖浜、減水は4時から5時にかけておこり浜の沖合約30mにある岩の岩頭が露出した平常の水深は6mと推定されている。
海面の最も高くなったのは05時40分頃で平常より約1m高かった。
竹浦、萩野、白虎、社台、これらの地域は遠浅のため浜の潮跡の発見が困難で、住民の推定を総合すると、これらの海浜では減水は05時頃で退水距離は平常より約200m:深さにして約3m減じ、海面の高まりは平常より30cm高の所が多かった。
15時には退水した距離は約5m水深にして約1m減、海面の高まりは水深にして約30cm高で、上陸進水距離は2乃至3m程度であった。
室蘭港中央埠頭西側基部岸壁で、室蘭海上保安部では図の方法で長さ3mの計測尺で06時50分から5分おきに水位を読取った、それを図示したのが第33図である。尚平均水面からの高さは明らかでないが、海上保安部職員の話によると、15時50分の海面の高さは、前日の同時刻より約110cm高かったとのこと。

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地図 Fig29 室蘭附近略図
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地図 Fig30 追直浜略図
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追直浜と防波堤の高さ
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地図 Fig31 富浦漁港見取図
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Fig32 簡易検潮器
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Fig33 室蘭海上保安部検潮記録

(4) 渡島管内

A. 長万部町

04時頃の引潮に最初に気がついたもようで、今迄にない大きいものであった。最高水位は05時と15時20分頃で約200cmで、一部上陸進水し、その距離約30mであった。又最大退水距離は不明なるも約30mと推定される。最高水位時は長万部よりに逆流し、川の面は16時45分頃から比較して186cm上昇し(橋桁より観測)した。
国鉄長万部保線区では静■、礼文で鉄道路線護岸堤より別図のように潮位を実測した。

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Fig34 潮位実測図(国鉄長万部保線区)、目測による異常潮位
B. 森町

森港修築事業所の検潮記録によると03時18分に第1波到着し、07時10分頃には津波の高さ172mになった。
この為防波堤の8割の所に海面が達した、又6時の引潮には、海岸より100m位退水し、09時には6時のときより大きく、修築事業所職員が実測した所、平均潮位より−160cm減少した。其の後大きな異常なく15時過ぎの満潮時には7時の時と同様に急激に水位が増し、防波堤上面まで高くなった。

C. 鹿部村

鹿部港修築事業所の検潮記録によると03時18分に第1波が到着し06時15分に最高になり、津波の高さは105cmになった、又引波は目測によると09時30分頃と10時30分頃で退水距離は400mに達したもよう(巡査部長派出所による)

D. 函館

検潮記録によると第1波は24日03時41分に到着し、07時07分に最高水位になり、平均潮位上213cm(1955年以降の既往高極潮位よりも137cm高い)最大波高(津波の高さ)221cmになった。この為、市内特に低い地区の港に面した地域では図のように、上陸浸水し特に駅前附近では、第6波の07時07分の最高水位時には陸面上1〜1.5m波に覆れた、又西浜岸壁付近の倉庫地帯では倉内に水が浸入しその高さ50cmに達した。付近には小型の船が打ち上げられた、森越海岸で同じ頃の最高水位は同日19時頃の水位より280cm高かった。尚19時頃の水位は大潮の干満時より更に低いとのこと(漁民の話)であった。尚最低水位は10時31分頃平均潮位以下300cm(検潮儀で測れないので実測)で1954年4月以降の既往低極潮位より220cm低い。

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地図 Fig35 函館港略図
F. 函館市より木古内町にわたる海岸一帯(27日踏査)

最高水位は06時30分から07時30分の間で、水位は150〜230cmで、泉沢が多少高く出ているが、西方に行くに従って低くなっている傾向が見られ、周期は2〜3時間である、水位の値は踏査時の海面から実測し、後函館港の平均潮位上の高さに換算した。又青函船舶鉄道局有川支所及び函館土木現業所当別築港事務所では潮位の変化を実測したので、函館港の平均潮位土の値に改めたのを図示した。


青函船舶鉄道管理局函館桟橋有川支所
函館市港町94番地
24日有川桟橋に於いて測定した結果の測定基準面を
同所岸壁の上端に直し、更に函館港の平均潮位に直した


函館土木現業所当別築港事務所
24日上記当別築港事務所において測定した結果の測定基準面を同所岸壁の上端に直し更に函館港の平均潮位に直した。
同所の測定基準面は岸壁の上端より下方150cmの所である。

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地図 Fig36 踏査図及び最高水位
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Fig37 潮位図
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第14表 青函船舶鉄道管理局函館桟橋有川支所
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第15表 函館土木現業所当別築港事務所
G. 亀田郡下海岸地方(26日踏査)

■法華、検潮記録(■法華築港事務所)によれば、03時00分より津波による水面の上昇が現われ、04時に第1波の極大に達している、其の後2〜3時間の周期で津波の大振動が記録されており、翌25日20時過ぎまで7回記録している。最高水位は06時02分173cm最低水位は10時40分36cm最大全振巾137cm、又引波は顕著で通常の平潮時より数十米退水した。尚同検潮所基準面はT.P下0.6m、戸井村最高水位は06時40分で検潮所(検潮儀使用不能)基準面(TP下0.86m)上2.1m、最低水位10時30分に基準面下1.3mに達した(戸井築港事務所長談)尚各地の最高水位を確認し、踏査時刻における海面との水準差を巻尺で概測した、踏査当日は津波の余波が続いており30〜40cmの誤差はある。

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地図 Fig38
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第16表 各地の最高水位 註※当日当該時刻の当地の推算潮位で函館港の毎時推算潮位より算出した平均水面上の値 ※※当日当該時刻の当地の推算潮位に水準差(巻尺による)を加えた平均水面上の値

3. オホーツク海沿岸

(1) 概況

網走、紋別港の検潮儀からわかるように、津波は一般に弱く、数十糎内外で最大全振巾で1m前后である。海岸からみたところではほとんど波の変化がわからないくらいであった、

(2)
枝幸

第1波4時20分押に始まり、最大波高60cm
(検汐儀)7時〜8時半海面状態を巡視したが、時々磯波が大きくなる程度で、目視でははっきりわからなかった。沿岸漁民からは引き潮が甚だしいとの連絡がしきりであった点から、7時前にこの現象があったものと思われる。14〜16時満潮時では海面昇降50cm内外で周期は長く、岸壁における作業に支障はなかった。

徳志別

6時30分から30分間引き潮があったが被害はない。

目梨泊

引き潮が急で平素みられない岩まで見えたが被害はない。

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地図 Fig39
(3) 紋別

第1波4時10分押波(週期80分)に始まり、最大波7時半58cmで周期55分、ゆるやかであった。

(4) 網走

第1波3時55分、押波ゆるやかに始まり、32cm(周期65分)、最大波高8時頃62cmで周期38分であった。

(5) 根室

振巾1mぐらいの津波で被害なし、オッネット海岸であさり掘りの1人が津波のため溺死した。

4. 日本海側

寿都、寿都湾では寿都港修築事務所(開発)の験汐儀にわずかであるが、06時35分より記録され、最大波高は17時00分に8cmであった。

IV. 被害状況

国鉄関係
(釧路鉄道局)
釧路川橋梁の橋脚8ヶ破損、路線曲折


函館
路線浸水、桟橋一部破壊、有川船入澗護岸倒壊71m.


北電関係
〔室蘭〕様似:電柱折損3基
〔函館〕上磯:〃2基
〔釧路〕霧多布:〃13基
倒壊21、流失35、傾斜23、
合計92
高圧線断線70ヶ所 低圧線断線67ヶ所
高圧線流失4,300m 低圧線流失6,000m
電話線流失2,700m 変圧器落下13
油入開閉器落下1 引込線断線342


開発局関係
港湾
霧多布:工事用資材流失
広尾:突堤倒壊、物上場沈下、船場土砂流入埋没、
工事用資材流失
幌泉:工事現場浸水、胸壁倒壊、船舶流失
花咲:工事用資材流失
浦河:〃


道路 黄金道路の石垣決壊(580万円)
広尾町ルベシベツのコンクリート露出150万円、広尾町
キタタヌケのコンクリート露出80万円、函館−弘前2級国道、上磯町三石地内で材料流失5万円


漁港
庶野、様似など120万円

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第17表 道警本部調査5月31日現在
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第18表 水産関係(道庁調べ)
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第19表 電々公社関係

V. チリーの地震活動

南米の地震の地震帯も北米と同様に、太平洋沿岸部に大部分起きており即ち環太平洋地震帯の一環として中米から続いている。地震の起き方は海岸に沿って数條の線上にあるが、中でもチリ中部附近は最も多発地帯で海岸線に近い部分には震源の浅い大地震が古来数回起っており、このため津波を伴う場合も多く、コンセプシオン市などは津波の災害を避けて全市移転したほどである。内陸部に入るに従って震源の深さは増し深さ300粁以上のものが発生する。このような地震の起り方は本道附近でも太平洋から内陸に入り樺太に至るに従って震源が深くなるのと類似した点がある。過去20年間においても今回を含めて3回の大地震が発生している。第19表に過去の地震を示したが日本に比適する地震国であり地震、津波災害を受けている。

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第19表 主なるチリーの地震 但し、M(マグニチュド)は地震の規模をあらわす数値

VI. 過去の津波災害

本道における津波災害は日本の外側地震帯における地震活動に比例するもので、その大部分は太平洋沿岸がその来襲地域になっており、特に襟裳岬以東におけるものが甚しい。日本海においても■央的には太平洋沿岸につぐもので、記録上では昭和15年の神威岬沖の地震によるものが最も大きい。オホーツク海沿岸では津波の災害は皆無といってもよい。本道周辺に起きる地震による津波の被害はある程度局所的なものとなるが今回は、その津波の規模の大きなため本土太平洋沿岸全域にわたって、大小の被害をもたらした。
本道沿岸における津波災害を第20表に示す。但しこれは被害を伴ったもののみを掲載した。
この表に示すごとく、その災害は圧倒的に太平洋沿岸に集中し、又その災害の起る地域もある程度限定される傾向がある。特に災害防止の面からも今後これらの地域については施設の面で充分検討すべきものがある。

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第20表 本道における津波災害表

VII. 津波警報および津波情報

札幌管区気象台では24日5時、本道太平洋沿岸に対して津波警報(2区津波おそれ)を発令した。その後25日4時40分警報を解除するまで8回の津波情報を発表し、また解除后も津波の危険の全く去るまで6回の情報を発表して災害防止に万全を期し、大いにその効果をあげた。
津波情報は次の通りである。なお発表先は、NHK、HBC、道警察本部、鉄道管理局、第1海上保安本部、道庁のほか各新聞社である。

津波情報第1号 24日5時15分発表

本朝3時30分頃より太平洋沿岸一帯に津波とおもわれる異常潮位が観測されています。現在広尾、浦河、釧路、花咲附近で2〜3米程度海水面が昇降しています。沿岸は充分警戒して下さい。

津波情報第2号 24日5時35分発表

今朝来太平洋沿岸一帯に来襲している津波は南米チリー方面の地震によるものとおもわれます。津波はなお継続中で広尾港では床下浸水、船舶破損等の被害が出ています。沿岸は引続き厳重警戒して下さい。

津波情報第3号 24日7時5分発表

今朝来の津波は継続中でなおしばらく続くものと考えられますので港湾、岬等では特に注意して下さい。

津波情報第4号 24日8時5分発表

南米チリー地震による津波は現在本邦太平洋沿岸に来襲中です。本道では現在まで各地で観測された津波の高さは花咲3m、釧路3.5m、浦河2.7m、函館2.3m、広尾で3m以上、各地で被害が起っています。7時現在7回目の津波が来襲中で30〜40分の周期で昇降中です。なお数時間継続する見込ですから引続き警戒を厳重にして下さい。

津波情報第5号 24日11時45分発表

太平洋沿岸の津波はその后30〜40分周期で昇降を続けながら次第におさまっていますが、本日午后3時頃は満潮時と重さなるため、かなり高い潮位が予想されます。被害のあった地域ではなお警戒を厳重にして下さい。なおこの津波は本日夕刻すぎまで続く見こみです。
各地の現在までの津波の最大は
オホーツク海沿岸で0.5米
根室、花咲沿岸で3.4米
釧路沿岸で3.5米
広尾2.0米、浦河2.7米、苫小牧2.0米、函館2.1米、室蘭2.3米

津波情報第6号 24日17時30分発表

太平洋沿岸を襲った津波は午前5時頃を最高に次第に弱くなって来ていますが午后4時現在でなお1〜1.5米ぐらいの潮位の昇降を続けています・津波は今后減少しながら数時間続く見込です。特に低い地域では浸水などに注意して下さい。
16時現在各地の津波は
花咲1.5米、釧路1.2米、浦河0.9米、函館1.1米、室蘭2.0米

津波情報第7号 24日21時20分発表

本道沿岸の津波は午后8時現在1米内外の昇降で次第に弱わまってきています。海面の昇降はなお、継続する見込ですから明朝午前2時ないし3時頃の満潮時には、特に低い地域では注意して下さい。その他の地域では今のところ大きな被害は予想されません。
午后8時現在の津波
浦河90cm、釧路122cm

津波情報第8号 24日24時発表

本道沿岸の津波は午后23時現在1米内外の高さで海面が上下し、次第に弱わまってきています。海面の昇降はなお継続する見込ですから明朝午前2時〜3時頃の満潮時には特に低い地域では注意して下さい。その他の地域では今のところ大きな被害は予想されません。
午后11時現在の津波
釧路151cm、函館144cm、浦河33cm

津波情報第9号 25日4時50分発表

太平洋沿岸における、その后の津波は1米程度に弱わまり次第に平常に復してきました。なお1米以下の津波は今后も数時間、弱わまりながら継続する見込ですが、津波の危険はないものと判断されます。本道太平洋沿岸に発令中の津波警報は午前4時40分解除になりました。
午前4時現在の津波
函館109cm、釧路75cm、浦河50cm(2時現在)

津波情報第10号 25日15時30分発表

昨日来本道太平洋沿岸をおそった津波はその后50cm〜1m程度の海面の昇降を続けながらじょじょに弱くなっています。地震の規模が大きいため潮位の変化もここ2〜3日はけい続しますが、津波の危険はないものと考えられます。
今朝8時20分頃チリーに余震がありました。これによる津波の流言が起きているようですが、地震の規模が小さいので、これによる津波の心配はありません。

津波情報第11号 25日23時45分発表

チリー地震の津波はその後弱くなっていますが、明朝2時頃再び潮位が高くなる可能性もあるので、現在まで被害を生じた地域では注意して下さい。

津波情報第12号 26日12時30分発表

25日午后5時30分チリーでまたかなりの地震がありました。これにより或は海面異状があるかもわかりません。前ほどの事はないものと思われます。若しあるとすれば日本に来るのは午后3時頃と推定されます。東部太平洋上の島ではすでに海面異状を観測しておりますが、いずれもわずかなものです。
ハワイのホノルルでは津波到着予定の8時頃までには何とも異状を観測しておりません。但し気象庁では目下引続き監視しておりますから今后の津波情報に注意して下さい。

津波情報第13号 26日14時30分発表

その后ハワイからの入電によれば、現在のところ異状なく、ハワイの津波警報は午前10時28分ころ解除されました。本道太平洋沿岸でも異状は認められず、目下のところ心配はない見込です。なお沿岸気象官署では海面の監視など万全の注意をはらっておりますから、今后の津波情報に注意して下さい。

津波情報第14号 26日16時30分発表

昨日午后5時30分頃のチリー地震による津波の影響は今后ないものと推定されます。しかし24日の大津波の余波がなお引続き残っており、この状態は次第におとろえながらなお数日続くものと思われます。このためここ数日間は海岸での作業や潮干狩はなるべくさけたほうがよいと思われます。

VIII. 各地の検潮記録

本道沿岸11ヶ所の検潮儀記録の写しを読取ったのが第2表である。表中の最大波高とは、波の山の潮位とそれが現われたときの潮候曲線の潮位の差の一番大きいもの、最大全振巾は波の山と谷の一番大きいもの、尚波高はすべて潮候曲線と潮位との差である。

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検潮儀記録(24日) 函館 浦河
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検潮儀記録(24日) 花咲 釧路
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検潮儀記録(24日) 紋別 網走 枝幸 室蘭
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検潮儀記録(24日) 森 鹿部 寿都

チリー地震津波調査概報正誤表

なお、写真一面右上上端の図、釧路港(午前5時30分頃撮影)
以上
昭和35年6月10日
札幌管区気象台

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チリー地震津波調査概報正誤表