岩手縣沿岸大海嘯取調書(甲・乙・丙・丁)

陸中国北九戸郡中野村(現、岩手県九戸郡種市町)

陸中國北九戸郡中野村

●本村被害地ハ    字有家 原子内 小子内  三ケ所
○流亡戸数  二十七戸 ○潰戸數       四戸 ○流亡納屋 三十壹棟
○潰納屋   二十八棟 ○死亡人口    六十六人 ○負傷人口  十八人
○流亡牛馬       ○流亡耕地・田畑      ○流亡舩舶
○流亡財産       ○流亡道路・堤防

漁村ノ新位置
一、新住家ヲ設クヘキ地及旧住家トノ利害
  ○本村 移轉スル者 各自 点々 居宅ヲ 移シ者 アレトモ 別ニ  區域ヲ 設ケ 移シ事 無シ
二、海面ヨリ高低及沿岸ノ地形方位
  ○本村 字原子内 海面ヨリ 二三尺 或ハ 十尺以上 海濱モ アリ 沿岸  有家ノ如キハ 荒石 濱 
      舩舶ノ繋留ニ 六ツ敷 南ノ入江 平素 繋留シ 置ク程 荒濱 方位ハ 丑寅ノ大洋ニ 一方面ノ海濱ナリ
三、津浪ノ耒リタル場所
  ○卯辰ノ方面ヨリ 浪 走込ミタルヤ 如シ
四、防風林及防浪林其他堤防必要ノ有無
  ○字原子内 海濱ニ 防風林 植付 汐止メ 堤防 必要アリ
五、魚付場及海湾近傍山林原野ノ景況并林相種目
  ○一新以耒 伐木ノ為メ 欠乏 是レ 為メ 魚族 沖ニ 寄ルト云
六、新道路ノ見込ミ及古道ノ便否
  ○濱街道 車道ニ 開クニ 便アリ
七、漁村沿岸運搬ノ便否
  ○荒濱 故ニ 海運ノ便 無

住 家
一、海濱住屋ノ建造ノ方法
  ○未詳
二、住家ト納屋ト離合ノ利害
  ○離隔スルニ 便アリ
三、海濱住屋建造ノ遺法ノ有無
  ○別ニ 無


漁民風俗
一、祭事婚姻家庭ノ状況
  ○種市村ニ仝ス
二、漁民禁物
  ○種市村ニ仝ス
三、食物
  ○稗
四、衣服
  ○木綿  麻 
五、漁民衣食物供給ノ時季
  ○旧 七月二十八日
六、被害町村漁民年々北海道及其他出稼の状況
  ○年々 北海道ヘ 二百人位 行ク
七、良習慣ト不良習慣トノ種類
  ○本村ハ 昆布 採収ニハ 壹戸ヨリ 五人 出ルモ 壹人 出ルモ  収穫の昆布 合同 戸数ニ 配當スル
     習慣アリ

漁村制
一、漁業組合ノ状況及改善ノ策
  ○漁業組合ハ 追々 組織スル 見込ト云
二、漁民労働及稼業ノ順序
  ○漁民 農兼業 夫ハ 海ニ 漁リ 女ハ 陸 耕シ 塩竈ノ手傳ヲナシ  冬ハ 布 織ル モノト云
三、旧漁場ト新漁場トノ位置ノ状況
  ○未詳
四、漁場紛擾仲裁法
  ○村内 重立者 捌ク
五、藩政ノ當時ノ方法及税法
  ○旧八戸領 一新前 藩主 御手行ヘト 唱ヘ 藩主 之レヲ 行フ  漁民ノ 漁獲物ヲ 藩廳 買上ケ 
      製造スルナリ 品物 宜敷者ニハ 賞与ヲ 賜ル 密賣ハ 嚴重ニ 禁スルナリ

凶荒調査
一、海産物凶年ノ備荒品及製造
  ○


二、凶年ノ状況
  ○未詳
三、凶年ノ際藩政ノ救助方法
  ○仝
四、凶年及津浪后ノ流行病
  ○仝

漁民需用品
一、海岸山林原野ノ状況及將耒ノ企望但材木薪炭木ヲ云
  ○材木 薪炭 余リ品タルニ 非スト 雖モ 需用ニ足 方 森林保護ハ 宜敷 方
二、竹木大麻藁物消費年額
  ○網ハ 水沢地方 銚子(二三年前 銚子ヨリ 需ム)木綿 網 東京(本々 平賀 新助)ヨリ 需ム
三、造舩ノ種類及年々造舩ノ員数
  ○元舩数 百拾六艘ノ内 百拾二艘 流亡セリ
  ○本村 荒濱 故ニ 舩命 七八ケ年位 三ケ年目位ニ 棚 張替  手入ヲナシ 年々 拾五六艘ヲ造舩ス
四、木材ヲ需ル便宜の場所
  ○青森縣 田名部
五、將耒漁舩漁具改良ノ方法
  ○漁民 改良ノ舟具 仕用スル感 無
六、漁民衣食供給ノ場所
  ○本郡 大野 及 八戸町 久慈町

海 湾
一,旧漁場ノ位置及変更ノ状況
  ○漁場ハ 根付物 海底 岩石 変動ニ付 変更 アルヘシ 建網場モ  大ニ 変ルハシト云
二、海湾主産
  ○昆布 鮑 鰯 塩
三、海湾捕魚ノ種類及時期
  ○種市村ニ仝ス
四、沖合漁業ノ位置里程
  ○種市村ニ仝ス
五、製塩場位置興廃
  ○字中野 四ケ所再興 有家 三箇所再興 小子内 三箇所の内壹ケ所再興 


  ○朝ヨリ 汐水 汲ミ 十二時マテニ 了リ 十二時ヨリ 火ヲ 入 二ケ目 致(二昼 壹夜)火 煮キ
     二ケ目 十二時 竈ヨリ 塩ヲ 揚ケ 俵ニ 納ム 煮タル 薪 五拾駄 此 塩 三斗入 拾三俵位ナリ

海事考
一、四季ノ氣候
  ○種市村ニ仝ス
二、起風雨前知
  ○未詳
三、不漁前知
  ○仝
四、大漁前知
  ○仝
五、潮流状況
  ○仝
六、海湾ニ関スル事歴
  ○本村ハ 八戸領 侍濱ハ 盛岡領 故ニ 八戸藩ニテ 切手 用ヘタル  故ニ 夜分ニ 中野村 辺ノ者
     侍濱ニ 賣込ム 事アリ 是の為メ  侍濱 富家 多シ 方今モ 共同事業 協議 事モ 行レカタシ
七、固有漁場ノ変遷ノ状況
  ○未詳
八、津浪ノ歴史
  ○仝
九、津浪ノ耒ルヘキ前兆
  ○仝

漁村挽回
一、迅速ナル業務
  ○小漁舩 漁具 早ク 造ルニ 在リ ■■ニ 廿艘 新造舩ス
二、造舩職工有無
  ○不足 故 雇 度 人 無

漁民將耒ノ企望
一、管内沿岸一致漁業組合設ル方法
  ○別 考 無


二、授産方法ニ付便利見込有無
  ○塩竈 改良ニ アリ
三、他ヨリ團体ヲ造リ漁業ニ耒ル者アルトキハ如何スルヤ
  ○耒ル者 アルト 思ハス

陸地産業被害調査
一、家畜ノ関係
  ○
二、耕地被害
  ○

商業調査
一、物價相場魚類販路
  ○米 壹舛 拾壹錢ヨリ拾三錢迄 ■■ 壹舛 二十二錢 ■■ 粟 稗  八錢ヨリ九錢迄 総テ 三割口
     騰貴 漁獲物 アレハ 販路 速ナリ
二、貸借変動及金利質屋ノ景況
  ○質屋 無  金利 二割五分