明治三陸地震津波

溯上シミュレーション(岩手県田野畑村島越)

(製作:防災技術コンサルタント,監修:首藤伸夫)
現在の岩手県田野畑村島越を明治三陸地震津波が来襲した場合(海側から見る)




現在の島の越にやってくる明治29年の三陸大津波です。
島の越は、高い防波堤で守られた緊急避難のための泊地を備えています。防波堤は海の中 に作られている構造物で、風波のような波を防ぎます。しかし漁船の出入りが出来るように、 港口が開いています。
一方、防潮堤或いは海岸堤防と呼ばれる構造物は陸上に作られます。これは陸地への風 波の侵入も防ぎますが、台風による高潮や、地震で発生する津波をも防いでくれます。こち らの方は、切れ目無く作られ、海水の侵入を防いでくれます。但し、上を越える程大きな津 波に対しては、入り込む海水量を減少させはしますが、完全に止める事は出来ません。 さて、この島の越に津波が来襲します。陸側から眺めた様子は、もう一つのアニメで見て頂 くわけですが、ここでは海側から眺め、津波とはどんなものかを考えましょう。 まず、港口から入った津波がまたたく間に漁港内部を満たし、ついで防波堤をも乗越えてし まいます。こうなると、防波堤の効果は無くなってしまいます。 次に、沖から、或いは岸に沿って、次々と津波が来る事が判ります。津波は、発生した時は 山一つの波であったとしても、陸へ伝わってくる途中で、地形の影響を受けて変化します。 津波の進む速度は、水深によって変わります。深い所で早く、浅い所で遅いのです。野球 のバットのように両端で太さの異なる棒を転がすと、真っ直ぐには進まず、細い方へ、速度 の遅い方へと回り込んで行きます。津波も浅い方へと回り込む性質があります。いったん 岸にたどり着いた津波は、そこで跳ね返され、沖へと向かいますが、ちょっと条件が揃うと、 浅い方へ、つまり又陸の方へと帰ってきます。島の越に来た第1波は、直接沖から来たの でしょうが、後から来るものは、このように別の海岸で反射され、陸へと舞い戻ったものでしょう。 このように、津波が何波来るかは、津波毎、場所毎に異なります。津波は3波も来れば終 わる等と思いこんでいてはいけません。1983年日本海中部地震津波は、男鹿半島から北 へ続く、長さ55kmの海岸で実に複雑な動きを見せました。男鹿半島の崖の上から見てい た人は、津波は1回だけ来たと云いました。同じ半島の崖下で経験した人は、津波は2回 来たと云いました。所が、この海岸の中程にある能代の沖合で経験した人は、少なくとも 7回は来たと云います。 発生した時の津波の形、伝播途中の海底地形、沿岸の地形、等に影響を受けて、岸辺で の津波は大変複雑なものとなるのです。